2017年11月22日 (水) 20:03:00

リクルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフ平均時給やいかに?

来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の10月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給は引き続き2%台で堅調に推移していて、特に10月統計では1,021円と2006年1月の統計開始以来の過去最高水準を記録した一方で、派遣スタッフの平均時給は1年間ややマイナスを記録する月が多く、すなわち、昨年2016年9月から今年2017年8月までの12か月のうち10か月で前年同月比マイナスとなっていましたが、直近のデータでは2017年9月は+2.6%、10月も+2.4%とジャンプアップしています。地域的には、関東、東海、関西で、少なくとも9月統計で大きくジャンプアップし10月統計はプラスながら9月よりは伸び率が縮小、という点で、特に大きな差はありません。でも、9~10月の足元で、東海圏の伸び率が高い一方で、関西圏は低い伸び率にとどまっています。まあ、従来からそうだといえば、そうなんですが、特に9~10月の足元ではこれが目立っている気がします。職種としてはデザイナー、Web関連、編集・制作・校正などのクリエイター系が+3.4%増と特に大きな伸びを示すとともに、医療介護・教育系が▲1.1%減と下げ幅を拡大しています。ボリュームの大きな職種だけに、全体への影響も小さくありません。給与水準が低い一方で求人ボリュームの大きな医療介護系が、全体としての派遣スタッフ給与の足を引っ張っているとの分析もありましたが、地域別、職種別の特徴、というか、格差が拡大したんではないかという見方も成り立つような気がします。

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ついでながら、国際通貨基金(IMF)の今週のグラフ Chart of the Week で高齢化社会において女性の労働参加がさらに必要 Chart of the Week: Women Workers Wanted in Japan とのコラムが取り上げられています。グラフを引用すると上の通りです。高齢化社会への解決策 Solution については "Encourage women to take on more full time work and have children." とされていて、一見して相反するこの2つの解決策、すなわち、フルタイムの職に就くことと子供を持つことは両立して可能である、と結論しています。

最後の最後に賃金や賃上げに関して、ニッセイ基礎研から「目指すべき賃上げ率は4%」と題するリポートが11月20日に出されています。私は、あっけにとられることもなく、あきれた顔をすることもなく、もちろん、苦笑することもなく、まったくその通りであるとほぼほぼ完全に4%に合意します。「ほぼほぼ」をつけたのは、ひょっとしたら、賃金水準が従来のトレンドに追いつくまで5%とか、6%でもいいくらいだと考えているからです。「賃上げの要求水準が低い」というのも、その通りだと思います。
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2017年11月21日 (火) 21:04:00

米国クリスマス商戦のゆくえやいかに?

今週は木曜日が米国の感謝祭の休日に当たり、金曜日がいわゆる Black Friday ですから、米国クリスマス商戦が始まります。米国経済の動向については、日本経済のみならず、世界経済全体への影響も大きいところ、全米小売業協会(NRF)の様相などにつき簡単に見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフは全米小売業協会のサイトから引用しています。見れば明らかな通り、今年のクリスマス商戦の売り上げは "increase between 3.6 and 4 percent for a total of $678.75 billion to $682 billion" すなわち、6787.5~6820億ドル、昨年比で+3.6~4.0%の伸びと予想されており、全米小売業協会では「現実的でしっかりした基礎のある予想」としています。確かに、議会での減税法案の審議に関わらず、米国の雇用の伸びに支えられた消費は堅調であり、これくらいの売上げ増は十分可能性あるところかもしれません。ただ、全米小売業協会ではネット通販がどれくらい把握されているのか私は知りませんが、統計的な把握により数字が異なる可能性はあるものの、ビジネスの実態、というか、米国における消費の勢いはとても堅調という気はします。
最後に、下のフラッシュは全米小売業協会のサイトにあるものをシェアしています。この週末のブラック・フライデイ前日から来週月曜日のサイバー・マンデイまでの人出の予想です。ブラック・フライデイには1億人超の人々が買い物に繰り出すとともに、サイバー・マンデイも国民の半分近い人々がネット通販も含めて買い物を楽しむ、というわけですから、ほとんど国を挙げての大イベントなのだろうという気がします。

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2017年11月20日 (月) 23:14:00

貿易統計に見る我が国の輸出は順調に拡大中!

本日、財務省から10月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.0%増の6兆6931億円、輸入額も+18.9%増の6兆4077億円、差引き貿易収支は+2854億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の貿易収支、5カ月連続黒字 2854億円、円安で黒字幅縮小
財務省が20日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2854億円の黒字だった。貿易黒字は5カ月連続で、QUICKがまとめた市場予想の中心値(3300億円の黒字)は下回った。自動車など輸出は好調だったものの円安によって原油などの輸入額も押し上げられ、黒字幅は前年同月(4812億円の黒字)に比べ縮小した。
輸出額は前年同月比14.0%増の6兆6931億円と、11カ月連続で増加した。オーストラリア向けの自動車や中国向けの液晶デバイス製造装置、中国向けのプラスチック原料などが増加に寄与した。
地域別に見ると、対米国が7.1%増と9カ月連続で前年実績を上回った。自動車は落ち込んだが、航空機エンジン部品や掘削機などが補った。対欧州連合(EU)は15.8%増だった。対中国(26.0%増)が過去最高を更新するなど対アジアも18.9%増と好調を維持した。
一方、輸入額は18.9%増の6兆4077億円だった。10カ月連続で増加し、伸び率も2014年1月(25.1%増)に次ぐ高い水準だった。原油などの資源が値上がりしたうえ、為替も前年に比べ1割ほど円安方向に進み円建て価格が押し上げられた。米国からは液化プロパンの輸入が増えた。中国からは衣類やスマートフォン(スマホ)が伸び8カ月連続の貿易赤字だった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。


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引用した記事にもある通り、季節調整していないベースの貿易収支は今年2017年6月から5か月連続で黒字を記録していますが、トレンドを見るための季節調整済みの系列だと2015年11月から24か月、すなわち、2年間貿易黒字が続いています。この間、我が国の貿易収支をスィングさせてきたのは国際商品市況における石油価格です。短期では石油需要は価格にそう弾力的であるとも思えず、国際商品市況における価格動向とともに為替水準によっても輸入額が変動することになります。現時点では、石油をはじめとする国際商品市況は、新興国、特に中国の景気回復を受けてジワジワと値を戻しており、為替もその昔からすれば円安水準となっています。ですから、石油価格と為替から輸入額は短期には上振れして、貿易黒字が縮小する可能性が十分ありますが、10月統計が明らかとなった現時点では、それ以上に、世界経済の回復・拡大を受けて我が国からの輸出が好調に推移している、と見るべきです。ただし、季節調整していない原系列の統計で見ている限り、先月も同じことを書いた記憶がありますが、半年近く連続しての貿易黒字はメディア受けする一方で、昨年2016年の年央から後半にかけて、すなわち、6月の英国国民投票によるBREXITと11月の米国大統領選挙のころには、経済外要因ながら、ポピュリズムの動向に伴って世界経済の先行き不透明感が増していた時期ですから、最近の統計にはその反動が反映されている可能性も否定できません。加えて、北朝鮮情勢次第では地政学的なリスクの顕在化も懸念されます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。9月統計の輸出は米国のハリケーンという特殊事情がありましたが、10月統計もその反動という要素は否定できません。ただ、さすがに米国の自動車販売がかなり急ピッチで拡大したことから、さらなる自動車輸出の伸びを期待するのは難しそうな気がします。ここも、お話しする人のポジション次第で、自動車輸出は伸び悩む、ともいえますし、伸びは鈍化しているものの、自動車輸出は高水準にある、ともいえます。ただ、自動車に限らず、先進国・新興国ともに世界経済は順調に回復・拡大しており、我が国の輸出も追い風に乗って緩やかな拡大を続ける方向にあると考えるべきです。

最後に、貿易だけでなく幅広く米国政策について考えると、実は、トランプ政権の通商政策が我が国の貿易のリスクになると私は考えていたんですが、そうではなく、貿易だけでなく幅広い観点からは、米国トランプ政権のエネルギー・環境政策こそが世界の大きなリスクになる可能性があると考えを改めました。私の専門外ながら、少し考えを巡らせたいと思っています。
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2017年11月16日 (木) 21:54:00

米国の雇用に関するピュー・リサーチ・センターの世論調査結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、私がよく参照している米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから11月7日付けで Views of Job Situation Improve Sharply, but Many Still Say They're Falling Behind Financially と題して米国の雇用に関する世論調査結果が明らかにされています。米国のトランプ政権に対する厳しい見方も示されており、こういった海外のリポートに着目するのはこのブログの特徴のひとつですし、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Public's views of local job availability are more positive than at any point since 2001 と題するグラフを引用しています。要するに、職探しの難易度を時系列で追っています。タイトル通り、最近時点ではとうとう「職は豊富にある」が50%と、2009年半ばから一貫して上昇を見せ、「職が探しにくい」の42%を上回りました。2001年初頭以来ということのようです。従って、量的に職はかなり見つけやすくなっているようです。

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続いて、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Nearly half say their incomes are 'falling behind' the cost of living と題するグラフを引用しています。量的に職が見つけやすいのであれば、次の観点は質的にお給料がどうか、ということになりますが、まだまだ最近時点でも、生計費に比べてお給料が「立ち遅れている」が半分近くあります。でも、まだまだ低い比率ながら、徐々に生計費よりお給料の方が「伸びが高い」の割合も増えつつあります。

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続いて、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから About half of the public says Trump's economic policies have had no effect と題するグラフを引用しています。タイトル通りに、ほぼ半数の回答者がトランプ政権の経済政策の影響力を否定しているわけですが、経済政策により「改善」したか、「悪化」したかについて回答者の属性別に見ると、人種別では、白人は「改善」の方が多い一方で、黒人やヒスパニックは「悪化」の方が割合高く、また、所得階級別では、高所得ほど「改善」が多く、低所得ほど「悪化」割合が高くなっていて、要するに、格差拡大の感覚が強まっていると私は受け止めています。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Public perception of economic conditions returns to mid-2000s levels を引用しています。米国経済の状態について、excellent と good を示しています。クリントン政権の8年間はグングンこの比率が上昇を示しましたが、ブッシュ政権の2期8年は波あるものの、最後はリーマン・ショックやその後の金融危機のためにボロボロになった印象です。オバマ政権の8年間は徐々に盛り返したものの、クリントン政権期の上昇気流には乗れませんでした。そして、トランプ政権は現時点では軽く右肩下がりの印象でしょうか。今後は期待出来るのか、出来ないのか。日本経済にとっても大きな関心事項かもしれません。
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2017年11月15日 (水) 20:07:00

7-9月期GDP速報1次QEは7四半期連続のプラス成長を記録!

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.4%を記録しました。外需主導ながら、+1%をやや下回るといわれている潜在成長率を超えた高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月期GDP、年率1.4%増 外需がけん引、個人消費は減少
内閣府が15日発表した2017年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.3%増、年率換算では1.4%増だった。プラスは7四半期連続。輸出が増え、輸入が減り外需が伸びた。設備投資も堅調だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.4%増で年率では1.5%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.6%増、年率では2.5%増だった。名目は2四半期連続でプラスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.2%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.5%分のプラスだった。
項目別にみると、個人消費が0.5%減と、7四半期ぶりにマイナスだった。天候不順で衣料品などへの支出が低迷した。
輸出は1.5%増、輸入は1.6%減だった。米国向け自動車やアジアへの半導体などが伸びた。国内需要の低迷で輸入量が減少した。
設備投資は0.2%増と、4四半期連続でプラスだった。企業収益や景況感の改善を背景に企業の設備投資需要が高まった。住宅投資は0.9%減。公共投資は2.5%減。民間在庫の寄与度は0.2%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.1%だった。プラスは5四半期ぶり。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%のプラスだった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/7-92016/10-122017/1-32017/4-62017/7-9
国内総生産GDP+0.2+0.4+0.3+0.6+0.3
民間消費+0.4+0.1+0.4+0.7▲0.5
民間住宅+2.9+0.3+0.9+1.1▲0.9
民間設備▲0.1+1.9+0.5+0.5+0.2
民間在庫 *(▲0.5)(▲0.2)(▲0.2)(+0.0)(+0.2)
公的需要+0.2▲0.5+0.0+1.6▲0.6
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.1)(+0.1)(+0.9)(▲0.2)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.3)(+0.1)(▲0.2)(+0.5)
輸出+2.1+3.0+1.9▲0.2+1.5
輸入+0.1+1.2+1.4+1.4▲1.6
国内総所得 (GDI)+0.0+0.1▲0.1+0.7+0.4
国民総所得 (GNI)▲0.1+0.1+0.2+0.7+0.6
名目GDP+0.0+0.5▲0.0+0.6+0.6
雇用者報酬 (実質)+0.7▲0.2+0.3+1.0+0.5
GDPデフレータ▲0.1▲0.0▲0.8▲0.4+0.1
内需デフレータ▲0.8▲0.3+0.0+0.3+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期の最新データでは、前期比成長率が7四半期連続でプラスを示し、黒い外需(純輸出)が大きなプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前期比成長率が+0.4%、年率+1.5%でしたので、やや下回ったとはいえ、ほぼジャストミートに近い気がします。7四半期連続のプラス成長は、少なくとも上のグラフでは現れませんので、10年振りよりもっと前なんだろうと思います。というか、私の目で統計表を確認したところ、1999年4~6月期から2001年1~3月期の足かけ3年8四半期連続でのプラス成長、ただし、プラス・ゼロ成長を含む、というのが見つかりました。私のことですから、ひょっとしたら見落としがあるかもしれませんが、たぶん、この期間以来の7四半期連続でのプラス成長なんではないかと思います。消費がマイナスで、その影響もあって内需がマイナスとなっている一方で、外需でプラス成長を確保している姿が示されています。従って、私の想像では、メディアの論調では、特に現在のアベノミクスを批判しようという意図があれば、4~6月期の内需主導成長が7~9月期には続かずに外需主導になった、と批判すればいいわけですし、逆に、アベノミクスを擁護しようとすれば、4~6月期と7~9月期をならして見れば、ということになるんではないかという気がします。ですから、何とでも評価できそうですし、例えば、証券会社の債券販売の営業マンであれば、前者のポジション・トークをして、金利は上がらず債券価格は上昇する、という営業活動も出来ますし、逆に、株式の営業マンなら、後者のならして見て日本経済は好調、という営業トークも出来そうです。ただ、7四半期連続でのプラス成長は日本経済の堅調な動きを反映していることは間違いなさそうです。消費はマイナスでしたが、引用した記事にもある通り、基本は、長雨や台風などの天候要因と私も考えています。というのも、消費の財別をもう少し詳細に見ると、減少しているのはサービスと耐久消費財であり、衣料品をはじめとする半耐久財と食料などの非耐久財は増加を示しています。急に消費が全体として冷え込んだわけではありませんし、ボーナスも増えそうですし、さらに、後で見るように、マクロでの所得のサポートはあると考えるべきです。ですから、ボーナス要因も含めた可能性として、10~12月期には消費が大きな増加を示す可能性があり、これまた「ならしてみれば」、ということになるかもしれません。

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上のグラフは、上のパネルでは実質の雇用者報酬の推移を、下は非居住者家計の購入、すなわち、いわゆるインバウンド消費の推移について、それぞれプロットしています。毎月勤労統計などを見る限り、マイクロな1人当たりの賃金についてはなかなか上昇の気配が見られないんですが、1人当たり賃金に雇用者数を乗じたマクロの雇用者報酬は着実に増加を示しています。上のグラフに見られる通りです。1人当たり賃金がそれほど増加していないわけですから、雇用者数の方が増加していることになります。私の見方としては、もちろん、人数ベースで雇用者数が増加している一方で、雇用の質として非正規雇用ではなく正規雇用の増加がマクロの雇用者報酬の増加に寄与しているように受け止めています。他方、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったインバウンド消費は最近時点でかなり伸び悩みを見せているのが読み取れます。

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最後のグラフは上の通り、2000年以降の経常収支と経常収支の対GDP比の推移です。2011年の震災とそれに伴う原発停止に加え、国際商品市況における石油価格の上昇などから、一時、経常収支は赤字を計上していたんですが、最近時点の7~9月期には4%台半ばを記録しており、サブプライム・バブルの崩壊前の2007年くらいの水準に近づいています。1990年代半ばの米国クリントン政権期に日米包括協議に引っ張り出された私としては、やや懸念が募ります。
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2017年11月14日 (火) 21:44:00

この冬のボーナスは増えるのか?

先週のうちに、例年のシンクタンク4社から冬季ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因が作用しますので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。ついでながら、支給総額に関する見通しも可能な範囲で併せて収録しています。特に、第一生命経済研のリポートは、来年度の賃金見通しまで幅広く言及してありましたので、超長めに取っています。なお、その他の機関についても、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研37.3万円
(+0.8%)
73.1万円
(+3.7%)
今冬の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+0.8%と年末賞与としては3年ぶりのプラスとなる見込み。
(略)
賞与支給総額は、同+2.9%増加する見込み。一人当たり支給額の増加は小幅ながら、支給労働者数が引き続き堅調に増加することが主因。
第一生命経済研37.3万円
(+0.8%)
n.a.増加が予想されるとはいえ、伸び率自体はそれほど高いわけではない。物価上昇率を考慮した実質賃金でみるとゼロ近傍の推移が続くものと思われる。17年度後半の景気も引き続き好調に推移する可能性が高いが、それはあくまで輸出の増加を背景とした企業部門主導の回復になるだろう。
賃金の回復が実現するのは18年度と予想している。17年の春闘は、物価が下落し企業業績も伸び悩んだ16年の結果を反映したことで物足りない結果に終わったが、18年の春闘では、物価が上昇し、企業収益も好調な17年の経済状況をベースに交渉が行われる。18年の春闘賃上げ率は17年対比で上昇する可能性が高いだろう。また、17年度の好調な企業業績を反映して18年のボーナスは夏・冬とも増加が予想される。18年については、物価上昇を上回る賃金増加が実現するとみられ、実質賃金も改善するだろう。遅ればせながら家計部門への景気回復の波及が進むことが期待できる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング37.2万円
(+0.6%)
72.2万円
(+2.4%)
2017年冬の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは、前年比+0.6%と小幅ながら3年ぶりに増加すると予想する。内外需要の回復を背景に企業業績の拡大が続いていることが押し上げ要因となる。
雇用者数の増加が続いており、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が見込まれる。冬のボーナスの支給労働者数は4,288万人(前年比+2.4%)に増加し、支給労働者割合も84.9%(前年差+0.1%ポイント)に上昇しよう。また、ボーナスの支給総額は16.0兆円(前年比+3.0%)に増加する見通しである。夏に続いて冬も支給総額が増加することは、個人消費にとって追い風となるだろう。
みずほ総研37.4万円
(+1.1%)
78.9万円
(+3.5%)
2017年冬の民間企業の一人当たりボーナス支給額を前年比+1.1%増と予想している。冬季ボーナスとしては3年ぶりに増加する見込みだ。
(略)
支給対象者についても、人材確保のための正社員化や非正社員の待遇改善の動きを受けて、増加が続くとみられる。実際、2017年入り後はパートタイム比率が低下傾向にあり、正社員化の動きが進んでいるようだ。その結果、支給総額(民間企業)は、前年比+3.6%と比較的高い伸びを見込んだ。
(略)
民間企業・公務員を合わせた冬季ボーナスの支給総額は、前年比+3.6%と前年(同+2.1%)から大きく伸びが高まるだろう。冬としては2014年以来の伸びとなり、当面の個人消費を下支えするとみている。


ということで、今冬のボーナスの支給額は、3年振りに1人当たり支給額が増加するとともに、支給対象者も増加し、従って、支給総額はかなりの増加を見せると見込まれています。ただし、上のテーブルのヘッドラインにはうまく取り込めなかったんですが、大手企業については伸び悩みないし悪化すら予想されている一方で、中堅企業や中小企業では堅調と見込まれています。どうしてかといえば、大企業ではに海外経済等の不透明感や円高の影響で伸び悩んだ昨年2016年の企業業績の結果が反映された一方で、中堅・中小企業では引き続き好調な企業業績と人手不足感の強まりとを背景に冬のボーナスも明確な増加を示すものと期待されています。従来、大企業ほどボーナスがいいとの見方もあったんですが、少なくとも、今冬のボーナスの前年からの変化については、大企業で伸び悩む一方で、中堅・中小企業では好調、という結果が出るように予想されています。そして、このボーナス支給の増加は少なくとも当面の消費をサポートするものと期待されています。もちろん、いわゆる恒常所得仮説からすれば、ボーナスは恒常所得の外数であって、消費に対しては大きな影響を及ぼすものではない、と考えられていますが、さはさりながら、なかなか賃金が上がらない中でボーナスが増えれば財布の紐が緩むのは当然だという気がします。
下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。最近時点では、ボーナスだけでなく毎月のお給料も同じ傾向ではないかという気がしますが、1人当たりの支給額はそれほど大きく増加しないんですが、正社員化の進展や非正社員の待遇改善などにより支給対象者が増加する寄与が大きくなっており、マイクロな雇用者あたりの賃上げやボーナスの増加はやや伸び率が低いものの、マクロの支給総額はかなりの増加を示すようになっています。

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2017年11月13日 (月) 23:26:00

企業物価(PPI)は国内物価の前年同月比上昇率が3%を超えて拡大!

