2017年09月20日 (水) 22:32:00

8月貿易統計に見る輸出と輸入の拡大は何を意味するか?

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+18.1%増の6兆2780億円、輸入額も+15.2%増の6兆1643億円、差引き貿易収支は+1136億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易収支、3カ月連続黒字 1136億円 米向け自動車など伸びる
財務省が20日発表した8月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1136億円の黒字だった。貿易黒字となるのは3カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1200億円の黒字だった。自動車や半導体関連の品目がけん引した輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、前年同月の346億円の赤字から黒字に転じた。
輸出額は前年同月比18.1%増の6兆2780億円となり、9カ月連続で増加した。増加幅は2013年11月(18.4%)以来の大きさだった。輸出数量が輸入を上回る伸び率で堅調に推移している。8月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=110.77円と前年同月から7%程度の円安となり、円建ての輸出額を押し上げたことも寄与した。
米国向けの排気量2000cc超の自動車や香港向けの半導体などの電子部品の輸出がけん引した。地域別では、前年同月が低調だった反動もあり、対米国が21.8%増と14年12月(23.7%)以来の伸びを記録したことが目立った。対欧州連合(EU)は13.7%増、中国を含む対アジアも19.9%増とともに増加した。
輸入額は15.2%増の6兆1643億円だった。資源価格の上昇と円安の進行で、石炭や液化天然ガス(LNG)、原粗油といったエネルギー関連を中心に増加した。中国からのパソコン、ドイツからの自動車や航空機などの輸入が増えたことから、対中貿易は6カ月連続、対EU貿易は2カ月ぶりに赤字となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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メディアの報道では、上に引用した記事もそうですが、3か月連続の貿易黒字がハイライトされているような気がします。大きな要因は、石油価格などをはじめとする国際商品市況における資源価格の落ち着きに加えて、世界経済の順調な回復・拡大に伴って、我が国の輸出がまさに主力輸出品である自動車などで伸びているからであると私は受け止めています。そして、我が国の景気も順調な回復・拡大軌道にあり、従って、輸入額も国内経済活動に応じた伸びを示しており、輸出と輸入がともに拡大する好ましい局面に入りつつあることを実感しています。もうひとつは、昨年6月の英国の国民投票により、いわゆるBREXITが決まり、世界経済が昨年年央にはもっとも不透明感が大きかった1年後の反動、という側面もありますから、それほど手放しで楽観するのもどうかという気もします。ただ、昨年後半のBREXITやトランプ大統領の当選といった時期からは、大陸欧州でのポピュリスト政党の大幅な躍進も見られず、フランス大統領選挙の結果なども踏まえれば、少しだけ世界経済の見通しがよくなった気もします。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。世界経済の回復・拡大、さらに、不透明感の低下に加え、我が国からに輸出は、引用した記事にもある通り、為替がフォローの風となって、大きく伸び始めました。為替さえ通常の水準を維持していれば、自動車産業をはじめとして、我が国産業にはまだまだ国際競争力があるんではないか、と改めて感じています。

最後に、そうはいっても、世界経済にリスクがないわけではなく、昨年のような政治的、というか、経済外的なリスクではないものの、欧米の金融政策に起因するリスクが顕在化する可能性があります。すなわち、米国連邦準備制度理事会(FED)は6月にも利上げを決めましたし、年内にも追加利上げが実施されたり、資産圧縮が始まる可能性もあり、米国経済の下押し圧力になるとともに、新興国の金融市場での波乱要因となる可能性も否定できません。加えて、欧州中央銀行(ECB)でも来年以降の資産買い入れの圧縮=テーパリングが、早ければ今秋から議論される可能性があり、何らかの市場の反応が発生する可能性があります。
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2017年09月19日 (火) 19:43:00

今夏の気候に起因する野菜価格に関する消費者の実感やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、ネット調査大手のインテージから、9月8日付けで2017年夏の野菜価格についての生活者の印象の調査結果が明らかにされています。今夏は梅雨が明けていないのではないか、とおもわれるほど雨が続き日照時間が不足している印象があり、野菜などの農作物価格が気がかりであったところ、なかなか興味深い調査結果が示されています。いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、インテージのサイトから、今年の夏の野菜価格の印象 について問うた結果が上のグラフの通りです。「例年に比べて、高くなっていると感じた」が15.1%で、「例年に比べて、やや高くなっていると感じた」の47.2%まで含めると62.3%が、例年に比べて高くなっていると感じているようです。グラフの引用は割愛しますが、地域別で見ると、「やや」抜きで「高くなっている」との印象が四国と九州といった日本の南寄りのエリアで比較的高くなっているようです。

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次に、インテージのサイトから、高くなっていると感じた野菜 について問うた結果が上のグラフの通りです。見ての通りなんですが、上位に上がった品目はいずれも天候不順による生育不足や入荷量の減少が価格に影響した可能性があり、生活者として日常の買い物などにおいてもそれらの価格高騰が感じられているようです。
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2017年09月17日 (日) 23:24:00

東洋経済オンラインによる「東京五輪を陰で支える」50法人ランキングやいかに?

本日9月17日付けの東洋経済オンラインで「東京五輪を陰で支える」50法人ランキングが明らかにされています。オリンピックを陰で支える、というよりは、公共事業をジャカスカ受注している、という方が正確な気もしますが、以下のテーブルの通りです。ご参考まで。

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2017年09月15日 (金) 21:33:00

東洋経済オンラインによる40歳平均年収「63業界」ランキングやいかに?

先週金曜日9月8日付けで東洋経済オンラインから40歳平均年収「63業界」ランキングが明らかにされています。以下のテーブルの通りです。

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実は、大学の3年生になる上の倅と先週に進路に関する雑談をしました。倅のいうところによれば、上のテーブルのトップを飾ったコンサルとか、外資系の投資銀行などは、確かに高給は高給だが、メチャメチャ働かされる、とのうわさを耳にする、ということのようでした。私が大学生だったころは、やっぱり、銀行とか商社とか、あるいは、生損保などが人気で、銀行や商社はハードワークだといわれていて、私にはムリだろうと考えた記憶があります。お給料やワーク・ライフ・バランスのほかに、さらに考慮すべきは勤務地で、私が入ったお役所は2000年の省庁再編前は地方支分部局がなくて、東京だけにオフィスのある役所だったんですが、そもそも、なぜか国際派になってしまった私は海外勤務を2度に渡って計6年余り経験しましたので、国内での転勤よりもある意味でハードだったかもしれません。いうまでもなく、2度目の海外勤務のジャカルタには倅も連れて行っています。商社のような国際派に適した職場もあれば、ややドメっぽいながら全国に支店網を持つ生保のような会社もあります。そのあたりも考えどころなんでしょう。
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2017年09月13日 (水) 19:22:00

さらに上昇幅を拡大した企業物価(PPI)と大企業景況感がプラスに戻った法人企業景気予測調査をどう見るか?

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI)が、また、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+2.9%を示した一方で、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は4~6月期の▲2.0の後、7~9月期にはを+5.1記録し、先行きについては、10~12月期は+7.5に、また、来年2018年1~3月期は+5.6と、それぞれプラスを維持すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業物価指数、前年比2.9%上昇 8年10カ月ぶり伸び率
日銀が13日に発表した8月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.8で、前年同月比で2.9%上昇した。伸び率は7月(2.6%)から拡大し、消費税の影響を除くと2008年10月(4.5%)以来8年10カ月ぶりの大きさとなった。8カ月連続の上昇となる。前年比での原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品の価格が上げ幅を広げた。
前月比では横ばいだった。中国の需要増加を背景に8月に銅の国際価格や古紙の価格が上昇した。世界的に自動車の需要が好調で中国やトルコが粗鋼の生産を増やし、鉄鉱石が上昇したため、競合する鉄くずの価格も上がった。一方で、原料の値下がりで化学製品が下落したほか、今夏の天候不順でバーベキューなどの行楽需要が不振となり、牛肉の価格も下落した。
円ベースの輸出物価は前年比で8.6%上昇し、13年12月(12.7%)以来の伸び率となった。前月比では0.5%下落した。輸入物価は前年比で12.5%上昇し、14年1月(12.7%)以来の伸び率となった。前月比では1.3%下落した。為替相場が前年比で円安、前月比では円高となったことが影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは390品目、下落したのは256品目だった。上昇と下落の品目差は134品目と、7月の確報値(79品目)から55品目拡大した。
日銀の調査統計局は「中国の景気や国内の天候不順、地政学リスクが物価に与える影響を今後も注視していく」との見解を示した。
7~9月の大企業景況感、2期ぶりプラス 法人企業景気予測調査
財務省と内閣府が13日発表した法人企業景気予測調査によると、7~9月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス5.1だった。情報通信機械器具や生産用機械器具を中心とした製造業がけん引し、2期ぶりにプラスとなった。前回調査の4~6月期はマイナス2.0だった。
7~9月期は大企業のうち、製造業がプラス9.4となった。情報通信機械器具製造業で自動車やスマートフォン(スマホ)向けの電子部品が好調なことや、生産用機械器具製造業で半導体関連の製造装置の需要が増加したことなどが全体の景況感を押し上げた。4~6月期のマイナス2.9から大幅に改善した。
非製造業はプラス2.9となり、前回調査のマイナス1.6から改善した。建設業で建築需要が堅調に推移しているのに加え、サービス業のうち宿泊業や娯楽業での来客数増加などが寄与した。
先行き10~12月期の見通しはプラス7.5で、製造業がプラス11.2、非製造業がプラス5.7だった。2018年1~3月期は全産業でプラス5.6となった。財務省と内閣府の総括コメントは「緩やかな回復基調が続いている」となり、前回調査時の「企業の景況感は慎重さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と比べてやや明るさがみられた。
17年度の設備投資は前年度比で3.9%増加する見込みとなった。情報通信機械器具製造業のでスマホ向け電子部品の生産能力増強などが見込まれている。前回調査の3.8%増も小幅に上回った。経常利益の17年度見込みは0.6%増となり前回調査の0.4%減から改善がみられた。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は8月15日時点。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計2本の記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、最初のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、真ん中の2番目は需要段階別の上昇率、そして、最後の3番目は原油価格の指数そのものを、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2枚のパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で見て、8月は+3.0%の上昇と、前月7月の+2.6%からさらに上昇幅を拡大しています。ただ、上昇幅拡大の主因は電気やガスなどのエネルギー関連の価格上昇であり、国際商品市況における石油価格の上昇がラグを伴って波及しているだけという気もします。上のグラフの中の一番下のパネルでは原油価格の指数をそのままプロットしていますが、前年同月比上昇率のベースでは、今年2017年1~3月期の各月に+90%超の大幅な上昇を記録した後、すでに上昇率ではピークアウトし、直近8月統計では+20.0%まで上昇幅が縮小して来ていますが、昨年の指数のボトムは8月ですし、9~10月も指数のレベルは低くて、今年9~10月の指数が8月と同じであれば、まだ2ケタ上昇が続くことになります。いずれにせよ、国際商品市況で決まる価格ですので先行きは見通しがたいんですが、大幅な価格上昇の時期は過ぎた気もします。ですから、金融政策というよりも国際商品市況におけるエネルギー価格からの影響の強いPPI上昇率の先行きについては、このまま上昇幅がさらに拡大することは考えにくいと私は受け止めています。

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続いて、上のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフロデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。ただ、跛行性が見られるのも確かで、規模の大きな企業ほどマインドは改善し、非製造業よりも製造業の方が海外経済の恩恵を受けやすく、マインドはより大きく改善を示しています。足元の10~12月期では大企業の景況判断BSIが+7.5、中堅企業は+4.6、中小企業は+0.7となっています。また、個別項目では、人手不足感が広がっており、特に、中堅・中小企業では大企業よりも人材確保が困難なようで、今年12月末時点の見通しで、従業員数判断BSIの不足超が大企業で14.8に上る一方で、中堅企業では26.6、中小企業でも25.2を示しています。また、注目の設備投資については、ソフトウェア投資額を含む、土地購入額を除くベースで、全規模全産業で見て今年度2017年度は前年度比+3.9%増、うち、製造業+8.2%増、非製造業+1.5%増となっています。人手不足に伴う賃金の上昇や設備投資の増加が景気拡大の好循環につながることが期待されます。

どうでもいいことながら、米国のアップル社からiPhoneの新製品が明らかにされています。iPhone発売から10年ということのようです。我が国の携帯3社はiPhone 8については9月22日発売を明らかにしていますが、iPhone X については未定だそうです。価格が10万円を軽く上回るようです。
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2017年09月12日 (火) 19:43:00

中国SNS上の「聖地巡礼」スポット分析結果やいかに?

やや旧聞に属するトピックですが、8月29日付けでトレンドExpressから、中国の代表的なSNSである新浪微博上の聖地巡礼に関するクチコミ分析の結果が明らかにされています。下のテーブルの通りです。

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ということで、ダントツ1位は「君の名は。」の飛騨高山となっています。なお、中国では昨年末から封切られているそうです。2位には「ジブリ各作品」の三鷹市がランクインしています。もともと、三鷹の森ジブリ美術館や9位にランクインしている清水市のちびまる子ちゃんランドは人気のスポットではなかろうかと思います。我が家の子供達が小さかったころは、熊本にウルトラマン・ランドなるスポットがあったんですが、ジャカルタで暮らしているうちに行きそびれて、結局、2013年に閉鎖されてしまいました。本題に戻って、3位「夏目友人帳」の八代市、4位「スラムダンク」の鎌倉市は昨年の1位と2位の作品です。10位「新世紀エヴァンゲリオン」箱根町は、この時期にどうして、という気になったんですが、昨年2016年夏に上海のゲームショーで高さ25メートルのエヴァ初号機が公開され話題になったので注目を集めたようです。
中国では、最近になって、アニメ・マンガなどの舞台となった「聖地巡礼」が日本旅行の目的のひとつとして扱われ始め、メディアへの露出が増えてきているようです。2015年8月からのクチコミ件数推移を見てみると、夏に盛り上がりを見せていて、夏休みや卒業のシーズンで多くの若者が旅行に出かけており、「聖地」ブランドのターゲットは若者ということになりそうです。
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2017年09月11日 (月) 21:52:00

7月統計で大きくリバウンドした機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+8.0%増の8533億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注8.0%増、鉄道車両けん引 自動車は堅調維持
内閣府が11日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ8.0%増の8533億円だった。4カ月ぶりに増加し、伸び率は2016年1月以来の大きさとなった。鉄道車両でまとまった受注が重なったことが大きく寄与した。自動車関連の堅調も続いた。QUICK算出の市場予想(5.1%増)を大きく上回った。内閣府は7月の大幅増は単月として目立つものの「増勢が定着するか見極める必要がある」と指摘し、基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業が2.9%増と2カ月ぶりに増えた。自動車関連は0.8%増と伸び率は小さいが、2桁の伸び率となった前月(12.7%)の実績を上回った。その他製造業に含む合成樹脂加工機械にも関連した受注があったとみられ「自動車関連で好調が続いている」(内閣府経済社会総合研究所)。
非製造業は4.8%増と2カ月連続のプラスだった。運輸業・郵便業が64.9%増となり鉄道車両の寄与が全体を支えた面が大きく、内閣府は「想定された需要がようやく顕在化してきた」と指摘した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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機械受注統計は単月でのブレが大きいとはいえ、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比・前期比で見て、1~3月期▲1.4%減、4~6月期▲4.7%減と、2四半期連続で前期比マイナスを記録し、月次ベースでも、4月▲3.1%減、5月▲3.6%減、6月▲1.9%減と3か月連続のマイナスの後の7月+8.0%増ですから、反動増の要因もあります。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府では基調判断は「足踏み」で変更していません。上のグラフを見ても理解できるように、コア機械受注はほぼ横ばい圏内にあり、引用した記事の最後のパラにあるような需要の顕在化かどうかは、やや疑わしいと私は考えていますが、足元ではなくもう少し先を見通せば、設備投資は緩やかながら増加の方向にあると考えられます。ひとつには稼働率の上昇です。鉱工業生産指数のグループの一環に稼働率データがあり、季節調整済みの四半期データで見て、製造工業の稼働率指数が2016年1~3月期の96.1を底に、2017年4~6月期の101.9まで緩やかに上昇の方向にあります。私が役所に入ったころは、稼働率指数が90を超えると設備投資が増加し始めるという経験則があったんですが、指数の水準はともかく、稼働率の上昇が設備投資を増加させる方向性は変わらないと考えるべきです。それから、言い古された気がするものの、人手不足と2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備に伴う需要の盛り上がりも見逃せません。加えて、企業の供給サイドでも、業績の改善・高水準とともに、維持更新投資の必要も高まっていることから、かつてのように爆発的に設備投資が増加するという局面は考えにくいものの、緩やかに設備投資は増加の方向を示し、設備投資の先行指標であるコア機械受注はその動きに先立って増加に転じるものと私は予想しています。
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2017年09月08日 (金) 23:26:00

下方修正された4-6月期2次QEをどう見るか?

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.6%、年率では+2.5%を記録しました。1次QEから設備投資を中心に下方修正されたものの、潜在成長率をかなり超えて、消費などの内需が牽引する高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP年率2.5%増に下方修正 4~6月改定値、設備投資下振れ
内閣府が8日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値の伸び率は物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増と、速報値(前期比1.0%増、年率4.0%増)から下方修正した。設備投資が大幅に下振れた。内閣府の詳細な計算によると、年率でみると速報値から1.4ポイントの下方修正で、現行の統計算出方法になった2010年4~6月期以降では最大の下げ幅となった。QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.7%増、年率2.9%増)を下回った。
設備投資が前期比0.5%増と、速報値の2.4%増から大幅に下方修正されたのが響いた。改定の参照統計となる1日発表の法人企業統計で、自動車を中心とする輸送機械や電機など製造業で投資が一巡していた影響が出た。内閣府は4~6月期の設備投資の下振れを「一時的」(経済社会総合研究所)とみている。企業の設備投資計画が高水準なためで「計画通り進めば7~9月期以降は堅調な投資が続く」と説明している。
民間在庫の寄与度はマイナス0.0%と、速報値のプラス0.0から下方修正した。設備投資と民間在庫の低下で、実質成長率への内需寄与度はプラス0.9ポイントと、速報値の1.3ポイントから鈍化した。
このほかの内需項目では個人消費が前期比0.8%増(速報値は0.9%増)、住宅投資は1.3%増(同1.5%増)などが下方修正された。一方で公共投資が6.0%増(同5.1%増)となるなど、公的需要は速報値を上回った。
輸出は前期比0.5%減と速報値と同じで、輸出から輸入を差し引いた外需の実質GDP改定値への寄与度はマイナス0.3ポイントと速報値と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%増(速報値は1.1%増)、年率で3.0%増(4.6%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.4%だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/4-62016/7-92016/10-122017/1-32017/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.2+0.4+0.3+1.0+0.6
民間消費+0.1+0.4+0.1+0.4+0.9+0.8
民間住宅+3.2+2.8+0.2+1.0+1.5+1.3
民間設備+1.4▲0.3+2.0+0.5+2.4+0.5
民間在庫 *(+0.4)(▲0.5)(▲0.2)(▲0.1)(+0.0)(▲0.0)
公的需要▲1.2▲0.0▲0.4+0.0+1.3+1.5
内需寄与度 *(+0.4)(▲0.2)(+0.1)(+0.2)(+1.3)(+0.9)
外需寄与度 *(+0.1)(+0.4)(+0.3)(+0.1)(▲0.3)(▲0.3)
輸出▲0.9+2.1+3.1+1.9▲0.5▲0.5
輸入▲1.2▲0.2+1.4+1.3+1.4+1.4
国内総所得 (GDI)+0.5+0.0+0.2▲0.1+1.1+0.7
国民総所得 (GNI)+0.2▲0.1+0.1+0.1+1.1+0.8
名目GDP+0.2▲0.0+0.5▲0.1+1.1+0.7
雇用者報酬▲0.1+0.8▲0.3+0.4+0.7+0.8
GDPデフレータ+0.4▲0.1▲0.1▲0.8▲0.4▲0.4
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.0+0.4+0.3


