2012年06月30日 (土) 20:03:00

道尾秀介『光』(光文社) を読む

道尾秀介『光』(光文社)


道尾秀介『光』(光文社) を読みました。私が最も注目する若手作家のひとりです。みずみずしい感性が手に取るように理解でき、とてもよかったです。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

光 道尾秀介/著
仲間とともに経験した、わくわくするような謎。
逃げ出したくなる恐怖と、わすれがたい奇跡。


真っ赤に染まった小川の水。
湖から魚がいなくなった本当の理由と、人魚伝説。
洞窟の中、不意に襲いかかる怪異。
ホタルを、大切な人にもう一度見せること。
去っていく友人に、どうしても贈り物がしたかったこと。
誰にも言っていない将来の夢と、決死の大冒険──

小学四年生。
世界は果てしなかったが、私たちは無謀だった。
どこまでも、歩いていけると思っていた。


上の引用にある通り、小学4年生の男の子が主人公であり、春に始まって冬まで、小学4年生の1年間を余すところなく描き切る小説です。短いミステリ仕立ての第1章から始まって、湖の人魚の伝説と教頭先生の少年時代のお話、アンモナイトの化石にまつわる話題と同級生の引越し、6年生になるクラスメートの姉へのほのかな恋心、1年下の3年生を巻き込んだアブナい大冒険、そして、誘拐事件へと、ノンストップで一気に読ませます。作者の持つ素晴らしい構成力や表現力を駆使して、少年時代の純粋な思考や行動、何事も前向きに取り組む姿勢、といった少年生活をとても活き活きと描写しています。一気に読ませる割には読みごたえも十分で、読後感もかなり爽やかさに満ち溢れています。決して、昭和ノスタルジーのような懐古趣味ではないんですが、純粋に少年少女時代の懐かしさがよみがえります。従って、川上弘美『七夜物語』のように小学4年生を主人公にして小学4年生に読ませる本ではありません。当然ながら、小学4年生を経験した大人が読む物語です。

私はハルキストであり、村上春樹の小説をこよなく愛しているんですが、我が家の子供達とともに流行作家である東野圭吾や伊坂幸太郎も大好きです。そして、若手作家ではこの道尾秀介とともに川上未映子に注目しています。この『光』も多くの方が手に取って読むことを願っています。
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2012年06月30日 (土) 17:42:00

キャプテン鳥谷遊撃手の3打点で秋山投手が2年振り勝利!

  HE
阪  神112010010 6120
ヤクルト103000000 480


今日も阪神は序盤から活発に得点しました。ホームランも出ました。やや頼りないながらも秋山投手が何とか粘って2年振りの勝利でした。打つ方では鳥谷遊撃手の3打点が光りました。さすがキャプテンの活躍でした。昨夜は福原投手にクローザー的な役割を期待した投手起用だったように見受けましたが、今日は素直に榎田投手を最後に持って来ました。当然です。

明日も、
がんばれタイガース!
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2012年06月29日 (金) 21:50:00

先発能見投手がリードを守れずリリーフ陣が抑え切れずヤクルトに逆転負け!

  HE
阪  神041010000 6120
ヤクルト00310210x 770


ナゴヤドームと違って、神宮球場では序盤から活発に得点しました。しかし、先発の能見投手がリードを守れず、リリーフ陣もエラーに泣いた決勝点でしたが、ことごとく抑え切れずに東京ヤクルトに大逆転負けを喫してしまいました。これで、4連敗となり暗黒の最下位時代が蘇ったような雰囲気です。投手が抑えれば得点できず、序盤から積極的に得点すれば投手が抑え切れません。まさに悪循環そのものです。

明日は、
がんばれタイガース!
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2012年06月29日 (金) 20:11:00

集中的に発表された政府統計から景気の現状を考える

本日、政府統計が集中的に発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率、厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。生産はやや弱く、雇用はしっかり、物価も相変わらず、といった印象を持ちました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産3.1%低下5月、欧州向け車が低水準
経済産業省が29日発表した5月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整値)速報値は92.4と、前月比3.1%低下した。マイナスは2カ月連続。4月まで好調だった自動車の生産が欧州向けを中心に調整した。6月と7月の予測値はプラスとなっており、経産省は基調判断を「持ち直しの動きで推移している」と据え置いた。
5月の指数の低下幅は事前の市場予想(2.8%)よりも大きかった。今年は5月の稼働日が4月より少なく、経産省は「数字が実態より弱く出ている可能性が高い」と分析している。専門家の間では「落ち込みは一時的で、生産は夏場にかけて持ち直す」(野村証券)との見方が多い。
生産指数は全16業種のうち12業種で低下した。輸送機械工業が11.1%下がり3カ月ぶりのマイナス。欧州向け乗用車の生産水準を落としている。このほか化学工業が合成洗剤を中心に4.5%低下、一般機械工業もショベル系掘削機械の生産減で2.4%下がった。
鉱工業全体の出荷も自動車の減少が響いて1.5%低下し、4カ月ぶりにマイナスだった。在庫も0.6%減と3カ月ぶりのマイナスだった。
同日発表された製造工業生産予測調査は6月が2.7%、7月が2.4%といずれもプラスだった。電子部品・デバイス工業が家電や産業機械、ゲーム機器向けを中心に高い伸びを続ける計画だ。輸送機械工業の予測は6月に3.2%減、7月は1.4%増だった。
失業率3カ月ぶり改善4.4% 5月、有効求人倍率0.81倍
総務省が29日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント改善して4.4%となった。改善は3カ月ぶり。厚生労働省が同日発表した5月の有効求人倍率(同)は0.81倍で前月を0.02ポイント上回り、リーマン・ショックの起きた2008年9月以来3年8カ月ぶりに0.8倍を超えた。復興需要などを背景に足元の雇用は改善傾向が目立つ。
厚労省は「雇用情勢は持ち直しているものの、依然として厳しい状況にある」との基調判断を示した。前月までの「一部持ち直し」の表現から「一部」を削除し、9カ月ぶりに判断をやや上方修正した。
完全失業率は15歳以上の働く意欲のある人のうち、職に就いていない人の割合を示す。男性が0.3ポイント改善した半面、女性は0.1ポイント悪化した。製造業の就業者数が伸び、男性の失業率の改善につながった。
有効求人倍率は12カ月連続で上昇した。東日本大震災の被災地で求人が増えており、岩手県(1.03倍)と宮城県(1.13倍)で求人数が求職者数を上回る1倍を超えた。福島県を加えた被災3県でみると、建設業の需要を背景に有効求人数は12万8211人となり、震災前(11年2月)の6万7584人から2倍近くに伸びている。
5月の全国の労働力人口は前月比20万人減り、就業者数は10万人落ち込んだ。団塊世代が定年の65歳に差し掛かったためで、日本の働く人口の縮小が失業率の改善を招いている面もある。総務省は「人口構造の変化に注意し、就業者数が今後増えるかどうかを注意深くみていく」としている。
消費者物価4カ月ぶり下落 5月0.1%
総務省が29日発表した5月の全国消費者物価指数(2010年=100)は値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで100.0となり、前年同月比0.1%下落した。下落は4カ月ぶり。薄型テレビやノート型パソコンが下がったほか、ガソリンや都市ガス代などエネルギー関連の上昇幅が前月よりも縮小した。
テレビは前年同月比0.4%下落した。今年2月に約6年ぶりにプラスになったが、5月は4カ月ぶりに落ち込んだ。昨年5月は地上デジタル放送への移行前の品薄でテレビ価格が上がっていたため、反動が出たとみられる。ノート型パソコンなど教養娯楽用耐久財は7.3%下落した。
ガソリン価格は0.9%上昇したものの、原油価格の低下傾向を受け、前月よりも上げ幅が縮小した。総務省は「エネルギー価格の影響が大きく、物価は横ばいの圏内」とみている。
東京都区部の6月の消費者物価指数(中間速報値)は生鮮食品を除くベースで99.0となり、前年同月比0.6%下落した。ガソリンが3.8%、テレビも18.1%下落した。2009年5月から落ち込みが続くが、下げ幅は前月よりも0.2ポイント縮まった。


いつもの鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷です。いずれも季節調整済の系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

鉱工業生産の推移


引用した記事にもある通り、生産は2か月連続で減産となりました。しかも、▲3.1%の低下は市場の事前コンセンサスである▲2.8%を上回る減産でした。しかし、市場が特に大きな失望感を示さず平静に受け止めているのは、6-7月の製造工業生産予測指数がリバウンドを示しているからです。特に、電子部品・デバイスの6月前月比+14.1%増が突出しています。電気機械や情報通信機械も6月からプラスの増産に転じる見込みとなっており、マイクロな情報は入手していないんですが、これらの産業の並びを眺めれば、大きな電機関係の工場の稼働が始まるとか、稼働率を上げる予定があるとか、何か特殊な要因があるのかもしれません。また、下のパネルから明らかなように、資本財出荷は5月も伸びており、先行きの明るさを示唆していると私は受け止めています。

雇用統計の推移


雇用統計のグラフは上のパネルから順に失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。雇用についてもスローなテンポながら、着実に改善を示していまると私は受け止めていますが、懸念される点は雇用のミスマッチです。このところ労働力人口が減少しているのは、基本的に、いわゆる「団塊の世代」が65歳に達して非労働力化するからなんでしょうが、求人と求職のミスマッチにために労働市場から退出していることも考えられ、毎月の統計の発表だけでなく、もう少し詳細な労働市場の分析が必要です。例えば、引用した記事にもある通り、建設や土木の分野を中心に被災地の岩手県や宮城県で有効求人倍率が1を上回っていますが、単に量的な指標だけでなく、decent job が提供されているのかどうかを検証する必要があります。統計的に雇用は緩やかに改善していることは確かですが、国民目線で見てホントに雇用が改善しているかどうかは、少なくとも私は判断を留保したいと感じなくもありません。

消費者物価上昇率の推移


最後に、消費者物価は大きな動きなく、上のグラフの通りです。マイナス基調の続くデフレはかなり緩和されましたが、まだデフレから脱却したとは言い切れません。青い折れ線グラフが全国の生鮮食品を除くコア消費者物価の前年同月比上昇率、赤い折れ線が食料とエネルギーを除くコアコアCPI、グレーが東京都区部のコアCPI、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度を、それぞれプロットしています。ただし、いつものお断りですが、総務省統計局は物価上昇率や寄与度は小数点以下2桁よりも細かい単位の端数を持った指数で計算していますが、私を含めて一般には端数を持った指数は利用可能ではありませんので、上のグラフの物価上昇率や寄与度は端数のない指数で計算しています。
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2012年06月28日 (木) 22:05:00

商業販売統計に見る消費の動向やいかに?

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が発表されました。ヘッドラインとなる小売販売の前年同月比は+3.6%増の11兆3060億円で6か月連続の増加となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の小売業販売額、6カ月連続増加 自動車販売増がけん引
経済産業省が28日発表した5月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆3060億円と前年同月比3.6%増加した。増加は6カ月連続。東日本大震災で消費が落ち込んだ前年の反動に加え、好調な自動車販売が消費をけん引した。
エコカー補助金などの政策効果で自動車小売業は47.3%増と、8カ月連続のプラスになった。生鮮食品高に加え、総菜などの売れ行きが良く、飲食料品小売業は0.8%増だった。また石油製品の高止まりを主因に燃料小売業は2.2%増となったが、「4月より燃料高の影響は落ち着いてきている」(経産省)という。
一方、薄型テレビの販売不振は続き、機械器具小売業は24.1%減と10カ月連続のマイナスだった。自動車販売に支えられている小売業全体の先行きについて、経産省は「エコカー補助金の効果がいつ終息するかについては注意していかなければならない」と警戒する。
百貨店やスーパーを含む大型小売店は0.2%減の1兆5746億円だった。既存店ベースでも0.9%減と2カ月連続のマイナスだった。3月は天候が悪かったほか、前年と比べて土日や祝日の日数が少なかったため、全般的に売れ行きは低調。百貨店は既存店ベースで0.9%減に落ち込み、スーパーは0.8%減だった。
ファストフードなどの売り上げが伸び、コンビニエンスストアは6.0%増の7920億円、既存店ベースでも1.7%増だった。


次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも卸売販売と小売販売の推移なんですが、上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比を、下は2005年=100となる季節調整指数を、それぞれプロットしています。

商業販売統計の推移


先行きの消費を占う上で注意すべきポイントは2点あると私は考えています。第1に、今年の1-3月期に一時的なピークを越えた可能性があるものの、まだまだ水準は高く消費は底堅いということです。上のグラフから明らかな通り、季節調整していない原系列の小売販売の前年同月比は3月に+10.3%増の伸び率のピークをつけた後、4月+5.7%増、5月+3.6%増とプラスながら伸び率は鈍化していますし、季節調整指数の直近のピークは3月でした。もちろん、引用した記事にもある通り、天候要因や休日要因もありますが、足元でピークを過ぎたことはかなり確実です。でも、季節調整指数は今年に入って5か月連続で100を超えており、消費は底堅いと受け止めています。第2に、しかしながら、消費の底堅さを裏付けているのはエコカー減税・補助金によって水膨れした自動車販売であり、政策効果が発現しているといえば聞こえはいいんですが、報道によれば来月にも財源が底をつく可能性があり、その後は反動減が始まってしまうと覚悟すべきです。小売販売の前年同月比+3.6%増に対して、自動車小売の寄与度は+4%超あり、自動車を除く小売販売は実は前年同月でマイナスに陥っていることを認識すべきです。何度もこのブログで主張した通り、特定の財に特定の期間だけインセンティブをつけて市場を歪める政策の限界であると私は受け止めています。民主党政権も自公政権と同じような政策を採用したわけですから、ホテリング的なアイスクリーム・ベンダー問題に帰着するのかもしれません。

消費はピークを越えたものの水準が高くて底堅い、というのは評価の難しいところです。1-3月期の2次QEを取り上げた6月8日付けのエントリーで、消費は "Half Full, Half Empty." と書きましたが、夏季ボーナスを含む所得動向とも併せて注視する必要があるような気がします。
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2012年06月27日 (水) 21:58:00

先発岩田投手が崩れて中日にボロ負け!

