2017年06月27日 (火) 19:53:00

来週月曜日に公表予定の日銀短観の予想やいかに?

来週月曜日7月3日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2017年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、その設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+12
+20
<▲1.3%>
n.a.
日本総研+14
+23
<+3.8%>
2017年度の設備投資計画は、全規模・全産業で前年度比+3.8%と、前回調査対比+4.5%の上方修正を予想。良好な企業収益を背景とした潤沢なキャッシュフローに加え、低金利、維持・更新や省力化・合理化などに向けた投資需要が引き続き堅調なことから、例年の足取りに沿った上方修正となる見通し。2016年度後半に先送りされた投資需要が顕在化してくることも下支えに作用。もっとも、米国トランプ政権の政策運営など、海外情勢の不透明感が依然として残るなか、収益の伸びを上回るペースでの設備投資の増加は期待し難い状況。
大和総研+14
+23
<+2.1%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年度比+2.1%と、前回(同▲1.3%)から上方修正されると予想する。6月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。これまで企業の設備投資計画を大きく修正するような設備投資需要の変化がなかったことから、今回は例年の修正パターン並みの結果になると想定した。総じてみると、短観で見る設備投資計画は底堅い結果となろう。
みずほ総研+13
+21
<+3.9%>
2017年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+3.9%と、3月調査(同▲1.3%)から上方修正され、近年の6月時点の計画と比べても高い伸びになるとみている。既に公表されている4~6月期の法人企業景気予測調査によれば、2017年度の設備投資計画(ソフトウェアを除き、土地含む、全規模・全産業)は、前年比+0.2%と1~3月期調査(同▲10.2%)より上方修正されている。
ニッセイ基礎研+15
+22
<+4.2%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、2016年度実績比で4.2%増と前回調査時点の1.3%減から上方修正されると予想。例年6月調査では、計画が固まってくることで大幅に上方修正される傾向が極めて強い。前回調査で、近年の3月調査での伸び率をかなり上回る計画が示されたことで発射台が高いだけに、今回調査でも近年の同時期の伸び率を上回る高い伸び率となるだろう。ただし、比較対象となる16年度実績が低いということを考慮すれば、実勢としては力強さを欠くとの評価になる。企業収益は改善しているが、海外情勢をめぐる先行きの不透明感が強い状況が続いており、現段階において投資を大きく積極化する動きは限られるとみている。
第一生命経済研+15
+26
<大企業製造業+14.1%>
<大企業非製造業+4.5%>
マクロの設備投資は上向いてきて、輸出・設備投資といった企業中心の景気拡大になっている。短観でも、2017年度の大企業・製造、非製造業はともにプラス計画となるだろう。企業の生産・営業用設備判断DIは、3月調査は中小企業が▲3の不足超となった。中小・非製造業は、2017年度こそマイナス計画であるが、2016年度実績ではしっかりと2桁プラスになるだろう。企業収益の好調さが、設備投資を後押しする格好である。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+14
+23
<大企業全産業+7.0%>
17年度の設備投資計画は、大企業(前年度比7.0%増)、中小企業(同18.5%減)とも、3月調査からの上方修正が予想される。もっとも、例年6月調査では設備投資計画が上方修正される傾向があり、今回予想される上方修正幅は、昨年6月における上方修正幅と大きく変わらない。好調な企業業績が、設備投資の回復をけん引しているものの、米国のトランプ大統領の経済政策や、英国のEU離脱方針などに不透明感が残る中、企業は設備投資計画の大幅な上方修正に踏み切れない模様である。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+15
+22
<大企業全産業+8.3%>
2017年度の計画については、大企業製造業は前年比+15.5%、非製造業では同+4.3%と、前回調査から上方修正されると見込まれる。将来、需要が伸び悩むと見込まれる国内から、需要の拡大が期待される新興国へ投資先を移す流れは変わらないが、企業の手元資金が潤沢であることや、人手不足が一段と深刻になる中で機械への投資の重要度が増すことが、国内の設備投資を押し上げるだろう。さらに、国内外の景気回復を背景に、2017年度は国内の生産能力を増強するための投資も増加すると予想する。
中小企業についても、製造業、非製造業とも上方修正され、製造業は前年比-5.0%、非製造業は同-22.0%になると見込まれる。製造業、非製造業ともに前年比マイナスであるものの、例年、計画は調査を経るごとに上方修正される傾向があるため、今後、マイナス幅は徐々に縮小していくだろう。
三菱総研+15
+22
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は+15%ポイント、非製造業は+22%ポイントと横ばいを予測する。国内外の実体経済の回復が業況を下支えするものの、米国を始めとする海外の政治・経済への不透明感や、地政学リスクへの懸念が残ることなどが企業マインドの重石となると見込む。
富士通総研+14
+23
<+4.1%>
2017年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比4.1%と、3月調査から上方修正されると見込まれる。人手不足の深刻化により、人手を機械やロボットに置き換える省力化投資に対する企業の意欲はより一層高まっている。これに関連して、物流効率化のための投資も活発化している。また、IoT関連の投資需要の高まりも顕著になっている。この結果、大企業製造業を中心に、過去の平均を上回って、3月調査から上方修正されると見込まれる。また、中小企業も例年並みに上方修正されると予想される。なお、2016年度の設備投資実績は、過去のパターンと同様、大企業では3月調査より下方修正されると見込まれる。


日銀短観のヘッドラインと目されている大企業製造業の業況判断DIは、少し過去にさかのぼると2012年10-12月期の景気転換点にほぼ一致して、2013年6月調査からプラスに転じています。大企業非製造業では2011年9月調査から一貫してプラスを続けています。その上で、この2017年6月調査では3月調査から業況判断DIはわずかながらさらに上昇を示すと予想されています。先日の内閣府の景気動向指数研究会でも、2012年11月に暫定的に同定した第15循環の景気の谷以降のCI一致指数やヒストリカルDIを見る限り、2014年3月に景気の山は設定されず、第15循環の景気の谷以降景気の山は設定されない、と結論していますし、少なくとも企業マインドの観点からはこの結論をサポートし、加えて、足元から目先の今年中くらいの短いスパンでは、少なくとも日本経済において自律的な景気の転換は見通しにくい、と私は考えています。上のテーブルに取りまとめたシンクタンクなどの日銀短観予想の通りです。同時に、設備投資についても、まだ多くの中堅・中小企業で計画が取りまとめられていなかった3月調査から大きく上方改定されると見込んでいます。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから設備投資計画 (全規模全産業)を引用しています。

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2017年06月26日 (月) 22:51:00

企業向けサービス物価(SPPI)は5月統計で前年同月比+0.7%を記録!

本日、日銀から5月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPI上昇率は+0.7%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.7%と、引き続きプラス圏内で推移しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、前年比0.7%上昇 人手不足や観光需要増で
日銀が26日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.7%上昇した。前年同月比での上昇は47カ月連続。人手不足による人件費の上昇で運輸・郵便の価格が上昇した。観光需要の高まりを背景に宿泊サービスや旅客輸送の価格も上昇した。
上昇率は前月の0.8%から0.1ポイント縮小し、前月比では0.1%低下した。新聞広告で前年比の下落率が拡大した。広告のデジタル媒体への移行が背景にある。人気イベント開催時期の後ずれの影響でテレビ広告も前年比で下落に転じた。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち価格が前年比で上昇したのは78品目、下落は33品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は45品目と4月の確報値(51品目)と比べて減少した。
日銀は価格上昇の動きについて「広がりはあるものの、力強いとまではいえない」(調査統計局)とみている。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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SPPI上昇率は今年2016年2-4月の+0.8%から小幅に縮小を示し、5月は+0.7%となりました。引用した記事にもある通り、広告が7月の+0.7%上昇から5月には▲0.7%と下落に転じた影響が出ています。ただ、広告については2-3月の年度末には、いわゆる「予算消化」のような形での出稿が増加して単価を釣り上げた、といわれていたんですが、そうとしても、広告が前年比マイナスに転じても、SPPI総合では底堅く推移していることも確かです。人手不足の影響については、運輸・郵便+1.1%上昇のほか、土木建築サービスが+4.9%、警備+3.6%と、職業紹介サービス+3.3%などと、決して一様ではないものの、全般的に底堅いサービス物価の動向が垣間見える気がします。ただし、引用した記事の最後の日銀コメントにある通り、広がりはある一方で、力強いとはいえない、との受け止めもあります。もっとも、私が調べた範囲では、現行の2010年基準ながらSPPIの前年同月比上昇率が4か月も連続して+0.7%とか、+0.8%の+1%近い水準に達していたのは、1997年や2014年の消費増税のケースを除けば、ほとんど、バブル崩壊直後の1993年年初までさかのぼらなければ見当たりません。その意味で、インフレ目標2%を掲げる日銀から見て、決して力強くはないかもしれませんが、現状の日本経済を前提に考えれば、十分な上昇幅なのかもしれません。逆から考えると、CPIでの計数とはいえ、2%の物価上昇目標はそれほど遠いのかもしれません。
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2017年06月23日 (金) 20:12:00

リクルート・ワークス研のシンポジウムを拝聴する!

今日は午後から外出して、リクルートワークス研が主催する「働き方改革の進捗と評価」JPSEDシンポジウムを聞いて来ました。少し前の6月9日にに全国就業実態パネル調査(JPSED)2016年調査に基づくリポート「Works Index 2016」が公表されており、その内容に関するお披露目といえます。なお、6月9日にはデータ集も明らかにされています。

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まず、Works Index なんですが、同一人物を追ったパネルデータであり、データとしてはまだ2015-16年の2時点しかありません。コンポーネントとなるインデックスとインディケーターは上の通りであり、「Works Index 2016」の p.4 から引用しています。今年の特徴としては2点上げられており、第1に、2015年から2016年にかけて、Works Index は▲1.2ポイント低下しています。平たくいえば、労働条件が悪化しているわけです。特に、上のインデックスの中の5番目のディーセントワーク(DW)が▲1.2ポイント低下しており、女性より男性が、また、男性の中では比較的若い世代が、それぞれ低下幅が大きいことから、人手不足の影響が職場における業務負荷の増加につながっている点が今後の課題と分析されています。同時に、人手不足に起因する業務負荷増のため、ディセントワークの項目以外でも、休暇が取れないとか、OJTの機会が減少しているなどの指摘もありました。下の一連のグラフはリポートから p.5 Works Index と前年との比較 を引用しています。

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もうひとつは、最近我が国の一貫した傾向ですが、労働所得は長期的に低下のトレンドにあり、Works Index でも2015年から16年にかけて▲1.6%の減少を示しています。ただし、継続就業者の労働所得は増加しています。すなわち、2015-16年にかけて継続して同一企業に就業している人に限ると、労働所得の増減率が+2.0%と増加しています。逆から見て、2016年に入職した新規就業者や転職者の労働所得は継続就業者よりもかなり低く、新卒者のみならず中途入社者の処遇の低さが課題として指摘されています。

昨年の第1回のシンポジウムも拝聴に行った記憶があるんですが、パネルデータでありながら第1回の結果でしたので1時点だけではパネルにもならず、今年の結果や来年の結果などから、徐々に研究目的の利用が広がるかもしれません。
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2017年06月22日 (木) 21:28:00

MM総研によるITデジタル家電購入意向調査(2017年夏ボーナス商戦編)やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、MM総研から6月13日に「ITデジタル家電購入意向調査 (2017年夏ボーナス商戦編)」と題するリポートが公表されています。まず、MM総研のサイトから調査結果の要約を3点引用すると以下の通りです。

  • ボーナス支給額は引き続き改善傾向、購買意欲は昨夏・昨冬とほぼ同水準
  • 商品・サービス別の購入意向はITデジタル家電、健康・美容家電が増加
  • ITデジタル家電は薄型テレビが1位。スマートフォン(3位)が人気上昇


ということで、夏のボーナスはまずまず好調で、それにしたがって、IT家電の購買意欲も悪くない、という内容です。いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、MM総研のサイトから ボーナスの増減率と購買意欲の推移 に関して一連の図表を引用すると上の通りです。ボーナス支給についてはまずまず良好な見通しが得られており、購買意欲についてもリーマン・ショック以降では、少なくとも、「上がった」+「変わらない」の比率はもっとも高くなっています。このブログでもすでに、4月17日付けの記事で今年の夏季ボーナスの予想を取りまとめているところですが、まずまず期待できそうだという感触かもしれません。

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次に、上のテーブルはMM総研のサイトから 夏のボーナスの具体的な使い途 のついての問いの回答です。夏のボーナスの具体的な使い途について複数回答での問いに対する回答であり、目立って増加したのは、ITデジタル家電と健康・美容家電となっています。特に、ITデジタル家電は昨夏の28.7%から今夏は40.4%と+11.7%ポイントも上昇を見せています。さらに、煩雑になるのでテーブルの引用はしませんが、ITデジタル家電の購入意欲ランキングは、薄型テレビが全体の11.1%を占めてトップとなり、次いでノートパソコンが2位の10.2%、スマートフォンが3位の8.9%、デスクトップパソコンが4位の6.1%、デジタルカメラとタブレット端末がともに5位の4.1%となっています。とても興味深い内容です。我ら公務員も来週6月30日にボーナスが支給されますが、果たして、今夏のボーナス商戦やいかに?
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2017年06月21日 (水) 21:04:00

東洋経済オンライン「社会人が転職したい会社」300社ランキングやいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、東洋経済オンラインから6月10日付けで「社会人が転職したい会社」300社ランキングと題する転職先人気企業が特集されています。以下の画像の通りです。

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実は、6月5日付けで転職サービス「DODA」のインテリジェンスから「転職人気企業ランキング 2017」が公表されているんですが、やっぱり、というか、当然のように、1位トヨタ、2位グーグル、3位ソニー、とバッチリ一致しています。東洋経済オンラインでは、学生の新卒の就職では人気投票のように、金融業界に目が行きがちな一方で、ビジネス社会で活動中のビジネスパーソンは、転職の際にはメーカーや外資系企業を評価している、と分析しています。なかなか興味深い結論です。
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2017年06月20日 (火) 21:13:00

東証上場企業の株主総会集中日6月29日(木)はとうとう30%を割り込む!

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、今月6月9日付けで3月決算企業の株主総会の集中率に関するグラフが東証から公表されています。下に示した通りです。いわゆる総会屋の排除などを目的としたご当局からの指導もあって、かつては90%を超えた集中を見せていたんですが、長期低落傾向の中で今年はとうとう30%を下回って29.6%となっています。東証のサイトから引用しています。

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2017年06月19日 (月) 22:59:00

輸出入とも順調に拡大する貿易統計の先行きやいかに?

本日、財務省から5月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.9%増の5兆8514億円、輸入額は+17.8%増の6兆547億円、差引き貿易収支は▲2034億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易収支、4カ月ぶり赤字 2034億円
資源関連の輸入増

財務省が19日発表した5月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2034億円の赤字だった。貿易赤字となるのは4カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は730億円の黒字だった。5月は大型連休の影響で輸出が伸び悩む傾向があり、主に資源価格の上昇を背景とした輸入の増加幅が上回った。
輸出額は前年同月比14.9%増の5兆8514億円と6カ月連続で増加した。4月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=111.47円と前年同月に比べて円安になったことに加え、輸出数量全体も堅調に推移した。輸入の増加幅は下回ったものの、伸び率は2015年1月(16.9%増)以来の大きさとなった。財務省では「(昨年の)熊本地震からの反動増という面もあるだろう」とみている。
米国向けの自動車輸出が好調だったほか、メキシコ向けフラットロールをはじめとした鉄鋼などの伸びが目立った。地域別では対米国が11.6%増、対アジアが16.8%増となった。対欧州連合(EU)もイタリア向けに船舶の輸出があったことなどが寄与し、19.8%増と伸びた。
輸入額は17.8%増の6兆547億円となった。資源価格の上昇に伴い、原粗油や石炭の輸入額が増加した。いずれも数量ベースでの輸入は前年同月から減少している。オーストラリアを襲ったサイクロンの影響で同国からの石炭の供給が滞り、インドネシアや中国からの輸入が増加。液晶デバイスなどの輸入も増え、対中貿易は3カ月連続の赤字となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、季節調整していない原系列の統計の貿易収支ですが、ほぼ赤字を脱却した2015年10-12月期の後も、年2-3月くらいは貿易赤字を計上することが経験的にありましたので、少なくとも悲観する必要はありません。前回の貿易赤字は今年2017年1月ですから、中華圏の春節効果による統計の歪みだったと私は受け止めています。昨年2016年4-5月についても熊本地震の影響があり、今年5月の輸出が大きく伸びたのも反動増の要因が含まれていると考えるべきです。加えて、国際商品市況の石油価格の上昇を受け、今年に入って原油輸入価格指数が季節調整していない前年同月比でプラスに転じ、2-3月には+75%の上昇を示しています。このため、5月の輸入のうち鉱物性燃料の輸入額は前年同月比で+41.5%の伸びを示し、輸入額の伸び+17.8%に対する寄与度で+7.0%に上っています。加えて、引用した記事にもある通り、為替が前年同期に比べてやや円安に振れていますので、その昔はJカーブ効果と称された円安初期の輸入額押上げ効果により、さらに輸入額が膨らみ貿易収支の赤字化の方向への圧力となっています。また、輸入額指数を価格指数と数量指数で分解して寄与度を求めると、輸入額の前年同月比伸び率+17.8%のうち、価格は+11.8%、数量は+5.4%の寄与となっています。我が国経済の順調な回復・拡大も輸入数量の増加をもたらしていることはいうまでもありません。ですから、このブログでも私が何度か主張した通り、輸入については「要るモノは要る」というのが私の考えであり、この程度の赤字であれば我が国のマクロ経済には何ら問題なはいと考えています。さらに、トレンドで見る際に有益な季節調整済みの系列では、2015年11月から一貫して貿易黒字を計上している点も忘れるべきではありません。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。順調な回復・拡大を見せる海外経済に応じて、我が国の輸出数量も拡大を示しています。上のグラフのうちの一番上のパネルを見ても、最近数か月では輸出額の伸びのうち、青い価格の寄与よりも赤い数量の寄与の方が大きくなっているのが見て取れます。下の2つのパネルからも、先進国や中国のOECD先行指数の上昇に伴った我が国からの輸出の拡大が示されています。先行き、我が国経済も世界経済も順調な回復・拡大を続けると予想されていることから、為替や米国などの通商政策次第の面もあるものの、順調に貿易も拡大すると予想して差し支えないものと私は考えています。
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2017年06月15日 (木) 19:58:00

福井県あわら市とパナソニックによる「宅配ボックス実証実験」結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、人手不足の宅配サービスの再配達問題解決に向けて、宅配ボックスの設置が有力案として考えられており、福井県あわら市とパナソニックによる「宅配ボックス実証実験」が行われていたところ、6月8日に最終結果が報告されています。とても興味あるテーマですので、諸般の事情により、グラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはパナソニックのサイトから引用していますが、宅配ボックス設置前の昨年2016年10月時点で、モニター103世帯に対する再配達率が49%とほぼ半数に上っていたところ、実験開始後、2016年12月8%、2017年1月9%、2月6%、3月10%と、期間平均で8%に低下し、この実験期間4か月間トータルで、再配達削減による宅配業者の労働削減時間想定値が222.9時間、再配達削減によるCO2削減量想定値が465.9kgに達したことがリポートされています。
まあ、ぶっちゃけで、パナソニック社の宅配ボックスの宣伝の一環なんですが、データはデータとして、それなりに参照可能なんではないかと思います。
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2017年06月14日 (水) 19:55:00

ピュー・リサーチによる経済に関する世論調査結果やいかに?