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率が6四半期連続でプラスを示し、黒い外需(純輸出)がマイナスであるものの、黄色い公的需要と主要な内需項目である赤い消費がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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まず、報道のトーンは1次QEから2次QEにかけて下方修正された点を強調しているように見受けられますが、ホントは潜在成長率を超えてかなりの高成長であり、しかも、消費を中心とする内需が牽引する景気回復である上に、6四半期連続と安定したプラス成長を続け、先行きも世界経済の回復・拡大の順風を受けて、我が国経済を取り巻く環境はかなり明るい、と考えるべきです。ほとんど、以上で論評は終わりなんですが、先行きについて少し考えると、まず、消費については4~6月期ほどのプラスは望めないかもしれませんが、耐久消費財の買い替えサイクルがエコカー減税や家電エコポイント、さらに、消費増税前の駆込み需要などの攪乱から正常化して来ており、先行きも伸び率が鈍化するものの、着実な回復が見込まれます。設備投資は1次QEから大幅に下方修正されましたが、それでも前期比でプラスを記録しており、現在の人手不足や企業収益を考え合わせると、今後とも、緩やかながら増加を期待できると私は考えています。そして、在庫は1次QEの+0.0%の寄与度から、2次QEでは▲0.0%の寄与度に下方修正されて成長率の足を引っ張りましたが、逆に、在庫調整が進展して先行きの息の長い成長をもたらす可能性が高まったと見られます。外需についても、世界敬愛が回復・拡大を示す中で、4~6月期には前期比でマイナスとなった輸出も7~9月期には増加に転じると予想しています。3日前の9月5日に2次QE予想として示したテーブル第一生命経済研の見方にかなり近いと考えています。
ただし、私が考える先行きのリスクは2点あり、ひとつは賃金動向です。耐久消費財の買い替えサイクルが到来しても、基礎となる所得が伸びなければ消費の増加は実現しません。現状では、人手不足といわれつつも、賃金が上昇するに至っていません。雇用者数が増加して、しかも、正規職員へのシフトも見られますので、1人当たり賃金に雇用者数を乗じたマクロの所得は増加しつつありますが、この先、家計ベースのマイクロな賃金上昇が伴わなければ、消費は一層の拡大につながらないおそれもなしとはしません。もうひとつの先行きリスクは海外政策動向です。フランス大統領選挙の結果やドイツ総選挙の予想などから、クローズな政策を志向するポピュリスト政党のさらなる進出は後景に退いた気がしますが、米国のトランプ大統領は健在であり、特に通商政策動向は不透明です。加えて、米国では金融政策で金利引上げが志向されており、先行き、新興国や途上国を含めて金融上の何らかの問題を生ずる国が出る可能性もあります。そのあたりは、現時点では何ともいえません。

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4~6月期GDP統計2次QEから目を別の指標に転じると、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが、また、財務省から7月の経常収支が、それぞれ公表されています。いつものグラフは上の通りです。グラフだけで簡単に済ませておきます。悪しからず。
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2017年09月07日 (木) 23:22:00

すべてのコンポーネントがマイナスとなった景気動向指数の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比▲0.7ポイント下降して105.0を、CI一致指数も▲1.2ポイント下降して115.6を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、1.2ポイント低下 半導体関連など反動減
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.2ポイント低い115.6と2カ月ぶりに低下した。半導体製造装置や自動車の出荷が鈍化したのが響いた。ただ指数を押し下げた要因のうち自動車は8月に販売が持ち直しており、指数が一方的に弱含む可能性は「それほど高くない」(内閣府の経済社会総合研究所)という。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は最も強気の「改善を示している」に10カ月連続で据え置いた。
7月は投資財出荷指数(輸送機械を除く)が0.49ポイント、耐久消費財出荷指数が0.32ポイント、それぞれ低下した。鉱工業用生産財出荷指数や生産指数(鉱工業)、商業販売額(卸売業)など、速報段階で算出できる7指標すべてが押し下げ要因となった。全ての指標がマイナスとなるのは、現行の算出基準で遡ると2011年3月以来、6年4カ月ぶり。内閣府は「生産や出荷の指数が近年でみて高くとどまっており、半導体製造装置などで反動減が出た」と説明している。
数カ月先の景気を示す先行指数は0.7ポイント低下の105.0と、3カ月ぶりに低下した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、CI一致指数を構成するコンポーネントのうち、トレンド成分ではない7指標がすべてマイナスを示しています。マイナス寄与の大きい順に、投資財出荷指数(除輸送機械)、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)となっています。特に、投資財出荷のマイナスが大きくなっています。ただ、これも引用した記事にもあるように、8月には我が国のリーディング・インダストリーである自動車販売がすでに持ち直していますので、CI先行指数が下降しているとはいえ、このまま景気動向指数が下降を続けるとは私も想定していません。従って、基調判断は「改善」で据え置かれており、判断根拠としては、3か月後方移動平均は▲0.36ポイント下降しているものの、振幅の目安となる標準偏差の1.04には遠く及びませんし、7か月後方移動平均はむしろ+0.16ポイントの上昇を示しており、12か月連続の上昇となっています。
なお、CI先行指数のマイナス寄与は、鉱工業用生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、新規求人数(除学卒)などで大きくなっています。いずれにせよ、CI一致指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高く、7月減産の後、過大推計のバイアスがあるとはいえ、製造工業生産予測調査で8月は前月比+6.0%の上昇を示していますので、来月の景気指数ではCI一致指数はプラスを記録するんではないかと私は楽観しています。
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2017年09月06日 (水) 19:29:00

毎月勤労統計に見る賃金の減少は何を意味するのか?

本日、厚生労働省から7月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.0%減を示し、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.5%増となった一方で、ボーナスなどの特別に支払われた給与が大きく減少したため、現金給与総額のは▲0.3%減を記録しています。さらに、消費者物価が上昇を示していますので、現金給与総額を消費者物価でデフレートした実質賃金は前年同月比で▲0.8%の大きなマイナスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

名目賃金、7月0.3%減 1年2カ月ぶりマイナス
ボーナス減響く

厚生労働省が6日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、労働者1人あたりの名目賃金にあたる現金給与総額は37万1808円と前年同月比0.3%減少した。前年同月を下回るのは1年2カ月ぶり。夏のボーナスが減ったことが要因だ。物価上昇分を差し引いた実質賃金は0.8%減少した。
名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.5%増の24万2487円と4カ月連続で増加。一方、ボーナスなどにあたる「特別に支払われた給与」は2.2%減の11万156円だった。夏のボーナスが飲食サービス業で前年同月比23.0%減と大幅に減少し、賃金全体を押し下げた。
実質賃金の減少は2カ月連続。減少幅は15年6月以来2年1カ月ぶりの大きさだ。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が0.6%上昇したことで、実質賃金を名目賃金よりさらに押し下げた。
厚労省は「基本給は上昇傾向が続いており、給与総額の減少は一時的ではないか」との見方を示した。また速報段階ではボーナス分を集計できていない事業所もあり、確報値で変動する可能性がある。


やや賃金に関して集中的に報じている印象がありますが、まずまずよく取りまとめられている気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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上のグラフに沿って見ていくと、まず、景気と連動性の高い製造業の残業時間については、鉱工業生産指数(IIP)とほぼ連動して7月は減少に転じています。次に、報道でも注目を集めた賃金ですが、前年同月比で見て、現金給与総額で▲0.3%減、内訳をもう少し詳しく見ると、所定内給与は+0.5%増、所定外給与は+0.1%増、所定内給与と所定外給与を合わせたきまって支給する給与は+0.5%増ながら、ボーナスなどの特別に支払われた給与が▲2.2%減となっていて、全体をマイナスにしています。消費への影響が大きく、経済学的にいわゆる恒常所得と呼ばれる部分の賃金は名目で増加しているんですが、ボーナスなどの臨時的な賃金部分が減少しているわけです。ですから、各家計にとって名目値では賃金や所得は増加の印象があると考えられますが、デフレ脱却に向けて消費者物価が上昇を始めていますので、物価上昇でデフレートした賃金はマイナスを示したままであることも確かです。ただ、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、各企業はフルタイム雇用者の増加を目指し始めているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな賃金を集計したマクロの所得については、決してマイクロな労働者ごとに観察されるほどは悪化していない、と私は受け止めています。もちろん、9月1日に公表された法人企業統計に見る通り、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。ただ、先行きに関しては、人手不足の進行とともにサービス業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。
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2017年09月05日 (火) 23:08:00

今週金曜日9月8日公表予定の2次QE予想やいかに?

先週金曜日の9月1日に公表された法人企業統計まで、ほぼ必要な統計が出そろい、今週金曜日の9月8日に4~6月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定ですが、すでに、シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、みずほ総研と第一生命経済研だけでしたし、かすったのも伊藤忠経済研だけでしたので、最初の2機関についてはやや長めにヘッドラインを引用しています。何分、2次QEですので法人企業統計のついでの扱いだったり、そうでなくてもアッサリしたリポートも少なくありません。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+1.0%
(+4.0%)
n.a.
日本総研+0.8%
(+3.3%)
4~6月期の実質GDP(2次QE)は、公共投資が小幅上方修正される一方、設備投資、在庫変動が下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+3.3%(前期比+0.8%)と1次QE(前期比年率+4.0%、前期比+1.0%)から下方修正される見込み。
大和総研+0.7%
(+2.7%)
基礎統計の直近値の反映により公共投資が下方修正となるほか、需要側統計の法人企業統計の結果を受けて設備投資が下方修正される見込みだ。
みずほ総研+0.6%
(+2.6%)
7~9月期以降の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き内外需の押し上げにつながるだろう。4~6月期の輸出はITセクターの減速などから減少したものの、7~9月期になると輸出は再び回復軌道に復するとみている。データセンターや車載向けの需要の堅調さに加えて、年後半に控えるiPhone8の発売がIT関連輸出の下支えとなるだろう。設備投資については、五輪関係や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、押し上げ要因になるとみられる。個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、雇用情勢の改善や株価の堅調な推移などを背景に消費者マインドが回復していることがプラスに働くだろう。
ニッセイ基礎研+0.6%
(+2.4%)
実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.4%)となり、1次速報の前期比1.0%(前期比年率4.0%)から大幅に下方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.7%
(+2.9%)
GDP成長率は明確な下方修正が見込まれるとはいえ、それでも年率+3%近い伸びであり、かなりの高成長であることは変わらない。また、設備投資も大幅下方修正ではあるものの、前期比でプラスは確保できそうだ。景気は好調に推移しているという評価を変える必要はないだろう。内容をみても、これまで景気を主導してきた外需がマイナス寄与になる一方で、個人消費を中心にした内需が牽引する形での高成長が実現しているという構図に変化はないものとみられる。
先行きについても、世界経済の回復を背景に輸出の増加傾向が続くことに加え、企業収益の増加を受けて設備投資も増加が期待できる。個人消費も基調としては緩やかな持ち直しが見込めるだろう。景気を取り巻く環境は良好であり、先行きも景気は着実な改善を続ける可能性が高い。
伊藤忠経済研+0.7%
(+2.7%)
2017年4~6月期の実質GDP成長率は前期比+0.7%(年率+2.7%)へ大きく下方修正されると予想。設備投資が大幅に、個人消費も若干下方修正される見込み。それでも国内民間需要主導の景気拡大という姿は変わらないが、持続性を確保するためには人件費の上昇加速が必要。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.8%
(+3.1%)
実質GDP成長率が1次速報の前期比年率4.0%から同3.1%に下方修正されると予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.8%
(+3.2%)
2017年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.8%(年率換算+3.2%)と1次速報値の同+1.0%(同+4.0%)から下方修正される見込みである。
三菱総研+0.5%
(+2.0%)
2017年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.5%(年率+2.0%)と、1次速報値(同+1.0%(年率+4.0%))から下方修正を予測する。


ということで、取り上げたすべての機関が1次QEでは1次QEから下方修正されると予想しています。大雑把に+3%前後の成長率であり、前期比年率で見て、取り上げた機関のレンジでは最低でも三菱総研の+2.0%であり、+3%を超える予想を示す機関も少なくありません。ですから、少なくとも、我が国の潜在成長率は十分に超えた高成長といえます。しかも、上のテーブルにはサマリーしか示していませんが、輸出主導ではなく、消費を中心とする内需が牽引する成長といえます。設備投資も1次QEから大きく伸び率が下方修正されそうですが、前期比でプラスが予想されています。ですから、典型的には、第一生命経済研の評価が私はもっとも当たっていると思います。先行きについても、消費が4-6月期ほどの伸びを続けるとは思えませんが、世界経済の回復・拡大とともに輸出が増加を続けるでしょうし、さすがにそろそろ人手不足や企業収益を背景に設備投資も増加の勢いを増すんではないかと期待していますから、我が国の景気を取り巻く環境は改善を示していると考えるべきです。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。

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2017年09月02日 (土) 08:28:00

米国雇用統計はやや鈍化するも堅調な雇用の伸びを示し利上げをサポートするか?

日本時間の昨夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+156千人増となった一方で、失業率は前月から+0.1%ポイント上がって4.4%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の5パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. employers add 156,000 jobs in August; unemployment rate edges up to 4.4%
August was a good month for blue-collar jobs, but hiring on the whole tailed off from earlier in the summer and there was no indication of an upturn in wage growth, which has been missing in the nation's long economic recovery.
Despite solid gains in manufacturing, construction and mining, U.S. job growth overall last month fell short of economists' expectations and recent trends. Employers added 156,000 net new jobs, a slowdown from payroll increases of 189,000 in July and 210,000 in June, the Labor Department said Friday.
The nation's unemployment rate ticked back up to 4.4%, from 4.3% in July. Average hourly earnings barely rose, and the typical number of hours worked per week slipped a fraction last month.
Economists cautioned against reading too much into one's month data, especially coming in a summer when seasonal factors are more tricky for statisticians to filter out.
Job creation last month was still more than enough to absorb the growth in the working-age population. The unemployment figure remains just shy of a 16-year low, and the economy this summer entered its ninth year of expansion.


長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の雇用については、8月統計の非農業部門雇用者の増加幅に関する市場の事前コンセンサスは+180千人くらいと見込まれていたところ、この水準は下回り、また、前月7月実績の+189千人増には達しませんでしたが、+150千人増を上回って+156千人増はまずまず堅調と私は受け止めています。特に、製造業が3か月連続で雇用を増加させているのが目につきます。すなわち、6月+21千人増、7月+26千人増、8月+36千人増で、3か月連続増加だけでなく、その増加幅が拡大したりしています。トランプ米国大統領が特に重視しているセクターではあるものの、特段の政策的な対応がなされていると思えないところ、どうなっているんでしょうか。金融政策に関しては、米国の報道を私が見ている限りで、+100千人増ならOKといったラインをイエレン連邦準備制度理事会(FED)議長ご本人が発言しているようですし、この9月19~20日に次回の米国連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される際には、量的緩和により米国債などを大量に買い入れ、バランスシートが大きく膨張しているところ、リーマン・ショック後の金融危機対応の金融政策運営からの脱却を目指してバランスシートの圧縮を議論する可能性がFED幹部などから示唆されています。今年は25ベーシスの利上げが年間3回と想定されてきましたが、3月と6月に2度の利上げが行われた後、3度目はあるとすれば12月と私は考えていて注目しているところです。先日公表されたばかりの4~6月期の成長率は+3.0%と、かなり高い伸びを示した一方で、日本や欧州とも共通して、物価がやや伸び悩みを見せています。私は米国内の報道しか見ていませんが、物価動向から利上げを疑問視する味方がある一方で、一部の商業用不動産価格の上昇がバブルの兆しとみなされていたりして利上げをサポートする意見も見受けます。FOMCの前にFEDが市場とどのような対話を交わすのか、私は大いに注目しています。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象ながら、もう一段の加速が見られません。ただ、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなりましたが、日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったのかもしれません。
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2017年09月01日 (金) 23:28:00

法人企業統計に見る企業の収益力はほぼ史上最高も賃上げや設備投資は低調!

本日、財務省から今年2017年4~6月期の法人企業統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で、売上高は3期連続の増収で前年同期比+6.7%増の327兆9184億円、経常利益も4期連続の増益で+22.6%増の22兆3900億円でした。また、設備投資は製造業で▲7.6%減、非製造業で+6.9%増となり、非製造業が牽引する形で、全産業では+1.5%増の9兆4506億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4~6月期設備投資1.5%増、前期比では鈍化 法人企業統計
財務省が1日発表した2017年4~6月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比1.5%増の9兆4506億円だった。プラスは3四半期連続。サービス業や物品賃貸業の増加が自動車や情報通信関連の減少を補った。ただ国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で2.8%と3四半期ぶりに減り、直前と比べた設備投資は鈍化傾向となった。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、非製造業は6.9%増えた。訪日外国客の流入を背景に、サービス関連の宿泊設備への投資が伸び、娯楽施設も堅調だった。レンタカーやカーリースといった物品仲介業で車両購入が増えたのも寄与した。通信回線の敷設も貢献した。
季節調整済み前期比で設備投資額が2.8%減となった「ソフトウエアを除く全産業」の内訳は製造業が5.4%減、非製造業が1.4%減だった。製造業では新型車向け増産投資が1~3月期に大きかった反動が出た。通信業では半導体や素材関連の投資が一服し、企業の設備投資は全体でみれば直前の四半期と比べると一巡感が出ている。
全産業ベースの経常利益は前年同期比で22.6%増の22兆3900億円と、統計をさかのぼれる1960年度以降で最高となった。増加は4四半期連続。製造業が46.4%増と3四半期連続、非製造業が12.0%増と4四半期連続のプラスとなった。原油価格の上昇で商社など卸売業が好調だったほか、新規出店を続けた小売りも伸びた。財務総合政策研究所は「堅調な世界経済を背景に、企業業績はゆるやかな回復基調をたどっている」と指摘している。
売上高は6.7%増の327兆9184億円と3四半期連続の増加で、非製造業が7.4%増、製造業が4.8%増となった。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計。今回の17年4~6月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。


やや長いものの、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整していない原系列の統計ながら、4~6月期の売上高経常利益率は製造業が8.8%、非製造業が6.0%と、1~3月期をともに上回り、加えて、国内経済もそれなりに堅調に回復・拡大を示しているものの、世界経済のいっそうの拡大や円安を受けて、製造業が非製造業よりも高い収益力を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については昨年2016年年央くらいを底に、昨年2016年後半から明らかに上向きに転じ、今年2017年1~3月期から4~6月期にかけてもこの流れが継続していることが確認できたと思います。ただ、設備投資については、同様に、2016年年央を底に上向きに転じていたんですが、今年2017年4~6月期にはマイナスに転じました。季節調整済みの系列で見て、全産業ベースの設備投資は4~6月期に前期比で▲2.8%減でしたが、製造業で▲5.4%減、非製造業で▲1.4%減を示しており、利益率が高い製造業の方で投資がより大きく減少しているのは、海外へ投資が漏出している可能性が示唆されていると私は受け止めています。また、引用した記事にもある通り、この法人企業統計の公表をもって、来週9月8日に内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表される予定となっています。シンクタンクなどの2次QE予想は日を改めて取りまとめる予定です。直観的には設備投資が下方修正される分、2次QEでは成長率が下振れするんだろうという気はします。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけはグングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。また、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、さらなる法人税引き下げなどによる企業活動活性化がどこまで必要なのかは疑問ですし、企業が国内での設備投資や賃上げに慎重姿勢を示しているのであれば、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

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最後に、法人企業統計を離れて、内閣府から公表された8月の消費者態度指数のいつものグラフは上の通りです。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直している」から「ほぼ横ばいとなっている」に下方修正しています。
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2017年08月31日 (木) 23:14:00

7月統計で減産を示した鉱工業生産指数(IIP)をどう見るか?

