2011年10月31日 (月) 19:47:00

社会保障給付と全国消費実態調査に見る手厚い高齢層への給付

先週金曜日、10月28日の政府統計の集中発表日に、コッソリと、というわけでもないんでしょうが、国立社会保障・人口問題研究所から「平成21年度社会保障給付費」が発表されています。国立社会保障・人口問題研究所のサイトには全文リポートもアップされていますが、まずは、概要メモからポイントを3点引用すると以下の通りです。

平成21年度社会保障給付費(概要)
(1) 平成21年度の社会保障給付費は99兆8,507億円であり、対前年度増加額は5兆7,659億円、伸び率は6.1%である。
(2) 社会保障給付費の対国民所得比は29.44%となり、前年度に比べて2.70%ポイント増加している。
(3) 国民1人当たりの社会保障給付費は78万3,100円で、対前年度伸び率は6.3%である。


上の(1)と(3)で明らかなように、成長率がほぼゼロであるにもかかわらず、社会保障給付費は6%を超える伸びを記録しており、その結果、(2)にある通り、社会保障給付費の対国民所得比、あるいは、対GDP比でもほぼ同じだと考えられますが、この比率はかなり大きくなっています。従って、次の調査では100兆円を超えるのがほぼ確実と考えられます。もちろん、これには高齢化の進展が大きな要因となっているわけですが、社会保障給付に歯止めがかからない現状がよく表れています。他方、保険料については少子化の影響も決して無視できませんが、日経新聞の報道にある通り、前年比で▲3.5%減となっています。

政策分野別社会保障支出の国際比較


上のグラフは国際比較について、「平成21年度社会保障給付費」全文リポートの p.40 のデータを少し私なりに整理してグラフにプロットしたものですが、実は、基準年が2007年ですので昨年11月16日付けのエントリーとまったく同じグラフとなっています。ですから、私の感想も同じなんですが、日本の社会保障給付は世界的に見ても圧倒的に「高齢」分類に割り当てられており、「家族」分類が極めて貧弱になっています。「高齢」分類に振り向けられる社会保障給付はGDP比で見て北欧の高福祉国であるスウェーデンを上回っている一方で、「家族」分類は低福祉国と目される米国をわずかに上回っているに過ぎないのが統計で確かめられます。「高齢」分類と「家族」分類が10倍の開きを持っているのは世界でもめずらしいのかもしれません。

全国消費実態調査に見る年齢階級別の再配分効果


例えば、上のグラフは本日発表された全国消費実態調査の各種係数及び所得分布に関する結果について要約リポートの p.4 から引用していますが、年齢階級別に所得の不平等度を表すジニ係数が所得の再分配でどのように改善されたかを示しています。30歳未満や30-49歳の勤労世代では改善幅は極めて小さく、逆に、65歳以上の引退世代では所得再分配効果が極めて大きいことが読み取れます。しかも、1999年から2004年にかけて65歳以上引退世代の所得再分配効果は強化されています。どの階層に社会保障給付が回されているかを如実に表していると考えるべきです。先週10月24日付けのエントリーで「日を改めて」と先送りしてしまいましたが、同日付の日経新聞経済教室の白波瀬教授の「現役世代の再配分強化を」と題する論考もまったく同じ問題意識に基づいていると私は受け止めています。

給付水準(所得代替率)の政府見通しと実績


本日最後のグラフは日経新聞のサイトから引用していますが、このサイトにアクセスするためには何らかの無料の登録を要求されるようです。悪しからず。それはともかく、グラフが何を表しているかというと、前の自民党と公明党の連合政権下で、デフレに伴う物価調整をしなかった結果、年金が6年間で15兆円もの過払いになっている実態があり、その結果、年金の給付水準が所得代替率で見て、政府の見通しとは逆に上昇してしまっていることが読み取れます。小泉内閣での2004年度の年金改革がまったく反故にされています。
当然ながら、ここまで高齢の引退世代を優遇する背景はシルバー・デモクラシーです。そもそも人口が多い引退世代がさらに投票率が高いんですから、選挙における得票に対する影響力は圧倒的です。政治家が勤労世代よりも引退世代からの得票を期待した政策を取れば、このような結果になるというお手本のような政策です。時間を通じたダイナミックな最適化に明らかに失敗している「政府の失敗」を回避する方法は現時点で私にも考えつきません。

最後に、社会保障給付から離れて、本日午前、政府は為替介入を実施しました。何度もこのブログで主張している通り、タイトな金融政策とルーズな財政政策の組合せによってもたらされた円高を暴力的な市場介入により是正しようとするものですが、最後に2点だけ主張しておきたいと考えます。第1に、介入前までの円高は安住財務大臣の発言にあったような「投機」に基づくものかどうか私は疑問に感じています。金融市場での実に素直な取引に基づく結果のように見えますから、この均衡点を修正したいのであれば何らかの強力な政策が必要です。介入という解答なのかもしれません。第2に、「中央銀行の独立」を履き違えたため、タイトな金融政策がどうしようもないなら、大規模な介入と非不胎化政策の組合せが、介入の規模にもよるものの、金融緩和と同じ効果を持つ可能性があります。これは「中央銀行の独立」を誤解した政府のコストです。ですから、「中央銀行の独立」を正しく理解していれれば、このコストは不要だった可能性があります。
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2011年10月30日 (日) 17:23:00

第52回神田古本まつりに出かける

第52回 東京名物神田古本まつり


上の写真の通り、今日は午後から第52回 東京名物神田古本まつりに出かけました。前にも何度か出かけたことがあり、今日出かけたのは何か特別のお目当ての本があったわけではないんですが、ついフラフラと出かけました。「東京名物」と銘打たれていますが、これだけ大規模な青空古本市は、確かに、地方では不可能かもしれませんから、「東京名物」と称するのも理解できます。
私は靖国通り沿いから入りました。販売店が出店しているわけではなく、出版社が出店しています。ですから、大手出版社から名前を聞いたこともない出版社まで、いろいろと特色ある本が並びます。私が特に足を止めたのは書道関係の書籍を出している出版社が軒を連ねている、というか、テントを連ねている一角です。二玄社のような書道出版社としては有名な会社のテントから、不勉強な私は名も知らぬ出版社まで、また、出版社の範疇に入るかどうか、全国に200あるとも500あるともいわれる書道会のうち、月刊誌などを発行しているいくつかの有名書道会もテントを連ねていました。私が属していたのは青硯会だったんですが、誠に残念ながら見当たりませんでした。お手本集のような本に手が伸びたんですが、最近は筆も握っていないので諦めました。

もう少しゆっくり見たかったんですが、雨で早々に引き上げてしまいました。11月3日まで開催中ですので、もう一度チャンスがあれば出かけるかもしれません。
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2011年10月29日 (土) 17:56:00

映画「ツレがうつになりまして。」を見に行く

「ツレがうつになりまして。」ポスター


今日は午後から映画を見に行きました。上のポスターの通り、「ツレがうつになりまして。」です。一昨年のNHK大河ドラマ「篤姫」と同じキャストの宮崎あおいさんと堺雅人さんが夫婦を演じます。
夫婦のうち、主人公は宮崎さん扮する奥さんで売れない漫画家、堺さん扮する亭主はツレと呼ばれて、外資系のサラリーマンをしています。夫婦とイグアナの3人家族(?)、途中からカメも加わった4人家族(?)で、タイトルの通り、ツレが心因性のうつ病に罹患し、主人公から「会社辞めないと離婚する」と告げられて、うつ病にゆったりまったりと付き合い始める、というストーリーです。うつ病で電車に乗れず、電話もかけられず、という状態から「ガンバらない」をスローガンに、マンガ家の奥さんのプロダクションの在宅勤務まで復帰するプロセスが描かれています。うつ病といえば、私のようなシロートはついつい自殺を思い浮かべてしまいますが、治りかけの段階での自殺未遂も重くならないように軽く扱われています。あくまで「フィクション」なんでしょうが、何らかの事実のバックグラウンドがあることを想像させます。

取り上げ方によっては重くなりがちな題材を軽妙に進めていて、うつ病という病気にそれほど理解がない私なんかにも啓蒙的になるようにうまく出来ています。特に印象的な映画ではありませんし、大作でもなく、立派な賞を取るようなヒットになる予感もありませんが、見ておいてソンはないような気がします。
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2011年10月28日 (金) 19:49:00

政府統計集中発表日に見る景気腰折れの可能性

今日は政府統計の集中発表日でした。まず、経済産業省から鉱工業生産指数が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局の消費者物価が、それぞれ発表されています。いずれも9月の統計です。生産が大きく減産に転じた一方で、雇用統計は極めて緩やかながら改善を示しました。物価は大きな変動は見られません。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

9月の鉱工業生産指数4.0%低下 6カ月ぶりマイナス
経済産業省が28日発表した9月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整済み)速報値は、89.9と前月に比べ4.0%低下した。マイナスは6カ月ぶり。自動車を中心とした東日本大震災後の急回復が一服し、円高進行や世界景気後退の影響が出始めた。先行きはタイ洪水による減産も予想され、経産省は基調判断を「横ばい」に下方修正した。
9月は全業種がマイナスだった。輸送機械工業は5カ月ぶりの6.0%低下。北米向けの普通自動車などが減った。「生産計画通り」(経産省)ではあるものの、5月以降続いてきた生産回復の流れは一休みになった。
機械部品の一部で円高の影響による生産減が出始めたほか、半導体製造装置や太陽電池モジュールも欧米やアジア向けの生産が減った。
この日発表した製造工業生産予測調査によると、10月は2.3%、11月は1.8%それぞれ上昇する見込み。ただタイ洪水の影響は予測に反映されておらず、先行き不透明感もある。
7-9月の鉱工業生産指数は5四半期ぶりの上昇で、前の期に比べ4.1%増の92.2だった。
9月の失業率、4.1%に 0.2ポイント改善
総務省が28日発表した9月の完全失業率(季節調整値、全国ベース)は4.1%となり、前月に比べて0.2ポイント改善した。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率も0.67倍と、4カ月連続で上昇した。東日本大震災の復興需要やサプライチェーン(供給網)の回復などで、雇用情勢は持ち直しの動きを続けている。
総務省の労働力調査は震災の影響で、8月分まで岩手・宮城・福島を除いて公表していた。9月分からは被災地の8割で調査が再開できたため、全国ベースで数値を公表する。前月と比較可能な被災3県を除く失業率も同じ4.1%だった。
完全失業者数は「被災3県を除くベース」で254万人になり、2カ月連続で前の月を下回った。解雇などで仕事を失った人、自発的に仕事を辞めた人、共に減少した。就業者は5973万人で、前月に比べて30万人増えた。8月は定年や職探しをあきらめて労働市場から退出した非労働力人口が20万人増えたが、9月は減少に転じた。
ただ、厚労省がまとめた9月のハローワークでの職業紹介状況によると、新しく寄せられた求人を示す新規求人数は1.5%減の66万人。3カ月ぶりのマイナスだった。同指標は雇用の先行指数になっており、円高や海外経済の不透明感から、足元には積極的な求人を手控える動きもある。
9月の消費者物価、0.2%上昇 燃料高で
総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除くベースで99.9となり、前年同月比0.2%上昇した。上昇は3カ月連続。ガソリンや電気などエネルギー価格が押し上げた。10月からは、昨年のたばこ増税の影響一巡などで物価が再び下落する可能性が高い。
生鮮食品を含むベースは前年と横ばい。食料とエネルギーを除くベースは0.4%下落した。
原油など国際市況の高止まりで、ガソリン価格は10.3%、電気代は3.9%上昇した。燃料費の高騰分が価格に上乗せされた外国パック旅行も2割上がった。液晶テレビや電気冷蔵庫は2-3割下がり、家電の値崩れは止まっていない。
10月からは、昨年のたばこ値上げと傷害保険料引き上げの影響が一巡する。「10月から生鮮食品を除いた消費者物価は再びマイナスに転じる」(みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミスト)との見方が多い。
総務省が同日発表した東京都区部の10月のCPI(中旬速報値)は、生鮮食品を除くベースで0.4%下落した。前月よりマイナス幅が0.3ポイント広がった。


まず、鉱工業生産のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる指数そのもの、下のパネルは出荷指数のうちの輸送機械を除く資本財と耐久消費財です。いずれも季節調整済みの系列で、グラフの影を付けた部分は景気後退期です。最近改定されたばかりですが、内閣府の景気動向指数研究会の景気基準日付に従っています。

鉱工業生産の推移


生産動向は微妙な段階に差しかかった気がします。引用した記事にもある通り、9月の減産の後、製造工業予測指数に従えば、10-11月は増産に転じると見込まれていますが、増産ながら力強さが欠けており、出荷の水準も高くないですし、繰返しになりますが、復興需要に支えられて一時的な踊り場で抜け出せるのか、円高の重しなどにより、このまま腰折れになってしまうのか、生産は微妙な段階に差しかかった気がします。10月上旬の輸出は12%のマイナスで始まったようですし、円相場の動向も極めてセンシティブな動きを示しています。私が考える基本シナリオでは一時的な踊り場で切り抜ける確率が高いと見ていますが、世界経済に起因する輸出の動向や為替相場次第でさらに悪化する可能性も残されていると見込んでいます。

雇用統計の推移


次に雇用統計の各指標は上のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。各指標とも総じてゆるやかながら雇用の改善を示しているように見受けられますが、9月統計から震災3県を含めるようになった失業率の大幅な改善はにわかには信じ難く、統計の信頼性について疑問を持つ向きがあっても不思議ではないと私は受け止めています。また、単月の動きながら、雇用の先行指標となっている新規求人が悪化を示しているのも気がかりです。

消費者物価の推移


最後に、消費者物価の動向は上のグラフの通りです。棒グラフは青い折れ線で示した生鮮食品を除くコア消費者物価の前年同月比上昇率の寄与度となっています。ただし、上昇率を計算する基礎となる端数を持った指数が公表されていませんから、公表されている限りの指数とウェイトで私なりに計算しています。ということで、大きな動きはないように見えますが、細かく見れば、東京都区部のコアCPIが足元で上昇率を下げ始めているように見えます。少し全国と乖離し始めていますが、東京都区部は全国に先行性がありますので、全国のコアCPIも現在のプラスを続けるのはそれほど長くない可能性が示唆されています。引用した記事にも10月全国コアCPIは再びマイナスに転じるとの見方が示されていますが、私もほぼ同様の見通しを持っています。