  HE
阪  神000202000 482
中  日40210200x 9120


DeNA戦とは打って変わって、ナゴヤドームに来れば先手を取られて序盤に大量失点してボロ負けで連敗しました。先発の岩田投手はまったく安定感なく、初回に4失点した後も、なぜか4回まで続投させ傷を広げました。打線は中日の5投手に目先を変えられつつ8安打の4点ですから、ゼロ行進が続いていたころからは打つ方は上向きといえますが、投手陣がサッパリでした。

明日は3タテは免れるべく、
がんばれタイガース!
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2012年06月27日 (水) 19:33:00

最近読んだマイクロ経済学の本から

私は「官庁エコノミスト」を自称しているんですが、エコノミストの専門分野にもいろいろあって、私はマクロ経済、すなわち、景気とか、成長とか、財政金融とか、物価とかの分野を専門にするエコノミストです。市場を全体として分析します。それに対して、ミクロ経済、あるいは、マイクロ経済を対象にするエコノミストもいます。個別も含めて産業とか、労働とかが専門分野だったりします。市場参加者の行動を分析します。大学の経済学部でもマクロ経済学とミクロ経済学に分かれていたりします。

『ひたすら読むエコノミクス』と『夫婦仲の経済学』


今夜取り上げる2冊は、この分類からいえばマイクロ経済学に属します。上の画像の通り、一橋大学の伊藤教授の『ひたすら読むエコノミクス』と米国の女性ジャーナリスト2人の共著になる『夫婦仲の経済学』です。前者は何度も本文中に繰り返されている通り、決して「ミクロ経済学の教科書ではない」んですが、かなり幅広くマイクロ経済学のトピックを拾っています。後者は、夫婦仲は決して市場ではないんですが、何らかのインセンティブに反応する経済学的な視点を夫婦間の問題に導入しようと試みています。当然ながら、私のこのブログで取り上げるんですから、決して「トンデモ経済学」ではなく、いずれもオーソドックスな経済分析を下敷きに展開しています。
『ひたすら読むエコノミクス』で感銘したのは、その昔と違って、市場参加者がかなり少数で協調の可能性がある、すなわち、ゲーム論的な市場から入って、市場参加者が多数の競争市場となる方向へ論が進められていることで、そもそもゲーム論が決して主流ではなかった私の学生時代と大きな変化を感じました。もちろん、オークションの理論なども盛り込まれています。タイトルから理解される通り、グラフを使わず、数式も可能な限り用いずにマイクロ経済学の理論を展開しています。モラル・ハザードくらいまではともかく、商学部の先生らしく、「マーケット・デザイン」という第8章のタイトルで、メカニズム・デザインも取り入れられています。恥ずかしながら、私は2007年にハーヴィッツ教授らがノーベル経済学賞を受賞するまでよく知りませんでした。
『夫婦仲の経済学』はマイクロ経済学的な市場参加者の行動規範を夫婦仲に導入すれば、どのような夫婦間の問題解決の方法があり得るかを思考実験しています。私の想像では、おそらく、ジャーナリストの著者がインタビューした実例から理論的な純粋形を抜き出して、インセンティブに反応する市場参加者と同じ行動原理を当てはめることにより、夫婦間に実際に起こり得る諸問題をマイクロ経済学的な視点で解決する方法を示唆しています。私が理解した範囲で、かなり理論的な解決が志向されており、逆に言えば、実験経済学的に不合理な個人の行動はスコープから外れているような気がします。

少し前まで、経済書を読むのは仕事のうちと考えて、このブログで取り上げることはしなかったんですが、今では経済書もほとんど買わずに図書館で借りて読むようになってしまいました。手元に本が残らないので、可能な範囲でブログに記録を留めたいと思います。ただし、すべて取り上げると数が多くなり過ぎて怖い気がします。一応、読書感想文ではなく経済評論の日記に分類しておきます。
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2012年06月26日 (火) 23:11:00

来週月曜日に発表される6月調査の日銀短観の予想やいかに?

今週月曜日7月2日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIを取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は大企業全産業の2012年度設備投資計画の前年度比であり、土地を含みソフトウェアを除くベースです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。第一生命経済研を除いて、今回は、下半期以降の先行きに関する見通しを取りました。長くなりそうな場合はこの統計のヘッドラインとなる大企業製造業だけにした場合もあります。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査先行き▲3
+5
<n.a.>
n.a.
日本総研▲3
+6
<+2.8>
先行き(9月)は、大企業・製造業で▲4%ポイントと再び悪化する見込み。エコカー補助金の払底による自動車販売の減少や海外景気の先行き不透明感が下押しに作用。非製造業では、+6%ポイントと横ばいを予想。復興本格化により建設を中心にDIが改善する一方、自動車販売の減少が小売に対する下押し圧力となる見通し。
大和総研▲5
+7
<+3.0>
「業況判断DI(先行き)」は、東日本大震災に伴う復興需要を中心に内需が底堅く推移し、海外経済も腰折れせずに徐々に持ち直すと見込まれることから、業況判断DI(最近)から改善すると予想した。ただし、海外経済の先行き不透明感が依然として強く、欧州債務問題は予断を許さない状況がしばらく継続するとみられることから、企業は先行きの業況判断について慎重姿勢を継続すると考える。
みずほ総研▲3
+7
<+3.3>
先行きについては、西日本を中心に夏場の電力不足が懸念される。もっとも、大企業は操業日・操業時間のシフトや他地域での代替生産などの対応が可能であり、生産や業況全体への下押し圧力は緩和されるだろう。米国向けや新興国向けを中心とする外需の持ち直しや、復興需要への期待などを背景に先行きの業況判断は改善が見込まれる。
ニッセイ基礎研▲3
+8
<+3.9>
先行きについてもばらつきが出そうだ。大企業については、欧州債務問題の政策対応前進や米中経済の底打ちへの期待を織り込む形で製造業ではわずかに改善見通しとなるが、復興需要の縮小、エコカー補助金の終了を控える非製造業では逆に悪化する。中小企業については先行きの不透明感を嫌気して慎重な見方が強く、製造業、非製造業ともに景況感の悪化が示されそうだ。
伊藤忠商事経済研▲2
+6
<+1.8>
海外経済や欧州債務問題に対する懸念から、先行きに対しての警戒感は3月調査時点より寧ろ強まっている可能性が高い。加えて、エコカー補助金などの政策効果終了に対する備えも踏まえれば、先行き判断は明確に下方向を向くと見込まれる。
第一生命経済研▲5
+7
<+6.0>
欧州財政問題や米雇用拡大の停滞によって、各国のPMIや企業マインド指標が悪化傾向に変わってきている。日本でも同じような変化が短観でみられるのではなかろうか。
三菱総研▲5
+7
<n.a.>
先行きについては、復興需要の本格化を除けば明るい材料は少ない。国内の消費をけん引してきた自動車はエコカー補助金終了後の反動減が予想されるほか、海外情勢の先行きに対する不透明感は依然根強い。先行きの業況判断DIは、製造業、非製造業ともに▲1%ポイントの悪化を予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲5
+7
<+3.6>
先行きの業況判断DIも悪化を見込む。欧州経済の混迷に加え、米国経済も雇用の改善が鈍いなど力強さを欠いており、世界経済の先行きに対する懸念は強まっている。また、自動車生産を押し上げてきたエコカー補助金は1、2ヵ月後には予算を使い切る見込みであり、自動車を中心にその後の業況を大きく悪化させるだろう。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング▲3
+7
<+3.5>
①欧州債務問題や中国経済の減速など、外部環境の不透明感が高い状況にあること、②エコカー補助金が夏場にも終了を迎えるとみられること - などから、「先行き」については慎重な姿勢が示されると想定した。


見て明らかな通り、足元の景況判断については、大企業製造業がほぼ横ばい圏内、大企業非製造業が少し改善と見込まれているものの、先行き判断については製造業・非製造業とも軒並み悪化が見込まれています。海外要因としては欧州のソブリン・リスクが不透明であり、国内要因としてはエコカー補助金の終了による反動が懸念されるところです。何度も繰り返しますが、特定の財に特定の期間だけ補助金を出す政策の悪い面が出てくるかもしれません。

いずれにせよ、足元の景気判断は政府や日銀とも緩やかな回復が続いているということですから、ほぼその判断に沿った内容と受け止めるべきです。現在の白川総裁になってから聞かなくなりましたが、先行きの見通しに対してフォワードルッキングな金融政策運営は志向されないんでしょうか?
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2012年06月25日 (月) 19:29:00

イーグルトン『批評とは何か』(青土社) を読み左翼運動について考える

イーグルトン『批評とは何か』(青土社)


イーグルトン『批評とは何か』(青土社) を読みました。長らくオックスフォード大学を拠点にして新左翼的な文芸評論家として著名だったイーグルトン教授に対してマシュー・ボーモントがインタビューした結果を取りまとめた本です。出版社はいつもの青土社、翻訳はいつもの大橋洋一教授です。副題は「イーグルトン、すべてを語る」となっています。私は前著の『宗教とは何か』を途中で放棄してしまったので、この新著はがんばって読み通したんですが、やっぱり、私には不可解なカトリックの神学が根底にあるように感じられます。税込みで5000円を超えるぶ厚い本なので近くの図書館で借りました。
さて、本の内容はともかく、今夜のエントリーではイーグルトン教授が属する新左翼、トロツキストも含めた左翼運動について簡単に振り返っておきたいと思います。私の勝手な分類によれば、左翼運動は大雑把に3派に分けられます。もっとも左寄りなのがイーグルトン教授らの属する新左翼です。かつてのソ連の独裁者であったスターリンと袂を分かったトロツキーの名を取ってトロツキストと呼ばれる場合がありますし、日本では「過激派」と称されることもあります。左翼本流とは各国共産党である、と見なされる場合が多いと私は受け止めています。もちろん、かつての「ユーロ・コミュニズム」や我が国の共産党など、特に先進諸国ではかなりの幅を持っているわけで、単純にひと括りにするのは難しいかもしれません。そして、左翼運動の中でももっとも右派なのが社会民主主義と考えられます。我が国の社会民主党も連立政権に入っていたのは記憶に新しいところで、西欧諸国ではフランスのオランド大統領は社会党所属ですし、英国の労働党も長らく政権の座にあり、ドイツの社会民主党も大連立で政権の一翼を担っています。
我が国ではいわゆる60年安保から70年安保にかけて、左翼運動は大きな盛上りを見せ、東京都、大阪府、京都府などで革新系の知事が地方自治の場で活躍したりしまし、世界的にも日本でいえば「団塊の世代」に属するようなベビーブーマーが、例えば、ベトナム戦争反対などの声を上げていました。その後、70年代の2度にわたるオイルショックなどで経済が曲がり角を迎えたのを機に、80年代になって米英で保守的な政権が成立し、当時のレーガン米国大統領やサッチャー英国首相が、今で言うところの新自由主義的な政策、すなわち、国営企業の民営化や規制緩和などを推進しました。日本では国鉄などの民営化を進めた中曽根政権が思い出されます。もっとも、このころ、大陸欧州ではこういった保守的な政権が成立したわけでもなく、例えば、フランスでは1981年から2期14年に渡って社会党のミッテランが大統領職にありました。世紀の変わり目あたりから保守主義が強くなり、米国ではブッシュ大統領が2001年から大統領職を2期8年務め、フランスではシラク大統領からサルコジ大統領とつい最近まで保守派の大統領でした。ドイツでは大連立なった2005年から現在のメルケル首相ですし、日本では小泉総理がかなり長くに政権の座にありました。なお、英国のブレア政権は労働党とはいえ、かなり保守的な政策運営ではなかったかと思います。その後、米国でのサブプライム・バブルの崩壊とともに、新自由主義的な政策が見直され、米国では現職のオバマ大統領が当選しましたし、フランスでも最近オランド大統領が就任し、我が国でも2009年に政権交代がありました。世界的な大きな歴史の流れとして、1960年代と70年代はベトナム戦争反対などで左翼的な運動が盛上りを見せ、逆に、オイルショックに起因する経済的な混乱を経て1980年代は保守主義が復活し、日本が「失われた10年」を経験した1990年代の後、世紀の変わり目あたりから再び新自由主義的な政権や政策が目につくようになりましたが、サブプライム・バブル崩壊からまたしてもリベラルな政権・政策が主流になりつつあります。なお、「リベラル」と「左翼」は政治や主義や運動として決して同じではないんですが、政策的には似通った目標を追求する場合があるんではないかと、シロートなりに受け止めています。

京都に生まれついて1980年代前半くらいまでに京都大学を出ると、今はどうかよく知りませんが、私のように必然的に野球はタイガースのファンになり、左翼運動については「門前の小僧」になります。トロツキストというのは必ずしもいいイメージはないんですが、イーグルトン教授は文化人の面もあり、すべての読書子にオススメ出来るわけではないものの、それなりに興味深い本でした。専門家向けかもしれませんが、参考文献も学術書並みに立派でした。
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2012年06月24日 (日) 17:11:00

安藤投手の好投でDeNAを下し5割に復帰!

  HE
D e N A000000002 280
阪  神32000000x 590


完投・完封こそ逃したものの、安藤投手の素晴らしいピッチングで5割に復帰しました。相手DeNAの先発は苦手の番長三浦投手でしたが、マートン外野手の先頭打者ホームランなどで早々に打ち崩し、1-2回の5点で軽く逃げ切りました。昨日は3回までの得点で、今日は2回までしか点が取れませんでしたが、課題を残したものの、打線は交流戦最終盤の好調を維持しているように見受けました。今日の試合は最終回に榎田投手が緊急登板しましたが、より大きな課題は藤川投手が抜けた後のクローザーであることは言うまでもありません。

ナゴヤドームでも、
がんばれタイガース!
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2012年06月24日 (日) 10:27:00

3000エントリーおめでとう!