かなり旧聞に属する話題ですが、6月5日付けでピュー・リサーチ・センターから Global Publics More Upbeat About the Economy と題して、世界主要国における経済を対象とする世論調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。我が国の経済に対する見方は相変わらず悲観的なんですが、それでも、主要国と同じ傾向を示しており、リーマン・ショック後の Great Depression を経た後、2010-12年をトラフとして、徐々に経済に対する楽観的な見方が広がっていることが示されています。2点ほど図表を引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の画像はピュー・リサーチのサイトから In Europe, Japan, U.S., views of economy fully recovered from before financial crisis と題する日米欧先進国における直近15年くらいの経済状態に関するよいとする回答の比率の時系列をプロットしています。リーマン・ショック後の2010-12年くらいを底に、徐々に回復を示し、少なくとも現時点の2017年にはリーマン・ショック前の水準を回復しています。日本について昨年2016年に一度低下しているんですが、ハードデータに基づく原因は私にも不明ながら、確かに、企業マインドも消費者マインドも昨年は低下していたのは事実だと思います。

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次に、上の画像はピュー・リサーチのサイトから Globally, views of economy differ greatly と題するグラフを引用しています。要するに、各国の経済の現状に対する国民の評価の結果です。大雑把な地理的な傾向として、北米や中欧から北欧にかけて、インドや東南アジアなどで経済状態がよいとする回答の比率が高いのに対して、中南米や日韓両国、欧州ではギリシアやラテン系の国々でその比率が低くなっています。ソフトデータの世論調査に示されたマインドですので、ハードデータなどの経済実態とは必ずしも一致しない可能性もありますが、まあ、何となく理解できるところではあります。

この調査は経済に関する世論調査だけでなく、公的部門に関して子供の将来への味方なども含んでいたりしますが、取りあえず、割愛しておきます。
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2017年06月13日 (火) 22:52:00

マイナスを記録した法人企業景気予測調査に見る企業マインドやいかに?

本日、財務省から4~6月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は1~3月期の+1.3から下降して4~6月期は▲2.0を記録し、先行きについては、7~9月期は+7.1に、また、10~12月期は+6.7に、それぞれ上昇すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感 4期ぶりマイナス 4-6月、自動車など下げ
財務省と内閣府が13日発表した法人企業景気予測調査によると、4~6月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス2.0だった。新型車効果が一服した自動車メーカーなどが指数を押し下げ、4四半期ぶりにマイナスに転じた。財務省などは「緩やかな回復基調」自体は維持しているとみており、翌7~9月期以降は再びプラス基調が続く見通しだ。前回調査14~3月期はプラス1.3だった。
4~6月期は大企業のうち、製造業がマイナス2.9となった。自動車・同付属品製造業で、1~3月期と比べて新型車の投入効果が一服した影響などが全体の景況判断を押し下げた。受注減や原材料となる鉄の価格上昇が響いた船舶製造業なども低下に寄与し、1~3月期のプラス1.1と比べて悪化した。
非製造業はマイナス1.6となり、1~3月期のプラス1.5から悪化した。建設業で前年に工事完成が集中したことによる反動減が出たほか、金融機関の収益悪化などが響いた。
先行き7~9月期の見通しはプラス7.1で、製造業がプラス9.6、非製造業がプラス5.8だった。10~12月期は全産業でプラス6.7となった。財務省と内閣府の統括コメントは「企業の景況感は慎重さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として前回調査時から据え置いた。
17年度の設備投資は前年度比で3.8%増加する見込みとなった。スマートフォン向け電子部品の生産能力増強などが寄与する。前回調査時の4.6%減から上昇した。経常利益の見通しは0.4%減となり、前回調査(0.8%減)からは改善した。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は5月15日時点。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフロデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。やや遅れて消費者マインドも最近時点で改善を示しており、消費者マインド・企業マインドともに底を打って改善の方向を示していると考えるべきです。ただ、跛行性が見られるのも確かで、規模の大きな企業ほどマインドは改善し、非製造業よりも製造業の方が海外経済の恩恵を受けやすく、マインドは改善を示しています。個別項目では、人手不足感が広がっており、特に、中堅・中小企業では大企業よりも人材確保が困難になっている現状がうかがわれます。すなわち、6月末時点で大企業の人手不足感が過剰感を+15.4上回っているのに対し、中堅企業では+29.0、中小企業では+27.1に上っています。また、ソフトウェア投資額を含み土地購入額を除くベースの2017年度設備投資額については、引用した記事にもある通り、全産業で前回調査時の▲4.6%減から、今回調査では+3.8%の増加に大きく上方修正されました。日銀短観と同じで、年度開始前の慎重な投資計画から、年度が始まって各種の売上げや利益計画が固まる中で、設備投資についても企業活動の各種計画に応じた上方修正がなされるという通常のパターンに沿った動きと受け止めています。ただ、全産業で+3.8%の増加のうち、製造業が+8.7%増に対して、非製造業は+1.0%増にとどまっており、世界経済の回復・改善に比較した国内景気の出遅れ感がほの見える気がします。

7月に入れば、より詳細な企業マインドを調査した6月調査の日銀短観が公表される予定となっており、シンクタンクなどの日銀短観予想が出そろった段階で、このブログでも取りまとめたいと考えています。
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2017年06月12日 (月) 22:25:00

3か月ぶりに減少した機械受注とプラス2%超が続く企業物価(PPI)上昇率をどう見るか?

本日、内閣府から4月の機械受注が、また、日銀から5月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.1%減の8359億円だった一方で、PPIはヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、4月は3.1%減 非製造業が不振
内閣府が12日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ3.1%減の8359億円と3カ月ぶりに減少した。不動産や金融・保険業など非製造業がふるわなかった。QUICKの市場予想(1.0%減)にも届かなかった。
4月は官公需を除けば民需に大型案件が乏しく、非製造業の5.0%減が重荷になった。製造業は2.5%増と底堅く、中期的な受注の推移は「横ばい」(内閣府経済社会総合研究所)として、内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。
非製造業の受注額は2カ月連続で減少し、4715億円となった。前年同月(4759億円)も下回り、2015年11月以来の規模に縮小した。金融・保険業でシステム投資が鈍化しており「まとまった案件の受注がない」(内閣府)という。
半面、製造業の受注額は3618億円と16年12月以来の大きさ。前年実績も上回った。前月に受注した非鉄金属分野の大型案件がなくなった反動で伸び率は小幅だったが、同案件の影響を差し引くと前月実績を11%程度上回ったという。輸出向けを中心に、スマートフォンやモノをインターネットでつなぐIoT関連で半導体製造装置などが堅調で「最近の受注は上向いている」(内閣府)という。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値の見通しは前期比5.9%減となっている。
5月の企業物価指数、5カ月連続上昇 勢いは鈍化
日銀が12日に発表した5月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。前年比での上昇は5カ月連続で、上昇率は前月(2.1%)から横ばいだった。国際商品市況の改善や原材料価格の上昇を製品価格に転嫁する動きが続いているものの、勢いは鈍化しつつある。
前月比では横ばいで7カ月ぶりに上昇が止まった。再生可能エネルギー賦課金や燃料費の上昇を受け、電力価格が上昇した。鉄鉱石の値上がりで鉄鋼価格も上がった。半面、4~5月の原油価格の下落を受け、石油・石炭製品が下落した。鉄くずも在庫の積み増しや値上げの一服で下落した。
円ベースの輸出物価は前年比で4.4%上昇し、前月比では1.0%上昇した。輸入物価も前年比で13.5%上昇し、前月比では2.2%上昇した。前年比のみならず前月比でも円安・ドル高が進行し、輸出入物価を押し上げた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目(都市ガスの自由化の影響で前月の746品目から2品目減少)のうち前年比で上昇したのは360品目、下落は283品目だった。上昇と下落の品目差は77品目で、4月の確報値(60品目)から拡大した。
日銀の調査統計局は「企業物価指数は国際商品価格の動向に左右される状況が続いている。各国の政治情勢や地政学リスク、中国の環境規制が商品市況に与える影響を注視したい」との見解を示した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、企業物価(PPI)とも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲1.0%減でしたから、これを下回り、2月+1.5%増、3月+1.4%増の2か月分がほぼ吹っ飛んだことになります。レンジの下限が▲3.5%げんでしたので、ほぼそれに近い印象です。ただ、もともと4~6月期のコア機械受注の見通しは前期比▲5.9%減ですから、こんなもんだという気もします。ですから、統計作成官庁である内閣府の基調判断も「持ち直しの動きに足踏み」で据え置かれているようです。でも、私の直観ではかなり横ばいに近い印象だという気もします。製造業は1月にドカンと大きく▲10.8%減を記録した後、2月から4月まではさすがに反動増もあって堅調に推移している一方で、非製造業は3~4月の2か月連続で前月比マイナスを続けています。機械受注は短期に振れる指標なので、あくまで印象論であって必ずしも正確とは限りませんが、為替や海外経済に支えられた製造業と伸び悩む内需に依存する非製造業の業況がクッキリと出ている可能性もあります。4月単月の統計ながら、外需が大きく伸びているのもそのあらわれかもしれません。いずれにせよ、全体として機械受注はそのバックグラウンドの設備投資とともに、横ばい圏内ながら堅調な先行きを見込んでいます。

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次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率は先月と同じ+2.1%ですから、引き続き堅調な推移と考えていますが、現在の2%の国内物価上昇率はかなりの部分を国際商品市況における石油価格の上昇の寄与によるものですから、例えば、上のグラフの下のパネルに見られる通り、石油を含む素原材料価格がすでにピークアウトした今後の物価の推移に注目すべきであり、金融政策よりも石油価格の動向に敏感な物価ですから、年度後半には物価上昇率がピークアウトする可能性も否定できません。ただ、5月統計を見る限りは、4月の年度替わりの価格改定期に値上げがいくぶんなりとも浸透し、その流れを引き継いでいるように見受けられます。PPIの外数でSPPIなんですが、運輸サービスなどで順調に価格転嫁が進めば、PPIの上昇やひいては賃金上昇にもプラスなんではないかと私は考えています。
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2017年06月09日 (金) 20:12:00

昨日公表の景気ウオッチャーと経常収支を振り返る!

いずれも昨日なんですが、内閣府から5月の景気ウォッチャーが、また、財務省から4月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月差+0.5ポイント上昇の48.6を、また、先行き判断DIも前月比+0.8ポイント上昇の49.6を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆9519億円の黒字を計上しています。1日遅れながら、簡単に取り上げておきたいと思います。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の街角景気、2カ月連続改善 基調判断は上方修正
内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比0.5ポイント上昇の48.6だった。上昇(改善)は2カ月連続。生産の好調を映し、企業動向が改善した。内閣府は基調判断を2016年11月以来6カ月ぶりに上方修正した。
部門別にみると、企業動向が前月比3.0ポイント上昇の51.5と2カ月連続で改善した。製造業と非製造業ともに上昇した。街角では「ここ数カ月は前年同月を上回る傾向である」(北陸・食料品製造業)といった声が聞かれた。家計動向は横ばいだった。サービスと住宅は上昇したものの、小売りと飲食が下げた。雇用関連は小幅に低下した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は49.6と、前の月から0.8ポイント上昇した。上昇は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用の全てが上昇した。家計動向については「東京オリンピックに向けて、インバウンド客も増えており、来客数はまだ伸びそうである」(南関東・一般レストラン)との見方があった。
内閣府は基調判断を「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」から「持ち直しが続いている」に上方修正した。先行きについては「人手不足に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資などへの期待がみられる」とし、前月までの「コストの上昇に対する懸念」の文言を削除した。
4月の経常収支、1兆9519億円の黒字 10年ぶり高水準
財務省が8日発表した4月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆9519億円の黒字だった。黒字は34カ月連続で、黒字額は前年同月(1兆8161億円)に比べて1358億円拡大した。4月としては2007年(1兆9601億円)以来10年ぶりの高水準で比較可能な1985年以降で過去2番目の大きさだった。旅行収支の黒字が単月として過去最大となり、第1次所得収支の黒字額も拡大した。
貿易収支は5536億円の黒字と前年同月(6825億円の黒字)から黒字幅が縮小した。原油価格の持ち直しを背景に原粗油などが増加し、輸入が14.0%増加した。半導体製造装置などの好調を映し、輸出も10.0%増加したが、輸入の影響が上回った。
サービス収支は2947億円の赤字と前年同月(4113億円の赤字)に比べて赤字幅が縮小した。訪日外国人の増加を背景に旅行収支が1779億円の黒字と、比較可能な1996年以降で単月としての過去最高を記録した。研究開発費の大口支払い減少で「その他サービス収支」の赤字額が縮小したことも寄与した。
第1次所得収支は1兆8480億円の黒字と前年同月(1兆7452億円の黒字)に比べて黒字額を拡大した。海外子会社から受け取る配当金が増加した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーと経常収支のグラフは下の通りです。

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景気ウォッチャーのグラフでは、現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。経常収支のグラフでは、青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。
景気ウォッチャーについては、順調にマインドが回復していると私も受け止めています。引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府でも基調判断を半ノッチ上方修正しており、ある意味で、当然です。ただ、消費に引き直すとマインドだけでは短期の消費増につながっても、サステイナブルな消費増のためには所得の増加も必要です。

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続いて、上のグラフは、昨日公表されたばかりのGDP統計と経常収支を組み合わせて、経常収支の対GDP比の推移をプロットしています。赤い棒グラフが季節調整済みの経常収支、青い折れ線グラフが経常収支の対GDP比を表しています。極めて大雑把に、経常収支は四半期ベースで5兆円、年ベースで20兆円に回帰しましたので、経常収支の対GDP比は4%くらいに達しています。米国の時の政権の意向によっては、いわゆる貿易摩擦を引き起こしかねない水準に近づいているのかもしれません。
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2017年06月08日 (木) 23:14:00

予想に反して下方修正されたGDP統計2次QEは日本経済の停滞を示しているのか?

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.0%を記録し、1次QEから下方改定されています。もちろん、潜在成長率をやや超えており、なかなかの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP年率1.0%増に下方修正 1~3月改定値
速報は2.2%増

内閣府が8日発表した2017年1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算では1.0%増だった。速報値(前期比0.5%増、年率2.2%増)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKが7日時点でまとめた民間予測の中央値は前期比0.6%増、年率2.5%増となっており、速報値から上振れすると見込まれていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.3%減(速報値は0.0%減)、年率では1.2%減(同0.1%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比0.3%増(0.4%増)、住宅投資は0.3%増(0.7%増)、設備投資は0.6%増(0.2%増)、公共投資は0.1%減(0.1%減)。民間在庫の寄与度はマイナス0.1ポイント(プラス0.1ポイント)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がプラス0.1ポイント(プラス0.4ポイント)、輸出から輸入を差し引いた外需はプラス0.1ポイント(プラス0.1ポイント)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期と比べてマイナス0.8%だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/1-32016/4-62016/7-92016/10-122017/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.6+0.4+0.3+0.3+0.5+0.3
民間消費+0.3+0.2+0.4+0.0+0.4+0.3
民間住宅+1.2+3.1+2.6+0.2+0.7+0.3
民間設備▲0.1+1.3▲0.2+1.9+0.2+0.6
民間在庫 *(▲0.3)(+0.3)(▲0.3)(▲0.2)(+0.1)(▲0.1)
公的需要+1.1▲0.9▲0.1▲0.6+0.1▲0.0
内需寄与度 *(+0.2)(+0.5)(▲0.1)(▲0.0)(+0.4)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.5)(▲0.1)(+0.4)(+0.4)(+0.1)(+0.1)
輸出+0.5▲1.4+1.9+3.4+2.1+2.1
輸入▲2.0▲1.1▲0.2+1.3+1.4+1.4
国内総所得 (GDI)+1.3+0.6+0.1+0.0+0.1▲0.3
国民総所得 (GNI)+0.9+0.3+0.0▲0.1+0.2▲0.1
名目GDP+0.9+0.2+0.1+0.4▲0.0▲0.3
雇用者報酬+1.0+0.1+0.7+0.3▲0.1▲0.1
GDPデフレータ+0.9+0.4▲0.1▲0.0▲0.8▲0.8
内需デフレータ▲0.3▲0.7▲0.8▲0.3+0.1+0.0


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に大きいものではありませんが、赤の消費と黒の外需がプラス寄与しているのが見て取れます。また、最近3四半期連続でグレーの在庫がマイナス寄与していて、成長率にはマイナスなんですが、在庫調整が進んでいることを裏付けています。

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1~3月期のGDP統計2次QEは1次QEの前期比年率+2.2%成長から+1.0%成長と大きく下方修正されたように見えますが、かなり多くのエコノミストは新しいデータを基にした推計で成長が鈍化したとは考えていません。すなわち、年率化しない前期比伸び率で見て、1次QEの+0.5%成長から2次QEでは+0.3%成長に下振れしたわけですが、この▲0.2%ポイント分の下振れはそのまま在庫調整の進展によるものだからです。1次QE時点では在庫の寄与度は+0.1%と算出されていましたが、先週の法人企業統計を受けて2次QEでは▲0.1%の寄与度に下方修正されました。成長率への寄与度は下方修正ながら、先行きを見通せば、在庫調整が進展することにより、さらに成長への確かな道取りが見えたように多くのエコノミストは感じています。1~3月期に限って見れば、内需の寄与が+0.1%、外需も同じで+0.1%となり、数字の丸めの関係で合わせて+0.3%成長という結果になりますが、先行きについては在庫調整の進展により、外需に偏らず内需の寄与も見込めることから、バランスのいい形の成長の姿が予想されています。
ということで、2次QEでの下方修正が決して日本経済の停滞を示しているわけではない点を強調しつつ、ついでながら、最初のテーブルで懸念される項目として、名目GDP成長率に加え、国内総所得(GDI)や国民総所得(GNI)といった名目変数の成長率が軒並みマイナスに突っ込んでいます。生活実感に近い数字だけに気がかりではあるんですが、実は、私の見るところ、GDPデフレータのイタズラのような気がします。すなわち、国際商品市況における石油高が控除項目の輸入の名目値を膨らませ、GDPデフレータの上昇率がマイナスとなった影響で名目GDP成長率もマイナスを記録したのであろうと受け止めています。逆に、国内需要デフレータはプラスに振れていますので、石油価格の変動が一巡しすれば解消できる名目マイナスではなかろうかと考えています。ただ、もうひとつのマイナスで、より懸念すべきは雇用者報酬です。国内需要デフレータがプラスとなって物価上昇が観察される中で、消費の原資となる実質雇用者報酬がマイナス化しており、先行きの個人消費の動向が少し気にかかるところです。企業の設備投資よりも大きなリスクかもしれないと私は考えています。

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我が国のGDP統計を離れて、昨日、経済協力開発機構(OECD)か「経済見通し」OECD Economic Outlook no.101 が明らかにされています。上の画像はプレス向けの資料から pp.2-5 を連結して引用しています。
まず、世界経済については、貿易と投資が回復を示すとともに、国際商品市況における資源の値上がりを受けて資源国経済も回復する中、今年2017年の世界の成長率は+3.5%へとわずかに加速すると予想し、加えて、来年2018年もさらに成長が加速して+3.6%になると予想される一方で、景気の持ち直しは歓迎できるものの、世界経済の成長は依然としてリーマン・ショック前の過去の平均的なペースを下回っており、景気回復の勢いを増すためには政策的なサポートを強めるための一層の取組みが必要、と指摘しています。そして、日本経済については、アジア地域の貿易の順調な増加と財政刺激策により、経済成長率は今年2017年については+1.4%に高まり、来年2018年は財政支援は弱まると見込まれる一方で、労働のひっ迫や資本の不足感、過去最高水準の企業収益を背景に、雇用と企業の設備投資が増加を示し、ほぼ潜在成長率と同じ+1%近い成長を維持し、ヘッドライン消費者物価の上昇率は金融緩和により2017年の終わりには+1%に達する、と見込まれています。
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2017年06月07日 (水) 19:56:00

引き続き景気拡大を示す4月のCI一致指数の先行きやいかに?