最初の生産動向が典型的ですが、足元から目先の経済動向を考える場合、復興需要のプラスと世界経済の失速や円高の影響によるマイナスが天秤にかかることになります。現時点で得られる情報からは、どちらが重いかの判断は私にはつきかねます。
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2011年10月27日 (木) 19:41:00

商業販売統計に見る政策効果の反動は深刻か?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が発表されました。私が消費の先行指標として注目している小売業の売り上げは底堅いながらもやや減少しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

小売業販売額、9月は1.2%減 エアコンの販売減響く
経済産業省が27日に発表した9月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は10兆5710億円で、前年同月比1.2%減少した。減少は2カ月連続。エアコンの販売減などで、機械器具小売業の落ち込みが大きかったことが響いた。
機械器具小売業の販売額は同21.4%減で、過去4番目の大きな下落幅になった。残暑が厳しく家電エコポイント制度の特需もあった前年の反動でエアコン・冷蔵庫などの販売が落ち込んだ。今年7月に一部地域を除いてテレビの地上デジタル放送に完全移行し、地デジ対応製品の販売が減ったことも響いた。
大型小売店の販売額は1兆4725億円で同2.5%減少した。減少は2カ月連続。内訳をみると百貨店の販売額は秋物衣料の不調などで同2.6%減。スーパーの販売額も台風などの影響で同2.4%減った。


次に、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比増減率、下のパネルは季節調整した2005年=100となる指数系列です。いずれも赤い折れ線が小売販売、青が卸売販売で、影を付けた部分は景気後退期です。

商業販売統計の推移


引用した記事にもある通り、小売業が停滞している主因は機械器具小売業となっています。報道にもある通り、9月はエアコンの販売不振なんですが、もう少しさかのぼればテレビということになります。いずれもエコポイントで需要を先食いした商品に反動減が生じていることはいうまでもありません。また、テレビについてはエコポイントだけでなく、地デジ化に伴う駆込み需要も発生しました。さらに、家電エコポイントだけでなく、昨年9月半ばの受付で終了したエコカー補助金についても政策効果の剥落とともに反動減が生じています。下のグラフの通りです。

機械器具小売業と自動車小売業の推移


上のパネルは季節調整していない売上げの前年同月比増減率、下は季節調整した指数をそれぞれプロットしています。どちらもよく似た動きですが、エコカー補助金については昨年8-9月までの政策効果が切れた後、実に素直に販売不振に陥り、今年3月の震災に起因するサプライチェーンの毀損等の供給制約によって再び販売が縮小し、政策終了から1年を経過した最近時点でようやく販売動向が戻ったように見えます。また、テレビやエアコンなどのエコポイント商品を含む機械器具の売上げについても、制度の変更に従った駆込み需要が見られ、特に、昨年12月からのエコポイントのほぼ半減に伴って、11月に極めて大きな需要の山が観察されます。テレビの地デジ化に伴う需要も今夏に発生した後、8-9月と大きく落ち込んでいるのはグラフに見える通りです。エコカー補助金も家電エコポイントも政策終了とともに販売が落ち込むのは同じ構図といえます。現時点から見れば需要の先食いや反動減と受け止める向きがあるのは確かですが、この政策効果をトータルでどのように評価するのか、決して否定的な評価ばかりではないと私は考えています。一定の期間にわたる社会的厚生の評価にはもう少し時間をかける必要がありそうな気もします。

日銀政策委員の大勢見通し


最後に、商業販売統計から離れて、上の表は日銀政策委員の大勢見通しを「経済・物価情勢の展望」 p.16 から引用しています。追加緩和策が、長期国債買入れのため資産買入れ基金の規模を現在の50兆円から55兆円に5兆円増額と、極めてケチくさいとしかいいようながく、10兆円提案の宮尾委員が反対したのも当然かもしれません。相変わらず、日銀の小出しの緩和策はマーケットではまったく評価されず、為替相場は対ドルで75円台に張り付いたままです。赤字垂流しの財政政策と小出しの緩和策しか打ち出せない金融政策が為替相場を円高に誘導していることがまだ理解できないんでしょうか。それとも、理解していてどうしようもないんでしょうか?
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2011年10月26日 (水) 19:51:00

そろそろ企業向けサービス価格上昇率はプラスに転ずるか?

本日、日銀から9月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。前年同月比で見て▲0.1%の下落までマイナス幅を縮小しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業向けサービス価格、0.1%低下
日銀が26日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2005年=100、速報値)は、96.3と、前年同月比0.1%低下した。前年比のマイナスは36カ月連続。マイナス幅は08年9月以来の小幅だった。中・大型車を対象にした東北地方の高速道路無料化が8月末で終了、有料道路が5.3%上昇したことなどを反映した。
企業向けサービス価格指数は、輸送費や不動産賃貸料、情報通信など企業間で取引するサービスの価格水準を示す。
大阪圏で事務所の契約更新時の値下げ改定が進み、「不動産」が3.9%低下した。一方、東日本大震災後に落ち込んでいた「4媒体広告」は、テレビ広告で住宅や小売り関連を中心に回復し、2.7%上昇した。
今後は、東日本大震災の復興需要の本格化が価格上昇要因になる一方、海外情勢の不透明感や円高による企業の経費削減姿勢によって価格が低下する可能性もある。


次に、国内企業物価とともに前年同月比上昇率をプロットしたグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが国内企業物価、赤が企業向けサービス価格指数です。2003-04年の国際商品市況の上昇あたりからサービス価格指数が乖離を始めています。

企業物価上昇率の推移


丸3年36か月連続の前年同月比マイナスを記録しましたが、とうとう、マイナス幅は▲0.1%に達しました。もっとも、高速道路無料化が8月で終了したため、有料道路の寄与度が前月比の前月差で+0.05%ありますし、震災復興に付随するのかどうかは不明ながら、足元では測量を含む土木建築サービスに寄与も大きくなっています。また、一時は震災に起因する「自粛」の影響を受けていた広告も上昇の兆しを見せています。現時点では何とも言えないながら、需給ギャップの縮小に基づくカギカッコ付きの「健全」な価格上昇ではないかという希望を持っています。

明日の金融政策決定会合では追加緩和策の決定が見込まれています。逆に、米国がQE3を始めれば、場合によっては、1ドル72円というウワサも聞きました。日銀の追加緩和は、それ自体として、景気拡大の効果は薄い可能性がありますが、為替のチャンネルを通じて、円の増価を防止するという観点も必要です。金融政策ほどダイレクトな効果はありませんし、為替に対する影響だけではないんですが、財政政策の赤字垂流しもそろそろ考え直す時期に来ているような気がしてなりません。為替市場への介入のような暴力的な政策に頼るだけでなく、タイトな金融政策とルーズな財政政策が円高を招いている一因であると認識すべきです。
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2011年10月25日 (火) 19:56:00

再びTPP参加について考える

TPP参加国


ここ数日、再び環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPに関する議論が活発になっているように見受けられます。先週金曜日10月21日は国家戦略室から「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の分野別状況 (平成23年10月)」「が公表されていたりします。
結論としては明らかなんでしょうが、TPPに参加することを前提に、農業などに対する補償のあり方に議論の主眼が移って来ているように私には見受けられます。そこで、いつもの私の視点ですが、単純に結果の再配分を行うだけでなく、結果に至る前の生産要素の円滑な移動に資する政策が必要だろうという観点はまったく見受けられません。
要素価格均等化定理で証明されている通り、技術と生産関数が同じであれば、という極めて強い前提を置きつつ、商品が自由に国境を越えて移動する自由貿易の下では、労働の賃金や資本のレンタルプライスといった要素価格が均等化します。そして、伝統的な経済学においては、国境を超えるモビリティは商品、資本、労働の順で高いと暗黙のうちに前提しています。しかし、私が観察する限り、日本については商品よりも資本のモビリティの方が高い可能性があります。もちろん、労働のモビリティはもっとも低くなっています。
単純に日本とアジアの2国モデルで考えれば、日本のような成熟した市場経済とアジアの新興国や途上国を比較して、資本の要素価格たるレンタルプライスは日本よりもアジア諸国の方が高く、従って、資本は日本国内からアジアに流出し、逆に、労働の要素価格たる賃金はアジアよりも日本の方が高く、労働はアジアから日本に流入します。ですから、産業別ではなく生産要素別に考えれば、自由貿易で利益を上げるのは資本ではなく労働です。ですから、TPP参加とともに法人税率の引下げがセットになっても不思議はありません。他方、産業別では少なくとも日本国内では労働のモビリティ、この場合は国境を超えるモビリティではなく産業の間を移動するモビリティですが、これは決して低くないと考えられます。おそらく、産業の間を移動するモビリティについては資本よりも労働の方が高いくらいかもしれません。
ですから、バナナの叩き売りよろしく、農業にいくらの予算を付けてTPPの損失補償をするか、という観点ではなく、いかにスムーズに生産要素の産業間移動が行えるようにするか、を重視すべきです。現在の農業への補償措置は生産要素を農業から移動させないための措置であり、経済学的にはまったくの本末転倒のように見受けられます。単なる既得権の維持以外の何物でもありません。

もう少し、要素移動も含めて、異時点間の最適化という意味でのダイナミックな経済政策を模索すべきと私は考えます。確かに、既得権は崩しにくい壁であるということは理解しているつもりですが、政権交代しても、何があっても、ここまで国際化や大きな構造変化があるにもかかわらず、一向に国内の既得権の構造が変わらないのは私には不思議でなりません。日本経済の衰退が進むのも当然なのかもしれません。
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2011年10月24日 (月) 21:00:00

今季最終戦を白星で終えたタイガース!

がんばれタイガース!


阪神タイガースが今季最終試合を戦い終えました。誠にお疲れさまでした。
今季は5-6月のドン底の時期からは、夏場にかけてやや持ち直したとはいえ、開幕前の戦力からして不満の残る結果でした。来年こそは体制を立て直して捲土重来を期していただきたいと希望しております。もっとも、その前に熾烈なストーブリーグがあることと思います。

来季こそ、
がんばれタイガース!
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2011年10月24日 (月) 19:48:00

震災後の最高水準に達した貿易収支の先行きを考える

本日、財務省から9月の貿易統計が発表されました。統計のヘッドラインとなる輸出額は前年同期比+2.4%増の5兆9807億円、輸入額も+12.1%増の5兆6803億円、差引き貿易収支は3004億円を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の貿易黒字、震災前の水準に 自動車輸出など伸びる
財務省は24日、9月の貿易統計(速報値)が3004億円だったと発表した。自動車や自動車部品の輸出額が増えたため。2カ月ぶりの黒字で、東日本大震災が起きる直前の2月の6503億円に次ぐ高い水準だった。原油や液化天然ガス(LNG)といった燃料の輸入額も一方で増え続けており、黒字額は前年同月と比べ61.2%減と減少した。
輸出額は2.4%増の5兆9807億円と、2カ月連続で増えた。自動車が欧州連合(EU)向けを中心に伸び4.9%増、自動車部品は11.5%増で米国、中国などに対して増えた。
輸入は12.1%増の5兆6803億円と、21カ月連続で増えている。原油の輸入金額が増えたほか、火力発電所で用いるLNGも増加。震災以後、同様の流れが続いている。
数量指数でみると輸出は1.7%増、輸入は0.9%増だった。ともに2カ月連続で増加した。
季節調整して前月と比べると、輸出額が2.0%増、輸入額が2.2%減となった。
財務省は、LNGや原油・粗油の輸入額の伸びが輸出を上回り、依然として大きいと指摘。「燃料価格の高止まりや、LNG需要は継続するだろう。海外景気の下振れ懸念や円高もあり、今後の推移を注視する必要がある」と慎重にみている。


続いて、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルはともに、折れ線グラフの輸出入と差額の貿易収支の棒グラフですが、上のパネルは季節調整する前の原系列、下は季節調整済みの系列となっています。いずれも左軸の単位は兆円/月です。

貿易統計の推移


上のグラフを見て明らかなんですが、日経新聞の記事のように、9月の貿易収支が震災前の水準に近づいたとはいうものの、季節変動を織り込んでしまった計数であり、季節長した系列では震災直後の4月統計から6か月連続で貿易赤字が続いています。もっとも、9月統計では赤字幅はほぼゼロとなっています。ということで、第1に、統計発表でもっとも注目すべき足もとの貿易動向は、決して楽観できる状態にはないと受け止めるべきです。第2に、引用した記事にもある通り、海外景気の下振れリスクが顕在化し、我が国の輸出に影響する蓋然性は引き続き高まっていると考えるべきです。輸出に関するグラフは以下の通りです。

輸出の推移


上のパネルは輸出額の前年同月比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解した結果をプロットしています。季節調整していない原系列です。下のパネルは同じく季節調整していない輸出数量指数の前年同月比伸び率とOECD先行指数の前年同月比を併せてプロットしています。いずれも縦軸は2尾率のパーセントです。ただし、OECD先行指数は1か月のリードを取っています。グラフから明らかなように、ホンの1-2か月前までは震災に起因するサプライチェーンの毀損などの供給制約が回復するに伴って、順調に我が国からの輸出は増加を示していたんですが、世界経済の失速とともに輸出の伸びにはブレーキがかかりつつあります。この先、日本製品への需要はさらに悪化することも考えられ、輸出の増加は頭打ちとなる可能性があります。

鉱物性燃料輸入の推移


最近の論調で、輸入の増加に関して貿易収支の観点から危惧する意見を見かけます。私も一瞬そのような意見を持ちそうになったこともあります。しかし、私の従来の見方は、現状の貿易黒字を背景に、国内の生産や輸出に必要な輸入は仕方がないので分析は放棄して来ました。ここで一歩だけ立ち止まって、上のグラフを書いてみました。鉱物性燃料輸入額とそのうちの液化天然ガス(LNG)輸入額をプロットしています。縦軸は兆円です。季節調整していなくて、しかも、月単位なのでやや荒っぽい動きを示していますが、液化天然ガス(LNG)輸入額は確かに既往最高額に迫っている一方で、2008年シーマン・ショック直前の時期と比べて、鉱物性燃料輸入額としては既往最高額からまだかなり余裕があるのが見て取れます。国際商品市況と為替相場の動向次第なんですが、引き続き、輸入には能天気な態度を示し続けてよいデータだと私は受け止めています。なお、この統計でもって7-9月期の貿易収支が出ました。サービス部分が未確定なんですが、強引にGDP統計に引き直せば、外需は前期比成長率に対して、一定のプラスの寄与を示したんではないか、と私は大雑把に見込んでいます。