この週末に知り合いに指摘されて判明したんですが、ブログのエントリーが3000を超えたようです。6月15日(金)に川上弘美『七夜物語』を取り上げた読書感想文の日記がちょうど3000エントリー目だったようです。誠にめでたい限りです。めでたいとお考えの向きは、上のジャンボくす玉をクリックして割って下されば幸いです。
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2012年06月23日 (土) 19:44:00

世界報道写真展2012を見に行く

世界報道写真展2012ポスター


世界報道写真展2012を見に行きました。恵比寿にある東京都写真美術館の地階で開催されています。今年の世界報道写真大賞2012はスペイン人であるサムエル・アランダが受賞しました。ニューヨークタイムズの特派員だそうです。受賞作品は上のポスターにある通り、イエメンのサレフ大統領に対する抗議の最中に負傷した息子を抱きかかえる女性の写真です。
主として、昨年の報道写真ですから、いうまでもなく国内的には東北の震災や津波が中心になり、世界的にはアラブの春が主たる被写体です。私のこのブログの昨年12月16日付けのエントリーで取り上げましたが、昨年の Time 誌の Person of the Year は The Protester でした。余りにも生々しく、広場で縛り首にあった人々、銃口を頭に突き付けられる男性など、平和な日本では想像も出来ない過酷な世界の実態を記録した写真がいっぱいでした。我が国の国内の写真では、とても有名になった宮城県名取市のがれきの中で座り込んで泣く女性の写真もありました、朝日新聞の恒成利幸の作品です。ほかに私の目に留まったのは、Damir Sagolj の北朝鮮の街中を撮った写真で、薄暗い集合住宅が立ち並ぶ中、金日成の大きな肖像画にスポットライトが当たっている様子を切り取っています。また、スポーツ写真では、アイルランドAリーグのラグビーの試合で、雨が降って泥だらけになりながらラックからボールを出すスクラムハーフの一瞬の表情を捉えた Ray McManus の作品が印象的でした。

昨年よりもやや作品数が減った印象があり、700円の入場料はやや割高に感じないでもないんですが、写真好きであれば見ておく値打ちはあると思います。
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2012年06月22日 (金) 21:06:00

クローザー不在は何の関係もなく3安打しか打てずにDeNAに負ける!

  HE
D e N A000002000 260
阪  神010000000 130


クローザーの藤川投手が登録抹消された緊急事態なんですが、何の関係もなく、打てずに負けでした。7回を5安打2失点と力投の先発メッセンジャー投手は見殺しで、さすがにベンチも長打なしの3安打では作戦の立てようがなかった気がします。表面的には、6回表と7回ウラの敬遠策の後の打者の出来不出来が明暗を分けましたが、阪神は先制点の取り方も不細工でしたし、勝てそうな気がしませんでした。

明日は勝つべく、
がんばれタイガース!
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2012年06月22日 (金) 19:46:00

伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』(東京創元社) を読む

伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』(東京創元社)


伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』(東京創元社) を読みました。人気作家の書下ろしの最新長編です。我が家では私の前に子供達が2人とも回し読みをしていました。まず、出版社の特設サイトから本の内容紹介を引用すると以下の通りです。

内容紹介
この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。 はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。
人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない──。

これは猫と戦争と、そして何より、世界の秘密のおはなし。
どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。

ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎が放つ、
10作目の書き下ろし長編。


いろいろな見方が出来るとは思うんですが、1人称で物語を語っている主人公はトムという名の猫です。このトムに2種類の人間が関係します。1人は現代人と思われ、市役所に勤務する公務員で、最近、妻に浮気をされています。その他は、引用にあるような町の人間とその敵国である鉄国の人間です。この2種類の人間のうち、猫のトムとコミュニケーションを交わせるのは前者だけです。村上春樹『海辺のカフカ』の中田さんや星野君を思い出してしまいました。なお、妻に浮気をされて家にいづらくなり、釣りのために仙台から船に乗ったら時化にあって小島に着くと、案山子ならぬ猫がしゃべる、というのは、作者の初期の作品『オーデュボンの祈り』を思い起こさせます。サキの「トバモリー」思い浮かべる人もいるかもしれません。
我が家の子供達は面白く読んだみたいですが、そもそも伊坂幸太郎の作品に馴染みがないと、この本の進み方は理解できない可能性があります。すなわち、戦争に負けたトムの国に敵の鉄国の兵士が来て国王を殺害し国の実効支配を始め、伝説として、クーパーと戦って透明になった兵士が国に戻って、危機を救うという救国伝説が最終的には叶えられる、というハッピーエンドのストーリーなんですが、戦争に負けて占領されるという極めて重くて過酷な現状を、サラリとコミカルにさえ筆を進める作者の力量に脱帽させられます。特に、終盤の展開と最後の謎解きは見事です。力強ささえ感じました。また、いかにも伊坂作品らしく、アチコチにばらまかれていた伏線が一気に回収されます。

現在の日本を代表する人気作家の1人による書下ろしの最新長編です。我が家のように伊坂ファンがそろっていれば当然でしょうが、そうでなくても読んでおいて損はありません。ほとんどどこの本屋さんで入手できるでしょうし、待ち行列は長そうですが、多くの公立図書館にも所蔵されていることと思います。
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2012年06月21日 (木) 19:55:00

梅雨に関するアンケート調査から

今さらながらなんですが、気象庁の速報によれば、6月8日から9日ころにかけて、九州北部から東北南部までがいっせいに梅雨入りしました。特に、今週前半は台風4号が日本列島を縦断したこともあり、かなり雨が降った印象があります。ということで、ネット・リサーチ大手のネオマーケティングから、6月4日付けで「梅雨に関する意識調査」が公表されています。特に、目を見張るほど注目される結果が示されているわけではなく、ありきたりのアンケート調査なんですが、ヒマネタとして取り上げておきたいと思います。まず、問は以下の3つだけです。なお、最後の3問目は女性だけを対象にしています。

  1. 「梅雨」で思い浮かぶもの
  2. 雨の日を楽しく過ごす方法
  3. 水も滴るいい男


第1問に対しては、極めて常識的に、「雨」71.4%、「傘」68.4%、「紫陽花」55.2%の3つが50%を超えており、続いて、「蒸し暑さ」49.4%、「カビ」47.6%と続きます。これらの当たり障りのない回答に対して、第2問の回答は以下のグラフの通りとなっています。

雨の日を楽しく過ごす方法


先週の土曜日に「映画 ホタルノヒカリ」を見に行って、あくまで映画的な意味で、干物女の思考・行動パターンや生態を克明に観察したばかりなので、「家でダラダラ過ごし、何もしないこと」が堂々のトップ回答に輝いたことに感動していたりします。買い物や映画館・美術館などのお出かけ系はもちろん、ビデオや音楽鑑賞に読書も上回って、「家でダラダラ」がトップでした。モニター母集団は男女500人以外に年齢や地域などの情報は何もないので、日本人一般を代表しているというよりは、何らかのバイアスはある可能性が高いとはいうものの、とても興味深い結果です。なお、注目度は下がるものの、問3のトップ回答は「福山雅治」39.2%でした。
男女別、地域別、年齢別の詳細な分析に欠けるものの、ひょっとしたら、全体的に日本人が干物女化しているのかもしれません。もちろん、因果関係の順は、決して、ドラマや映画で干物女が流行ったから日本人が干物女化したのではなく、日本人が全体として干物女化したので、ああいったドラマや漫画が流行っていると受け止めるべきです。

アンケート調査としては、言論NPOと中国日報社による第8回日中共同世論調査の方が、よっぽどメディアで取り上げられて注目されているんですが、このブログでは少し独自性を演出してみました。
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2012年06月20日 (水) 19:47:00

貿易赤字の続く貿易統計から何を読み取るか?

本日、財務省から5月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列で見て、ヘッドラインとなる輸出は前年同月比10.0%増の5兆2347億円、輸入は9.3%増の6兆1420億円、差引き貿易収支は9073億円の赤字を記録しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字3カ月連続 5月9072億円、過去最大に
欧州向けも初の転落

財務省が20日発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9072億円の赤字となった。赤字は3カ月連続で、5月としては東日本大震災後に落ち込んだ昨年を上回って過去最大だった。債務危機に揺れる欧州向けが初の赤字となったほか、引き続き原油や液化天然ガス(LNG)の輸入増が響いた。
5月の赤字幅は市場予想(5100億円)を上回った。比較可能な1979年以降では単月で過去3番目に大きな水準。先行きについては「世界景気の持ち直しで輸出が改善するものの、燃料輸入は高水準なため年度内は小幅赤字が続く」(ゴールドマン・サックス証券)との見方がある。
輸出は前年同月比10.0%増の5兆2346億円。自動車は昨年に落ち込んだ反動もあって米国向けを中心に87.4%増えた。米国向け輸出は7カ月連続の増加。中国向け輸出も自動車や自動車部品が好調で8カ月ぶりに増加した。
輸入は、9.3%増の6兆1419億円。LNGが44.3%、原油も10.9%増えた。停止した原子力発電所の代替として火力発電所の稼働が増えているためだ。このほか中国からの輸入が携帯電話などの基地局用機器が増えて3カ月連続で増加。ユーロ安を背景にドイツからの自動車輸入も増え、欧州からの輸入額は2カ月ぶりに増えた。
地域別にみると欧州との貿易収支が111億円の赤字。輸出が0.9%減の5564億円と、政府債務問題が深刻化した昨秋から8カ月連続でマイナスとなった。特に半導体などの電子部品が落ち込んでいる。景気の持ち直しが続く米国との貿易収支は3343億円の黒字。黒字額は4カ月連続で増えた。
貿易赤字の主因である燃料輸入については、5月以降に原油価格が下落している。財務省の担当者は「価格下落が6月分の貿易収支から反映されるため、燃料の輸入額は今後下がる可能性がある」と見通している。5月は大型連休があって製造業の営業日が少ないため、赤字が大きくなりやすい季節性もある。


次に、いつもの貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも折れ線グラフが輸出入で、その差額たる貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計を、下は季節調整済みの統計を、それぞれプロットしています。

貿易統計の推移


原系列の統計でで見ると、貿易赤字は3カ月連続にしか過ぎないんですが、季節調整済みの系列で見ると、昨年3月の震災以来15か月連続の貿易赤字が傾向的に続いていることが読み取れます。私が重視する輸出について見ると、5月の輸出は昨年の供給制約からの反動があり、季節調整していない原系列では前年同月比でプラスなんですが、季節調整した統計では5月の輸出は前月比でマイナスをつけました。最近2-3カ月は昨年3月の震災からのリバウンドを考慮すれば、前年同月比でプラスになっても、欧州のソブリン危機などから世界経済が弱含んで、季節調整値で傾向をみると前月比でマイナスを記録する指標が多いことは忘れるべきではありません。輸出も同じです。引用した記事にあるような輸出が前年同月比2ケタ増というのは、足元の輸出動向をミスリードする可能性があります。貿易赤字もわずか3か月連続ではなく、震災以来、1年以上続いていると認識すべきです。

輸出の推移


特に輸出についてグラフを示すと上の通りです。どうしても、貿易統計の制約上、季節調整していない原系列の統計しか利用可能ではないので、輸出の動向を原系列の前年同月比でプロットしています。いずれも折れ線グラフの輸出額指数の前年同月比増減の要因分解なんですが、上のパネルは数量指数と価格指数で寄与度分解しており、下は地域別に寄与度を見ています。第1に、輸出額は価格の上昇ではなく数量の増加を反映して前年同月比で伸びており、第2に、地域別では北米が好調を持続する一方で、欧州は減少が続いており、アジアもここ2-3か月で減少から増加に転じつつある段階と見受けられます。引用した記事にもある通り、欧州向けの輸出は8か月連続で前年同月比マイナスを続けています。

2012年上期日経MJヒット商品番付


最後に、貿易統計を離れて、本日の日経流通新聞トップで報じられていた2012年上期の日経MJヒット商品番付のランキングの画像を日経新聞のサイトから引用すると上の通りです。東京スカイツリーが1人勝ちで東の横綱、乗り物や輸送関係が大関を占め、パソコンやスマホが関脇、飲料が小結です。私が体験したのは前頭以下の小物が多く、映画の「テルマエ・ロマエ」、渋谷ヒカリエ、ガンダムフロント東京、書籍では『舟を編む』、『共喰い』といったあたりをこのブログで紹介しています。記事にもある通り、消費者の外出を促す新施設やサービスが上位に登場しているようです。

ホントの最後の最後に、メキシコのロスカボスで開催されていたG20サミットの首脳宣言へのリンクは以下の通りです。

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2012年06月19日 (火) 19:49:00

国連難民高等弁務官事務所のリポート UNHCR Global Trends 2011

昨日、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) から難民に関する年次リポート UNHCR Global Trends 2011 が発表されています。もちろん、全文リポートの pdf ファイルもアップされています。国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの特徴の一つですが、これは今回初のリポートかもしれません。まず、リポートの内容をコンパクトに取りまとめているフラッシュが UNHCR のサイトにあり、これに直リンすると以下の通りです。全部で5ページあり、一番下のボタンで左右にスクロールします。

UNHCR 2011 Global Trends


次に、上のフラッシュにも埋め込まれていますが、居住地を追われた難民数の推移を示すグラフはリポートの p.6 Fig.1 Global forced displacement を引用して、以下の通りです。なお、凡例にある "IDPs" とは "Internally Displaced People" の略であり、詳しくは UNHCR のサイトに解説があります。その他の定義も含めて、ブログに取り上げておきながら、やや私には不案内な分野ですので、説明能力はありません。上のフラッシュ1枚目のグラフの下の凡例をマウスでポイントすると左側に定義が現れます。今夜のエントリーでは、誠に雑ながら、「難民」ですべて表現してしまいます。悪しからず。

Fig.1 Global forced displacement


さらに、これもフラッシュにも埋め込まれていますが、難民を受け入れている国や地域と出している方について、リポートの p.14 Fig.4 Major refugee-hosting countries 及び Fig.5 Major source countries of refugees を引用すると以下の通りです。上のパネルが受入れ国・地域、下が難民を出している国と地域です。軽く想像されますが、アフガニスタンを逃れてパキスタンに入った難民が最も多くなっていることが読み取れます。それに次ぐのが、イラクを逃れてイランに行った難民です。ソマリアも多くの難民を出しており、先進国の中ではドイツの受入れが群を抜いていることが見て取れます。

Fig.4 Major refugee-hosting countries & Fig.5 Major source countries of refugees


リポートにも明記されている通り、難民の80パーセントは発展途上国から出ており、政治的な混乱とその背景となっている低開発が原因であると私は考えています。先進国では Décroissance が話題になって、地球環境保護などの観点から成長にブレーキをかけることが議論されていることは事実ですが、エコノミストの目から見て途上国にはまだまだ経済成長が必要です。政治面からはいろいろな議論がありますが、例えば、先日、『収奪の星』を読書感想文で取り上げたコリアー教授などは『最底辺の10億人』で先進国の軍事介入の必要性を論じています。サックス教授は『貧困の終焉』や『地球全体を幸福にする経済学』などの一連の著書で開発援助の重要性を指摘しています。
難民が発生しているのはいわゆる低開発国に集中しており、例えば、コリアー教授のいう「最底辺の10億人の国々」になぞらえられます。これらの諸国や地域が難民を出さなくてすむような経済開発については、現時点で、必ずしも確立された処方箋が存在しないわけで、これからも試行錯誤が続くのかもしれませんが、開発経済学にいくらかなりとも取り組む私のようなエコノミストにとって、何とか緩和・解決したい大きなポイントであることは確かです。

2005年に英国で開催されたグレンイーグルズ・サミットからアフリカの経済開発がクローズアップされた印象があります。ベトナムのボートピープル以来、東アジアでは難民が注目されなくなった気がしますが、アフリカから中東、中央アジアではまだまだ難民はなくなりません。難民は世界で最も恵まれない集団のひとつであるという意味でロールズ的な正義の観点からも、難民問題の解決が望まれます。
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2012年06月18日 (月) 19:55:00

来週に集中する株主総会の注目点について考える!