本日、内閣府から4月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI一致指数は前月比+3.3ポイント上昇の117.7を、CI先行指数は逆に▲1.2ポイント下降の104.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の景気一致指数、9年ぶり高水準、自動車など寄与
内閣府が7日発表した4月の景気動向指数(CI、2010年=100)によると、景気の現状を示す一致指数は前月比3.3ポイント高い117.7と2カ月ぶりに上昇し、2008年2月以来9年2カ月ぶりの高水準となった。自動車関連の生産や出荷が堅調だったためだ。上昇幅は消費税導入前の1989年3月以来、28年1カ月ぶりの大きさ。
一致指数を構成する指標で、前月と比べられる7つの指標のうち、6つが押し上げ要因となった。自動車や自動車向け部品、中国でのスマートフォン(スマホ)関連部品が堅調で、生産や出荷が上向いた。押し下げ要因となったのは商業販売額。
4月の一致指数の大幅な伸びは「連休前の特殊要因で鉱工業生産指数が伸びた影響が大きい」(内閣府経済社会総合研究所)として、5月は反動による生産指数の低下を見込んでいる。
内閣府は、一致指数の動きからみた基調判断を「改善を示している」として7カ月連続で据え置いた。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.2ポイント低下の104.5だった。低下は3カ月ぶり。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数のうちのCI一致指数は大きな上昇を示し、昨年2016年10月に「足踏み」から「改善」に上方改定された基調判断についても半年間余り据え置かれており、2012年12月の現在の内閣発足から今年2017年4月まで4年半近い長期の景気拡大局面が継続している、ということになります。加えて、引用した記事にもある通り、CI一致指数の水準もかなり高くなっています。CIですから、水準そのものに大きな意味があるわけではないですが、一定のボリューム感は繁栄していることと私は認識しています。ということで、今少し詳しく4月のCI一致指数を見ると、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)と続いており、耐久消費財出荷が含まれているものの、企業サイドの指標が多い印象です。また、商業販売額(小売業)(前年同月比)もプラス寄与ですが、寄与度としては大きくなく、同じ商業販売額のうちの卸売業(前年同月比)はむしろマイナス寄与だったりします。また、前月から下降したCI先行指数については、鉱工業用生産財在庫率指数に次いで、消費者態度指数が2番目に大きなマイナス寄与の項目に上げられています。

CI一致指数の先行きとは、すなわち、景気の先行きそのものなわけですが、基本的に、明日公表予定の1~3月期GDP統計は潜在成長率を大きく上回る成長を見せると、私を含めて多くのエコノミストは考えていますし、輸出や設備投資をはじめとして、景気は拡大を続けるものと私は考えています。国内要因での唯一の懸念材料は、不十分な賃上げと物価の上昇により個人消費が下押しされる可能性です。
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2017年06月06日 (火) 19:56:00

毎月勤労統計に見る賃金はどのように上昇するか?

本日、厚生労働省から4月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.8%g減を、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.4%増を、それぞれ記録しています。ただし、消費者物価が上昇を示していますので、消費者物価でデフレートした実質賃金は前年同月と横ばいとなり、マイナスを脱しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質賃金2カ月ぶりマイナス脱する 4月、正社員増が下支え
厚生労働省が6日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月と比べて横ばいだった。2カ月ぶりにマイナスから持ち直した。1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万5321円で前年同月比で0.5%増えた。正社員の増加が賃金を下支えしている。
名目賃金の内訳をみると、基本給を示す所定内給与が前年同月に比べて0.4%増加した。通勤手当や賞与を示す特別に支払われた給与は5.6%の大幅増だった。残業代を示す所定外給与は0.2%減だった。
正規社員を含むフルタイム労働者の増加が賃金増に寄与した。パートタイム労働者の比率は30.06%と前年同月に比べて0.23ポイント低下し、2005年12月以来11年4カ月ぶりの低下幅になった。雇用形態別の賃金は、フルタイム労働者が前年同月比0.2%増だった。企業は人手不足に対応するために正社員などの雇用を増やしている。
消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は前年同月比で0.5%上昇した。電気やガソリンの値段の上昇で物価全体が上がり、実質賃金を名目賃金より押し下げた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、一番上の製造業における所定外労働時間については、季節調整済みの系列で見た前月比は、3月の▲1.4%減に続いて、4月も▲0.8%減の結果となっています。4月の鉱工業生産指数(IIP)はかなり大きな前月比プラスを記録していますので、必ずしも整合性ないんですが、年度の変わり目で季節調整に何かが生じたのかもしれません。4月についてはIIPの増加の方が私の実感に合致している気がします。生産の今後の推移に従って、派生需要となる労働についても緩やかな増加の方向にあるものと私は予想しています。ただ、所定外労働時間については生産が増産になるとともに、短期的には労働時間も増加することが予想されるんですが、政府の働き方改革の効果もあって残業時間への圧縮圧力は相当なものがあります。生産性が向上した上で残業時間が減少する可能性もあり得ることから、必ずしも今後とも生産や景気に敏感かどうか疑問は残ります。
賃金については、先月までは季節調整していない原系列の前年同月比だけを示していましたが、今月からは季節調整済みの系列の指数そのもののグラフも書いてみました。2番目と3番目のパネルです。先週公表の法人企業統計にも見られるように、昨年年央あたりから企業活動も底を打って、ジワジワとお給料も上昇をしているのが読み取れると思います。特に4月統計については年度の変わり目でもあり、加えて、次の最後のパネルであるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の雇用の伸び率のグラフにも見られる通り、フルタイム雇用者が増加してパートタイムの伸びを上回っていますのでフルタイム比率が上昇し、いわゆる合成のシンプソン効果もあって4月賃金は名目ながらプラスの伸びを示しています。消費者物価(CPI)でデフレートすると実質賃金は横ばいのゼロになりますが、生活実感に近い名目ではプラスですので、それなりに消費への効果はあるように感じます。いずれにせよ、4月に特有の現象かもしれませんが、新卒一括採用という我が国独特の雇用慣行もあって、この4月にはパートタイムからフルタイムへマクロでシフト、すなわち、マイクロな個々人でパートタイムからフルタイムにシフロした実例は決して多くないんでしょうが、パートタイムよりもフルタイムの伸び率が大きく、引用した記事にもある通り、フルタイム比率が上昇したことが、結果的に、賃金上昇に寄与したように私は受け止めています。人手不足の中で、このような雇用の質的な改善が続けば、個々人のマイクロな賃上げ以上にマクロでの賃金上昇≅所得増に帰結する可能性が高いと考えるべきです。その意味で、消費への効果もあると受け止めています。
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2017年06月05日 (月) 22:27:00

今週木曜日公表予定の2次QEは1次QEからわずかに上方修正か?

先週6月1日の法人企業統計を受けてほぼ必要な統計が出そろい、今週木曜日の6月8日に1~3月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定ですが、すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルでは2機関、すなわち、みずほ総研と第一生命経済研だけとなっています。そのため、特にみずほ総研のリポートのヘッドラインは長々と引用しています。何分、2次QEですのでアッサリとしたリポートも少なくなく、法人企業統計のオマケ的なものも見受けられます。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.5%
(+2.2%)
n.a.
日本総研+0.7%
(+2.9%)
1~3月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資、在庫変動が上方修正される一方、公共投資は下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+2.9%(前期比+0.7%)と1次QE(前期比年率+2.2%、前期比+0.5%)から上方修正される見込み。
大和総研+0.8%
(+3.2%)
今回の法人企業統計の結果を受けて、1-3月期GDP二次速報(6月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+3.2%(一次速報: 同+2.2%)と、一次速報から上方修正されると予想する。基礎統計の直近値の反映により公共投資が上方修正となるほか、需要側統計の法人企業統計の結果を受けて設備投資と在庫投資がいずれも上方修正される見込みだ。
みずほ総研+0.6%
(+2.4%)
2017年度の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。五輪関係や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、設備投資の押し上げ要因になるとみられる。他方、個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くものの、年度半ばにかけて見込まれるエネルギー価格の上昇が下押し要因となるだろう。
実際、5月末に発表された経済指標は、4月以降も景気回復が続いていることを示す内容だった。4月の鉱工業生産指数(5/31発表)は前月比+4.0%と大幅に上昇した。5・6月の生産が計画(予測指数)から例年並みに下振れすると仮定すると、4~6月期の生産は前期比1%程度の伸びとなる見込みである。この生産の伸びを前提に4~6月期のGDPを簡易計算すると、年率1%台になると推計される。
ただし、リスク要因に目を向けると、米国トランプ政権の行方や中国のマクロ経済運営を巡る不確実性は依然高く、景気の下振れリスクとして引き続き注意が必要だ。
ニッセイ基礎研+0.6%
(+2.6%)
6/8公表予定の17年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.6%)となり、1次速報の前期比0.5%(前期比年率2.2%)から上方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.6%
(+2.3%)
ゼロ%台後半とみられる潜在成長率を明確に上回る高成長であり、16年10-12月期から伸び率も加速している。2次速報でも、景気が好調に推移していることが改めて確認できるだろう。
先行きについても、輸出の増加が続く可能性が高いことに加え、景気対策効果の顕在化によって公共投資も増加が予想される。設備投資についても、企業収益の持ち直しや景況感の回復を受けて増加が期待できる。景気は今後も着実な回復傾向を続ける可能性が高い。
伊藤忠経済研+0.5%
(+2.1%)
2017年1~3月期の実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率+2.1%)へわずかに下方修正されると予想。設備投資が下方修正される一方、公共投資が上方修正される見込み。需給ギャップは概ね解消されるが、企業業績の大幅改善下で低水準にとどまる労働分配率の上昇が課題。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.6%
(+2.5%)
三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所は、実質GDP成長率が1次速報の前期比年率2.2%から同2.5%に上方修正されると予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.8%
(+3.2%)
2017年1~3月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.8%(年率換算+3.2%)と1次速報値の同+0.5%(同+2.2%)から上方修正される見込みである。
上方修正される主因は、企業の設備投資である。公共投資も上方修正される可能性があるものの、全体への影響は軽微にとどまろう。その他の項目については、大きな修正はない見込みである。
三菱総研+0.7%
(+3.0%)
2017年1-3月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.7%(年率+3.0%)と、1次速報値(同+0.5%(年率+2.2%))から上方修正を予測する。


ということで、唯一、伊藤忠経済研が下方改定を見込んでいるんですが、私を含めて、大方のエコノミストは2次QEは1次QEから上方修正されるものと予想しています。例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスも前期比+0.6%、前期比年率+2.4%と小幅な上方改定を示しています。レンジとしても、前期比年率で見て+2.2%~+3.2%となっており、私が見た範囲では1次QEの+2.2%を下回る予想を出している機関はありませんでした。主要な改定項目は、いくつかのリポートのヘッドラインで取り上げている通り、設備投資の上方修正です。私自身は直観的に年率+3%には届かないものと見込んでいます。いずれにせよ、第一生命経済研のヘッドラインに引用したように、たとえ伊藤忠経済研のようにわずかに下方修正であったとしても、明確に潜在成長率を上回る成長であり、昨年2016年10~12月期と同等ないしやや加速しているわけですから、景気の現状は好調を持続していると判断されます。その上、足元から先行きについても、回復ないし拡大が見込める内容になるものと私は受け止めています。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。

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2017年06月01日 (木) 19:44:00

法人企業統計に見る企業活動は上向きを確認し賃上げや設備投資の動向を考える!

本日、財務省から昨年2016年10~12月期の法人企業統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で、売上高は2期連続の増収で前年同期比+5.6%増の350兆6366億円、経常も3期連続の増益で+26.6%増の20兆1314億円でした。また、設備投資は設備投資は製造業で+1.0%、非製造業で+6.3%それぞれ増加し、非製造業が牽引する形で、+4.5%増の14兆2901億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1~3月設備投資4.5%増、金額でリーマン前回復 法人企業統計
財務省が1日発表した2017年1~3月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比4.5%増の14兆2901億円だった。プラスは2四半期連続。建設業や不動産、自動車分野の投資がけん引した。設備投資額はリーマン・ショック前の08年1~3月期(16兆8648億円)以来の大きさ。経常利益は26.6%増の20兆1314億円と、10~12月期にはとどかなかったものの1~3月期としては過去最高で、企業の増益基調が続いた。財務総合政策研究所は「日本経済全体のゆるやかな回復基調が続いている」と指摘した。
設備投資を産業別にみると、非製造業が6.3%増えた。賃貸用不動産の取得や建設が伸びたほか、商業施設やオフィスビルの増加がけん引した。製造業は1.0%増だったが、10~12月期の7.4%からは伸びが鈍化した。自動車大手の新型車投入に伴う投資が増えた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で1.3%増。製造業が1.8%減少したものの、非製造業が3.0%伸びた。
経常利益の増加は3四半期連続で、製造業の70.3%増という大幅な伸びが寄与した。新型車効果に加え、16年1月に起きた大手企業の工場事故による生産停止などの反動で増えた。非製造業は10.7%増と3四半期連続のプラスだった。原油など資源価格の回復が商社を中心とする卸売業の利益に貢献した。
全産業の売上高は5.6%増の350兆6366億円と2四半期連続の増収で、非製造業が6.1%、製造業が4.3%、それぞれ増えた。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計。今回の17年1~3月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。


やや長いものの、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、前世紀のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整していない原系列の統計ながら、1~3月期の売上高経常利益率は製造業が5.7%、非製造業が5.2%と、国内経済もそれなりに堅調に回復・拡大を示しているものの、世界経済のいっそうの拡大や円安を受けて、製造業が非製造業よりも高い収益力を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については昨年2016年1~3月期ないし年央くらいを底に、昨年10~12月期には明らかに上向きに転じ、今年1~3月期もこの流れが継続していることが確認できたと思います。特に、設備投資については2016年年央を底に上向きに転じているのが読み取れますが、海外での投資への漏れが生じていることが国内投資の水準からうかがわれます。投資については成熟を示している我が国産業の現状から、能力増強投資の割合が決して高くなく、人手不足に起因する省力化投資や更新投資が中心になっている可能性があります。経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、さらなる法人税引き下げなどによる企業活動活性化がどこまで必要なのかは疑問です。企業が賃上げに慎重姿勢を示しているのであれば、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけはグングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。

本日公表された法人企業統計などを盛り込んで、1~3月期のGDP統計2次QEが来週6月8日に内閣府から公表される予定となっています。設備投資が上方修正され、成長率もわずかながら上方修正されるんではないかと私は予想していますが、改定幅は小さいと思われます。ただ、もともとの1次QEが年率+2%を超える高成長でしたところ、さらに成長率が上方修正されるわけです。また、日を改めて2次QE予想として取りまとめたいと思います。
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2017年05月31日 (水) 22:27:00

大きな伸びを示した鉱工業生産指数(IIP)の先行きをどう見るか?

本日、経済産業省から4月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で前月比+4.0%の増産を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、4月は4.0%上昇 自動車伸びリーマン後最高水準に
経済産業省が31日発表した4月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比4.0%上昇の103.8となった。上昇は2カ月ぶり。国内販売が好調な乗用車の増産などがけん引し、消費増税前の駆け込み需要が発生した14年1月実績(103.2)を超えてリーマン・ショック後では最高水準となった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(4.5%の上昇)は下回った。
出荷指数は前月比2.7%上昇の101.1だった。在庫指数は1.5%上昇の111.3だった。在庫率指数は2.9%上昇の114.7となった。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。
生産の増加に比べ、出荷の伸びがやや勢いを欠くことから在庫水準は高止まりしつつある。経産省では「景気拡大期の後半に出ることが多い(企業が需要増を見込む)在庫積み増し局面への転換を若干示唆する結果」とみている。ただ、在庫指数の主な押し上げ要因となっている普通車に関しては大型連休による船便の減少で輸出が滞り、一時的に在庫が積み上がっている可能性もあるとみている。
4月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、4業種が低下した。輸送機械工業が10.8%上昇したほか、汎用・生産用・業務用機械工業が9.2%、電子部品・デバイス工業が5.2%それぞれ上昇した。
5月の製造工業生産予測指数は前月比2.5%の低下を見込む。大型連休の日並びによる工場の稼働日数の減少などを背景に、輸送機械工業を中心に生産が減少したようだ。経産省による補正済みの試算値では3.5%の低下となる見通し。6月の予測指数は1.8%の上昇となる見込みだ。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期です。

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最近、今年2017年に入ってからの生産の動きはかなり荒っぽくなっており、季節調整済みの前月比で見て、1月が減産で2月が増産になったのは中国をはじめとする中華圏の春節の影響でいたし方ない気もしますが、3月減産の後で今日統計が発表された4月の大幅増産となっています。さらに、先行きを製造工業生産予測指数で見ると、5月減産の後の6月増産と見込まれており、減産と増産が交互に現れる形となっています。しかも、4月統計以降の大きな振れの主役は我が国のリーディング・インダストリーである輸送機械だったりします。もっとも、5月のゴールデンウィークの日並びがよくて生産ラインの停止が長かったのが5月減産の原因らしいので仕方ない面もあります。ということで、4月の増産について産業別に寄与が大きい順で、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業と電子部品・デバイス工業の3業種となっています。先行きについては、5月の製造工業生産計画では、輸送機械工業が大きな減産計画となっており、製造工業全体で前月比▲2.5%の低下見込みとなっている一方で、逆に、6月は輸送機械工業とはん用・生産用・業務用機械工業の上昇によって増産計画となっており、前月比+1.8%を見込んでいます。6月の増産幅が5月の減産に届きませんので、6月の生産水準は4月を下回る、ということになります。
ただ、最近の統計を見る限り、生産については拡大基調が確認できると私は受け止めています。もともと、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスも+4.5%の増産でしたし、ほぼこれに近いラインの結果といえます。しかも、生産・出荷・在庫のすべてが前月から増加しています。引用した記事にもある通り、生産の増加に比べて出荷の伸びが勢いを欠いているため在庫が結果として積み上がっている可能性が高いと私は考えていますが、業種によっては先行きの需要増に対応した意図的な在庫積み増し局面に入っている可能性もあります。ただ、グラフは示しませんが、典型的な在庫循環が観察される電子・デバイス産業では4月統計で在庫率が小幅に低下しているのも事実ですから、少なくとも在庫の積み上がりを懸念する必要はないものと受け止めています。予測指数が示されていない7月以降についても、国内の耐久消費財の買い替えサイクルや消費増税後の駆け込み需要の反動などもようやく一巡し、労働市場のひっ迫に伴う投資需要の顕在化も期待できます。加えて、世界経済の回復・拡大に牽引される形で年央以降も我が国の生産は緩やかな増産傾向を続けると私は予想しています。
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2017年05月30日 (火) 22:44:00

好調な経済を裏付ける商業販売統計と雇用統計をどう見るか?