本日、経済産業省から7月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で前月比▲0.8%の減産となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです

鉱工業生産、7月は0.8%低下 半導体製造装置など振るわず
経済産業省が31日発表した7月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比0.8%低下の101.5となった。低下は2カ月ぶり。汎用・生産用・業務用機械工業で半導体製造装置やタービン類の生産が減少したほか、電気機械工業でも発電関連設備などが振るわなかった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(0.3%の低下)も下回った。
7月の出荷指数は前月比0.7%低下の100.0だった。在庫指数は1.2%低下の107.8、在庫率指数は2.4%上昇の113.1となった。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。在庫指数が2カ月連続で低下したことに加え、生産指数の水準も1~6月と同程度を維持していることを考慮した。
7月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から低下し、4業種が上昇した。汎用・生産用・業務用機械工業が2.5%低下したほか、電気機械工業が2.9%、医薬品を除く化学工業が1.4%それぞれ低下した。一方、中国や韓国向けにスマートフォン(スマホ)用の半導体メモリーなどが伸びたことが寄与し電子部品・デバイス工業は4.3%上昇した。
製造工業生産予測調査によると、8月は前月比6.0%の上昇、9月は3.1%の低下を見込む。ただ、経産省では「強めの生産計画に実績が追いつかなくなっている」傾向などを踏まえ、補正済みの試算値では8月は1.4%程度の上昇にとどまるとみている。8月が試算値通りとなれば、9月の生産は反動による減産の影響が薄れることから横ばいか微減となる見通しだとした。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲0.4%の減産でしたから、やや減産幅が大きいんですが、低下の幅は決して大きくなく、引き続き、生産は高水準にあると私は受け止めています。四半期でならして見て、4-6月期まで1年余りの期間に渡って生産は前期比プラスを継続しており、7-9月期についても四半期ベースで減産する可能性は大きくないと考えるべきです。内外需がまだかなり高水準にあり、昨日公表された米国の4-6月期GDP成長率を見ても、世界経済の回復・拡大基調は鮮明であり、外需はかなり堅調です。内需についても、8月の東京の日照時間が過去最低の可能性との報道も見かけて天候要因が気がかりですが、自動車が政策要因に基づく攪乱を終えて買い替えサイクルを迎えたり、電機などの耐久消費財でも売上げ増の予想があったりして、設備投資も含めて内需もようやく回復に向かう段階に入った可能性が高く、内外需ともに生産をサポートする方向にあると考えられます。ですから、製造工業生産予測調査でも8月は前月比+6.0%の上昇、9月は▲3.1%の低下を示しており、8月増産は勢い大き過ぎる印象もありますが、9月減産が見込まれていて、単月ではジグザグした動きながら、製造工業生産予測調査でも目先の生産の方向性は明らかに示されているといえます。
もっとも、先行き懸念がないではなく、最大のリスクの源は米国経済であろうと私は考えています。トランプ政権の通商政策は不透明なことはいうまでもありませんが、連邦準備制度理事会(FED)の金融政策が引締めに向かっていることは明らかで、直観的ながら、FEDの利上げは米国経済よりもむしろ新興国経済により大きな影響を及ぼす可能性があり、加えて、その影響の大きさも不確実性が高いと私は懸念しています。思わぬインパクトが思わぬ国や地域で生じるかもしれません。それだけに、消費や設備投資などの回復の兆しをより確実なものとし、内需中心の成長を確立させておきたいところです。
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2017年08月30日 (水) 19:42:00

自動車の小売売上額が伸びた商業販売統計から消費をどう見るか?

本日、経済産業省から7月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.9%増の12兆2310億円、季節調整済みの系列で前月比+1.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の小売販売額、1.9%増 自動車と化粧品けん引
経済産業省が30日発表した7月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.9%増の12兆2310億円だった。9カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別でみると最も増加寄与度が高かったのは自動車小売業で、前年同月比で6.6%増加した。新型車の好調が続いているが、季節調整済みの前月比では2.0%減と4カ月ぶりに減少に転じており足元の販売には減速感もみられる。
次点の医薬品・化粧品小売業は5.0%増となった。インバウンド需要を含めた化粧品の好調や、日照時間の長さを受けた紫外線(UV)対策関連商品の伸びなどが寄与した。ドラッグストアの新規出店効果もあった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.2%減の1兆7179億円だった。既存店ベースでも同じく0.2%の減少となった。6月に夏のセールを前倒しで実施した反動が出たことなどから衣料品が苦戦し、百貨店が全店ベースで2.5%減少した。一方、スーパーは1.1%増加した。主力の飲食料品が堅調だったほか、エアコンをはじめとした家電の販売も支えとなった。
コンビニエンスストアの販売額は3.1%増の1兆763億円だった。冷たい調理麺やファストフードなどを中心に商品の販売が好調に推移したほか、プリペイドカードやチケットの販売が伸びサービス売上高も2カ月ぶりに増加した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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この私のブログでは決して積極的にフォローはしていませんが、昨日公表された総務省統計局の家計調査については、7月統計は市場の事前コンセンサスと比較しても下振れした結果だったんですが、今日発表の経済産業省の商業販売統計については、まずまず強含みで持ち直しの結果が出ています。引用した記事にある通り、自動車はエコカー減税や消費税率引き上げなどの政策的な攪乱要因からかなりの程度に脱しつつあり、少しずつ買い替えパターンを取り戻しつつあると私は見ています。自動車ほどではありませんが、家電の耐久消費財についても家電エコポイントや消費増税による攪乱から買い替えパターンが復活しつつある印象です。しかし、天候要因との関係では実感とのズレもあるような気がします。すなわち、7月から8月にかけては、気温や日照時間が例年を下回った気がしていたんですが、インバウンド消費に基づく化粧品やドラッグストアでの売上は別としても、UV対策商品の売行きが伸びたという実感は私にはありません。もっとも、7月の天候と8月の天候を私は混同している可能性もありますし、東京だけの天候要因ではなく、全国ベースではやっぱり猛暑だったのかもしれず、その意味で、私の直観的な印象が間違っている可能性もあります。家計調査と商業販売統計で共通して夏物衣料品が伸びていますので、その意味では、季節要因が消費にプラス要因だった可能性もあります。他方で、天候ではなく、インバウンド消費の影響かもしれません。まあ、印象論ですので結論は不確かです。
先日、内閣府から公表された4-6月期のGDP統計1次QEでは消費がかなり大きなプラスを記録しましたが、7-9月期のGDPベースの消費はマイナスに落ち込む可能性が高いと覚悟していましたが、統計局の家計調査が低いところから7月が始まり、経産省の商業販売統計がやや高いところから始まった印象です。来週金曜日には4-6月期の2次QEが明らかになりますし、GDPでもっともシェアの大きい消費の動向については注視していきたいと思います。
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2017年08月29日 (火) 19:43:00

雇用統計は失業率も有効求人倍率も引き続き人手不足を示す!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも7月の統計です。失業率は2.8%と前月から変わらず、有効求人倍率は前月からさらに上昇して1.52倍、また、正社員の有効求人倍率も前月統計から1倍に達しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の有効求人倍率1.52倍 製造業・運輸業が活発
厚生労働省が29日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.01ポイント高い1.52倍だった。上昇は5カ月連続。製造業や運輸業の求人が活発だった。総務省が同日発表した7月の完全失業率(同)は2.8%と6月と同じで、女性の失業率が24年2カ月ぶりの低い水準だった。景気回復と人手不足を受け、雇用環境は安定した状況が続いている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人当たり何件の仕事があるかを示す。7月はバブル期に最も高かった1.46倍より高く、1974年2月以来43年5カ月ぶりの高水準だった。
企業の求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は15.0%だった。インターネットを通じて企業に直接求職する例などを除くが、6~7人雇おうとして採用できたのが1人という計算だ。比較可能な2002年以降で過去最低だった。
企業は将来の人手不足を見越して、長期で雇える正規社員の雇用を増やしている。正社員の求人倍率は1.01倍で、統計がある04年11月以来初めて1倍を上回った6月と同水準だった。正社員数は前年同月比で60万人増え、3カ月連続で非正規社員の増加を上回った。
新たに出された求人の数を示す新規求人数(原数値)は前年同月比で3.5%増加した。業種別にみると、スマートフォンや自動車の生産が好調な製造業(10.5%増)や運輸・郵便業(9.2%増)で増加が目立った。
完全失業率は働く意欲のある人のうち、職がなく求職活動をしている人の割合を示す。失業率を男女別にみると、男性は3.1%、女性は2.5%。女性の失業率は1993年5月以来の低水準だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済期のレベルに匹敵するところまで人手不足を示す水準にあります。特に、有効求人倍率については、バブル経済期を飛び越えて、第1次石油危機直後の1974年までさかのぼらねば経験できない水準まで上昇を示しており、しかも、引用した記事にもある通り、正社員の有効求人倍率が前月統計から1倍を超えて1.01倍を記録しましたので、新聞・テレビなどのメディアなどでははやし立てていますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。なお、私の手元にあるデータでは、有効求人倍率の過去最高値は1973年11月の1.93となっていて、さすがに、この水準に到達するにはもっと時間がかかりそうです。賃金が上がらない基本的な理由は、人手不足に伴う労働市場への新規参入です。その昔は、ルイス的な二重経済の下で農村から都市部の製造業などに労働が移動したんですが、さすがに、二重経済が解消されてから長らく経過し、現在では、子育てが一段落した中年女性と一線を退いた高齢男性が新たな職場に参入しているようで、総務省統計局が労働力調査の中で公表している性別階級別の就業率を見ると、35-44歳の女性と65歳超の男性の就業率の上昇が観察されます。しかし、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、正規職員の増加によりマクロの所得としては増加が期待できる雇用水準ではないかと私は考えています。
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2017年08月25日 (金) 19:56:00

プラスの続く消費者物価(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)をどう見るか?

本日、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数(SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は+0.5%、また、SPPIのヘッドライン上昇率も+0.6%と順調にプラスを継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価7月0.5%上昇 2年7カ月ぶり水準、ビール類寄与
総務省が25日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が100.1となり、前年同月比で0.5%上昇した。プラスは今年1月から7カ月連続で、電気代などエネルギーのほか、安売り規制が強化されたビール類が上昇に寄与した。
前年比の伸び率は消費増税の影響を除くと、14年12月以来、2年7カ月ぶりの水準。物価が上昇したのは282品目(53.9%)で、前月(279品目)を上回った。
全体の伸びをけん引した品目はエネルギーで、全体を0.42ポイント押し上げた。電気代が6.1%、ガソリンが6.3%がそれぞれ上がった。
生鮮食品を除く食料は0.9%上昇した。国税庁が6月から酒の安売り規制を強化。メーカーと小売業者に対して、行き過ぎた安売りをさせないようにしたことで、例えばビールは前年を7.9&上回るなど上昇材料になった。
エネルギーも除く総合指数は0.1%上昇にとどまった。5カ月ぶりの上昇だが、エネルギー以外の物価の伸びは鈍い。スマートフォンを含む携帯電話機は8.6%低下した。
総務省が同日発表した東京都区部の8月のCPI(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合指数で0.4%上昇した。エネルギーが引き続き全体を押し上げたほか、8月から70歳以上の高額療養費の自己負担額の上限が引き上げられた影響で、診療代が3.5%のプラスになった。
一方、携帯電話の通信料は5.4%低下した。前月の2.3%から下落幅が広がった。同省は「KDDIの新しい値下げプランの影響が出ている」と指摘。来月発表の8月の全国分も押し下げ要因になるもようだ。
生鮮野菜は2.3%低下した。8月は東京都心で40年ぶりに21日連続で雨が降るなど、関東や北日本で天候不順が続いているが、同省によると「長雨の影響はまだ出ていない」という。
7月の企業向けサービス価格、前年比0.6%上昇 49カ月連続前年上回る
日銀が25日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.9で、前年同月比で0.6%上昇した。前年比での上昇は49カ月連続。人手不足による労働者派遣サービスの価格上昇などが指数全体を押し上げた。
輸送関連の価格も上昇した。「貨物輸送ではドライバー不足による人件費上昇分を輸送価格に転嫁する動きが続いている」(調査統計局)。今年は夏休みシーズンの旅客需要が好調なこともあり航空旅客輸送では割引運賃の設定が減少しているという。訪日外国人の利用増もあり宿泊サービスの価格も上昇基調が続いている。
一方で前年同月比での指数の上昇幅は6月(0.7%上昇)から縮小した。自動車やオンラインゲーム関連の広告需要の落ち込みでテレビ広告の価格が下落したことが響いた。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、価格が前年比で上昇したのは80品目、下落は33品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は47品目と6月の確報値(45品目)と比べて拡大した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計を2つも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。

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上のグラフについては、加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、現状での物価上昇は財関係ではエネルギーが、そして、サービスでは人手不足が物価上昇を牽引しているように見えます。ただし、私の計算によれば、サービスの寄与度は先月6月統計からマイナスに転じており、7月統計で全国CPI上昇率+0.5%を牽引しているのは、私の計算による寄与度ベースで、エネルギー+0.42%、生鮮食品を除く食料+0.20%であり、上のグラフからも明らかな通り、コア財とサービスの寄与度はマイナスです。もっとも、財についてはビールの安売り規制が、また、サービスについては携帯電話料金の低下の影響もあり、やや官の行動に民が追随している印象もあり、必ずしも、人手不足の緩和や需給ギャップなどの市場要因ではなく、やや攪乱要因ではないか、と私は受け止めています。本来の需給要因としては、買い替えサイクルに従って、そろそろ、耐久消費財の価格の下落も終息に向かい、年内いっぱいはコアCPI上昇率は+1%近くを目指して上昇幅を拡大する可能性が高い、と私は予想しています。しかし、来年に入った後については、そのまま日銀の物価目標である+2%に向かって上昇幅を拡大するかどうかは不透明で、為替や国際商品市況の石油価格などの動向を見る限り、再びCPI上昇幅が縮小する可能性も決して小さくないと受け止めています。賃金動向も気がかりですが、日銀金融政策の正念場かもしれません。

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続いて、SPPI上昇率のグラフは上の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。SPPI上昇率については、コアCPI上昇率が徐々に上昇幅を拡大しているのに対して、逆に、2-5月で4か月連続して+0.8%の上昇を示した後、6月+0.7%、7月+0.6%と上昇幅を縮小させています。引用した記事にもある通り、テレビ広告をはじめとする広告の前年同月比上昇率が6月▲0.4%に続いて、7月も▲2.9%と下落している影響が大きいんですが、逆に、人手不足の中で労働者派遣サービスは6月+1.4%に続いて、7月も+1.8%と着実なプラスを記録しており、底堅い動きを示しています。貨物輸送をはじめとする運輸・郵便なども堅調です。

日銀の物価目標+2%が順調に進んでいると考えているエコノミストは少数派ではないかと思うんですが、私は現実に合わせて物価目標を引き下げることについては疑問を持っています。すなわち、為替相場がいくぶんなりとも購買力平価に基づいて決定される部分があるなら、諸外国のインフレ率より日本の方が低ければ円高に振れるおそれが高いからです。少なくとも物価と為替については国際標準を目指して金融政策を割り当てるべきであろうと考えています。
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2017年08月24日 (木) 22:41:00

マクロミル・ホノテによる世界15都市のSNSランキングやいかに?

一昨日8月23日にマクロミル・ホノテから世界15都市別SNS利用状況調査の結果が明らかにされています。下の画像の通りです。

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Facebook と YouTube の利用率は調査対象となった15都市のうちで上海を除く14都市でトップ3にランクインしており、特に、Facebook は、台北・東南アジア各都市で9割を超え、北米・欧州でも7~8割に上っています。また、LINE はバンコク、台北、東京の順に浸透を見せており、ジャカルタでも6割が利用しています。
私自身は世界標準の Facebook に登録していて、高校と大学時代の友人をごく少数だけ友人登録しているんですが、我が家の倅どもの世代などはいろいろとやっているんでしょうね。
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2017年08月23日 (水) 20:03:00

リクルートジョブズ調査によるアルバイト・パートと派遣スタッフ平均時給やいかに?

本日、厚生労働省から毎月勤労統計の6月確報が公表され、賃金が速報から確報に向けてずいぶんと上方修正されています。すなわち、季節調整していない原系列の実質賃金は前年同月に比べて▲0.1%減少と、速報段階から+0.7%ポイント上方修正され、ややびっくりしたエコノミストも多かったように私は受け止めています。ということで、来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の7月の調査結を見ておきたいと思います。

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上のグラフを見ればかなり明らかなんですが、アルバイト・パートについてはまだ前年同月比でプラスであり伸びは続いていますが、伸び率としてはそろそろピークアウトとも見える一方で、派遣スタッフの方はまだ前年同月比でマイナスが続いています。同じ業界の「エン派遣 三大都市圏の募集時平均時給レポート」でも派遣時給は7月まで10か月連続で前年同月比マイナスを続けています。この派遣スタッフの時給低下は、どうも、医療・介護系の求人に起因しているようです。つまり、医療・介護系はもともと他の職種に比べ派遣時給の水準が低いようなんですが、同時に、慢性的な人材不足と業務の分業化を背景に求人数は大幅に増加しており、加えて、「時短OK」や「週3日から勤務可」など、短時間で給与水準の低いパートタイム案件が増加していることから、この影響で集計上はマイナスとなっている、とエン・ジャパンのリポートでは分析しています。
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2017年08月14日 (月) 23:14:00

4-6月期GDP統計1次QEは内需主導で年率+4%の高い成長率を示す!

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+1.0%、年率では+4.0%を記録しました。潜在成長率を大きく超えて、消費などの内需が牽引する高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4~6月期GDP、年率4.0%増 個人消費など内需がけん引
内閣府が14日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比1.0%増、年率換算では4.0%増だった。プラスは6四半期連続。個人消費や設備投資など内需がけん引し、公共投資も大幅に伸びた。景気の原動力だった輸出はマイナスに転じたが補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.6%増で、年率では2.4%増だった。生活実感に近い名目GDP成長率は前期比1.1%増、年率では4.6%増だった。名目は2四半期ぶりにプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が1.3%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.3%分のマイナスだった。項目別にみると、個人消費が0.9%増と、6四半期連続でプラスだった。
輸出は0.5%減と4四半期ぶりに減少した。輸入は1.4%増だった。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は2.4%増と、8四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は1.5%増。公共投資は16年度第2次補正予算に盛り込んだ経済対策が寄与し、5.1%増だった。民間在庫の寄与度は0.0%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.4%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.4%のプラスだった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/4-62016/7-92016/10-122017/1-32017/4-6
国内総生産GDP+0.3+0.3+0.4+0.4+1.0
民間消費+0.1+0.4+0.1+0.4+0.9
民間住宅+3.2+2.8+0.3+0.9+1.5
民間設備+0.7+0.0+2.2+0.9+2.4
民間在庫 *(+0.3)(▲0.4)(▲0.2)(▲0.1)(+0.0)
公的需要▲1.2+0.0▲0.5+0.1+1.3
内需寄与度 *(+0.3)(▲0.1)(+0.1)(+0.2)(+1.3)
外需寄与度 *(+0.1)(+0.4)(+0.3)(+0.1)(▲0.3)
輸出▲0.9+2.1+3.1+1.9▲0.5
輸入▲1.2▲0.2+1.4+1.3+1.4
国内総所得 (GDI)+0.4+0.1+0.2▲0.0+1.1
国民総所得 (GNI)+0.1+0.0+0.1+0.2+1.1
名目GDP+0.0+0.1+0.5▲0.0+1.1
雇用者報酬 (実質)▲0.0+0.8▲0.3+0.3+0.7
GDPデフレータ+0.4▲0.1▲0.1▲0.8▲0.4
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.0+0.4