今年も6月後半に入り、来週6月最終週は株主総会の季節を迎えます。よく話題になるのが株主総会の集中で、6月最後の木曜日、今年でいえば、6月28日に集中する傾向がありますが、その集中度合いは低下して来ています。東証が発表している「定時株主総会集中率推移グラフ」を引用すると以下の通りです。

株主総会集中度の推移


私は公務員ですから株主総会は門外漢ですが、大和総研のリポート「進展する株主総会の分散開催」によれば、株主総会が特定の日程に集中するのは、一定の実務慣行があるためであり、この慣行は3月決算会社の場合であれば、(1) 6月最終の平日の1日前の平日であること、(2) 月曜日以外の平日であること、というものらしいので、今年に当てはめれば、6月26日(火)から28日(木)までの3日間ということになります。ということで、東証の集計になる「定時株主総会開催日集計結果」によれば、東証1部、2部、マザーズを合わせて、6月26日(火) 14.7%、6月27日(水) 15.5%、6月28日(木)は上のグラフの通り41.6%の集中度ですので、これら市場に上場している株式会社のうち71.8%はこの3日間に集中していることになります。20年ほど前までは、たった1日に95%を超える集中度だったことからすれば、かなり集中度は低下したといえますが、まだまだかなりの集中度といえます。集中度が高いと、いわゆる総会屋対策などには有効なんでしょうが、株主の総会出席が難しくなって企業のガバナンスに悪影響を及ぼさないとも限りません。
ということで、前置きがやや長くなりましたが、ズバリ今年の株主総会の注目点は役員報酬です。機関投資家向けに議決権行使の助言を行うコンサルティング会社がいくつかあり、それらの日本株に関する助言方針についても役員報酬に関する基準が取り上げられています。例えば、業界最大手の ISS (Institutional Shareholder Services) は、昨年2011年11月に新たな判断基準として International Corporate Governance Policy 2012 Updates を公表しており、ここでも役員報酬関連での賛否基準の見直しがなされています。すなわち、p.11 において役員報酬の議案について、p.12 においてストック・オプションの議案について、それぞれ、賛成の場合の要件が明らかにされています。原則賛成なんですが、特に、アカウンタビリティが重視されている印象を受けます。逆に、説明責任が十分に果たされていないのであれば反対すべきという含意なんだろうと私は受け止めています。

阪神タイガースの親会社である阪急阪神ホールディングスの株主総会が先週の6月14日に開催され、特定の選手名を上げて「不良債権」と表現する発言があったやに報道で見かけました。株主による厳しいチェックがタイガースの戦績向上につながるんでしょうか?
Entry No.3004  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2012年06月17日 (日) 17:13:00

8回怒涛の6連打で逆転も藤川投手が救援に失敗して引分け!

  HE
阪  神000001230 6170
ロ ッ テ001012101 6161


昨日のように序盤から主導権を握ることができませんでしたが、8回怒涛の6連打で逆転し、必勝パターンのセットアッパー榎田投手とクローザー藤川投手を投入して逃げ切れるかと期待したものの、最後の最後に追いつかれて引き分けました。今日は勝てなかったものの、ここ2-3試合の交流戦の最終盤で、タイガース打線もようやく調子を上げつつあるように見受けられます。このままレギュラーシーズンも上げ潮をキープして欲しいものです。

ゆっくり休んで甲子園のDeNA戦は、
がんばれタイガース!
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2012年06月16日 (土) 17:43:00

序盤の大量点で逃げ切り久し振りの連勝!

  HE
阪  神341000000 8160
ロ ッ テ010201001 5112


3回までに8点取り序盤の大量点を守り、先発メッセンジャー投手はチョロチョロと4点取られてあまりピリッとしなかったものの、7回から継投に入って最終回は攻め立てられましたが、何とかきわどく逃げ切りました。私は出かけていて序盤3回までの得点シーンはリプレイでしか見ていないんですが、久々に猛虎打線という言葉を思い出してしまいました。明日の予告先発はタイガースは能見投手、マリーンズは成瀬投手のサウスポーのエース対決です。勝って5割に戻したいところです。

明日は3連勝目指して、
がんばれタイガース!
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2012年06月16日 (土) 16:51:00

「映画 ホタルノヒカリ」を見に行く

「映画 ホタルノヒカリ」ポスター


今日は少し前からの天気予報の通り、朝から雨が降ったり止んだりでしたので室内競技を志向し、結局、朝から映画に行きました。上のポスターの通り、「映画 ホタルノヒカリ」です。当然ながら、仕事はしっかりこなすものの、家ではグータラして過ごし、何といっても家でゴロゴロするのが一番という干物女が主人公です。最初に「映画」と入っているのは日本テレビのドラマではないからです。でも、キャスティングはドラマと同じ綾瀬はるかと藤木直人だったりします。この前に見た「テルマエ・ロマエ」と同じく、マンガを原作とする映画です。
干物女は結婚できるかをテーマにした「ドラマ 2」で、ホタルは高野部長とラストでゴールインしたわけですが、「映画」では2人が同居から半年ほど遅れてローマでのハネムーンになだれ込みます。かなりのカットがローマで撮影されているように見受けられました。松雪泰子演じるローマの干物女とのからみも面白かったです。さらに、今日見た映画のラストを見る限り、次は干物女は子供を産めるか、あるいは、母親になれるかがテーマになりそうです。
先週の6月9日封切りで、直後の6月12日付けの「シネマトゥデイ映画ニュース」によれば、この映画が「メン・イン・ブラック3」と「テルマエ・ロマエ」を抑えて、先週末の興業ランキングで動員24万2,821人、興収3億1,365万750円とトップだったそうです。なお、観客の性別は女性が87パーセントを占めたと報じられています。私が見た限り、今日も映画館は圧倒的に女性客で埋まっていました。もっとも、小学生以下くらいの女の子も少なくなかった気がします。

綾瀬はるか演じる縁側でゴロゴロする「トド新妻」姿は、女性からの共感も多く寄せられているようですが、私のような中年男性から見ても、決して「新妻」ではない我が女房の生態や思考パターンを理解する上で重要な参考情報となるのかもしれません。
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2012年06月15日 (金) 19:36:00

川上弘美『七夜物語』(朝日新聞出版) を読む

川上弘美『七夜物語』(朝日新聞出版)


川上弘美『七夜物語』(朝日新聞出版) を読みました。2009年9月から2011年5月までの朝日新聞の連載を加筆修正して単行本として出版されています。カバーや挿絵は酒井駒子さんです。ということで、まず、出版元の朝日新聞の書評を引用すると以下の通りです。

現実とつながる「夜の世界」へ
川上弘美の文章には風が通(かよ)っているといつも思っていた。改行や丸みを帯びた平仮名が多用されているから? ちがうちがう。言葉が呼吸している。本が生きているのだ。
実際、読書好きの小学校4年の少女さよと、その級友の仄田(ほのだ)くんとともに、本はこの物語の主人公だと言える。さよが図書館で見つけた『七夜(ななよ)物語』という、閉じると読んだ中身を忘れてしまう本が、二人をふしぎな七つの「夜の世界」へと招き入れる。
ふしぎ? だってそこには、行儀の悪い子をきらうグリクレルというエプロンを巻いた大ねずみや、濃いはちみつ色の謎のかたまりミエルがいて、ちびエンピツやコクバンなどのモノがイキモノのように動き、しゃべるのだから。
だが、私たちの誰もが覚えているように、不思議はすべての子供の友だちだ。さよも仄田くんも「夜の世界」の訪れに怯(おび)えるどころか胸躍らせる。イキモノもモノも分け隔てなく思いやり、知恵を懸命に働かせ、ときに二人の息が合わないことはあっても、手をつないで、降りかかってくる難問に勇敢に立ち向かう。
むしろ、さよの気にかかるのは、離婚した母と父のことだ。母がおらず祖母に甘やかされて育った仄田くんは、友だちのいない情けない自分に悩んでいる。この現実世界ほど不可解で矛盾に満ち、一筋縄で行かないものはない。
「夜の世界」が、物語が、かくも魅力的なのは、そこが現実逃避の場所だから? ちがうちがう。「いいところも、へんなところも、まじりあってでこぼこで。そういうものが、すてきなんだよ」と登場人物の一人が言う。「夜の世界」はさよたちの現実とつながっている。「完璧な何かなんて、うそこのもの」なのだ。
この物語では、くちぶえが大切な役割を果たす。よくわかる。くちぶえとは息吹、命だから。現実と虚構を結ぶ、光と影の揺れるでこぼこ道を命の風が行き来している。
[評者]小野正嗣 (作家・明治学院大学専任講師)


引用した書評がかなり印象派的な茫洋とした雰囲気ですので、私の方で補足すると、舞台は1977年のおそらく東京の欅野区という架空の場所で、主人公の鳴海さよと仄田鷹彦は同じ団地に住み、当然ながら、同じ小学校に通う小学4年生のクラスメートです。この2人が、読んでも読んでも中身を忘れてしまう『七夜物語』を図書館で読んで、ねずみのグリクレルなどがいる夜の世界を7夜に渡って冒険し、最後の方では世界のゆがみやさまざまな人やモノが別れるのを防ぐために、光や影と肉弾相撃つバトルまで発展してしまいます。そして、ホントの最後の最後は何年か後の同窓会の場面で終わります。
私の理解が正しければ、この作者は主張をハッキリ述べるのではなく、よくも悪くも作品の解釈を読者に任せてしまう場合があり、この物語も作者の主張がどのあたりにあり、いわゆる小中学校の国語のひとつの眼目である物語のテーマを考えると、やや輪郭がぼやけている印象があります。連載の最終盤にあった震災の影響は、少なくとも、私には感じられなかったんですが、モノを大切にすることの重要性でも、小学校におけるいじめ問題でもなく、明確に主張したい点は見えて来ません。でも、現実から離れたファンタジーとして、とても読みやすく、読み通すのに時間はかかりません。小学生くらいの読者を想定しているのかもしれません。でも、小学生が読むのであれば、最後の光や闇との肉弾相撃つバトルは勘弁して欲しかった気がしないでもありません。

朝日新聞に連載されていたこともあり、当然ながら話題の書です。私は図書館で借りましたし、多くの公立図書館で所蔵されていることと思います。必ずしも万人にオススメするわけではありませんが、この作者独自のいわゆる「空気感」が好きな人は読むべきだろうという気がします。
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2012年06月14日 (木) 22:42:00

世銀「世界経済見通し」Global Economic Prospect を読む

一昨日の6月12日に、世銀「世界経済見通し」Global Economic Prospects が発表されています。副題は Managing growth in a volatile world となっています。まず、New York Times のサイトからユーロ圏諸国に焦点を当てた記事を最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。

World Bank Warns Euro Fears May Slow Global Growth
The World Bank on Tuesday warned that fears about the euro zone had reduced investors' tolerance for risk, and it urged poorer economies to protect themselves by reducing their debts.
In the report, a scheduled update to the bank's overview of the global economy, the bank forecasts sluggish growth in high-income countries, like Japan, Germany and the United States, in the coming years. It expects more modest growth in the middle-income economies that have been the engine of the global recovery, like China and Brazil. And it sees developing countries in Africa, Asia and Latin America experiencing slower growth than they have for most of the last decade.


簡単な紹介にとどめますが、見通しの総括表となっているリポートの p.2 Table 1 The Global Outlook in summary を画像として引用すると以下の通りです。このままでは見にくいことはなはだしいので、クリックすると別タブで1ページだけ抽出されたpdfファイルが開きます。

Table 1 The Global Outlook in summary


我が国の成長率は、昨年2011年の▲0.7%のマイナス成長の後、今年2012年は復興需要もあって+2.4%に大きく回復した後、来年とさ来年の2013-14年はいずれも+1.5%で安定的に潜在成長率近傍の成長を続けると見込まれています。もっとも、世銀はあくまで途上国への援助機関であり、世界の中央銀行の役割を果たせる可能性のある国際通貨基金 (IMF) とは違い、途上国経済にスポットを当てていますので、我が国を含む先進国は途上国経済に影響を及ぼす範囲内で分析されているに過ぎないことは考慮しておく必要があります。その意味で、引用した記事の通り、今回のリポートでは欧州経済にもっとも詳細に分析されていたりします。日米経済は途上国への波乱要因となる可能性が欧州より低いということだと私は受け止めています。

Figure 13. Fiscal consolidation to remain a drag on growth


ただし、財政再建については簡単な分析がなされており、上のグラフはリポートの p.12 Figure 13. Fiscal consolidation to remain a drag on growth を引用しています。米欧は2011-13年に財政の構造赤字を縮小させる一方で、震災からの復興の必要もあって日本は2012年まで構造赤字が拡大した後、来年2013年になってようやく赤字が縮小すると見込まれています。日米欧のような先進国でなく途上国についても、今回のリポートでは、特に、1次産品の輸出に依存した脆弱な財政基盤の途上国における財政再建の必要が強調されています。
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2012年06月14日 (木) 07:29:00

森内名人が羽生二冠を破って名人位を防衛

昨夜、将棋名人戦第6局が終局し、森内名人が羽生二冠を破って名人位を防衛しました。誠におめでとうございます。下の終了図は朝日新聞のサイトから引用しています。

名人戦第6局終了図


昨夜は帰宅が遅くなりましたので、朝一番にフォローしておきます。
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2012年06月13日 (水) 23:38:00

機械受注に見る設備投資の先行きやいかに?