本日、経済産業省から商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.2%増の11兆8110億円、季節調整済みの系列で前月比+1.4%増、また、失業率は2.8%と前月と同水準で、有効求人倍率は前月からさらに上昇して1.48のバブル超えを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の小売販売額、3.2%増 資源価格の強含みなど背景
経済産業省が30日発表した4月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比3.2%増の11兆8110億円だった。6カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では燃料小売業の寄与度が最も大きく、前年同月と比べ11.9%増えた。原油価格の強含みを背景に石油製品の価格が上昇した。新型車効果の続く自動車小売業も6.0%増と好調を維持している。軽自動車も4カ月ぶりにプラスに転じた。気温の上昇に伴い春物衣料の販売が伸びたことから、織物・衣服・身の回り品小売業も5カ月ぶりに増加した。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.8%増の1兆5583億円だった。既存店ベースでは1.1%増だった。百貨店は訪日外国人(インバウンド)需要を含めた化粧品などの販売が好調で、既存店ベースでは14カ月ぶりに前年同月を上回った。閉店や改装などの影響で売り場面積が減り、全店ベースでの販売額は減少した。コンビニエンスストアの販売額は3.3%増の9514億円だった。



いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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小売業販売額を業種別に少し詳しく見ると、燃料小売業が前年同月比+11.9%増、織物・衣服・身
の回り品小売業が+6.0%増、自動車小売業が+6.0%増、医薬品・化粧品小売業が+5.3%増、電機が含まれる機械器具小売業が+4.1%増、などと、各業種とも順調に売上げを伸ばしています。従って、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「持ち直しの動き」で据え置いています。ただ、売上げ増の中身は一様ではなく、引用した記事にもある通り、燃料については国際商品市況における石油価格の上昇に起因して販売単価が上がっているのも大きな要因のひとつと考えるべきです。ただ、2番目の衣料関係では、天候要因もあって春物衣料品が売れているようです。5月末の現時点でも、今夏は猛暑が予想されており、季節がメリハリあって夏暑くて冬寒いのは消費の販売増につながる可能性が高いと私は受け止めています。自動車が販売を増加させているのも、自動車産業にとっては国内市場よりも海外輸出市場のボリュームの方が大きいとはいえ、我が国のリーディング・インダストリーなだけに、それなりの波及効果が見込めるんではないかと期待されます。GDP統計の国民経済計算では国内消費の外数で輸出扱いとなるインバウンド消費についても、かつてのような爆発的な伸びは一段落しましたが、引き続き、堅調に推移している印象です。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済以降くらいの人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。私自身の直観ながら、失業率が3%を下回ると賃金上昇が始まると予想していたんですが、先週に取り上げたリクルートジョブズの派遣スタッフの時給調査結果に表れているように、派遣労働者の時給は人手不足と言われつつもここ数か月間は下げており、ようやく、下げ止まりつつあるところです。労働需要サイドで、デフレ経済下で安価な労働力に依存していた低生産性企業が退出し非正規雇用への需要が低下したのかもしれませんし、あるいは、労働供給サイドで、デスキリングが広範に生じているのかもしれません。たぶん、どちらも違うんだろうという気がしますが、素直に人手不足で賃金が上昇する世界がとても遠く感じてしまいます。
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2017年05月29日 (月) 21:22:00

東洋経済オンラインによる「給料への満足度」トップ150社ランキングやいかに?

先週5月26日付けで、東洋経済オンラインから「給料への満足度」トップ150社ランキングが明らかにされています。東洋経済オンラインのサイトから、1位から44位の50社の画像を引用すると以下の通りです。

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お給料の水準が満足度に反映されているのはほぼほぼ確実なんですが、ランキングに見られるように、平均給与が平均より低くても上位にランクインされている会社もあるように見受けられます。東洋経済オンラインのサイトではコメントを分析し、公平で明確な給与制度や、仕事の量や内容、福利厚生も含めた待遇というのも、「給与の満足度」の決定要素には含まれているといえるだろう、と指摘しています。まあ、そうなんでしょうね。
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2017年05月26日 (金) 22:43:00

プラスを続ける消費者物価(CPI)及び企業向けサービス物価(SPPI)の先行きを考える!

今日は物価統計が2本、すなわち、総務省統計局の消費者物価指数(CPI)企業向けサービス物価指数(SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.3%と、今年に入ってから4か月連続でプラスを続けている一方で、ヘッドラインSPPI上昇率は+0.7%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.7%と、徐々に上昇幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の全国消費者物価、0.3%上昇 都区部は1年5カ月ぶりプラス
総務省が26日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.1と、前年同月比0.3%上昇した。プラスは4カ月連続。ガソリンなど石油製品の価格上昇が大きく寄与したが、QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.4%上昇)は下回った。
生鮮食品を含む総合では全体の56.6%にあたる296品目が上昇し、168品目が下落した。横ばいは59品目だった。
生鮮食品を含む総合は100.3と0.4%上昇した。イカなど一部魚介類の上昇が続いた。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.7と横ばいだった。
併せて発表した東京都区部の5月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が100.0と、前年同月比0.1%上昇した。プラスは2015年12月(0.1%上昇)以来1年5カ月ぶり。石油製品の上昇に加えて、うるち米や牛肉など生鮮食品を除く食料が寄与した。生鮮食品を含む総合は100.1と0.2%上昇した。
4月の企業向けサービス価格、前年比0.7%上昇 広告が鈍化
日銀が26日に発表した4月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.7%上昇した。前年同月比での上昇は46カ月連続。ただ、上昇率は5カ月ぶりに縮小(前月は0.8%上昇)し、前月比では0.2%の下落だった。広告の上昇率縮小が主因で、土木建築や宿泊などの諸サービスの上昇率も鈍化した。
広告を種類別に見ると、テレビ広告は3月にスポーツ特番などで押し上げられた反動で伸び率が縮小した。新聞広告は飲食店の全面禁煙の検討でたばこ会社が広告の出稿に慎重になった影響もあり、3月の上昇から4月は下落に転じた。
諸サービスのうち、土木建築は引き続き人件費が上昇しているものの、上げ幅は前月より小さかった。宿泊サービスは4月の訪日外国人客数が過去最多となったものの、近畿を中心に民泊の利用が多かったことやホテルの建設ラッシュを受け、値上げの勢いが鈍化した。
一方、人手不足による人件費の上昇を背景にした情報通信、燃料費の上昇による運輸・郵便の伸び率が拡大した。
企業物価指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、消費税の影響を除くと前年比で価格が上昇したのは75品目、下落は30品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は45品目と、3月の確報値(20品目)から25品目拡大し、15年1月以来の大きさだった。
日銀の調査統計局は「企業間のサービス需給は大きな価格上昇につながるほどには逼迫していない」との見解を示した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、物価統計を2本も取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。

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現状での物価上昇は財関係ではエネルギーが、そして、サービスでは人手不足が物価上昇を牽引しているように見えます。コアCPIの前年同月比上昇率は、今年に入ってから4か月連続でプラスを記録し、小幅ながらジワジワと上昇幅を拡大しています。私の計算によれば、コアCPI上昇率に対してエネルギーの寄与は+0.34%ありますので、ほぼすべてを説明しつくしているカンジです。また、長らくマイナスを続けていた東京都区部のコアCPIが久し振りにプラスに転じています。上のグラフでは灰色の折れ線グラフです。東京都区部の物価は、最近その傾向が崩れつつあるとはいえ、全国物価の先行指標と考えられており、先行きについても、全国ベースで秋口くらいまで上昇率のプラス幅が拡大するものと私は予想しています。ただ、おそらく、あくまでおそらくの直観的な理解ですが、日銀の物価上昇目標である+2%には今年中に届こうハズもありません。そして、国際商品市況の石油価格も、この先さらに上昇するようには見受けられませんから、早ければ年内くらいタイミングでコアCPIの上昇ペースは鈍化し始める可能性が高いんではないかと考えています。まとめれば、今年2017年10月前後くらいまでコアCPIは上昇幅を拡大させるものの、日銀の物価目標である+2%には届かず、その後、年内には上昇ペースが鈍化し始める可能性が高い、と私は受け止めています。企業間取引では4月は価格改定期なのでしょうが、何分、消費者物価にはこういったタイミングは設定されていない品目も多く、企業物価と同じような価格改定は見受けられなかったように思います。

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続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPI上昇率は今年2016年2-3月の+0.8%から小幅に縮小を示し、4月は+0.7%となりました。引用した記事にもある通り、広告が3月の+2.8%上昇から4月には+0.7%と大きく上昇率が鈍化しています。人手不足の影響については、土木建築サービスが引き続きたい相上昇率ながら3月の+6.1%から4月には+4.7%と上昇幅をやや縮小させている一方で、情報通信は3月の+0.2%から4月は+0.5%に加速を示しています。なかなか一様ではないものの、全般的に底堅いサービス物価の動向が垣間見える気がします。
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2017年05月25日 (木) 20:29:00

東洋経済オンライン「日本企業の進出が加速している国トップ20」やいかに?

私は東南アジアはASEANの大国であるインドネシアの首都ジャカルタに家族とともに3年間の長きに渡って、インドネシア政府の国会開発企画庁にJICA専門家として派遣されていたことがあるんですが、先週金曜日5月19日付けで、東洋経済オンラインに「日本企業の進出が加速している国トップ20」のランキングが明らかにされています。タイトルがビミョーなんですが、おそらく、あくまでおそらくなんですが、日本企業がもっとも多く進出しているのは米国だろうという気がする一方で、それではランキングにならないようなカンジですから、日本企業の進出が加速している、という表現で日本企業の現地法人数につき、直近の2016年と5年前の2011年を比較しています。以下の通りです。

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東南アジアの中でも、ASEAN創設時の5か国、すなわち、インドネシア、マレーシア、シンガポーる、タイ、フィリピンといった国々もさることながら、これらから少し発展段階が後になるインドシナ半島のミャンマー、カンボジア、ベトナム、あるいは、中南米の大国であるメキシコやブラジルなどが目につきます。また、5年後、10年後はランキングが大きく変わっている可能性も否定できません。中国が20位までにランクインしていないのも、ある意味で、注目すべきなのかもしれません。
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2017年05月24日 (水) 19:58:00

リクルートジョブズの派遣スタッフ時給は下げ止まったか?

明週火曜日に失業率や有効求人倍率などの雇用統計が公表される予定となっていますが、先月も取り上げているリクルートジョブズの非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の4月の調査結果が明らかにされています。リンク先は以下の通りです。


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ということで、アルバイト・パート及び派遣スタッフそれぞれの募集時平均時給の推移は上のグラフの通りです。前者のアルバイト・パート順調に賃上げがなされているんですが、派遣スタッフについては3月統計ではとうとう前年同月比で▲2%を超えるマイナスを記録した後、直近の4月統計では▲0.4%減までマイナス幅を一気に縮小しています。実は、同じ業界の「エン派遣 三大都市圏の募集時平均時給レポート」でも4月の派遣スタッフ時給は昨年2016年10月から7か月連続でマイナスを記録したものの、3月の▲2.1%減から4月は▲1.7%減と、極めてわずかながらマイナス幅を縮小させており、いずれの調査でも派遣スタッフ時給は下げ止まった可能性が示唆されていると私は受け止めています。
両社でビミョーに職種の分類が異なるので何ともいえないんですが、エン・ジャパンのデータでは2015年年央くらいから2年近く医療・介護系の派遣スタッフ時給がマイナスを続けており、リクルートジョブズでも医療介護・教育系は必ずしも上昇圧力が感じられません。もっとも人手不足していそうな業界なんですが、同時に、もっとも規制の強い分野でもあり、政府の規制により賃金が上昇していない可能性も否定できません。民間企業に賃上げを促すのも重要ですが、もしも、政府の規制によって医療・介護分野で賃上げが抑制されているのであれば、民間企業に圧力をかけることとは別にやるべきことがあるような気もします。
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2017年05月23日 (火) 20:07:00

東京商工リサーチによる「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、5月17日に東京商工リサーチから「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査の結果が明らかにされています。昨今、就職戦線では売り手市場が続く中で、いわゆる「ブラック企業」に関する注目が高まっており、労働基準関係法令の違反企業がそのまま「ブラック企業」であると主張するつもりはありませんが、例の電通新入社員自殺事件も含めて、政府の働き方改革が進められているところ、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。なお、基となるデータは厚生労働省から公表されている以下の文書です。pdfファイルを開けば300社余りの企業の実名がズラリと並んでいます。ページ番号は振っていないんですが、電通はp.15の東京労働局の4番目に出現します。


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ということで、上のテーブルは東京商工リサーチのサイトから 労働基準関係法令違反 一覧公表企業 産業別 を引用しています。まず、テーブルに入る前に、公表された334件のうち、違反した労働基準関係法令の内訳は、労働安全衛生法違反が211件59.1%に上っており、建設作業現場や製造現場などでの安全管理義務を怠ったことで事故が発生したケースが中心になっています。次いで、違法な長時間労働などの労働基準法違反が63件17.6%、賃金未払いや最低賃金を遵守しない最低賃金法違反が62件17.3%と続いています。上のテーブルから明らかな通り、産業別で最多は建設業で115社34.6%、次いで、製造業の76社22.8%、サービス業他68社20.4%の3産業が突出し、この3産業で全体の約8割を占めています。もっとも、全体の企業数なり何なりでスケーリングする必要があるのかもしれませんが、そのあたりは不明です。なお、建設業と製造業の合計191社では、労働安全衛生法違反が156社81.6%と8割に達しています。

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次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 労働基準法違反63社 産業別内訳 を引用しています。先ほどのテーブルが危険に関するものでしたが、上の円グラフは社会問題化している時間外労働の割増賃金未払いや36協定無視など、長時間労働に関する労働基準法違反の63社の産業別内訳です。製造業は引き続き2番目にランクインしてしまっていますが、この労働基準法違反では最多がサービス業他26社41.2%で4割を超えています。例の電通もこの中に含まれています。そして、製造業に次いで運輸業が12社19.1%と3番目に入っています。私はそれほどフォローしていませんが、ヤマト運輸の未払残業代はどうなったんでしょうか?

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最後に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 労働基準関係法令違反 一覧公表企業 売上高別 を引用しています。公表332社のうち、売上高が判明した244社を売上高で見ると、1~5億円未満が77社31.5%ともっとも多く、次いで、1億円未満が58社23.7%、10~50億円未満が43社17.6%と続いています。売上高100億円以上も21社8.6%となっています。パナソニックの富山工場や日本郵便の新大阪郵便局も実名公表されています。ただ、売上高10億円未満の企業が約7割を占め、業績悪化や資金力の乏しさが労働基準関係法令の違反に直接、間接につながった可能性も示唆されていると、東京商工リサーチでは分析しています。
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2017年05月22日 (月) 22:48:00

輸出入ともに順調に拡大する貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から4月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+7.5%増の6兆3292億円、輸入額は+15.1%増の5兆8474億円、差引き貿易収支は+4817億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易収支、3カ月連続黒字 4817億円 半導体関連など好調
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4817億円の黒字だった。貿易黒字は3カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は5153億円の黒字だった。アジア向けの製造装置や部品など半導体関連を中心に輸出が引き続き伸びた。前年と比べた資源価格の回復などを背景に輸入も増加し、差し引きでの黒字額は縮小した。
輸出額は前年同月比7.5%増の6兆3292億円と5カ月連続で増加した。4月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110.92円と前年同月に比べ小幅な円高で、輸出への悪影響があったものの、海外景気の改善を背景にした輸出数量の伸びなどが寄与した。財務省は「前年同月は熊本地震が発生したことから、反動増が出ている可能性もある」とみている。前月(12.0%)に比べると伸び率は鈍化した。
半導体などの製造装置が韓国向けIC製造用をはじめ好調だったほか、中国向けの鉄鋼の伸びも目立った。地域別では中国向け輸出が14.8%増となった。対米国も2.6%増、対欧州連合(EU)は2.2%増となりともに前年同月を上回った。
輸入額は15.1%増の5兆8474億円だった。資源価格の回復に伴い、サウジアラビアからの原油・粗油、オーストラリアからの石炭などが増加した。原粗油の輸入は数量ベースでも10.8%増と4カ月ぶりに増えた。中東情勢が不透明性を増す中でエネルギーの調達先を多様化する動きもあるといい、米国からの液化石油ガスの輸入も大幅に増加した。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易指数の前年同月比で見て、輸出入ともに昨年2016年10月以降は、中華圏の春節効果でマイナスに振れた時期を除いて、ほぼ数量ベースで前年同月比を上回って推移しています。世界経済の順調な回復・拡大とともに、我が国経済も緩やかながら回復・拡大を継続していることが貿易統計から見て取ることができると私は受け止めています。この間、引用した記事にもある通り、やや為替が円高に振れたこともあって、輸出数量の伸びは前年同月比で見て、2月+8.3%増、3月+6.6%増から4月は+4.1%増とプラス幅が縮小している一方で、輸入数量はコンスタントに+4~6%増を記録しています。基本的には、世界経済は我が国を含む先進国も、新興国も、途上国も、ほぼ回復ないし拡大の局面にあり、季節調整していない原数値なんですが、輸出数量指数と輸入数量指数の両方が、米国向け、欧州(EU)向け、中国を含むアジア向けのすべてで4月統計では前年同月比でプラスを示しています。ただ、上のグラフのうち下のパネルの季節調整済みの系列の輸出額が3月4月と2か月連続で減少を示していますが、2月の中華圏の春節効果による輸出の激増がもたらしたイレギュラーな結果であり、3-4月とも昨年12月や今年の1月を上回っていますので、私はそれほど懸念していません。むしろ、国際商品市況における石油価格の上昇に伴って、季節調整していない原系列の輸入について、3-4月は価格指数が前年同月比でほぼ+10%ほど上昇し、金額指数でも両月とも約+15%の上昇を示しており、貿易収支の黒字がやや減少気味となっています。私はそれほど気にしていないんですが、石油価格の上昇とともに貿易収支が赤字に舞い戻る可能性が高まっているのも事実です。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出額はハッキリと回復ないし拡大を示しており、その背景はOECD先行指数に見られる海外経済の回復による我が国輸出への需要拡大です。先進国も中国もいずれも景気は回復しており、我が国からの輸出も拡大の方向にあります。たっだ、何度も繰り返していますが、不透明な要因は米国のトランプ政権の通商政策、というか、通商政策をはじめとするそもそもの政策遂行能力です。それから、次々と出て来る北朝鮮のミサイル発射が通商にどういった影響を及ぼすのかは、エコノミストにはまったく予測不能です。
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2017年05月19日 (金) 20:14:00

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「新入社員意識調査アンケート結果」やいかに?