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に直近の4~6月期は伸びが高く、黒い外需(純輸出)がマイナスであるものの、主要場内需項目である水色の設備投資と赤い消費がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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持続可能性をどこまで考慮するかにもよりますが、エコノミストの目から見て、満点に近い結果だった気がします。6四半期連続のプラス成長もさることながら、今年2017年に入って、内需と外需の寄与度が逆転し、内需寄与度の方が大きくなりましたが、それでも、1~3月期ではまだ外需寄与度が+0.1%に対して、内需寄与度+0.2%だったのに対して、4~6月期には内需+1.3%、外需▲0.3%ですから、圧倒的に内需主導型の成長と考えるべきです。需要項目別に少し詳しく見ると、消費についてはエコカー減税や家電エコポイント制度などに加えて、消費増税前の駆け込みによる需要先食いの悪影響が緩和しつつあり、自律的な耐久消費財の買い替えサイクルと相まって、特に自動車が好調だった印象です。設備投資については世界経済の回復・拡大に支えられた輸出の増加と企業業績の改善が設備投資を後押しし、さらに、最近の人手不足も省力化や合理化投資の追い風となっています。在庫については寄与度ベースで、7~9月期▲0.4%、10~12月期▲0.2%、今年2017年1~3月期▲0.1%と3四半期連続でマイナスをつけた後、4~6月期には+0.0%ですから、ほぼ在庫調整は終了し、先行きは需要動向次第で意図的な在庫の積み増しに入る可能性もあります。ただし、消費については天候要因も無視できず、梅雨が明けてからの梅雨空の天候のように、決してサステイナブルとはいえません。設備投資についても企業サイドのマインドがどこまで維持されるかは未確定であり、そして、何よりも、年率+4%という潜在成長率をはるかに超えた高成長は持続性ないと考えるべきです。従って、そのうちに消費や設備投資の調整局面が入り踊り場を迎える可能性も否定できません。ただ、昨年年央までの外需依存の成長と違って、内需が成長を主導していますので、それなりの継続性が期待できます。為替ショックなどにも強いかもしれません。

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内需主導型成長のバックグラウンドには堅調な雇用があります。毎月勤労統計などを見ている限り、なかなか賃金が伸びないと懸念していたんですが、SNAベースの雇用者報酬はやや伸びを高めていることが確認されました。上のグラフの通りです。やや停滞を示していた雇用者報酬も4~6月期には大きく伸びを高めています。天候や野菜などの価格動向を背景に、消費者のマインドは徐々に上向いていますが、短期的には消費はマインドで支えられる面があるものの、より長い目で見て所得のサポートが必要なのはいうまでもありません。賃金が統計に表れる部分ではそれほど上昇していないにもかかわらず、雇用者報酬がそこそこの伸びを示しているのは、やはり、雇用者数の伸びが大きいからです。マクロの雇用者報酬の伸びは、雇用者数の伸びと雇用者1人当たり賃金の伸びの掛け算で決まります。人手不足の下で、女性や高齢者などの就業率が高まればマクロの所得も伸びを高めます。堅調なマインドと相まって消費を支えるひとつの大きな要因です。

最後に、私は内閣支持率と景気はかなりの程度に連動すると考えているエコノミストの1人なんですが、この4~6月期は近年になくとても景気がよかったにもかかわらず、内閣支持率が急落したり、東京都議選で与党が大きく議席を減らしたりと、景気と内閣支持率が逆方向に動いた気がします。
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2017年08月10日 (木) 23:27:00

3か月連続マイナスを記録した機械受注と上昇幅の拡大した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から6月の機械受注が、また、日銀から7月の企業物価 (PPI)が公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲1.9%減の7900億円だった一方で、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計から上昇幅を拡大して+2.6%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の機械受注1.9%減、電子部品向けなど鈍化
内閣府が10日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ1.9%減の7900億円だった。受注額は2016年5月以来、1年1カ月ぶりの小ささ。情報通信機械を中心に製造業が振るわなかった。前月割れは3カ月連続で、QUICKがまとめた市場予想(4.3%増)を大きく下回った。内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業が5.4%減と5カ月ぶりの大幅減となった。スマートフォン向けを含む電子部品用機械などの受注が鈍化し、情報通信機械が26.8%減となった。ただ自動車関連は12.7%増と、5月の7.4%減から持ち直している。内閣府は製造業の動向について「弱いとはいえないが目立った大型案件がなく、目先は実質的に横ばいとなりそうだ」(内閣府経済社会総合研究所)とみていた。
非製造業は0.8%増と4カ月ぶりに増加に転じた。通信業が28.8%増、運輸・郵便業が14.1%となったことが寄与した。いずれも前月に20%台の大幅なマイナスとなった反動増の面が大きい。非製造業は受注額でみると4508億円と、約2年ぶりの小ささとなった前月(4473億円)とほぼ同水準にとどまっている。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の受注額は前期比4.7%減と1~3月期に続きマイナスだった。環境規制にからんだ駆け込み需要が剥落し建設機械が振るわず、非製造業の前月割れが続いたことが響いた。内閣府は7~9月期は非製造業が持ち直すとして7.0%の伸びを見込んでいる。
7月の企業物価指数、2.6%上昇 7カ月連続で前年上回る7月の企業物価指数、2.6%上昇 7カ月連続で前年上回る
日銀が10日に発表した7月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.8で、前年同月比で2.6%上昇した。7カ月連続で前年を上回り、消費増税の影響を除くと2013年11月(2.6%上昇)以来3年8カ月ぶりの伸びだった。電力料金の上昇に加え、銅市況の改善で銅地金などの価格も上がった。中国の通販市場拡大に伴い、段ボールに使う古紙の価格も上昇が目立ったという。前月比では0.3%上昇した。
円ベースの輸出物価は前年比で7.7%上昇し、14年1月(8.1%上昇)以来3年6カ月ぶりの伸びとなった。一方で前月比では1.3%上昇だった。輸入物価は前年比で11.9%上昇したが、前月比では横ばいだった。前月比での円高・ドル安の進行などが響いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは356品目、下落したのは277品目だった。上昇と下落の品目差は79品目と、6月の確報値(66品目)から増加した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計2本の記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、次の景気ウォッチャーとも共通して、景気後退期を示しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の前月比伸び率は+4.5%と予想されていたんですが、実際には▲1.9%のマイナスで、しかも3か月連続の前月比マイナスですし、引用した記事にもある通り、季節調整済みの前期比で見ても、1~3月期の▲1.4%減に続いて、4~6月期も▲4.7%減と、2四半期連続の前期比マイナスを記録しています。ただし、3月時点での見通しでは、4~6月期も▲5.9%減が見込まれていましたから、それは上回って推移しています。加えて、先行き四半期である7~9月期の受注見通しについては、コア機械受注ベースで前期比+7.0%増の2兆6,011億円を見込んでいます。先行き7~9月期には製造業がマイナスと予想される一方で、非製造業はプラスと見込まれています。ということで、設備投資の先行指標であるコア機械受注は横ばい、というか、一進一退が続いているんですが、それほど悪い数字ではないものの、何とも先行きは見通しがたくなっています。標準的なシナリオでは、昨年末あたりからの製造業における稼働率の上昇や人手不足などに加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、緩やかながら設備投資は増加の方向を示すんではないか、と多くのエコノミストは考えています。私もそうです。今でもそうです。ただし、足元の企業マインドなどを考え合わせると、維持・更新投資は当然増加するとしても、国内での能力増強投資につては海外投資との見合いで慎重姿勢を示す企業も少なくないことから、どこまで設備投資がマクロでして伸びるかは必ずしも明らかではありません。1点だけ私から強調しておきたいのは、6月統計では引用した記事にもある通りに我が国のリーディング・インダストリーである自動車関連で持ち直しの動きがみられる点です。ただ、設備投資の先行きについては、そろそろ、緩やかな増加から横ばいの範囲に下方修正するエコノミストもいそうな気はします。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、最初のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、真ん中の2番目は需要段階別の上昇率、そして、最後の3番目は原油価格の指数そのものを、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2枚のパネルの影をつけた部分は、機械受注と同じく、景気後退期を示しています。ということで、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で見て、7月は+2.6%の上昇と前月からさらに上昇幅を拡大しています。ただ、上昇幅拡大の主因は電気やガスなどのエネルギー関連の価格上昇であり、原油価格がラグを伴って波及しているだけという気もします。上のグラフの中の一番下のパネルでは原油価格の指数をそのままプロットしていますが、前年同月比上昇率のベースでは、今年2017年1~3月期の各月に+90%超の大幅な上昇を記録した後、すでに上昇率ではピークアウトし、直近7月統計では+6.0%まで落ち着きを取り戻しています。国際商品市況で決まる価格ですので先行きは見通しがたいんですが、大幅な価格上昇の時期は過ぎた気もします。ですから、PPI上昇率の先行きについては、このまま上昇幅がさらに拡大することは考えにくいと私は受け止めています。
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2017年08月09日 (水) 19:33:00

来週月曜日に公表予定の4-6月期GDP速報1次QEの予想やいかに?

先週月曜日の7月月末までに必要な統計がほぼ明らかになり、来週月曜日の8月14日に4~6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定です。すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニュースレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降の先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルでは上から6機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研、伊藤忠経済研となっています。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.6%
(+2.2%)
7~9月期を展望すると、国内需要は、企業の良好な収益環境や人手不足を背景とした雇用所得環境の改善を下支えに、持ち直しの動きが続くとみられるほか、輸出も、世界的な設備投資意欲の改善などを背景に、再び増加基調に復帰する見込み。4~6月期の成長率を押し上げた公共投資や在庫投資のプラス寄与は縮小するものの、0%台後半とみられる潜在成長率を上回る成長ペースが続く見込み。
大和総研+0.7%
(+2.8%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、Fedの利上げや共産党大会後の中国経済の減速懸念など、外需の下振れリスクには警戒が必要である。
先行きの個人消費は、一進一退ながら堅調な推移が続くと見込む。労働需給がタイトな状況の中、非製造業を中心とした労働需要の高まりから雇用者数が増加基調であることに加えて、賃上げ率は4年連続で2%を上回っている。これらがマクロの賃金(=一人当たり賃金×雇用者数)を押し上げると考えられ、個人消費のけん引材料となるだろう。一方、良好な消費者マインドの改善が一服することで消費性向の上昇が停滞することとなれば、個人消費は徐々に減速していく可能性がある。
みずほ総研+0.6%
(+2.5%)
7~9月期以降の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。4~6月期の輸出はITセクターの減速などから減少したものの、7~9月期になると輸出は再び回復軌道に復するとみている。データセンターや車載向けの需要の堅調さに加えて、秋に控えるiPhone8の発売がIT関連輸出の押し上げ要因となるだろう。設備投資については、非製造業が各業種の個別要因から減速する可能性がある。もっとも、全体としては、五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることから、設備投資は堅調さを維持するだろう。
個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くと見られる。天候要因による振れを伴いつつも、個人消費は緩やかな回復傾向が続くとみられる。
ニッセイ基礎研+0.9%
(+3.6%)
日本経済は2016年1-3月期以降、ゼロ%台後半とされる潜在成長率を上回る成長を続けているが、2017年4-6月期はその中でも最も高い伸びとなった模様だ。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年入り後は民間消費、設備投資が明確に増加し、内需主導の自律的回復局面に移行しつつある。
7-9月期は4-6月期の高成長の反動もあり成長率は鈍化する公算が大きいが、4-6月期と同様に民間消費、設備投資などの国内民間需要中心の成長が続くことが予想される。ただし、名目賃金の伸び悩みが続いているため、今後物価上昇ペースが加速した場合には、実質所得の低下を通じて消費が下振れるリスクが高まるだろう。
第一生命経済研+0.8%
(+3.2%)
先行きも、景気は好調な推移が続く可能性が高い。米国を中心として海外経済が回復傾向を続けるとみられるなか、輸出は再び増加基調に戻る可能性が高いことに加え、設備投資も、企業収益の増加や高水準の企業マインドを受けて増加傾向が続くだろう。個人消費については4-6月期は出来過ぎの感が否めず、強気にはなれないが、少なくとも足を引っ張ることはなさそうだ。今後も着実な景気回復を見込んで良いだろう。
伊藤忠経済研+0.2%
(+0.9%)
今後の景気を展望すると、7~9月期には公共投資の落ち込みは避けられないものの、海外景気の拡大を背景に輸出が増勢を取り戻すほか、賃金上昇を受けて個人消費は持ち直しの動きを維持、設備投資も企業が比較的強気の今年度計画を実行に移し再び増加に転じるなど、国内民間需要が増勢を強めるとみられる。そのため、今後も潜在成長率を上回る景気拡大は十分に期待できそうであり、それが実現すれば年度末に向けて消費者物価上昇率は徐々に高まろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.6%
(+2.5%)
17年4-6月期は、国内需要が成長率を大きく押し上げた模様である。雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費が引き続き堅調に推移したとみられるほか(前期比0.3%増)、設備投資の増加基調も一段と強まった可能性が高い(同2.0%増)。総額28兆円超の大型経済対策の執行本格化を受けて、公共投資も急速に拡大したとみられる(前期比4.1%増)。半面、輸出については、アジア向けの低迷を反映して、前期比0.1%増に鈍化したとみられるほか、住宅投資についても、相続対策とみられる貸家建設の需要一巡などから、同0.3%減が見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.2%)
8月14日に内閣府から公表される2017年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.2%)と6四半期連続でプラスとなったと見込まれ、景気が持ち直していることを確認する結果となろう。
個人消費は、雇用・所得情勢の改善などを背景に堅調に推移したと見込まれる。設備投資も、企業の新規投資に慎重な姿勢は続いているが、人手不足への対応もあって緩やかな増加傾向が維持されていると考えられる。また、公共投資は2016年度の補正予算の執行の影響によって高めの伸びとなった可能性がある。一方、外需については、輸出が前期比でマイナスとなった一方で、輸入の増加が続いており、寄与度は4四半期ぶりにマイナスに転じたと予想される。
三菱総研+0.5%
(+1.8%)
2017年4-6月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.5%(年率+1.8%)と6四半期連続のプラス成長を予測する。輸出の増勢は一服も、消費や設備投資など内需を中心とする成長持続を予想する。
消費は、良好な所得環境や消費者マインドの改善を背景に、自動車をはじめ耐久消費財に持ち直しの動きがみられるほか、気温が平年より高めに推移したことなどから電気代も増加しており、同+0.3%と6四半期連続の増加を予測する。設備投資は、設備稼働率の上昇や人手不足による自動化・省力化ニーズの強まりなどを背景に、同+0.6%と3四半期連続の増加を見込む。民間在庫は、需要回復を背景に前向きな在庫積み増し局面に入っているとみられ、同+0.2%pのプラス寄与を予想する。公的固定資本形成は、2016年度の大型経済対策(第2次補正予算)の本格執行化などから同+7.5%と高い伸びを見込む。


ということで、ある程度のばらつきはあるものの、かなり多くの機関で高成長を見込んでいるように私は受け止めています。+2%台後半から+3%を超える成長率を予測する向きもあります。もっとも、伊藤忠経済研のように年率+1%弱のほぼ潜在成長率に近いラインを予想する向きもあります。おおむね、潜在成長率を上回る成長を達成したのではないか、というのが少なくともエコノミストの間の緩やかなコンセンサスであり、私のような楽観派のエコノミストはかなりの高成長を実現したと感じています。加えて、米国の通商政策をはじめとする海外の政策要因も含めて、消費動向などのリスクがないわけではないものの、先行きについても海外経済の順調な回復・拡大による輸出の伸びなど、年内ないし年度内いっぱいは日本経済も順調な回復・拡大を続けるとの見方が多いようです。ただし、消費については少し見方が分かれており、すなわち、耐久消費財の最近時点での伸びを基に、サイクル的にも順調な回復を予測する楽観派のエコノミストと、4~6月期の消費の堅調さは天候というサステイナブルでない要因に支えられたものであり、このまま賃上げが進まないと物価上昇から実質所得の低下を招いて消費の伸びが鈍化する可能性がある、と見る慎重派のエコノミストです。私はいろんな局面では大雑把に楽観派に属する場合が多いんですが、この歴雪の消費動向に関してだけは慎重な見方をすべきと考えています。
最後に、下のグラフはいつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。上のテーブルで取り上げた中ではもっとも高い成長率予想を弾き出していますが、先行きの消費については慎重な見方も併せて示しています。

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2017年08月08日 (火) 19:31:00

やや低下を示した景気ウォッチャーと金融危機前の水準に復した経常収支!

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調史絵済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.3ポイント低下して49.7を、先行き判断DIも▲0.2ポイント低下して50.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+9346億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気、現状判断指数4カ月ぶり悪化 企業動向が鈍化
内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前の月に比べ0.3ポイント低下し49.7となった。悪化は4カ月ぶり。企業動向の鈍化と、人手不足への懸念を背景とする雇用の悪化が響いた。
部門別にみると、企業動向は1.4ポイント低下の51.1だった。節目の50は超えているものの、受注や販売の鈍化が指摘された。雇用は0.4ポイント低下の56.8だった。人手不足が労働力などの供給制約になるとする捉え方が広がったもようだ。家計動向は48.1と横ばいだが、6月から7月にかけての豪雨災害を受け、九州の百貨店などでは客足が鈍化したとの指摘が目立った。
街角では企業動向について「ここ3カ月の受注量が極端に減ってきている」(近畿の出版・印刷・同関連産業)との指摘や、鋼材値上げに関連し「仕事量が思うようには増えず、(鋼材価格の)販売価格への転嫁は5割程度である」(東海地方)との声があった。雇用動向については「派遣求人は多数あるものの、求職者が減少しており、目標の人数に届いていない」(北関東の人材派遣会社)との見方があった。
23カ月後を~占う先行き判断指数は、前の月から0.2ポイント低下の50.3と4カ月ぶりに悪化した。家計動向が0.4ポイント低下し49.2となったほか、企業動向が1.2ポイント低下の50.9となった。半面、雇用は3.2ポイント改善し56.2となった。
内閣府は現状の基調判断を「持ち直しが続いている」に3カ月連続で据え置いた。先行きについては「人手不足に対する懸念もある一方、引き続き設備投資等への期待がみられる」とした。
1~6月経常黒字、10兆5101億円 リーマン前水準に
財務省が8日発表した1~6月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は10兆5101億円の黒字(前年同期は10兆4802億円の黒字)だった。上半期(1~6月)としては2年連続で10兆円の大台を上回り、リーマン・ショック前の07年(12兆6993億円の黒字)以来10年ぶりの高水準だった。
貿易収支は2兆531億円の黒字となり、前年同期(2兆3244億円の黒字)に比べて黒字額が縮小した。原粗油などの輸入が増加し、輸入全体で11.8%増加した。半導体製造装置や自動車部品の好調を映し、輸出も全体で10.1%増加したが、輸入の影響が上回った。
サービス収支は2974億円の赤字と前年同期(2489億円の赤字)に比べて赤字幅が拡大した。知的財産権使用料の支払いが増え、「その他サービス収支」の赤字額が拡大したことが響いた。一方、旅行収支は7903億円の黒字と訪日外国人の増加を背景に1~6月期としての過去最高の黒字額を記録した。
第1次所得収支は9兆7622億円の黒字と前年同期(9兆5527億円の黒字)に比べて黒字額が拡大した。海外子会社から受け取る配当金などが増えた。
併せて発表した6月の経常収支は9346億円の黒字だった。経常黒字は36カ月連続だが、黒字額は前年同月(9765億円の黒字)に比べて減少した。石炭や液化天然ガス(LNG)の輸入増加で、貿易収支の黒字額が前年同月に比べて2441億円縮小したことが響いた。
サービス収支は499億円の赤字と比較可能な1985年以降で最小の赤字額だった。旅行収支の黒字が追い風となった。第1次所得収支は5072億円の黒字と前年同月(4127億円の黒字)に比べて黒字額が拡大した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、経常収支の記事は1~6月の年上半期計数に重点を置き過ぎているきらいがあり、また、統計2つの記事を並べましたので少し長くなってしまいました。次に、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIとも、わずかに低下を示しましたが、ほぼ前月から横ばいと私は受け止めています。先週水曜日8月2日に取り上げた消費者態度指数が需要サイドの消費者マインドを示していて、7月の指数は前月からわずかに上昇を示したのに対し、今日発表の景気ウォッチャーは需要サイドのマインドの代表であり、前月からわずかに低下を見せています。需要サイドと供給サイドで方向性は逆なんですが、ほぼ前月から横ばいという点では違いはありません。景気ウォッチャーをもう少し細かく、3つのコンポーネントである家計関連、企業関連、雇用関連、特に前2者の企業関連と雇用関連について詳しく見ると、現状判断DIについては家計関連が前月から横ばいであるのに対して、企業関連では前月からマイナスとなっており、また、先行き判断DIについては、家計関連・企業関連ともに前月差でマイナスですが、マイナス幅は企業関連の方が大きくなっています。この差について考えると、引用した記事にもある通り、人手不足の影響が上げられるかもしれません。すなわち、現状では人手不足の要因から量的に雇用者が増加したり、失業率が低下しつつも、賃上げはまだ緩やかな段階であり、家計にとってはマイナスではないかもしれませんが、大きなメリットも感じられない一方で、企業サイドではかなりの程度にデメリットを感じ始めている可能性が高いと私は考えています。人手不足に応じた賃上げがなされれば、家計にはプラスであることはいうまでもなく、人手不足に対応した賃上げが可能な企業にとっても売り上げ増のチャンスなんですが、他方で、賃上げを出来ない企業には大きな痛手となります。場合によっては、市場から退出することにもつながりかねません。もちろん、低賃金の未熟練労働に頼ったデフレ型企業が退出し、高賃金が可能な脱デフレ型企業が生き残るのは望ましい、という見方もあり得ますが、同時に、何らかの経済社会的な摩擦を生じる可能性も秘めています。人手不足を通じて、デフレに適応してしまった企業行動から、脱デフレへの対応を進める企業活動が求められていると考えるべきです。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事のタイトル通り、国際商品市況における石油価格の動向による振れはあるものの、我が国の経常収支はほぼほぼ2009年のリーマン・ショック前の水準に戻っています。ただ、経常黒字の構成はかなり違いがあり、2009年リーマンマン・ショック前は、極めて大雑把に、貿易黒字も第1次所得収支=投資収益収支もともに1兆円前後でしたが、最近時点では、第1次所得収支が1.5兆円を超える月もめずらしくない一方で、貿易黒字は大きく縮小しています。もっとも、輸出は世界経済の順調な回復・拡大に従って緩やかながら増加を続けており、この先も、経常収支や貿易収支がかつてのように赤字に突入する可能性は低いんではないかと私は受け止めています。
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2017年08月07日 (月) 19:29:00

先行指数・一致指数とも上昇を示した景気動向指数の先行きやいかに?