本日、内閣府から4月の機械受注統計が発表されました。統計のヘッドラインであり、GDPベースの設備投資の先行指標となる船舶と電力を除く民需は季節調整済みの系列で見て、前月比+5.7%増の7886億円とジャンプアップしました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、2カ月ぶり増加 卸売・小売業がけん引
4月5.7%増

内閣府が13日発表した4月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は前月比5.7%増の7886億円となり、2カ月ぶりに増えた。伸び率は事前の予想(1.8%増)を上回り、金額は2008年10月以来の高水準だった。新規出店を見込む卸売業・小売業から運搬機械の受注が増えた。民間の設備投資は当面堅調に推移しそうだ。
内閣府は基調判断を「緩やかな増加傾向がみられる」と前月から据え置いた。専門家の間では「当面は復興需要に下支えされ、受注は緩やかな回復が続く」(第一生命経済研究所の新家義貴氏)との声が多い。
伸びが大きかったのは非製造業で25.2%増えた。特にコンビニやスーパーの新規出店を計画している卸売業・小売業からの受注は物流システムを含む運搬機械を中心に41.1%増えた。伸び率は09年12月以来の高水準だった。
製造業は3.4%増。化学機械の大型案件があり、化学工業が37.6%増えた。スマートフォン(高機能携帯電話)を含む情報通信機械メーカーからの受注も19.4%増と高い伸びだった。一方、自動車は20.0%減。前月までの反動減との見方があるほか、「夏ごろにエコカー補助金が打ち切られると見込んで投資を減らした」(大和総研)との見方もある。


次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需のいわゆるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

機械受注統計の推移


引用した記事にもある通り、市場の事前コンセンサスは前月比+2%ほどでしたから、かなり大きく上回ったと受け止めています。この先のGDPベースの設備投資もそれなりのテンポで増加を続けると期待してよさそうです。ただし、私が懸念するのは2点あり、第1に外需です。外需はコア機械受注の先行指標なんですが、グラフを見ても明らかな通り、直近では1月をピークにして2-3月にドンと落ちた後、4月統計でも回復が鈍くなっています。欧州のソブリン危機の影響を受けていることは明らかで、今後の欧州情勢とともに気がかりな点です。第2に自動車です。引用した記事にもある通り、エコカー補助金が来月にも予算が尽きるとの予想があり、大きな反動減が待ち受けている可能性が否定できません。裾野の広い産業だけに、マイナスの波及効果も心配です。何度もこのブログで主張しましたが、マクロの雇用や賃金への刺激策でなく、個別の財に対して期間を限定して補助金を出すんですから、景気変動を拡大する可能性が高いと覚悟すべきです。

当面、年内くらいは、機械受注、というか、GDPベースの設備投資は緩やかなテンポながら、底堅く拡大を続けると考えられます。先行きのリスクは欧州ソブリン危機のゆくえと為替ではなかろうかと考えています。
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2012年06月12日 (火) 20:20:00

企業物価に見るデフレ脱却の気配やいかに?

本日、日銀から5月の企業物価が発表されました。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で見て、4月に▲0.3%下落とマイナスに舞い戻った後、5月は▲0.5%と下落幅を拡大してしまいました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業物価、0.5%下落 2カ月連続マイナス 原料価格の下落反映
日銀が12日発表した5月の国内企業物価指数(2005年%100、速報値)は105.0と、前年同月に比べ0.5%下落した。前年比では2カ月連続でマイナスとなった。原料価格の下落で鉄鋼や非鉄金属の価格が下がったことが響いた。
企業物価指数は出荷や卸売り段階で企業同士が取引する製品の価格水準を示す。下落した品目数は442(全体の51.7%)となり、上昇品目(290)を上回った。下落品目の数が上昇品目を上回るのは3カ月連続。日銀は今後について「欧州債務問題を巡って投資家のリスク回避姿勢が続けば、さらに下落圧力がかかる」とみている。
項目別では、非鉄金属が8.2%下落、鉄鋼が6.0%下落となり、マイナス幅が大きかった。銅や銀などの非鉄金属は投資家のリスク回避姿勢が強まるとともに、国際価格が下落した。鉄鋼では鉄鉱石や原料炭といった原料の価格が下落し、製品価格に波及した。一方、電力・都市ガス・水道は10.1%上昇した。
輸出物価(円ベース)が前年同月比で3.4%下落。電気・電子機器や金属・同製品、化学製品の下げ幅が大きかった。景気の減速で原材料の価格が下がったほか、製品の需給が緩和したことが背景にある。一方、輸入物価(同)は同2.5%下落。金属・同製品や木材・同製品の下げが目立った。


次に、いつものグラフは以下の通りです。いずれも季節調整していない原系列の前年同月比で、上のパネルは国内、輸出、輸入別、下は重要段階別で素原材料、中間財、最終財です。色分けは凡例の通りです。

企業物価上昇率の推移


国内物価の前年同月比上昇率で見ると、2010年9月以来のマイナスに戻ったわけですが、現時点では見極めが難しいところで、物価は需給ギャップに応じた一般物価水準の上昇によってプラスの上昇率に転じる過程にあるのか、あるいは、相対価格の変化でしかないエネルギー価格上昇が全体の指数水準を押し上げていただけなのか、確たる実証結果はまだ観察されないのかもしれません。例えば、先週5月8日付けの2次QE発表の際のエントリーで私は前者の可能性を示唆しましたし、4月27日付けのエントリーでも日銀の白川総裁が早ければ2014年度にも物価上昇率が日銀の「物価安定の目安」の中央値である1%に達する可能性について発言したと書きましたが、逆に、5月25日付けのエントリーで消費者物価を取り上げた際、東京都区部の生鮮食品を除くコアCPIが4月5月とマイナス幅を拡大していることをリマインドしており、後者の可能性も否定し切れない気がします。例えば、東京都区部のコアCPI前年同月比上昇率は4月の▲0.5%から5月には▲0.8%とマイナス幅が▲0.3%ポイント拡大していますが、全国のコアCPIが4月で+0.2%の上昇ですから、▲0.3%ポイント下振れすれば5月の全国コアCPIがマイナスに転じる可能性は否定できません。このあたりは、もう少しデータがそろった時点で実証分析を行うエコノミストの世界と、統計が発表された時点で取りあえずのコメントを出すエコノミストの世界が違うということなんだろうと思います。いつもの私の主張ですが、金融市場で時々刻々と変化する資産価格を追うマーケット・エコノミスト、景気循環の1サイクルくらいを見通す中央銀行エコノミスト、さらに長い国家100年の大計を見据える政府エコノミスト、あらゆる時間軸を縦横無尽に行き来するアカデミック・エコノミスト、などなど、エコノミストもさまざまです。

Figure 1.2. Pensionable age under long-term rules, by sex


物価の議論を離れて、昨日、経済協力開発機構 (OECD) から OECD Pensions Outlook 2012 と題する年金に関するリポートが発表されています。主として、東欧の移行国の年金制度構築に向けた分析や提言と私は受け止めていますが、国内メディアでは、「『年金67歳以上』OECD加盟国の4割 改革進む」と題した日経新聞の記事のように、「支給開始年齢を引き上げるのが年金改革である」といった論調で報じられています。リポートの p.27 Figure 1.2. Pensionable age under long-term rules, by sex の男性部分を引用した上のグラフに見られる通りです。しかし、私の主張は世代間格差の是正にあり、この観点からは、年金支給開始年齢を引き上げるのは世代間格差の拡大にしかならず反対すべきであり、現在の高齢者を含めてすぐさま支給水準を切り下げることが必要であると考えています。
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2012年06月11日 (月) 20:40:00

岩田投手の鬼気迫るピッチングで交流戦の甲子園最終戦を勝利で飾る!

  HE
ソフトB000000000 031
阪  神00000001x 140


先発の岩田投手の鬼気迫る3安打ピッチングで8回まで無失点で乗り切り、しかし、リズムの悪い岩田投手が投げている間は打てず点が取れずで、8回ウラにようやく相手エラーで采配も関係なく、打者の打点もなく得点し、最後は久々登板の藤川投手を投入して逃げ切りました。月曜日だけでなく、週末に勝ってファンサービスに努めてほしいものです。

西武ドームでは、
がんばれタイガース!
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2012年06月11日 (月) 19:41:00

企業マインドと消費者マインドともに先行きで明るさ

本日、内閣府から4-6月期の法人企業景気予測調査と5月の消費者態度指数が発表されました。企業マインドと消費者マインドを把握し、先行き経済を見通す上で参考となる経済指標です。いずれも先行きのマインドは明るさを示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況判断指数、3四半期連続の悪化 4-6月
マイナス3.1

内閣府と財務省が11日発表した4-6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を示す景況判断指数は前回調査より0.4ポイント低いマイナス3.1となり、3四半期連続で悪化した。欧州の債務危機を受けて電気機械の需要が減った。ただ1-3月に自動車生産が活況だった反動が出た面もあり、調査では景況感が年後半には持ち直す見込みになった。
指数は自社をめぐる景況が前の期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を差し引いた値。調査基準日は5月15日。この時は欧州危機を受けて円高・株安が進んでいた。2月の前回調査は同月の日銀による金融緩和を受けた円安・株高を反映していない。
自動車・付属品製造業はタイの洪水からの挽回生産が一服しマイナス20.0となった。電気機械器具製造業も欧州危機の影響でマイナス16.7に落ち込んだ。いずれも前回調査ではプラスだった。一方、化学工業や食料品製造業は需要回復を受けプラスに転じ、大企業製造業の全体ではマイナス5.7と前回(マイナス7.3)から改善した。
大企業非製造業はマイナス1.6と前回(マイナス0.1)から悪化。特に建設業の落ち込みが大きい。復興需要は盛り上がりつつあるものの、電気料金の値上げや人件費の高騰が響いた。
先行きは大企業の全産業で7-9月、10-12月がいずれもプラス8.8。製造業が強い見通しを示している。調査対象は資本金1000万円以上の約1万5000社で今回の回答率は78.4%だった。
5月消費者態度指数、2カ月ぶり改善 雇用・所得環境上向きで
内閣府が11日発表した5月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は40.7と前月比0.7ポイント上昇した。改善は2カ月ぶり。雇用・所得環境が上向いていることを背景に消費者心理の悪化に歯止めが掛かった。
指数を構成する「暮らし向き」など4項目全てで改善した。有効求人倍率の上昇に加え、今春卒業した大学生の就職率が4年ぶりに高まったことを受けて「雇用環境」が2カ月ぶりに改善。「収入の増え方」は現金給与総額が増加していることから、3カ月連続で上昇した。
雇用や所得環境の改善を理由として「暮らし向き」は2カ月ぶりに上昇に転じた。新車販売額が引き続き高水準を維持し、「耐久財の買い時判断」は上昇した。内閣府は、消費者心理の基調判断を「持ち直し傾向にある」で据え置いた。
一方で、先行きには不透明感も残る。「資産価値の増え方」は欧州債務問題による株価下落などを背景に2カ月連続で悪化。株価の下落が消費者心理に影を落とす可能性があることから、内閣府も欧州経済や円高進行などの影響を「注視する必要がある」と警戒を示した。
1年後の物価見通しについて「上昇する」と答えた割合は65.5%と前月(68.1%)から低下。「変わらない」や「低下する」と答えた割合はともに増加した。足元のガソリン価格の下落傾向が意識された。
調査は全国6720世帯が対象。調査基準日は5月15日で、有効回答数は5033世帯(回答率74.9%)だった。


まず、法人企業景気予測調査の結果のグラフは以下の通りです。この統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。赤い折れ線は4-6月期までの足元の当期の見込み、青い部分は調査基準時点の5月15日から見た翌期と翌々期の見通しです。

法人企業景気予測調査の推移


足元4-6月期の景況判断BSIは大企業・中堅企業・中小企業とも「下降」超と悪化している一方で、大企業と中堅企業は7-9月期から「上昇」超に転じる見通しとなっています。また、グラフは省略しましたが、従業員数判断BSIは大企業・中堅企業・中小企業いずれも「不足気味」超となっていて、さらに、先行きも引き続き「不足気味」超で推移する見通しとなっています。引用した報道にもある通り、統計の基準日が5月15日であり、欧州のソブリン危機に起因して円高や株安が進行していたにしては、足元については悪くない数字ですし、さらに先行きは底堅いと受け止めています。もちろん、日本独特の産業構造に起因して、大企業から改善が始まり中堅から中小企業に景気回復のすそ野が広がる景気の進行があり、調査結果を見る限り、昨年の震災の影響もあり、景気回復の割合と初期の段階にあるといえそうです。

消費者態度指数の推移


上のグラフは消費者態度指数をプロットしており、影を付けた部分は同じく景気後退期です。企業マインドが足元でやや悪化したのに比べて、消費者マインドは5月も改善を示しています。クエスチョネアが今後半年間の見通しを5段階で質問していますから、もともと、足元というよりも先行き見通しの色彩が強いんですが、企業マインドと同じで消費者マインドも将来見込みは改善を示しています。コチラの統計の基準日が5月15日であり、欧州発の円高や株安があったんですが、この結果ですから統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持直し傾向」で据え置いています。雇用が消費者マインドをけん引したという報道も、企業マインドの結果と整合的です。DIですから水準には必ずしも意味はありませんが、震災前のレベルに近づいていることも事実です。

企業マインドについては6月調査の日銀短観を見る必要がありますし、企業マインド・消費者マインドとも2か月連続で悪化し、基調判断が下方修正された景気ウォッチャーと整合性をもって理解するのは難しいと感じないでもありませんが、ゆっくりしたペースでジグザグを繰り返しながら、大きな傾向としてマインドの改善が見られると考えてよさそうです。
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2012年06月10日 (日) 17:22:00

9回の反撃届かず日曜日の連敗続く!

  HE
ソフトB010010000 2100
阪  神000000001 130


先発のメッセンジャー投手が長打をからめて2点取られたとはいうものの、8回までしっかりと抑えて試合を作ったにもかかわらず、またも始まった貧打のゼロ行進でソフトバンクに完敗でした。試合の主導権を握れないまま、9回に反撃しましたが、遅きに失しました。それにつけても、球場に足を運んだりテレビで応援しているファンが多いんですから、土日の週末にこれだけ負け試合が続くのは何とかして欲しいと思います。

明日は、
がんばれタイガース!
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2012年06月10日 (日) 10:16:00

シャラポワ選手、全仏を制して生涯グランドスラム達成!