本日、日銀から10月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の企業物価指数、前年比3.4%上昇、9年ぶり伸び率
日銀が13日に発表した10月の企業物価指数(2010年=100)は99.4で前年同月比で3.4%上昇した。上昇は10カ月連続。上昇率は市場予想の中央値(3.1%)を上回り、消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来9年ぶりの大きさとなった。世界経済の回復や産油国による減産を背景にした国際原油相場の持ち直しで、石油・石炭製品価格が上昇した。
前月比では0.3%上昇した。石油・石炭製品のほか、ナフサの相場上昇を背景にエチレンやプロピレンといった化学製品も値上がりした。堅調な世界景気や中国での環境規制による供給抑制を背景に銅やアルミニウムの国際相場が上昇し、銅地金やアルミニウム合金といった非鉄金属の価格も上昇した。農林水産物も値上がりした。飼料米への転作により食用米の供給減少で玄米や精米の価格が上がったほか、不漁で塩サケやイクラも値上がりした。
円ベースでの輸出物価指は前年比で9.7%上昇し、13年12月(12.7%)以来の高い伸び率となった。前月比では1.7%の上昇だった。化学製品や金属・同製品が値上がりした。輸入物価は前年比15.3%上昇し、伸び率は13年12月(17.8%)以来の大きさだった。前月比では2.6%上昇した。石油・石炭・天然ガスの価格上昇が大きく寄与した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは378品目、下落は263品目となった。下落品目と上昇品目の差は115品目で、9月の確報値(110品目)から5品目増えた。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で見て、今年2017年1月に入ってプラスに転じ、+0.5%の上昇を示した後、いきなり2月には+1.1%の上昇と+1%に達し、さらに、4月には+2.1%の上昇と+2%に届き、前月の9月統計には+3.1%の上昇と+3%に乗せ、直近の10月統計では+3.4%にまで上昇幅が拡大しています。大きな上昇を示しているのがエネルギーと非鉄金属などの商品系ですので、国際商品市況における価格上昇の影響が大きいんですが、円安による国内価格押上げ圧力も見逃せません。例えば、国内物価のうちの石油・石炭製品は10月には前年同月比で+15.8%、また、非鉄金属は+22.4%の上昇をそれぞれ示しましたが、輸入物価のうちの石油・石炭・天然ガスの前年同月比は円ベースで+35.4%の上昇を示した一方で、契約通貨ベースでは+24.9%にとどまっていますし、同じく輸入物価の金属・同製品は円ベースで+30.3%の上昇ながら、契約通貨ベースでは+21.5%の上昇です。従って、石油をはじめとするエネルギーにせよ、非鉄などの金属にせよ、この円ベースと契約通貨ベースの上昇率の差の約+10%くらいは、主として円安による影響ということが考えられます。加えて、引用した記事にもある通り、農林水産物も上昇しており、+0.3%あった国内物価の前月比寄与度では玄米、精米、鶏卵などの農林水産物の寄与度は+0.08%に上っており、また、石油価格上昇の影響でエチレン、プロピレン、触媒などの化学製品も+0.07%の寄与を示しています。
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2017年11月10日 (金) 21:44:00

来週公表予定の1次QE予想は7四半期連続のプラス成長か?

先週火曜日の鉱工業生産指数(IIP)や雇用統計などで、ほぼ必要な統計が出そろい、来週の11月15日に7~9月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の7~9月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、テーブルの上から4機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研とニッセイ基礎研なんですが、続く2機関、第一生命経済研と伊藤忠経済研のリポートにも何らかの先行きに関する言及があり、ほとんど1次QE予想だけで終始していたのは三菱系2機関だけでした。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。なお、どうでもいいことながら、前回までリポートがオープンにされていた三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所については、「レポートを閲覧いただくには、当社の口座およびオンライントレードの契約が必要」ということになったらしく、私には利用可能でなくなってしまいました。悪しからず。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.6%)
10~12月期を展望すると、国内需要については、高水準の企業収益を背景に、設備投資が底堅く推移するとみられるほか、個人消費も、雇用所得環境の改善や株価の上昇に伴う資産効果などを下支えに、再び緩やかな増加基調に復帰する見込み。輸出も、世界的な設備投資意欲の改善などを背景に、増加基調が続く見通し。新型スマートフォン関連の電子部品の需要動向や、自動車メーカーの不正検査問題が、サプライヤーを含めた企業の生産活動に与える影響などが懸念されるものの、底堅い内外需を背景に、プラス成長となる見込み。
大和総研+0.2%
(+1.0%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、FedやECBの出口戦略に伴う外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.2%
(+0.9%)
10~12月期以降を展望すると、海外経済の回復を背景に輸出の増勢が続くとともに、内需も再び増加基調に復することで、日本経済は緩やかな回復基調を維持するとみている。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.5%)
先行きについては、輸出が底堅さを維持する中、企業収益の改善を背景に設備投資の伸びが高まることが予想される。一方、名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から家計部門は厳しい状況が続きそうだ。2017年度中は企業部門(輸出+設備投資)が経済成長の中心となる可能性が高い。
第一生命経済研+0.4%
(+1.6%)
4~6月期の段階では、輸出の牽引力が落ちてきた一方で内需の回復力が増してきたとの声も聞かれたが、7~9月期と均してみれば、結局のところ輸出は海外経済の回復を背景に引き続き増加、個人消費は緩やかな持ち直しにとどまるといった形になる。企業部門主導での成長が続いているという評価になるだろう。先行きもこうした構図が続くとみられ、輸出と設備投資を中心にした企業部門主導の景気回復が続くとみられる。
伊藤忠経済研+0.5%
(+2.2%)
今後も輸出は拡大基調を維持し景気回復を後押しする一方、設備投資の拡大は循環的にピークアウトする可能性もあるため、日本経済が回復基調を維持するためには個人消費の復調が不可欠であり、その条件が賃金の十分な上昇である状況に変化はない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.4%
(+1.5%)
2017年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率換算+1.5%)と7四半期連続でプラスとなったと見込まれる。景気が持ち直していることを確認する結果となろうが、内需の伸びは弱く、外需主導での成長となった模様である。
三菱総研+0.4%
(+1.6%)
2017年7-9月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.4%(年率+1.6%)と7四半期連続のプラス成長を予測する。前期の反動もあり内需は横ばいにとどまるものの、好調な輸出を背景に外需が増加したと予想する。


ということで、多くのシンクタンクでは7四半期連続のプラス成長と、順調な景気拡大を見込んでいるようです。ただし、成長の牽引役については、今年2017年4~6月期は外需寄与度がほぼほぼゼロの内需主導型の成長を達成した後に、7~9月期では、逆に、内需の寄与度がほぼほぼゼロで外需主導型の経済成長になっているのが特徴的であり、シンクタンクによっては温度差があるんですが、7~9月期の外需主導型成長について批判的なシンクタンクがある一方で、4~6月期と7~9月期をならしてみてOKとするシンクタンクがあるのも確かです。上のテーブルに取り上げたシンクタンクの中でいえば、前者の典型は三菱UFJリサーチ&コンサルティングであり、後者の典型は第一生命経済研です。どちらに重点を置くかについては、エコノミストの考え方次第なんですが、四半期ごとに経済成長の内容を吟味する考え方はそれなりに重要な気もしますが、少しやり過ぎのキライもあるのかもしれません。いずれにせよ、目先の先行きについても緩やかながら回復・拡大基調が継続するという見方が多いように私は受け止めています。ただし、家計の消費は停滞気味であり、企業部門主導の成長が見込まれています。
下のグラフは、いつもお世話になっているニッセイ基礎研のサイトから引用しています。

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2017年11月09日 (木) 19:36:00

大きく減少した機械受注と着実な上昇を続ける景気ウォッチャーと黒字が拡大する経常収支!

本日、内閣府から9月の機械受注が、また、同じく内閣府から10月の景気ウォッチャーが、さらに、財務省から9月の経常収支が、それぞれ公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比前月比▲8.1%減の8105億円を記録し、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.9ポイント上昇して52.2を、先行き判断DIは+3.9ポイントも大きく上昇して54.9を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2兆2712億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の機械受注8.1%減、製造業が反動減、非製造業も低調
内閣府が9日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ8.1%減の8105億円と3カ月ぶりに減少した。製造業が前月の大幅増の反動で減少したほか、非製造業も低調だった。ただ、内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
製造業は5.1%減の3921億円だった。前月に堅調だった食品製造業を中心に減少が目立ち、全体の重荷になった。汎用・生産用機械は運搬用機械や工作機械が減少した。
非製造業は11.1%減の4329億円だった。4カ月ぶりに前月を下回った。金融業・保険業のネットワークやシステム関連機器の受注が低調で、国内の鉄道車両の受注も一服した。
10~12月期の見通しは前期比3.5%減となった。7~9月期にスマートフォン向けなどが堅調だった半導体製造装置を中心に、製造業で慎重な見方が出た。非製造業は9月に大きく落ち込んだものの、建設業などで持ち直しの期待があるという。10~12月期の業種別の見通しは、製造業が9.4%減、非製造業が0.9%増だった。
10月の街角景気、現状判断指数が2カ月連続改善 好業績支え
内閣府が9日発表した10月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比0.9ポイント上昇の52.2と2カ月連続で改善し、2014年3月以来の高さとなった。国内企業の堅調な業績推移を受けて企業動向が大幅に上向き、雇用も一段と上昇した。先行きも楽観的な見方が目立ち、内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」で据え置いた。
部門別にみると企業動向が4.1ポイント改善し56.4、雇用は3.3ポイント改善し60.3と、それぞれ上昇した。半面、家計動向は台風の影響などで0.5ポイント低下の49.6とやや弱含んだ。
街角では企業動向について「取引先から売り上げ減少等のマイナス要因を聞くことがない」(九州の金融業)など、業績改善を指摘する声が多かった。「北米向け多目的スポーツ車(SUV)の輸出が好調」(北関東の輸送用機械器具製造業)など、良好な外需も意識された。雇用は「求人数の増加が顕著で、正社員求人も増加している」(九州の職業安定所)との指摘があった。小幅に下げた家計動向では台風の影響で客足が鈍化したとの声があった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は3.9ポイント上昇の54.9。台風の悪影響の一巡や株高による富裕層の消費拡大が、百貨店など小売り関連の見通し改善につながった。家計関連が4.2ポイント上昇の54.4となるなど、企業動向、雇用を含む3指標がそろって上昇した。
9月の経常収支、2兆2712億円の黒字 9月として10年ぶり黒字幅
財務省が9日発表した9月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆2712億円の黒字だった。黒字は39カ月連続で、前年同月に比べて4069億円黒字額が拡大した。黒字額は9月としては2007年(2兆8814億円)以来10年ぶりの高水準だった。貿易黒字の拡大や第1次所得収支の大幅黒字が寄与した。
貿易収支は8522億円の黒字と前年同月に比べて黒字額が1850億円拡大した。原動機や半導体電子部品の好調で輸出が14.4%伸びた。原粗油や石炭などエネルギー関連の増加で輸入も12.7%伸びたが、輸出が上回った。
第1次所得収支は1兆7025億円の黒字と、黒字幅が1925億円拡大した。円安を背景に海外子会社から受け取る配当金が増えた。
サービス収支は758億円の赤字と、赤字幅が171億円縮小した。訪日外国人の増加を背景に旅行収支が1002億円の黒字と9月としての過去最高を記録。知的財産権使用料の受け取りが増加したことも寄与した。
同時に発表した17年度上半期(4~9月)の経常収支は11兆5339億円の黒字だった。前年同期に比べて黒字額が1兆2094億円拡大し、同期間としては07年度(12兆4816億円の黒字)以来の高水準だった。貿易収支は2兆6869億円の黒字、第1次所得収支は10兆3823億円の黒字だった。旅行収支は8429億円の黒字と半期ベースで過去最高となった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。でもさすがに、統計に関する記事を3本も並べると、とても長くなってしまいました。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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コア機械受注については、季節調整済みの系列の前月比で見て、7月+8.0%増、8月+3.4%増を受けての反動減もあって9月統計では▲8.1%減と落ち込みましたが、季節調整済みの四半期系列でならして見ると、前期比で今年に入ってからは1~3月期▲1.4%減、4~6月期▲4.7%減の後、7~9月期は+4.7%増を記録したものの、10~12月期の見通しは▲3.5%減と見込まれており、10~12月期は特に製造業で大きく落ち込む見通しとなっています。9月統計の実績と10~12月期の見通しを受けて、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いています。先月に「足踏み」から「持ち直しの動き」へと明確に1ノッチ引き上げたところなので、なかなか難しいところですが、少なくとも統計を素直に見る限り、また、上のグラフを単純に見れば、それほど上向く気配もなく、ならせば2015年くらいから横ばいなんではないか、と私は受け止めています。ただし、足元や目先ではなく来年度以降について考えると、全体として業種横断的に、労働需給のひっ迫を背景とした合理化・省力化投資が見込まれる一方で、業種別には、製造業では更新投資とともに、維持・補修に関する投資が期待されるものの、能力増強に対する投資意欲は高くないように見受けられ、本格的な設備投資の増加には、輸出も含めて、さらなる需要の盛り上がりが必要であり、他方、非製造業ではインバウンド消費への対応や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備向けの投資が増加すると見込まれます。ですから、決して先行きについて悲観はしているわけではないんですが、足元から目先の年内くらいは一進一退の動きが続くんではないかと私は見込んでいます。ただ、グラフは示しませんが、四半期データが利用可能となり、達成率も明らかにされましたが、7~9月期のコア機械受注の達成率は約100%であり、エコノミストの経験則である90%ラインを割るような局面ではありません。ご参考まで。

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続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。供給サイドの典型的なマインド指標である景気ウォッチャーですが、かなり高い水準を続けており、この好調なマインドが景気の回復・拡大を支えている面もあります。ただ、私の直観的な観察結果として、2015年中くらいまでは景気ウォッチャーにおいて家計部門と企業部門の差は大きくなかったんですが、昨年2016年に入ってから家計部門と企業部門で差がつき始め、この2017年10月統計ではかなり差が拡大したんではないかと懸念しています。すなわち、6か月ごとくらいに現状判断DIを見ていくと、2年前の2015年10月時点では家計動向関連50.6に対して、企業動向関連49.4だったんですが、1年半前の2016年4月には家計38.7、企業43.2と逆転し、1年前の2016年10月には家計46.6と企業50.4にともに改善を示しつつ、差も縮小したんですが、直近の2017年10月統計では家計49.6と企業56.4と大きな差がついてしまいました。街角景気はかなり正確で、私の直観でも現在のいざなぎ超え確実の景気拡大は家計部門ではなく企業部門が牽引しています。企業行政はかなり好調で内部留保は積み上がっているんですが、賃金で家計に還元して消費の原資として購買力をつけたり、あるいは、設備投資により企業間や産業間で好調な企業業績がスピルオーバーしたりしてはいないように見受けられます。家計にとっては、景気ウォッチャーの第3のコンポーネントである雇用関連が、2017年10月には現状判断DIがとうとう60に乗せるほどの好調なのが救いなんですが、囚人のジレンマのように各企業がひたすら内部留保を溜め込むばかりで、賃金にも、設備投資にもスピルオーバーを試みない現状をどのように打破するかが、景気回復・拡大をさらに息の長いものとするために考えなければならないのかもしれません。

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最後に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、貿易黒字と1次所得収支の黒字が大きくなっています。円安に伴って円建て額が膨らんだことに加え、引用した記事にもある通り、インバウンド消費により旅行収支につれてサービス収支が改善しています。震災や国際商品市況における石油価格の上昇などから、経常収支は赤字化したり、あるいは、黒字幅が大きく縮小していましたが、すっかり震災前の水準に戻ったように見受けられます。ただし、米国のトランプ大統領はすでに日本を離れましたが、かつての勢いある経済を擁していた日本でしたら対外摩擦になりかねないほどの黒字を積み上げている気がします。7~9月期のGDP統計は来週水曜日11月15日の公表ですが、おそらく、7~9月期における経常収支のGDP比は4%を超えているんではないかと思います。サブプライム・バブル期末期の2007年ころの+5%近い水準には達しませんが、1990年代半ばの当時の米国クリントン政権期に日米包括協議に引っ張り出された私としては、やや気にかかるところです。
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2017年11月08日 (水) 19:43:00

9月の景気動向指数は下降するも景気拡大期間はいざなぎ超えを確認!

本日、内閣府から8月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月比▲0.6ポイント上昇して106.6を、CI一致指数も▲1.9ポイント下降して115.8を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気拡大、いざなぎ超え確認 9月動向指数「改善」
2012年12月に始まった今の景気拡大の長さが高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さになった。内閣府は8日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)の基調判断を最も強気の「改善を示している」に11カ月連続で据え置いた。公式には時間をおいて判断するが、暫定的に今の景気拡大は9月で58カ月間に達した。
CIは生産や雇用などの経済指標の動きを総合して算出し、景気の方向感を示す。景気回復の期間などは正式には専門家でつくる内閣府の研究会が決めるが、内閣府はCIをもとに毎月、景気の基調を機械的に判断している。
茂木敏充経済財政・再生相は9月25日の月例経済報告で既に現在の景気は「いざなぎ景気を超えた可能性がある」との認識を示していた。今回の景気動向指数の判断により、これが暫定的に確認された。
いざなぎ景気は1965年11月から70年7月まで57カ月間続いた。今の景気拡大が2019年1月まで続けば、02年2月から73カ月間続いた戦後最長の景気回復を抜くことになる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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ついつい、メディアの論調の尻馬に乗ったタイトルを採用してしまいましたが、実は、私は景気拡大期間がいざなぎ景気を超えたかどうかとか、ましてや戦後最長かどうか、にはそれほど興味はないものの、まあ、景気拡大期間が短いよりは長い方が好ましく、逆に、景気後退期間は短い方が好ましい点については、ほとんどすべてのエコノミストが一般論として同意するんではないかと思います。「ほとんどすべて」であって、「すべて」ではないのは、いまだに清算主義的な考えを持つ人もいなくはなく、景気後退期間が十分な期間あって、例えば、非効率な企業の市場からの退出などが、次の景気拡大期を健全なものにする、という考え方が一掃されたわけではないからです。私は企業部門もさることながら、雇用へのダメージの方をより重視するタイプのエコノミストですので、景気後退期間は短く浅い方が望ましいと考えています。ということで、本来の目的に立ち返って、9月の景気動向指数を概観しておくと、実は、9月統計はCI一致指数、CI先行指数とも下降を示しています。一致指数については、トレンド成分だけの寄与の項目を除いてプラス寄与は商業販売額(小売業)(前年同月比)だけとなっており、投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)などが、この順で軒並みマイナス寄与しています。先行指数については一致指数ほど極端ではありませんが、それでも、日経商品指数(42種総合)、消費者態度指数、新設住宅着工床面積、マネーストック(M2)(前年同月比)などがプラス寄与している一方で、中小企業売上げ見通しDI、最終需要財在庫率指数、鉱工業用生産財在庫率指数、新規求人数(除学卒)がマイナス寄与となっています。また、内閣府が公表している「『CIによる景気の基調判断』の基準」に従えば、景気拡大の基準は「原則として3か月以上連続して、3か月後方 移動平均が上昇」なんですが、実は、9月統計のCI一致指数の3か月後方移動平均の前月差は8月統計の+0.63から大きく低下して▲0.33を記録しています。ただ、「拡大」の次のステージである「足踏み」の定義が「3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」ということですので、前半の符号のマイナス変化は当てはまるものの、後半のマイナス幅基準が1標準偏差に達しない、ということなんだろうと認識しています。
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2017年11月07日 (火) 23:12:00

毎月勤労統計に見る実質賃金は上昇に至らず4か月連続で前年比マイナス!