最後に、貿易統計とは何の関係もなく、今日の日経新聞経済教室の白波瀬教授の「現役世代の再配分強化を」と題する論考に私は大いに賛成するものですが、日を改めて取り上げたいと思います。
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2011年10月23日 (日) 18:14:00

勝谷誠彦『ディアスポラ』(文藝春秋) を読む

勝谷誠彦『ディアスポラ』(文藝春秋)


勝谷誠彦さんの『ディアスポラ』(文藝春秋) を読みました。約10年前の『文學界』に掲載された「ディアスポラ」と「水のゆくえ」の2作品をカップリングしてあります。いずれも、「事故」の後の日本人を描き出しています。まず、出版社のサイトから【内容紹介】を引用すると以下の通りです。ただし、誠に申し訳ないながら、欧文の二重引用符は話分のカッコに変換しました。悪しからず。

【内容紹介】
「事故」により日本列島が居住不能となり、日本人は世界中の国々に設けられた難民キャンプで暮らすことを余儀なくされた。チベットの奥地メンシイのキャンプを国連職員として訪れた「私」の目に映ったのは、情報から隔絶され、将来への希望も見いだせないままに、懸命に「日本人として」生きようとする人々の姿だった――。10年前に、原発事故で国を失った日本人のアイデンティティーを追究した作品を執筆した「作家の想像力」は驚異です。


要するに、原発事故後の日本人について、「ディアスポラ」ではチベットに渡った日本人キャンプの人々を国連事務官である「私」の目から描写し、また、「水のゆくえ」では日本に残った、おそらく丹波あたりの酒造元の男性の視点から語っています。出版社のサイトにある通り、原発事故で国を離れて難民キャンプで生活する日本人、あるいは、日本に残って死に行く周囲の人々を見守る日本人、ともに凄絶で、約10年前にこのような視点を持った作家がいたことに驚いています。復刻されて単行本として出版されるのも当然でしょう。

ただし、誠に生意気ながら、ストーリーを説き起こす視点だけに感心してしまい、表現力やストーリー展開、あるいは、登場人物のキャラの設定など、感情移入して行く部分には物足りなさを感じてしまいました。あるいは、私の奥深い部分で感情移入することを拒否する何かがあったのかもしれません。必ずしもすべての人にはオススメしません。ご興味ない方は無視していただいて差し支えありません。
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2011年10月22日 (土) 18:22:00

映画「はやぶさ/HAYABUSA」を見に行く

映画「はやぶさ」


今日は雨がちのお天気だったので屋外は諦めて映画を見に行きました。竹内結子さん主演の映画「はやぶさ/HAYABUSA」です。この先、いくつか小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還に基づく映画が封切られるようですが、その第1号です。他の映画もそうなんでしょうが、上のポスターに見られる通り、「JAXA全面協力」シールが貼ってあったりします。
ストーリーはシンプルそのものです。要するに、小惑星探査機「はやぶさ」の打上げから地球帰還までを映像化してあり、その中に、主演の竹内結子さん扮する研究者の成長と人生が盛り込まれています。しかし、決して人間中心の人生ドラマではなく、主人公はあくまで小惑星探査機「はやぶさ」です。では何が印象的かというと、圧倒的に映像の美しさです。実際に小惑星探査機「はやぶさ」を撮影したわけではあり得ないでしょうから、ほとんどがCGだと思うんですが、シロートの私なんかからすれば、まさに息をのむようなシーンが次々と現れます。「はやぶさ」の打上げ、地球とランデブーしてのスイングバイによる加速、小惑星「イトカワ」へのタッチダウン、そして、最後の地球への帰還、燃え尽きる「はやぶさ」と分離された耐熱カプセル、などなど、実に印象的で美しい映像の数々でした。もちろん、主演の竹内結子さんをはじめ、的川教授と川口教授を演じた西田敏行さんと佐野史郎さんなども熱演だった気がします。

昨年の「はやぶさ」地球帰還の興奮が戻って来ます、今日の劇場も老若男女、いろんな人でいっぱいでした。多くの方にオススメ出来る映画です。
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2011年10月21日 (金) 19:57:00

復興財源の負担やいかに?

昨日から臨時国会が召集され、本日、震災復興のための第3次補正予算案が閣議決定されています。この第3次補正予算案については、すでに、多くのメディアで報じられていますので、私のブログでは詳細は取り上げません。逆に、震災復興のための財源措置について、この先7年分、2018年までの国民負担を世帯年収別に試算した結果が、大和総研の「臨時増税より重い、住民税・手当減少・厚生年金」と題するリポートとして10月5日に公表されています。簡単に紹介しておきたいと思います。まず、大和総研のサイトからリポートのサマリーを引用すると以下の通りです。

【サマリー】
◆政府・与党内で、復興のための臨時増税案が決定された。個人については、主に、所得税額に4%を加算する「所得税付加税」を導入すること(2013年1月から10年間)、住民税の均等割に年間500円加算すること(2014年6月から5年間)などが含まれている。
◆また、政府税制調査会は、2011年度税制改正法案に含まれていたが未だ成立していない所得控除等の見直しについても2012年1月から実施し、復興財源に充てるものとしている。
◆本稿では、これらの税制改正のほか、3党合意に基づく子ども手当(児童手当)の見直し、既に法定されている厚生年金保険料の引上げなどを考慮し、夫婦子ども2人のモデル世帯(年収は200万円-2,000万円の7ケースを想定)において、2012年以後7年間の家計の可処分所得がどのように変化するのか試算を行った。
◆試算の結果、全てのケースで、付加税の実施は今後の可処分所得の変動の最大の原因ではないことがわかった。付加税も家計の可処分所得を減らす原因となっているが、2013年と2011年を比較すると、可処分所得減少の最大の要因は、年収400-800万円の世帯では、住民税の年少扶養控除廃止による負担増、年収1,000万円-2,000万円の世帯では、新児童手当の所得制限による手当の減少である。
◆また、厚生年金は毎年保険料率を引上げられることが法定されており、年収400-1,000万円の世帯においては、所得税の付加税よりも2年分の保険料率引上げの方が影響が大きかった。


1表で見やすく取りまとめたものとして、リポート p.6/10 図表6 「2013年における、2011年比の可処分所得の変化の要因分析」を引用すると以下の通りです。可処分所得階級別の各モデル世帯における2013年度における年収への影響であり、単位は万円となっています。試算のための前提はリポート p.4/10 に取りまとめてあります。

世帯年収所得税の負担増 (付加税以外)所得税の付加税厚生年金の保険料増加手当の減少住民税の負担増その他合計
400万円+0.07▲0.25▲1.41▲5.40▲6.24▲0.06▲13.29
600万円+0.22▲0.64▲2.12▲5.40▲6.06▲0.09▲14.09
800万円+0.59▲1.51▲2.83▲5.40▲5.88▲0.12▲15.15
1000万円+0.74▲2.72▲3.54▲29.40▲5.70▲0.15▲40.77
1200万円+0.90▲4.15▲3.70▲29.40▲5.58▲0.18▲42.11
1500万円+1.30▲6.98▲3.70▲29.40▲5.41▲0.23▲44.42
2000万円▲6.93▲13.18▲3.70▲29.40▲6.60▲0.30▲60.11


上に引用した大和総研の【サマリー】にもある通り、所得税の付加税が我々の所得を減少させているわけではありません。年収1000万円未満の世帯では住民税の年少扶養控除廃止による負担増が、年収1,000万円以上の世帯では子ども手当の所得制限による手当の減少が、それぞれ、可処分所得減少の最大の要因となっています。加えて、ほぼすべての世帯で厚生年金保険料率の引上げも無視できない大きさになっています。子ども手当の制度変更に伴う勤労世代への所得移転の削減と年金保険料引上げという引退世代への移転の増加が、勤労世代の可処分所得を低下させているのであって、震災復興の財源の多くが勤労世代の負担に基づいていることが明らかです。相続税や資産税の増税といった引退世代の負担を求めず、ひたすら勤労世代の負担によって震災復興を図るつもりなのでしょうか?

政治的な震災負担の決定のウラにはシルバー・デモクラシーのパワーが垣間見えるような気もします。このまま、我が国の勤労世代が高負担にあえぐだけの存在となり果てるのは、何としても避けるべきであることはいうまでもありません。しかし、圧倒的なシルバー・デモクラシーのパワーの前で、私にも解決の糸口すら見出せません。
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2011年10月20日 (木) 19:54:00

財政収支の改善には物価上昇よりも成長が有効か?

読むのに時間がかかりましたが、10月17日に内閣府の経済社会構造に関する有識者会議から、「経済成長と財政健全化に関する研究報告書」が公表されていますので、取り上げたいと思います。

 歳出の弾性値歳入の弾性値収支改善条件
物価上昇1弱約1×
実質成長0.2弱1強
名目成長0.5弱1強


いきなり結論ですが、実質成長、物価、そしてこの2つを合成した名目成長のうち、実質成長が財政収支の改善には有効であり、物価上昇は歳出の増加を招くことから、財政収支改善条件の可能性は低い、と結論しています。上の表の通りです。リポート p.34 の収支改善変化のための条件を一般政府に着目して私なりに取りまとめています。また、下のグラフはリポート p.51 から引用しており、G7諸国の財政収支改善と物価上昇率、実質成長のそれぞれをプロットしています。成長が財政収支改善に寄与しているように見える一方で、物価上昇とは明確な関係は見出せそうにありません。

財政収支改善幅と実質成長率及び物価上昇率の関係


財政収支だけに着目して、実質成長が有効であって、物価上昇は同時に歳出の増加も招く、すなわち、物価上昇については歳入の弾性値が1を超える一方で、歳出の弾性値もほぼ1近傍である、というのは説得力あることは確かです。例えば、リポート p.31 でマクロの国民医療費の伸びの要因分解をしていて、1990年度から95年度にかけての伸びと1995年度から2000年度にかけての増分を比較し、高齢化による要因がほぼ4割を占め、残りの59.8%のうちの53.7%と、ほとんどが医療技術の進歩・高度化等に起因すると結論しています。社会保障に財政リソースを注ぎ込む根拠を示していると私は受け止めています。
しかし、リポートが見落としている点を3点だけ私から上げておきたいと思います。第1に、フローの財政収支の改善には役立たない可能性が高いながら、物価上昇はストックの債務残高の縮減には有効である可能性が大きい点です。金利上昇が物価に追いつかないと仮定すれば、容易に理解できるでしょう。特に、精緻な理論展開は不要だと考えます。ついでながら、現時点で、資産ストックをいっぱい持っているのは引退世代であり、負債ストックが多いのは政府です。この負債ストックは将来の納税者に転嫁される可能性があります。デフレは資産ストック保有者に有利に働き、インフレが負債ストック保有者、あるいは、将来のその負担者に有利に作用するのはいうまでもありません。第2に、医療費の例を引いたように、社会保障給付の増加の大きな要因は高齢化とともに質の向上に起因します。しかし、医療などの人道的な配慮が求められる分野は質の高い社会保障が必要としても、勤労世代が労働市場で低賃金と高失業に苦しむ現在の日本において、市場の圧力にさらされず政治的圧力で決まる部分が大きい社会保障の分野で、引退世代だけが質の高い給付を享受することが合理化されるべきではない、と私は考えています。繰返しになりますが、高度な医療などは別としても、少なくとも一般論として、賦課制度の年金の下で引退世代が勤労世代からの移転で高い生活水準を享受し続けるのは、急速に高齢化が進展する社会ではまったくサステイナブルではありません。一般論を超えて我が国においても、社会保障に大きな財政リソースが必要である原因を社会保障の質的な向上に求めるのは限界があると理解すべきです。第3に、復興増税をはじめとして、今後、政府で議論される財政収支改善のための消費税率引上げも含めた増税議論との整合性に疑問を感じるのは私だけでしょうか。物価や成長を通じた歳入と歳出のバランスの変化に伴う財政収支改善とともに、より直接的な財政収支改善方策として歳出削減と歳入増加があるのはいうまでもありません。歳出を削減し、あるいは、歳入を増加させるための増税には一時的にせよ成長の鈍化が伴う可能性があります。この研究会では物価や成長といったマクロ経済の環境変化だけをスコープに捉え、ダイレクトに財政収支へ影響を及ぼす歳出削減や歳入増加、あるいは、増税は財務省に遠慮したのかどうか、スコープから外れている、ということなのかもしれませんが、歳出の削減や歳入の増加は成長にマイナスの影響を及ぼす可能性があるだけに、財政収支の改善に一定の制約がかかる可能性があります。露骨にいえば、一般均衡的に成長鈍化を織り込むと増税幅は部分均衡的に考えるよりも大きくする必要が生じる可能性があります。そこまでの含意を持たせているのであれば、かなり念のいったリポートだという気がします。

私が指摘した3点、特に2番目の社会保障給付の増加が社会保障の質的な高度化に起因する、という点に関してはごまかされるエコノミストが多そうな気がします。もっとも、社会保障給付の質を低下させることも財政収支改善のアジェンダに上げるべき、というのは典型的に Starve the Beast 的な政策スタンスで、実は決して、私の好みではないんですが、シルバー・デモクラシーを考慮して、行き過ぎた引退世代の優遇を改めるためには、いろんなことを総動員で考える必要がありそうな気がします。
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2011年10月19日 (水) 23:55:00

スポーツの秋に考えるスポーツ市場の動向やいかに?