テニスの4大タイトルのひとつである全仏オープンでマリア・シャラポワ選手が女子シングルスで優勝し、史上10人目の生涯グランドスラムを達成しました。誠におめでとうございます。1人のファンとして、これからもシャラポワ選手が活躍し、ひいてはテニス人気が盛り上がることを願って止みません。
以下の写真は全仏オープンの公式サイトから引用しています。

Sharapova downs Errani to secure career Grand Slam
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2012年06月09日 (土) 17:35:00

先発のエース能見投手が打ち込まれてオリックスにボロ負け!

  HE
オリックス100122000 6120
阪  神000001000 1110


先発のエース能見投手が5回までに4点を取られ、後をつないだ鶴投手も6回に2失点と、ホームラン攻勢でオリックスにボロ負けでした。今の阪神打線では失点が5点を超えれば対処の仕様がありません。ここ何試合か甲子園ですら主導権を握れないまま、ズルズルと負ける試合が続いています。無得点に終わったものの、9回ウラの3連打が次の試合につながることを期待します。

明日のソフトバンク戦は、
がんばれタイガース!
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2012年06月09日 (土) 11:37:00

ポール・コリアー『収奪の星』(みすず書房) を読む

ポール・コリアー『収奪の星』(みすず書房)


コリアー教授の『収奪の星』(みすず書房) を読みました。著者はオックスフォード大学のエコノミストであり、ここ数年で、『最底辺の10億人』、『民主主義がアフリカ経済を殺す』などの話題の書を提供している開発経済学者です。私が読んで、ブログに取り上げるわけですから、決してトンデモ経済学者ではなく正統派のエコノミストであり、人目を引かんがために過激な議論を展開するわけではありませんし、データの裏付けのないまま極端な説を押し付けようとするわけでもありません。その意味で、大いに傾聴に値する議論を展開しています。まず、出版社のサイトから本の紹介を引用すると以下の通りです。

収奪の星
「大切な自然を私たちは台無しにしている。これによって最も痛手を被るのは、世界で最も貧しい人々である。この人たちにとって、この状況には生死に関わるような機会と脅威の両方が潜んでいる…自然をどのように活用すれば、先進国に過大な要求をすることなく貧しい国々の現状を変えられるか――これが、本書のテーマである」
(はじめに)
資源は最貧国にとってむしろ有害なのだろうか? 答はイエス。長期的には機会損失を招くのだ。そしてその原因はガバナンス、さらに言えば不正防止などさまざまなチェック・アンド・バランス機能にある。
では、資源を活かすにはどうしたらよいのだろうか? 本書は、資源の探査、政府によるその価値の確保から、資源収入の消費、貯蓄、投資まで、その活用のための決定の連鎖を丁寧に跡づける。
将来世代への責任をも視野に入れながら、<自然秩序の回復>と<世界の貧困撲滅>を両立させる道を示す、『最底辺の10億人』の著者が、クールな分析をもとに(ときにユーモアを交えつつ)語りかける、穏健かつ中庸な提案。


この『収奪の星』は「天然資源と貧困削減の経済学」と副題されており、石油や鉱物などの自然資源、再生産可能ではあるものの帰属が明確でなく乱獲のリスクにさらされている魚などの資源、地球環境問題、ハッキリと再生産可能な農産物、というか、食料、まで、幅広い分野で説得力ある議論を展開し、現世代だけでなく次世代への資源の引継ぎというカストディアンの倫理をもった資源利用の経済学を提唱しています。「カストディアン」とは、私の理解する限り、経済や金融の理論や政策ではなく実践の場でよく聞く言葉で、信託財産などの管理運用の職責に当たる人を指します。非再生資源と再生資源をはじめとして、地球環境も含め、現世代で枯渇させるのではなく将来世代にいかに引き継ぐかという観点を提供しています。
内容としては、引用にある通り、「穏健かつ中庸な提案」といえますが、部分的には、遺伝子組換え食品に対する態度などは違和感を覚える向きもあるような気もします。先日取り上げたサンデル教授の『それをお金で買いますか』も倫理の重視という意味で同じ観点を共有していましたが、この本のカストディアン的な倫理観を持って将来世代に現在の様々な資源や資産を引き継ぐ姿勢は、開発経済学だけでなく、例えば、我が国の財政についても一定の応用が可能な気がしてなりません。世代間の公平を重視する私のようなエコノミストの姿勢は、ある意味で、「カストディアン的」なのかもしれませんが、現在の日本では全く無視されて、投票行為という民主主義の根幹を通じながらも、いたずらに高齢者ばかりが優遇されているのも事実です。少子高齢化が進むのも当然です。

私は実は国際開発学会の会員であり、発展途上国の開発には大いに関心があります。でも、開発経済学の専門家だけでなく、グローバルな世界観を持ち世界経済や発展途上国の経済に何らかの興味のあるすべての方にオススメします。
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2012年06月08日 (金) 22:05:00

金本外野手のスリーランでオリックスに逆転勝ち!

  HE
オリックス001000000 160
阪  神00000030x 391


金本選手のスリーランで逆転勝ちでした。雨の中、どこまで試合が続けられるのか不安な中、何と、最終回に藤川投手が出てくるまで9回ピッチシありました。これにはびっくりしました。阪神園芸さんのおかげです。4時間かけて試合が終わりました。先発のスタンリッジ投手や中継ぎ抑えと投手陣もよく投げ、最後の逆転劇につながりました。

明日も、
がんばれタイガース!
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2012年06月08日 (金) 19:49:00

GDP統計2次QEに見る日本経済の先行きやいかに?

本日、内閣府から今年1-3月期GDP統計2次QEが発表されました。ヘッドラインとなる季節調整済みの前期比実質成長率は1次QEの+1.0%から+1.2%へ、大方のエコノミストのコンセンサスの通り、小幅に上方改定されました。設備投資のマイナス幅の縮小の寄与が+0.2%ありますから、ほぼこれに見合う形の修正と受け止めています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP4.7%増に上方修正 1-3月実質年率、設備投資が上ぶれ
内閣府が8日発表した1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比1.2%増、年率換算で4.7%増となった。5月に公表した速報値(1.0%増、年率4.1%増)を上方修正した。東日本大震災からの復興で企業の設備投資が上振れしたためだ。堅調な消費と復興需要が景気を支える構図が改めて示された。
速報値の公表後に明らかになった法人企業統計などのデータを使って推計し直した。改定値は事前の市場予想の4.4%増を上回った。内閣府は「国内需要が全体を押し上げる構図は変わっていない」と分析した。
生活実感に近い名目GDPは前期比1.2%増。年率では4.9%増と速報値から0.8ポイント上方修正した。
実質GDPを項目別に見ると、設備投資が2.1%減と速報値(3.9%減)から下げ幅を縮めた。1日発表の1-3月の法人企業統計で、自動車の製造ライン整備や復興需要に関連した設備投資が堅調だったことを反映した。
個人消費も1.2%増と速報値から0.1ポイント上方修正した。衣服や宿泊施設サービスが速報時点の推計から上振れした。公共投資は3.8%増で速報値からは下方修正したが、高い伸びを維持している。
2011年度の実質成長率は前期比0.005%減。速報値の0.009%減からわずかに上方修正した。震災やタイの大洪水、欧州を中心とした海外景気の停滞で製造業が打撃を受け、2期ぶりのマイナス成長となった。
市場関係者からは「今後は復興需要が徐々に低下し、GDPの先行きは中国を中心とした外需がカギを握る」(ゴールドマン・サックス証券)との指摘が出ている。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします

需要項目2010/
10-12
2011/
1-3
2011/
4-6
2011/
7-9
2011/10-12
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)▲2.0▲0.4+1.90.0+1.0+1.2
民間消費▲2.2+0.1+1.5+0.9+0.6+0.9
民間住宅+1.6▲3.1+4.8+0.1▲1.6▲1.5
民間設備▲0.3▲0.3+0.1+5.2▲3.9▲2.1
民間在庫 *▲0.7▲0.1+0.3▲0.4+0.4+0.3
公的需要▲0.5+1.9+0.0+0.1+1.5+1.3
内需寄与度 *▲1.8+0.6+1.1+0.7+0.9+1.0
外需寄与度 *▲0.2▲1.0+0.8▲0.7+0.1+0.1
輸出▲0.4▲6.3+8.7▲3.7+2.9+3.0
輸入+1.2+0.2+3.5+0.9+1.9+1.9
国内総所得(GDI)▲2.7▲0.8+1.6▲0.0+0.81.0
名目GDP▲2.4▲1.3+1.6▲0.3+1.0+1.2
雇用者報酬+1.2▲0.4▲0.2+0.6+0.2+0.1
GDPデフレータ▲1.9▲2.4▲2.2▲1.9▲1.2▲1.3
内需デフレータ▲1.0▲1.1▲0.7▲0.6▲0.3▲0.4


さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年1-3月期2次QEの最新データでは、前期比成長率がかなりの高成長であるとともに、それに大きく寄与しているのが赤の消費と黄色の公的需要であるのが見て取れます。

GDP前期比成長率と需要項目別寄与度


2次QEですから、1次QEと傾向はほぼ変わりありません。その意味で、1か月経過して「過去の数字」の程度が増し、むしろ、先行きが気にかかるところです。一般的なエコノミストの回答としては、為替と外需の懸念が表明されることと思いますが、現時点で、下振れリスクが可能性として指摘されるだけで、何の情報もありません。要するに、為替も含めた海外要因は、先週発表の雇用統計に代表されるように、米国経済が思ったほどは力強い回復過程にあるわけでもなく、欧州のソブリン危機に至っては悪化の一途をたどるばかりに見えなくもありません。
他方、国内経済のうち、私がフォローしている消費についても分岐点に差しかかりつつある可能性が指摘されています。先月末に発表された総務省統計局の家計調査と経済産業省の商業販売統計とも、季節調整済みの前月比で3-4月はマイナスを記録していることは、昨夜のエントリーでも指摘しました。これら両統計を取り上げた最近のシンクタンクのリポートのタイトルを見ても、大和総研「持ち直し基調が続く中で横ばいの推移」第一生命経済研「前月比で小幅減だが、均してみれば底堅い」は強気の見方を示す一方で、伊藤忠経済研「底堅いが過信は禁物」はやや弱気の見方をしていて、消費の先行きについては評価が分かれます。英語でいえば、"Half Full, Half Empty." だという気もします。設備投資については、いかんせん、GDP統計の元データとなる法人企業統計の信頼性の問題が残ります。

デフレータ(前年同期比)の推移


消費に関しては、もうひとつの観点があり、デフレを脱却しつつある、という点です。上のグラフは季節調整していないデフレータの前年同期比上昇率をプロットしていますが、着実にマイナス幅が縮小ているように見受けられます。ただし、従来からの私の主張ですが、物価上昇がプラスに転じるのはあくまでデフレ脱却の必要条件であり、十分条件は賃金の上昇です。非正規雇用の比率の上昇などの雇用の質的な劣化により十分条件が満たされにくくなっている点にも注意が必要です。

経常収支の推移


GDP統計を離れて、本日、財務省から経常収支などの国際収支統計が発表されています。4月の統計です。上のグラフは折れ線グラフで経常収支を、積上げ棒グラフで経常収支の各コンポーネントを、それぞれプロットしています。発電向けの燃料輸入の増加などから4月の経常収支は黒字幅を縮小させています。

景気ウォッチャーの推移


最後の最後に、内閣府から発表された5月の景気ウォッチャー調査の現状判断DIと先行き判断DIは上のグラフの通りです。現状判断DIは2か月連続で悪化し、統計作成官庁の内閣府は基調判断を「持ち直している」から「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正しています。消費の先行きを見る上でのポイントは所得とマインドであると私は考えており、その意味で、やや懸念を覚えるところです。
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2012年06月07日 (木) 19:57:00

景気動向指数から我が国経済の先行きを占う!

本日、内閣府から4月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるCI一致指数と先行指数はいずれも低下しました。ついでながら、遅行指数も低下しています。一致指数は3か月振り、先行指数は7か月振りのそれぞれ低下です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数3カ月ぶり低下 4月、先行き懸念で
内閣府が7日発表した4月の景気動向指数(CI、2005年=100)速報値によると、景気の現状を示す一致指数は96.5と前月から0.2ポイント低下した。低下は3カ月ぶり。前月に大きく伸びた消費に反動減が見られたほか、世界経済の減速懸念を背景に景気の先行き不透明感が強まっている。
商業販売額は前月までの勢いが続かず、減少に転じた。欧州債務問題などを背景に、半導体など電子部品・デバイスといった生産財の出荷が伸び悩んだ。
一方で、自動車販売はエコカー補助金の効果などで高水準を維持し、耐久財の出荷は増加。橋梁や鉄鋼といった建設財の出荷も増えるなど復興需要も景気を下支えしている。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は前月比1.3ポイント低下の95.1と7カ月ぶりに低下した。電子部品に加え、液晶テレビなども出荷が伸びず、生産財や最終財の在庫が増えた。欧州不安をきっかけにした金融・資本市場の混乱で、株価や商品価格が大きく下がったこともマイナスに寄与した。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.2ポイント低下の86.5と3カ月ぶりに低下。完全失業率の悪化などが響いた。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が85.0%、先行指数が55.6%だった。


次に、景気動向指数のグラフは以下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。いずれも影を付けた部分は景気後退期です。

景気動向指数の推移


基調判断は「改善」に据え置かれたものの、CI一致指数と先行指数がともに低下し、さらに、先行指数の低下のほうがかなり大きかったものですから、先行き景気は黄信号に変わりつつあると受け止めるべきです。CI一致指数でプラスに寄与しているのは有効求人倍率と耐久消費財出荷などである一方で、マイナスに寄与しているのは商業販売額と所定外労働時間指数と大口電力使用量などとなっています。特に、消費に関する指標が4月に入って足踏み状態となっています。供給サイドの経済産業省の商業販売統計でも、需要サイドの総務省統計局の家計調査でも、季節調整済みの系列で見て4月は前月比マイナスとなっていますし、エコカー補助金でカサ上げされた自動車販売も4月に入って早くも息切れと聞きます。有効求人倍率がCI一致指数にプラスに寄与しているものの、雇用が思ったほど伸びず、生産も円高で伸び悩んでいる現状では、消費を中心に先行き不安が顕在化しても不思議ではありません。特に、夏季ボーナスは前年に比べて減少することは確実ですから、さらに個人消費の足を引っ張る可能性が高いと覚悟すべきです。

最後に、日経新聞の記事のタイトルは明らかにミスリーディングです。景気動向指数はソフトデータではありませんから、「先行き懸念で」低下することはありえません。話は反対で、景気動向指数が低下したので先行きに不安が生じていることが明らかになったわけです。
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2012年06月06日 (水) 21:09:00

楽天にボロ負け!