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+1.6ポイント昇の106.3を、CI一致指数も+1.4ポイント上昇の117.2を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、117.2に上昇自動車関連指数が持ち直し
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント高い117.2と2カ月ぶりに上昇した。4月改定値の117.1を上回り、2014年3月以来の高さとなった。5月の大型連休に絡む生産調整でいったん落ち込んでいた自動車関連の指標が持ち直した。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は、最上位の「改善を示している」を9カ月連続で据え置いた。
6月は鉱工業用生産財出荷指数がけん引役となった。前月比3.2ポイント上昇し、全体での寄与度が最も大きかった。鉄鋼関連で、自動車向けエンジンや車体部品用の鋼材が伸びた。スマートフォン向け部品用も増えた。最終製品となる自動車の出荷も持ち直し、耐久消費財出荷指数も伸びた。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.6ポイント上昇の106.3だった。上昇は2カ月連続。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日並びよく休みが取りやすかった5月のゴールデンウィークのライン停止後に6月の生産、特に、自動車の生産が大きく上向いたことから、CI一致指数もプラスを示しました。ただ、それだけではなく、2014年の消費増税からやや鈍化していた消費も含めて、景気が全般的に上向いていることも確かです。例えば、一致指数でプラス寄与の系列は、寄与の大きい順に、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)などとなっており、CI先行指数では、鉱工業用生産財在庫率指数、新規求人数(除学卒)、中小企業売上げ見通しDI、最終需要財在庫率指数などとなっています。消費、投資、在庫調整、雇用などの指標が、かなり幅広く一致指数や先行指数の上昇に寄与しているのがうかがわれます。
ついでながら、ちょうど1週間後の来週月曜日の8月14日に4~6月期のGDP速報、いわゆる1次QEが公表される予定となっており、そろそろ各シンクタンクなどの公表リポートを取りまとめに入っているんですが、かなりの高成長の予測が少なくありません。消費については天候要因もありますが、世界経済の回復・拡大に支えられていた輸出よりも、むしろ国内需要が伸びているとの予想が中心です。これだけ景気がいいのに内閣支持率を下げたのはやや不思議、というか、別の要因なんでしょうが、0%台後半といわれる潜在成長率水準を考慮すれば、現状はかなり景気がよくて、景気拡大局面もこのまま今しばらく続きそうな予感です。

なお、8月14日公表予定の4~6月期GDP統計1次QE予想は日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年08月05日 (土) 08:19:00

7月の米国雇用統計は金融の正常化をサポートするか?

日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は6月の+231千人には及ばないものの、+180千人程度との市場の事前コンセンサスを上回り、+209千人増となり、失業率もさらに前月から0.1%ポイント下がって4.3%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の3パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. unemployment rate drops to 4.3% as employers add 209,000 jobs in July
U.S. job growth remained steady in July, though workers are still largely seeing slower wage gains, according to data released Friday by the U.S. Labor Department.
Some of the highlights of July's jobs report:
  • U.S. employers added 209,000 net new jobs, slightly above analysts' expectations.
  • The unemployment rate ticked down slightly to 4.3% from June's 4.4% and matched May's 16-year-low.
  • Average hourly earnings increased by 9 cents, or less than 1%, to $26.36 in July.


この後、エコノミストへのインタビューなどが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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相変わらず、米国の雇用は堅調です。6月7月の2か月連続で雇用者数の前月差増加幅は+200千人を超え、とくに、直近7月は非農業部門計の+209千人増のうち、+205千人が民間部門です。産業別では、Leisure and hospitality が前月から+62千人増を記録し、Professional and business services が+49千人増、Health care and social assistance も+45千人増となっており、トランプ米国大統領が重視している製造業 Manufacturing も+16千人増となっています。米国連邦準備制度理事会の連邦公開市場委員会(FOMC)カレンダーによれば、次回のFOMCは9月19-20日に開催される予定となっており、量的緩和(QE)で大量に買い入れた米国債の圧縮などに踏み切る可能性が高まってきている気がします。市場の観測では、まず、資産圧縮を優先し、次回の利上げは少しお休み、という見方が有力となっています。それが、金融政策の正常化、なのかもしれません。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象ながら、もう一段の加速が見られません。ただ、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなりましたが、日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったのかもしれません。
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2017年08月04日 (金) 19:41:00

毎月勤労統計に見るなかなか上がらない賃金をどう考えるか?

本日、厚生労働省から5月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.1%減を、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.4%増を、それぞれ記録しています。ただし、消費者物価が上昇を示していますので、現金給与総額を消費者物価でデフレートした実質賃金は前年同月から▲0.8%の大きなマイナスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の名目賃金0.4%減 1年1カ月ぶりマイナス
厚生労働省が4日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、名目賃金にあたる現金給与総額は42万9686円と前年同月比0.4%減となった。減少に転じるのは1年1カ月ぶり。夏のボーナスが減ったことが要因だ。
名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増の24万2582円と3カ月連続で増加。一方、ボーナスや通勤費にあたる「特別に支払われた給与」は1.5%減の16万8103円だった。
背景には夏のボーナスが幅広い産業で前年より減少したことがある。産業別では「鉱業、採石業等」(17.7%減)、「飲食サービス業等」(14.7%減)、「不動産・物品賃貸業」(12.3%減)が目立った。
物価変動の影響を除く実質賃金は0.8%減少した。減少は3カ月ぶり。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が0.5%上昇したことで、実質賃金を押し下げた。
厚労省は「基本給は上昇傾向が続いており、給与総額の減少は一時的ではないか」との見方を示した。


今週の報道については、いつもの包括的なニュースではなくて、ほぼほぼお給料に終始している印象です。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、グラフを上から順に、製造業の所定外労働時間は、なぜか、季節調整済みの前月比でマイナスを記録しています。今週月曜日に取り上げた鉱工業生産指数(IIP)がかなりのプラスでしたので、とても意外です。労働は生産の派生需要ですから、基本的には同じ方向に動くハズなんですが、私にはよく判りません。次に、2番目と3番目のパネルの賃金ですが、引用した報道では6月賃金がボーナスの影響で落ち込んだ点が強調されていましたが、少なくとも、消費に影響を及ぼす度合いの強い恒常所得と見なされている部分については、名目でプラスを続けています。ただし、デフレからの脱却はしていないものの、消費者物価がそれなりの上昇を示していますので、実質賃金はまだマイナスです。それから、6月の賃金総額が前年同月比でマイナスなのは、何といってもボーナスなんですが、夏季ボーナスについては額とともに、支払時期も注視すべきです。すなわち、年末ボーナスの支給が12月期決まりきっているのに対して、夏季ボーナスは6月支給と7月支給の両パターンあります。夏季ボーナスの総額ないし1人当たりとして前年よりも減少したのか、それとも、6月支給が減って7月支給に繰り延べられたのか、については気にかかるところですので、来月の統計もその点を忘れずチェックしたいと思います。最後に、4番目のグラフで、雇用の増加はパートタイムから徐々にフルタイムの一般労働者にシフトしているのが見て取れると思います。従って、賃金の上昇がはかばかしくなくても、パートタイムではなくフルタイムの正規雇用が増加することにより、マクロの賃金支給総額が増加する効果は望めるんではないかと私は期待しています。
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2017年08月02日 (水) 19:32:00

一進一退の続く消費者態度指数をどう見るか?

本日、内閣府から7月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.5ポイント上昇し43.8を記録しています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直し」で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の消費者態度指数、前月比0.5ポイント上昇の43.8 基調判断据え置き
内閣府が2日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.5ポイント上昇の43.8だった。上昇は2カ月ぶり。株価上昇で資産効果が働き、消費者の暮らしへの見方が好転した。ビールが値上がりする一方で野菜価格が安定し、物価の見方が落ち着いたことも支えとなった。前月は0.3ポイント低下の43.3だった。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
指数を構成する意識指標では、「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月を上回った。「雇用環境」は横ばいだった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より3.4ポイント低い75.8%と2カ月ぶりに減少した。一方で「低下する」との見通しは微増。「変わらない」は4カ月ぶりに増えた。調査基準日は7月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5748世帯(回答率68.4%)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、暮らし向き、耐久消費財の買い時判断、収入の増え方が上昇した一方で、雇用環境は前月と変わらず横ばいでした。上のグラフを見ても、2014年4月の消費増税の際に直近の底を打ってから、大雑把に改善傾向にあると考えていますが、まだ、サブプライム・バブル崩壊前の2005-06年における40代後半の指数の水準には達していません。7月統計の指数水準で見て、完全雇用に近い労働市場を反映して、雇用環境は48.1に達しているものの、収入の増え方が41.7、また、暮らし向きが42.3にとどまっています。雇用の改善で量的には雇用が増加し、家族の中でも働くメンバーが増加しているのかもしれませんが、お給料はさほどではなく暮らし向きも雇用の改善ほどにはよくなっていない、という実感なのでしょう。私は根本の雇用に関するマインドがいいので、収入や暮らし向きにも雇用の改善が当然に波及するものと単純に予想していましたが、まだ、ラグの範囲内なのか、あるいは、私の想定する単純な波及経路から構造変化が生じているのか、やや謎です。いずれにせよ、所得に先立ってマインドが向上を見せて来ましたが、ソフトなマインドだけでなく、そろそろハードの所得の上昇も消費の拡大には必要な段階に達しつつあるような気がします。

別の話題ですが、本日、国立社会保障・人口問題研究所から2015年度の「社会保障費用統計」が公表されています。相変わらず、高齢者にだけ優しい社会保障給付の実態が明らかにされています。可能であれば、日を改めて取り上げたい気もしますが、今週は米国雇用統計も公表される予定ですし、パスするかもしれません。
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2017年08月01日 (火) 19:32:00

東京商工リサーチによる2017年3月期決算「上場企業2,172社の平均年間給与」調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、ちょうど1週間前の先週7月25日に東京商工リサーチから2017年3月期決算「上場企業2,172社の平均年間給与」調査の結果が明らかにされています。消費を支える所得の2016年度までの一隻について興味あるデータが提供されています。過去の数字ながら、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから、上場企業2,172社平均年間給与の推移のグラフを引用しています。2017年3月期決算の上場企業2,172社の平均年間給与は6,281千円、中央値6,100千円で、前年より41千円+0.6%の増加となっています。2011年3月期以来7年連続の増加で7年間で491千円の上昇を示しています。ただ、直近の伸び率は2016年3月期の+1.2%増を▲0.6%ポイント下回り、2013年3月期の+0.2%増以来の+1%割れとなっています

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次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから、業種別の平均年間給与のテーブルを引用しています。業種別のトップは、建設業の7,118千円となっており、このテーブルの分類による全業種で唯一7,000千円越えとなっています。活発な建設投資を背景に、好決算が続出した上場ゼネコンが引き上げた、との分析です。次いで、水産・農林・鉱業の6,946千円、金融・保険業の6,940千円、不動産業の6,902千円、電気・ガス業の6,901千円の順となっています。逆に、最低は7年連続で小売業の5,153千円となっており、次いで、サービス業の5,390千円と、これら下位2業種だけは5,000千円台でした。ただし、小売業とサービス業では7年連続の増加を示しており、深刻化する人手不足に対応した待遇改善に動いている姿が透けて見える、と分析しています。

東証1部2部に加えて、地方上場、NASDAQにマザーズと上場企業対象の調査ですので、大企業に偏っていることは明らかですから、世間一般の感触よりも高めのお給料が弾き出されているように感じますが、人手不足に対応して消費を支える所得も徐々に増加を示しているようです。
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2017年07月31日 (月) 22:57:00

6月統計の鉱工業生産指数(IIP)は順調な回復を確認!

本日、経済産業省から6月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で前月比+1.6%の増産となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の鉱工業生産、1.6%上昇 自動車けん引
経済産業省が31日発表した6月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は101.7となり、前月から1.6%上がった。2カ月ぶりに前月を上回った。大型連休で生産を減らした自動車など輸送機械工業が6月に入って生産水準を戻し、全体のけん引役となった。基調判断は「生産は持ち直しの動き」として据え置いた。
全15業種のうち12業種で前月比プラスだった。輸送機械工業は前月比で4.2%上がった。前年同月と比べても4.5%伸びた。昨年4月に発生した熊本地震のほか、三菱自動車の燃費不正問題の影響による軽自動車の生産の落ち込みが回復したとみられる。
化学工業は前月比3.4%のプラスだった。フェノールなど化学物質や乳液など化粧品の生産が増加した。経産省は「7月に生産設備の定期修理を控えて、在庫を積み増すために生産を増やしている」とみている。
一方、ICや太陽電池など電子部品・デバイス工業は2.6%下がった。2カ月連続の低下となった。メモリー用のICが減産となった。ただスマートフォン向けなど中小型の液晶素子は10.9%上昇し好調を維持した。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、7月が0.8%、8月が3.6%それぞれ上昇となった。7月は半導体など電子部品・デバイス工業のほか、夏の気温上昇で販売が伸びるエアコンなど電子機械工業も増産を見込む。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「今年前半に限らず、今年後半から来年前半も世界経済の持ち直し基調が続き、日本の生産も拡大を続ける」と指摘し、生産の復調傾向が長期に及ぶと予測する。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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季節調整済みの前月比で+1.6%の増産ですから、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサス+1.7%にほぼほぼジャストミートしたと私は受け止めています。季節調整しているとはいえ、5月のゴールデンウィークで減産し、6月はそこから増産に転じる、という判りやすいパターンのような気もしますが、単にカレンダー要因だけでなく、世界経済の回復・拡大に伴う輸出の増加や我が国国内需要の拡大にも支えられていることは忘れるべきではありません。生産と出荷がともに増加した一方で、在庫は低下し、好ましい形での増産ですし、特に、我が国のリーディング・インダストリーともいうべき自動車産業がけん引している形ですから、この先、徐々に力強さを増すものと期待してよさそうです。6月統計ですので財別の四半期ベースで見ると、輸送機械を除く資本財出荷は今年2017年1-3月期は前期比▲2.4%減でしたが、4-6月期は+4.8%増に回復を示していますし、耐久消費財も1-3月期▲2.8%減から、4-6月期は+4.6%と持ち直しています。先行きについても、製造工業生産予測調査で見て、前回調査結果は7月▲0.1%の減産となっていましたが、今回調査は7月も+0.8%増と上向いています。ただ、製造工業生産予測調査は結果的に下振れるクセがあり、経済産業省では7月は▲0.3%減と試算を示しています。でも、8月は同じ製造工業生産予測調査ながら、+3.6%の大幅増を予測しています。引き続き、生産は先行きも堅調に推移しそうです。

世界経済の今後の動向については、基本的に、順調に回復・拡大を続けるものと期待していますが、米国の連邦準備制度理事会(FED)の金融引き締め、すなわち、利上げと資産圧縮の影響、もちろん、」為替への影響も含めて、及び、今年秋に予想される中国共産党大会の後の経済政策運営に私はリスクを感じています。中国の場合は党大会までは問題ないと思えるものの、党大会後の経済動向には注意が必要かもしれません。
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2017年07月28日 (金) 23:39:00

本日公表の商業販売統計と雇用統計と消費者物価(CPI)から景気の現状を探る!