本日、厚生労働省から9月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+0.6%増を示し、また、現金給与指数は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.9%増となった一方で、現金給与総額を消費者物価(CPI)でデフレートした実質賃金は前年同月比で▲0.1%のマイナスとなっています。さらに、今年2017年の夏季賞与についても統計が明らかにされており、5人以上事業所で+0.4%と低い伸びにとどまっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の実質賃金0.1%減、4カ月連続マイナス
厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.1%減少した。4カ月連続でマイナスだった。賃金の増加が物価上昇になお追いつかない現状を映す。厚労省が同日公表した2017年夏のボーナスは36万6502円となり、前年比0.4%増加した。
9月の名目賃金にあたる従業員1人当たりの現金給与総額は26万7427円と、前年同月に比べ0.9%増えた。16年7月(1.2%増)以来、1年2カ月ぶりの増加幅となった。他方、9月の消費者物価指数が0.9%上昇となったため、結果として実質賃金を押し下げた。
名目賃金の内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が前年同月比0.7%増の24万2143円だった。残業代を示す所定外給与は0.9%増。その他特別に支払われた給与は前年同月比で11.6%増加した。
夏のボーナスは人手不足が深刻な中小企業を中心に増えた。事業所の規模別にみると、従業員が5~29人の事業所では前年比2.0%増、30~99人の事業所では3.6%増となった。規模が500人以上の事業所は2.8%減った。業種別では医療・福祉(前年比2.8%増)や教育・学習支援業(1.5%増)などで増加が目立った。


やや賃金に関して集中的に報じている印象がありますが、まずまずよく取りまとめられている気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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ということで、上のグラフに沿って見ていくと、まず、景気と連動性の高い製造業の残業時間については、鉱工業生産指数(IIP)とほぼ連動して9月は増加に転じています。次に、報道でも注目を集めた賃金については、名目賃金は前年同月比で上昇しています。ただ、本格的なデフレ脱却はまだながら消費者物価(CPI)が上昇していることから、実質賃金はわずかながら前年から減少しており、引用した記事に盛る通り、4か月連続のマイナスです。ただ、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。マインドは株価の上昇とともに、かなり上向いてきており、冬のボーナスをはじめとして、所得のサポートあれば消費はさらに伸びを高めるんではないかと予想しています。

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11月公表の毎月勤労統計では、恒例により夏季賞与の統計が明らかにされています。上から順に、ボーナスの増減、産業別の伸び率、産業別の支給額です。2017年夏の賞与は+0.4%増と、昨年2016年の+2.3%には遠く及びませんでした。2番目のパネルを見て判る通り、もっとも伸びが大きかったのが生活関連サービス等、逆に、もっとも下げ幅が大きかったのが飲食サービス等なんですが、ともに支給額では大きくありません。そろそろ、冬のボーナスの予想がいくつかのシンクタンクから明らかにされる季節になって来ました。例年のペースなら今週中には出そろうんではないかと思います。また、日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年11月06日 (月) 21:29:00

インテージ調査による「スマートテレビのログデータから見た都道府県別視聴実態」の結果やいかに?

3連休も終わって、お天気がよくて外出も多かったんですが、やっぱり、テレビもよく見ました。渡しの場合は日本シリーズのテレビ観戦だったんですが、昨日は駅伝もやっていたようですし、スポーツの空きが花盛りなのかもしれません。ということで、大手調査会社のインテージから10月31日に、「スマートテレビのログデータから見た都道府県別視聴実態」の結果が明らかにされています。図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、インテージのサイトから 都道府県別テレビの総接触率 の地図を引用しています。平たくいえば、色が濃いほどテレビをよく見ている、ということなんだろうと思います。トップスリーは、北海道が26%で6時間8分、宮城県が24%で5時間50分、秋田県が同じく24%ながら5時間49分、となっており、逆にテレビを見ている時間が短いのが、鳥取県が17%で4時間5分、福井県が19%で4時間35分、宮崎県が20%で4時間41分、となっています。最長の北海道と最短の鳥取県では2時間超の差があり、北海道の人は平均的に鳥取県の人の1.5倍ほどの時間テレビを見ているわけです。何を見ているかにもよるんでしょうが、大宅壮一がテレビを称して「一億総白痴化」と称していますから、何となくイメージは湧きます。

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次に、上のグラフは、インテージのサイトから 時間帯別テレビの総接触率 のグラフを引用しています。全国平均と北海道に次ぐ第22位の総接触率の秋田県をプロットしています。見れば判る通り、朝の7時台と夜の20時台にピークがあり、お昼の12時台にも小さなピークがあります。それぞれ、通勤・通学前の朝の支度時間帯と夜の夕食後の一家団欒のひととき、加えて昼休みなんだろうと理解しています。赤いラインの秋田県は3つのピークすべてで全国を上回っていて、ほかの時間帯でもおおむね全国よりも高い接触率なんですが、唯一、深夜だけは下回っています。青森県のデータによれば、青森県は早寝も早起きも全国一番だそうで、そのあたりが影響しているのかもしれません。

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最後に、上のグラフは、インテージのサイトから 2017年夏の甲子園決勝の接触率 のグラフを引用しています。全国平均と決勝進出校の地元である広島県と埼玉県の数字です。何となくのイメージながら、一般論として、プロ野球球団もある広島県の方が首都圏の埼玉県よりも野球に熱心な気もしますが、地元校の大量得点のあたりから埼玉県でも熱が入り始め、試合終了直前はかなりのテレビ接触率を上げています。これも判る気がします。
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2017年11月03日 (金) 23:44:00

米国雇用統計は先月のハリケーンの反動で雇用者の大幅増を記録!

本日、米国労働省から10月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+261千人増と、市場の事前コンセンサスだった+300千人超の増加には及びませんでしたが、先月の雇用統計に大きな影響を与えたハリケーンからのリバウンドで大きく増加を示しています。他方、失業率は前月からさらに▲0.1%ポイント下がって4.1%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなるのを覚悟の上で、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

U.S. employers add 261,000 jobs in October as hiring rebounds following hurricanes
U.S. employment snapped back last month after Hurricanes Harvey and Irma depressed payrolls in September, suggesting that the long expansion in the labor market remains solid, according to government data released Friday.
The nation's jobless rate fell a notch further in October, to a 17-year low of 4.1%, although not for the right reason: There was a large drop in the size of the labor force.
The unemployment figure has fallen sharply this year, from 4.8% in January. But even as the labor market has tightened, wage growth has remained stubbornly subdued.
Average hourly earnings for all private-sector workers dropped a penny in October, to $26.53, after jumping 12 cents in the prior month. Over the last 12 months, average pay for workers has risen just 2.4%.
Last month's job growth of 261,000 was less than the 310,000 or so that analysts were expecting, but the September payroll change was revised higher - from a loss of 33,000 jobs initially reported to a small gain of 18,000. Job growth for August also was stronger than previously estimated.
Taking the last three months together, employers added on average 162,000 jobs a month. That is down slightly from last year and the first half of this year, but still well above what's needed to absorb the natural increase in the workforce population.
The storms that swept Texas and Florida took a particularly big toll on employment at restaurants and bars, but most of those losses were reversed last month as workers returned to their jobs.
There was also robust hiring last month at higher-paying professional and business services. Healthcare had a solid month, and manufacturing employment rose by 24,000 across various industries. Manufacturing has added 156,000 jobs since last November, the Labor Department said.


長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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要するに、9月統計におけるハリケーンの雇用への悪影響のリバウンドが10月統計に出たわけで、さらに加えて、9月統計も非農業部門雇用者数の前月差がマイナスからプラスに上方修正されていますので、9月の雇用者増+18千人と10月の+261千人をならせば、月当たりで約+140千人増ということになります。少しさかのぼってみて、8月の+208千人増には及びませんが、7月の+124千人像を超えた水準といえます。例えば、ハリケーンの影響をもっとも強く受けた産業のひとつである Leisure and hospitality では、9月が▲102千人減の後、10月統計では+106千人増と見事なリバウンドを見せています。ですから、この9月と10月をならしてみた雇用者増と失業率の水準を考え合わせると、おそらく、米国連邦準備制度理事会(FED)が12月の公開市場委員会(FOMC)で利上げ、という市場の予想になるんだろうという気がします。ひょっとしたら、パウエル理事の次期議長への指名も隠し味になっているのかもしれません。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、10月は前年同月比で+2.4%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で物価に波及させることなく賃金上昇を吸収しているとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面なのかもしれません。
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2017年11月02日 (木) 19:58:00

消費者態度指数は2か月連続で上昇し基調判断は「持ち直し」へ!

本日、内閣府から10月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.6ポイント上昇し44.5を記録しています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「ほぼ横ばい」から「持ち直している」へ上方修正しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の消費者態度指数、4年1カ月ぶり高水準 株高が貢献
内閣府が2日発表した10月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.6ポイント上昇の44.5だった。上昇は2カ月連続。株価上昇などを受け心理が好転した。前月は0.6ポイント上昇の43.9だった。内閣府は消費者心理の基調判断を前月までの「ほぼ横ばいとなっている」から「持ち直している」へ上方修正した。
10月は日経平均株価が2万円を上回って上昇を続けたなか、資産効果などで消費者の心理が改善した。指数の水準は2013年9月以来4年1カ月ぶりの高さとなった。
指数を構成する意識指標は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」のすべてが前月を上回った。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)については「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より1.3ポイント高い77.5%と3カ月連続で上昇した。「低下する」との見通しは2カ月ぶりに低下し、「変わらない」は横ばいだった。調査基準日は10月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5858世帯(回答率69.7%)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数については、先日の鉱工業生産指数と同じで、今年に入ってから隔月で上げ下げを繰り返していたんですが、9月10月と2か月連続で上昇を示しました。統計作成官庁である内閣府が基調判断を上方修正したのも理由のあることです。すなわち、引用した記事にもある通り、指数の水準は2013年9月以来4年1か月振りの水準に達していますし、加えて、消費者態度指数のコンポーネントである「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4項目すべてが前月差でプラスを記録しています。もちろん、コンポーネントごとに温度差はあり、前月差では暮らし向きが+0.5ポイント、収入の増え方が+0.7ポイント、の2項目は標準的な上げ幅であるのに対して、雇用環境が+0.9ポイントと大きく上げた一方で、耐久消費財の買い時判断は+0.1ポイントに終わっています。耐久消費財の買い替えサイクルの復活とそれに伴う価格下落のストップが何らかの影響を及ぼしている可能性はありますが、家計消費の源泉である所得を稼ぎ出す雇用環境に対するマインド向上は評価すべきだという気がします。最後に、報道にある株高の影響は、当然に考えられるんですが、どこまでの寄与があったのか、なかったのか、記者会見で統計作成官庁からのリップサービスだけでは、何ともいえない気がします。

来週あたりに、いくつかのシンクタンクから冬季ボーナスの予想が明らかにされることと思いますが、なかなか強いマインドを背景にボーナスがたんまり出ると消費は活気づきそうな気もします。先日10月20日付けで、ニッセイ基礎研の「中期経済見通し」を取り上げた際にも強調しておいたように、現在の消費の低迷は、家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄ではなく、可処分所得の伸び悩みが原因である、と私は考えています。所得のサポートがあれば、消費はさらに伸びると考えるべきです。
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2017年10月31日 (火) 23:28:00

順調な回復を示す鉱工業生産指数(IIP)と完全雇用に近い結果の雇用統計とまたまた物価上昇率の見通しが下方修正された「展望リポート」!

今日は、月末の閣議日であり、いくつか主要な政府経済統計が公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも9月の統計です。鉱工業生産指数 (IIP)は季節調整済みの系列で前月比▲1.1%の減産を示し、雇用統計では失業率が2.8%、有効求人倍率が1.52倍といずれも前月と同じ水準を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、9月1.1%低下 電子部品振るわず 基調判断据え置き
経済産業省が31日発表した9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は102.4と、前月に比べ1.1%低下した。低下は2カ月ぶり。スマートフォン(スマホ)向けの電子部品やディスプレー製造装置などが振るわなかったことが響いた。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いた。
全15業種のうち9業種で前月を下回った。最も低下に寄与したのは電子部品・デバイス工業(5.6%低下)で、中小型液晶素子や半導体集積回路などスマホやタブレット端末に使われる電子部品の生産が落ち込んだ。輸出が伸び悩んだほか、有機ELへ代替する動きも生産絞り込みに影響した可能性がある。汎用・生産用・業務用機械工業も2.4%低下した。ディスプレー製造装置や掘削機械など、受注生産する品目が多いため前月の反動が生じたとみられる。
一方、上昇したのは5業種だった。上昇に最も寄与したのは、美容品やモイスチャークリームといった化粧品の生産が好調だった化学工業で7.6%上昇した。石油・石炭製品や非鉄金属なども上昇しており、素材系の業種が目立った。プラスチック製品工業は前月比横ばいだった。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(前月比1.5%低下)は上回った。出荷指数は2.6%低下の99.2で、在庫指数は横ばいの107.3だった。在庫率指数は1.6%上昇の110.3となった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、10月は前月に比べ4.7%上昇、11月が0.9%低下となった。ただ予測には、神戸製鋼所(5406)の品質データ改ざん問題や、日産自動車(7201)やSUBARU(7270)の無資格検査問題の影響は織り込まれておらず、今後表面化する可能性もある。
正社員求人1.02倍、9月過去最高 人手不足より鮮明に
雇用情勢の改善が続いている。厚生労働省が31日発表した9月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.02倍で、前月より0.01ポイント上がった。統計をとり始めた2004年以降で最高となった。緩やかな景気回復に人手不足などが重なり、企業は正社員採用を増やして人材の囲い込みを進めている。ただ賃金への波及は鈍く、消費はなお勢いを欠いている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に何件の求人があるかを示す。パートタイム労働者らも含めた全体の有効求人倍率は1.52倍で、8月と同じだった。高度経済成長末期の1974年2月以来の水準で高止まりしている。
新たに出た求人をさす新規求人数は前年同月を5.6%上回った。業種別にみると、スマートフォン関連が好調な製造業が最も高く11.3%増だった。慢性的な働き手不足に直面している運輸・郵便業(10.2%増)や医療・福祉(8.6%増)も伸びが大きかった。
求人を出しても企業は思い通りに採用できていない現状がある。実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は14.9%。インターネットで企業の採用サイトに直接求職するといった場合を含まないため「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
総務省が31日発表した9月の完全失業率は、前月と同じ2.8%だった。求人があっても職種や勤務地など条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%程度とされる。3%割れは働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にあるといえる。
正社員は3483万人で、前年同月より76万人増えた。伸び幅は1年5カ月ぶりの大きさだった。非正規社員は2万人減り、7カ月ぶりに減少に転じた。また15~64歳の人口に占める就業者の割合を示す就業率は75.8%で、前年同月より0.8ポイント上がった。比較可能な1968年以降で最高を記録した。
雇用改善の割に消費の回復は勢いを欠く。総務省が同日発表した9月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯当たり消費支出は26万8802円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月を0.3%下回り、2カ月ぶりに減少した。
気温が高かった前年の反動で、エアコンなど家庭用耐久財が17.9%減と大きく落ち込んだ。ゴルフのプレー料金や宿泊料など教養娯楽サービスも5.0%減った。「敬老の日を含む連休に台風が直撃したため」(総務省)という。食料や衣料品への支出は増えており、消費の基調判断は「持ち直してきている」として据え置いた。
消費持ち直しが緩やかなため、物価上昇ペースも緩慢だ。9月の消費者物価指数(CPI)は値動きの激しい生鮮食品を除く総合で、前年同月比0.7%上昇となったが、主因のエネルギーも除くと、伸び率は0.2%にとどまる。家計の節約志向も根強く、小売り大手による日用品などの値下げが消費を下支えしている面もある。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2本の統計に関する記事を並べるとやや長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は、続く雇用統計とも共通して、景気後退期を示しています。

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生産については、ここ1年でほぼほぼジグザグの動き、すなわち、隔月でプラスとマイナスを繰り返す変動をもって推移して来ていますが、9月統計ではマイナスの減産と出ました。鉱工業生産指数(IIP)の季節調整済み系列の前月比で見て、ここ半年6か月間の浮き沈みを追うと、4月+4.0%、5月▲3.6%、6月+2.2%、7月▲0.8%、8月+2.0%、そして、9月▲1.1%となります。どのペアで見るかにもよりますが、おおむね、絶対値でプラスの方がマイナスより大きく、統計作成官庁である経済産業省の基調判断も「生産は持ち直しの動き」で据え置かれています。先行きについては、製造工業生産予測調査に従えば、10月+4.7%の増産の後、11月は▲0.9%の減産とされており、この統計は過大推計のバイアスがあることから経済産業省では予測誤差について加工しており、それでも、足元の10月については+2.4%±1%の増産と試算しています。11月は減産ということのようですが、引き続き、絶対値でプラスの増産の方が大きい傾向は続いており、緩やかながら生産は回復・拡大の方向にあると考えてよさそうです。もちろん、先行きのリスクは目白押しで、最大のリスクは米国連邦準備制度理事会による利上げを伴う出口戦略の成り行きです。そして、国内要因では製造業の品質に関わるスキャンダルです。すなわち、自動車では日産とスバルによる不正検査、そして、神戸製鋼の品質偽装などが、今後、国内市場だけでなく、海外においてもどのように展開するか、あるいは、他企業の不正事案が発覚するかどうか、などなど、エコノミストには追い切れないリスクのような気がします。

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本年2017年7~9月期の四半期データが利用可能となりましたので、久し振りに、在庫循環図を書いてみました。上の通りです。ピンクの上向き矢印の2013年1~3月期から始まって、黄緑の今年2017年7~9月期まで、この4年余りは一貫して景気拡張気だったんですが、在庫循環図は1周しています。2002年12月の月例経済報告の付属資料である鉱工業の在庫循環図と概念図を見るまでもなく、現在の足元の景気局面が意図的な在庫積み増し期という点は幅広い合意あることと思いますが、景気後退期があった可能性が示唆されているところ、景気循環日付では確認されていません。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。失業率も有効求人倍率も前月と同じながら、かなりタイトな労働需給を示しています。加えて、正社員の有効求人倍率も前月から横ばいのながら1.01 倍と高い水準にあります。さらに、雇用の先行指標と考えられている新規求人数は一段と伸びています。ただし、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、中小企業では人手不足が深刻化する可能性もあります。さらに、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用水準ではないかと私は考えています。

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加えて、一般職業紹介状況 (職業安定業務統計) から正社員とパートのそれぞれの有効求人倍率のグラフは上の通りです。いずれも、季節調整済みの系列です。引用した記事にもある通り、正社員の求人倍率は1倍を超えて高い水準にありますが、他方で、パートの求人倍率はさらに高い水準にあるものの、単月統計の結果ながら、直近の統計ではジワジワと上昇を続ける正社員有効求人倍率に対して、パートの方は6~8月の3か月連続の1.80倍からスリップして1.77倍に低下を見せています。もう少し継続的に統計を見極める必要がありますが、人手不足の中で求人の潮目に変化が現れつつあるのか、どうか、とても気にかかるところです。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2017年度+1.7~+2.0
<+1.9>
+0.7~+1.0
<+0.8>
 7月時点の見通し+1.5~+1.8
<+1.8>
+0.5~+1.3
<+1.1>
 2018年度+1.2~+1.4
<+1.4>
+1.1~+1.6
<+1.4>
 7月時点の見通し+1.1~+1.5
<+1.4>
+0.8~+1.6
<+1.5>
 2019年度+0.7~+0.8
<+0.7>
+2.0~+2.5
<+2.3>
+1.5~+2.0
<+1.8>
 7月時点の見通し+0.7~+0.8
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.3>
+0.9~+2.0
<+1.8>