  HE
阪  神101000001 381
楽  天03002210x 8143


楽天になすすべなくボロ負けでした。先発の安藤投手はまずまずの調子だったように見受けましたが、打線が打てないですから5失点は許容範囲を超えます。リリーフ陣は久保投手を含めて出来がイマイチでした。打つ方は田中投手のような全日本クラスの投手が出て来たんですから、3点取れれば御の字でこんなもんでしょう。逆から見れば苦もなくひねられた、ともいえます。ベンチは投手交代に忙しく、代打が1人だけで作戦らしい作戦はありませんでした。いずれにせよ、仕事から帰宅して7時過ぎに見始めた時から、勝てそうな気はしませんでした。最終回の得点が次につながることを祈ります。

次の甲子園での関西ダービーは、
がんばれタイガース!
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2012年06月06日 (水) 19:59:00

震災後1年で日本人の原発に対する見方は変化したか?

昨日、ピュー・リサーチ・センターから "Japanese Wary of Nuclear Energy" と題して、震災後1年において原発などに関する日本の世論がいかに変化したかの調査結果が発表されています。日本の調査機関では正面切って聞きにくい質問もあったりして、とても興味深い結果がいくつか見られます。国際機関や海外情報を取り上げるのは私のこのブログのひとつの特徴ですので、グラフととともに簡単に紹介したいと思います。

More Want to Reduce Nuclear Power


まず、原子力発電については、上のグラフの通り、「現状維持」と「増加」がほぼ半減し、「減少」が70パーセントを占めるようになりました。ある意味で当然ですが、福井県の大飯原発の再稼働でなされているような議論を聞く限り、単純な原発の要不要ではなく、夏場などの電力需給ひっ迫時の原発の必要性に関して、一時的にしても原発を稼働させるか、生産や生活が犠牲になる可能性があっても節電を強化するか、あるいは、別の何らかの電力供給源を探るのか、さまざまな議論が深まることが望まれます。

Japan's Economic Future


次はエコノミストの興味の範囲で、日本経済の先行きに関する質問に対して、昨年の震災後に悲観論が高まったんですが、震災後1年を経て悲観論は完全に後景に退き、震災前と同じように「現状維持」が約半分を占める状態に戻りました。日本経済の先行き見通しについては、震災の影響は払拭された可能性が高いと受け止めています。

Self Defense Force Well-Regarded


次に、震災とその後の復興の過程で株を上げたのは自衛隊です。上のグラフの通りです。わずか30パーセントながら、野田総理が入っていたりします。自衛隊を "positive" と評価する割合は10年間で20ポイント増加しています。他方、東電が4パーセントしか評価されていないのは当然ですが、意外とメディアの評価が低くなっています。

Most Think Food Near Fukushima Not Safe


最後に、食品の安全性に関する質問、"Do you think foods produced near the Fukushima Daiichi nuclear plant are safe from radioactive contamination or not safe?" に対する質問の回答が上のグラフの通りとなっています。我が国のメディアや研究機関ではこういったズバリの質問はしにくいような気がします。結果も興味深く受け止めています。

グラフは引用しませんが、政府の復興努力に対して、支持が37パーセントにとどまる一方で、不支持は60パーセントに上っています。分かるような気がします。
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2012年06月05日 (火) 22:02:00

カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』(現代企画室) を読む

カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』(現代企画室)


カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』(現代企画室) を読みました。原題は La región más transparente です。現代ラテンアメリカを代表し、何度かノーベル文学賞候補に擬せられた偉大な作家の処女長編作品です。著者は先月5月15日に83歳で亡くなっています。セルバンテス賞受賞作品の9冊目のコレクションとして、今年3月に初版第1刷1200部で出版されています。近くの公立図書館で借りました。まず、私のようなラテンアメリカ駐在の経験がなければ、馴染みがない作家かもしれませんので、出版社のサイトから著者の紹介を引用すると以下の通りです。なお、この引用部分は本書巻末の作者紹介と同じです。

【著者紹介】カルロス・フエンテス
外交官の息子としてパナマに生まれた後、キト、モンテビデオ、リオ・デ・ジャネイロ、ワシントンDC、サンティアゴ(チリ)、ブエノス・アイレスなど、アメリカ大陸の諸都市を転々としながら幼少時代を過ごし、文学的素養とコスモポリタン的視点を培う。1952年にメキシコに落ち着いて以来、『オイ』、『メディオ・シグロ』、『ウニベルシダッド・デ・メヒコ』といった文学雑誌に協力しながら創作を始め、1955年短編集『仮面の日々』で文壇にデビュー。『澄みわたる大地』(1958)と『アルテミオ・クルスの死』(1962)の世界的成功で「ラテンアメリカ文学のブーム」の先頭に立ち、1963年にフリオ・コルタサルとマリオ・バルガス・ジョサ、1964年にガブリエル・ガルシア・マルケスと相次いで知り合うと、彼らとともに精力的にメキシコ・ラテンアメリカ小説を世界に広めた。1975年発表の『テラ・ノストラ』でハビエル・ビジャウルティア文学賞とロムロ・ガジェゴス賞、1988年にはセルバンテス賞を受賞。創作のかたわら、英米の諸大学で教鞭を取るのみならず、様々な外交職からメキシコ外交を支えた。フィデル・カストロ、ジャック・シラク、ビル・クリントンなど、多くの政治家と個人的親交がある。旺盛な創作意欲は現在まで衰えを知らず、長編小説『クリストバル・ノナト』(1987)、『ラウラ・ディアスとの年月』(1999)、『意志と運』(2008)、短編集『オレンジの木』(1994)、『ガラスの国境』(1995)、評論集『新しいイスパノアメリカの小説』(1969)、『セルバンテス、または読みの批判』(1976)、『勇敢な新世界』(1990)、『これを信じる』(2002)など、膨大な数の作品を残している。


物語は1950年代のメキシコ・シティを舞台にし、イスカ・シエンフエゴスなる正体不明の舞台回しの語り手との対話、あるいは、シエンフエゴス抜きのモノローグで進みます。なお、シエンフエゴスの正体は最後に明らかにされます。20世紀初頭の革命を経て新しい階級がのし上がり没落して行く、典型的には、名家の小作人に生まれて、革命後に銀行家として成功するも、結局、破産するフェデリコ・ロブレスに見られるメキシコ人の人生とメキシコ社会、そして国家の大きな変化を重厚な筆致で描き出しています。突き放した視点を提供しつつも、メキシコやメキシコ人に対する大いなる愛情を感じることもできます。私なんぞからいうまでもありませんが、表題の「澄みわたる大地」とはメキシコそのものを指しています。ものすごい読みごたえがあります。外交官というそれなりの安定した中産階級の家庭に生まれ育ち、西半球のラテン世界を中心にコスモポリタン的な視点を養ったとはいえ、30歳前にこの大作をものにし、スペイン語圏で圧倒的な支持をもって迎えられた作者の力量がうかがわれます。私はラテンアメリカの作家としては、『百年の孤独』のガルシア・マルケスなどのほか、このブログでも取り上げたマリオ・バルガス・ジョサは読んだんですが、フエンテスの作品をキチンと読んだのは初めてで、ただただ圧倒されてしまいました。さすがに、パチェーコと並び称されるメキシコを代表する作家です。
私はチリに外交官として3年間赴任しましたので、ある程度は経済分野を中心にスペイン語は理解します。もっとも、チリやアルゼンティンなどはほとんど先住民が残っておらず、欧州からの移民が大部分を占めており、同じラテンアメリカでも社会の成立ちがかなり違っています。メキシコでは先住民と移民の混血がかなり進んでいます。メスティーソと呼ばれる人たちです。大雑把な印象としては、スペイン人を父に、先住民であるインディオを母にしています。私くらいのレベルではなく、ホントにスペイン語に詳しければ、ある程度は姓によって出自を知ることが出来ます。舞台回しのシエンフエゴスという姓はスペイン語で「100ゲーム」という意味です。しかし、邦訳ではそこまで意味を汲み取ることが出来ません。残念なところです。もっとも、こういった固有名詞に由来する問題は、スペイン語だけでなく、サキの短編でも同じことが生じていて、名前によって「誰が槍玉に上げられるか」を英語のネイティブは予測できる、といいますが、私には分かりませんし、そのような翻訳がなされているわけではありません。しかしながら、こういった翻訳の限界を考慮しても、文体や表現や構成のどれを取っても、本書は文句なく名作です。ほかに書きたいことはいっぱいあるんですが、本書が名作であることを強調して終わりにします。

先月に亡くなったばかりの話題の作家だということもあり、わずか1200部の限定印刷にも関わらず、多くの公立の図書館で所蔵しているように見受けられます。日本人に馴染みの薄いラテンアメリカの文学作品ですが、繰返しになるものの文句なしの名作です。多くの方が手にとって読むことを望みます。
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2012年06月04日 (月) 20:22:00

金曜日に発表される1-3月期2次QEはやや上方改定されるか?

今週金曜日に2012年1-3月期期GDP速報改定値が内閣府より発表されます。先週の法人企業統計をはじめとして、必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。みずほ総研と伊藤忠経済研の各機関では先行きについて言及した部分を中心に取っているつもりですが、それ以外は2次QEですからアッサリした記述となっています。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+1.0%
(+4.1%)
n.a.
日本総研+1.3%
(+5.2%)
設備投資投資が上方修正される一方、公共投資は下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+5.2%(前期比+1.3%)と1次QE(前期比年率+4.1%、前期比+1.0%)からプラス幅が拡大する見込み。
みずほ総研+1.1%
(+4.3%)
エコカー補助金再開後に急増した自動車販売は4月に入って一服しているようであり、4-6月期の個人消費の伸びは1-3月期に比べて大きく鈍化する可能性が高い。4-6月期の実質GDPは公的需要など国内需要に牽引される形でプラス成長を維持するものの、年率+1%台に鈍化すると予測している。
ニッセイ基礎研+1.0%
(+4.2%)
設備投資の上方修正と民間在庫の下方修正が相殺することにより、成長率は1次速報(前期比1.0%、年率4.1%)とほぼ変わらないだろう。設備投資は1次速報では前期比▲3.9%の大幅減少となっていたが、2次速報では前期比▲2.8%へと上方修正されると予想する。
第一生命経済研+1.1%
(+4.4%)
設備投資と公共投資の上方修正が影響する。もっとも、修正幅は小さく、景気認識に修正をもたらすものにはならないだろう。個人消費と公共投資という、政策効果に押し上げられた内需が景気を支えるという構図も1次速報段階から変わらない。1-3月期のGDPは過去の統計との位置づけになるとみられ、市場で材料視されることはないだろう。
伊藤忠経済研+1.0%
(+4.0%)
貿易統計や鉱工業生産、家計調査など4月の基礎統計から、4-6月期を展望してみたい。まず、輸出が幾分増勢を強めるため、純輸出寄与度は1-3月期から幾分高まる。また、1-3月期に減少した設備投資も4-6月期は水面上に顔を出す可能性が高いだろう。しかし、個人消費や公共投資、在庫投資など、他の内需項目が大幅に減速するため、内需全体の寄与度は1-3月期の0.9%Ptから大幅に縮小する。内需の減速を受けて、GDP成長率も1-3月期の前期比年率4.1%から大幅に低下、年率1%台前半まで鈍化する見込みである。日本経済の回復は4-6月期も続くが、政策要因による押し上げが縮小するため、高成長となった1-3月期から成長ペースは鈍化すると考えられる。
三菱総研+1.1%
(+4.5%)
設備投資の上方修正と、公的固定資本形成および民間在庫投資の下方修正が打ち消しあい、修正は小幅にとどまると予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.1%
(+4.5%)
需要サイドの統計である法人企業統計の結果を受けて、設備投資は1次速報値の前期比-3.9%から同-2.1%へと上方修正されると見込まれる。在庫投資については、同じく法人企業統計の結果を反映させると若干下方修正される可能性があるものの、実質GDPに対する前期比寄与度は+0.4%のままだろう。一方、公共投資は、3月の建設総合統計の結果を受けて、1次速報値の前期比+5.4%から同+3.0%へと下方修正されるとみられる。その他の需要項目は1次速報値とほとんど変わらないだろう。


伊藤忠経済研を除いて、2次QEでは1次QEよりも少し上方修正されると考えている機関が多いと受け止めています。大雑把に最大公約数を取れば、民間設備投資が上方改定される一方で、公共投資と民間在庫が下方改定され、かなりの程度にキャンセルアウトされるものの、全体の成長率は上方改定される、との見方といえます。極めて緩やかながらエコノミストのコンセンサスと考えて差し支えありません。
足元の4-6月期の先行き見通しについては、上のテーブルではみずほ総研と伊藤忠経済研だけが明らかにしており、ほぼ同じ見方と受け止めています。すなわち、個人消費の減速から内需が鈍化し、4-6月期はプラス成長を維持するものの、年率1%近くまで成長率が落ちる可能性が高い、というものです。これも、多くのエコノミストのコンセンサスに近いと私は考えています。

ここ2-3年間、ほとんど同じ主張を続けてきたんですが、日本経済の先行きリスクのうち最大のもののひとつは為替であると私は考えています。
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2012年06月03日 (日) 17:35:00

継投を失敗して日本ハムにまたまた2タテを食らう!