今日は、閣議日としては当月最終で、いくつか政府統計の経済指標が公表されています。すなわち、経済産業省から商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.1%増の11兆5660億円、季節調整済みの系列で前月比+0.2%を記録した一方で、失業率は2.8%と前月から▲0.3%ポイント低下し、有効求人倍率は前月からさらに上昇して1.51倍、また、正社員の有効求人倍率も1倍に達しています。また、生鮮食品を除くコアCPI上昇率は+0.4%と前月と同じ上昇幅となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の小売販売額、2.1%増 自動車や夏物衣料が好調
経済産業省が28日発表した6月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.1%増の11兆5660億円だった。8カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では自動車小売業の寄与度が最も高く、前年同月との比較では8.5%増加した。新型車の投入効果が続き、軽自動車を含めて好調を維持した。織物・衣服・身の回り品小売業も5.1%増だった。前年同月と比べて気温が低めに推移したが、専門店では夏物衣料が販売を伸ばした。医薬品・化粧品小売業は5.5%増だった。ドラッグストアの新規出店効果に加え、雨が少なく日照時間が長かったことから紫外線(UV)対策関連の商品などが伸びた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.1%増の1兆5694億円だった。既存店ベースでは0.2%増となった。百貨店は訪日外国人や富裕層向けの販売が好調だったほか、夏のセールを前倒しで実施したことが寄与し0.2%増と20カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、スーパーは主力の飲食料品が伸びたものの衣料品が振るわず横ばいとなった。
コンビニエンスストアの販売額は2.9%増の9731億円だった。前年にチケット販売が好調だった反動もあり、サービス売上高は9カ月ぶりに減少に転じた。
正社員の求人倍率 初の1倍超え 6月1.01倍
厚生労働省が28日発表した6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.01倍だった。1倍を超えて求人が求職を上回るのは2004年の調査開始以来初めて。企業の人手不足感が一段と鮮明になった。主婦や高齢者の非正規雇用が中心だった雇用改善が賃金水準の高い正社員に広がり、賃金上昇圧力が高まる可能性もある。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。パートタイムを含む全体の有効求人倍率(同)は1.51倍で前月比0.02ポイント上昇した。バブル期で最も高かった1990年7月の1.46倍を上回った。
正社員の新規求人数は前年同月より8.7%増えた。パートタイム労働者ら非正規社員も含めた求人数の伸び(6.3%増)よりも大きかった。幅広い業種で人手不足がおこり、各企業は長期で人を雇おうと正社員の求人を増やしている。
業種別にみると、17.5%増えた宿泊・飲食サービス業や、16.3%増えた製造業の伸びが目立った。運輸・郵便業や教育・学習支援業も1割以上増えており、正社員の確保を急ぐ動きは広がりもみられる。一方、娯楽業は0.8%減り、卸売・小売業も0.2%増にとどまった。
同日発表の6月の完全失業率(季節調整値)は2.8%。15歳以上の働く意思のある人のうち失業している人の割合を示す。職種や年齢、勤務地などの条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%台前半とされ、現在働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にある。
消費者物価0.4%上昇 6月、エネルギー上昇で
総務省が28日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が100.2となり、前年同月比0.4%上昇した。上昇は6カ月連続だが、低水準で伸び悩みが続く。上昇はエネルギー価格が上がったことが主因で、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は100.7と、3カ月連続の横ばいだった。
エネルギー価格の上昇が、総合指数の0.4%の上昇幅の大部分を占めた。光熱費の電気代で上昇幅が拡大し、都市ガス代もプラスに転じた。ビールなど酒類も、6月から安売りを規制する改正酒税法が施行した影響で上昇した。イカやサケなど生鮮魚介も上昇に寄与した。価格高騰が落ち着いた野菜や、値下げが続く携帯電話機は上昇幅を抑える要因となった。
先行指標となる東京都区部の7月のCPIは生鮮食品を除く総合指数で0.2%上昇した。家庭用耐久財がエアコンの新商品の発売効果で上昇したほか、外国パック旅行費の上昇も影響した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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6月の小売業販売額について、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると、小売業全体では+2.1%増と前月と同じ伸び率で引き続き持ち直しの動きが続いています。もう少し業種別に詳しく見ると、機械器具小売業が▲2.1%の減少を示したものの、自動車小売業が+8.5%増、医薬品・化粧品小売業が+5.5%増、織物・衣服・身の回り品小売業が+5.1%増、燃料小売業が+4.4%増など、特に自動車の増加が大きくなっており、昨年2016年8月から1年近く前値同月比プラスが続いており、しかも、今年に入ってからは+5%増以上の伸びを示すこともめずらしくありません。基本的には、2014年4月の消費増税前後の駆け込み需要増とその後の反動減の影響がようやく一巡したと私は考えていますが、自動車メーカーによる新車投入効果も考えられます。余りに最近時点なので統計には反映されていない可能性が高いんですが、欧州において英仏政府やボルボ社などから、ガソリン車やディーゼル車などの販売終了がアナウンスされ、この先、ハイブリッド車への乗り換えなどが我が国でも増加する可能性があります。燃料の販売増は国際商品市況における石油価格上昇の影響ですが、今年2017年3月の+15.0%増、4月の+11.8%増に比べてピークアウトしたように受け止めています。衣類が好調なのは基本的には天候要因であり、気温が順調に上昇しているのと、一部に豪雨災害があった一方で、今年の梅雨が多くの地方で空梅雨気味であるのが影響していると考えられます。また、6月統計では前年同月比でマイナスをつけましたが、電機についても消費増税の影響は抜けつつあると私は考えています。消費については、通常、このブログでは経済産業省の商業販売統計しか見ていませんが、総務省統計局の家計調査でも、6月統計では前年同月比で見た実質伸び率が+2.3%増と、昨年2016年2月のうるう年効果を別にすれば、何と1年10か月ぶりにプラスを記録しています。消費統計はいずれも回復を示していると私は受け止めています。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済期のレベルに近いところまで人手不足を示す水準にあります。特に、有効求人倍率については、バブル経済期を飛び越えて、第1次石油危機直後の1974年までさかのぼらねば経験できない水準まで上昇を示しており、しかも、引用した記事にもある通り、正社員の有効求人倍率が1倍を超えて1.01倍を記録しましたので、新聞・テレビなどのメディアなどでははやし立てていますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。なお、私の手元にあるデータでは、有効求人倍率の過去最高値は1973年11月の1.93となっていて、さすがに、この水準に到達するにはもっと時間がかかりそうです。昨夜のリクルートジョブズのデータとの関係で、グラフは示しませんが、非農業部門8業種のやや粗い産業別雇用者数を調べてみると、医療・福祉では今年2017年1月こそ前年同月から21万人の増加を示していますが、2月▲19万人減、3月▲14万人減、4月+16万人増の後、5月▲5万人減、6月▲2万人減と推移しています。政府による規制の強い分野ですので、単純に需要減から賃金減というわけでもなく、ひょっとしたら、政府規制による賃金伸び悩みから雇用者減が生じている可能性もありますし、それほど単純な構図ではないような気がしますが、昨年2016年10月くらいまでほぼコンスタントに前年から毎月20-30万人の雇用者があっただけに、高齢化の進展が止まったとはとても考えられない一方で、昨年10-12月期以降くらいから医療・福祉分野の雇用者の動向に何か変化が現れた可能性を感じ取ることができます。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、現状での物価上昇は財関係ではエネルギーが、そして、サービスでは人手不足が物価上昇を牽引しているように見えます。コアCPIの前年同月比上昇率は、今年に入ってから4か月連続でプラスを記録し、小幅ながらジワジワと上昇幅を拡大しています。一方で、全国の先行指標となる東京都区部のコアCPI上昇率が6月の前年同月比保合いから、上のグラフのグレーの折れ線で示したように、7月は+0.2%とプラスを示し始めたものの、他方で、引用した記事にもある通り、全国コアCPI上昇率のほとんどがエネルギーの寄与となっています。私の計算でも、全国コアCPI上昇率+0.4%のうち、+0.37%がエネルギー価格の寄与となっています。国際商品市況における石油価格がほぼピークアウトした現状では、先行き、コアCPI上昇幅は縮小する可能性が高いんではないか、私は危惧しています。いずれにせよ、継続的に物価上昇がマイナス、というか、物価が下落するデフレからは脱却したような気もする一方で、コアCPI上昇率で+2%という日銀の物価目標にはまだまだ遠い気がします。

本日公表の消費統計や来週月曜日公表予定の鉱工業生産指数(IIP)を基に、8月14日公表予定の4-6月期GDP統計1次QEの予想が、そろそろシンクタンクなどから来週あたりに公表されるんではないかと私は考えています。そのうちに取りまとめたいと思います。
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2017年07月27日 (木) 22:57:00

リクルートジョブズの調査結果に見る派遣スタッフ時給はまだ反転しないか?

明日金曜日7月28日に失業率や有効求人倍率などの雇用統計が公表される予定となっていますが、何度か取り上げているリクルートジョブズの非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の6月の調査結果が明らかにされています。リンク先は以下の通りです。



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ということで、アルバイト・パート及び派遣スタッフそれぞれの募集時平均時給の推移は上のグラフの通りです。前者のアルバイト・パート順調に賃上げがなされているんですが、派遣スタッフについては、2016年9月に前年同月比でマイナスに転じてから、3月統計ではとうとう前年同月比で▲2%を超えるマイナスを記録した後、直近の6月統計でも▲0.4%減を記録しています。この間、ゼロないしわずかながらプラスの水面上に浮上した時もあったんですが、実は、同じ業界の「エン派遣 三大都市圏の募集時平均時給レポート」でも6月の派遣スタッフ時給は昨年2016年10月から、何と、9か月連続でマイナスを記録していたりします。派遣スタッフの時給については、マイナス幅は一時より縮小して来ていますが、まだ、プラスに転じるに至っていません。
リクルートジョブズとエン・ジャパンの両社でビミョーに職種の分類が異なるので何ともいえないんですが、エン・ジャパンのデータでは2015年年央くらいから2年近く医療・介護系の派遣スタッフ時給がマイナスを続けており、リクルートジョブズでも医療介護・教育系は必ずしも上昇圧力が感じられません。他方、オフィスワークや営業・販売系はここ2-3年でプラスを維持しています。また、地域別では、両者に共通して、東海はプラス圏を維持している一方で、首都圏と関西圏はマイナスに振れています。

アルバイト・パートが堅調にプラスを続けている一方で、派遣スタッフだけがマイナスに落ち込んでいるのもやや不思議な気がします。
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2017年07月26日 (水) 19:41:00

企業向けサービス物価(SPPI)は6月統計でも引き続き堅調にプラス圏内で推移!

本日、日銀から6月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPI上昇率は+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.7%と、前月からほとんど変化なく、引き続き、+1%を少し下回るプラス圏内で推移しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 はがきの値上げで
日銀が26日に発表した6月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.8%上昇した。前年比での上昇は48カ月連続。上昇率は5カ月連続で横ばいで、前月比では0.1%下落した。はがきの値上げを受けて運輸・郵便価格が上昇し、指数全体を押し上げた。
はがきは日本郵便が6月1日に郵便料金を52円から62円に10円値上げした影響が出た。値上げの背景には人手不足による人件費の上昇や郵便物の減少がある。
一方で、宿泊サービス価格は上昇幅を縮小した。インバウンド(訪日外国人)需要は好調だが、全国的なホテルの建設ラッシュや近畿地方での民泊利用の増加といった供給要因が価格を押し下げた。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは81品目、下落は30品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は51品目で、5月の確報値(48品目)から3品目拡大した。
日銀によると「人手不足による人件費の上昇を価格に転嫁する動きが今後も出てくるかを注視したい」(調査統計局)という。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフからは判りにくいかもしれませんが、ヘッドラインのSPPIの前年同月比上昇率は今年2017年2月から直近統計の6月まで、ほぼ半年近くに渡って+0.8%を続けています。日銀の物価目標が生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)で+2%ですから、これに比較してかなり上昇率が足りないような印象を受けるんですが、エコノミストの間ではそうは考えられていません。SPPI上昇率の+0.8%というのはかなり高い、というのが私を含めた多くのエコノミストの受け止めではないかと思います。すなわち、原辞の2010年基準のSPPIが利用可能なのはバブル経済直前の1985年からなのですが、消費税率が引き上げられた1997年度や2014年度を例外とすれば、ヘッドラインのSPPI上昇率が+0.8%を超えていたのはバブル経済崩壊直後の1993年3月までさかのぼらねばなりません。ですから、ここ数か月のヘッドラインSPPI上昇率はほぼ四半世紀振りの高さであるといっても過言ではありません。この+1%を少し下回るSPPI上昇率に対して、企業物価(PPI)のヘッドラインである国内物価は現状では約+2%なわけで、CPI換算ではまだ時間がかかるとはいえ、日銀物価目標に着実に近づいているというのが、私の感想です。先行きについては、サービス物価ですから、国際商品市況における石油価格よりもひょっとしたら為替の影響の方が大きいかもしれませんが、国内の人手不足を背景に、引き続き堅調に推移すると私は見込んでいます。先の7月の「展望リポート」で物価目標達成が先送りされましたが、少なくとも方向としては、物価を目標とした現在の日銀金融政策は間違っているわけではない、と考えるべきです。
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2017年07月25日 (火) 19:38:00

日経BP社「第18回環境ブランド調査」の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、7月13日付けで日経BP社から「第18回環境ブランド調査」の結果が明らかにされています。主要560企業ブランドにつき、全国の消費者2万300人から環境ブランド指数を構成する4つの指標「環境情報接触度」、「環境コミュニケーション」、「環境イメージ」、「環境評価」の結果を得て指数化しています。昨年トップのトヨタ自動車から、今年はサントリーは首位を奪回しています。なお、サントリーは2011~15年まで5年連続でトップでした。100位までのランキングは以下の通りです。

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私の直観的な理解ながら、上位には食料や飲料、自動車、総合小売り業などが入っているようです。消費者を対象にしたアンケート調査結果ですから、当然ながら、BtoBの企業はいていません。高炉を持っているような製鉄会社、エチレン・プラントを主力とするような化学会社などです。そういったところこそ環境に対する負荷、特にCO2排出などが大きそうな気がするんですが、いかがなものでしょうか。それとも、環境ブランドとしては下位に沈んでいるんでしょうか?
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2017年07月24日 (月) 23:13:00

IMF「世界経済見通し改定」やいかに?

本日、クアラルンプール時間の午前11時に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update, July 2017 が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は今年2017年が+3.5%、来年2018年が+3.6%とともに4月時点から据え置かれています。

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まず、IMFのサイトから世界経済の成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。4月の「世界経済見通し」World Economic Outlook から大きな変更はありませんが、米国の成長率は2017年+2.3%から+2.1%に、2018年+2.5%から+2.1%に、それぞれ下方修正されています。どうしてかというと、財政政策が先に想定していたほど拡張的ではない "fiscal policy will be less expansionary than previously assumed" ということだそうです。他方、国別の数字は上げませんが、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの多くのユーロ圏諸国の成長率は2017年の成長予測が上方修正されています。2017年1-3月期の成長率が予想以上に良好で、想定よりも強い国内需要のモメンタムが示されていると指摘されています。私のややひねくれた見方を示せば、フランス大統領選挙でのEU支持派の勝利という政治的な動向も影響しているんではないか、という気がしています。そして、我が日本については、2017年の成長見通しがやはり+0.1%ポイント上方修正されて+1.3%と見込まれており、来年2018年は4月時点の見通しから変わらず+0.6%で据え置かれています。なお、2018年の成長率見通しが2017年から大きく縮小するのは、2017年の成長率が過去にさかのぼった統計の見直し "a comprehensive revision of the national accounts" によるものであると、4月の「世界経済見通し」に明記されている通りです。ですから、ゼロ・パーセント台半ばが我が国の成長率の実力というか、潜在成長率であると考えるべきです。中国などの新興国についても4月時点から大きな変更はありません。
最後に、先行きリスクについては、短期的なリスクは概ね均衡状態にある一方で、中期的には依然として下振れリスクに傾いている "Short-term risks are broadly balanced, but medium-term risks are still skewed to the downside." と指摘しています。また、私の解釈としては、主として米国の金融引き締めの影響についてだろうと思うんですが、世界的な金融引き締めが予期していたよりも急速に行われたり、先進国・地域が保護主義へとシフトしたりした場合は、新興国市場からの資本流出が再び加速することになる "a shift toward protectionism in advanced economies could reignite capital outflow pressures from emerging market" リスクも指摘しています。
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2017年07月21日 (金) 22:56:00

NTTデータ経営研究所「AI/ロボットによる"業務代替"に対する意識調査」の結果やいかに?

昨日、7月20日にNTTデータ経営研究所から「AI/ロボットによる"業務代替"に対する意識調査」の結果が明らかにされています。2045年ともされるシンギュラリティに向かって、とても興味あるテーマです。オックスフォード大学や野村総研でもいくつか研究成果が明らかにされていて、このブログでも取り上げたことを記憶しています。まず、NTTデータ経営研究所のサイトから【調査結果 概要】を6点引用すると以下の通りです。

【調査結果 概要】
  • 「仕事はまるごと消えない。テクノロジー代替は3割程度で、7割の仕事が"手元に残る"」、「将来的に自分の仕事を代替するのは、テクノロジーよりもむしろ"自分以外の人間"」と考える傾向
  • 「コミュニケーションや創意工夫が必要な仕事は、引き続き人間が行うだろう」、一方で、「手順とルールが決められた業務は自動化されるだろう」と考える傾向
  • テクノロジーによる業務代替。過半数が"ポジティブ"
  • 「業務へのシステム、AI、ロボット等による人間の仕事の代替について、どのように感じますか」
    →「非常に楽しみであり効果に期待している」「期待をもっている」などのポジティブな回答が59%
  • AI・ロボット化に対して具体的な準備を行っているのは9%
  • さらにその中から、「環境変化に強い、上位7.7%の人物像」が判明。このグループは異動や転職等の環境変化にも適応する傾向、また、所属する職場での貢献実感が高く自己肯定感が強い


もう少しコンパクトに取りまとめて欲しい気もしますが、まあ、判りやすくはあります。上に引用した通り、結果はかなり楽観的で、ポジティブなようです。ということで、とても興味深いテーマですから、グラフをいくつか引用しつつ論点を絞って簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 図表2-2. 自業務の、テクノロジー代替余地に関する認識 を引用すると上の通りです。最初に引用した【調査結果 概要】にもあった通り、「仕事はまるごと消えない。テクノロジー代替は3割程度で、7割の仕事が"手元に残る"」ということなんだろうと思います。このブログの2016年1月7日付けで取り上げたところですが、野村総研がオックスフォード大学グループの手法により日本で試算したところ、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能、との結果を得ていますので、この50%近い数字に比較すれば、ポジティブというか、根拠なく楽観的な気もします。また、図表の引用はしませんが、もう少し具体的な業務内容に関してテクノロジーでの代替可能性を考えると、第1に、手順とルールが決められた業務は自動化されるだろう、第2に、人とのコミュニケーションが発生する業務は、引き続き人が行うだろう、第3に、創造的な仕事も、引き続き人が行うだろう、といった調査結果が示されています。

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次に、リポートから AI/ロボット等の自動化テクノロジーに関する感情 に関して、いくつかの図表をまとめて引用すると上の通りです。全体の結果として、ポジティブな「期待派」とネガティブな「抵抗派」の円グラフとともに、棒グラフで性別・年収別・年齢別の期待派と抵抗派の内訳を示しています。全体では期待派の方が多いところ、性別では男性が期待派が多いにもかかわらず、女性では抵抗派の方が多くなっています。年収別では高所得の方が期待派が多い一方で、低所得では抵抗派が目立ちます。ただし、年齢別には大きな差は見られません。なお、グラフは引用していませんが、正社員では期待派が多い一方で、派遣社員・契約社員では抵抗派の方が多くなっていたりします。
最後に、グラフは引用しませんが、この調査結果でもっとも楽観的と考えられるのは、AI/ロボット等のテクノロジーによる自動化により、削減された労働時間をいかに有効に活用するかについての回答で、「プライベートを充実させる」や「早く帰宅する」という趣旨の回答を答えた人は全体の74.2%に上ります。さらに、AI/ロボット等のテクノロジーによる自動化に対する対策については、9%のみが対応している一方で、91%は対策は取っていません。まあ、そうなんでしょうね。

本日、内閣府から「財政経済白書」が公表されています。かつては、このブログでもがんばって当日中に取り上げたこともあるんですが、最近時点では取り逃している場合が多くなっています。新聞やテレビなどの大手メディアでも注目している人気の白書ですから、このブログでは今年も遠慮しておきたいと思います。
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2017年07月20日 (木) 23:53:00

2か月振りに黒字を記録した貿易統計における輸出の先行きやいかに?