最後に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合ですが、本日、「展望リポート」を公表しています。政策委員の大勢見通しは上の通りです。「展望リポート」 p.8 から引用しています。2017~18年度の物価上昇率はわずかながら7月時点での見通しから下方修正されています。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。
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2017年10月30日 (月) 22:41:00

順調な伸びを続ける商業販売統計の小売業販売額の死角は所得か?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.2%増の11兆2860億円と増加を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の小売販売額、前年比2.2%増 自動車販売が好調
経済産業省が30日発表した9月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.2%増の11兆2860億円だった。プラスは11カ月連続。自動車販売が引き続き好調に推移している。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
11カ月連続で前年実績を上回るのは、エコカー補助金や家電エコポイントの追い風が吹いていた2010年1~11月以来、約7年ぶり。
業種別でみると、最も増加寄与度が高かったのは自動車小売業で、前年同月に比べ5.9%増えた。新型車効果が継続しており、14カ月連続のプラスとなった。
次に高かった医薬品・化粧品小売業(5.8%増)は、訪日外国人(インバウンド)需要を取り込み高額商品の販売が伸長。例年より低温だったため風邪薬も売れた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.8%増の1兆4968億円だった。既存店ベースでは1.9%増加した。百貨店は全店ベースで2.1%伸びた。インバウンド需要で高額商品が好調なほか、肌寒い天気が続いたことで秋冬物の衣料の売れ行きも上向いたという。
コンビニエンスストアの販売額は2.1%増の9781億円だった。新規出店が続いていることもあり、55カ月連続で前年実績を上回った。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、昨年2016年11月に始まって、季節調整していない原系列の小売業販売額が前年同月比伸び率で見て11か月連続でプラスを記録しており、ドラッグストアにおけるインバウンド消費も含まれているとはいえ、インバウンドだけではなく国内の消費は底堅いと私は考えています。小売業販売額の内訳として、前年同月比の伸び率で高い順にいくつか業種を上げると、自動車小売業が+5.9%ぞう、さらに、医薬品・化粧品小売業が+5.8%増ですが、これにはGDPベースでは消費ではなく輸出と分類されるインバウンド消費も入っていると考えられます。続いて、織物・衣服・身の回り品小売業が+5.0%増を記録しています。燃料小売業の伸びも高いんですが、国際商品市況における石油価格の上昇に連動して名目値で伸びが高まっている気がします。ということで、足元の今年2017年9~10月も決して天候条件はよくなかったという印象を私は持っているんですが、気温が上がらず寒かっただけに秋冬物衣料が売れたのかもしれませんし、自動車や家電などの耐久消費財が、リーマン・ショック後の混乱やエコカー減税、家電エコポイント、消費増税などの政策的な攪乱要因が一巡し、自律的な買い替えサイクルがようやく復活しつつあるところではないかと受け止めています。統計作成官庁である経済産業省の基調判断も「持ち直しの動き」となっており、年度内くらいの先行きを含めて、消費は順調に回復・拡大を続けるものと期待しています。基本的には、雇用とマインドが消費をサポートするものと考えていますが、そろそろ経済財政諮問会議などで議論が始まった賃金の行方だけが気がかりです。先の総選挙でも企業の内部留保課税の議論が出た後、すぐにしぼんでしまいましたが、所得でサポートされなければ消費の持続性は長くない可能性も否定できません。合成の誤謬を克服して企業が賢明な経営判断を下すことを期待しています。
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2017年10月27日 (金) 20:11:00

消費者物価(CPI)の上昇率をどう評価するか?

本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI)が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコア消費者物価(コアCPI)の前年同月比上昇率は+0.7%と前月統計と同じ上昇幅を記録して9か月連続のプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の全国消費者物価、0.7%上昇 エネルギーが押し上げ
総務省が27日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.3と、前年同月比0.7%上昇した。8月も0.7%上昇だった。プラスは9カ月連続となる。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.8%上昇)は下回った。電気代や石油製品などエネルギーの上昇が押し上げた。
生鮮食品を除く総合では全体の52.8%にあたる276品目が上昇し、185品目が下落した。横ばいは62品目だった。
生鮮食品を含む総合では100.5と0.7%上昇した。台風の影響でサンマなど一部の魚介類が高騰した。生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.2%上昇の100.8だった。安売り規制の強化でビール類が引き続き高かったほか、高齢者医療費の自己負担額が引き上げられたことも影響した。
併せて発表した東京都区部の10月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が100.3と前年同月比0.6%上昇した。上昇は4カ月連続。電気代などエネルギーの上昇が押し上げた。一方、生鮮食品を含む総合は100.1と0.2%下落した。レタスなどの生鮮野菜が前年に高騰した反動で大きく下落した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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コアCPI上昇率は、6月+0.4%から7月+0.5%、8月+0.7%と徐々に上昇幅を拡大していて、ただし、9月は8月と同じ上昇幅でした。私の計算では、9月のコアCPI上昇率+0.7%に対する寄与を上のグラフにある4分割で考えると、大雑把にいって、エネルギーが+0.5%強、食料が+0.2%強あり、サービスがほぼゼロで、コア財が▲0.1%弱のマイナスとなっています。先行きについて考えると、エネルギー価格の動向が不透明ながら、引き続き根強い家計の節約志向に基づく価格引き下げ方向と人手不足とエネルギー価格などのコスト上昇に伴う価格引き上げの動きが入り混じっている気がします。国際商品市況における石油価格が急落しない限り、コアCPI上昇率がマイナスに落ち込んでデフレに戻る可能性は低い一方で、逆に、現状のままでは日銀のインフレ目標である2%に達するほどのコアCPIのプラス幅拡大も見込めないものと考えるべきです。おそらく、エネルギー価格の動向がそろそろ打ち止めになると私は考えていますので、コアCPI上昇率が+1%に達するかどうかくらいのタイミングで上昇幅の拡大は反転し、マイナスまで落ち込むかどうかは不明なものの、プラス幅はかなり確度高く縮小に向かう可能性がある、と覚悟すべきです。

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いつものCPI上昇率のグラフに加えて、上の通り、耐久・半耐久・非耐久消費財別の分類や基礎的・選択的支出別の上昇率をグラフにしたのが上の通りです。今回の物価上昇の質を考えるうえで参考となります。すなわち、一時は、サービスが人手不足に伴う賃金上昇に起因してプラスであった一方で、財はエネルギー価格に従ってマイナスだったんですが、エネルギー価格の反転上昇に伴って、最近時点では、半耐久財・非耐久財はサービス価格の上昇率を上回って推移しており、耐久消費財についてもエコカー減税や下で家電エコポイントなどの政策的なかく乱要因を脱して買い替えサイクルが復活したことに伴いグングンとマイナス幅を縮小しています。このまま賃上げが進まなければ、ますますエネルギー価格に反応した物価動向となる可能性が高いものと考えられます。昨日の経済財政諮問会議では3%賃上げが要請されましたが、今後の賃金動向が物価に及ぼす影響が注目されます。多摩、下のパネルの基礎的・選択的支出別の上昇率を見る限り、昨年2016年11月から基礎的支出の価格上昇率が選択的支出を上回り、しかも、今年2017年2月からは選択的支出の物価上昇がマイナスに落ち込む一方で、基礎的支出がプラス、加えて、今年2017年4月からはその上昇幅が+1%に達しており、生活必需品の物価上昇が大きくて、生活実感としては通常の買い物時の値上がりをヘッドライン上昇率以上に大きいと感じかねません。したがって、多くの国民の生活水準を維持するためには、ここでも賃上げが必要となっている我が国の経済実態を指摘しておきたいと思います。

最後に、先の総選挙の争点のひとつだった幼児教育と保育の無償化について、大和総研のリポートに試算結果が明らかにされており、「保育所保育料と幼稚園保育料がともに完全無償化されるケースは▲0.9%pt程度」の影響が全国コアCPIにある、と結論しています。ご参考まで。
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2017年10月26日 (木) 21:26:00

徐々に上昇幅を拡大する企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、日銀から9月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPI上昇率は+0.9%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.8%と、上昇幅は前月から大きな変化ないものの、徐々に上昇幅を拡大しつつ推移しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業向けサービス価格指数、前年比0.9%上昇 広告が寄与
日銀が26日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.8で、前年同月比0.9%上昇した。前年比での上昇は51カ月連続。0.9%は6カ月ぶりの大きさで前月比0.1ポイント拡大した。新聞、テレビ、ネット、雑誌のすべての広告が上昇に転じ指数全体を押し上げた。前月比でも0.1%上昇し、2カ月ぶりに伸びた。
特に上昇への寄与度が高かった新聞広告では住宅や自動車の出稿が増えた。「企業収益は好調で株価も高水準にあるが、企業の広告出稿意欲は依然として低く、伸びたのは一時的」(調査統計局)とみている。サービス全体としては「価格改定期ではないため小動きだが、人手不足の宅配便や土木建築サービスでは上昇傾向が続いている」(同)という。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは90品目、下落は22品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は68品目で、8月の確報値(49品目)から19品目増えた。上昇から下落を引いた差の68品目は消費税を除いたベースでは10年平均となった11年1月以降で過去最高だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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SPPIの前年同月比で見て、7月の+0.6%、8月+0.8%から9月+0.9%と徐々に上昇率を高めましたが、引用した記事にもある通り、上昇幅が拡大した中で大きい寄与を示しているのは広告です。前年比寄与度前月差で見て、広告全体で+0.12%とほぼ総合指数の押し上げに匹敵する寄与度を示していますが、特に、新聞広告が+0.04%、次いでテレビ広告が+0.03%、加えて、インターネット広告も+0.02%の寄与となっています。私の直観としては、広告は需給要因で動きの大きい項目となっており、プラスにせよ、マイナスにせよ、寄与度としては絶対値が大きい印象があります。引用した記事にもある通り、統計作成を担当している日銀では「一時的」と見ているようですが、8月から9月にかけてのSPPI統計ではプラスで出たわけですし、最近では需給要因を反映してプラス寄与となる月が増えている印象です。広告分類の前年同月比上昇率も8月▲0.8%のマイナスから、9月には+1.0%のプラスに転じています。SPPIのウェイトで約⅓(より正確には1000分の335)を占める諸サービスのうちで前年同月比上昇率で見て比較的高い伸びを示している項目として、土木建築サービス+4.9%、警備+3.1%、職業紹介サービス+2.3%、労働者派遣サービス+1.6%などが上げられますが、人手不足が原因で高い上昇率を示していると考えてよさそうです。エコノミストの中には、人口動態を考慮すれば人手不足は長期化するとの見通しも少なくなく、物価上昇や賃上げに結びつくんではないかと私は期待しています。

本日の経済財政諮問会議では、「経済・財政一体改革」などとともに、「賃金・可処分所得の継続的な改善・拡大について」が議題として取り上げられています。賃上げに関する民間議員提案は、労使交渉の当事者である榊原経団連会長を除く3名から提出されており、引き続き、政府が賃金引き上げに何らかの影響力を及ぼそうとする姿勢が見られます。私は今『スティグリッツのラーニング・ソサイエティ 生産性を上昇させる社会』を読んでいるんですが、市場の効率性を重視して政府介入を排する経済学から、賃上げも含めて、何らかの政府の介入による市場の方向付けを許容する経済学に、徐々に主流派経済学が方向転換しつつあるんではないかと感じ始めています。
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2017年10月24日 (火) 21:54:00

帝国データバンク「企業における喫煙に関する意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週10月16日に帝国データバンクから「企業における喫煙に関する意識調査」の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。まず、「企業における喫煙に関する意識調査」帝国データバンクのサイトから調査結果の要旨を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 自社の本社事業所もしくは主要事業所内の喫煙状況について、適切な換気がされている喫煙場所がある、または屋外に喫煙場所を設けている「完全分煙」が56.2%で最も高い割合となった。社内での喫煙を不可とする「全面禁煙」は22.1%と企業の5社に1社が実施。以下、「不完全分煙」(10.0%)、「特に喫煙制限は設けていない」(7.3%)、「時間制分煙」(3.4%)が続いた
  2. 本社事業所もしくは主要事業所において、何らかの喫煙制限を設けたことによる影響について、「職場内がきれいになった」と考える企業が61.2%で突出して高い。次いで、「安全面が向上した(火事のリスク低減など)」(34.3%)、「喫煙者と非喫煙者の公平性が向上した(業務中のたばこ休憩など)」(22.7%)、「業務の改善・効率化につながった」(11.5%)が上位にあがった
  3. 今後、法令等により職場や店舗などを含む公共施設の全面禁煙が実施された場合について、自社の業績に「影響はない」とする企業が69.3%で最も高かった。「プラスの影響がある」(8.0%)や「マイナスの影響がある」(7.9%)はいずれも1割弱となった
  4. 業種別にみると、「プラスの影響がある」のは、「教育サービス」「繊維・繊維製品・服飾品製造」「電気・ガス・水道・熱供給」「人材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」などが高い。「マイナスの影響がある」では、「飲食店」が47.6%と半数近くに上ったほか、「娯楽サービス」「旅館・ホテル」「各種商品小売」「飲食料品小売」など、個人向けの『サービス』や『小売』が上位となった


いつもながら、やたらと長い調査結果要旨なんですが、リポートからいくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから 主要事業所における喫煙状況 を引用しています。適切な換気がされている喫煙場所があったり、あるいは、屋外に喫煙場所を設けている「完全分煙」が 56.2%で最も高い割合となっています。私の勤務する役所もそうです。他方、社内における喫煙を不可とする「全面禁煙」は 22.1%ですから、企業の5社に1社だったことになります。以下、屋内に適切な換気がされていない喫煙場所がある「不完全分煙」が10.0%、「特に喫煙制限は設けていない」が7.3%、決められた時間に指定場所での喫煙が可能な「時間制分煙」が3.4%と続いています。何となく判る気がします。

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次に、上のグラフはリポートから 主要事業所における「全面禁煙」割合 を引用しています。規模別・業界別・地域別となっています。規模別で規模の小さな企業ほぼ「完全禁煙」の割合が高いのは、逆から見て、「完全分煙」にできないから、という理由のような気もします。私は喫煙しないので詳細不明ながら、大企業ほど「完全分煙」が多いような気がしないでもありません。それから、業種別で「不動産」がトップなのは少し意外だった気がします。もっとも、私の意識が低いのかもしれません。「金融」が2位なのは判る気がします。地域別では東京を含む南関東がトップで、近畿が2番めというのも判りやすくなっています。

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最後に、上のテーブルはリポートから 法令等による全面禁煙実施が自社業績に与える影響 を引用しています。プラスの影響では「教育サービス」の22.7%は当然な一方で、マイナスの「飲食店」47.6%はお客さんが飲食するフロアでのことなんだと理解していますが、私がよく利用する中では、カフェのスターバックスや一部のミスター・ドーナツなど、完全禁煙でもお客さんがいっぱい入って繁盛しているように見受けられますので、夜にアルコールを出すお店などが懸念しているのかもしれません。「娯楽サービズ」ではパチンコが私の頭に浮かんでしまいました。
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2017年10月23日 (月) 21:12:00

リクルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフ平均時給やいかに?

来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の9月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給は引き続き2%台で堅調に推移している一方で、派遣スタッフの平均時給は1年間ややマイナスを記録する月が多かった、すなわち、昨年2016年9月から今年2017年8月までの12か月のうち10か月で前年同月比マイナスとなっていましたが、直近のでーたでは2017年9月は+2.6%とジャンプアップしています。地域的には、関東、東海、関西で特に大きな差はないんですが、職種としてはデザイナー、Web関連、編集・制作・校正などのクリエイター系が+3.3%増と特に大きな伸びを示すとともに、医療介護・教育系がまだ水面下の▲0.1%減ながら、前月8月の▲1.2%や7月の▲1.0%などから大きくマイナス幅を減じています。給与水準が低い一方で求人ボリュームの大きな医療介護系が、全体としての派遣スタッフ給与の足を引っ張っているとの分析もありましたが、ここに来て、いろんな職種の給与の上昇が始まったのかもしれません。
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2017年10月20日 (金) 21:53:00

ニッセイ基礎研「中期経済見通し」を読む!

先週10月13日付けで、ニッセイ基礎研から「中期経済見通し」が明らかにされています。対象年度は2027年度までのほぼ10年間です。主要国別を含む世界経済の中期見通しと、もちろん、日本経済の見通しをセットでリポートにしています。今日びのことですから、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ニッセイ基礎研のサイトからリポートの要旨を4点引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 世界経済は緩やかな回復が続いているが、労働需給が引き締まる中でも賃金、物価上昇率は依然として低水準にとどまっている。今後10年間の平均成長率は先進国では過去10年平均を上回るが、新興国は少子高齢化に伴う潜在成長率の低下などから過去10年平均を下回ることが予想される。
  2. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、そのペースは想定されていたよりも緩やかで、先行きの見通しも上方修正されている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2027年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均の0.5%よりも高まると予想する。名目GDPの伸びは平均1.8%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
  3. 人口減少、少子高齢化が進む中で経済成長率を高めるためには、女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上と高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしを同時に進めることが重要である。
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいが、1%台の伸びは確保し、デフレ脱却は実現する可能性が高い。


なかなか包括的によく取りまとめられている印象です。なお、世界経済の中期見通しも興味あるところながら、今夜のブログでは日本経済に関して、リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。なお、この見通しでは消費税については、2019年度と2024年度にそれぞれ消費税率を2%ポイント引き上げることを想定しており、従って、予測期間最終年度には消費税率は12%に達します。

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まず、リポートの p.19 から 実質GDP成長率の推移 を引用すると上の通りです。2019年度の消費増税は年度途中の10月である上に、その次の年度の2020年度に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、景気押し下げ効果は限定的であるものの、逆に、2021年度が東京オリンピック・パラリンピックの反動で成長率が下振れし、また、2024年度は消費増税の影響で成長率が低下します。中期見通しですから、短期変動の循環的要因は必ずしも明確ではありませんが、まあ、そうなんだろうと私も思います。なお、上に明記した以外の年度については、ほぼ潜在成長率見合いの1%強くらいの成長で推移すると見込まれています。

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その潜在成長率について、順序が逆になりますが、リポートの p.16 から 潜在成長率の寄与度分解 を引用すると上の通りです。労働投入のマイナス寄与は必ずしも大きくなく、資本投入と技術進歩で相殺して、ほぼ1%強の水準を確保しています。

冒頭の要旨との重複をいとわず、最後に、リポートの見通しの特徴を私なりにいくつか上げると、まず第1に、消費低迷の主因は巷間いわれているような家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄ではなく、可処分所得の伸び悩みであると明快に指摘しています。私もほぼほぼ100%合意します。まったく、その通りです。ただ、短期的には少し天候要因やマインドも影響するかもしれません。でも、リポートは中期見通しですから、所得要因以外はあり得ないと私も考えています。第2に、消費者物価については日銀のインフレ目標である2%には届かないものの、1%台は確保してデフレ脱却は達成する、と主張しています。私もそう思わないでもありませんが、インフレ率が2%に達しない場合の購買力平価に基づく為替水準がどうなるか、とても気にかかるところです。なお、リポートでは中長期的には経常収支は貯蓄投資バランスで決まるとして、為替相場は必ずしも大きな考慮が払われていません。第3に、というか、最後の最後に、いくつかのキーナンバーをバラバラと脈絡なく取り上げておくと、名目GDP600兆円は2023年度にずれ込み、経常収支は予測期間最終盤に小幅ながら赤字化する一方で、訪日外国人旅行者数は2018年に3000万人を超え、東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年政府目標の4000万人を突破する可能性が高く、政府財政のプライマリ・バランスは2024年度の消費増税を盛り込んでも予測最終年度の2027年度にGDP比▲2.2%の赤字が残り、財政収支の黒字化は達成できず、現在の日銀の異次元緩和は2022年度に出口局面を迎え、無担保コールの政策金利は+0.1%に設定され、長期金利も上昇局面に入るが、物価目標の2%を達成できないため大きな金利上昇は見込めない、とされています。ご参考まで。
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2017年10月19日 (木) 20:42:00

ハリケーンの影響で9月貿易統計の米国向け自動車輸出が伸び悩む!