昨年も取り上げた記憶がありますが、三菱リサーチ&コンサルティングとマクロミルの共同調査になる「2011年スポーツマーケティング基礎調査」の結果が公表されています。今夜は少し遅くなりましたので、申し訳ないながら、軽い話題で済ませておきたいと思います。調査結果の概要リポートのリンク先は以下の通りです。詳細結果は三菱リサーチ&コンサルティング社から発売されるようです。私はこのリポートを購入するつもりはありませんから、今夜のエントリーのグラフは無料のマクロミルのリポートから引用しています。



まず、国民にとってのスポーツの位置づけは以下のグラフの通りです。2011年の比率で見て、もっとも多い37.9%の赤い折れ線グラフは「することにも見ることにも大きな関心がない」無関心層で、次の35.3%の青は「見ることの方が好き」、大きく下がって15.5%の緑は「することの方が好き」で、もっとも比率の低い紺色の11.4%が「することも見ることも好き」というアクティブ層となっています。ここ何年かでスポーツ無関心層がジワジワと増加した一方で、今年は「見る」を中心にやや増加に転じたのは、なでしこジャパンのワールドカップでの活躍が大きいんではないかと私は受け止めています。この調査の今年の特別調査項目でも、なでしこジャパンとスポーツ・サイクルは注目されています。

スポーツの位置付け


ナデシコジャパンがワールドカップ優勝で世界1に輝き、国内で注目を集めるのはいに結構なことで、サッカーと野球のファン人口をプロットしたのが下のグラフです。サッカーのJリーグについては低落傾向にあるんですが、逆に、日本代表は注目を集めています。プロ野球も低落傾向なんですが、今年についてはアップしています。注目はいうまでもなくなでしこジャパンで、今年についてはプロ野球を上回っていたりします。Jリーグではファン人口が最も多いのがガンバ大阪で、次いでグランパス名古屋となっています。プロ野球ではジャイアンツ987万人に対して、タイガースは702万人となっています。もっとも、甲子園という広い球場を持っているおかげで、観客動員数はタイガースがトップに立っているのはよく知られた通りです。

日本のプロ野球、サッカー日本代表、なでしこジャパン、Jリーグチームのファン人口の推移


最後に、この調査の本来の目的であるスポーツ市場の規模については、今年2011年は震災に起因する自粛の影響などもあって、今年は大幅に縮小しています。スタジアム観戦、用品購入、施設利用・会費に分けると以下の表の通りです。

 年間平均支出額
(前年比)
2011年市場規模
(2010年)
スタジアム観戦市場23,228円
(▲18.6%)
5,196億円
(5,917億円)
用品購入市場26,808円
(▲20.2%)
9,603億円
(1兆2,107億円)
施設利用・会費市場48,851円
(▲11.6%)
1兆3,844億円
(1兆5,452億円)
市場規模の合計n.a.2兆8,642億円
(3兆3,476億円)


調査の本来の目的に即して、「経済評論の日記」に分類しておきます。
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2011年10月18日 (火) 19:48:00

電力の供給制約の産業別影響、比較優位構造の変化やいかに?

私がエコノミストとして前から気にしているところで、このブログにも書きましたが、震災に起因する電力供給制約が日本経済に、特に、産業構造や比較優位構造にどのような影響を及ぼすか、という問題があります。今夏から、いくつかリポートが出ていて、私はいずれも難があると考えているんですが、取りあえず、以下の2本のリポートを簡単に振り返っておきたいと思います。繰返しますが、いずれも私が考える経済的帰結と少しズレがありますので、念のため、ご注意ください。



まず、第一生命経済研究所の試算結果は以下の表の通りです。試算方法は何の説明もなくブラックボックスのままで、一向に私には理解できません。およそ、すべてのSNA産業分類が付加価値生産でマイナスになっていますが、3年目の産業別の影響で見て、製造業のうちエネルギー多消費型の窯業・土石製品や一次金属は別としても、一般機械や輸送用機械や精密機械といった我が国が震災前に比較優位を有していたと考えられる産業に▲3%を超える大きな付加価値のマイナスの影響があると試算されています。ですから、一般機械・輸送用機械・精密機械については就業者数も▲1%を超える減少が見込まれています。非製造業ではモロの電気・ガス・水道業を別にして、卸売・小売業や運輸・通信業も他の非製造業と比べれば大きな付加価値生産の減少の影響が試算されていますが、相対的に運輸・通信業より卸売・小売業の方のダメージが大きいと見込まれています。いずれにせよ、貿易財ではないので比較優位構造とは関係ないとして取りあえず無視しておきます。

全原発停止の影響 (業種別)


次に、日経センターの試算結果は以下のグラフの通りです。試算方法は日経センターで開発しているJCER地域CGEモデルを用いていて、既存研究の成果でモデル構造などは明らかにされています。私の直感では標準的なCGEモデルではないかと受け止めていますが、逆に、パラメータのカリブレーションは震災前の日本経済の構造を前提にしているような気がします。いじれにせよ、日経センターの試算結果は第一生命経済研究所とまったく反対で、火力発電に用いる石油・石炭製品は別としても、一般機械・電気機械・輸送機械といった我が国が従来から比較優位を有する産業の粗生産額が増加するとの結果が示されています。非製造業では電力は別として、商業よりも運輸の方にダメージが大きくなっています。商業がほぼ卸売・小売業に相当し、運輸の比率が運輸・通信で高ければ、これまた第一生命経済研究所と逆の結果といえます。

原子力発電停止に伴う産業別の粗生産額の変化率


私の直感からして、電力供給の制約が比較優位構造に影響を及ぼすとすれば、どちらも少し実感に合わない感触があります。2つのシンクタンクの結論が大きく食い違っているのは、ひとつには付加価値生産額と粗生産額の違いに起因し、もうひとつは経常収支の制約に由来している気がします。第一生命経済研究所の試算では明確ではないものの経常収支はオープンに変化するように見受けられる一方で、日経センターの試算では経常収支には変化を及ぼさないような制約をかけたシミュレーションであると明記してあります。ですから、第一生命経済研究所の試算では、もともと比較優位があって付加価値生産額の大きい産業のダメージが大きい一方で、日経センターのシミュレーションでは、経常収支を維持するために比較優位のある産業の輸出が伸びる結果となっているように見受けられます。ということで、いずれの試算結果も私の個人的な感触からは少しズレを生じていると言わざるを得ません。ひょっとしたら、このくらいの粗めの産業分類ではメゾスコピックに過ぎる可能性も否定できません。

そもそも、現時点における我が国のエコノミストの業界では、震災や震災に起因する電力の供給制約については、せいぜいがマクロの経済成長率に及ぼす影響に焦点が当てられているだけで、相対価格への影響すらほとんど注目されず、まして、私のように産業の比較優位構造への影響などは気にもされていませんから、ホントは私自身で試算せねばならないところなんですが、大学や研究機関に出向しているのであればともかく、役所ではなかなか手が回りません。
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2011年10月17日 (月) 19:42:00

TBS 「南極大陸」を下の子といっしょに見る (昨夜)

TBS 南極大陸ポスター


今日のことではなく、昨夜のお話なんですが、標記の通り、TBS開局60周年記念日曜劇場「南極大陸」を見ました。初回特別放送の2時間番組を、一応、録画はしていたんですが、下の子と2人で熱心にリアルタイムで見てしまいました。11時過ぎに次回予告までしっかり見た後、すぐに寝てしまいましたから、記事のアップは今日になってしまいました。悪しからず。もっとも、実は、私は途中の30分余りは入浴タイムだったんですが、お風呂から上がって下の子に登場人物やストーリーなどを聞きまくりましたので、ほぼ筋は追っているつもりです。もちろん、まだまだ第1回目の放送で、この先の続きもありますから、「感動」という言葉はふさわしくないかもしれませんが、文句なしによかったです。久し振りに見るべきテレビ番組だったという気がします。
昨年まで出向していた長崎大学経済学部でも、現在の大学生に約20年前のバブル経済を理解させようとするのが如何に困難なことか、身にしみて実感していましたが、中学生の下の子に昭和30年ころ終戦から10-11年くらいの日本をリアルに理解させるのは難しかった気がします。敗戦国であるが故に、例えば、スポーツの分野では、いくら水泳で世界記録を連発しても世界新とは認められなかった一方で、科学の分野では、昭和24年1949年に湯川博士がノーベル賞を受賞し、日本の水準の高さを世界に見せつけていたわけです。
南極観測船の宗谷の建造がドラマでも大きくクローズアップされていました。その当時の世界最高水準の造船国だった英国を、その約10年後に日本は追い越して世界の造船業界のトップに立ったわけですから、単に夢物語だけでなく、科学技術の実用面や経済的にも大いに南極観測が日本に役立ったといえます。もっとも、その造船技術について、現在では韓国や中国にコスト面で太刀打ちできないのも事実です。また、ドラマでも紹介されていましたが、南極観測に際して造船だけでなく、ホンダ技研のエンジン技術、後のソニーの通信技術などが大きく進歩したことも見逃せません。今では日本経済を引っ張る大企業に成長したことは誰もが知るところです。
ドラマの中で、南極観測の募金活動で、主人公の義理の妹の教え子の小学生が5円玉を握りしめて主人公に渡すシーンがありました。下の子が「今の貨幣価値でどれくらいか?」と聞きますので、大雑把に鉄道やバスの初乗り運賃、150-200円くらいと答えておきました。我が家の消費生活が貧しいだけなのかもしれませんが、10歳くらいの小学生には決して少額ではないと正しく感じてくれたようです。当時の貨幣価値ともうひとつ、私が下の子に着目すべきと教えたのは世代感覚です。下の子は知りませんでしたが、いわゆる団塊の世代が1946-48年に出産しています。昨夜の放送は、くどいほど何度もナレーションがあった通り、終戦から11年目ですから、団塊の世代は8-10歳、まさに、主人公の義理の妹が教えている小学生に当たります。そして、この夏休みに私と下の子が見た「コクリコ坂から」の舞台である東京オリンピック前年1963年には、団塊の世代は高校生に成長していたわけです。まさに、「コクリコ坂から」の主人公たちそのものです。
どうでもいいことですが、ドラマでは主人公をはじめとして東大山岳部のOBが南極観測隊の中心をなしているように描かれていますが、京都大学OBとしてクレームをつけると、南極観測隊は京大山岳会が中心に編成されている、という噂を聞いたことがあります。どこまで、ホントかウソか知りませんが、随行事務官から同行記者まで京大山岳会で固めていたらしいと聞いたことがあります。歴史的事実としては、雪山賛歌の作詞者としても有名で、第1次南極観測隊では副隊長、第1次越冬隊では隊長を務めた西堀栄三郎教授などを思い起こすべきです。西堀教授は日本山岳協会会長も歴任されています。なお、ドラマの主人公の恩師白崎優のモデルは東大の永田武教授だと思うんですが、ドラマの中で香川照之さん演じる星野栄太郎のモデルは明らかに西堀教授であり、西堀教授の方が永田教授よりも格段に知名度が高いと私は受け止めています。

ドラマでは主人公をはじめとする研究者たちとともに樺太犬のリキまで乗せて宗谷が出航したところで第1回の放送が終わりました。南極観測のシーンはこれからです。私は下の子とともにもう少し見続けるつもりですので、単に、昭和を懐かしむレトロなだけのドラマではないことを願っています。
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2011年10月16日 (日) 18:27:00

Communiqué of Finance Ministers and Central Bank Governors of the G-20

G20 logo


Communiqué of Finance Ministers and Central Bank Governors of the G-20
Paris, France, 14-15 October 2011



  1. We, the G-20 Finance Ministers and Central Bank Governors, met at a time of heightened tensions and significant downside risks for the global economy that need to be addressed decisively to restore confidence, financial stability and growth.
  2. We have progressed in delivering the commitments we made three weeks ago in Washington DC. In particular, we welcome the adoption of the ambitious reform of the European economic governance. We also welcome the completion by Euro area countries of the actions necessary to implement the decisions taken by Euro area Leaders on 21 July 2011 to increase the capacity and the flexibility of the EFSF. We look forward to further work to maximize the impact of the EFSF in order to avoid contagion, and to the outcome of the European Council on October 23 to decisively address the current challenges through a comprehensive plan. We made progress on our action plan of coordinated policies for consideration by our Leaders at the Cannes Summit. This action plan will encompass a set of measures to address immediate vulnerabilities and strengthen the foundations for a strong, sustainable and balanced growth whereby:
    • Advanced economies, taking into account different national circumstances, will adopt policies to build confidence and support growth, and implement clear, credible and specific measures to achieve fiscal consolidation. Those with large current account surpluses will also implement policies to shift to growth based more on domestic demand. Those with large current account deficits will implement policies to increase national savings;
    • Emerging market economies will adjust macroeconomic policies, where needed, to maintain growth momentum in the face of downside risks, contain inflationary pressures and endeavor to enhance resilience in the face of volatile capital flows; Surplus emerging market economies will accelerate the implementation of structural reforms to rebalance demand toward more domestic consumption, supported by continued efforts to move toward more market-determined exchange rate systems and achieve greater exchange rate flexibility to reflect economic fundamentals;
    • All countries will undertake further structural reforms to raise potential growth;
    • In all of our actions we will strive to foster growth, job creation and promote social inclusion.