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、例年通り、三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「新入社員意識調査アンケート結果」が5月9日に明らかにされています。一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたいという意味で、「自分ファースト」志向が高まるとともに、理想の上司は「寛容型」との結果が出ているようです。まず、リポートから【アンケート調査結果の概要】を4点だけ短く引用すると以下の通りです。

【アンケート調査結果の概要】
  • 一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたい。「自分ファースト」志向が高まる。
  • 理想の上司は「寛容型」。
  • 今の日本は「曇り」。10年後についても悲観的な見方が広がる。
  • 女性は自身が出世する姿を具体的にイメージしにくい傾向がある。


ということで、例年の定点観測で、東京、名古屋、大阪において新入社員を対象としたセミナーを開催し、受講者に対してアンケートを実施した結果を取りまとめています。リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポート p.4 から 今の会社を選んだ基準 の問いに対する回答を引用すると上のグラフの通りです。雰囲気、やりがい、安定がトップスリーです。男女の性差でビミョーに違いがあり、男性はやりがいや安定を、女性は距離感を重視している傾向が少しだけ見受けられます。なお、グラフは引用しませんが、就活でブラック企業かどうかを意識した比率は昨年よりもジワリと高まっているようです。

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次に、リポート p.7 から 会社に望むこと のうちのいくつかのポイントについて、2004年以降の時系列をプロットした折れ線グラフを一挙に3枚引用すると上の通りです。見れば明らかなんですが、能力の発揮・向上はまだまだ高い水準ながら傾向的に低下を示しており、給料アップがほぼ安定しているのに対して、労働時間や私生活への不干渉などがまだ比率は低いものの一貫して増加の傾向にあります。理由や動機はすっかり忘れましたが、私はバブル末期にメガバンクの運動会で週末を潰された記憶があり、確かに時代背景もあって豪華絢爛な運動会だったんですが、ああいった社を上げてのイベントはもう流行らないんだろうという気がします。

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次に、リポート p.12 から 就労意識 、すなわち、転職したいか、定年まで働きたいか、ついて、2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。米国のサブプライム・バブル崩壊後は安定志向が強まって定年まで働きたいとの就労意識がと読まったように見えますが、2012年末の安倍内閣の成立とアベノミクスによる現在の景気拡大局面の継続で、再び転職志向が強まっているような印象です。

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最後に、リポート p.17 から 残業に対する考え方 、すなわち、残業かお給料かの二者択一について、これも2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。コチラは米国のサブプライム・バブル崩壊とは関係なく、傾向的にお給料アップよりも残業をなくす方向が選好されて来たんですが、今年の新入社員は反転の兆しを見せています。今年の新入社員だけの特徴なのか、今後のトレンドを示唆しているのか、現時点では何ともいえませんが、定点観測として少し注目しています。また、最初に引用した【アンケート調査結果の概要】の3点目で、10年後の日本経済に関する悲観的な見方が広がっている、とありますが、私のような経験豊かなエコノミストでも10年後の経済なんて判りはしませんから、新入社員の意識で論じても仕方ないような気がします。いかがでしょうか?

最後の最後に、生産性本部でも毎年新入社員の意識調査を実施しており、今年の新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」だそうです。Pokémon GO を強く意識したネーミングとなっています。昨年はドローンだった記憶があり、世間動向を意識しているだけなのか、それとも、新入社員がホントにそのタイプなのかどうかは疑問が残り、私のこのブログでは適当に既読スルーしているのが実情です。
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2017年05月18日 (木) 22:57:00

1~3月期のGDP統計速報1次QEは潜在成長率を超えて年率+2.2%の高成長を記録!

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+2.2%を記録しました。潜在成長率をかなり超えて、なかなかの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1~3月期GDP、年率2.2%増 個人消費がけん引
内閣府が18日発表した2017年1~3月期の国内総生産(GDO)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.2%増だった。プラスは5四半期連続。個人消費が持ち直し、輸出も伸びた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.4%増で年率では1.8%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.4%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.4%増と、5四半期連続でプラスだった。生鮮野菜の価格高騰が一服し、消費者心理が改善した。
輸出は2.1%増、輸入は1.4%増だった。アジア向けを中心に需要が堅調で輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は0.2%増と、2四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.7%増。公共投資は0.1%減。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.8%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.1%のプラスだった。
同時に発表した16年度のGDPは実質で前年度比1.3%増と、2年連続のプラス成長となった。生活実感に近い名目では同1.2%増となり、5年連続のプラス成長となった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/1~32016/4~62016/7~92016/10~122017/1~3
国内総生産GDP+0.6+0.4+0.2+0.3+0.5
民間消費+0.3+0.2+0.4+0.0+0.4
民間住宅+1.1+3.1+2.7+0.4+0.7
民間設備+0.1+1.3▲0.2+1.9+0.2
民間在庫 *(▲0.3)(+0.3)(▲0.4)(▲0.2)(+0.1)
公的需要+1.1▲0.8▲0.1▲0.5+0.1
内需寄与度 *(+0.2)(+0.5)(▲0.1)(▲0.0)(+0.4)
外需寄与度 *(+0.4)(▲0.1)(+0.4)(+0.4)(+0.1)
輸出+0.5▲1.4+1.9+3.4+2.1
輸入▲2.0▲1.1▲0.2+1.3+1.4
国内総所得 (GDI)+1.3+0.6+0.1+0.0▲0.0
国民総所得 (GNI)+0.9+0.3▲0.0▲0.1+0.2
名目GDP+0.9+0.2+0.1+0.4▲0.0
雇用者報酬 (実質)+1.6+0.1+0.7▲0.3▲0.1
GDPデフレータ+0.9+0.4▲0.1▲0.0▲0.8
内需デフレータ▲0.3▲0.7▲0.8▲0.3+0.1


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に大きいものではありませんが、赤の消費と黒の外需がプラス寄与しているのが見て取れます。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比+0.4%増の年率+1.8%増でしたから、ほぼジャストミートしたことになります。しかも、5四半期連続のプラス成長ですから、2015年中が少し低空飛行したのと比べれば、順調な回復・拡大との印象を受けます。1~3月期については、消費と輸出が成長を牽引しています。消費については天候不順による『生鮮野菜の価格高騰などの生活に密着した商品の物価高をようやく脱し、マインドが改善しているのが要因と受け止めています。ただ、下のグラフに雇用者所得のグラフを掲げましたが、1~3月期はデフレを脱却してプラスの物価上昇率を記録し始めていますので、実質所得が伸び悩み始めています。ですから、4~6月期においてはベアを伴う賃上げや、さらに、恒常所得ではないと見なされる場合が多いものの、夏季ボーナスなどの所得増が実現できるかどうか、が重要になるような気がします。マインドだけで消費を支えるのはサステイナブルではありません。もうひとつの牽引役である輸出については、経済要因としては大きな懸念はありません。日銀の異次元緩和の下で為替が円高に振れることはありませんし、海外経済が先進国と中国をはじめとする新興国の足並みそろって回復ないし拡大に向かっていますので、我が国からの輸出も順調に伸びると見込まれます。ただ、エコノミストには理解できないような経済外要因は不安が残ります。ひとつは北朝鮮の動向であり、エコノミストの予想を軽く超える可能性が高いと考えられます。もうひとつはトランプ政権下での米国の通商政策の動向が不透明です。ロシアゲートをチラチラと見ている限り、まともな政策運営が期待できかねる可能性すらあり、現在の米国政権の通商政策がどちらに向かうかはまったく不透明で、直接に、あるいは、為替相場における円高を通じて間接に、我が国の輸出に何らかの影響を及ぼす可能性もなしとしません。

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最後に、上のグラフは実質の雇用者所得を年率換算でプロットしています。このブログでも何度か主張した通り、消費は所得とマインドなんですが、最近時点ではマインドを反映する貯蓄率は順調に低下している一方で、実質雇用者所得が上のグラフの通りやや伸び悩んでいます。特に、1~3月期については消費者物価(CPI)が上昇に転じましたので、この先、名目ではなく実質で所得がさらに伸び悩む可能性が懸念されます。家電エコポイントや消費増税などの政策効果で耐久消費財の買い替えサイクルが大きく歪められたんですが、ようやく今年あたりから白物家電の買い替えサイクルが到来したとの見方が出始めています。短期的にはマインドで消費が拡大することは十分あり、それが景気の起爆剤になるケースも少なくありませんが、消費がさらに拡大を継続するためには所得の裏付けが必要です。

最後の最後に、GDPデフレータが前年同期比▲0.8%とマイナス幅を拡大し、1~3月期から消費者物価(CPI)が上昇に転じたのと逆の動きを示しています。基本的には、国際商品市況における石油価格の上昇などで控除項目の輸入デフレータが上昇しているためであると私は認識しています。国内需要デフレータはCPI上昇率に歩調を合わせて1~3月期からプラスに転じており、デフレ脱却の方向はCPIとGDPデフレータで整合的と考えるべきです。
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2017年05月17日 (水) 20:08:00

力強さに欠ける機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から3月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+1.4%増の8623億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の機械受注1.4%増 4~4月見通しは5.9%減 製造業さえない
内閣府が17日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.4%増の8623億円だった。増加は2カ月連続。製造業でコンピューターなど電子機器の受注が増えた。ただ、QUICKが事前にまとめた金融機関など民間の調査機関の予測中央値である2.5%増には届かなかった。内閣府は機械受注の基調判断について「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。
1~3月期では前期比1.4%減少した。同時に発表した4~6月期の見通しは5.9%減で、2四半期連続での減少を見込む。非製造業の9.6%減が響く。小売りや金融での需要が落ち込む見通し。製造業も1.1%減の予想。市場では「米国の通商政策に不透明感が残る間は、企業は設備投資に慎重にならざるを得ない」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方があった。
3月の受注額は、製造業が0.6%増の3529億円だった。増加は2カ月連続だが、伸び率は前月の6.0%から減速した。非製造業の受注額は3.9%減の4964億円と4カ月ぶりの減少。廃棄物処理関連の原子力原動機の受注が減ったことが影響した。前年同月比での「船舶、電力を除く民需」受注額(原数値)は0.7%減だった。
2016年度の受注額は前年度比0.5%増の10兆2314億円で、2007年度以来9年ぶりの水準を回復した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフを見ても、2013年のアベノミクス以降はジワジワとコア機械受注は増加の傾向にあることは確かですが、ジグザグと増減を繰り返しており、これだけの人手不足の要素市場にあって、省力化などの必要性が考えられるにもかかわらず、設備投資が盛り上がらないのも不思議な気がします。今年に入って、月次のコア機械受注は1月に前月比で▲3.2%の減少から始まり。2月+1.5%増、今日公表の3月も+1.4%増と小幅の増加が続いたものの、1~3月期でならしてみれば▲1.4%減を記録し、4~6月期の見通しも▲5.9%減と2四半期連続での減少が見込まれています。3か月前の調査では、1~3月期は前期比で+1.5%増が見込まれていましたが、結局、下振れて終わりましたし、4~6月期についてはそもそも見通しがかなり大きな減少となっています。
機械受注やその川下の設備投資については、現在の生産・出荷や輸出などの指標を見る限り、また、労働市場の人手不足とも考え合せて、緩やかな増加が見込まれると私は考えて来ましたが、北朝鮮をはじめとする北東アジアの地政学的なリスク、さらに、TPPからの離脱をはじめとする各種の大統領令を連発する米国トランプ政権の通商政策、というか、もっといえば、現在の「ロシアゲート」と呼ばれるような大統領としての政策遂行能力への疑問、などなど、経済外的な要因により下押し圧力がかかっている可能性は否定できません。なお、米国通商政策がクローズアップされることが多いんですが、例えば、今年2017年1~3月期に限ってみれば、コア機械受注のうち、製造業▲4.2%減、非製造業+0.0%の横ばいでしたので、そう見えなくもないんですが、4~6月期の見通しに目を転ずると、製造業▲1.1%減、非製造業▲9.6%減ですから、それだけでもない気がします。人手不足で賃金が上昇しない点とともに、私の目から見てややパズルです。
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2017年05月16日 (火) 20:12:00

明後日公表予定の1-3月期GDP統計1次QEは高成長か?

4月中にほぼ必要な統計が出そろい、明後日の5月18日に1~3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定ですが、すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルの上から5機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研となっています。その下の4機関には先行きはありません。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.8%)
4~6月期を展望すると、トランプ米大統領の政策運営や北朝鮮情勢など海外の政治・経済動向は不透明感が強く、マーケットの変動などが景気を下押しするリスクはあるものの、①輸出の増加や在庫調整の進展を受けた製造業の生産活動の持ち直しや、②2016年度第2次補正予算の執行に伴う公共投資の増加、などが引き続き景気を下支えすることで、景気回復基調が続く見込み。
大和総研+0.4%
(+1.7%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、米国の通商政策や地政学的リスクの高まりなど、外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.4%
(+1.5%)
2017年度の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、設備投資の押し上げ要因になるとみられる。他方、個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くものの、年度半ばにかけて見込まれるエネルギー価格の上昇が下押し要因となるだろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.4%)
日本経済は1年以上にわたって潜在成長率を上回る成長を続けている。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年1-3月期は民間消費が高めの伸びとなったことから内需の伸びが高まり、内外需のバランスが取れた成長となった。先行きについても、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くことに加え、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しが見込めることなどから、景気は堅調な推移が続くことが予想される。ただし、名目賃金が伸び悩んでいるため、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しするリスクには注意が必要だろう。
第一生命経済研+0.4%
(+1.8%)
先行きについても、輸出の増加が続く可能性が高いことに加え、景気対策効果の顕在化によって公共投資も増加が予想される。1-3月期に足踏みとなった設備投資についても、企業収益の持ち直しや景況感の回復を受けて増加が期待できる。今後も着実な景気回復が続く可能性が高いだろう。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.6%)
10~12月期(前期比+0.3%、年率+1.2%)から成長ペースはやや加速したことになるが、国内民間需要は個人消費が横這い、設備投資は小幅増加にとどまる中で住宅投資の落ち込みにより前期比+0.1%の微増、純輸出(輸出-輸入)が成長率を+0.2%Pt押し上げており、輸出頼みの緩やかな成長という姿は変わらないことになる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.5%
(+2.1%)
1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率2.1%と予想する。昨年4-6月期(同2.2%)以来3四半期ぶりに、年率で2%台の成長率に復帰する見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.1%)
2017年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と5四半期連続でプラスとなったと見込まれる。景気が持ち直していることを確認する結果となるだろう。
三菱総研+0.4%
(+1.6%)
2017年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.4%(年率+1.6%)と5四半期連続のプラス成長を予測する。好調な輸出に加え、消費も底堅く推移しており、内外需バランスのとれた成長となろう。


ということで、季節調整済み系列の前期比年率で+1%台後半から2%くらいの成長率予想が主流となっています。潜在成長率に比較してかなり高めの成長であり、中でも、政策効果で大きな歪みを生じていた耐久消費財の買い替えサイクルが始まったと見なされている消費について、ようやく回復の兆しが見えているのが明るい材料と考えています。ただ、企業部門の設備投資は、上のテーブルの中では伊藤忠商事経済研を除いて、まだほぼすべての機関でマイナス予想となっており、6月1日公表予定の法人企業統計を見たい気もしますが、我が国企業部門の力量低下が著しく表れているような気もします。外需についてもプラス寄与は続いていますが、その幅はかなり縮小して、外需主導から消費主導の成長の姿が示されるとの予想が中心です。上のテーブルのヘッドラインで取り上げようと試みた先行きについても順調な景気の回復・拡大を予想する向きが多く、特に、企業収益の面から設備投資の拡大も見込んでいる機関が少なくありません。ただ、わけの判らない地政学的リスクの発生、北朝鮮のミサイル発射とか、あるいは、経済合理的でない米国の通商政策の方向性とか、そういったリスクがどこまで顕在化するかどうか、エコノミストには理解不能な部分もあったりします。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2017年05月15日 (月) 22:29:00

3年振りに+2%超を記録した企業物価(PPI)上昇率は日銀の物価目標と整合的か?

本日、日銀から4月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の企業物価指数、前年比2.1%上昇 3年3カ月ぶりの上昇率
日銀が15日に発表した4月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。前年比での上昇は4カ月連続で、上昇率は前月(1.4%)から拡大した。上昇率は消費増税の影響を除くと2014年1月(2.5%)以来3年3カ月ぶりの大きさだ。市況上昇を背景に鉄鋼価格に値上がりが目立ったほか、原油先物相場の上昇を受けガソリンや軽油も値上がりした。ただ最近はガソリン価格などが伸び悩んでおり、前月比では0.2%の上昇にとどまった。
円ベースの輸出物価は前年比で3.0%上昇したが、前月比では1.9%下げた。輸入物価も前年比で10.9%上昇する一方、前月比では2.2%下げた。原油価格の下落や前月比での円高・ドル安進行が響いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している746品目のうち前年比で上昇したのは315品目、下落は331品目だった。上昇と下落の品目差は16品目で、2月の確報値(106品目)から大幅に縮小した。
日銀の調査統計局は「中国の需要動向や地政学リスクの為替相場や国際市況への影響をより慎重にみていく必要がある」との見方を示した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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少し前から4月の価格改定期を着目していたんですが、予想通り、というか、何というか、割と素直に価格改定が進んだ印象があります。ヤマト運輸の価格改定にも注目ですが、運輸サービスは今日発表の企業物価(PPI)の外数です。今年に入ってPPIの前年同月比上昇率がヘッドラインの国内物価だけでなく、円建てで見た輸出物価・輸入物価ともにプラスに転じ、特に、国内物価上昇率は1月+0.5%、2月+1.1%、3月+1.4%から4月+2.1%とかなり急激な勢いで上昇率が加速して来ており、しかも、4月のPPIの前年同月比上昇率で大きな上昇を示した品目は石油・石炭製品+23.8%と鉄鋼+10.3%と非鉄金属+8.9%などなんですが、エネルギーはもちろんのこと、鉄鋼や非鉄金属などの基礎的な素材製品の値上がりが大きいわけで、これから先、いわゆる川下製品への波及が見込まれます。従って、5-6月くらいまでは少なくとも+2%超の物価上昇率水準が続くんではないかと私は考えています。ただ、一本調子で上昇率が加速するわけでもないでしょうし、少し前までの円高に振れた為替の影響も出ることも考えられ、人手不足の影響を受けやすいサービス物価(SPPI)はともかく、エネルギー価格の影響を受けやすいPPI上昇率については、年央くらいまでには上昇率の加速も止まる可能性が高い、と私は受け止めています。でも、+2%前後の上昇率はキープしそうな勢いです。消費者物価(CPI)に波及し、日銀のインフレ目標と整合的な動きに向かう可能性が十分あることを指摘しておきたいと思います。
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2017年05月12日 (金) 21:54:00

マクロミル・ホノテによる今夏のボーナス調査の結果やいかに?

今週月曜日5月9日にマクロミル・ホノテから「2017年夏のボーナス調査」の結果が明らかにされています。
とても少ないサンプルながら、ボーナス受給予定者の平均見込み額は507,265円などと、かなり有効数字の桁数に疑問のある結果も出ていたりします。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを3点だけ引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 2017年夏のボーナス、"受給予定"は83%、2割弱は"受給なし"
  • ボーナスの見込み額は、平均507,265円、"金融・保険業"が最高の693,939円
  • "受給なし"の理由は、「支給制度がない」54%が最多


繰り返しになるものの、どこまでの信頼性が確保されているかは疑問なしとしませんが、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、調査対象は民間企業に勤務する正社員となっています。この調査対象者に、この夏のボーナスの支給についてたずねると、支給される予定は83%、支給されない予定は17%という実態が示されています。ただし、非正規も含めると支給割合は下がるんではなかろうかと私は想像しています。さらに、マクロミル・ホノテのサイトからグラフを引用すると、上のグラフは 2017年夏のボーナス 会社員の受給予想 <従業員規模別> となっていて、大雑把に、会社の従業員規模が大きくなるにつれ、受給予想が高まる傾向が読み取れます。また、下のグラフは 会社員のボーナス受給額予想 平均見込み額 であり、回答者はボーナスを受給予定の人だけです。支給見込みの平均額は507,265円であり、業種別に見てもっとも高いのは金融・保険業で693,939円、一方もっとも低いのはサービス業で351,258円となっています。こういったボーナス支給で消費がもう少し喚起されるといいんですが、果たしてどうなりますことやら。

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2017年05月11日 (木) 20:57:00

上向いた景気ウォッチャーとリーマン・ショック以前の水準に回帰した経常収支!