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.1%増の6兆8110億円、輸入額も+12.0%増の6兆1408億円、差引き貿易収支は+6702億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の貿易収支、4カ月連続黒字 6702億円 米向け半導体製造装置など堅調
財務省が19日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6702億円の黒字だった。貿易黒字は4カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は5600億円の黒字だった。米国向けの半導体製造装置など輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、前年同月(4866億円の黒字)より黒字幅が拡大した。
輸出額は前年同月比14.1%増の6兆8110億円と、10カ月連続で増加した。9月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=109.48円と前年同月から7.5%の円安となり、円建ての輸出額を押し上げたことも寄与した。
地域別に見ると、対米国が11.1%増と8カ月連続で前年実績を上回った。半導体などの製造装置や車両エンジンの増加が寄与した。対欧州連合(EU)は11.5%増、中国を含む対アジアも18.7%増となった。
輸入額は12.0%増の6兆1408億円だった。資源価格の上昇や円安で原粗油や石炭などが増加したほか、医薬品も伸びた。対米国ではエネルギー関連のほかスケソウダラのすり身などの輸入が増加したが、3カ月連続の貿易黒字だった。対中国はパソコンやテレビの輸入が増加し、7カ月連続の貿易赤字。対EUは2カ月ぶりに貿易黒字となった。
同時に発表した2017年度上半期(17年4~9月)の貿易収支は1兆9190億円の黒字だった。黒字は4期連続。輸出は前年同期比12.8%増の38兆3738億円、輸入は15.3%増の36兆4549億円だった。輸出は米国向け自動車や中国向け電子部品などが伸びた一方、輸入も石炭や液化天然ガス(LNG)などエネルギー関連が伸びたため6期ぶりに増加し、貿易黒字は前年同期から20.3%縮小した。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易収支を算出するもととなる輸出額と輸入額を数量要因と価格要因に分解すると、輸出額の数量要因は米国向け輸出などが落ち込んで、輸出額の増加幅が縮小しており、他方、輸入額は数量要因が小幅な減少に転じる中で、輸入価格が高水準を維持したことで輸入金額全体のプラス幅は小幅な縮小にとどまっています。引用した記事にもある通り、9月の税関長公示レートは1ドル109.48円と、前年比+7.5%の円安水準であったことから輸出入額ともに円建てで少し膨らんでいます。為替の価格要因だけでなく、所得要因についても、世界経済の順調な回復・拡大に伴って、我が国の輸出がまさに主力輸出品である自動車などで伸びている一方で、我が国の景気も順調な回復・拡大の軌道にあり、従って、輸入額も国内経済活動に応じた伸びを示しており、輸出と輸入がともに拡大する好ましい局面に入りつつあるんではないかと私は受け止めています。4か月連続の貿易黒字はメディア受けする一方で、昨年2016年の年央から後半にかけて、すなわち、6月の英国国民投票によるBREXITと11月の米国大統領選挙のころには、経済外要因ながら、ポピュリズムの動向に伴って世界経済の先行き不透明感が増していた時期ですから、今年2017年にはその反動も感じられます。もっとも、北朝鮮情勢次第では地政学的なリスクの顕在化も懸念されます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出については、9月の輸出額の伸び率が8月を下回りましたが、基本的に、米国のハリケーンの影響であろうと私は考えています。例えば、米国向け輸出を品目別に原系列の統計の前年同月比で見て、引用した記事にもある通り、半導体等製造装置などの一般機械は+21.0%の伸びを示した一方で、自動車などの輸送機械はわずかに+1.2%にとどまっています。米国向けの電気機械輸出でも、一般消費者向けなどの音響・映像機器が▲17.8%と減少を示した一方で、事業者向けなどの重電機器は+40.0%の伸びを示しています。ハリケーンの影響に伴う米国消費の低迷が我が国の輸出にも現れていると私は受け止めていますが、逆に、極めて一時的な影響でしょうから、天候要因さえ元に戻れば輸出も増加に転じる可能性が高い、と考えるべきです。

最後に、米国で金融正常化に伴う金利引上げが議論され、さらに、イェレン議長の後任の連邦準備制度理事会(FED)議長もそろそろノミネートされるかもしれず、為替が動くことも含めて、金融要因から何らかの貿易への影響が生じるリスクについて忘れるべきではないと思います。
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2017年10月18日 (水) 21:52:00

日本経済研究センターによる温暖化ガス削減試算やいかに?

10月13日付けで、日本経済研究センターから「第4次産業革命の中の日本」と題して、温暖化ガス削減に関する試算が明らかにされています。試算結果のグラフを日本経済研究センターのサイトから引用すると以下の通りです。

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化石燃料価格が2050年度までに足元の6倍程度の1バレル当たり275ドルまで上昇すると、7割以上の削減も可能になる一方で、インフレ見合いの2%程度の上昇率で実質横ばいで推移すると、7割削減を目標とすると最低でも総額12兆円程度の環境税=炭素税が必要になる、と試算しています。2025年度以降にCCSによる二酸化炭素の回収・貯留が可能となるという前提ではありますが、第4次産業革命といわれる経済の情報化を進めるイノベーションを加速すれば、環境と経済、すなわち、地球温暖化防止と豊かな社会の実現の両立は十分に可能であると結論しています。
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2017年10月17日 (火) 19:31:00

東京商工リサーチ「全国社長の出身大学」調査結果やいかに?

昨夜に続いて、旧聞に属する話題かもしれませんが、東京商工リサーチから10月10日付けで「全国社長の出身大学」調査の結果が明らかにされています。114万人超の卒業生を擁する日本大学が調査開始から7年連続でトップを守った一方で、都道府県別に詳しく見ると違った特徴もありました。すなわち、東日本が日本大学を中心になど東京や首都圏に所在する大学への一極集中が目立った一方で、西日本は地元や域内の大学が上位を占める場合も見受けられ、東西で異なる傾向が出ています。ということで、下のテーブルの画像は東京商工リサーチのサイトから引用しています。我が母校の京都大学は、どうしても卒業生数が不足しますので、とてもではないです、トップテンには入りません。

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なお、引用はしませんが、東京商工リサーチのサイトでは都道府県別の社長の最多出身大学のトップだけがテーブルに取りまとめられているんですが、西日本では国立大学をはじめとする地元大学が活躍しています。福岡県では福岡大学がトップですし、何と、中国地方5県、すなわち、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県ではそれぞれの県名を冠したを国立大学がトップとなっています。どうでもいいことながら、我が郷里の京都府では全国9位の同志社大学がトップだったりします。
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2017年10月16日 (月) 23:09:00

帝国データバンク「人口減少に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、帝国データバンクから10月6日付けで「人口減少に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。詳細なpdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人口減少が与える影響について、「日本全体」では企業の90.2%、「自社の属する業界」では88.2%、「自社」では78.4%が「マイナスの影響がある」と認識
  2. 自社の経営における人口減少への捉え方について、「経営課題だが、それほど重要ではない」が39.2%、「重要な経営課題である」と考える企業は27.5%となり、3社に2社が経営課題として捉えている。他方、「経営課題ではない」は21.6%にとどまる
  3. 人口減少への対応策、「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」がトップ。次いで、「国内の店舗網・販売先等の拡大充実」が続く
  4. 人口減少への対応策を実施する際の阻害要因は、「人材確保」(72.5%)が突出して高く、以下、「販路拡大」(25.5%)、「他企業との連携」(21.6%)「外部の技術力の獲得」(19.6%)、「企画提案力の獲得」(17.6%)、「技術開発・研究開発」(13.7%)が続く


ということで、私の目から見て、どうして、あるいは、どのような観点から、人口減少が日本経済に問題なのか、という企業の意識は明らかにされていませんし、回答企業がわずかに51社ですので誤差がとてつもなく大きそうな気もしますが、それなりに興味深い調査ですので簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから 人口減少による影響 について、日本全体と業界と自社のそれぞれについて問うた結果です。プラスの影響は流石にゼロですし、圧倒的にマイナスの影響が指摘されているんですが、それでも、自社へのマイナスの影響は業界よりも小さく、業界のマイナスの影響は日本経済全体よりも小さい、と企業が考えている結果が明らかにされていると私は受け止めています。要するに、ヨソは大変だけど、我が社はそれほどでもない、ということなのかもしれません。

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次に、上のテーブルはリポートから 対応策実施の阻害要因 を引用しています。あくまで、対応策実施の阻害要因ですから、マイナスの影響とは異なるんですが、何がマイナスの影響の原因かが透けて見えるような気もします。というのは、圧倒的に人材確保が上げられており、2番めの販路拡大の3倍近い数字を示してます。すなわち、人口減少の問題は供給サイドであって、需要サイドではない、と企業が考えているような気がしてなりません。
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2017年10月13日 (金) 21:22:00

ダイヤモンド・オンラインによる「全国自治体30代未婚率ランキング」やいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、10月10日付けでダイヤモンド・オンラインから「全国自治体30代未婚率ランキング」が明らかにされています。上位の各自治体は上の画像の通りです。
未婚率が高いケースにはいくつかのパターンがあるということで、ダイヤモンド・オンラインのサイトから要約すると、第1には何かにつけて「ヨメ捜し」が話題になる農家はじめ第1次産業の従事者が多い街ということで、上のテーブルでは7位の三浦市、8位の常陸太田市、9位の八街市、10位の稲敷市、11位の山武市などで、いずれも農業従事者が10%近いと指摘されています。そして第2に京都市の東山区・中京区・上京区、札幌市中央区、名古屋市中区、福岡市中央区など政令市の中心部にある都市であり、就職で周辺の街、時には県境を超えて多くの20歳代前半の女性が移り住むことにより、30歳代の未婚女性の数が男性を上回って男女の比率がアンバランスになっています。
最近の合計特殊出生率は最低だった2005年の1.26より徐々に回復傾向にあるとはいえ、まだまだ低い状態が続いており、少子化に歯止めをかけるためには20歳代から30歳代の男女が子供を産むのに不安を持たない環境が重要です。現在の総選挙でも、いろんな対策が各政党の公約に盛り込まれているところ、果たしてどうなりますことやら?
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2017年10月12日 (木) 21:39:00

企業物価(PPI)上昇率は順調にプラス幅を拡大!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 8年11カ月ぶり伸び率
日銀が12日発表した9月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は99.0で前年同月比で3.0%上昇した。上昇は9カ月連続となる。上昇率は8月の2.9%から拡大し、消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来8年11カ月ぶりの大きさとなった。世界経済の回復を背景にした原油や銅など国際商品市況の持ち直しを受けて石油・石炭製品や電力・都市ガス・水道の価格が上昇した。
前月比では0.2%の上昇だった。石油・石炭製品のほか、銅の国際価格が上昇した影響で銅地金や通信用メタルケーブルといった非鉄金属製品も値上がりした。
円ベースでの輸出物価は前年比で9.4%上昇し、13年12月(12.7%)以来の高い伸びとなった。前月比では1.1%上昇と2カ月ぶりにプラスに転じた。米南部を襲ったハリケーンの影響による供給懸念からポリウレタンの原料など化学製品が値上がりした。輸入物価は前年比13.5%上昇し、伸び率は13年12月(17.8%)以来の大きさとなった。前月比では1.8%の上昇だった。原油価格の上昇が影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは374品目、下落したのは268品目だった。上昇と下落の品目差は106品目と8月の確報値(109品目)から3品目減った。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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PPIのヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率がプラスに転じたのが今年2017年1月統計でしたが、2017年1月の+0.5%から急速にプラス幅を拡大し、10か月足らずで+3.0%に達しています。季節調整していない原系列の指数ですが、国内物価指数の前月比も昨年2016年9月からプラスに転じ、直近9月まで13か月連続で前月比プラスを記録しています。基本的には、国際商品市況における商品価格の上昇、特に、石油価格の上昇による物価押し上げ効果があるわけですが、逆に、こういった商品市況の上昇の背景には新興国を含む世界経済の回復や拡大、昨日取り上げた国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」の用語を借りれば upswing があるわけで、我が国も含めて世界経済全体でデフレを克服して成長軌道を取り戻すパスに乗っていると考えてもいいのかもしれません。
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2017年10月11日 (水) 21:29:00

IMF「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編を読む!

日本時間の昨夜、IMF世銀総会を前に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編が公表されています。世界経済の成長率が2017年+3.6%、2018年+3.7%と、7月時点での見通しからいずれも+0.1%ポイント上方修正されている一方で、我が国の成長率も2017年+1.5%、2018年+0.7%と、やや上昇修正されています。まず、同じIMFのサイトから要約を引用すると以下の通りです。

Introduction
The global upswing in economic activity is strengthening, with global growth projected to rise to 3.6 percent in 2017 and 3.7 percent in 2018. Broad-based upward revisions in the euro area, Japan, emerging Asia, emerging Europe, and Russia more than offset downward revisions for the United States and the United Kingdom. But the recovery is not complete: while the baseline outlook is strengthening, growth remains weak in many countries, and inflation is below target in most advanced economies. Commodity exporters, especially of fuel, are particularly hard hit as their adjustment to a sharp stepdown in foreign earnings continues. And while short-term risks are broadly balanced, medium-term risks are still tilted to the downside. For policymakers, the welcome cyclical pickup in global activity provides an ideal window of opportunity to tackle key challenges-namely to boost potential output while ensuring its benefits are broadly shared, and to build resilience against downside risks.


適確に取りまとめられていると思うんですが、やや長くなってしまいました。次に、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、このテーブルだ毛ではやや愛想なしですので、クリックすると別タブでリポートの pp.14-15 の総括見通し表の2ページだけを抜き出したpdfファイルが開きます。

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ということで、リポートでも指摘されている通り、2016年半ばころから世界経済の循環的な上昇局面が力強さを増しており、ハッキリいって、誠に素直に世界景気の強さを評価し直して多くの国や世界経済の成長率が上方修正された、ということなんだろうと私は理解しています。成長率は上振れし、他方で、石油価格の下振れに伴ってインフレ率は下方修正されています。これだけをもってすれば、私のような単純な思考回路を持つエコノミストには、かなり良好な世界経済の先行き見通しだと思うんですが、IMFは世界経済の回復の不完全さを指摘しています。すなわち、IMFのブログサイトを見る限り、世界経済の回復は不完全 (incomplete) であると指摘し、3点、国内的不完全 (incomplete within countries)、国際的不完全 (incomplete across countries)、時間的不完全 (incomplete over time) を上げています。国内的不完全は、すでに分析編で指摘されている賃金の伸びの低さ (wage growth have remained low) であり、国際的不完全は、世界経済の回復から取り残されている地域が残されていると主張しており、新興市場及び低所得の1次産品輸出国、特にエネルギー輸出国では依然苦しい状況が続いている (emerging market and low-income commodity exporters, especially energy exporters, continue to face challenges) と結論しています。最後の時間的不完全は、多くの国々でより長期的な1人当たり所得の伸びが過去のトレンド成長率を下回っていることから、国や地域により原因は異なるものの、先進国では生産性の伸びの鈍化と労働力の高齢化が大きな要因となっており、構造改革政策の必要性を指摘しています。

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最後に、目を国内に転じれば、本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済みの系列で前月比+3.4%増の8824億円と、2か月連続で増加しています。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏み」から「持ち直しの動き」に上方修正しています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
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2017年10月10日 (火) 19:36:00

小売りが牽引する景気ウォッチャーと黒字が定着した経常収支と日銀「さくらリポート」!

本日、内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調史絵済みの系列の現状判断DIが前月から+1.6ポイント上昇して51.3を、先行き判断DIは▲0.1ポイント低下して51.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2兆3804億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の街角景気、家計の景況感が改善 選挙後には懸念
内閣府が10日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.6ポイント改善の51.3だった。気温の低下で秋物衣料などが堅調だった小売りを中心に家計動向を示す指数が改善した。企業動向では非製造業の改善が目立った。ただ衆院選後の消費環境を巡る不透明感が重荷で、先行き判断指数は51.0へ0.1ポイント低下した。
内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」と、従来の「持ち直しが続いている」から変更した。現状判断指数が節目の50を上回ったため。表現変更は4カ月ぶりで、同様の表現を使うのは指数が2カ月連続で51.4を付けた16年12月以来9カ月ぶりとなる。
部門別にみると家計動向が2.3ポイント改善し50.1と、2016年11月以来10カ月ぶりに節目の50を上回った。小売関連が3.8ポイント改善し50.7と、消費増税直前の14年3月(56.4)以来3年半ぶりの高さとなった。企業動向は0.3ポイント上昇の52.3、雇用は0.4ポイント低下の57.0だった。
街角では家計動向について「残暑もなく、秋冬物の季節商材の動きが前年よりも早くなっている」(近畿のスーパー)との声があった。北関東などで新型車の販売効果やスマートフォンの販売好転を指摘する声も出た。企業動向では「海外の景気動向が良くなっている。国内の季節要因もあり国内景気は徐々によくなっている」(北関東の金融業)と指摘されたほか、広告関係から業況改善を示すコメントが目立った。半面、製造業では鉄鋼業などで受注の鈍さを懸念する声などがみられた。
2~3カ月後を占う先行き判断指数を押し下げたのは家計動向。同指数は50.2で、サービス関連の低下を主因に前月から0.3ポイント下げた。「衆議院選挙の影響で企業の接待などの減少が懸念材料」(南関東の都市型ホテル)との声があった。
8月の経常収支、2兆3804億円の黒字 8月として過去最大
財務省が10日発表した8月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆3804億円の黒字だった。黒字は38カ月連続。前年同月に比べて黒字額が4100億円拡大し、8月としては過去最大の黒字額を記録した。第1次所得収支の大幅黒字や8月としては初となるサービス収支の黒字が寄与した。
第1次所得収支は2兆2385億円の黒字で、黒字幅は前年同月に比べて2575億円拡大した。8月としては過去最高の黒字額となった。円安を背景に海外子会社から受け取る配当金が増加した。
サービス収支は202億円の黒字(前年同月は506億円の赤字)だった。黒字転化は8月としては初めて。訪日外国人の増加を背景に旅行収支が8月としての過去最高の黒字を記録した。通信など情報サービス関連の支払いが減少したことも寄与した。
貿易収支は3187億円の黒字と黒字幅が1006億円拡大した。自動車や半導体などの電子部品の増加で輸出が16.3%増加した。石炭や液化天然ガス(LNG)の増加で輸入も15.1%増えたが、輸出増が上回った。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。2つの統計に関する記事を並べましたので少し長くなってしまいました。次に、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーは、先行き判断DIはほぼほぼ横ばいでしたが、現状判断DIは大きくジャンプして改善を示しました。8月から9月にかけて総合で+1.6ポイントの上昇を見せた中で、3つのコンポーネントのうち、企業動向関連が+0.3ポイントの上昇、雇用関連が▲0.4ポイントの低下だったのに対して、家計動向関連は+2.3ポイントの上昇を記録しており、家計動向関連の中でも小売関連が+3.8ポイントと突出して上昇しています。もっとも、先行き判断DIに目を転じると、企業動向関連が+0.5ポイント上昇し、雇用関連が横ばいだったのに対して、家計動向関連は逆に▲0.3ポイントの低下となっています。それにしても、引用した記事にあるような衆議院総選挙後に対する懸念というのは、どこまで一般化できるんでしょうか。私には疑問です。家計のお話しに戻ると、極めて素直に判断する限り、8月は天候要因などで家計動向はよくなかったものの、9月には天候も回復して8月から9月にかけては上向きに見えるが、しかし、それほど腰の据わった家計部門の回復・改善ではない、ということになります。ただし、現状判断DIも先行き判断DIもともにかなり高い水準にあり、マインド指標の常として、これから先もグングン上昇を続けるという可能性は低いのかもしれません。そうなれば、ユーフォリアによるバブルのような気もします。それから蛇足ながら、統計作成官庁である内閣府の基調判断ですが、先月までの「持ち直している」から「着実に持ち直している」に変更されています。私は頭の回転が鈍いので、違いがイマイチよく判りません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、円安に伴う1次所得収支の円建て額が膨らんだことに加え、おそらくインバウンドなんだろうと想像していますが、旅行収支につれてサービス収支が改善しています。季節調整済みの系列では引き続きマイナスの赤字なんですが、季節調整していない原系列の統計ではサービス収支は黒字に転化しています。政府観光局の8月統計によれば、前年同月比で見て出国日本人数が+3.9%だったのに対し、訪日外国人旅行者数は+20.9%増を記録しています。輸出入はすでに貿易統計で見ているとして、9月のデータが利用可能になりましたので経常収支の対GDP比を計算してみました。1~3月期に+3.8%を示して、それまでじわじわと上昇し続けて来ましたが、4~6月期にはとうとう4.0%をつけてピークに達し、7~9月期も+3.5%と高い水準にあります。サブプライム・バブル末期には+5%近い経常黒字を記録していましたが、貿易収支や経常収支について厳しい見方をする米国大統領の誕生に伴って、それなりの摩擦を警戒するレベルに達したような気がします。

 2017年7月判断前回との比較2017年10月判断
北海道回復している回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復基調を続けている
北陸緩やかに拡大している緩やかに拡大している
関東甲信越緩やかな拡大に転じつつある緩やかに拡大している
東海緩やかに拡大している拡大している
近畿緩やかな拡大基調にある緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大しつつある緩やかに拡大している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄地域や業種によってばらつきがみられるものの、緩やかに拡大している緩やかに拡大している


日銀支店長会議で10月の「さくらリポート」が公表されています。上のテーブルの通りです。9地域中の4地域で景気判断が引き上げられています。九州・沖縄ブロックは表現振りは違っていますが、景気判断としては据え置きということのようです。

間もなく始まるIMF世銀総会に向けて、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」 World Economic Outlook の見通し編が、米国ワシントンDC時間の10月10日午前9時に公表されるとアナウンスされています。日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年10月09日 (月) 20:14:00

ノーベル経済学賞はセイラー教授に授与!