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.9%増の5兆8514億円、輸入額は+17.8%増の6兆547億円、差引き貿易収支は▲2034億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の貿易収支、2カ月ぶり黒字 4399億円 1~6月は3期連続黒字
財務省が20日発表した6月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4399億円の黒字だった。貿易黒字となるのは2カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は4880億円の黒字だった。半導体製造装置や自動車などの輸出が好調に推移したが、石炭などをはじめとした輸入額の伸びが上回り前年同月の黒字幅(6864億円)は下回った。
輸出額は前年同月比9.7%増の6兆6075億円と7カ月連続で増加した。6月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=110.91円と前年同月に比べ円安だったことに加え、数量ベースでも堅調に推移した。
韓国向けのIC製造装置が好調だったほか、米国向けの自動車や台湾向けの鉄鋼板製品の伸びなども目立った。地域別では対米国が7.1%増、対欧州連合(EU)が9.6%増、対アジアが13.6%増といずれも増加した。
輸入額は15.5%増の6兆1676億円となった。資源価格が前年同月から上昇しているのに伴い、石炭や液化天然ガス(LNG)、原粗油の輸入額が増加した。石炭は主要な輸入先であるオーストラリアをサイクロンが襲った影響などで価格が高くなっているうえ、数量ベースでも19.8%増加した。
併せて発表した2017年1~6月の貿易収支は1兆444億円の黒字だった。半期ベースで3期連続の黒字となったが、資源関連の輸入額の増加によって前年同期と比べ黒字幅は4割縮小した。輸出額は前年同期比9.5%増の37兆7872億円、輸入額は12.2%増の36兆7428億円となった。輸出について、財務省は昨年発生した熊本地震からの反動増も「少なからず出ているのではないか」とみている。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、貿易収支については、季節調整していない原系列の統計では、4月黒字、5月赤字、6月黒字となった一方で、季節調整済みの系列では4~6月の3か月とも黒字ながらも、一貫して黒字幅は縮小を続けました。ひとつには国際商品市況における石油などの資源価格の動向に起因する輸入額の増加が要因なんですが、少なくとも、我が国の輸入価格指数に見る原油価格については、昨年2016年1~3月期にほぼ底を打って上昇に転じた後、今年2017年1~3月期に上昇局面を終えて、その後は小幅な動きになっています。大雑把に直近時点で高止まりしているカンジですが、ここ2~3か月はそれなりに安定して推移していると評価できます。それにしても、輸入物価が上昇しているんですから、我が国から見て交易条件が悪化しているわけです。また、引用した記事にもある通り、昨年4月の熊本地震からの反動による輸入増も一定のボリュームがあったようです。先月と同じように、鉱物性燃料の6月の輸入額について前年同月比を計算すると+31.1%であり、5月の+40%超よりやや伸び率は鈍化したものの、このブログでも私が何度か主張した通り、輸入については「要るモノは要る」というのが私の考えであり、特に、そのモノが鉱物性燃料であれば輸入せざるを得ないわけですから、我が国のマクロ経済には何ら問題なはいと考えています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。中国や欧州をはじめとする海外経済の順調な回復・拡大に応じて、我が国の輸出数量も拡大を示しています。上のグラフのうちの一番上のパネルを見ても、最近数か月では輸出額の伸びのうち、青い価格の寄与よりも赤い数量の寄与の方が大きくなっているのが見て取れます。下の2つのパネルからも、先進国や中国のOECD先行指数の上昇に伴った我が国からの輸出の拡大が示されています。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2017年度+1.5~+1.8
<+1.8>
+0.5~+1.3
<+1.1>
 4月時点の見通し+1.4~+1.6
<+1.6>
+0.6~+1.6
<+1.4>
 2018年度+1.1~+1.5
<+1.4>
+0.8~+1.6
<+1.5>
 4月時点の見通し+1.1~+1.3
<+1.3>
+0.8~+1.9
<+1.7>
 2019年度+0.7~+0.8
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.3>
+0.9~+2.0
<+1.8>
 4月時点の見通し+0.6~+0.7
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.4>
+0.9~+2.0
<+1.9>


最後に、貿易統計を離れて、上のテーブルは日銀金融政策決定会合で示された「展望リポート」から政策委員の大勢見通しを引用しています。日銀のインフレ目標である「2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い」(p.4)と、目標達成時期は後送りされました。
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2017年07月19日 (水) 19:39:00

野村総研による国内100都市を対象とした成長可能性ランキングやいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、7月5日に野村総研がランキングによる都市の持つ「成長可能性」の可視化というタイトルでNRIメディアフォーラムを開催したタイミングで、国内100都市を対象に成長可能性をランキングした結果を明らかにしています。野村総研が提唱する産業創発力の観点から現状と将来のポテンシャルを分析した「成長可能性都市ランキング」が明らかにされています。当日の配布資料もpdfでアップされていて、詳細な情報の入手が可能となっています。今夜のところは、地図でプロットされたトップテンのランキングの画像だけ引用しておきます。

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上の画像は、総合ランキングでみた成長可能性の高い上位都市を地図に落としています。要するに、現状でのランキングといえます。見れば明らかな通り、東京都区部がトップ、2位が福岡市、3位が京都市となっています。東京都区部は文句なしでしょうが、福岡市は空港・港湾・新幹線へのアクセスや多様性に対する許容度などが評価されています。京都市は文化財やアートとのふれあい、国際的な開放度、都市内の公共交通機関の充実などがアドバンテージとして上げられています。まあ、そうなんでしょうが、よく調べれば、そういった都市はもっとありそうな気もします。名古屋市がトップテンに入っていないのも、少し違和感があります。

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次に、上の画像は、ポテンシャルランキングでみた成長可能性の高い上位都市のトップテンです。ここで、東京都区部や大阪市などが軒並み抜けるのに対して、福岡市がトップに躍り出ます。そして、地図を見れば明らかな通り、ポテンシャルでは西高東低の分布となっています。というか、トップテンについては九州に多く集中しており、沖縄も含めれば九州・沖縄でトップテンのうち6都市を占めています。しかしながら、トップの福岡市については、例えば、ビジネス環境が整っているにもかかわらず独自の産業が少ない点を上げて、伸びしろが大きいと判断されたようで、少し疑問に感じないでもありません。まあ、私なんぞが思いつきもしない観点がたくさんあるんだろうという気はします。

最後に、評価視点別ランキングとして、4点目に人材の多様性・充実という観点があるんですが、トップが東京都区部で2位が京都市と、大学ランキングみたいなんですが、九州というか、関西から西の地方は、この項目に弱点があります。ようやく5位に福岡市が入っているだけで、あとは首都圏に名古屋圏に関西圏となっています。地方の活性化のためには進学・教育や仕事の面で人を引きつける必要があると考えられ、こういった弱点を克服しつつ地方再生が進むんだろうと思います。
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2017年07月18日 (火) 19:52:00

東京商工リサーチによる「女性役員比率」調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週7月10日付けで東京商工リサーチから2017年3月期決算の上場企業2,430社「女性役員比率」調査の結果が明らかにされています。2017年3月期決算の上場企業2,430社の役員総数は2万8,465人に上るうち、女性役員は957人で全体のわずか3.3%にとどまっています。グラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の円グラフは2017年3月期決算の上場企業2,430社すべての女性役員比率です。繰り返しになりますが、上場企業2,430社の女性役員比率は3.3%で極めて低く、しかも、女性役員が1人もいない企業が1,682社(69.2%)と7割近くを占めます、このゼロを含めて、上のグラフに見られる通り、女性役員比率10%未満が2,088社(85.9%)に上っています。他方、わずかに1社ながら、50%以上の企業もあったりします。お化粧品製造のシーボンで、女性比率は60%だそうです。

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次に、やや粗めの業種別の女性役員比率のグラフは上の通りです。もう少し細かい業種で見る女性役員の構成比では、最高が保険業の12.4%で11社の役員総数169人のうち女性役員は21人でした。以下、石油・石炭製品は5.77%で役員総数104人のうち女性役員6人、医薬品は5.74%で役員総数523人、女性役員30人、空運業は5.3%で役員総数56人、女性役員3人、サービス業は5.2%で役員総数2,043人、女性役員108人と続いています。一方、最低は鉄鋼の1.5%で役員総数517人、女性役員8人だそうです。逆に、女性役員がゼロの企業の構成比は、最高がゴム製品で85.7%の12社、次いで、電気機器で82.0%の165社、建設業で81.7%の112社、金属製品で81.5%の53社、鉄鋼で81.4%の35社となっています。石油・石炭製品を別にすれば、極めて大雑把に、いわゆる重厚長大産業で女性役員比率が低く、女性の活躍の場の多い保険業などの非製造業で女性役員比率が高いのかもしれません。

政府見解の受け売りに近いんですが、一般的に、女性が企業の意思決定に関わることで多様な価値観が企業の経営に反映され、多様な価値観を受容する組織ではイノベーションが促進される場合が多いと考えられています。そういった観点から、また、働く女性の処遇からも、女性役員比率の上昇が望まれそうな気がします。
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2017年07月16日 (日) 18:26:00

エコノミスト誌によるビッグマック指数やいかに?

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英国エコノミスト誌の最新号において、世界各国の購買力平価を計測するひとつの指標であるビッグマック指数が明らかにされています。今年初めからの変化も含めて、上のグラフの通りです。
スライドが右にあるほど自国通貨が米ドルに比べて高く評価されていて、逆に、左にあるほど低く評価されているわけです。本文から引用すると、日本円については、"The latest version of the index shows, for example, that a Big Mac costs $5.30 in America, but just ¥380 ($3.36) in Japan. The Japanese yen is thus, by our meaty logic, 37% undervalued against the dollar." ということになります。
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2017年07月14日 (金) 22:38:00

NTTデータによる2017年上半期「ソーシャルヒット番付」やいかに?

昨夜に続いて、やや旧聞に属する話題かもしれませんが、イマツイが、2017年上半期のソーシャルヒット番付を発表、と題して、6月28日付けでNTTデータから2017年上半期「ソーシャルヒット番付」が明らかにされています。私もすべてをフォローしているわけではありませんが、取りあえず、以下の画像だけ引用しておきます。番付に登場するモノが何かについては、このブログの管理者ではなく、Googleにでも聞いてみることをオススメします。

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2017年07月13日 (木) 22:41:00

トランプ大統領は米国の評価を低下させているのか?

とても旧聞に属するトピックですが、私がよく参照している米国の世論調査機関ピュー・リサーチ・センターから6月26日付けで、U.S. Image Suffers as Publics Around World Question Trump's Leadership と題するリポートが明らかにされています。オバマ前大統領に比べて、現在のトランプ大統領の評価が低く、それがひいては米国の評価の低下にもつながりかねない、という論調を示しています。かなり多くの国を調査対象にしていて、もちろん、欧州や日本を含むアジアの主要国も入っていますので、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから引用しており、オバマ前大統領末期とトランプ現大統領初期の比較、米国大統領に対する信任と米国の見方についての結果です。大統領交代とともに米国大統領への信認はまったく逆転した感があります。米国そのものに対する好意的な見方が減少しているのも見て取れます。以下のグラフすべてに共通して、世界37か国からの回答結果です。

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次に、上のグラフもリポートから引用しており、オバマ前大統領とトランプ現大統領のそれぞれに対する信頼感の差を算出しています。スウェーデンから始まって、軒並みオバマ前大統領の方をトランプ現大統領よりも高く評価する国が並んでいるんですが、一番下の2国、すなわち、イスラエルとロシアだけはトランプ現大統領の方を高く評価しています。極めて大雑把には、成熟した民主主義体制下にある先進国の方がオバマ前大統領の方をより高く評価している傾向が読み取れます。我が日本は▲54ポイント差でオバマ前大統領の方を高く評価しており、平均的な水準よりもややトランプ現大統領に厳しい部類のような気がします。

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次に、上のグラフはリポートから引用しており、国別・地域別の米国への見方を示しています。"Views of the U.S. vary across regions" とのタイトル通りで、地域により、また、地域内でも国により、米国への好感度は大きく差があり何ともいえません。ただ、上のグラフは "Views of the U.S." と米国を対象としているのに対して、グラフの引用はしませんが、別に、"Views of Americans" の調査結果のグラフも同じページにあり、米国に対する好感度よりも米国民に対する好感度はかなり上回っている印象があります。また、これもグラフの引用はしませんが、米国の大衆文化、すなわち、音楽、映画、テレビに対する好感度はごく一部の例外を除いて、世界的にかなり高くなっているとの調査結果も示されています。国と国民と文化、特に大衆文化は少し違いがありそうです。

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最後に、上のグラフはリポートから引用しており、トランプ現大統領に対する地域別・国別の信頼感を示しています。ロシアを除く欧州とイスラエルを除く中東諸国と中南米ではトランプ大統領への信認はかなり低く、アジアでは国により大きな差があるものの、おおむね信頼感は高くない一方で、アフリカでも国により差は見られますが、唯一地域としてトランプ大統領に対する信認が50に達しています。我が国では72vs24で不信任が信任を上回っており、世界全体の74vs22とのトリプル・スコアとほぼ近い比率を示しています。世界的にトランプ大統領への信頼感が低くなっている現状が見て取れます。

米国のオバマ前政権に対する評価として、2008年の初当選の大統領選に続く2010年の中間選挙で、まるで当時の日本のような議会でのねじれ現象が生じて、優柔不断で決めきれない印象を持った人もいたかもしれませんが、他方で、トランプ政権になれば「前のオバマ政権はよかった」という意見がとてもたくさん出るだろう、と指摘するエコノミストも少なくありませんでした。まったく、その通りかもしれません。
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2017年07月12日 (水) 19:44:00

企業物価(PPI)上昇率は前年同月比+2%強でそろそろ頭打ちか?

style="color:#ff0000;font-size:2em;font-weight:bold;" href="http://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_2015/index.htm/" title="企業物価指数 (2015年基準)">企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計と同じ+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業物価指数、2.1%上昇 6カ月連続で前年上回る 伸び率は頭打ち
日銀が12日に発表した6月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。6カ月連続で前年を上回った。原油や天然ガスなどの国際商品価格の前年比での上昇を製品価格に転嫁する動きが続いた。ただ、伸び率は頭打ちで、前月比では横ばいだった。
燃料の天然ガスや原油の1~3月期の価格高を反映し、電力価格が値上がりした。北海道の秋サケの不漁が原因でいくらの価格も上がった。一方で、原油価格の足元での下落を背景に石油・石炭製品などの価格は下がり、上昇分を打ち消した。
円ベースの輸出物価は前年比で5.6%上昇し、前月比では0.8%下落した。輸入物価は前年比で11.9%上昇し、前月比では1.6%下落した。前月比での原油安や外国為替市場での円高の進行が影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは353品目、下落したのは300品目だった。上昇と下落の品目差は53品目と、5月の確報値(72品目)から減少した。
日銀の調査統計局は「サービス価格とは異なり、人手不足による人件費の上昇を財の価格に転嫁する動きは見られない」と分析している。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率は先月や先々月と同じ+2.1%ですから、引き続き堅調な推移と考えていますが、現在の+2%の国内物価上昇率はかなりの部分を国際商品市況における石油価格や資源価格の上昇の寄与によるものですから、例えば、上のグラフの下のパネルに見られる通り、石油を含む素原材料価格がすでにピークアウトした今後の物価の推移に注目すべきであり、金融政策よりも石油価格の動向に敏感な物価ですから、年度後半には物価上昇率がピークアウトする可能性も否定できません。ただ、先月や今月のPPI統計を見る限りは、4月の年度替わりの価格改定期の値上げがいくぶんなりとも浸透し、その流れを引き継いでいるように見受けられます。PPIの外数でSPPIなんですが、運輸サービスなどで順調に価格転嫁が進めば、PPIの上昇やひいては賃金上昇にもプラスなんではないかと私は考えています。輸入物価と素原材料価格はヘッドラインとなる国内物価の先行指標と考えられるんですが、上のグラフのうちの下のパネルの素原材料の上昇率はまだまだ高いものの、ピークアウトしつつある印象ですし、輸入物価上昇率もまだ2桁ながら5月+12.5%から6月は+11.9%へ伸びが鈍化しているのも事実です。消費者物価(CPI)への本格的な転嫁は少し先になりそうで、PPIとCPIには当然のラグがあり、PPI上昇率が鈍化すればCPIの伸びも停滞する、ということになる可能性が高いと考えるべきです。そして、そのCPIの伸びが鈍化する時期において、日銀の物価目標である+2%に達している可能性は低いんではないかと懸念しています。
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2017年07月11日 (火) 21:13:00

日銀「さくらリポート」に見る各地域の景気の現状やいかに?

昨日午後、四半期ごとの支店長会議に合わせて日銀から「さくらリポート」が公表されています。以下のテーブルの通りです。

 2017年4月判断前回との比較2017年7月判断
北海道緩やかに回復している回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復基調を続けている
北陸緩やかに拡大している緩やかに拡大している
関東甲信越緩やかな回復基調を続けている緩やかな拡大に転じつつある
東海緩やかに拡大している緩やかに拡大している
近畿緩やかに回復している緩やかな拡大基調にある
中国緩やかに回復している緩やかに拡大しつつある
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄緩やかに回復している地域や業種によってばらつきがみられるものの、緩やかに拡大している


上のテーブルを見れば明らかなんですが、北海道、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の5地域で総括判断を引き上げている一方で、残り4地域では総括判断に変更なしです。総括判断が上方修正された地域の背景については、生産が、海外向けの電子部品・デバイスや生産用機械を中心に増加していることや、個人消費が、耐久消費財や高額品の販売堅調などから上向いていること、などが上げられています。全体として、「海外経済の緩やかな成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費の底堅さが増しているなど、所得から支出への前向きな循環が強まっている」と結論しています。
なお、トピック分析では、前回の4月リポートから、やや遅れて別冊で公表されるスタイルになり、6月にさくらレポート別冊として「各地域における女性の活躍推進に向けた企業等の取り組み」と題するリポートが明らかにされています。今回はどうなるのでしょうか?
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2017年07月10日 (月) 22:57:00

停滞する機械受注と強気な景気ウォッチャーと震災前の水準に戻った経常収支!

本日、内閣府から5月の機械受注が、また、6月の景気ウォッチャーが、加えて、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.6%減の8055億円だった一方で、景気ウォッチャーでは現状判断DIが前月から+1.4ポイント上昇して50.0を、先行き判断DIも+0.9ポイント上昇して50.5を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆6539億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、5月3.6%減 判断8カ月ぶり下げ、非製造業が低調
内閣府が10日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ3.6%減の8055億円だった。2カ月連続の前月割れで、QUICK算出の市場予想(1.6%増、中央値)を大幅に下回った。非製造業の低迷が続く。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」へ、8カ月ぶりに下方修正した。
非製造業が5.1%減と3カ月連続で前月を下回った。「通信業」は次世代投資が立ち上がる前の端境期にあるといい、29.5%減だった。鉄道の設備更新の一巡などにより「運輸業・郵便業」は21.7%減となった。「金融業・保険業」は59.2%増だが、4月の38.5%減という大幅な落ち込みから反動で増えた面が大きい。内閣府は「企業が投資に慎重な様子がうかがえる。目先、投資意欲を刺激する要因が見当たらず、同じ傾向が続く可能性は高い」(経済社会総合研究所)と指摘する。非製造業の受注額は4473億円と、2015年8月以来の小ささとなった。
一方、製造業は1.0%増と4カ月連続で伸びた。スマートフォン向け半導体製造装置などの堅調が続くほか、自動車の需要が北米で改善している。製造業全体の受注額は内閣府の従来の見通しを上回って推移しているもようだ。受注額は3656億円と16年12月の高さへ迫っている。
非製造の低迷が続くが、内閣府の従来想定よりは底堅い推移だという。4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値見通しは現状、前期比5.9%減となっているが、減少幅は縮小する公算という。
6月の街角景気、3カ月連続改善 基調判断は据え置き
内閣府が10日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.4ポイント上昇の50.0だった。上昇(改善)は3カ月連続。住宅関連や自動車小売業を中心に消費者の需要の高さに対する実感がみられたほか、企業動向や雇用関連の指数も伸び、景況感の分かれ目となる50を2016年12月以来、半年ぶりに上回った。
部門別では、家計動向、企業動向、雇用の全てが改善した。企業動向では製造業、非製造業ともに前月比1.1ポイント上昇した。家計動向では小売りと住宅が上昇した。飲食やサービスは悪化したものの、小幅な低下にとどまったため「おおむね横ばいと評価している」(内閣府)という。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.5となり、前の月から0.9ポイント上昇した。上昇は3カ月連続。家計動向と企業動向がともに改善した。家計動向ではボーナス商戦や訪日外国人需要への期待が聞かれたほか「新型車効果が続き、新車販売が好調に推移する」(東北・乗用車販売店)との見方もあった。半面、雇用は人材派遣業で人手不足への懸念がみられるなどし、前月調査から低下した。
内閣府は基調判断を「持ち直しが続いている」で据え置いた。判断を維持した理由として、内閣府は指数が上昇基調にあることから「下げる理由はない」とした上で「さらに一段押し上げるようなイベントがあるかというと今のところは見当たらない」としている。先行きについても「人手不足に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資などへの期待がみられる」から変更しなかった。
経常黒字1兆6539億円に縮小 5月、貿易収支が赤字に
財務省が10日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆6539億円の黒字だった。黒字は35カ月連続。黒字額は前年同月(1兆7576億円)に比べて1037億円縮小した。原油価格の持ち直しを背景に輸入が増加し、貿易収支が赤字に転化したことが響いた。
貿易収支は1151億円の赤字で、前年同月(308億円の黒字)から悪化した。原油価格の上昇で液化天然ガス(LNG)や石炭、原粗油などの輸入が増加し、輸入全体は15.8%増えた。自動車や鉄鋼の好調を映し、輸出も12.9%増加したが、輸入の影響が上回った。
サービス収支は421億円の黒字と前年同月(819億円の黒字)から黒字幅を縮小した。ソフトウエアのロイヤルティーなど知的財産権使用料の支払いが増えたことが響いた。
第1次所得収支は1兆9243億円の黒字と前年同月(1兆8936億円の黒字)に比べて黒字額を拡大した。海外から受け取る債券利子など証券投資収益の黒字額が拡大した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計3つの記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、次の景気ウォッチャーとも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではコア機械受注の季節調整済みの系列のベースで増加が見込まれており、予測レンジの下限でも▲1.6%減でしたから、かなり大きなマイナスと私は受け止めています。加えて、前月統計でも▲3.1%減を受けての5月統計でしたから、機械受注、ひいては設備投資が先行き伸び悩む可能性が取りざたされても不思議ではありません。ですから、統計作成官庁である内閣府の基調判断も「持ち直しの動きに足踏み」から「足踏み」に下方修正されています。私の直観でも、上のグラフから明らかな通り、かなり横ばいに近い印象だという気もします。大雑把な産業別では、製造業が今年2017年1月の大幅なマイナスの後、2月から5月まで4か月連続のプラスで推移している一方で、非製造業は3か月連続のマイナスとなっています。人手不足の高まりから非製造業での省力化や合理化のための設備投資が進むという見方もあっただけに、やや拍子抜けな気もします。加えて、コア機械受注の外数ながら、5月統計では外需が▲5.2%減と大きく減少していえるのも、外需はコア機械受注の先行指標だけに少し気がかりです。ただ、もともと4~6月期のコア機械受注の見通しは前期比▲5.9%減ですから、こんなもんだという気もします。例えば、4~5月平均の受注実績は1~3月期と比べて▲3.5%減にとどまっており、見通しから少し上振れていたりします。評価の難しいところながら、もちろん、前月比マイナスが続いたせいもあって悲観的な見方が広がるのも当然で、日銀短観などで示された設備投資計画が単純に実行されるわけではないことは留意すべきです。