    We remain committed to take all necessary actions to preserve the stability of banking systems and financial markets. We will ensure that banks are adequately capitalized and have sufficient access to funding to deal with current risks. Central banks have recently taken decisive actions to this end and will continue to stand ready to provide liquidity to banks as required. Monetary policies will maintain price stability and continue to support economic recovery.
  3. We are taking concrete steps to build a more stable and resilient IMS to help both deal with the current stress and promote longer-term stability. We agreed on coherent conclusions to guide us in the management of capital flows in order to deal with the risks and reap the benefits from cross-border capital flows. To further reach these objectives, we agreed on an action plan to support the development and deepening of local currency bond markets. We welcomed the recent improvements to IMF surveillance and will review further progress by the Cannes Summit notably on enhancements towards a more integrated, even-handed and effective surveillance framework, particularly on financial sector coverage, fiscal, monetary and exchange rate policies. We adopted common principles for cooperation between the IMF and Regional Financial Arrangements. As a contribution to a more structured approach, we called on the IMF to further consider new ways to provide on a case by case basis short-term liquidity to countries facing exogenous, including systemic, shocks building on existing instruments and facilities and called on the IMF to develop concrete proposals by the Cannes Summit. In addition, we recognize that central banks play a major role in addressing global liquidity shocks. We committed that the IMF must have adequate resources to fulfill its systemic responsibilities and look forward to a discussion of this in Cannes. We call for the full implementation of the 2010 quota and governance reform of the IMF, as agreed. We look forward to making progress by the Cannes Summit on a criteria-based path to broaden the SDR basket, as a contribution to the evolution of the IMS, based on the existing criteria. We will continue our work on assessing developments on global liquidity, country specific analysis of drivers of reserve accumulation, avoiding persistent exchange rates misalignments, and the role of the SDR.
    We reaffirmed our shared interest in a strong and stable international financial system, and our support for market-determined exchange rates. We reiterate that excess volatility and disorderly movements in exchange rates have adverse implications for economic and financial stability.
  4. We are more determined than ever to reform the financial sector to better serve the needs of our economies. We reaffirm our commitment to implement fully, consistently and in a non-discriminatory way agreed reforms on OTC derivatives, all Basel agreements on banking regulation within agreed timelines and reducing overreliance on external credit ratings. We endorsed a comprehensive framework to reduce the risks posed by SIFIs, including strengthened supervision, key attributes of effective resolution regimes, a framework for cross-border cooperation and recovery and resolution planning as well as additional loss absorbency requirements for thosebanks determined as G-SIFIs; now that the framework applicable to GSIFIs is agreed we urge the FSB to define the modalities to extend expeditiously the framework to all SIFIs. We agreed on initial recommendations and a work plan to strengthen regulation and oversight of shadow banking; we welcomed the joint IMF-WB-FSB report on financial stability issues in emerging markets and developing economies; endorsed the FSB report and the common principles on financial consumer protection prepared by OECD with FSB and call for further work on implementation issues; endorsed the progress report of the FSB OTC derivatives working group to ensure proper coordination and sequencing, and agreed on the importance of the work to set margining standards on non-centrally cleared OTC derivatives; endorsed the IOSCO report on commodity derivatives markets and called IOSCO to report on implementation of its recommendations by end 2012. We endorsed first recommendations by IOSCO on market integrity and call for further work by mid-2012. We welcomed initial work by FSB-IMF-BIS on macro-prudential policy and look forward to further work in 2012. We underscored our support for a global legal entity identifier system which uniquely identifies parties to financial transactions with an appropriate governance structure representing public interest. We reaffirmed our objective to achieve a single set of high quality global accounting standards. We look forward to discussion of progress made in tackling non-cooperative jurisdictions and tax havens in Cannes. We underlined in particular the importance of comprehensive tax information exchange and encourage competent authorities to continue their work in the Global Forum to assess and better define the means to improve it. We agreed on a coordinated framework for monitoring implementation of our financial regulation agenda, including enhanced monitoring of Basel II, II-5 and III implementation, setting up a peer review council for GSIFI policies, a coordination group on OTC derivatives complementing the OTC derivatives working group, and an ongoing monitoring and public reporting on compensation practices focused on remaining gaps and impediments to full implementation of FSB standards and principles on compensation, and also reviewed a scoreboard to track progress for our Leaders. To ensure that the FSB keeps pace with our ambitious financial regulation agenda, we commit to strengthen its capacity, resources and governance building on its Chair's preliminary proposals and call for first steps to be implemented by the end of this year.
  5. The proper functioning of commodity markets is key for sustained global economic growth. We reaffirm our commitment to improve the timeliness, completeness and reliability of the JODI-Oil database and call on IEF, IEA and OPEC to regularly assess our progress. We commit to work on contributing to the JODI-Gas database, on the basis of the same principles, call for further work on gas and coal market transparency and will review progress in 2012. Building on the January 2011 Riyadh meeting, we call for annual symposiums on short, medium and long term outlook and forecasts for oil, gas and coal. We ask IOSCO, in collaboration with IEA, IEF and OPEC, to prepare recommendations to improve the functioning and oversight of Price Reporting Agencies for mid-2012. We reaffirm our commitment to rationalize and phase-out inefficient fossil fuel subsidies in the medium term, while providing targeted support for the poorest.
  6. We welcome the MDBs Infrastructure Action Plan and the HLP recommendations to be presented to our Leaders in Cannes for promoting enabling environment, diversifying sources of funding and identifying exemplary infrastructure investment projects. We call on the MDBs, working with countries involved to pursue implementation of transformational regional infrastructure projects following the criteria set by the HLP and to prioritize project preparation financing. We emphasize the importance of this agenda and welcome regular updates from MDBs on the progress achieved. We welcome the GPFI progress report and encourage further efforts to achieve universal access to financial services. We call on MDBs to assist their clients scale up use of risk management tools that help mitigate the impact of food price volatility.
  7. We debated options for innovative financing, as well as a range of different financial taxes, and look forward to Bill Gates' report on financing for development. We discussed the World Bank-IMF-OECD-RDBs report on mobilizing climate finance and the recommendations of Trevor Manuel based on this report, taking into account the principles of UNFCCC. We call for further work by MDBs and UN organizations. We look forward to an effective design for the Green Climate Fund, based on the work of the Transitional Committee as an element of a balanced outcome of Durban.
  8. We thank France for hosting the Finance Ministers and Central Bank Governors' meetings this year and welcome Mexico as chair in 2012.


いつもながら、週末の手抜きの記事で申し訳ありません。
出展はフランス政府のサイトです。
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2011年10月15日 (土) 17:35:00

隠蔽捜査シリーズ第4弾、今野敏『転迷』(新潮社) を読む

今野敏『転迷』(新潮社)


今野敏さんの隠蔽捜査シリーズの長編第4弾『転迷』(新潮社) を読みました。隠蔽捜査シリーズですから、警察庁の2人のキャリア官僚である警視庁刑事部長の伊丹俊太郎と大森署長の竜崎伸也が主人公なんですが、ハッキリいって、後者の竜崎が圧倒的な存在感を持っています。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

同時発生した四つの難問の連鎖。クリアできるか、竜崎伸也――。
相次いで謎の死を遂げた二人の外務官僚。捜査をめぐる他省庁とのトラブル。娘の恋人を襲ったアクシデント……大森署署長・竜崎伸也の周囲で次々に発生する異常事態。盟友・伊丹俊太郎と共に捜査を進める中で、やがて驚愕の構図が浮かび上がる。すべては竜崎の手腕に委ねられた! 緊迫感みなぎる超人気シリーズ最強の第五弾。


出版社の情報も混乱していて、表紙は第4弾、サイトのあらすじは第5弾となっていますが、私が出版社の肩を持つこともないとは思うものの、おそらく、長編としては第4弾、短編を入れれば第5弾、ということなのだろうと思います。知ってる人は知ってると思いますが、短編集は『初陣』です。隠蔽捜査シリーズ第3.5弾と称されていました。
あらすじにある通り、大森署管内で明らかな殺人のひき逃げ事件が起こり、隣接署で生じた他殺と同じく、被害者は外務省の退職OBと現役職員です。さらに、ひき逃げ事件の犯人が属する暴力団に絡んで厚生労働省の麻薬取締官から警察に対して圧力がかかります。大森署管内では放火事件が多発し捜査員を割くわけにもいかず、加えて、竜崎の家族の中の娘の結婚相手候補であり、竜崎の以前の上司の息子がカザフスタンからモスクワに向かう事故機に搭乗していた可能性があり、竜崎は外務省の知り合いに連絡を取ったりします。
もちろん、いつもの警察内部の刑事部と公安部の縄張り争いもあり、事件は警察内部、厚生労働省や外務省といった他省庁と絡まり合って、麻のごとくこんがらがって行きます。もちろん、それを超合理的に物事を進めるスーパーキャラ竜崎が見事に解決するわけです。私が愛読しているミステリの中では、この今野敏さんの隠蔽捜査シリーズの竜崎伸也と東野圭吾さんのガリレオ・シリーズの湯川学が合理主義の権化の双璧ではないかと思います。
ついでながら、ここでも出版社の「難問」の数え方が混乱していて、殺された2人の外務省のOBと役人を別に数えれば難問は5つ、いっしょにするか、あるいは、大森署管内の放火事件を外せば4つ、となります。でも、『初陣』をシリーズ第3.5弾としてしまった過去の経緯から、隠蔽捜査シリーズの第4弾で、4つの難問と銘打った方が宣伝文句とし適当と判断されたのかもしれません。

いつもながら素晴らしい出来栄えの作品です。我が家では私とおにいちゃんがこのシリーズを楽しみにしています。我が家では本を買い求めましたが、多くの図書館で所蔵されているようですので、多くの方が手に取って読まれることを願っています。
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2011年10月14日 (金) 19:49:00

アジア太平洋地域の先行き経済の下方リスクは日本が主因か?

昨日、国際通貨基金 (IMF) から「地域経済見通し: アジア太平洋」 Regional Economic Outlook: Asia and Pacific が発表されています。副題はNavigating an Uncertain Global Environment While Building Inclusive Growth となっています。もちろん、pdf の全文リポートもアップされています。9月のIMF世銀総会の直前に明らかにされた「世界経済見通し」 World Economic Outlook (WEO) と内容は何ら変わりないく、見通しが修正されているわけではないんですが、地域版ということでやや詳細な分析がなされています。まず、IMF のサイトからサマリーを引用すると以下の通りです。

Regional Economic Outlook: Asia and Pacific
In line with the weaker global outlook, growth in Asia is expected to be slightly lower in 2011-12 than forecast in April 2011, mainly as a result of weakening external demand, but the expansion should remain healthy, supported by domestic demand, which has been generally resilient. Overheating pressures remain elevated in a number of economies, with credit growth still robust and inflation momentum generally high, though inflation is expected to recede modestly after peaking in 2011. The sell-off in Asian financial markets in August and September 2011 underscores that an escalation of euro area financial turbulence and a renewed slowdown in the United States could have severe macroeconomic and financial spillovers to Asia. Against this backdrop, Asian low-income and Pacific Island economies face particular challenges in the near and medium term. In low-income countries, the fight against inflation is complicated by strong second-round effects, the need to phase out subsidies, and less well-anchored inflation expectations. Pacific Island economies need to undertake further structural reforms to lift potential growth.


ラテン・アメリカなどの他の地域経済見通しに目を通しているわけではないんですが、あえて大雑把にいって、アジア太平洋諸国は先進国をはじめとする外需の減速に起因して成長が鈍化するものの、内需に基づく健全な成長が続くであろうという見通しとなっています。というのは、インフレが2011年をピークに終息に向かうと見込まれているのも一因です。もちろん、米欧の金融的な混乱はマクロ経済の実物面でも金融面でもアジアに波及することはいうまでもありません。下のテーブルはリポートの p.5 Table 1.1. Asia: Real GDP を引用しています。アジア太平洋地域の新興国・途上国の成長率見通しは4月から少し下方修正されているものの、この地域の先進国である日本・オーストラリア・ニュージーランドに比べて小幅にとどまっています。

Table 1.1. Asia: Real GDP


リポートでは主として震災に起因するサプライ・チェーンの毀損から説き起こしていますが、アジア太平洋地域の貿易に関して、日本からの輸入が多い国や地域ほど今年4-6月期の貿易の伸びが小さく、あるいは減少となっており、我が国の3月の震災とそれに起因するサプライ・チェーンの損壊がアジア太平洋諸国の貿易や成長にマイナスの影響を持っていたことが確認されています。下のグラフはリポートの p.5 Figure 1.8. Selected Asia: Trade Links to Japan and Export Growth in 2011:Q2 を引用しています。日本からの輸入比率5%がクリティカル・バリューになっているような気がします。それはともかく、やや拡大解釈すると、もしも、TPP交渉などを含めて、日本が世界やアジア太平洋地域における自由貿易協定の流れから取り残されると、日本との貿易の結びつきが強い国ほど悪影響を受ける傾向が強まりかねず、文字通り、日本がガラパゴス化して世界からもアジア太平洋地域の中でも孤立する恐れがあるのではないかと私は危惧しています。

Figure 1.8. Selected Asia: Trade Links to Japan and Export Growth in 2011:Q2


IMF では米欧経済の失速がアジア太平洋諸国の経済にどのような影響を及ぼすかを Global Integrated Monetary and Fiscal (GIMF) モデルを用いて試算しています。その結果をリポートの p.9 Figure 1.16. Selected Asia: Impact of Severe Global Slowdown on Real GDP Growth から引用したのが下のグラフです。注にある通り、欧州で▲3.5%、米国で▲1.0%のベースラインGDPからの乖離が2年間生じた場合、どのような影響が波及するかをシミュレーションしています。グラフから明らかな通り、日本でも▲1%を超える下押し圧力が加わり、そもそも、日本では潜在成長率がそんなもんですから、現在の米欧経済の失速はそれだけで日本経済をマイナス成長させ、景気後退に陥らせるに十分なマグニチュードがあると考えるべきです。加えて、アジア新興国の中でも輸出に依存した中国への影響が大きいと結論されています。

Figure 1.16. Selected Asia: Impact of Severe Global Slowdown on Real GDP Growth


IMFの「地域経済見通し」とは関係なく、本日、日銀から9月の企業物価指数が発表されています。明らかに、輸入物価や素原材料価格にけん引された物価上昇幅の縮小となっています。石油・石炭製品、化学製品、非鉄金属などは前年同月比で上昇しているものの上昇幅が縮小しており、国際商品市況の下落に企業物価が連動していると私は受け止めています。

企業物価上昇率の推移
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2011年10月13日 (木) 19:53:00

OECDの幸福度指標を振り返る

経済協力開発機構 (OECD) における国民の幸福度に関する研究については、すでに、このブログの5月25日付けのエントリー「経済協力開発機構 (OECD) の幸福度指標の少しヘンテコな読み解き方」において、勤労世代と引退世代の格差の視点から取り上げましたが、こういった研究成果を取りまとめて、昨日、How's Life? という出版物が公表されています。副題は Measuring well-being となっています。このブログでは既報の幸福指標ですので、ごく簡単に取り上げておきたいと思います。まず、章立ては Overview から始まって以下の通りです。

  1. Overview
  2. Income and Wealth
  3. Jobs and Earnings
  4. Housing conditions
  5. Health status
  6. Work-life balance
  7. Education and skills
  8. Social connections
  9. Civic engagement and governance
  10. Environmental quality
  11. Personal security
  12. Subjective well-being


リポートサマリーを表わしたのが p.25 Table 1.1. An overview of headline well-being indicators in OECD countries なんですが、下の画像の通りです。やたらと縮小をかけてあり、クリックすると別ウィンドウで抽出した pdf ファイルが開くようになっています。

Table 1.1. An overview of headline well-being indicators in OECD countries

他方、主観的な幸福度のソフトデータとして、ギャラップ社の調査結果が示されています。OECD のサイトから引用した下のグラフの通りです。前回にはありませんでした。一見して明らかなように、すべてのOECD加盟国ではなく、いくつかの国をピックアップしてありますが、主観的な尺度では我が国の幸福度はOECD平均よりも低いことが読み取れます。

Levels of the satisfaction in 2010


最後に、OECDのリポートとは関係ありませんが、家計経済研究所から「消費生活に関するパネル調査」が発表され、p/6 図表Ⅱ-1において、一番上の子どもの学齢別で子ども手当の貯蓄世帯と補てん世帯の割合が示されています。下のグラフの通りで、子供の学齢が上がるにつれて、貯蓄ではなく子供への支出に補てんしたとする割合が高まっています。パネルデータですから解釈にはフォーマルな計量分析に基づく慎重な検討が必要ですが、とても興味深い結果だと私は受け止めています。

子どもの学齢別 子ども手当の貯蓄世帯/補てん世帯の割合
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2011年10月12日 (水) 21:00:00

ジャイアンツに2敗して引導を渡される!