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今年のノーベル経済学賞は、行動経済学のセイラー教授に授与されました。
誠におめでとうございます。
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2017年10月07日 (土) 08:56:00

ハリケーンの影響で米国雇用統計の雇用者は7年振りの減少を示す!

日本時間の昨夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から▲33千人減と、7年振りの減少を示した一方で、失業率は前月から▲0.2%ポイント下がって4.2%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の6パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. payrolls shrink for first time in 7 years: Hurricanes walloped job growth
urricanes Harvey and Irma walloped the labor market last month, causing the nation to lose jobs for the first time in seven years, the Labor Department said Friday.
Total nonfarm employment declined by a net 33,000 jobs in September compared with an upwardly revised gain of 169,000 the previous month. The Labor Department said 1.5 million workers - the most in 20 years - were not at their jobs during the survey week last month because of bad weather.
Restaurants and bars took the biggest hit. Total employment in September declined by 105,000 "as many workers were off payrolls due to the recent hurricanes," the Labor Department said.
The sector had averaged job growth of 24,000 over the previous 12 months.
"We've very confident those jobs are coming back," Gary Cohn, the top White House economic advisor, told Fox Business Network.
Analysts had expected the major hurricanes that devastated large parts of Texas and Florida would significantly reduce job growth in September, but the decline was much bigger than expected.


長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、非農業部門雇用者数は何と7年振り、すなわち、サブプライム・バブル崩壊後の金融危機に伴う景気後退期を終えた1年余り後の2010年9月以来の減少を記録しました。かなりの程度にテキサス州やフロリダ州を襲ったハリケーンの影響と見られています。全産業ベースで▲33千人の非農業部門雇用者減、うち民間部門で▲40千人の減少なんですが、Leisure and hospitality 産業の減少が何と▲111千人に上っています。他方で、雇用増をけん引してきた Health care and social assistance については、8月+20.9千人増の後、9月は+13.1千人増となっており、やや減速したものの引き続き雇用は増加していますし、Transportation and warehousing などでも雇用者は伸びています。加えて、失業率は低下しているわけですから、9月の雇用減少はハリケーンの天候要因による一時的なものである可能性が高いと受け止められています。さらに、米国雇用統計では一時的に給与が支払われないケースも雇用が減少したと見なしていることから、こういった制度要因もあって、9月の指標が大きく下振れした可能性があると指摘されています。従って、金融政策当局である米国連邦準備制度理事会(FED)では、引き続き、年内の追加利上げに関する検討を続けるんではないか、と多くのエコノミストは考えているようです。その理由のひとつは下のグラフに見られるように、賃金の上昇がやや加速する可能性が高まっているからです。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、9月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で物価に波及させることなく賃金上昇を吸収しているとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面も近くなるかもしれません。
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2017年10月06日 (金) 19:52:00

8月景気動向指数から現在の景気回復・拡大はいざなぎ景気の57か月を超えるか?

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+1.6ポイント上昇して106.8を、CI一致指数も+1.9ポイント上昇して117.6を、それぞれ記録しています。毎月勤労統計では、景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+1.1%増を示し、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.6%増となった一方で、ボーナスなどの特別に支払われた給与と合せて現金給与総額のは0.9%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、117.6に上昇 建機、半導体など堅調
内閣府が6日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント高い117.6と2カ月ぶりに上昇した。水準は消費増税直前の2014年3月と並ぶ高さ。建設機械や半導体製造装置など幅広い業種で出荷と生産が堅調だった。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は最も強気の「改善を示している」に10カ月連続で据え置いた。
8月は投資財出荷指数(輸送機械を除く)が0.79ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が0.50ポイント、生産指数(鉱工業)が0.40ポイント、それぞれプラスに寄与した。建設機械のほか、スマートフォンなど半導体関連の生産機械が伸びた。自動車の出荷好調で耐久消費財出荷指数もプラス寄与となり、速報段階で算出できる7指標のうち5指標が指数を押し上げた。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.6ポイント上昇の106.8と、2カ月ぶりに上昇した。
景気回復の期間などを正式に判断するデータをまとめる景気動向指数研究会の開催は、現時点では未定という。茂木敏充経済財政・再生相は9月25日の月例経済報告で現在の景気回復期間について「いざなぎ景気を超えた可能性がある」との見通しを示している。
実質賃金8カ月ぶりプラス 8月0.1%増
賃金好調、名目賃金も増加

厚生労働省が6日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月比で0.1%増加した。増加は8カ月ぶり。物価上昇に賃金増が追いついた。1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万4490円と前年同月比0.9%増加した。
名目賃金が増加したのは2カ月ぶり。現金給与総額のうち基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増の24万952円と5カ月連続で増加。残業代などの所定外給与も1.5%増の1万9012円と2カ月連続で伸びた。ボーナスなど「特別に支払われた給与」は1万4526円で6.1%増加した。
名目賃金を産業別にみると、金融・保険業(前年同月比7.1%増)や鉱業・採石業(5.2%増)などで増加が目立った。
8月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が0.8%上昇したため、名目賃金の伸びが実質を上回った。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計の記事ですので、長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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7月統計では、景気動向指数のうち、速報公表時にはCI一致指数のすべてのコンポーネントがマイナスを示していたんですが、その反動もあって、8月統計ではCI一致指数、CI先行指数ともプラスを記録しています。プラス寄与の大きい順に、投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)がそれぞれ寄与度で+0.1を超えており、逆に、マイナス寄与度が▲0.1より大きい、というか、絶対値で大きいのは有効求人倍率(除学卒)だけです。CI先行指数についても+1.6の大きな上昇のうち、+1.2の半分超のプラス寄与は、ともに逆サイクルの最終需要財在庫率指数と鉱工業用生産財在庫率指数となっており、在庫の調整が進んでいるわけですから、先行きのさらなる景気回復・拡大にはとてもプラスなんだろうと考えるべきです。なお、引用した記事にもある通り、現在の景気回復・拡大の期間について考えると、CI一致指数から見て現在の第16循環の拡張期が続いていると仮定すれば、内閣府か明らかにしている景気基準日付に従って、景気の谷が2012年11月ですから、拡張期間は今年2017年8月までで57か月となり、1965年10月を谷とし1970年7月を山とする第6循環、いわゆる「いざなぎ景気」の拡張期間に並んだことになります。そして、もしも、足元の9月まで景気回復・拡大が続いているとすれば、「いざなぎ景気」を超えたといえるかもしれません。なお、現在利用可能な情報では、もっとも長い景気拡張期間は2002年1月を谷とし、2008年2月を山とするサブプライム・バブル崩壊前の第14循環の73か月です。ご参考まで。

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続いて、景気動向指数を離れて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、上のグラフに沿って見ていくと、まず、景気と連動性の高い製造業の残業時間については、鉱工業生産指数(IIP)とほぼ連動して8月は増加に転じています。次に、報道でも注目を集めた賃金については、ようやく、実質賃金が上昇しています。ただ、8月統計については、ボーナスなどの特別に支払われた給与の寄与が大きくなっています。なお、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。ただ、先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。

9月の米国雇用統計が間もなく公表される予定ですが、日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年10月05日 (木) 20:12:00

東京商工リサーチ「東京都23区『社長の住む区』調査」の結果やいかに?

昨夜に続いて、とても旧聞に属する話題のような気がしますが、9月8日付けで東京商工リサーチから「東京都23区『社長の住む区』調査」の結果が明らかにされています。人数ベースでもっとも社長がたくさん住んでいるのは世田谷区で、住民との人口比ベースで社長割合がもっとも高いのは港区、などの結果が示されています。東京商工リサーチのサイトから、いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の表は、東京商工リサーチのサイトから引用しています。東京都23区の区別社長人数を取って、人数の多い順でソートしてあります。一目瞭然の結果で、社長が最も多く住む街は世田谷区であり、3万8,771人の社長が住んでいます。そもそも、世田谷区は人口が23区の中でもっとも多い上に、それなりの高級住宅街などもあり、当然という気もします。東京23区内に居住する社長は全部で35万5,175人に上りますが、その10人に1人に相当する10.9%が世田谷区に住んでいることになります。ただ、区内人口に対する社長の比率、すなわち、人口比では港区がもっとも高く9.9%に上ります。つまり、港区では子供も含めて老若男女の住民の10人に1人が社長さん、ということになるわけです。それはそれでスゴいような気がします。

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続いて、上のグラフは、東京商工リサーチのサイトから引用しています。エリア別で職住一致の社長の住む区 (同一区内企業経営)を見ています。なお、エリアではなく、区のベースで、経営する企業の本社と社長の住む区が同一の「職住一致」数では、世田谷区の1万8,912人が最多となっている一方で、「職住一致」の比率は台東区が71.2%とトップとなっています。エリア別の構成比は、上のグラフの通り、城東エリア63.8%、都心・副都心61.8%、城北エリア59.3%、城南エリア57.5%、城西エリア51.2%の順となっています。住宅地を多く抱える城南エリアと城西エリアは居住と仕事の分離傾向が見られるようです。
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2017年10月04日 (水) 23:29:00

帝国データバンク「天候不順が企業に与える影響調査」の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、9月8日付けで帝国データバンクから「天候不順が企業に与える影響調査」の結果が明らかにされています。東京における2017年8月の日照不足により、東京の家計消費支出は約189億2900万円、平年と比較して▲1.2%減少するとの試算が示されています。まず、帝国データバンクのサイトから結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

調査結果 (要旨)
  1. 東京における2017年8月の日照不足により、東京の家計消費支出は約189億2900万円、平年と比較して1.2%減少すると試算される。飲料やアイスクリームなどの飲食料、住宅設備修繕、宿泊料、理美容サービス・用品の減少が目立つ
  2. 日照不足による経済波及効果は、全国でマイナス約406億9900万円と試算。産業別では、「対個人サービス」が最も高く、「商業」が続く。地域別では、「関東」が全体の86.5%を占めるものの、「近畿」や「中部」、「東北」など全国にマイナス効果が波及
  3. 2013年1月~2017年8月の「天候不順」を要因として倒産に至った企業は98社判明。業種別では「卸売業」が構成比41.8%を占め、細分類別では「野菜卸売業」が最多


推計には、総務省統計局の家計調査と国勢調査、さらに、気象庁の地点気象データに加え、経済産業省の地域間産業連関表などを用いた資産となっているようです。帝国データバンクからアップされているpdfの全文リポートからテーブルを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のテーブルはリポートから、東京都における家計消費支出への影響 を引用しています。夏の日照時間や気温などの影響を受けたアイスクリームが▲14億3300万円減少したほか、飲料は▲22億4900万円減少したことなどから、「食料」は購入機会増などの影響で増加した項目もあるが▲12億4700万円の減少と試算されています。「住居」も、屋外での日曜大工などに関連する設備修繕・維持への支出が▲90億1500万円減少したと見込まれています。また、宿泊料を含む「教養娯楽」が▲43億4400万円、理美容サービス・用品などへの支出も▲43億2300万円減少したとみられます。

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次に、上のテーブルはリポートから、産業別と地域別の全国ベースの経済波及効果 を引用しています。産業別にみると、「対個人サービス」が▲94億8800万円で最も大きなマイナスの影響を受けるとみられるほか、以下、「商業」の▲64億6600万円、「飲食料品製造」の▲36億3400万円、「金属製品製造」の▲30億7500万円、「金融・保険・不動産」の▲30億4700万円などと、マイナスが続いています。個人が長雨により外出を控えることで、関連するサービスや商品への売上減少が、また、気温の低下飲料製造へのマイナスの影響が生じたとの推計結果が示されています。さらに、地域別に波及効果をみると、「関東」が▲351億9600万円のマイナス効果となり、全体の86.5%を占めているのは当然として、以下、「近畿」が▲13億3800万円、「中部」が▲11億9700万円などと、極めて大雑把に、経済規模の順で並んでいる気もします。
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2017年10月03日 (火) 21:27:00

費者態度指数は横ばいながら底堅い動きを示す!

本日、内閣府から9月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.6ポイント上昇し43.9を記録しています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「ほぼ横ばい」で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の消費者態度指数は0.6ポイント上昇 長雨の影響一巡
内閣府が3日発表した9月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.6ポイント上昇の43.9だった。上昇は2カ月ぶり。東北や北陸で8月の長雨などの影響が一巡し、野菜価格などの高騰への懸念が後退した。8月の指数は前の月と比べ0.5ポイント低下していた。内閣府は消費者心理の基調判断を「ほぼ横ばいとなっている」で据え置いた。
8月の日照不足と長雨の影響をうけた東北・北陸地方の押し下げ圧力が9月はなくなり、その反動が指数改善につながった。東京や大阪、名古屋など都市圏では前月に続き安定した消費者の態度が続いている。
指数を構成する意識指標は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」のすべてが前月を上回った。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より0.1ポイント高い76.2%と2カ月連続で上昇した。一方で「低下する」との見通しは2カ月ぶりに上昇した。「変わらない」は3カ月ぶりの低下だった。調査基準日は9月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5780世帯(回答率68.8%)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成する各消費者意識指標について前月からの差を見ると、耐久消費財の買い時判断が+0.9ポイント上昇し43.5、暮らし向きが+0.8ポイント上昇し42.5、収入の増え方が+0.5ポイント上昇し41.8、雇用環境が+0.4ポイント上昇し47.8と、引用した記事にもある通り、すべてのコンポーネントが上昇を示しています。今年2017年に入ってからの消費者態度指数を月別に見ると、1月43.1、2月43.2、3月43.9の後、偶数月には低下し、奇数月には上昇するという一進一退の動きを繰り返しており、その中でも、43台のレンジで推移していますので、まあ、基調判断通りの「横ばい」なのかもしれません。直近では8月の長雨や日照不足に起因する野菜価格の高騰などの天候要因で低下し、9月調査ではその影響がはく落して上昇に転じた、ということのようです。消費者態度指数は典型的な需要サイドの消費者マインド指標であり、一進一退ながら底堅い動きを示し、賃上げが進まない中で、正規職員の雇用者増などに伴うマクロの所得増とともに消費を支えていると私は考えています。
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2017年10月02日 (月) 21:21:00

9月調査の日銀短観では景況感がさらに上昇し設備投資も上方修正される!

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは6月調査から+5ポイント改善して+22を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+4.6%増と集計されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月日銀短観、大企業製造業DIは4期連続改善 07年9月以来の高さ
日銀が2日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス22だった。前回6月調査(プラス17)から5ポイント改善した。改善は4四半期連続。2007年9月(プラス23)以来、10年ぶりの高さ。半導体などの電子部品の出荷増加や電子機器、自動車関連を中心とした設備投資の改善などが景況感を押し上げた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス18を上回った。回答期間は8月29日~9月29日で、回収基準日は9月12日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス19と伸び悩む見通し。市場予想の中央値(プラス16)は上回った。北朝鮮情勢を巡る不透明感などから先行きの見方は慎重だった。
2017年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=109円29銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回と同じだった。卸売業や対事業所サービスで改善した一方、通信や宿泊・飲食サービスで悪化した。3カ月先のDIは1ポイント改善のプラス19だった。
中小企業は製造業が3ポイント改善のプラス10、非製造業は1ポイント改善のプラス8だった。先行きはいずれも悪化を見込む。
大企業全産業の雇用人員判断DIはマイナス18となり、前回(マイナス16)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年3月(マイナス24)以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比7.7%増と、市場予想の中央値(8.4%増)を下回った。6月調査(8.0%増)からは0.3ポイント悪化した。
大企業製造業の販売価格判断DIはゼロと、前回(マイナス1)から1ポイント上昇。マイナス圏を脱するのは08年9月(プラス11)以来9年ぶり。販売価格判断DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、規模と製造業・非製造業を押しなべて、昨年12月調査や今年3月調査に続いて3期連続で今期も景況感が改善しつつ、しかし、先行きの来期はやや落ちる、という典型的な短観の統計としての「クセ」が出ています。さはさりながら、DIですので水準よりも方向性が重要ながら、水準もかなり高くなっています。ですから、このブログでも何度か強調している通り、企業部門の景況感はとても堅調で、ソフトのマインドだけでなく、ハードデータの企業業績もグングン改善を示しています。その一方で、設備投資増や賃上げなどの要素所得への波及が生じていませんが、前回調査の結果に続いて、個人消費の関連で小売業に着目すると、大企業では、3月調査で+5の後、6月調査では+10にジャンプした後、9月調査では天候要因などからやや低下したものの、+8と引き続き高い水準にあり、先行きも+13と上昇を示す可能性が示唆されています。中堅企業小売業でも、6月調査から9月調査にかけて+7と横ばいで、先行きも同じく+7と高い水準にあります。そして、中小企業小売業でも、6月▲9から9月には▲5とマイナス幅を縮小させ、先行きでは▲4と、まだマイナスながらそのマイナス幅がちゅく称する方向にあることは事実です。こういった小売業の企業マインドから、個人消費の今後の方向も透けて見える気がします。さらに、事業計画の前提となっている想定為替レートについては、3月調査でも6月調査でも1ドル108円台の後、9月調査でも109円台で極めて安定しており、為替の安定は企業の活動計画や見通し立案の際にはそれなりに重要だという気がします。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。9月調査の短観では新卒採用計画の調査項目がないんですが、就活は売り手市場が続きそうです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲1.3%減という高い水準で始まったんですが、6月調査では+2.9%増、9月調査では+4.6%と順調に上積みされています。グラフに見える通りです。日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるようなんですが、人手不足や企業業績を考え合わせると、今年度の設備投資への期待は膨らみます。

先週、シンクタンクなどの日銀短観予想を取りまとめた際には、景況感についてはほぼ横ばい圏内の動きが予想されていましたが、円安や輸出の改善を背景に製造業の景況感が、予想を上回って一段と改善した点が注目されます。短観の統計としてのクセとして、先行きの景況感に対して企業は慎重姿勢を維持しているものの、現時点でのの内外の経済環境などを考慮すると、先行きの景況感の低下に対して過度の懸念は不要ではないかと私は考えています。
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2017年10月01日 (日) 14:12:00

ノーベル賞を予想するクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞やいかに?

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すでに広く報じられている通り、今週はいわゆるノーベル賞ウィークであり、ノーベル賞の受賞者の発表が明日の月曜日10月2日の医学生理学賞から順次明らかにされます。すなわち、3日は物理学賞、4日は化学賞、5日は慣例によりまだ公表されていないものの文学賞が予定され、6日は平和賞、週末の土日をはさんで、9日はいよいよ経済学賞です。ということで、昨年までトムソン・ロイターから明らかにされていた引用栄誉賞が、今年からクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞として、9月20日にプレス・リリースされています。経済学の引用名誉賞が授賞されるのは、以下の通り、3分野から6人です。なお、画像の引用元はどこか失念してしまいました。悪しからず。

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さすがに、私の専門からして、3番目の企業財務=コーポレート・ファイナンスの意思決定に関する研究で上げられている先生方は、お名前を聞き及んだくらいですが、最初の行動経済学と2番目労働経済学については以下の代表的な論文に目を通した覚えがあります。


さて、ノーベル賞ウィークの結果、特に、今年こそノーベル文学賞に村上春樹さんは選ばれるんでしょうか?
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2017年09月29日 (金) 19:48:00

いっせいに公表された政府統計から日本経済の先行きを考える!

今日は、月末の閣議日であり、いっせいに主要な政府経済統計が公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。>鉱工業生産指数 (IIP)は季節調整済みの系列で前月比+2.1%の増産を示し、商業販売統計のうちの小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.7%増の11兆4850億円と増加し、雇用統計は失業率が2.8%、有効求人倍率が1.52倍といずれも前月と同じ水準で、生鮮食品を除く総合で定義されるコア消費者物価(コアCPI)の前年同月比上昇率は+0.7%と前月統計より上昇幅を拡大して8か月連続のプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、8月は2.1%上昇 半導体関連に伸び、出荷も高水準
経済産業省が29日発表した8月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.1%上昇の103.6となった。上昇は2カ月ぶり。半導体製造装置などを中心とした汎用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業など、7月に生産が減少していた業種が持ち直した。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.9%の上昇)も上回った。
8月の出荷指数は前月比1.8%上昇だった。指数値は101.8となり、14年4月に実施された消費増税以降の最高水準まで回復した。在庫指数が0.6%低下の107.2、在庫率指数が4.3%低下の108.4となったことも踏まえ、経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。
8月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、4業種が低下した。汎用・生産用・業務用機械工業が3.7%上昇したほか、乗用車と自動車部品が内外需ともに好調な輸送機械工業が2.4%の上昇となった。電子部品・デバイス工業も1.8%上昇した。半面、医薬品を除く化学工業は0.7%低下となり2カ月連続で減少した。
製造工業生産予測調査によると、9月は前月比1.9%の低下、10月は3.5%の上昇を見込む。経産省では9月について「決算前の調整で最終的に当初計画より多めに作る」傾向があるとして、補正済みの試算値では1.4%程度の低下になるとみている。低下幅が試算値程度に収まれば、7~9月期も前四半期比でプラスを維持できる可能性が高いとの見通しも示した。
8月の小売販売額、1.7%増 自動車販売がけん引
経済産業省が29日発表した8月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.7%増の11兆4850億円だった。10カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別でみると、最も増加寄与度が高かったのは自動車小売業で、前年同月と比べて8.3%増加した。新型車効果が続いている。次に高かった医薬品・化粧品小売業は引き続きインバウンド(訪日外国人)需要も寄与し、5.4%増となった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.7%増の1兆5655億円だった。既存店ベースでは0.6%増となった。百貨店は全店ベースで0.5%増加した。化粧品や高額品に加え、気温の低下によって秋物衣料が伸び、増加幅の大きさは2015年10月(3.8%増)以来となった。
コンビニエンスストアの販売額は1.9%増の1兆513億円だった。新規出店効果を背景に商品販売が伸びたほか、プリペイドカードなどが好調でサービス売上高も2カ月連続で増加した。
雇用安定、消費心理改善 消費支出2カ月ぶり増加
厚生労働省が29日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.52倍だった。1974年2月以来の高さだ。企業は人材確保のため正社員の採用に力を入れており、正社員の有効求人倍率も1.01倍となり求人が求職を上回った。雇用環境の安定が消費者心理を下支えし、8月の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.6%増えた。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたりに何件の求人があるかを示す。
新たに出された求人を示す新規求人数は前年同月を6.3%上回った。産業別にみると、集団授業から個別指導へのシフトがすすむ教育・学習支援業が18.3%増えたほか、運輸・郵便業も12.3%増加した。
ただ企業の人手不足感は強まるばかりだ。企業の求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は14.7%となり、比較可能な2002年以降で最低だった。インターネットなどを通じて企業に直接求職する場合を含まないが、7人雇おうとして採用できるのが1人という計算だ。
総務省が同日発表した8月の完全失業率は、前月と同じ2.8%だった。求人があっても職種や勤務地など条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%程度とされる。3%割れは働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にあるといえる。
8月の失業者は189万人と前年同月と比べて23万人減った。一方、自営業を含めた就業者は84万人多い6573万人となった。
こうした雇用改善が消費を下支えしている。8月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯当たり消費支出は前年同月比0.6%増の28万320円だった。前年を上回るのは2カ月ぶり。消費の基調判断は「持ち直してきている」として据え置いた。
自動車の購入費用やガソリン代が膨らみ、交通・通信が7.1%増えた。住居は2.7%のプラスで、リフォーム費用が押し上げた。「昨年8月は台風が多く、リフォームの施工が滞った反動が出た」(総務省)。食料は0.6%増と、13カ月ぶりにプラスに転じた。
8月の全国消費者物価指数(CPI、15年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が100.3となり、前年同月を0.7%上回った。14年4月の消費増税の影響を除くと、14年10月以来2年10カ月ぶりの水準となった。
ガソリンや灯油などエネルギーが7%上昇した。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は100.8で、前年同月比0.2%上昇した。厚労省が70歳以上の高額療養費の負担上限額を8月診療分から引き上げた影響で、診療代が3.5%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、3つのの記事を並べるとやや長くなってしまいました。特に、3番目の記事で「消費支出」として触れられているのは総務省統計局の家計調査の結果であり、2番目の記事で取り上げている供給サイドの統計である経済産業省の商業販売統計とは異なり、需要サイドの統計です。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は、続く商業販売統計や雇用統計とも共通して、景気後退期を示しています。

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鉱工業生産は季節調整済みの前月比で+2.1%の増産を示し、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスである+1.9%増にほぼジャストミートしました。生産だけでなく、出荷もほぼ2%近い伸びを示し、在庫調整も進んでいる印象です。特に、自動車の増産が目立っており、国内の小売販売だけでなく、海外経済の回復・拡大に伴う輸出増も相まって、我が国のリーディング・インダストリーが順調に生産を伸ばしています。製造工業生産予測調査により先行きを考えると、足元の9月が▲1.9%減ながら、10月は+3.5%増との結果が示されており、10月の増産幅はやや大き過ぎてどこまで信頼できるかが疑問ですが、隔月でジグザグした動きながら、ならして見れば緩やかな増産という先行き見通しが示唆されていると受け止めています。少なくとも、9月の減産を悲観的に捉える必要はないものと考えるべきです。さらに先の見通しに関しても、家計部門を考えると、自動車や家電などの耐久消費財が、エコカー減税、家電エコポイント、消費増税などの政策的な攪乱要因が一巡し、自律的な買い替えサイクルがようやく復活しつつあり、企業部門を考えると、世界経済の順調な回復・拡大に伴う輸出の増加に加え、国内でも維持補修が中心ながら企業業績に支えられた設備投資が増加を見込めることから、生産・出荷は緩やかな回復・拡大を続けるものと期待してよさそうです。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。上のパネルの季節調整済みの系列で見ると、8月の小売販売額は▲1.7%減でしたが、季節調整していない原系列の前年同月比では+1.7%増ですから、評価としては難しいところですが、8月の天候、すなわち、梅雨が続いていたような雨が多くて日照時間が少ない気候条件を考え合わせると、消費は底堅い動きであり、昨年半ばくらいからの緩やかな回復が続いていると考えるべきです。鉱工業生産指数の前項で書いた通り、自動車や家電などの耐久消費財が、エコカー減税、家電エコポイント、消費増税などの政策的な攪乱要因が一巡し、自律的な買い替えサイクルがようやく復活しつつあるところですし、先行きも含めて消費は順調に回復・拡大を続けるものと期待しています。引用した記事にもある通り、今後とも雇用とマインドが消費をサポートするものと私は考えています。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。失業率も有効求人倍率も前月と同じながら、かなりタイトな労働需給を示しています。加えて、正社員の有効求人倍率も前月から横ばいのながら1.01 倍と高い水準にあります。さらに、雇用の先行指標と考えられている新規求人数は一段と伸びています。ただし、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、中小企業では人手不足が深刻化する可能性もあります。さらに、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用水準ではないかと私は考えています。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。ということで、コアCPI上昇率は、6月+0.4%から7月+0.5%、8月+0.7%と徐々に上昇幅を拡大しています。ただし、私の計算では、8月のコアCPI上昇率+0.7%に対する寄与を先ほどの4分割で考えると、大雑把にいって、エネルギーが+0.5%、食料が+0.2%であり、コア財とサービスはともにほぼゼロです。先行きについて考えると、エネルギー価格の動向が不透明ながら、引き続き根強い家計の節約志向に基づく価格引き下げ方向と人手不足とエネルギー価格などのコスト上昇に伴う価格引き上げの動きが入り混じっている気がします。国際商品市況における石油価格が急落しない限り、コアCPIのプラスがデフレに戻る可能性は低いものと考えていますが、逆に、現状のままでは日銀のインフレ目標である2%に達するほどのコアCPIのプラス幅拡大も見込めないものと考えるべきです。だからこそ、片岡委員がさらに積極的な金融政策を求めて反対票を投じたんだろうと私は認識しています。
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2017年09月28日 (木) 23:14:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」World Economic Outlook 分析編やいかに?

日本時間の昨夜、来月のIMF世銀総会に向けて、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編が公表されています。今回の分析編は、先進国の賃金動向、気候変動の経済的影響、財政政策と3テーマを3章に渡って展開しています。章別のタイトルは以下の通りです。
Ch 2:
Recent Wage Dynamics in Advanced Economics: Drivers and Implications
Ch 3:
The Effects of Weather Shocks on Economic Activity: How Can Low-Income Countries Cope?
Ch 4:
Cross-Border Impacts of Fiscal Policy: Still Relevant?


国際機関のリポートに着目するのはこのブログの大きな特徴のひとつですし、いくつか画像を引用しつつ簡単に「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編について取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、IMFのブログサイトから引用しています。上のパネルでは失業率が低下し、労働需給がタイトになりながらも、2008-09年のグレート・リセッションから賃金上昇が鈍化していることが読み取れ、他方、下のパネルでは、労働時間が短縮化され、雇用がフルタイムではなく非自発的なパートタイムが増加していることが読み取れます。第3章では、先進国における賃金上昇が大きく鈍化した要因として、この非自発的なパートタイム雇用の拡大とそれに伴う労働時間の短縮を上げており、こういったパートタイム雇用の増加が遊休労働力を掘り起して、労働力市場のスラックが拡大するとともに、生産性の停滞や賃金上昇の鈍化が生じている可能性があると分析しています。その上で、賃金や生産性に影響する本来の労働スラックをヘッドライン統計の失業率から読み取ることは難しい可能性があり、金融政策運営においてはこの点に留意が必要と主張しています。

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上のグラフは、別のIMFのブログサイトから引用しています。縦軸は1度の気温上昇による産出へのダメージであり、横軸は気候変動の受け入れ可能なインデックスです。極めて大雑把ながら、赤いシンボルの低所得国がこの散布図の左下に位置して、気候変動への耐性が低い上に1人当たりGDPへのマイナスのダメージが大きく、逆に、日独英米といった青いシンボルの先進国は右上に位置して、気候変動の耐性が高い上に経済的ダメージも小さい、ないし、プラスの経済的効果がある。そして、新興国はその中間的な位置を占める、ということが読み取れます。従って、気候変動に伴う頻発する自然災害、海面上昇、生物多様性の喪失など、人類起源のこういった現象の緩和のための国際的な協力体制の構築の必要性を主張しています。

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上のグラフは、別のIMFのブログサイトから引用しています。財政政策、というか、財政ショックの大きさを上のグラフでは、国内経済状況により異なる、すなわち、国内経済にスラックがあったり、金融政策で25ベーシス以下の実質ゼロ金利政策(ELB)を取っている場合には大きく、また、下のパネルでは、減税よりも支出増の方が財政政策の効果が大きい、と示しています。当然ながら、貿易を通じて財政ショックは国境を越えて波及し、他国に恩恵をもたらします。我が国でもリフレ派の浜田教授が財政政策の必要性をより重視するような方向転換をしていますが、そろそろ、金融政策だけでなく財政政策も出番なのかもしれません。



最後に、IMFの「世界経済見通し」から目を転じると、9月26日付けで世界経済フォーラムから「世界競争力報告」Global Competitiveness Report 2017 が明らかにされています。首位は9年連続でスイスが維持し、2位は米国、3位はシンガポールなどとなっており、我が国の総合順位は137か国・地域中の9位と、香港に抜かれて前年の8位から後退しています。少し細かいコンポーネントを見ると、「マクロ経済環境」が前年の104位から93位へと改善した一方で、「健康・初等教育」は5位から7位へと悪化しました。アジア勢ではインドネシアとベトナムが大幅に順位を上げています。上のフラッシュは世界経済フォーラムのサイトからシェアしています。
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2017年09月27日 (水) 22:52:00

9月調査の日銀短観予想やいかに?

来週月曜日10月2日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2017年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、その設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+17
+23
<+2.9%>
n.a.
日本総研+14
+21
<+4.1%>
先行き、企業収益が堅調を維持するもとで、設備投資の腰折れは回避される見通し。円高や海外情勢不安が足許で設備投資をやや先送りさせているものの、過度な不安が後退すれば、持ち直しに転じる見通し。
大和総研+16
+23
<+4.9%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、除くソフトウェア)は前年度比+4.9%と、前回の6月短観(同+2.9%)から上方修正されると予想する。9月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、企業収益の改善が設備投資に対してプラスの影響を及ぼす一方で、設備稼働率が伸び悩んでいることなどを踏まえ、例年の修正パターン並みの結果になると想定した。
なお、設備投資の前年比の水準が相対的に高いことが注目されるものの、これは昨年度の伸びが低かったことの影響も大きく、水準は幾分割り引いてみる必要があろう。総じてみると、短観で見る日本企業の設備投資計画は底堅い内容だと評価している。
みずほ総研+18
+24
<+4.4%>
製造業については、海外政治経済情勢の不透明感が重石となる一方、堅調な内需が下支えとなり、6月調査並みの伸び率を予想する。非製造業については、人手不足を背景とした省力化投資需要の高まりに加え、オリンピックやインバウンド対応投資の継続によって、前年比プラスに上方修正されると予想する。
ニッセイ基礎研+18
+23
<+4.3%>
今回の短観でとりわけ注目されるのは、2017年度の設備投資計画となる。前回調査からどの程度上方修正されるかがポイントだ。過度の円高の是正や世界経済の回復などを受けて、企業の利益水準は過去最高レベルとなり、手元資金も増加するなど、企業の設備投資余力は潤沢かつ改善している。投資余力の改善を受けて設備投資の勢いも強まるのか? それとも、先行き不透明感を理由に様子見姿勢が強まるのか? 動向が注目される。現在、国内では賃金上昇が鈍いなかで物価が上昇しており、消費回復の持続性には不安が残る。従って、企業の設備投資がどれだけの強さを発揮するかが、日本経済の今後の回復を占ううえで重要なカギとなる。
第一生命経済研+17
+22
<大企業製造業+15.7%>
<大企業非製造業+4.0%>
2017年度の設備投資計画は、大企業中心に小幅での上方修正が進む見通しである。特に、大企業・製造業は2桁の前年比増加を続けるとみられる。生産水準が高まると、製造業の利益率も高まり、企業は設備の能力増強を行おうとする。そうした好循環メカニズムの一端が働いていることは確かだろう。9月調査は設備投資計画がほとんど動かない調査回である。そうしたくせを念頭に置きながら、例年の9月対比で強いか弱いかをみていきたい。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+18
+25
<大企業全産業+8.5%>
大企業の上方修正幅は小幅にとどまるものの、既に6月調査の時点で、前年及び過去の6月調査における平均的な水準を大幅に上回っており、大企業の積極的な投資スタンスに変化はないとみられる。一方、中小企業の上方修正幅は、概ね例年並みとなる見込み。中小企業における人手不足の深刻さは大企業以上であり、今後も企業収益の回復に合わせて、設備投資計画の上方修正が続く見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+20
+25
<大企業全産業+8.9%>
足元までの設備投資は持ち直し基調にあり、今後も、企業の手元資金が潤沢であることや 、 深刻な人手不足の中で 機械への投資の重要度が増すことが国内の設備投資を押し上げるだろう。もっとも、将来に向けて国内需要の急速な拡大は見込めず、生産拠点を新興国などの消費地に近づける動きは変わらない。今後、為替円安が定着しても、生産を国内に移管する動きはほとんど出ないだろう。
中小企業の設備投資計画は、製造業が前年比-3.0%、非製造業が同-18.0% と、ともに上方修正が見込まれる。製造業、非製造業ともに前年比マイナスであるものの、例年、計画は調査を経るごとに上方修正される傾向があり、今後、マイナス幅は徐々に縮小していくだろう。
三菱総研+18
+23
<n.a.>
業況判断DI(大企業・全産業)は、+21%ポイント(6月調査から1%ポイント上昇)と、4期連続での業況改善を予想する。海外需要の持ち直しを背景に、製造業を中心とする改善を見込む。
富士通総研+18
+24
<+4.6%>
2017年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比4.6%と、6月調査から上方修正されると見込まれる。好調な企業収益が投資を支えており、このところ軟調であった機械受注も、7月は4ヵ月ぶりのプラスとなり、先行きの増加が期待できるようになっている。人手不足の深刻化により、省力化投資に対する企業の意欲はより一層高まっている。これに関連して、物流効率化のための投資も活発化している。さらに、IoT関連の投資需要の高まりも顕著になっている。大企業を中心に、設備投資計画は過去の平均を上回って推移しており、9月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。


ということで、見れば明らかなんですが、6月調査の短観と比較して、景況感に関しては、ほぼ横ばい圏内の動きが予想されているように見受けられます。ビミョーに上がるところと下がるところと、決して見方は一様ではないんですが、いずれにせよ、大きな動きで一方に偏るという見方はないようです。要するに、景況感に関しては、設備投資計画もそうなのかもしれませんが、現在の海外要因の不透明さに対する見方次第であり、少なくとも、今週に入ってからのドイツ総選挙でメルケル現首相の与党勝利で、ある程度は払拭され、あとは北朝鮮情勢が大きな比重を占める、ということではないかという気がします。北朝鮮情勢だけはエコノミストには予測不能です。太平洋にて水爆実験、なんていわれても、その経済的なインパクトも含めて、私のような専門外のエコノミストにはサッパリです。設備投資も同様の懸念あるものの、少なくとも国内経済要因だけは投資増の方向かという気がします。すなわち、好調な企業業績による資金的な余裕と人手不足による省力化や合理化投資の必要性が設備投資を下支えすることは確実です。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから業況判断DIの見通しを引用しています。

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2017年09月26日 (火) 19:26:00

50か月連続で前年比プラスを記録した企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、日銀から8月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPI上昇率は+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.7%と、上昇幅は前月から大きな変化なく、引き続き、+1%を少し下回るプラス圏内で推移しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 50カ月連続プラス
日銀が26日に発表した8月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.8%上昇した。前年比での上昇は50カ月連続。テレビやインターネットの広告価格がマイナス幅を縮小したほか、宿泊サービス価格が上昇に転じ、指数を押し上げた。
テレビ広告は、前年のリオデジャネイロ五輪の時期に番組や時間帯の指定をせず放送するスポットコマーシャルの需要が落ち込み、価格が大きく下がっていた反動で持ち直した。携帯電話(ガラケー)からスマートフォンへの乗り換えを促す広告やオンラインゲームの広告の増加も寄与した。
宿泊サービスは、ホテルの宿泊価格が上昇に転じた。8月は夏季休暇でホテル需要がピークを迎え、価格水準が年間で最も高くなる。インバウンド(訪日外国人)の数が高水準を保っており、前年よりも値上げ幅が大きかった。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは81品目、下落は32品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は49品目で、7月の確報値(47品目)から2品目増えた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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SPPIの前年同月比で見て、7月の+0.6%から8月は+0.8%にやや上昇率を高めましたが、引用した記事にもある通り、上昇幅が拡大した中で大きい寄与を示しているのは広告です。特に、テレビ広告が+0.12%、加えて、インターネット広告も+0.02%の寄与となっています。人手不足を要因とすると推察されるのは宿泊サービスの+0.02%の寄与です。他方で、ソフトウェア開発は▲0.02%とマイナス寄与が大きくなっています。私の直観としては、広告は需給要因で動きの大きい項目となっており、プラスにせよ、マイナスにせよ、寄与度としては絶対値が大きい印象があります。8月SPPI統計ではプラスで出たわけですし、最近では需給要因を反映してプラス寄与、ただし、前年同月比はまだマイナス、という月がチラホラと見かける気がします。SPPIのウェイトで約⅓を占める諸サービスの前年同月比で見て、土木建築サービス+4.6%、警備+3.1%、職業紹介サービス+2.9%、労働者派遣サービス+2.0%など、人手不足が原因で高い上昇率を示していると考えられる項目が並んでいます。エコノミストの中には、人手不足は長期化するとの見通しも少なくなく、物価上昇や賃上げに結びつくんではないかと私は期待しています。
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2017年09月25日 (月) 23:09:00

「マーケティング実務家によるプレミアムフライデー『実感』アンケート」調査結果やいかに?