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャーが、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月比+0.7ポイント上昇の48.1を、また、先行き判断DIも前月比+0.7ポイント上昇の48.8を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆9077億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、現状判断指数は5カ月ぶり改善 家計悪化に歯止め
内閣府が11日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前の月に比べ0.7ポイント上昇の48.1だった。改善は5カ月ぶり。雇用動向の改善や、客足が復調した飲食関連が寄与し、家計動向の悪化に歯止めがかかった。ただ、人手不足で機会損失などへの懸念は続き、サービス関連はほぼ横ばい。企業動向も伸び悩んだ。
部門別にみると、雇用動向は1.4ポイント上昇の54.8と、4カ月ぶりに改善した。家計動向のうち飲食関連では人手不足を受けて賃金などコスト増が続いたが、客足の回復で懸念が和らいだ。ただ、家計動向は0.7ポイント、企業動向は0.3ポイントといずれも小幅な改善にとどまった。
街角では雇用動向について「製造業を中心に、求人数は増加傾向にある」(北関東の職業安定所)との声がある。家計動向のうち飲食関連では「4月の来店客数が前年比103%を超えている」(近畿のレストラン)、一方で「今年は極端に歓送迎会が少なく非常に危惧する事態となっている」(中国のスナック)と強弱が入り交じった。企業動向でも「積極的な設備投資、新製品開発、既存品のバージョンアップが顕著」(東北の電気機械機具製造業)との見方と「受注が落ち着いてきている。年度初めで顧客も動きにくそうだ」(近畿の建設業)との慎重な見方が混在した。
2~ 3カ月後を占う先行き判断指数は、前の月から0.7ポイント上昇し48.8となった。上昇は2カ月ぶり。雇用関連が2.2ポイント改善した。「人手不足で前年度に新卒者を採用できなかった企業が多く、採用意欲がさらに上向く」(北海道の大学)という。半面、家計動向の改善幅は0.3ポイント増にとどまった。一部百貨店で客数回復や夏場の観光需要に対する期待が聞かれたが「乗務員不足による稼働率低下の影響がますます大きくなっている」(北海道のタクシー運転手)との声も根強い。
内閣府は現状の基調判断は「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」との表現を維持した。先行きは前月に続いて「人手不足やコストの上昇に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資等への期待がみられる」とした。
2016年度の経常収支、20兆1990億円の黒字 旅行収支は過去最大
財務省が11日発表した2016年度の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は20兆1990億円の黒字だった。経常収支の黒字額はリーマン・ショック前の07年度(24兆3376億円)以来9年ぶりの高水準となった。原油安で貿易収支の黒字幅が大幅拡大したことが寄与した。旅行収支は比較可能な1996年度以降で過去最大の黒字額となった。
貿易収支は5兆7654億円の黒字と前年度(3296億円の黒字)から大幅に拡大した。黒字額は10年度(8兆332億円)以来の高水準だった。液化天然ガス(LNG)や原粗油などの減少で輸入が10.9%減少。自動車や鉄鋼などの低迷で輸出も3.4%減少したが、輸入の落ち込みが上回った。
サービス収支は1兆5058億円の赤字と前年度から1531億円赤字幅を拡大した。知的財産権などの使用料の受け取りが減り、「その他サービス収支」の赤字額が増えた。一方、旅行収支は訪日客の増加を背景に1兆2789億円の黒字と過去最高を記録した。
第1次所得収支は18兆356億円の黒字(前年度は20兆8964億円の黒字)だった。円高などを背景に、証券投資で受け取る配当金などが減少した。
同時に発表した3月の経常収支は2兆9077億円の黒字だった。黒字は33カ月連続となったが、黒字幅は前年同月から645億円縮小した。貿易収支は8655億円の黒字(前年同月は8711億円の黒字)だった。輸出入ともに増えたが、輸入の増加が上回った。サービス収支は1804億円の黒字(前年同月は2630億円の黒字)、第1次所得収支は2兆1951億円の黒字(前年同月は2兆1591億円の黒字)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIも先行き判断DIも、すべてのコンポーネント、すなわち、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の3項目とも上昇を示しています。引用した記事にあるように、いよいよ季節もよくなって家計のマインドも底入れしつつある、との楽観論がある一方で、まだまだ小動きの範囲内であって、悪化に舞い戻る可能性も小さくない、という悲観論も残っていて、私も判断がつきかねています。先日発表のあった消費者態度指数は需要サイドのマインドで少し悪化したのに対して、今日の景気ウォッチャーは供給サイドのマインドであり改善を示しています。この不整合の要因として、供給サイドと需要サイドとで、ビミョーに価格上昇の受け止め方が違う可能性があると私は考えています。すなわち、4月の消費者態度指数は価格上昇に対する消費者サイドの嫌気が現れているのに対して、景気ウォッチャーは価格上昇に対する販売者サイドの好感を表している可能性があります。いずれにせよ、現状判断DIも先行き判断DIも、いずれも、3つのコンポーネントのうち雇用関連の上昇幅が最も大きくなっており、人手不足の現状が反映されていると受け止めています。現状判断の理由集を見ていると、数量も単価もまずまずよくなっている印象なんですが、逆に、悪くなっている理由には北朝鮮情勢が上げられている例が散見されます。ホントなんでしょうか。単に、成績の悪い理由を北朝鮮に押し付けているだけという気もしなくもありませんが、北朝鮮のミサイル発射で人出が悪影響を受けるようなことになれば、そうなのかもしれないと思ったりもします。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、経常収支は2011年3月の震災や2009年のリーマン・ショック前の水準に戻ったと受け止めています。今年1-3月期のGDP統計が来週18日に内閣府から公表されますが、経常収支のGDP比も4%くらいに拡大しているんではないかという気がします。経常黒字をもおたらしたのが国際商品市況における石油価格の下落ですから、トランプ米国政権の通商政策に何らかの影響を及ぼす可能性は低いと考えるべきですが、黒字の水準としてはかなり高いと見る向きもありそうです。トランプ政権の政策動向と我が国の経常収支の関係についてはやや複雑で、通商政策により米国内への投資の回帰がホントに進むのであれば、我が国の経常黒字の縮小要因となりますが、インフラ整備などの財政政策は黒字拡大要因となります。もちろん、為替への影響も見逃せません。
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2017年05月10日 (水) 20:28:00

景気動向指数に見る景気は長期の拡大を続ける!

本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI一致指数は前月比▲0.6ポイント下降の114.6を、CI先行指数は+0.8ポイント上昇の105.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の景気一致指数、2カ月ぶり低下
内閣府が10日発表した3月の景気動向指数(2010年=100、CI)によると、景気の現状を示す一致指数は前月より0.6ポイント低下し、114.6となった。2カ月ぶりに前月を下回った。スマートフォン(スマホ)用の電子部品や半導体製造装置の生産・出荷が減ったためだ。
内閣府は一致指数からみた基調判断を「改善を示している」とし、6カ月連続で据え置いた。
一致指数を構成する指標で、前月と比べられる7つの指標のうち、4つが押し下げ要因となった。電子部品などの生産・出荷が落ち込んだほか、自動車やバイクなど耐久消費財の出荷も減少した。新型車発売の効果が一巡したとみられる。
小売・卸売の販売額、有効求人倍率の3つの指標は前月を上回ったが、全体を押し上げるほどではなかった。
数カ月先の景気を示す先行指数は前月比0.8ポイント上昇の105.5となった。2カ月連続で上昇し、15年6月以来1年9カ月ぶりの高水準となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数のうちのCI一致指数は2か月振りの下降とはいえ、昨年2016年10月に「足踏み」から「改善」に基調判断が上方改定されてから半年間据え置かれており、2012年12月の現在の内閣発足から今年2017年3月まで4年余りの長期に渡る景気拡大局面ということになります。ということで、少し詳しくCI一致指数を見ると、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)がこの順でプラスに寄与しており、逆に、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数がマイナスに寄与しています。商業販売統計と耐久消費財出荷が相反する結果となっていて、やや混乱を来たしかねない内容ながら、まだら模様というべき状態です。また、CI先行指数が上昇した要因は、消費者態度指数と新設住宅着工床面積と日経商品指数(42種総合)のプラス寄与が大きくなっています。
繰り返しになりますが、内閣府による景気基準日付に従えば、現在の景気循環の拡大局面は2012年11月を谷として、もしも2017年3月まで景気拡大が継続していると仮定すれば、景気拡大が52か月となり、いわゆるバブル景気、すなわち、1986年11月を谷として1991年2月を山とする第11循環の景気拡大期の51か月を上回ることとなります。戦後における長期に渡る景気拡大は、米国のサブプライム・バブルと同時期の2002年1月を谷とし2008年2月を山とする第14循環の73か月、次いで、いわゆるいざなぎ景気と呼ばれる1965年10月を谷とし1970年7月を山とする第6循環の57か月があり、現在の景気拡大はこれらに続いて戦後3番目の長さということになります。基本的に、エコノミストとして景気拡大が長期に及ぶのはめでたいことだと受け止めていますが、もう少し消費に力強さが加わればより望ましい姿に近づくような気がします。
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2017年05月09日 (火) 19:41:00

賃金の伸びが大きく鈍化した毎月勤労統計をどう見るか?

本日、厚生労働省から3月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.4%増を、また、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で▲0.1%の減少を、それぞれ記録しています。これに加えて、消費者物価が上昇を示していますので、消費者物価でデフレートした実質賃金はさらに大きなマイナスとなります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

名目賃金、10カ月ぶりマイナス 3月の毎月勤労統計
厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて0.8%減少した。減少は2カ月ぶり。名目賃金にあたる現金給与総額は27万7512円で前年同月比で0.4%減少した。正社員の基本給が減っている。大企業は賃金のベースアップを進めているが、産業界全体で見ると賃上げの動きが滞っている可能性がある。
名目賃金が前年同月を下回ったのは10カ月ぶり。内訳をみると、基本給を示す所定内給与は前年同月比0.1%減。残業代を示す所定外給与は1.7%減、通勤手当や賞与を示す特別に支払われた給与は3.6%減った。
基本給を雇用形態別にみると、ほぼ正社員に相当する「フルタイム労働者」が0.1%減と、14年4月以来およそ3年ぶりにマイナスに転じた。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「フルタイムの基本給が弱いのは大企業のベア以外に賃金を押し上げる動きが乏しいため」と分析する。
足元の労働市場では人手不足が進む。完全失業率は3月で2.8%と完全雇用に近い状態だ。企業はパートタイム労働者については賃上げに動いており、パートの時間あたり賃金は2.1%増だった。
厚労省は実質賃金の落ち込みについて、昨年3月の実績が高いため、前年同月比はその反動でマイナスになった可能性もあると説明している。今年3月に政府がまとめた働き方改革の実行計画の会議で安倍晋三首相が労使に賃上げを要請するなど、賃金上昇への期待は高い。
先行きは春季労使交渉で大手企業が表明したベアがどこまで広がっているかが焦点になる。大和総研の長内智シニアエコノミストは「企業には稼ぐ力があり、4年連続の賃上げ2%達成は可能だ」と見る。
実質賃金は名目賃金から物価上昇分を除いた指標で、消費動向を左右する。3月は消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が前年同月比0.3%上昇し、実質賃金を名目より押し下げた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目の1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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景気に敏感に対応する製造業の所定外労働時間が鉱工業生産指数(IIP)と歩調を合わせて低下したことは当然としても、本日公表の3月の毎月勤労統計の最大の謎は賃金であろうと私は考えていますが、この賃金の落ち込みはかなりの程度に労働時間で説明できるのではないかと私は理解しています。すなわち、働き方改革の推進などにより、所定内労働時間を中心に労働時間が短縮されて来ている可能性があります。所定内労働時間は2014年通年で▲0.6%減、2015年▲0.3%減、2016年▲0.5%減と緩やかに低下を示してきましたが、2017年に入って、季節調整していない原系列の労働時間指数の前年同月比で見て、1月▲1.2%減、2月▲0.7%減、3月▲2.0%減と急激に減少を始めています。総実労働時間でも、2017年1月▲1.1%減、2月▲0.5%減、3月▲1.9%減と大きな減少が続いており、2月は昨年がうるう年であった点を考慮すると、実質的にはもっと大きなマイナスと考えるべきですから、労働時間の減少が大きくなっており、賃金の低下幅はこれより小さく、時間当たり賃金は上昇していると受け止めています。ひとつの傍証として、パートタイム労働者の時間当たり賃金も昨年10月ころからほぼコンスタントに前年比で+2%前後を記録しています。
労働時間の長短と所得の多寡はトレードオフの関係にあり、当然ながら、短い労働時間と高額の所得は両立しません。もちろん、働きづめに働いて所得を稼いでも、支出するヒマがないようではマクロの消費は増加しません。逆に、支出する余暇が十分でも、労働時間が短すぎて所得が十分でなければ同じことです。現時点では、政府の働き方改革の中で労働時間の短縮が先行しているようで、典型的には2月から実施されているプレミアム・フライデーなのかもしれませんが、それだけ所得が減少しがちになる可能性があるのかもしれません。
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2017年05月08日 (月) 20:42:00

消費者態度指数の低下は何を意味するのか?

本日、内閣府から4月の消費者態度指数が公表されています。前月から▲0.7ポイント低下し43.2を記録しています。先月から、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正していますが、今月は「持ち直し」のまま据え置かれました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の消費者態度指数、前月比0.7ポイント低下の43.2 基調判断据え置き
内閣府が8日発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.7ポイント低下の43.2だった。足元の食料品の値上げなどを受けて物価上昇への警戒感が強まったことに加え、株価下落による資産価値の減少などで生活環境が悪化すると見込む消費者が増加した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。消費者態度指数は5カ月ぶりに低下したものの、3カ月移動平均では前月を上回ったことを考慮した。
指数を構成する4つの意識指標のうち「暮らし向き」が1.2ポイント、「収入の増え方」が0.8ポイントそれぞれ低下した。「耐久消費財の買い時判断」も前月を1.6ポイント下回った。一方で「雇用環境」は0.8ポイント上昇と堅調に推移した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より7.4ポイント高い78.9%だった。上昇幅は比較可能な13年4月以降では最大となった。公共料金や食用油などの価格上昇に加え、今後控える宅配便の値上げも意識されたようだ。「低下する」との見通しは2カ月連続で減少したほか「変わらない」との見方も3カ月ぶりに減った。
調査基準日は4月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5654世帯(回答率67.3%)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、雇用環境だけは+0.8ポイント上昇し47.7となったものの、他の3つのコンポーネント、すなわち、耐久消費財の買い時判断が▲1.6ポイント低下の42.2、暮らし向きが▲1.2ポイント低下の41.5、収入の増え方が▲0.8ポイント低下の41.4と、それぞれ、算出されています。上のグラフを1変数だけのユニバリエイトに見ても、何となく「持ち直し」の動きに乗っているように見えますし、基調判断の変更は不要ではなかろうかと私も思っています。4つのコンポーネントのうちでも、もっとも基礎的な雇用環境が人手不足の中で改善を続けていますので、収入や暮らし向きといった他の項目も雇用が改善する限り、少しラグがあるかもしれないものの、決して悲観する必要はないものと私は受け止めています。
また、今日の今日で、この統計には反映されようもなかったわけですが、フランス大統領選挙の決選投票でEU加盟を堅持するマクロン候補が大差で勝利し、日本円は対ドルでも対ユーロでも円安に振れて、東証株価指数はこの結果を好感して450円の上昇を記録しています。米国の経済通商政策動向がまだまだ不透明ながら、昨年の英国国民投票でのBREXITや米国大統領選挙の結果と違って、安心できる結果に受け止められたような気がします。
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2017年05月05日 (金) 23:23:00

米国雇用統計は6月公開市場委員会(FOMC)での利上げをサポートするか?

本日先ほど、米国労働省から4月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は3月の8万人足らずから、一気に回復して+211千人増となり、失業率もさらに前月から0.1%ポイント下がって4.4%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の8パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. labor market rebounds as employers add 211,000 jobs; unemployment rate falls to 4.4%
Solid job growth returned last month as the labor market rebounded from what appears to have been a steep weather-related March slowdown, the Labor Department said Friday.
The U.S. economy added 211,000 net new jobs in April, up sharply from a downwardly revised 79,000 the previous month that was the weakest showing since last spring.
The report signals that the overall economy is poised for stronger growth after an anemic first quarter.
The unemployment rate dropped to 4.4% in April, its lowest level in nearly a decade.
Wages also improved. Average hourly earnings were up 7 cents to $26.19 after a downwardly revised 2-cent increase in March. For the year ended April 30, wages were up 2.5%.
Job growth last month was fueled by the service sector.
Leisure and hospitality employers added 55,000 net new jobs, up from 9,000 in March. Healthcare and social assistance payrolls swelled by 36,800 in April after a 16,400 increase the previous month.
And retailers reversed a recent trend of job losses, adding 6,300 net new positions after cutting payrolls by 27,400 in March.


この後、カリフォルニア州のローカルな雇用の話題などが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ゴールデンウィーク中ですので、簡単に済ませたいと思います。非農業部門雇用者数の前月差伸びについて、市場の事前コンセンサスは+185千人くらいといわれていたんですが、それを上回って211千人増でした。加えて、失業率がさらに下がって4.4%を記録しています。サブプライム・バブル崩壊直前の水準まで低下したことになります。次の米国連邦公開市場委員会(FOMC)は6月13-14日に開催予定ですが、もう一回米国雇用統計の公表がありますので、5月の雇用統計を見極めつつ利上げの判断がなされるものと多くのエコノミストは理解しています。直感的には、利上げの可能性の方がやや高いんではないかと私は受け止めています。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象ながら、もう一段の加速が見られません。ただ、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ政権の経済政策次第では上昇率が加速する可能性もなしとしません。
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2017年05月02日 (火) 21:07:00

東洋経済オンラインによる都道府県別「未婚率上昇率」ランキングやいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、4月28日付けで東洋経済オンラインから都道府県別「未婚率上昇率」ランキングが明らかにされています。絶対的な未婚率も去ることながら、未婚率の上昇、すなわち、1980年から2015年までの期間で、どの程度未婚率が上がったか、にも着目しています。ということで、下の日本地図の画像は生涯未婚率上昇率マップを東洋経済オンラインのサイトから引用しています。

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続いて、東洋経済オンラインのサイトから都道府県別生涯未婚率上昇率ランキングを引用すると以下の通りです。北国、というか、東北地方やいわゆる過疎地域の多そうな印象のある県が未婚率の上昇が大きく、東京都・神奈川県や近畿圏の京阪神はそれほど未婚率が上昇していないように見えます。ただ、もともと1980年時点での未婚率に差があったのかもしれません。私の専門外ですので、よく要因はわかりませんが、確かに、東洋経済オンラインが主張するように、「青森で16倍! 北日本で密かに進む未婚化の怪」が正しいのかもしれません。

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2017年05月01日 (月) 21:26:00

帝国データバンクによる「人材確保に関する企業の意識調査」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先月4月20日付けで帝国データバンクから「人材確保に関する企業の意識調査」と題する調査結果が明らかにされています。pfdの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の要旨を引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人材採用のための新たな取り組みを行っている企業は、全体の72.2%(10,082社中7,281社)と高水準。このうち、最も多くの企業が行っている取り組みは「賃金体系の見直し」(46.6%)となり、規模別では、規模が小さいほど高い割合となった。
  2. 企業が求める人材像のトップは「意欲的である」(49.0%)となり、約半数の企業から支持された。第2位は「コミュニケーション能力が高い」(38.6%)、第3位は「素直である」(32.2%)が続いた。人物像類型(「能動型人材」「協働型人材」「変革型人材」「地力型人材」の4つ)別で見ると、第2位の「コミュニケーション能力が高い」、第3位「素直である」を含む「協働型人材」に類型される人物像を選択する企業が多かった。


要旨の第2点は私の興味の範囲外ですので無視するとして、第1点でやはり「賃金体系の見直し」という表現で賃上げをアジェンダのセットしなければ人材確保が難しい段階まで、ようやく労働市場が完全雇用に近づいたと実感しています。取り急ぎ、人材確保のための取り組みについて、リポートのテーブルのデータを基にしたグラフは以下の通りです。

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実に、雇用の質的な改善について、賃金引き上げだけでなく、長時間労働の抑制をはじめとして、政府が取り組んでいる働き方改革のメニューがずらりと並んでいます。少子化による人口減少のために労働市場の逼迫度が増しており、賃上げとともに働き方改革が大いに進む条件が整備されています。政府の後押しも十分、なのかもしれません。
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2017年04月28日 (金) 23:26:00

いっせいに公表された政府統計の経済指標をレビューする!