  HE
阪  神000030000 391
日本ハム20001004x 7122


またまた日本ハムに2タテを食らいました。7回まで投げたメッセンジャー投手を諦めて、8回ウラから継投に入ったのが結果的に失点に結びつきました。競っていた試合が4点取られてブチ壊しになりましたが、あくまで結果論です。私はテレビ中継に最後までお付き合いしましたが、我が家のおにいちゃんは8回で見るのを止めてしまいました。子供を阪神ファンに育て上げるためにも、日曜日くらいは、もう少し結果が伴う試合を見せて欲しいと思います。

次の楽天戦は、
がんばれタイガース!
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2012年06月03日 (日) 11:25:00

マイケル・サンデル『それをお金で買いますか - 市場主義の限界』(早川書房) を読む

マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』(早川書房)


サンデル教授の『それをお金で買いますか』(早川書房) を読みました。同じ出版社から出された前作『これからの「正義」の話をしよう』や「ハーバード白熱教室」などが話題になったのが2010年で、私が遅ればせながら読書感想文のブログを書いたのが2010年9月11日ですから、ほぼ2年振りの話題の書ということになるかもしれません。しかも、今回はタイトルを見ても明らかな通り、エコノミストにダイレクトに関係するテーマを取り上げています。副題は「市場主義の限界」だったりします。なお、原題は What Money Can't Buy なんですが、邦訳のタイトルの方がふさわしいと私は感じています。ということで、まず、出版社のサイトから本の紹介を引用すると以下の通りです。

マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』
ハヤカワ・ノンフィクション <来日決定!> 医療、教育、政治……あらゆるものが売買されるこの時代。市場主義の暴走から「善き生」を守るために私たちは何をすべきか? 現代最重要テーマに挑む、サンデル教授待望の最新刊
結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかという問題なのだ。 (本文より)


私たちは、あらゆるものがカネで取引される時代に生きている。民間会社が戦争を請け負い、臓器が売買され、公共施設の命名権がオークションにかけられる。
市場の論理に照らせば、こうした取引になんら問題はない。売り手と買い手が合意のうえで、双方がメリットを得ているからだ。
だが、やはり何かがおかしい。
貧しい人が搾取されるという「公正さ」の問題? それもある。しかし、もっと大事な議論が欠けているのではないだろうか?
あるものが「商品」に変わるとき、何か大事なものが失われることがある。これまで議論されてこなかった、その「何か」こそ、実は私たちがよりよい社会を築くうえで欠かせないものなのでは――?
私たちの生活と密接にかかわる、「市場主義」をめぐる問題。この現代最重要テーマに、国民的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授が鋭く切りこむ、待望の最新刊。


第1章 行列に割り込む、から始まって、第2章 インセンティブ、第3章 いかにして市場は道徳を締め出すか、第4章 生と死を扱う市場、第5章 命名権、まで、市場で、というか、交換の対象として道徳的に相応しくない財があるのではないか、という問題意識から、さまざまな実例が取り上げられ、いくつかの見方が説き起こされています。対比されているのは、リバタリアン的な見解とリベラル的な見方なんですが、サンデル教授は米国人ですから、当然にようにマルクス主義的な見方は提供されません。といっても、マルクス主義的な見方からすれば、資本制社会で当然に起こる疎外の概念で、一瞬にして議論が終わりそうな気がします。『資本論』が商品の記述から始まっており、現在の資本制社会を規定するもっとも根源的なものは商品であるとマルクスが考えていたことはよく知られてる通りです。
市場取引が拡大したというか、ここ10年ほどで人間の社会生活の多くの部分で市場が利用されるようになったのには、私の考えで、2つの理由があると言えます。第1に、インターネットをはじめとする情報化の進展により、需要と供給のマッチング・コストがはなはだしく低廉化したことです。少し前までは、どこに行けば手に入るか、あるいは、誰に対して売れるか、まったく情報がなくて市場が成立しなかったような財まで市場が成立してしまったことが背景にあります。第2に、リバタリアン的なバイアスがあり、政策課題の解決を公的な部門や規制された市場より自由な市場取引に委ねる傾向のある政権が一定の影響力を持ったことです。米国では今世紀初頭に2期務めたブッシュ大統領、我が国では5年続いた小泉内閣などです。
私の読み方が偏っているのかもしれませんが、ある財について市場化が進んで規範的に好ましくないと多くの人が考える理由としてサンデル教授は2点上げており、第1に不平等の問題です。お金持ちだけが入手できる場合が少なくなく、逆に、貧困であるがゆえに売買に好ましくない財を売らねばならない可能性が生じることは否定できません。基本的人権のレベルでは人間は法の下に平等ですが、市場に対する場合、処分可能な貨幣量に応じての自由しか与えられないわけです。株主総会で所有株数に応じた議決権が与えられるのと基本的には同じです。第2に腐敗の問題です。これはエコノミストたる私の直感的な理解でしかなく、やや自信がないんですが、第1の不平等や不公正を超えて、本来は市場で売買すべきでない財を市場に委ねてしまう倫理観の欠如、と私は捉えています。間違っているかもしれません。
途上国の事情にもそれなりに詳しいエコノミストとして考えると、少なくとも第2の腐敗に関する私の理解が正しければ、サンデル教授の指摘は誤っている可能性があります。すなわち、市場とは価格というシグナルに従って財の効率的な配分を行うメカニズムなんですが、特定の財を市場に委ねずに行政や何らかの権力による規制で配分しようとした場合、市場よりも大きな腐敗、というか、倫理観の欠如した配分が行われる可能性があるからです。発展途上国ではこういったケースがまま見受けられます。極端なケースですが、途上国で独裁者の意向に応じて市民が殺害されるのと市場で生命が売買されるのでは、どちらが倫理観という観点から好ましいかは疑問が残ります。ただし、こういった極端な事象が生じない先進民主主義国ではサンデル教授の議論が当てはまる可能性が高いことは私も認識しています。
順序が逆になりましたが、第1の点に関しては私も従来から市場に疑問を抱いている点です。最近では、故宮展を見に行った今年1月21日付けのエントリーでついでに議論を展開して、「市場原理主義的な解決方策には疑問」を持っていることを明らかにしています。サンデル教授が最初に取り上げている行列への割込みに関しては、この点で、すなわち、故宮展を見るという点で、国民が平等に扱われるべきであるとすれば行列に並ぶことにより、おそらく、機会費用が低いであろう所得の高くない層を結果的に優遇するのも一案ではないかと考えています。もちろん、私企業であるディズニー・リゾートにおけるファストパスを否定するものではありません。そちらはそちらで別の観点からの営業政策があるのかもしれません。いずれにせよ、軽々に結論の出る議論ではありませんが、何らかの折に議論を深めて国民の間で少しでもコンセンサスに近づく努力は必要と私も考えます。その意味でも、本書は注目に値すべき出版物だと思います。

サンデル教授の前著である『これからの「正義」の話をしよう』を読んだ我が家のおにいちゃんには、この本も読ませてみたい気がします。最後に、私はこの本を丸の内オアゾにある丸善で買ったんですが、邦訳よりも安い1500円ほどで英語の原書を売っていました。とっても食指が動いたんですが、結局、英語の原書は買いませんでした。読み終わった今になってやや後悔しないでもありません。
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2012年06月02日 (土) 21:47:00

阪神打線に決定打なく藤川投手が打たれてサヨナラ負け!

  HE
阪  神0010000000 151
日本ハム0001000001x 270


交流戦も折り返して後半に入り、2タテを食らった日本ハムや楽天に借りを返したいところですが、阪神打線に決定打なく、藤川投手が打たれてサヨナラ負けに終わりました。阪神の唯一の得点は大和選手の渋い内野安打でブラゼル内野手が激走した結果でした。能見投手もよく投げましたが、打線の援護が足りませんでした。いつものパターンなんですが、最後に藤川投手が打たれたのは想定外でした。

明日は何とか、
がんばれタイガース!
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2012年06月02日 (土) 09:46:00

米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。5月の統計です。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者の前月差の伸びはわずかに6.9万人と市場の事前コンセンサスを大幅に下回り、失業率は0.1%ポイント上昇して8.2%に達しました。まず、New York Times のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を最初の7パラ引用すると以下の通りです。

Worst U.S. Job Data in a Year Signals Stalling Recovery
A dismal job market report Friday gave a resounding confirmation to fears that the United States recovery has markedly slowed, reflecting mounting evidence of a global slowdown.
The report, which showed the smallest net job growth in a year and an unemployment rate moving in the wrong direction, was a political game-changer that bodes ill for President Obama as he faces re-election.
It provided traction for his Republican rival, Mitt Romney, at a time when politicians have been deeply divided over the most effective way to strengthen the economy. And it put increased pressure on the Federal Reserve to take further action to stimulate growth.
The United States economy gained a net 69,000 jobs in May, according to the Labor Department. The unemployment rate rose to 8.2 percent from 8.1 in April, largely because more people began looking for work. And there was more unexpected bad news: job gains that had been reported in March and April were revised downward.
Economists can explain away a month or two of disappointing numbers. But this was the third consecutive disappointing monthly performance by the job market, following a winter of solid gains, convincing many that the economic recovery has, for the third year in a row, lost momentum. A few analysts even reintroduced a possibility that dogged last year’s forecasts but did not come to pass: a double-dip recession.
The report on American jobs added to the global pall that has deepened as a result of renewed uncertainty in Europe and slowing growth in China and India. Global financial markets, already weak in early trading on Friday, sank further on the numbers. On Wall Street, the Dow Jones industrial average lost 1.8 percent, or 221 points, by early afternoon, and the main index of the German stock market closed down 3.4 percent.
Yields on United States and German government bonds also slumped further as traders sought safer investments. The 10-year Treasury yield fell to another record, 1.46 percent, and the German tw0-year bond fell below zero.


いつもの通り、週末ですので、かなり眺めにメディアの報道を引用したこともあり、簡単にグラフだけ見ておきたいと思います。まず、下のグラフは米国雇用統計のヘッドラインです。上のパネルが非農業部門雇用者数の前月差増減、下が失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

米国雇用統計の推移


連邦準備制度理事会 (FED) がもっとも重視する雇用統計がかなり弱い数字でしたので、追加的な金融緩和の可能性が高まったと受け止められていますが、QE3になるかどうかは不透明です。というのは、ISM製造業PMIなどはほぼ市場の事前コンセンサス並みであり、今後の景気動向をさらに見極める必要もあると考えられるからです。もちろん、もっとも懸念されるのは欧州のソブリン危機であることは言うまでもありません。

時間当たり賃金上昇率の推移


デフレとの関係で私が重視している時間当たり賃金の上昇率もかなり低下して来ました。上のグラフの通りです。米国のFEDの場合、通常の中央銀行と違って、いわゆるデュアル・マンデートの景気と物価の両方をターゲットのしていますが、もちろん、物価がデフレに陥ることとなれば、日本の日銀の失敗を見るまでもなく、デフレにより景気に対してさらに下押し圧力が加わりますから、デフレはなんとしても避けたいところです。

Jobless Recovery


最後に、景気後退局面での雇用の喪失とその後の回復を、何度かの景気後退期に従ってプロットしたのが上のグラフです。2001年のいわゆるITバブル後の景気後退も Jobless Recovery と呼ばれましたが、今回の景気後退では50か月を超えても雇用の喪失の半分も回復していません。日本の景気が企業部門を起点に回復するのに対して、米国では家計を起点に景気が回復しますので、今後の景気回復の足取りが懸念されます。
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2012年06月01日 (金) 19:28:00

法人企業統計から来週金曜日発表の2次QEを占う!

本日、財務省から今年1-3月期の法人企業統計の結果が発表されました。季節調整済みの系列で見て、売上げや利益が順調に増加した一方で、設備投資は減少しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。


財務省が1日発表した2012年1-3月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比3.3%増の11兆8545億円となり、2四半期連続で増えた。全産業の売上高と経常利益は4四半期ぶりに増加した。設備投資、企業業績ともに昨年末に復活したエコカー補助金を追い風に好調な自動車産業がけん引している。
財務省は基調判断を「企業部門は持ち直しの動き」と上方修正した。前回は企業業績が「足踏み」、設備投資は「明るい兆し」としていた。
産業別に投資動向をみると、製造業では鉱山用油圧ショベルなどの生産用機械が67.9%増えたほか、新型車の製造ライン整備などで輸送用機械も17.3%増えた。東日本大震災からの復旧が続く建設業の設備投資も増えた。
ただ市場関係者の間では「設備投資の水準は低い。海外経済の停滞や電力不足を警戒し、企業は慎重な姿勢だ」(みずほ証券の上野泰也氏)との見方もある。
全産業の売上高は346兆9980億円で0.6%増、経常利益は13兆7049億円で9.3%増だった。自動車のほか、円高を受けて海外旅行が好調だったサービス業や、スマートフォンの普及でデータ通信収入が増えた情報通信業が増収増益となった。
法人企業統計は資本金1000万円以上の企業の仮決算をまとめた。設備投資はほぼすべて国内向けで海外投資は含まない。設備投資(ソフトウエアを除く)の季節調整値は前期比1.7%減った。今回の結果は内閣府が8日に発表する1-3月期の国内総生産(GDP)改定値に反映する。


下のグラフは法人企業統計のヘッドラインとなる売上げと経常利益と設備投資をプロットしています。季節調整済みの系列ですので、上に引用した記事と少し印象が異なる部分があります。上のパネルが売り上げと経常利益、下が設備投資であり、いずれも影を付けた部分は景気後退期です。

法人企業統計の推移


基調判断については、引用した報道にもある通り、「企業部門は持直しの動き」と上方修正されています。ただし、上のグラフを見ても明らかな通り、昨年3月の震災で売上げや利益が減少した後、現在でも震災前の水準に戻ったとは言い難く、その結果、例えば、夏季ボーナスなどが振るわない遠因になっています。なお、設備投資が減少に転じたことについては、むしろ、前期昨年10-12月期の統計の方に違和感を覚えていましたので、逆に正常化した可能性すらあり、エコノミストの中では織込み済みの感もあります。先行きに関しても、私は楽観視しておらず、現在の円高が企業活動にネガティブな影響を与える可能性が強いと受け止めています。

労働分配率と損益分岐点の推移


他方、震災からほぼ1年を経て、法人企業統計からインプリシットに計算される労働分配率や損益分岐点は景気回復期らしい動きに戻りつつあると考えています。上のグラフの通りです。季節調整済みの係数が発表されないので、原系列の統計を基に算出していますが、後方4四半期移動平均でトレンドを取ると、一時、震災で反転したものの、労働分配率と損益分岐点は景気回復ないし拡大期にふさわしい方向に戻っています。基本的には、健全な企業活動に回帰しつつあると考えるべきです。

今日の法人企業統計を受けて、2次QEの設備投資がどちらに動くかは微妙なところだと受け止めています。1次QEでは設備投資は季節調整済みの前期比で▲3.9%のマイナスだったんですが、このマイナス幅がやや縮小するんではないかと見込んでいます。
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