2月に始まったばかりなのに、すでに見直し論議が巻き起こっているプレミアムフライデーなんですが、やや旧聞に属する話題ながら、マーケティングの実務家による国際組織であるMCEI (Marketing Communications Executives International)の東京支部から「マーケティング実務家によるプレミアムフライデー『実感』アンケート」の調査結果が9月1日に明らかにされています。今週の金曜日はプレミアムフライデーですが、この調査結果につきいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはアンケート調査結果のリポートから、プレミアムフライデーに関して、実施状況、今後の定着、働き方改革への影響、消費拡大への影響につき問うた結果です。私の勤務する役所では当然にプレミアムフライデーは実施しているんですが、驚くほど実施していない割合が高いのが見て取れます。ただし、定着に関しては実施の比率に比べれば楽観的な見方が多く、働き方改革や消費拡大に向けた影響についてはさらに楽観視されているようです。

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そして、上のグラフはアンケート調査結果のリポートから、プレミアムフライデーの実施日について問うた結果です。一目瞭然なんですが、このままでいいというのは少数意見でしかなく、月中を推す意見の方が多い結果が示されていますいます。さて、見直し論議のゆくえやいかに?
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2017年09月22日 (金) 22:49:00

ダイヤモンド・オンラインに見る商社への「就職に強い大学」ランキングやいかに?

先週金曜日の東洋経済オンラインの40歳平均年収ランキングに続き、今夜は9月19日付けのダイヤモンド・オンラインで明らかにされている商社への「就職に強い大学」ランキングです。我が家の上の倅は商社への就職はそれほど興味内容なんですが、週末前の軽い話題として簡単に取り上げておきたいと思います。

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極めて大雑把に考えて、入試の偏差値が適当なのかどうかは別として、学生の優秀さと正の相関があり、同時に、学生の多さとも相関しているような気がします。もっと、正や負やの相関を持つ変数がありそうな気もします。私の認識がとても古くて、しかも、偏っているんだろうと思いますが、トップ40に女子大が6校も入っているのは驚きでした。また、首都圏と関西圏の大学がほとんどで、名古屋圏がチラホラと見けかる他は、いわゆる旧帝大しかトップ40にランクインしていません。もっとも、筑波大学が首都圏なのかどうかは議論あるかもしれません。
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2017年09月21日 (木) 23:02:00

「OECD経済見通し中間報告」は順調な世界経済の回復・拡大を確認!

日本時間の昨夕、経済協力開発機構(OECD)から「OECD経済見通し中間報告」OECD Interim Economic Outlook が公表されています。世界経済は緩やかな回復が続くとして、2016年の3%成長から、2017年の成長率を+3.5%と前回の6月見通しから据え置き、2018年は+3.7%と前回見通しから+0.1%ポイント上方修正しています。日本経済については、2016年の+1.0%成長から、2017年+1.6%成長、2018年+1.2%成長と、いずれも6月の前回見通しから+0.2%ポイント上方修正しています。下のグラフはOECDのサイトから総括的な成長率見通しを引用しています。

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国際機関の経済見通しなどのリポートに注目するのはこのブログの特徴のひとつでもあり、いくつか画像をお示ししつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の画像は、OECDから公表されているプレゼンの p.2 から3点の Key messages を引用しています。第1に、欧州で予想を上回る成長が示され、短期的な成長モメンタムが広がりを見せていること、しかしながら、第2に、民間投資や賃金回復が不十分であり、力強く持続的な中期的成長が保証されているとはいいがたいこと、従って、第3に、政策の中心課題は金融政策から財政・構造政策による経済成長や賃金上昇への支援に転換し、包摂的な成長を目指す必要があること、と示されています。

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次に、同じくOECDから公表されているプレゼンの p.11 から就業率と雇用者1人当たり実質雇用者報酬のグラフを引用すると上の通りです。このグラフを示しつつ、生産性や賃金を下支えする構造改革を加速すべきことを強調しています。まあ、物価や賃金が上がらないのは、我が国だけでなく世界的な現象なのかもしれません。なお、私は記者会見のビデオを見ていませんが、日経新聞の記事によれば、OECD当局から「持続的な成長のためには、企業が積み上げた現金を賃上げや投資を増やすことに使うことが必要」との指摘があったように報じられています。

最後にご参考まで。10月のIMF世銀総会に向けて、国際通貨基金(IMF)でも経済見通し作業を進めているようで、IMFのサイトでは、来週9月27日に「世界経済見通し」 World Economic Outlook の分析編が公表される旨が明らかにされています。
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2017年09月20日 (水) 22:32:00

8月貿易統計に見る輸出と輸入の拡大は何を意味するか?

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+18.1%増の6兆2780億円、輸入額も+15.2%増の6兆1643億円、差引き貿易収支は+1136億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易収支、3カ月連続黒字 1136億円 米向け自動車など伸びる
財務省が20日発表した8月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1136億円の黒字だった。貿易黒字となるのは3カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1200億円の黒字だった。自動車や半導体関連の品目がけん引した輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、前年同月の346億円の赤字から黒字に転じた。
輸出額は前年同月比18.1%増の6兆2780億円となり、9カ月連続で増加した。増加幅は2013年11月(18.4%)以来の大きさだった。輸出数量が輸入を上回る伸び率で堅調に推移している。8月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=110.77円と前年同月から7%程度の円安となり、円建ての輸出額を押し上げたことも寄与した。
米国向けの排気量2000cc超の自動車や香港向けの半導体などの電子部品の輸出がけん引した。地域別では、前年同月が低調だった反動もあり、対米国が21.8%増と14年12月(23.7%)以来の伸びを記録したことが目立った。対欧州連合(EU)は13.7%増、中国を含む対アジアも19.9%増とともに増加した。
輸入額は15.2%増の6兆1643億円だった。資源価格の上昇と円安の進行で、石炭や液化天然ガス(LNG)、原粗油といったエネルギー関連を中心に増加した。中国からのパソコン、ドイツからの自動車や航空機などの輸入が増えたことから、対中貿易は6カ月連続、対EU貿易は2カ月ぶりに赤字となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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メディアの報道では、上に引用した記事もそうですが、3か月連続の貿易黒字がハイライトされているような気がします。大きな要因は、石油価格などをはじめとする国際商品市況における資源価格の落ち着きに加えて、世界経済の順調な回復・拡大に伴って、我が国の輸出がまさに主力輸出品である自動車などで伸びているからであると私は受け止めています。そして、我が国の景気も順調な回復・拡大軌道にあり、従って、輸入額も国内経済活動に応じた伸びを示しており、輸出と輸入がともに拡大する好ましい局面に入りつつあることを実感しています。もうひとつは、昨年6月の英国の国民投票により、いわゆるBREXITが決まり、世界経済が昨年年央にはもっとも不透明感が大きかった1年後の反動、という側面もありますから、それほど手放しで楽観するのもどうかという気もします。ただ、昨年後半のBREXITやトランプ大統領の当選といった時期からは、大陸欧州でのポピュリスト政党の大幅な躍進も見られず、フランス大統領選挙の結果なども踏まえれば、少しだけ世界経済の見通しがよくなった気もします。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。世界経済の回復・拡大、さらに、不透明感の低下に加え、我が国からに輸出は、引用した記事にもある通り、為替がフォローの風となって、大きく伸び始めました。為替さえ通常の水準を維持していれば、自動車産業をはじめとして、我が国産業にはまだまだ国際競争力があるんではないか、と改めて感じています。

最後に、そうはいっても、世界経済にリスクがないわけではなく、昨年のような政治的、というか、経済外的なリスクではないものの、欧米の金融政策に起因するリスクが顕在化する可能性があります。すなわち、米国連邦準備制度理事会(FED)は6月にも利上げを決めましたし、年内にも追加利上げが実施されたり、資産圧縮が始まる可能性もあり、米国経済の下押し圧力になるとともに、新興国の金融市場での波乱要因となる可能性も否定できません。加えて、欧州中央銀行(ECB)でも来年以降の資産買い入れの圧縮=テーパリングが、早ければ今秋から議論される可能性があり、何らかの市場の反応が発生する可能性があります。
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2017年09月19日 (火) 19:43:00

今夏の気候に起因する野菜価格に関する消費者の実感やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、ネット調査大手のインテージから、9月8日付けで2017年夏の野菜価格についての生活者の印象の調査結果が明らかにされています。今夏は梅雨が明けていないのではないか、とおもわれるほど雨が続き日照時間が不足している印象があり、野菜などの農作物価格が気がかりであったところ、なかなか興味深い調査結果が示されています。いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、インテージのサイトから、今年の夏の野菜価格の印象 について問うた結果が上のグラフの通りです。「例年に比べて、高くなっていると感じた」が15.1%で、「例年に比べて、やや高くなっていると感じた」の47.2%まで含めると62.3%が、例年に比べて高くなっていると感じているようです。グラフの引用は割愛しますが、地域別で見ると、「やや」抜きで「高くなっている」との印象が四国と九州といった日本の南寄りのエリアで比較的高くなっているようです。

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次に、インテージのサイトから、高くなっていると感じた野菜 について問うた結果が上のグラフの通りです。見ての通りなんですが、上位に上がった品目はいずれも天候不順による生育不足や入荷量の減少が価格に影響した可能性があり、生活者として日常の買い物などにおいてもそれらの価格高騰が感じられているようです。
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2017年09月17日 (日) 23:24:00

東洋経済オンラインによる「東京五輪を陰で支える」50法人ランキングやいかに?

本日9月17日付けの東洋経済オンラインで「東京五輪を陰で支える」50法人ランキングが明らかにされています。オリンピックを陰で支える、というよりは、公共事業をジャカスカ受注している、という方が正確な気もしますが、以下のテーブルの通りです。ご参考まで。

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2017年09月15日 (金) 21:33:00

東洋経済オンラインによる40歳平均年収「63業界」ランキングやいかに?

先週金曜日9月8日付けで東洋経済オンラインから40歳平均年収「63業界」ランキングが明らかにされています。以下のテーブルの通りです。

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実は、大学の3年生になる上の倅と先週に進路に関する雑談をしました。倅のいうところによれば、上のテーブルのトップを飾ったコンサルとか、外資系の投資銀行などは、確かに高給は高給だが、メチャメチャ働かされる、とのうわさを耳にする、ということのようでした。私が大学生だったころは、やっぱり、銀行とか商社とか、あるいは、生損保などが人気で、銀行や商社はハードワークだといわれていて、私にはムリだろうと考えた記憶があります。お給料やワーク・ライフ・バランスのほかに、さらに考慮すべきは勤務地で、私が入ったお役所は2000年の省庁再編前は地方支分部局がなくて、東京だけにオフィスのある役所だったんですが、そもそも、なぜか国際派になってしまった私は海外勤務を2度に渡って計6年余り経験しましたので、国内での転勤よりもある意味でハードだったかもしれません。いうまでもなく、2度目の海外勤務のジャカルタには倅も連れて行っています。商社のような国際派に適した職場もあれば、ややドメっぽいながら全国に支店網を持つ生保のような会社もあります。そのあたりも考えどころなんでしょう。
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2017年09月13日 (水) 19:22:00

さらに上昇幅を拡大した企業物価(PPI)と大企業景況感がプラスに戻った法人企業景気予測調査をどう見るか?

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI)が、また、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+2.9%を示した一方で、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は4~6月期の▲2.0の後、7~9月期にはを+5.1記録し、先行きについては、10~12月期は+7.5に、また、来年2018年1~3月期は+5.6と、それぞれプラスを維持すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業物価指数、前年比2.9%上昇 8年10カ月ぶり伸び率
日銀が13日に発表した8月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.8で、前年同月比で2.9%上昇した。伸び率は7月(2.6%)から拡大し、消費税の影響を除くと2008年10月(4.5%)以来8年10カ月ぶりの大きさとなった。8カ月連続の上昇となる。前年比での原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品の価格が上げ幅を広げた。
前月比では横ばいだった。中国の需要増加を背景に8月に銅の国際価格や古紙の価格が上昇した。世界的に自動車の需要が好調で中国やトルコが粗鋼の生産を増やし、鉄鉱石が上昇したため、競合する鉄くずの価格も上がった。一方で、原料の値下がりで化学製品が下落したほか、今夏の天候不順でバーベキューなどの行楽需要が不振となり、牛肉の価格も下落した。
円ベースの輸出物価は前年比で8.6%上昇し、13年12月(12.7%)以来の伸び率となった。前月比では0.5%下落した。輸入物価は前年比で12.5%上昇し、14年1月(12.7%)以来の伸び率となった。前月比では1.3%下落した。為替相場が前年比で円安、前月比では円高となったことが影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは390品目、下落したのは256品目だった。上昇と下落の品目差は134品目と、7月の確報値(79品目)から55品目拡大した。
日銀の調査統計局は「中国の景気や国内の天候不順、地政学リスクが物価に与える影響を今後も注視していく」との見解を示した。
7~9月の大企業景況感、2期ぶりプラス 法人企業景気予測調査
財務省と内閣府が13日発表した法人企業景気予測調査によると、7~9月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス5.1だった。情報通信機械器具や生産用機械器具を中心とした製造業がけん引し、2期ぶりにプラスとなった。前回調査の4~6月期はマイナス2.0だった。
7~9月期は大企業のうち、製造業がプラス9.4となった。情報通信機械器具製造業で自動車やスマートフォン(スマホ)向けの電子部品が好調なことや、生産用機械器具製造業で半導体関連の製造装置の需要が増加したことなどが全体の景況感を押し上げた。4~6月期のマイナス2.9から大幅に改善した。
非製造業はプラス2.9となり、前回調査のマイナス1.6から改善した。建設業で建築需要が堅調に推移しているのに加え、サービス業のうち宿泊業や娯楽業での来客数増加などが寄与した。
先行き10~12月期の見通しはプラス7.5で、製造業がプラス11.2、非製造業がプラス5.7だった。2018年1~3月期は全産業でプラス5.6となった。財務省と内閣府の総括コメントは「緩やかな回復基調が続いている」となり、前回調査時の「企業の景況感は慎重さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と比べてやや明るさがみられた。
17年度の設備投資は前年度比で3.9%増加する見込みとなった。情報通信機械器具製造業のでスマホ向け電子部品の生産能力増強などが見込まれている。前回調査の3.8%増も小幅に上回った。経常利益の17年度見込みは0.6%増となり前回調査の0.4%減から改善がみられた。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は8月15日時点。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計2本の記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、最初のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、真ん中の2番目は需要段階別の上昇率、そして、最後の3番目は原油価格の指数そのものを、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2枚のパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で見て、8月は+3.0%の上昇と、前月7月の+2.6%からさらに上昇幅を拡大しています。ただ、上昇幅拡大の主因は電気やガスなどのエネルギー関連の価格上昇であり、国際商品市況における石油価格の上昇がラグを伴って波及しているだけという気もします。上のグラフの中の一番下のパネルでは原油価格の指数をそのままプロットしていますが、前年同月比上昇率のベースでは、今年2017年1~3月期の各月に+90%超の大幅な上昇を記録した後、すでに上昇率ではピークアウトし、直近8月統計では+20.0%まで上昇幅が縮小して来ていますが、昨年の指数のボトムは8月ですし、9~10月も指数のレベルは低くて、今年9~10月の指数が8月と同じであれば、まだ2ケタ上昇が続くことになります。いずれにせよ、国際商品市況で決まる価格ですので先行きは見通しがたいんですが、大幅な価格上昇の時期は過ぎた気もします。ですから、金融政策というよりも国際商品市況におけるエネルギー価格からの影響の強いPPI上昇率の先行きについては、このまま上昇幅がさらに拡大することは考えにくいと私は受け止めています。

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続いて、上のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフロデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。ただ、跛行性が見られるのも確かで、規模の大きな企業ほどマインドは改善し、非製造業よりも製造業の方が海外経済の恩恵を受けやすく、マインドはより大きく改善を示しています。足元の10~12月期では大企業の景況判断BSIが+7.5、中堅企業は+4.6、中小企業は+0.7となっています。また、個別項目では、人手不足感が広がっており、特に、中堅・中小企業では大企業よりも人材確保が困難なようで、今年12月末時点の見通しで、従業員数判断BSIの不足超が大企業で14.8に上る一方で、中堅企業では26.6、中小企業でも25.2を示しています。また、注目の設備投資については、ソフトウェア投資額を含む、土地購入額を除くベースで、全規模全産業で見て今年度2017年度は前年度比+3.9%増、うち、製造業+8.2%増、非製造業+1.5%増となっています。人手不足に伴う賃金の上昇や設備投資の増加が景気拡大の好循環につながることが期待されます。

どうでもいいことながら、米国のアップル社からiPhoneの新製品が明らかにされています。iPhone発売から10年ということのようです。我が国の携帯3社はiPhone 8については9月22日発売を明らかにしていますが、iPhone X については未定だそうです。価格が10万円を軽く上回るようです。
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2017年09月12日 (火) 19:43:00

中国SNS上の「聖地巡礼」スポット分析結果やいかに?

やや旧聞に属するトピックですが、8月29日付けでトレンドExpressから、中国の代表的なSNSである新浪微博上の聖地巡礼に関するクチコミ分析の結果が明らかにされています。下のテーブルの通りです。

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ということで、ダントツ1位は「君の名は。」の飛騨高山となっています。なお、中国では昨年末から封切られているそうです。2位には「ジブリ各作品」の三鷹市がランクインしています。もともと、三鷹の森ジブリ美術館や9位にランクインしている清水市のちびまる子ちゃんランドは人気のスポットではなかろうかと思います。我が家の子供達が小さかったころは、熊本にウルトラマン・ランドなるスポットがあったんですが、ジャカルタで暮らしているうちに行きそびれて、結局、2013年に閉鎖されてしまいました。本題に戻って、3位「夏目友人帳」の八代市、4位「スラムダンク」の鎌倉市は昨年の1位と2位の作品です。10位「新世紀エヴァンゲリオン」箱根町は、この時期にどうして、という気になったんですが、昨年2016年夏に上海のゲームショーで高さ25メートルのエヴァ初号機が公開され話題になったので注目を集めたようです。
中国では、最近になって、アニメ・マンガなどの舞台となった「聖地巡礼」が日本旅行の目的のひとつとして扱われ始め、メディアへの露出が増えてきているようです。2015年8月からのクチコミ件数推移を見てみると、夏に盛り上がりを見せていて、夏休みや卒業のシーズンで多くの若者が旅行に出かけており、「聖地」ブランドのターゲットは若者ということになりそうです。
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