  HE
阪  神0000010000 150
読  売0000100003 460


一時は少し望みをもったんですが、結局、巨人を倒してのAクラスは夢と消えたようです。完全に白旗状態かもしれません。シーズン終盤に来て、藤川投手も榎田投手も疲れ切っているんではないでしょうか。然るべき選手を引退・退団させた上で、鳥谷遊撃手をはじめとする主力選手の流出を防止すべく努力して欲しいものです。ストーブリーグが楽しみです。

白旗


来季は体制を一新して、
がんばれタイガース!
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2011年10月12日 (水) 20:12:00

大幅に増加した機械受注は設備投資の盛上りを示唆しているのか?

本日、内閣府から8月の機械受注統計の結果が発表されました。コア機械受注、すなわち、電力と船舶を除く民需がGDPベースの設備投資の先行指標と見なされています。8月のコア機械受注の結果は市場の事前コンセンサス+4.6%増を大きく超えて+11%増の8049億円を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注8月11%増 市場予想大幅に上回る
内閣府が12日発表した8月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は8049億円となり、前月比で11.0%増えた。増加は2カ月ぶりで、市場予想(4.7%増)を大幅に上回った。スマートフォン(高機能携帯電話)や自動車など製造業がけん引したためで、内閣府は機械受注は「持ち直し傾向にある」との判断を据え置いた。
機械受注統計は機械メーカーから、工場の生産設備などの受注額を聞き取り算出する。船舶・電力を除くベースの民間需要は、3カ月から半年ほど先の民間設備投資の先行指標とされる。
「船舶・電力を除く民需」は昨年8月(12.8%増)以来の高い伸び。業種別に見ると、製造業が13.7%増えた。電気機械や情報通信機械がスマートフォン向けの半導体製造装置を発注。自動車は生産体制の正常化を受け、東日本大震災の発生直後に見送った投資に動いた。
円高で先行き不安が強い化学工業や鉄鋼業は、小幅な増加にとどまった。非製造業は6.1%減少。前月の鉄道車両の大型受注の反動が響いた。
東日本大震災の復興関連では、自家発電用の発電機や運搬機械・建設機械などの受注がみられた。ただ今のところ「断片的な動きにしかなっていない」(内閣府)。
内閣府が6月に調査した7-9月期の「船舶・電力を除く民需」の見通しは前期比0.9%増。仮に9月が前月比10.0%減となっても見通しを達成できる。日銀の企業短期経済観測調査(短観)を見ても、企業の設備投資計画は堅調だが、円高が長期化すれば日本企業の投資意欲が鈍る可能性もある。


続いて、いつもの機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルが電力と船舶を除く、いわゆるコア機械受注とその後方6か月移動平均の推移、下は外需、製造業、電力と船舶を除く非製造業の需要者別機械受注の推移です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。また、縦軸の単位は兆円です。

機械受注の推移


第1に、月次の振れの大きい統計ですから6か月後方移動平均で見てると、今回のびっくりするような前月比2ケタ増は、決して、従来からのトレンドに比べて大きく上方シフトしたわけではない、と理解すべきです。すなわち、2009年3月の景気の谷から少し遅れて回復過程に入ったコア機械受注は、引き続き、着実な回復過程にあると考えられます。第2に、下のパネルから読み取れるのは、製造業中心の回復であり、非製造業まで機械受注の回復が及んでいない点には注意が必要です。もっとも、これまた、従来からの同じ傾向が続いているといえます。好調な製造業からの受注は外需を反映している可能性があり、円高と世界経済の失速で先行きは不透明感が残りますが、復興需要が本格化すれば設備投資の回復に伴って機械受注も増加を続ける可能性があります。国内の指標すべてについていえることですが、国内要因である復興需要と世界経済の失速の綱引きになります。もちろん、強さとともに持続性も注目すべきです。

単独で取り上げる機会を失しましたが、ノーベル経済学賞はサージェント教授とシムズ教授に授賞されました。いずれも立派な業績を残してノーベル経済学賞にふさわしいエコノミストなんですが、少しカップリングに違和感を覚えるのは私だけなんでしょうか?
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2011年10月11日 (火) 23:21:00

再び悪化した経常収支と消費マインドをどう見るか?

本日、財務省から経常収支を含む国際収支が、また、内閣府から需要サイドと供給サイドの2つのマインド調査の結果、すなわち、消費者態度指数を含む消費動向調査景気ウォッチャーがそれぞれ発表されました。それぞれ、経常収支は8月、マインド調査の結果は9月の結果です。総じて悪化しているように私は受け止めています。長くなりますが、まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の経常黒字64%減 貿易赤字が響き4075億円
財務省が11日発表した8月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支の黒字額は4075億円と前年同月比で64.3%減少した。東日本大震災以降、6カ月連続で前年同月の水準を下回った。リーマン・ショックの影響で経常赤字となった2009年1月以降では最小の黒字幅となった。
国際収支の内訳では、貿易収支が6947億円の赤字と3カ月ぶりに赤字に転じた。輸出は6カ月ぶりに前年同月比プラスに転じたものの、輸入が22.4%増えて収支が悪化した。火力発電に使う鉱物性燃料価格の上昇で液化天然ガス(LNG)の輸入が6割近く増えた。旅行や輸送などのサービス収支は1826億円の赤字で、前年同月より赤字幅が広がった。
一方、利子や配当にかかわる海外との取引を示す所得収支は前年同月に比べ18.2%増の1兆3539億円で、黒字幅は5カ月連続で拡大した。証券投資の配当金の受け取りが増えた。
9月の消費者態度指数、1.6ポイント上昇
基調判断を上方修正

内閣府が11日発表した9月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(季節調整値)は前月比1.6ポイント上昇の38.6だった。「雇用環境」が2.9ポイント上昇するなど、指数を構成する4指標全てがプラスとなった。
内閣府は基調判断を「持ち直している」に上方修正した。上方修正は6月以来。8月は「依然として厳しいものの、持ち直し傾向にある」としていたが、「過去に『厳しい』としていた水準が37や38であり、(その水準を上回ったため)表現から取り除いた」(内閣府担当者)としている。
消費者態度指数は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目について、今後半年間の見通しを「良くなる」から「悪くなる」までの5段階評価で集計している。4指標を平均すると「やや悪くなる」、「悪くなる」が減り、「変わらない」が増えていることから、上昇したものの消費に対しては依然慎重である傾向が見られる。
7-9月期に国内旅行をした世帯の割合は、前期に比べて4.6ポイント上昇の33.3%。4.4ポイント低下と調査開始以来最大の落ち込みだった前期に比べ、自粛ムードは改善した。
1年後の物価見通しについて、「上昇する」と答えた消費者の割合は67.2%と前月(70.5%)から3.3ポイント低下、「低下する」と答えた消費者の割合は6.3%で0.3ポイント低下した。一方で「変わらない」と答えた消費者は19.4%と2.9%上昇した。
調査は全国の6720世帯が対象。今回の調査基準日は9月15日、有効回答数は5030世帯(回答率74.9%)だった。
街角景気、9月の判断指数2カ月連続で悪化
円高懸念が鮮明に

内閣府が11日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比2.0ポイント低下の45.3と2カ月連続で悪化した。地上デジタル放送への完全移行に伴うテレビ需要の反動減が表れたほか、円高による景気減速の懸念が鮮明となった。
今回の調査では「円高のため海外受注は厳しい状況」(北陸の一般機械)や「円高を理由に、取引先からのコストダウン要請が今までより厳しい」(南関東の金属製品)など製造業から円高の悪影響を具体的に指摘する声が増えた。加えて「国内生産が減少し、産業の空洞化が進んでいる」(近畿のプラスチック製品)との声もあった。
家計では東京電力福島第1原子力発電所の事故による風評被害のほかに「台風の影響で生鮮食料品が品薄で価格が高騰」(沖縄のスーパー)したことや、地デジ化が終了して「テレビの販売量が減少している」(近畿の家電量販店)ことがマインドの悪化につながった。
円高の影響は製造業以外にも広がり、非製造業での景気実感が大幅に悪化したほか、雇用でも「円高の影響を受ける取引先企業では、先行きの見通しが立たないので、採用計画見直しの話も出ている」(中国の求人情報誌)という。
こうした現状を受けて内閣府は、景気の現状に対する基調判断を「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」で据え置くものの「円高の影響もあり、持ち直しのテンポが緩やかになっている」と為替相場の動向を強調した。一方で、震災に伴う自粛ムードを指摘する声がなかったことから「東日本大震災の影響が残る中で」との文言は削除した。
2-3カ月先の先行き判断指数は0.7ポイント低下の46.4と、3カ月連続で悪化した。円高による影響は先行きの不透明感につながり、「受注先から大幅な値下げ要請」(中国の鉄鋼業)との声があった。一部では「復興需要が期待できる」(北海道の家具製造業)との声があるが、内閣府は「プラスに働いているのは期待要因だけ」と慎重な見方を示した。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は9月25日から月末まで。


次に、経常収支のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが経常収支を表し、その内訳の貿易収支などを棒グラフでプロットしています。棒グラフの色分けは凡例の通りです。

経常収支の推移


なお、引用した記事は季節調整していない原系列に基づいているのに対して、グラフは季節調整済みの系列でプロットしていますので、少し印象が異なる可能性がありますが、総じて、経常収支は貿易収支の影響から悪化したと私は受け止めています。3月の震災以降、季節調整済みの系列で見て、3月と6月の貿易収支がほぼゼロのプラスであったのを除き、基調として貿易赤字が続いています。エコノミストとしては失格かもしれませんが、大雑把な印象として、輸出が震災以前の水準に復した一方で、輸入が大きく増加を示しています。このあたりは引用した記事とも整合的であり、一般的な実感とも合致していると思います。すなわち、火力発電等のためのLNGの輸入増の寄与が大きくなっています。日本は小国ではありませんから、輸入量が増加すれば価格も上昇し、ダブルパンチで輸入は増加します。また、何度かこのブログで書いたように、震災により日本経済の比較優位構造が変化した可能性があります。その意味からも、今後は経常収支がさらに注目を集めることと私は予想しています。

マインド調査の推移


他方、マインド調査は結果が分かれました。需要サイドのマインドである消費者態度指数が改善を示した一方で、供給サイドのマインドを表す景気ウォッチャーの現状判断DIは2か月連続で悪化しました。ただし、DIですから水準を議論する意味は余りないとはいうものの、震災前の水準への回帰という面では共通しているのかもしれません。もっとも、9月のマインドを動かしたひとつの要因に円高が考えられますが、供給サイドと需要サイドで円高が逆に作用した可能性が高いのではないかと私は受け止めています。

海外発ながら、我が国の景気が微妙な段階に達しました。3月の震災からの回復局面は終えたものの、海外景気が失速する中で、日本だけは復興需要が本格化します。マインドや雇用に起因する所得の変化とともにウォッチしたいと考えています。
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2011年10月10日 (月) 21:42:00

ジャイアンツに完勝して引導を渡し、そして3タテ、Aクラスへ!

  HE
阪  神000002220 690
読  売000010020 381


久し振りに野球を見ました。阪神の優勝の可能性はもうなくなったと考えていましたから、ほとんど興味は失せていたんですが、やはりジャイアンツ戦となると心が騒ぎます。今夜勝って借金1となり3位巨人とは2ゲーム差まで肉薄しました。今日の試合でジャイアンツは優勝の可能性がなくなったそうで、我が阪神が引導を渡したことになります。もっとも、阪神の優勝の可能性がなくなるのもそう遅い時期ではないと私は覚悟しています。
もちろん、Aクラスを確保したところで、クライマックスシリーズはどうせ負けるに決まってます。しかし、巨人を倒してのAクラスには意味があると私は考えてます。金本選手も引退しやすくなるような気がします。

ジャイアンツ相手に3タテ、Aクラス目指して
がんばれタイガース!
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2011年10月10日 (月) 13:58:00

福田和代『ヒポクラテスのため息』(実業之日本社) を読む

福田和代『ヒポクラテスのため息』(実業之日本社)


昨日の読書感想文の日記は中途半端でしたので、今日は、本格的にちゃんと読んだ本を取り上げたいと思います。福田和代『ヒポクラテスのため息』(実業之日本社) です。作者のブログサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

2011-09-15 新刊『ヒポクラテスのため息』本日発売です!
最新刊、『ヒポクラテスのため息』本日発売です!
今回は、なんと倒産間近の病院が舞台です。
医者になんかなるもんか、と反発して家を飛び出し、システムエンジニアの道を歩いていた主人公(風祭翔)が、実家の父の急死にともない、一時的に病院の理事に就任することを頼まれて……。
病院経営青春小説です。
医療崩壊などと叫ばれて久しいですが、医療の現場も頑張ってます!