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続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。現状判断DIに着目すると、3つのコンポーネント、すなわち、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが上昇を示しています。ついでながら、先行き判断DIについては、雇用関連のDIがマイナスとなっていますが、6月統計で雇用関連は現状判断DIが前月差+3.0とジャンプした後、先行き判断DIがその反動で▲1.8の低下を示しているんだろうと思います。話を現状判断DIに戻すと、企業関連でも製造業・非製造業ともに前月から上昇しています。現状判断DIで特に前月からの上昇幅が大きいのは、雇用関連+3.0上昇とともに、家計関連+1.2上昇のうちの小売関連の+2.2上昇と住宅関連+2.7上昇です。ただ、飲食関連やサービス関連は前月からマイナスを記録しており、家計が全般的に上向きとはいえ、それほど単純な評価は下せないような気もします。いくつか理由を見ると、南関東で「3か月前と比較して、商品単価、購入単価共に落ち込みが少なくなってきている。特に、服飾雑貨や衣料品の商品単価が前年を上回るようになっており、好調であった消耗品以外の衣料品などにもやや消費意欲が出てきたようである(百貨店)。」との声があり、また、東海では「今月は、問い合わせ、成約件数共に多く、とにかく良く売れている(乗用車販売店)。」などの意見も目につきました。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。経常収支については、引用した記事の雰囲気がやや悲観的で、5月統計については季節調整していない原系列で見ると、貿易収支が赤字に転じて経常収支がその影響で黒字幅を縮小させた、ということになっており、確かに統計上はその通りですが、先月の統計発表後にお示しした6月9日付けのブログのグラフにある通り、経常黒字の対GDP比はすでに4%近くに上昇して来ており、対外不均衡は日本の黒字方向に拡大しているトレンドとなっていることから、このまま経常黒字が拡大するのがいいのか悪いのかについては議論が分かれるところかもしれません。経常収支の水準は、極めて大雑把に、四半期ベースで5兆円、年ベースで20兆円に回帰しており、震災後の赤字基調はすでに克服しているものと多くのエコノミストは考えています。この先、直近統計のように国際商品市況において石油価格などの資源価格が上昇して経常収支が黒字幅を縮小させたり、あるいは、赤字に転じる可能性もあり得ますが、我が国製造業の国際競争力が為替相場も込みで落ちていないのであれば、それほど問題と考える必要はないんではないかと私は考えています。また、季節調整済みの系列では5月の経常収支は黒字であり、先月4月よりもむしろ黒字幅は拡大しています。あくまで参考意見なんですが、5月についてはゴールデン・ウィークの日並びによって季節調整がゆがむ可能性がありますので、どこまで信頼できるかは別問題です。

最後に、日銀では四半期に1度の支店長会議が開催されており、本日午後に「さくらリポート」が公表されています。日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年07月08日 (土) 09:44:00

6月の米国雇用統計は連邦準備制度理事会(FED)の金融正常化を支持するか?

日本時間の昨夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は市場の時zんコンセンサスであった+170千人増を大きく上回って+222千人増となった一方で、失業率は前月から+0.1%ポイント上がって4.3%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから最初の6パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. Job Growth Picks Up the Pace, but Wages Lag Behind
Automobile sales may be slowing, e-commerce is putting the squeeze on bricks-and-mortar stores, and overall economic growth is limp. But the labor market has nevertheless managed to charge ahead.
Employers added an impressive 222,000 jobs in June, the government reported on Friday. Although the jobless rate ticked up slightly to 4.4 percent, it was because some people who had dropped out of the labor force were lured back.
But the hunger for workers and mounting complaints of labor shortages have raised a vexing question: Why isn't the heightened demand for workers driving up pay?
The Federal Reserve pointed to that conundrum in the updated report on the American economy it sent to Congress on Friday. "Despite the broad-based strength in measures of employment," it said, "wage growth has been only modest, possibly held down by the weak pace of productivity growth in recent years."
The Fed's report reflected its overall confidence in the country's economic direction, which has led it to begin raising interest rates for businesses and consumers after years of holding them near zero to encourage investment and risk-taking. After increasing its benchmark rate last month, the Fed is expected to do so at least once more before the year's end.
One of its aims is to head off any inflation that might result from a tight job market that prompts employers to offer higher pay to get the workers they need. Yet prices have been rising at a slow pace, and sluggish wage growth suggests that the fear may be premature.


長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国経済の好調さが裏付けられた雇用統計だったと評価できます。6月統計の非農業部門雇用者数が大きく伸びただけでなく、直近の4-5月分もそれぞれ33千人、14千人ずつ上方修正されていて、4-6月の3か月の平均で毎月+194千人の雇用増とほぼ+200千人近い水準を達成しています。失業率も6月統計では前月より僅かに上昇したものの、ほぼ完全雇用水準にあります。なお、米国連邦準備制度理事会(FED)では完全雇用の失業率を4%台半ばと見なしているといわれています。ですから、FEDの金融政策の方向性としては、年3回程度とされる利上げをサポートするのに加えて、利上げだけでなく、9月ころから資産圧縮が開始されるといわれており、これも特に延期する必要はなさそうです。こういったいわゆる金融の正常化は雇用統計からは支持されていると考えるべきです。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象ながら、もう一段の加速が見られません。バーナンキ前議長の下で、FEDは事実上のインフレ目標政策を取っており、物価上昇率の動向は気がかりなところです。明らかに、リーマン・ショック前の+3%台には戻りそうに見えません。ただ、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなったと私は受け止めています。
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2017年07月07日 (金) 20:22:00

一致指数が下降した景気動向指数と賃金がわずかに上昇した毎月勤労統計!

本日、内閣府から5月の景気動向指数が、また、厚生労働省から4月の毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+0.5ポイント上昇の104.7を、CI一致指数は逆に▲1.6ポイント下降の115.5を、それぞれ記録しています。毎月勤労統計からは、景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.7%減を、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.7%増を、それぞれ記録しています。なお、消費者物価が上昇を示していますので、消費者物価でデフレートした実質賃金は前年同月から+0.1%増となり、5か月振りにプラスの伸びを示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 自動車関連の落ち込みで
内閣府が7日発表した5月の景気動向指数(CI、2010年=100)によると、景気の現状を示す一致指数は前月比1.6ポイント低い115.5となり、2カ月ぶりに低下した。前の月に自動車関連の生産や出荷が堅調だった反動が出た。
一致指数を構成する指標で、前月と比べられる7つの指標のうち、5指標が押し下げ要因となった。自動車関連が落ち込み、耐久消費財出荷指数や鉱工業生産指数などが低下した。生鮮食品の販売減が響き、小売業の商業販売額も減少した。
内閣府は、一致指数の動きからみた基調判断を「改善を示している」とし、8カ月連続で据え置いた。
数カ月先の景気を示す先行指数は0.5ポイント上昇の104.7だった。上昇は2カ月ぶり。
実質賃金、5月は0.1%増 5カ月ぶり増加 毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月に比べて0.1%増加した。増加は5カ月ぶり。名目賃金が0.7%伸びたものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が前年同月比0.5%上昇し、上昇を抑えた。
名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月比0.7%増の27万241円だった。2カ月連続で増加し、伸び率は昨年7月(1.2%増)以来10カ月ぶりの高水準だった。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.9%増加し、2000年3月(0.9%増)以来17年2カ月ぶりの大きな伸び率だった。残業代など所定外給与は0.7%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は1.6%減少した。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.0%増の1108円だった。パートタイム労働者比率は30.18%で、前年同月に比べて0.14ポイント低下した。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとついつい長くなってしまいます。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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5月のCI一致指数はやや下降を示しましたが、3か月後方移動平均も7か月後方移動平均もまだ上昇を続けており、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」に据え置いています。基調判断は、昨年2016年10月に「足踏み」から「改善」に上方改定されており、半年余り据え置かれているわけです。CI一致指数を構成するコンポーネントを詳しく見ると、5月指数では、商業販売額(卸売業)(前年同月比)と投資財出荷指数(除輸送機械)はプラス寄与となりましたが、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、商業販売額(小売業)(前年同月比)などがマイナス寄与を示しています。鉱工業生産指数(IIP)と連動性の高いCI一致指数ですから、単月では5月はマイナスになりましたが、上のグラフを見ても理解できる通り、トレンドとしてはまだ上昇中であると考えてよさそうです。なお、CI先行指数を詳しく見ると、もっとも大きなマイナス寄与を示したのが中小企業売上げ見通しDIであり、その次がマネーストック(M2)となっています。規模別では大企業よりも中小企業の方が景気に敏感であり、先行性あることから、今後の景気のゆくえについては中小企業に着目すべきなのかもしれません。ただ、私は所得についてはトリクルダウンは生じず、お金持ちが豊かになれば、徐々に所得の低い層にも裨益する、というのはまったく信じられませんが、企業規模の波及経路については大企業から徐々に規模の小さい企業に波及することは十分あり得ると考えており、為替が安定し、海外経済が順調な現状では、中小企業から景気が反転する可能性は決して大きくないものと考えています。もっとも、その小さい可能性の原因となる可能性があるのは人手不足です。人手不足から非正規雇用に依存していた規模の小さな企業経営が苦しくなる可能性はあり得るものと考えます。要するに、人手不足で非正規雇用の安い労働力に依存していた企業については、正規雇用を活用しつつ生産性を向上させることに失敗すれば、あるいは、淘汰される可能性が残ります。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。なお、賃金についてはかなり長期の季節調整済みの系列が公表され始めていますが、どうも世間一般ではまだ季節調整していない原系列の統計の前年同月比を名目賃金上昇率として見て、さらに、消費者物価(CPI)の前年同月比でデフレートして実質賃金として見る、というエコノミスト間の慣行が残っており、当ブログでも、世間一般の動向を見極めつつ対応いたしたいと思います。ということで、景気に敏感な所定外労働時間は5月に▲3.3%の減産を示した生産と整合的に、製造業の季節調整済みの前月比で▲0.7%になっています。賃金は、現金給与総額・きまって支給する給与ともに、名目で前年同月比+0.7%、実質で+0.1%の伸びを示しています。なかなか賃金の伸びが渋いんですが、今日の日経新聞の経済教室でも、東大の渡辺先生が価格硬直性が先進国の中でも突出して大きいとの分析結果を明らかにしていますが、賃金もご同様な気がします。ただ、引用した記事にもある通り、人手不足から雇用を確保するためにパートタイム比率がじわじわと低下し始めています。我が国賃金の伸び悩みは、いわゆるシンプソン効果でパートなどの非正規雇用比率の上昇による寄与がそれなりに大きく、個別の賃金上昇とともにフルタイム正規雇用が増加すれば、マクロでの賃金上昇につながる可能性が高く、大いに期待したいと思います。賃金と物価はニワトリとタマゴですから、ともに手を携えて上向きになることが十分にあり得ます。
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2017年07月06日 (木) 22:57:00

インテージの調査結果から猛暑の夏は何が売れるか?

今週に入って、月曜日は特に暑くて35度に達する猛暑日でしたが、今日まで梅雨も明けないうちに連日30度の暑い日が続いています。エコノミストとしては消費の先行きなどを考える上で、猛暑になると何が売れるのかについて興味があるところ、やや旧聞に属する話題ながら、6月20日にネット調査大手のインテージから「猛暑になると何が売れるのか? 独自データで消費への影響に迫る」と題しるリポートが明らかにされています。図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、インテージのリポートから、「観測史上最も暑い夏」として記録に残っている2010年夏に販売金額が伸びたカテゴリを引用しています。見れば明らかな通り、トップの香辛料のほか、上位にはスポーツドリンク、日焼け止め、美容・健康ドリンク、制汗剤、アイスクリームなどが上がっており、いずれも前年比で1.2倍を超えています。この次に、リポートではなぜか、夏に向けた「汗の匂い対策」になるんですが、それはすっ飛ばして、「猛暑」と聞いて、買いたくなるもの、行きたくなる場所は次の通りです。

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ということで、繰り返しになりますが、上のグラフは、インテージのリポートから、「猛暑」と聞いて、買いたくなるもの、行きたくなる場所を引用しています。私の場合、買いたくなるものはアイス・かき氷はその通りなんですが、行きたくなる場所はトップがプールで、2番目は図書館かもしれません。でも、全体として判りやすくなっている気がします。

梅雨明け前の今週でもこれだけ暑いんですから、梅雨が明ければ今年は本格的な猛暑になるんでしょうか?
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2017年07月05日 (水) 19:57:00

東京商工リサーチによる「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果やいかに?

先週は3月決算の上場企業の株主総会が数多く開催されましたが、6月30日付けで東京商工リサーチから「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果が明らかにされています。役員報酬1億円以上を受け取った役員の個別開示を行った上場企業は221社で開示人数は457人でした。社数は2015年3月期の212社から、また、人数は414人からそれぞれ増加を示しており、過去最多を更新したそうです。個別開示トップはソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長の103億46百万円で、歴代役員報酬額の最高額を更新しています。以下、トップテンは下のテーブルの通りです。

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なお、同様の調査結果は東洋経済オンラインでも見かけました。「年収1億円超」の上場企業役員530人リストです。トップは同じアローラ元副社長なんですが、当然ながら、いろいろと違いが見かけられます。ご参考まで。
先週末は私にもボーナスが出て、それなりの幸福感に浸っていたんですが、まあ、私のような公務員とは桁違いですね。経済的な合理性のある報酬だということは理解しつつも、今さらながらに思い知らされました。
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2017年07月04日 (火) 19:52:00

国民生活基礎調査に見る貧困率の動向やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、6月27日付けで厚生労働省から昨年2016年調査の国民生活基礎調査の結果が公表されています。昨年度の国民生活基礎調査は3年に1度の大規模調査でしたので、相対的貧困率が利用可能となっています。2009年、2012年の時点では16%台に上昇し高止まりしていたんですが、2015年では15.6%にやや低下を示しています。下のグラフの通りです。

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繰り返しになりますが、2009年16.0%、2012年16.1%だった貧困率が、2015年では15.6%にやや低下を示している一方で、子どもの貧困率については、2012年の16.3%から2015年には13.9%に一気に低下しています。低下の理由は不明なんですが、もしも、2013年に成立した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が役立っているとすれば喜ばしいことではないかと受け止めています。なお、子どもと大人は17歳以下と18歳以上で区分けしています。ただし、▲2.4%ポイントの低下というのはかなり大きな数字ですが、詳細な引用はしないものの、母子家庭などの大人1人で子どものいる現役家庭の貧困率は50%を超えるなど、まだまだ貧困や格差が厳しい状況にある点は変わりありません。高齢化の進展とともに、格差の拡大は見かけ上しかたないとしても、我が国の将来を担う子供達については高齢者以上に十分な社会保障や福祉が行き渡るような社会の実現が待たれます。
なお、今年2017年に公表された国民生活基礎調査は、昨年2016年に実施され、さらにその前の2015年時点の状況を問うています。誤解のないよう、念のため。
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2017年07月03日 (月) 23:12:00

業況感がさらに上昇し設備投資計画が上方修正された日銀短観から何が読み取れるか?

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から+5ポイント改善して+17を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+2.9%増と集計されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業DI、14年3月以来の高水準 3期連続改善、日銀短観
日銀が3日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス17だった。前回3月調査(プラス12)から5ポイント改善した。改善は3四半期連続で2014年3月調査以来の高水準だった。世界的な景気拡大を反映した。業種別では石油・石炭製品や鉄鋼、非鉄金属業などの改善が目立った。為替相場が安定していることもあり、中小企業製造業のDIも改善した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。6月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス15を上回った。回答期間は5月30日~6月30日で、回収基準日は6月13日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス15だった。米国での自動車販売の頭打ちやトランプ米政権の先行き不透明感などから、先行きには慎重な見方が強かった。
17年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=108円31銭と今の実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回を3ポイント上回った。改善は2四半期連続。国内消費の底堅さが増す中で小売の景況感が改善した。都心の再開発が進み、建設関連は高水準を維持した。小売りや対個人サービスも改善した。3カ月先のDIは5ポイント悪化のプラス18だった。
中小企業は製造業が2ポイント改善のプラス7と07年3月以来の高水準だった。非製造業は3ポイント改善のプラス7だった。先行きはいずれも悪化した。
大企業全産業の雇用人員判断DIはマイナス16となり、前回(マイナス15)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年2月(マイナス24)以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比8.0%増と、市場予想の中央値(7.4%増)を上回った。3月調査(0.6%増)からは増加幅が拡大した。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、規模と製造業・非製造業を押しなべて、昨年12月調査や今年3月調査に続いて3期連続で今期も景況感が改善しつつ、しかし、先行きの来期はやや落ちる、という典型的な短観の統計としての「クセ」が出ています。さはさりながら、DIですので水準よりも方向性が重要ながら、水準もかなり高くなっています。ですから、このブログでも何度か強調している通り、企業部門の景況感はとても堅調です。前回調査の結果に続いて、個人消費の関連で小売業に着目すると、3月調査で+5の後、6月調査では+10にジャンプし、先行きも+11とさらなる上昇を示す可能性が示唆されています。小売業のマインドから個人消費の今後の方向も透けて見える気がします。さらに、事業計画の前提となっている想定為替レートについては、3月調査でも6月調査でも1ドル108年代で極めて安定しており、円安方向への動きも悪くはないんでしょうが、為替の安定は企業の活動計画や見通し立案の際にはそれなりに重要だという気がします。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。テーブルは引用しませんが、6月調査と12月調査だけで実施される新卒採用計画では、2018年度大企業が+5.2%増、中堅企業が+6.0%増、中小企業が+11.8%増と計画しているようです。規模の小さい企業ほど新卒採用に積極的といえますが、大企業でも+5%増の計画なんですから、就活は売り手市場が続きそうです。ただ、調査事項にはないんですが、お給料が上がるかどうかも気にかかるところです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲1.3%減という高い水準で始まったんですが、6月調査では+2.9%増と順調に上積みされています。日銀・QUICKによる市場の事前コンセンサスは大企業ベースで+7.4%増だったところ、実際には+0.8%増だったわけですから、設備投資は期待できそうです。加えて、特に2016年度の大企業の設備投資の実績が、結局、▲2.1%減に終わったようですので、ある程度の2016年度過年度の設備投資の先送り分、というか、積み残し分も発生している可能性があります。この部分がそのまま先送りされる可能性もありますが、今年度2017年度に遅れて実行される可能性もあり、いずれにせよ、設備投資は計画段階では強気に出ているように受け止めています。

先行きについて考えると、まず、日銀の統計ですから、日銀金融政策への影響なんですが、ほとんどないと私は考えています。かなり景況感が上がって来たので、金融政策の方向性としては緩和よりは引締めを主張する向きもあるかもしれませんが、実体経済の物価がここまで目標と乖離している現状では、金融政策が引締め方向に修正される可能性はほぼほぼありません。逆に、景況感が上がって来ている現段階で、金融政策の追加緩和も考えにくいところです。次に、先行きリスクを考えると、日銀短観の景況感の統計としてのクセとして、来期を慎重に見るために先行きの景況感が下がる、というのがあり、国際商品市況における石油をはじめとする資源価格の動向、米国の国内経済や通商政策の動向など、リスクは海外にあるような気もします。でも、都議選の結果などを見れば、国内もリスクはないとはいえないように思えてきました。
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