本日、経済産業省から3月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。各統計の主要な結果を並べると、鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比▲2.1%の減産、小売業販売額は前年同月比+2.1%増の12兆5430億円、失業率は2.8%と前月と同水準で、有効求人倍率は前月からさらに低下してで1.45を記録し、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.2%と3か月連続でプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、3月は2.1%低下 半導体関連の生産減で
経済産業省が28日発表した3月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.1%低下の99.6となった。2カ月ぶりの低下となり、QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.0%の低下)を下回った。半導体製造装置やメモリーなどの生産低下が指数の主な押し下げ要因となった。
経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。3月単月では低下に転じたものの、17年1~3月期では前期比0.1%上昇の99.9と4四半期連続のプラスとなった。
3月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から低下し、4業種が上昇した。汎用・生産用・業務用機械工業が6.3%低下、電子部品・デバイス工業が4.8%低下した。一方で、パルプ・紙・紙加工品工業は1.7%上昇した。
出荷指数は前月比1.1%低下の98.1だった。在庫指数は1.6%上昇の109.8だった。在庫率指数は0.5%上昇の111.9となった。
4月の製造工業生産予測指数は前月比8.9%の上昇。汎用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業などが伸びる。経産省による補正済みの試算値では5.3%程度の上昇を見込むが、実現すれば消費増税前の駆け込み需要が発生した14年1月実績(103.2)を超え、リーマン・ショック後では最高となる見通し。5月の予測指数は3.7%の低下を見込んでいる。
3月の小売販売額、2.1%増 自動車販売で新型車効果続く
経済産業省が28日発表した3月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.1%増の12兆5430億円だった。5カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では、新型車効果の続く自動車小売業の寄与度が大きく、前年同月と比べ8.9%増えた。原油価格の回復に伴う石油製品の価格上昇で燃料小売業も14.8%増加した。ドラッグストアの新規出店効果や化粧品販売が引き続き好調な医薬品・化粧品小売業は3.3%増となった。
一方で、前年に比べ気温が低く推移したことから春物衣料の動きが鈍く、織物・衣服・身の回り品小売業が4.4%減少した。百貨店などの各種商品小売業も3.1%減となった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.9%減の1兆6311億円だった。既存店ベースでは0.8%減となった。両業態で衣料品が前年同月を5.2%下回った。飲食料品の販売も減少した。コンビニエンスストアの販売額は3.2%増の9698億円だった。
求人倍率 バブル期並み 3月1.45倍、26年ぶり
人手不足が一段と強まり、雇用に関する指標が改善している。厚生労働省が28日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.45倍で、バブル期の1990年11月以来26年ぶりの水準。総務省発表の完全失業率(同)も前月と同じ2.8%と低水準だった。ただ家計の節約志向は根強く、消費はなお勢いを欠き、物価も低迷している。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。3月は3カ月ぶりに上昇した。正社員の有効求人倍率は0.94倍で2004年に統計を取り始めて以来最高だった。1倍を下回っており、今なお求人の方が求職より少ない状態。企業は長期の視点で人手を確保するため、正社員の求人を増やしている。
職業別に見ると、建設業は3.61倍、飲食などサービスは3.05倍だった。IT(情報技術)など「専門的・技術的職業」も2.04倍に達した。硬直的な労働市場で雇用のミスマッチを解消しにくく「人手不足が成長の制約になりかねない」との声もある。
3月の新規求人は前年同月比6.5%増えた。このうち、運輸・郵便業が12.2%増と大幅に伸びた。厚労省は「大手企業が求人を多く出している」と指摘。ヤマト運輸などを中心に労働環境の改善を進め、その分だけ求人を増やしているとみられる。20年の東京五輪需要が出ている建設業は11.7%、世界経済の回復で生産が持ち直す製造業も11.0%それぞれ増えた。
完全失業率は前月と横ばいだったが、3%台前半とされるミスマッチ失業率(求人があっても職種や年齢、勤務地などの条件で折り合わずに起きる失業率)を下回った。働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にあるといえる。
男女別にみると、男性が2.8%、女性が2.7%だった。男性は失業者が減り、就業者が増えたことで、1995年5月以来21年10カ月ぶりに3%を割り込んだ。総務省は「求人の増加が男性の正社員としての就労に結びついている」とみている。男女合わせた雇用者(原数値)のうち正社員は前年同月より26万人増えた。非正規社員(17万人増)よりも伸びが大きかった。
失業者は188万人と前年同月に比べて28万人減った。自営業を含めた就業者は6433万人。パート賃金の上昇などを背景に、これまで職探しをしていなかった主婦層や高齢者が働き始めたことで、69万人増えた。
3月の全国消費者物価、0.2%上昇 16年度では4年ぶり下落
総務省が28日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.8と、前年同月比0.2%上昇した。プラスは3カ月連続。ガソリン、電気代などエネルギー価格の上昇が寄与した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.3%上昇)は下回った。
生鮮食品を除く総合では全体の57.2%にあたる299品目が上昇し、165品目が下落した。横ばいは59品目だった。
生鮮食品を含む総合は99.9と0.2%上昇した。イカなど生鮮魚介の価格高騰が続き、指数を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.4と、0.1%下落した。2013年7月以来、44カ月ぶりの下落。携帯端末の価格下落が響いた。
2016年度のCPIは、生鮮食品を除く総合が99.7となり、15年度に比べ0.2%下落した。下落は4年ぶりとなる。
併せて発表した東京都区部の4月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.8と、前年同月比0.1%下落した。下落は14カ月連続。通信費や家賃、ガス代の下落が響いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は、次の商業販売統計や雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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繰り返しになりますが、3月の生産は季節調整済みの系列で前月から▲2.1%の減産となり、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲1.0%でしたので、かなり大きなマイナスと受け止めています。ただし、レンジは▲2.1%~+0.5%でしたので、レンジを突き抜けたというわけではありません。また、これも引用した記事にある通り、四半期でならして見ると、ほぼ横ばいながら、1~3月期では前期比+0.1%の増産となっています。さらにさらにで、製造工業生産予測指数では4月の生産計画について前月比+8.9%増と大幅な上昇を見込んでいます。アッパーバイアスを除いても、4月の増産は+5%を超える可能性もありますので、ジグザグした動きながらも、3月のマイナスは軽くクリアしてお釣りが来る勘定なのかもしれません。ただ、製造工業生産予測調査では5月は再び▲3.7%の大きな減産と見込まれており、そのあたりも総合的に勘案して、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いています。財別の出荷は3月に関しては冴えない結果に終わりました。ただ、先行きについては、生産・出荷は底堅く推移すると見込んでいます。即ち、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ需要に加え、耐久消費財については家電エコポイント導入時に購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えていますし、消費増税前の駆け込み需要の悪影響も剥落しつつあります。外需についても、米国向け輸出は増勢が一段落しているものの、欧州向けや中国をはじめとするアジア向けの輸出は好調を維持しています。他方、下振れリスクとしては、エコノミストにはわけが判らない北朝鮮に関する地政学的なリスクがあります。私のようなシロートの目から見ても、いよいよ末期症状に見えるんですが、何がどうなるかは私の予想を超えそうな気がします。知り合いの友人の表現ながら、北朝鮮は昔から瀬戸際外交を繰り広げているんですが、最近ではトランプ米国政権も瀬戸際外交に近いんではないか、と言っていたりしました。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。GDPベースの消費の代理変数となる小売業販売は季節調整していない原系列の前年同月比で+2.1%増、季節調整済みの系列の前月比でも+0.2%増と、昨年半ばあたりから堅調に推移しています。引用した記事にもある通り、新型車の投入による自動車売上げの増加の効果が大きく、逆に、天候条件から気温が上がらず、春もの衣料品の売り上げは伸びなかったようです。ドラッグストアの販売が伸びているのは、下火になったとはいえ、インバウンド消費の貢献も少なくないと私は受け止めています。小売売上の先行きについては、雇用がとても堅調な一方で、量的な完全雇用に質的な賃上げが伴っておらず、先行き不透明ながら、基本的には雇用の不安が低下し消費は増加する方向にあると考えています。繰り返しになりますが、家電エコポイント導入時に購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えていますし、消費増税前の駆け込み需要の悪影響も剥落しつつあり、緩やか小売り売上げは増加するものと見込んでいます。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済以降くらいの人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。私自身の直観ながら、失業率が3%を下回ると賃金上昇が始まると予想していたんですが、一昨日の取り上げたリクルートジョブズの派遣スタッフの時給調査結果に表れているように、派遣労働者の時給は人手不足と言われつつもむしろ下がり始めています。労働需要サイドで、デフレ経済下で安価な労働力に依存していた低生産性企業が退出し非正規雇用への需要が低下したのかもしれませんし、あるいは、労働供給サイドで、デスキリングが広範に生じているのかもしれません。たぶん、どちらも違うんだろうという気がしますが、素直に人手不足で賃金が上昇する世界がとても遠く感じてしまいます。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、ようやく、国際商品市況の石油価格の底入れから上昇に従って我が国の物価も上昇に転ずる、との結果となっています。上のグラフでは積上げ棒グラフの黄色がエネルギー価格の寄与なんですが、2月CPIからプラス寄与に転じています。ただ、石油価格下落の影響はこの先もまだ物価に波及を続ける可能性があり、上のグラフでも食料とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率が低下してマイナスに転じているのが見て取れます。従って、先行きのコアCPI上昇率がこのまま一直線でプラス幅を拡大するかどうかは楽観できないと受け止めています。特に、現在の物価上昇はエネルギー価格の上昇に支えられており、コアCPIの前年同月比上昇率+0.2%のうち、エネルギーの寄与度が+0.3%近くに達します。すなわち、エネルギーを除けば物価はまだ水面下にあるとさえいえます。しかも、東京都区部ではヘッドライン、コアともにいまだにマイナスを続けています。人手不足にもかかわらず賃金が上がりませんので、サービス物価の上昇は鈍いままであり、昨日「展望リポート」を公表した日銀の物価見通しも、公表されるたびごとに物価上昇率は下方修正し、2%のインフレ目標達成は先送りされています。私はリフレ派のエコノミストとして、まずはデフレ脱却と考えていて、ほぼデフレは終了しつつあると認識していますが、2%のインフレ目標はかなり遠そうな気もします。
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2017年04月27日 (木) 20:11:00

久々に景気拡大と表現した日銀「展望リポート」の経済見通しやいかに?

昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合ですが、景気判断は9年振りに「拡大」の表現を用いたものの、金融政策は現状維持、というか、追加緩和なしで終了し、「展望リポート」が明らかにされています。下のテーブルは、「展望リポート」の基本的見解から2016-2018年度の政策委員の大勢見通しを引用しています。1月時点からはかなり上方修正されたんですが、インフレ目標である+2%の達成は、引き続き、「見通し期間の中盤(2018年度頃)になる可能性が高い」とされています。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2016年度+1.4~+1.4
<+1.4>
▲0.3
 1月時点の見通し+1.2~+1.5
<+1.4>
▲0.2~▲0.1
<▲0.2>
 2017年度+1.4~+1.6
<+1.6>
+0.6~+1.6
<+1.4>
 1月時点の見通し+1.3~+1.6
<+1.5>
+0.8~+1.6
<+1.5>
 2018年度+1.1~+1.3
<+1.3>
+0.8~+1.9
<+1.7>
 1月時点の見通し+1.0~+1.2
<+1.1>
+0.9~+1.9
<+1.7>
 2019年度+0.6~+0.7
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.4>
+0.9~+2.0
<+1.9>


ざっと見て、GDP成長率が小幅に上方修正されている一方で、物価見通しは小幅に下方修正されています。最後に、日銀政策委員人事については、広く報じられている通り、政府から片岡剛士氏と鈴木人司氏を充てる人事案を国会に示しています。片岡氏はシンクタンク出身でリフレ派エコノミストとして金融緩和に積極的な一方で、鈴木氏は銀行出身ということもあり場合によっては金融緩和にどこまで積極的かには疑問が残ります。ただ、今日までの金融政策決定会合においても、後退する現在の木内委員と佐藤委員は議案に一貫して反対票を投じており、2人の委員が入れ替わったとしても、現在の黒田総裁以下の執行部による金融政策運営の方向性に大きな変更はないものと私は考えています。
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2017年04月26日 (水) 21:22:00

リクルートジョブズの派遣スタッフの募集時平均時給はまだ下がるのか?

明後日の今週金曜日に失業率や有効求人倍率などの雇用統計が、鉱工業生産指数(IIP)と消費者物価指数(CPI)などとともに公表される予定となっていますが、しばしば取り上げているリクルートジョブズの非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の3月の調査結果が明らかにされています。リンク先は以下の通りです。


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ということで、アルバイト・パート及び派遣スタッフそれぞれの募集時平均時給の推移は上のグラフの通りです。前者のアルバイト・パート順調に賃上げがなされているんですが、派遣スタッフについては3月統計ではとうとう前年同月比で▲2%を超えるマイナスを記録しました。金額としての絶対水準が高いとはいえ、首都圏では派遣スタッフ時給は3月に1,663円と前年同月から▲50円の低下となっています。三大都市圏のほか東海圏は前年比プラス、関西圏は首都圏と同じで前値比マイナスです。なお、リクルートジョブズ以外では、エン・ジャパンも同じように、「2017年3月度の派遣平均時給は1,535円、6ヶ月連続で前期比マイナス」と題して、前年同月比▲2.1%とリポートしています。ただ、エン・ジャパンはリクルートジョブズと違って、三大都市圏すべてで前年比マイナスとなっています。また、エン・ジャパンではリクルートジョブズと同じ三大都市圏以外での派遣スタッフの時給を明らかにしており、3月の派遣時給を全国的に見ても、北信越が前年比でプラスを記録しているだけで、ほかの北海道、東北、中国・四国、九州・沖縄はすべてマイナスとなっています。ですから、派遣時給の低下はほぼ全国的な広がりを持っていると見てよさそうです。
派遣の時給が下がり始めた昨年9-10月ころには、日経新聞の記事などに見られる通り、時給の高い職種の下落が影響しているんではないか、との見方が一般的でしたが、人手不足の中で派遣事業が拡大し過当競争に陥って派遣スタッフの時給にしわ寄せがきている可能性もなくはないんではないかと私は考えています。それとも、企業サイドで派遣募集を控えて正規職員募集に切り替える方向にあるほどは、労働者サイドで正規職員募集に対応しきれず、その分、派遣スタッフの需給が企業サイドの買い手市場に傾いているんでしょうか。私なんぞも貧弱なメディアながら、あれほど正規職員の増加を訴えて来たんですから、そんなことはないとは思うものの、いずれにしても、かなり不思議な現象です。
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2017年04月25日 (火) 19:29:00

高い伸びを維持する企業向けサービス物価(SPPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、日銀から3月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.8%と、徐々に上昇幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 人手不足受け
日銀が25日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.9で、前年同月比0.8%上昇し、45カ月連続で前年を上回った。前月比も0.6%上昇した。消費増税の影響を除いたベースでは前年同月比で0.9%上昇と、比較可能な01年度以降で最も大きい伸びとなった。
土木建築サービスが首都圏での再開発の進展に伴い上昇した。交通誘導警備が人手不足を受けた人件費上昇を背景に伸びたほか、道路貨物輸送もドライバーの確保が難しく需給が引き締まるなかで値上げが進んだ。インターネット広告は化粧品や日用品メーカーを中心に出稿意欲が旺盛で、価格の上昇につながった。日銀の調査統計局は「人手不足に伴うサービス価格の上昇がやや目立ち底堅いが、力強さに欠ける分野もある」と説明した。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは65、下落した品目は42で、上昇品目数は下落品目数より23品目多かった。
同時に発表した16年度の価格指数は103.2と、前年度比0.4%上昇した。上昇は4年連続。土木建築サービスや事務所賃貸が伸びた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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2月統計から3月統計にかけてSPPIの動きが小さく、前年同月比上昇率も+0.8%で上昇幅も大きな変化ありませんでした。統計の大分類の7項目、すなわち、金融・保険、不動産、運輸・郵便、情報通信、リース・レンタル、広告、諸サービスのいずれも、2月から3月にかけての上昇率はそれほど大きな変化は見られず、広告が2月+3.0%上昇に続いて、3月も+2.5%上昇、さらに、諸サービスが2月+1.0%に続いて3月+1.1%上昇といったあたりが高い伸びを示しています。
SPPIの今後の見通しについては、人手不足に伴ってさらに上昇率が加速する可能性があると私は考えています。例えば、2月10日に公表された国土交通省のプレスリリース「平成29年3月から適用する公共工事設計労務単価について」によれば、今年の3月1日から適用される公共工事設計労務単価は全国全職種単純平均で対前年度比+3.4%の引き上げとなるとしていますし、私が見た本日付けの日経新聞朝刊の1面トップは「ヤマト、値上げ 5~20% 消費者向け27年ぶり」と題した記事で、働き方改革や人材の確保に充てるため宅配便で5割のシェアを握るヤマトが消費者向けの宅配便の基本運賃を5~20%引き上げる方針を固め、インターネット通販会社など割引を適用する大口顧客にはさらに大きい値上げ率を求める、と報じられています。さらに、一般的なうわさ話の域を出ないものの、景気回復・拡大が長期化する中で、特に東京のオフィス需給がひっ迫して賃貸料が上昇しているといいます。ヤマトの価格改定はまだ先かもしれませんが、4月は価格改定のシーズンでもあり、企業向けサービス物価(SPPI)の動向が、その川下の消費者物価(CPI)などとともに気にかかるところです。
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2017年04月21日 (金) 20:58:00

発足から3か月近くを経た米国トランプ政権に対する米国民の評価やいかに?