『TOKYO BLACKOUT』や『迎撃せよ』や『タワーリング』などの大がかりなテロや犯罪を扱っていた作風から、前作の『リブート!』でガラリと身近なトピックに切り換えて、登場人物のキャラをしっかり書くように、そして、キャラ立ちさせることによって感情移入が出来るように、テーマの選び方も含めて大きく方向転換したんですが、まあ、その模索途上の一作ということで理解すべきです。
あらすじは引用した通りで、奈良で病院経営する父親の後を継いで医者になることなく、東京に飛び出した一人息子が父親の死に際して奈良に戻って病院を立て直そうとする物語ですが、少なくとも、フィクションなんですから、この作家のその昔のテロや犯罪ものと同じで、同時に、有川浩さんの『県庁おもてなし課』とも共通して、地方の医療崩壊の現場を描写するノンフィクションと同一視すべきではないと私は考えています。その意味で、登場人物が少ない、特に医者があまり出て来ないのはさて置くとしても、極めて特異なキャラをもった人物ばかりが配されています。その方が書きやすいんだろうと思います。特に女性は、主人公の母親、許嫁、病院の総務課員、と極めて特異なキャラをもった人物ばかりです。少なくともカギカッコ付きの「弱い女性」は登場しません。エンタテインメントとしては面白いのかもしれませんが、文学作品としては少しだけ疑問です。

この作者は基本的に大衆小説の作家だと認識していますので、サラリと純文学的な小説を書くのはムリかもしれませんが、少なくとも、「特異なキャラが特異な事件を引き起こす小説」から、「特異なキャラが日常の生活を営む小説」まで改善されたことは確かです。もうひとがんばりして、必ずしも個性的でない普通のキャラをキチンと書き分けられるようになれば、私もこの作者の本を買いたいと思います。今までは、すべて図書館で借りて読みました。新刊書がこれほどスンナリと借りられる作者から脱皮して欲しいと思います。
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2011年10月09日 (日) 18:46:00

札幌のヒグマ出没のニュースで思い出す北林一光『ファントム・ピークス』

我が家で購読している朝日新聞によれば、北海道は札幌市内でヒグマが出現しているそうです。ホン中の生息するツキノワグマとまったく違って、どう猛な肉食獣であり、日本国内では最も恐ろしい獣といえます。まず、朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

ヒグマが近くに…札幌厳戒 集団下校・売れるクマよけ鈴
札幌市の中心部に6日以降、ヒグマが相次いで出没している。観光名所の時計台から西へわずか3キロの円山地区と、南側の藻岩山のふもと。転勤族のマンションも集中する人気の住宅街だ。学校は集団下校を実施し、動物園や野球場にはキャンセルが出ている。連休中も警戒が続く。
「車で走っていたら体長2メートルほどのクマが住宅街に入った」「公園の木の横に1メートルくらいのクマが座っていた」「マンション隣の空き地でクルミの木に登ろうとしていた」……。こんな情報が6日未明から深夜にかけて相次いだ。少し離れた場所もあわせると9件。8日未明には、さらに市中心部側の国道230号付近で「クマのような動物が走っていった」という情報も道警などに寄せられた。
足跡やふんも見つかった。目撃情報から、市内に出没しているクマは少なくとも3頭いるとみられる。
道警はパトロールを強化し、市はクマの餌にならないように生ごみを早い時間に収集することを決めた。猟友会とも連携し、駆除も視野に入れている。
7日は周辺の小学校11校と中学校1校が集団下校。円山公園近くの市立円山小学校では8日からの3連休も外で1人で遊んだり、円山公園に出かけたりしないよう児童らに伝えた。佐々木雅史校長は「しばらくの間は円山公園方面の校外学習は見合わせる」。
6、7両日は公園内にある円山動物園で幼稚園が急きょ来園をやめたり、野球場利用者からキャンセルが出たりした。市内のアウトドア用品店では、クマよけグッズの売れ行きが好調だ。クマよけ鈴を「生徒に持たせたい」と一度に20個ほど購入した学校関係者もいたという。


下の画像は同じ朝日新聞の記事から引用した札幌市内のヒグマの出没地点地図です。私は札幌市内のはまったく土地勘はありませんが、札幌駅や同庁、市役所など、市内の中心部からそう遠くない地点に出没しているようです。

クマの主な出没地点


そこで、思いっ切りネタバレになるんですが、思い出したのが北林一光さんの『ファントム・ピークス』です。私は角川文庫ではなく、単行本で読みましたが、長野県下で不審死を遂げる女性について調査すると、実は、岐阜県のクマ牧場からヒグマが逃げ出していたというストーリーで、あえてジャンル分けすればホラー小説ということになります。ですから、我が家では私と下の子が読んでいたりします。北海道ですから、もともとがヒグマの生息地であり、管理が悪くてどこかのクマ牧場から逃げ出したというわけではないのかもしれませんが、このニュースに接した時、私と下の子は思わず顔を見合わせて、この小説を思い出してしまいました。

北林一光『ファントム・ピークス』(角川書店)


すでに作者の北林さんは鬼籍に入られていますが、なかなか興味深いホラー小説です。我が家では下の子がホラー小説が好みなので、スティーブン・キングを買い与えたりしていますが、最近では、沼田まほかる『ユリゴコロ』を読んだりしています。沼田まほかるさんの作品については、私もそのうちに読みたいと考えています。強引ですが、読書感想文の日記に分類しておきます。
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2011年10月08日 (土) 15:23:00

まだまだ冴えない米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国の労働省から9月の米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数の前月差増減と失業率は、それぞれ、+103千人と9.1%でした。失業率は市場の事前コンセンサスと一致しましたが、非農業部門雇用者数の市場の事前コンセンサスは60千人でしたから、景気後退懸念が和らいだと受け止められています。しかし、まだまだ雇用の回復は極めて緩やかと言わざるを得ません。まず、少し長くなりますが、Los Angels Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Economy adds 103,000 jobs but jobless rate remains at 9.1%
Hiring picked up a bit in September as employers added 103,000 jobs over the month, the government said Friday in a report that's likely to ease fears that the economy is hurtling toward another recession.
But the job growth wasn't strong enough to lower the unemployment rate, which remained stuck at 9.1% for the third straight month. What's more, manufacturing payrolls shrank, and government continued its sharp cutbacks.
Still, the latest statistics provided some encouraging signs. The Labor Department said the average workweek for all private-sector workers edged up in September. And statisticians said employers in August added 57,000 jobs, not zero as previously reported, and July's job count was also revised up to 127,000 from 85,000 initially reported.
In all, that puts the third quarter's average monthly job growth at 96,000 jobs -- still not enough to keep up with the population growth and bring down the unemployment rate. Job growth averaged 166,000 a month in the first quarter of this year.
The September jobs were partially inflated by the return to work of striking Verizon workers, just as their temporary absence from their jobs lowered the August job numbers. Apart from that, professional and business services led the industries in job growth by adding 48,000 to their payrolls last month. Healthcare employment rose by 44,000, and the long-declining construction sector added an unexpectedly large 26,000 jobs over the month.
The ranks of the unemployed, however, remained at about 14 million. And about 45% of these workers last month said they had been without jobs for six months or more.
Also, the number of part-time workers who want full-time hours rose sharply over the month, to 9.3 million, from 8.8 million in August. Including these workers and those who have quit looking because they don't see hope of getting hired, the percent of unemployed and underemployed in the U.S. rose to 16.5% in September, up from 16.2% in the prior month.


次に、いつもの米国雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門全体とそのうちの民間部門の雇用者数の前月差増減、下は失業率を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

米国雇用統計の推移


失業率のグラフに特に明らかなんですが、先の Great Recession の期間中に、これだけ失業率の水準が上昇したにもかかわらず、極めて緩やかにしか低下する気配を示しません。非農業部門雇用者数の増減も、昨年のセンサスの時期に政府雇用者でややイレギュラーな動きを見せた一方で、大雑把にならしてみれば、10万人増のレベルで横ばいのように見えます。要するに、米国雇用の改善は極めて緩やかであるといえます。

時間当たり賃金上昇率の推移


今月はいつもの Jobless Recovery ではなく、上の通り、時間当たり賃金のグラフをピックアップしてみました。全産業の時間当たり賃金について、前年同月比上昇率をプロットしています。今年に入って少し上昇率が上向く兆しを見せ始めたような気がしたんですが、ここ2か月は再び2%を割り込んでいます。雇用者数や失業率が雇用の量的な指標であるのに対して、賃金は雇用の質的な指標です。しかも、賃金上昇率が低下を続けると日本のようにデフレの恐れも出て来ます。注目すべき指標と私は考えています。

雇用と景気はニワトリとタマゴの関係にありますが、どちらかというと、米国では雇用から景気へ、日本では景気から雇用に、グレンジャー因果と呼ばれる時系列的な波及効果があるように私は受け止めています。
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2011年10月07日 (金) 20:23:00

景気の先行きやいかに?

本日午後、内閣府から8月の景気動向指数が発表されました。前月比で見て、CI一致指数は小幅に上昇しましたが、先行指数はマイナスを記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致CI、2カ月ぶり上昇 先行は4カ月ぶり低下
内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(CI、2005年=100、速報)は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.3ポイント上昇の107.4だった。2カ月ぶりに上昇した。自動車などの輸送機械工業や鉄鋼関連などの生産の増加が指数を押し上げた。新規求人が増加した有効求人倍率や液化天然ガス(LNG)の輸入取り扱いが増えた商業販売額(卸売業)も上昇に寄与した。
一方、先行指数は0.8ポイント低下の103.8と、4カ月ぶりに低下した。最終需要財在庫率指数の上昇が指数を押し下げた。デスクトップパソコンや建設用クレーンなどの資本財や、液晶テレビ、冷蔵庫などの耐久消費財の在庫率が積み上がっている。世界的な景気減速懸念の高まりや欧州債務問題、円高を背景に、東証株価指数や日経商品指数などのマーケット関連がマイナスだった。
基調判断は「改善を示している」に据え置いた。
景気に数カ月遅れる遅行指数は、1.0ポイント上昇の89.6だった。


次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルがCI、下がDIとなっています。CIの色分けは凡例の通りです。いずれも影を付けた部分は景気後退期です。

景気動向指数の推移


一致指数を詳しく見ると、プラスに寄与したのは中小企業売上高(製造業)、有効求人倍率、生産財出荷などであり、逆に、マイナス寄与は商業販売額(小売業)、大口電力使用量などとなっています。3月の震災の直接的な影響と震災に起因するサプライ・チェーンの毀損による供給制約からのV字回復過程は完全に終了し、今後、復興需要にけん引されつつも、世界経済の失速とともに日本経済にも不透明感が漂う可能性が高いと私は受け止めています。もちろん、復興需要のプラスと世界経済の失速のマイナスのいずれが強いのか、が問題なんですが単純ではなく、地域や産業によっても異なる可能性が高いと考えるべきです。

また、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合が終了し、「当面の金融政策運営について」が発表されています。追加緩和は見送られています。なお、景気の先行きについては、「海外経済は、当面減速するものの、基調的には、新興国を中心に底堅く推移すると考えられる。そうしたもとで輸出が緩やかな増加基調をたどることや、資本ストックの復元に向けた国内需要が顕現化してくることなどから、わが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。」と見ているようです。私もかなり楽観的なエコノミストなんですが、さらに上を行く景気認識だという気がしないでもありません。
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2011年10月06日 (木) 20:04:00

世界のCO2排出やいかに?

一昨日、国際エネルギー機関 (IEA) から、Key World Energy Statistics 2011 が公表されています。統計の主たる項目はまだ2009年で、リーマン・ショック直後の世界経済の Great Recession を反映して、エネルギー消費は減少に転じた旨が報告されています。エネルギー消費とともにCO2排出も減少しています。今夜はエネルギーではなく、このCO2排出に着目して、リポートの pp.48-57 Selected Indicators for 2009 のデータを基に、いくつかグラフを示しつつ簡単に統計を見ておきたいと思います。

CO2 Emissions by country (mil. tons)


まず、国別のCO2排出量ですが、上のグラフに見る通り、米国を軽く上回って中国が3年連続で最大のCO2排出国となりました。上のグラフの単位は2009年における百万トンで、世界全体の2009年におけるCO2排出は28,999百万トンに上っています。リーマン・ショック後の景気の落ち込みが小さかったという見方も出来ますが、実は、中国をはじめとする新興国・途上国はエネルギー原単位がかなり悪いという事実もあります。以下のグラフの通りです。

CO2 Emissions per GDP (kg/2000US$)


上のグラフは最初の円グラフの諸国に、先進国の代表としてのOECD平均と新興国・途上国の代表としてアジア諸国平均を加えて、2000年価格の米ドル1000ドルのGDPを産出する際に発生するCO2排出をキログラム単位で棒グラフにプロットしています。水平な赤い横線は世界平均であり0.73です。製造業の比率などの産業構造に依存する部分が大きいんですが、中国のCO2排出のGDP原単位がかなり大きいことが見て取れます。産業構造の違いを無視すれば、GDP当たりのCO2排出は中国は日本の10倍近いことになります。逆から見れば、日本にはCO2排出を抑制する工学的及び経済学的な技術があり、何らかの比較優位構造に育て上げる可能性が示唆されていると考えられます。

典型的な逆U字型の環境クズネッツ曲線の議論ですが、産業構造の違いは考慮する必要はあるものの、日本のCO2排出のGDP原単位は米国やドイツと比較しても大幅に低く、大きな比較優位を持っている可能性を見逃すべきではありません。
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2011年10月06日 (木) 19:42:49

アップル社ジョブズ氏の死を悼む

広く報じられている通り、アップル社の創設者の1人であり、現代におけるもっとも remarkable な経営者の1人であったスティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。以下はアップル社のサイトからの引用です。

Steve Jobs
1955-2011


Apple has lost a visionary and creative genius, and the world has lost an amazing human being. Those of us who have been fortunate enough to know and work with Steve have lost a dear friend and an inspiring mentor. Steve leaves behind a company that only he could have built, and his spirit will forever be the foundation of Apple.
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2011年10月05日 (水) 19:58:00

読書の秋に見る女性の読書傾向やいかに?

今週あたりから気温が大きく下がり、秋が深まって来た気がします。食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、などとともに、読書の秋のシーズンです。ご存じの方も多いでしょうが、明日はノーベル文学賞が発表されます。ということで、今夜のエントリーはメディア・インタラクティブ社が実施した「読書に関する意識調査」を取り上げたいと思います。発表されたのは先週の9月26日で、成人女性500人を対象にした調査です。逆にいえば、男性は含まれていません。まず、リポート p.1 から、結果の概要は以下の3点にまとめられています。

  1. 女性に人気の小説ジャンルは「推理小説」
  2. 好きな作家は第一位、「東野圭吾」、「泣ける」一冊、第一位東野 圭吾「手紙」
  3. 電子ブックリーダですが、利用経験1割弱


ということで、リポートから「よく読む小説」と「この秋に読みたい小説」のジャンルを問う質問への回答は以下のグラフの通り、最初のポイントに挙げられているように、いずれも、推理小説がトップで、次いで、恋愛小説、ファンタジーとなっています。男性なら少し回答が違っている可能性がありますが、かなりイイセンを行っている気がします。

読書に関する意識調査


さらに、物悲しい秋に「オススメの泣ける小説」が調査されています。女性が勧めるトップ5冊と得票は以下の通りです。

  • 東野圭吾『手紙』(11票)
  • 夏川草介『神様のカルテ』(9票)
  • ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』(9票)
  • 梨木香歩「西の魔女が死んだ」(9票)
  • 東野圭吾『容疑者Xの献身』(8票)


さらに、リポートにはランクインしていないものの、東野圭吾さんの「『秘密』も多くの回答が寄せられた」と記しています。私は上のランクイン5冊に『秘密』まで含めて、6冊すべてを読んだ記憶がありますが、納得のいくランキングだという気もしますし、「西の魔女が死んだ」は少し年齢層の低い女性にファンが多いような気もしないでもありません。『アルジャーノンに花束を』のように、邦訳が出版されてからでも50年を経過する古典もあれば、『神様のカルテ』のようについ最近といえそうな新作も上げられています。実に興味深いランキングです。また、逆に「元気の出る一冊」については、有川浩さんの『図書館戦争』が圧倒的な支持を集めたそうです。もっとも、シリーズとしての「図書館戦争」、すなわち、『図書館内乱』、『図書館危機』、『図書館革命』を含むシリーズなのか、書籍としての『図書館戦争』なのかは判然としません。私の場合、高木貞治先生の『解析概論』を読むと元気が出ていた時期があるんですが、変わり者なだけなのかもしれません。

繰返しになりますが、明日はノーベル文学賞の受賞者が発表されます。今年こそ村上春樹さんにノーベル文学賞を、と思い続けて数年がたった気がします。今年も楽しみに発表を待ちたいと思います。
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2011年10月04日 (火) 19:42:00

毎月勤労統計に見る雇用は一向に改善せず!

本日、厚生労働省から8月の毎月勤労統計調査の結果が発表されました。ヘッドラインとなる現金給与は季節調整していない原系列の前年同月比で▲0.6%減と3か月連続の減少を記録し、所定外労働時間も伸びず、厳しい雇用情勢を裏付けた形になりました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

8月現金給与、0.6%減の27万3580円 3カ月連続マイナス
厚生労働省が4日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.6%減の27万3580円と3カ月連続で減少した。賞与や残業代などが減少したことが響いた。
賞与など「特別に支払われた給与」は6.0%減の1万1781円、残業代などの所定外給与は2.2%減の1万7684円と2カ月ぶりに減少した。所定内給与も0.1%減の24万4115円と8カ月連続で減少している。厚労省は、所定内給与のマイナス幅が縮小していることや総労働時間の伸びを指摘、「大きな傾向は7月と変わりない」とみている。
総労働時間は0.5%増と2カ月ぶりに増加した。平日の出勤日数が増え、所定内労働時間が0.7%増えたことが寄与した。所定外労働時間は2.1%減、うち製造業は0.7%減少した。製造業の残業時間は季節調整済み指数で前月と比較しても1.5%減と4カ月ぶりにマイナスに転じている。


次に、グラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない賃金指数の前年同月比伸び率、下は景気動向に敏感な所定外労働時間指数の季節調整済み、2005年=100となる指数そのものです。影を付けた部分は景気後退期であり、いずれも5人以上事業所の調査結果です。当然ながら、30人以上事業所よりもカバレッジは広くなっています。

毎月勤労統計の推移


繰返しになりますが、賃金は3か月連続の前年割れとなっていて、特に、所定内・所定外とも減少しています。景気動向に敏感な所定外労働時間も震災やその後の節電対応などの撹乱要因があったものの、2009年3月の景気の谷を底に反転した後、1年ほどは順調に回復しましたが、その後、ここ1年半近くはならして見ればほとんど横ばい状態で推移しているように見受けられます。要するに、我が国の雇用情勢は一向に改善が見られないわけです。雇用情勢の改善が遅れることにより消費の本格的な回復が遠のくことにもなりかねません。

円高と世界経済の大失速とで、この先、外需は冷え込むことが懸念されます。他方、雇用から消費への内需の2段ロケットも点火しないとなれば、頼みの綱は復興需要の政府支出だけということにもなりかねません。株式市場はこういった要因をしっかりと読み込んで本年最安値を付けているような気がします。
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2011年10月03日 (月) 21:29:00

大企業で業況判断DIがプラスに転じた日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から9月調査の短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは+2、先行きも+4とプラスに転じ、変化幅は小さくやや慎重姿勢がうかがえるものの、まずまず先行きも明るい結果を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業の景況感が改善、9月の日銀短観 先行きは慎重
日銀が3日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス2となり、前回6月調査から11ポイント改善した。プラスは半年ぶり。東日本大震災による供給制約がほぼ解消し、生産や輸出が持ち直した格好。ただ先行き3カ月を予想するDIはプラス4にとどまり、長引く円高や世界経済の減速懸念を背景に慎重な見方が多い。
企業の業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。調査対象は1万910社で回答率は98.8%。前回から0.6ポイント上昇した。3月調査はプラス6、事実上初めて震災の影響を反映した6月調査はマイナス9だったため、今回調査はV字回復の途上にあるとの結果を示した形だ。
業種別では、大企業製造業の16業種のうち10業種で改善、2業種が横ばいだった。震災の影響で生産が急減していた自動車は、部品などのサプライチェーン(供給網)の回復を背景に65ポイント上昇のプラス13。上昇幅は過去最大となった。電気機械や窯業・土石製品、非鉄金属なども2桁の上昇を示した。
DIがプラス1と前回比6ポイント上昇した大企業非製造業は12業種中8業種で改善。震災の影響で自粛ムードの出ていた対個人サービスや宿泊・飲食サービスのほか、小売りも回復した。中小企業製造業も10ポイント上昇しマイナス11、同非製造業は7ポイント上昇のマイナス19と、軒並み改善した。
ただ、3カ月先の先行きをみると、慎重な見方をしている企業が多い。大企業製造業の先行きDIはプラス4にとどまった。自動車は11ポイント、電気機械は1ポイントの改善を見込むが上昇幅は限定的。中小企業製造業では1ポイント悪化に転じるなど、全規模全産業でみた先行きDIは2ポイント悪化しマイナス11となっている。
企業心理の負担となっているのは1ドル=77円前後の円高や世界経済の減速懸念だ。過去最高水準の円高が続けば、競争力の低下で輸出が落ち込み、生産に影響が出かねない。世界経済の減速懸念も日本の震災からの回復の足を引っ張る要因となるため、企業は景気の先行きに慎重姿勢を強めている。
事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業が2011年度で1ドル=81円15銭と、過去最高の円高水準。年度上期(81円26銭)よりも下期(81円06銭)に円高が進むとみており、企業は経営環境の厳しさが増すと見通している。
こうした見通しは11年度の収益計画にも表れている。大企業製造業の売上高は前年度比4.1%増と前回調査よりも上方修正されたものの、経常利益は0.3%減と下方修正された。震災の影響で減った利益を、下期で取り戻せるかが焦点だったが、下期の経常利益が下方修正され、通年でも減益見通しとなった。
11年度の設備投資計画は大企業製造業で前年度比10.1%増と前回調査と比べ小幅に上方修正された。


まず、業況判断DIの推移を製造業と非製造業、また、気魚規模別に大企業と中堅企業と中小企業に分けて見ると以下の通りです。見れば明らかですが、上のパネルが製造業、下が非製造業で、いずれも影を付けた部分は景気後退期です。

業況判断DIの推移


3月の震災の本格的な影響が企業マインドに現れたのが6月調査で業況判断DIは大きく下に振れましたから、今回の9月調査でV字回復し、先行き12月の見通しがプラスではあっても、やや慎重姿勢と見えなくもありません。いずれにせよ、2010年3月の景気の底を脱して以来、2010年6月調査で大企業製造業の業況判断DIがプラスに転じ、その後の2010年9月調査以来、震災の影響を除けばほぼ横ばいと見られなくもありません。大企業非製造業も同じように見えます。ヘッドラインとなる大企業、特に大企業製造業がけん引する姿は見られず、先行きも欧米の債務不安に端を発する円高や世界経済の減速など、明るい見通しは立ちかねているのが現状かもしれません。

設備・雇用判断DIの推移


目を設備と雇用の要素需要に転ずると、設備と雇用人員の判断DIのグラフは上の通りです。プラスほど過剰であることを意味しています。今回の景気回復局面に限ったことではなく、いつもながら、設備や人員の過剰感は景気後退期に急速に高まる一方で、不足感は景気回復が始まってもなかなか高まらないどころか、過剰感の払拭すらままならない運びとなっています。特に、設備・人員とも震災前から過剰感の払拭にすらブレーキがかかっていたのが読み取れます。

設備投資計画の推移


最後に、設備投資計画が大きく下方修正されたのは意外感がありました。9月調査の短観では、3月決算から5-6月に株主総会などで年度計画がオーソライズされ、9月の時点では大きな変更はないものと見込んでいました。しかし、中身を見ると、引用した記事にもある通り、製造業が上方修正される一方で非製造業が下方修正されており、必ずしも円高に対応しているわけではなく、むしろ、節電、あるいは、震災復旧も含まれていそうな気もします。今後、震災復興のインフラ整備に伴って底堅く推移する可能性があると私は見ています。

方向として、景気は回復を示しており、雇用も拡大する方向にあることは確かなんですが、いかんせん、回復が力強さに欠けており、さらに、円高や世界経済の減速といった先行き不透明感が余りにも強いことから、期待成長率が高まらず雇用や設備の改善につながっていません。また、製造業の想定為替レートがまだ80円強となっています。長く70円台が続いていますが、収益が下振れする可能性が示唆されているのかもしれません。
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2011年10月02日 (日) 20:28:00

明日発表の日銀短観の業況判断DIはプラスに転ずるか?

明日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIを取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。今回は、三菱総研を除き設備投資計画に関するコメントを取りました。主語が不明瞭なヘッドラインについては、設備投資計画に関するコメントです。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、富士通総研以外は pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。なお、富士通総研は html 形式のリポートとなっています。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査先行き+2
▲2
<+4.2>
n.a.
日本総研+5
+2
<+5.1>
復旧・復興の進展と堅調な新興国経済を背景に上積み。もっとも、円高や欧米経済の減速懸念による収益下押し圧力が、企業の設備投資マインドを下期にかけてやや慎重化させる可能性も
みずほ総研+2
+2
<+4.8>
海外経済減速などの懸念材料はあるものの、大企業の年度計画が9月時点で下方修正される可能性は低いだろう
ニッセイ基礎研+1
+3
<+4.2>
先行きへの不透明感が強い中で慎重姿勢が残り、例年に比べ上方修正幅が限定的に留まる可能性が高い
第一生命経済研0
+5
<+3.6>
円高や景気減速の影響を受けて設備投資が変動するのかについて目を配っておきたい
三菱総研+2
+2
<n.a.>
震災からの日本経済の回復の動きは夏場で一段落したとみられる一方、復興需要の本格化は想定よりも遅れており、足元の景気は足踏み状態
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+3
+1
<+4.0>
製造業を中心に強めの計画が維持されると見込まれる
みずほ証券リサーチ&コンサルティング+3
+2
<+4.5>
概ね例年のパターンに沿う形で、設備投資計画は中小企業を中心に前回調査に比べて上方修正
伊藤忠商事+2
+1
<+4.0>
震災後に作成した計画は微修正されるに留まるだろう
富士通総研+3
+1
<+4.3>
今年度の設備投資は底堅く推移していくと見込まれる


見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、大企業全産業の2011年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。9月時点では業況判断DIはプラスに転ずるとの予想が大勢を占めているようです。
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2011年10月01日 (土) 18:12:00

子供達の学校の体育祭と運動会を見に行く

今日は、午前中は我が家のおにいちゃんの中学校の体育祭、午後から下の子の中学・高校の運動会に、出かけました。我が家の子供達がいずれも中高一貫制の男子単学に通っていますが、おにいちゃんの学校が中学と高校を分けて体育祭と呼ぶのに対して、下の子の学校では中学と高校をいっしょにして運動会を開催するようです。いろいろと学校で特色があるんでしょう。どちらにせよ、私の子供が運動が得意なはずもなく、ボチボチと参加していたような気がします。それにしても、下の子の学校の場合、競技する際は裸足で上半身裸がデフォルトだった気がします。男子校とはいえ、今日なんかは夕方遅くには寒くなりますし、少し考え直した方がいいんではないかという気がしないでもありませんが、何らかの伝統か何かがあるんでしょう。
実は、私も男子単学の中高6年制の学校に通っていたんですが、中学・高校の運動会や体育祭があったという記憶がありません。さらにさらにで、6年間の長きにわたって水泳の授業を受けた記憶もありません。今年お盆の8月15日付けのエントリーで書いた通り、母校の高校バレーの応援に駆け付けた際に、バレー部の2年下で母校の生物の教師をしている後輩に聞いたところ、今でも水泳はやっていないそうです。そこそこの進学校とはいえ、はなはだしく体育を軽視していた気がします。
下の写真は上から、騎馬戦に臨むおにいちゃん、On the horse に臨むおにいちゃん、水風船騎馬戦に敗退して退場する下の子、ぼーぼーに臨む下の子、最後に、下の子の中学校のグランドから望む東京タワーです。何分、同じ格好をして似たような年格好の男の子ばかりですから、誰が写っているのか怪しげですが、やや旧式のコンパクト・デジカメの性能と私の腕前の限界です。決して鑑賞向けではなく、あくまで、我が家の子供達の成長の記録として残しておきたいと思います。

体育祭で騎馬戦に臨むおにいちゃん

体育祭で On the horse に臨むおにいちゃん

運動会で水風船騎馬戦に敗退して退場する下の子

運動会でぼーぼーに臨む下の子

下の子の中学校のグランドから望む東京タワー
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