米国での政権交代から3か月近くが経過し、私がよく参照しているピュー・リサーチ・センターから Public Dissatisfaction With Washington Weighs on the GOP と題して、米国の政権、政党、議会に対する世論調査結果が今週月曜日の4月17日に明らかにされています。取りあえず、トランプ政権に対する評価について、歴代の政権と比較しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Early job approval ratings for recent presidents と題するグラフを引用しています。1981年に就任したレーガン元米国大統領から最近6人の米国大統領の就任直後の2月時点での支持率(Approve)と、その2-3か月後の4月ないし5月時点での評価を並べたグラフです。見れば明らかなんですが、現在のトランプ米国大統領は最近の歴代米国大統領に比較して就任直後の2月時点でもともとの評価が低かった上に、4月時点でもわずかに不支持(Disapprove)が減少しただけで、それほどの支持の拡大が見られません。しかも、不支持が支持を上回っており極めて異例な状態となっています。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Demographic differences in views of Trump's job performance と題するグラフを引用しています。性別、人種別、年齢別、学歴別などのトランプ米国政権の支持と不支持をプロットしています。これも見れば明らかで、従来からの傾向と変わらず、女性より男性の支持が高く、白人の支持が高く、大雑把に、年齢が高いほど、また、学歴が低いほど支持が高い、という結果が示されています。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisan gap in Trump approval ratings much wider than for recent presidents と題するグラフを引用しています。現在のトランプ政権の特徴は2点あり、ひとつは支持率が39%と歴代米国政権よりかなり低いことです。もうひとつは与党共和党と野党民主党の間の支持の差が極めて大きく、米国が党派別に分断されかねない状況にある点です。他方、強力なリーダーシップが発揮しにくい状況ともいえますが、逆に、強力なリーダーシップを発揮して欲しくないと考える米国民も少なくなさそうだったりします。何ともビミョーなところです。

いうまでもなく、米国は我が日本の同盟国であるだけでなく、世界の政治経済に大きな影響を及ぼすわけですから、引き続き、現在のトランプ政権の動向が注目されます。
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2017年04月20日 (木) 22:13:00

貿易統計に見る輸出はいよいよ拡大局面に入ったか?

本日、財務省から3月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+12.0%増の7兆2290億円、輸入額は+15.8%増の6兆6143億円、差引き貿易収支は+6147億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易黒字、6年ぶり 16年度4兆円、震災後で初 3月輸出は12%増
財務省が20日発表した3月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出は前年同月比12.0%増の7兆2291億円で、リーマン・ショックのあった2008年9月以来の水準となった。中国向けの液晶デバイスなどがけん引し、アジア向けの輸出額が過去最高を記録した。2016年度の貿易収支は4兆69億円の黒字で、東日本大震災の前年にあたる2010年度以来、6年ぶりに黒字を確保した。
足元の輸出は好調だ。中国向けは、前年同月比16.4%増の1兆2995億円で、5カ月連続の増加。2月に春節(旧正月)休暇後の反動増があった分、減るだろうとの事前予想を覆し、過去2番目の水準になった。自動車部品や電気回路の機器などは4割増えた。中国向けに加えて、タイ向けの鉄鋼なども好調で、アジア全体では日本からの輸出額が過去最大となった。
輸出は米国・EU向けでも好調が続く。米国向けの輸出額は1兆3531億円と3.5%伸び、2カ月連続で増加した。日系企業の現地生産向け自動車部品や、原動機で2桁伸びた。EU向けはイタリアへの自動車輸出の伸びが寄与した。世界経済の追い風を受けて輸出に勢いがある。
一方、3月の輸入額は前年同月比15.8%増の6兆6144億円だった。原油市況が底入れし、サウジアラビアからの原油輸入額が増えた。オーストラリアからの石炭の輸入額が増えたことも影響した。輸出額から輸入額を引いた貿易収支は17.5%減の6147億円だった。2カ月連続の貿易黒字だが、好調な輸出を上回る輸入の伸びで、黒字額は縮小した。
財務省が同日発表した2016年度の貿易収支は4兆69億円の黒字で、東日本大震災以来、6年ぶりに黒字を確保した。東日本大震災以降は原子力発電所の停止で火力発電所向けの燃料輸入が増えていたが、原油相場の低迷と、16年度は対ドルで前年度比10%の円高になった影響で輸入額が減った。
16年度の輸出は3.5%減の71兆5247億円。米国やサウジアラビア向けの自動車、欧州向けの鉄鋼が減少した。輸入は10.2%減の67兆5179億円だった。マレーシアやカタールからの液化天然ガス(LNG)輸入額が減ったほか、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)からの原油輸入が減った。
16年度の対米の貿易黒字は6兆6294億円で、5年ぶりに減少した。大型車や鉄鋼などの輸出が減少した。トランプ政権は日本を多額の貿易赤字相手国の一つとみなす。日本から米国向けは、16年度通期で見ると自動車輸出が減り、足元ではトランプ大統領の意に沿う形で、現地生産向けの部品が伸びる構図だ。


3月のデータが利用可能になったため、どうしても年度計数に目が行きがちで長めの記事となっているものの、3月の貿易統計に関しても最近の足元での輸出の堅調ぶりを報じた内容となっており、いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、メディアで注目の年度計数ですが、震災前の2010年度から数えて6年振りに年度で貿易収支が黒字を記録しています。震災後のここ数年は原子力発電所の停止で火力発電所向けの燃料輸入が増えていたわけですが、すでに底を打ったとはいえ原油相場が低迷を続けるとともに、2016年度は対ドルで前年度比10%の円高になった影響で輸入額が減った影響が大きいと私は受け止めています。他方、輸出は足元で中国や先進国も含めて世界経済の回復ないし拡大から回復基調を続けています。ただし、引用した記事にもある通り、なぜか、対米国の貿易黒字は6兆円余りと水準は高いものの、2016年度は黒字幅が縮小しているようです。自動車輸出の減少に伴う黒字縮小であり、シェールガスやオイルの影響ではないと考えられています。3月については、引用した記事の見方とは異なり、中華圏の春節の影響で大幅な黒字となった2月の反動は、少なくとも季節調整済みの系列には着実に出ており、上のグラフの下のパネルに見られるように、季節調整済みの系列では3月の輸出額は2月から減少しています。このため、季節調整済みの系列では、2月の貿易黒字+6090億円に比較して、3月は+1722億円と急減を示しています。春節効果で大きな変動の見られる原系列ではなく、季節調整済みの系列では輸出の減少と貿易黒字の縮小が3月に観察されることは忘れるべきではありません。ですから、2016年度の貿易黒字は、ある意味では、世界経済の回復ないし拡大と我が国経済の足踏みを需要面のバックグラウンドにしていたわけですが、季節調整済み系列で見た3月統計ではそうなっていない、という点はエコノミストとしては確認しておいていいと私は考えています。我が国経済も回復ないし拡大の方向にある可能性が高いと考えるべきです。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出額はハッキリと回復ないし拡大を示しており、その背景はOECD先行指数に見られる海外経済の回復による我が国輸出への需要拡大です。

なお、まだ1月ほど先のお話ですが、5月18日には1-3月期のGDP統計1次QEが内閣府から公表される予定となっており、貿易統計の結果から考え合わせると外需寄与度は輸出拡大により1次QEにはプラス寄与になることが見込まれるんではないかと私は考えています。
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2017年04月19日 (水) 19:27:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」World Economic Outlook 第1章見通し編やいかに?

IMF世銀の4月総会を前に、日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の第1章見通し編が公表されています。

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まず、IMFのサイトから世界経済の成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。クリックすると、リポート第1章の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページ2ページだけを抽出したpdfファイルが別タブで開くようになっています。
世界経済の成長率見通しは、2017年+3.5%、2018年+3.6%と、2016年の実績である+3.1%からやや船長が加速し、また、昨年10月の「世界経済見通し」からもわずかに上方修正されています。日本の成長率見通しは、今年2017年が+1.2%と、昨年10月時点の+0.6%成長から大きく上方修正されていますが、これは過去にさかのぼった統計の見直し (a comprehensive revision of the national accounts) によるものであると明記されています。その後、2018年は+0.6%(昨年10月時点での見通しは+0.5%)成長と鈍化しますが、力強さを増すと予想される外需や東京オリンピック関連の民間投資の効果が考えられる一方で、財政面での下支えの剥落や輸入の回復により相殺されるためであると指摘しています。中長期的には労働の縮小が成長の重しとなるものの、1人当たり所得の伸び率は過去数年と同程度と見込んでいます。物価については、エネルギー価格の上昇、最近の円安、緩やかに高まる賃金圧力などによりインフレ率は高まると予想されるものの、インフレ期待が緩やかにしか高まらない中、2022年までの予測期間中の物価上昇率は日銀のインフレ目標を相当に下回って推移すると見込んでいます。

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最後に、リポートから Figure 1.20. Recession and Deflation Risks を引用すると上の通りです。先進国の中では、米国や欧州ユーロ圏よりも日本の景気後退確率とデフレ確率がグンと高い、との結果が示されています。アジア新興国がいずれもやたらと低い確率を叩き出しているのが印象的です。
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2017年04月18日 (火) 21:14:00

東洋経済オンラインによる「就職人気ランキング」やいかに?

昨日4月17日付けで、東洋経済オンラインにおいて、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が行った「企業ブランド調査」を基に「就職人気ランキング」が明らかにされています。2018年3月卒業の大学生が対象ですから、我が家の上の倅より学年でひとつ上ということになりますので、私もそれなりに注目してしまいました。東洋経済オンラインのサイトから就職人気ランキングの1-50位を引用すると下の画像の通りです。働き方改革にあわせて、あれほどバッシングされた電通もランクインしています。

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従来から人気の銀行・証券・保険などの金融機関に加えて、1位となった全日空などの旅行・輸送会社、食品会社などが目立つ気がします。私が学生のころに憧れた商社もいくつか入っています。なお、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の「企業ブランド調査」では、さらに詳細な情報が公開されています。ご参考まで。
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2017年04月17日 (月) 21:22:00

今夏のボーナスは増えるのか減るのか?

先週までに、例年のシンクタンク4社から夏季ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想ですので、ベースがかなり違っています。注意が必要です。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研36.6万円
(+0.4%)
64.7万円
(+2.6%)
今夏の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+0.4%と、夏季賞与としては2年連続のプラスとなる見込み。
背景には、2016年度下期の企業収益の底堅さ。製造業では、2016年11月以降の円安の進展、輸出の持ち直しにより、2016年度下期の収益が上振れ。非製造業でも、情報通信業などの増益を中心に、企業収益は高水準を維持する見込み。
第一生命経済研36.7万円
(+0.5%)
n.a.増加が予想されるとはいえ、伸び率自体は小幅なものにとどまる見込みである。加えて、春闘でのベースアップが昨年をやや下回る上昇率にとどまったとみられることからみて、所定内給与も伸びが鈍化する可能性がある。このように17年度も賃金の伸びが緩やかなものにとどまるなか、物価上昇率が今後高まっていくことで、実質賃金は減少する可能性があるだろう。個人消費は先行きも力強さに欠ける展開が予想される。17年度の景気は好調に推移する可能性が高いが、それはあくまで輸出の増加を背景とした企業部門主導の回復になるだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング36.8万円
(+0.9%)
64.2万円
(+1.9%)
2017年夏の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは2年連続で増加すると予測する。労働需給が引き締まる中、ボーナスを算定する上で基準とされることの多い基本給(所定内給与)が前年比で増加を続けていることに加え、足元で企業業績が改善していることもあり、一人あたり平均支給額は36万8,272円(前年比+0.9%)と増加しよう。特に製造業では、円安や内外需要の回復を背景に業績が改善しており、堅調に増加するだろう。
みずほ総研36.9万円
(+1.1%)
71.1万円
(+2.5%)
今夏の民間企業一人当たりボーナス支給額は前年比+1.1%と、前年から鈍化する見込みだ。他方で、人手不足対策としての正社員化や非正社員の待遇改善を背景に、ボーナスの支給対象者数は増加するだろう。正社員化の動きについては、2017年入り後にパートタイム比率が低下するなどの進展が見られる。非正社員についても、今春闘で処遇改善に取り組む企業が大幅に増加している。その結果、新たにボーナスが支給される対象者が増加し、民間の支給総額は前年比+4.5%と高めの伸びになると予想する。


ということで、今夏のボーナスは昨夏の伸び率は下回るものの緩やかに増加し、さらに、政府の働き方改革の後押しもあって、待遇改善が進んでボーナス支給体対象が拡大することなどから、1人当りの伸び以上にマクロの支給増額が増加すると見込まれています。国民生活の向上と安定のため、企業が内部留保をもっと上手に使うよう、私は願って止みません。
下のグラフは日本総研のリポートから、ボーナスの支給総額の推移を引用しています。

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2017年04月14日 (金) 21:19:00

2016年度上場企業の倒産はバブル期以来のゼロに!

いうまでもないことですが、3月末で2016年度が終了しており、この2016年度は上場企業の倒産が発生しなかったらしいです。東京商工リサーチと帝国データバンクの両社が以下のリポートで明らかにしています。



次に、年度別の上場企業の倒産件数と負債額のグラフを東京商工リサーチのサイトから引用すると以下の通りです。

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見れば明らかですが、バブル経済末期の1990年度以来26年振りに上場企業の倒産が発生していません。直近で最後の上場企業の倒産を振り返ると、商船三井の持分法適用関連会社であった第一中央汽船が、2015年9月29日に東京地方裁判所に民事再生法適用を申請しています。2008年のリーマン・ショックの年には45社の上場企業が倒産しているわけですし、景気後退期における何らかの意味での不採算企業の整理は次なる景気拡大期の健全性を保証するといった清算主義的な考え方も過去にはないでもなかったんですが、まずは企業倒産は避けることが出来れば避けた方がいいというのは、多くの見方と一致するわけであり、エコノミストとしてもご同慶の至りといえます。
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2017年04月13日 (木) 23:11:00

東洋経済オンラインによる研究開発費の大きい企業ランキングやいかに?

今週は少しイノベーションに関する読書をしたりしているんですが、イノベーションとの関係で注目される研究開発(R&D)費について、4月7日に東洋経済オンラインにて研究開発費の大きい「トップ300社」のランキングが明らかにされています。

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東洋経済オンラインのサイトから研究開発費が大きい会社 (1-50位) を引用すると上の通りです。桁違いの1兆円を超える研究開発費を支出するトヨタ自動車をトップに、我が国製造業を代表する名だたる企業がランクインしています。ただし、50位までを見る限り、12位の日本電信電話(NTT)を別にすれば、自動車、電機・重機、化学・薬品がほとんどで、JR東海が45位、新日鐵住金が48位に入っているだけです。ただ、画像の引用はしませんが、51位以下を見ると、51位に食品のキリンホールディングスが、56位におもちゃやゲームソフトなどのバンダイナムコホールディングスが、入っていたりします。また、私の知らない企業もあるので判然とはしませんが、非製造業の代表、というわけでもないものの、楽天が215位に入っています。
もちろん、研究開発費が多ければいいというものでもなく、中には資金負担にあえいでいる企業も含まれているのかもしれませんが、なかなか興味深いランキングです。
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2017年04月12日 (水) 22:51:00

やや足踏み続く機械受注と順調に上昇率が加速する企業物価!

本日、内閣府から2月の機械受注が、また、日銀から3月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+1.5%増の8505億円を、企業物価(PPI)のうちのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.4%を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の機械受注1.5%増 製造業で大型案件、2カ月ぶり増加
内閣府が12日発表した2月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.5%増の8505億円だった。増加は2カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予想の中央値(3.7%増)は下回った。製造業で大型案件が増えた。非製造業でもその他非製造業などで大型案件が寄与した。ただ基調には大きな変化がないとして、判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。現状の判断は2016年9月から続いている。
製造業の受注額は6.0%増の3508億円と2カ月ぶりに伸びた。需要者の業種別では、パルプ・紙・紙加工品が前月比6.3倍だった。紙パルプ事業者の自家発電向けに、大型の火水力原動機を受注した。食品製造業も生産などの設備需要で76.6%伸びた。
非製造業の受注額は1.8%増の5166億円と3カ月連続で増えた。需要者の業種別では、原子力原動機の大型受注があったその他非製造業が69.0%増と大きく伸びた。卸売業・小売業が25.7%増となったほか、運輸業・郵便業は船舶受注の寄与で22.9%増えた。金融業・保険業の回復基調は続いたが、伸び率は11.8%と前月(57.3%)から鈍化した。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」受注額(原数値)は5.6%増だった。
3月の企業物価指数、前年比1.4%上昇 前月比0.2%上昇
日銀が12日に発表した3月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.2で、前年同月比で1.4%上昇した。前年比での上昇は3カ月連続で、上昇率は前月(1.1%)から拡大した。消費増税の影響を除くと14年7月(1.5%)以来2年8カ月ぶりの大きさだ。前月比では0.2%の上昇だった。プラントの定期修理で供給が減った石油製品の上昇が目立ったほか、燃料費の増加で電力価格も上がった。
円ベースの輸出物価は前年比で3.7%上昇し、前月比では0.3%上げた。中国の需要増加を受けてパラキシレンなどの化学製品の価格が上がった。半導体需要の増加を背景にシリコンウエハも値上がりした。
輸入物価は前年比で12.5%上昇し、14年1月(12.7%)以来3年2カ月ぶりの大きさだった。前月比は1.0%上昇。国際市況の回復で原油やナフサの価格が上昇した。中国で電気自動車(EV)の生産が旺盛でリチウムイオン電池に使われるコバルト地金なども値上がりした。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している746品目のうち前年比で上昇したのは286品目、下落は386品目だった。上昇と下落の品目差は100品目で、2月の確報値(132品目)から縮小した。
日銀の調査統計局は「人材不足が人件費の上昇につながるなかで、価格の転嫁が進むか注目している」との見方を示した。


とても長くなったものの、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した記事にも見られる通り、統計からだけでは読み取れないんですが、記者発表などの場でイレギュラーな大型受注が見られた旨の事実が明らかにされているようです。もしそうであれば、機械受注の2月統計での前月比プラスはサステイナブルではない可能性があり、統計作成官庁の内閣府で基調判断を「、持ち直しの動きに足踏み」で据え置いたのも理解できるところです。パルプ・紙・紙加工品の前月比+533.9%増、食品製造業の+76.6%増などが目立っています。コア機械受注の1-3月期見通しは前期比で+1.5%増だったんですが、3月統計で+10%が必要らしく、エコノミストの間では、この見通し達成は必ずしも可能性が高いとは考えられていません。ただ、先日取り上げた3月調査の日銀短観では、設備の不足感が強まっているとともに、設備投資計画が従来の日銀短観に比べて強気に出ていた点を考慮すれば、機械受注は設備投資の先行指標として先行き緩やかなに伸びるんではないかと期待しています。加えて、世界経済の回復とともに輸出が拡大する可能性が高い点も設備投資の増加をサポートするものと私は考えています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、1月の国内物価前年同月比上昇率が久し振りにプラスに転じて+0.5%を記録したと思ったら、2月は早くも+1.1%、さらに、3月は+1.4%に達しています。何とも、エネルギー価格の大きな影響力の前に、旧来派の日銀理論家とは違う観点から、金融政策の無力さを感じてしまうのは私だけでしょうか。国内物価の品目別に見ると、石油・石炭製品をはじめ、非鉄金属、鉄鋼などの素材も大きな上昇率を示しています。しかし、電気機器や情報通信機器や輸送用機器といった我が国の主要輸出産業の製品群はまだ前年比で下落を続けており、国際商品市況における石油価格の上昇の波及はこの先も続くんだろうと私は考えています。ただし、上のグラフのうちの上のパネルでも、スロープは輸入物価、輸出物価、国内物価の順でスティープになっていますが、この傾きでこのまま長らくに渡って物価上昇が加速するわけもなく、国際商品市況における石油価格動向次第とはいえ、今年半ばくらいまでには傾きがフラットになる可能性が高いと理解しています。
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