2013年03月31日 (日) 16:21:00

昨シーズンの貧打に戻ってドラ1ルーキー藤浪投手を見殺し!

  HE
阪  神000000000 071
ヤクルト10000100x 250


一昨日の開幕戦の打棒は単なるまぐれだったのかもしれません。黄金ルーキー藤浪投手が先発し6回2失点にヤクルト打線を抑えたにもかかわらず、2回、5回、6回とチャンスはありながら、ここ1本が出ず昨日からのゼロ行進が続き、ルーキー藤浪投手を見殺しでした。昨日の試合は見なかったんですが、昨シーズンの貧打が大復活なのかもしれません。進歩のないことです。

次の中日戦は
がんばれタイガース!
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2013年03月30日 (土) 20:55:00

宮部みゆき『桜ほうさら』(PHP研究所) を読む

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宮部みゆき『桜ほうさら』(PHP研究所) を読みました。昨年の『ソロモンの偽証』の現代物から一転して時代小説の最新作です。まず、出版社の特設サイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

あらすじ
舞台は江戸深川。主人公は上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊・笙之介。大好きだった父が賄賂を受け取ったと疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやってきた笙之介は、父の汚名をそそぎたい、という思いを胸に、深川の長屋に住み、事件の真相究明にあたる。父の自刃には、搗根藩の御家騒動がからんでいた。野心を抱く者たちに押しつぶされそうになる笙之介は、思いを遂げることができるのか。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。


最初に掲げた装画と挿画は三木謙次です。とても内容に沿った挿し絵で好感が持てます。基本的な物語の運びは、井筒平四郎と弓之助の「ぼんくら」シリーズと同じです。大きな謎と章ごとの謎を組み合わせて物語が出来上がっています。ただし、この『桜ほうさら』は主人公が古橋笙之介という22歳の侍ですので、オッサンの井筒平四郎と子供の弓之助のコンビではあり得ない恋物語にもなっています。
宮部作品らしく、細部に渡る詳細な記述があり、かつ、最後は怒涛のがぶり寄りなんですが、お家断絶や藩主の跡目争いといった深刻な客観的事情に照らして、主人公の余りに軽くて薄い主観的心情のズレが少し気になります。『孤宿の人』のように主人公が少し足りない町人の子供であればともかく、立派に成人したお侍なんですから、もう少し何とかならないものかという気はします。でも、挿し絵のイメージで軽く流すのがこの作品の主眼なんだろうということは理解します。

『ソロモンの偽証』と違って、フルマークは付けられません。5ツ星から1ないし1.5くらい足りないような気がします。でも、私のような宮部ファンであれば、是非とも読んでおくべきです。
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2013年03月29日 (金) 22:02:00

開幕戦は17安打9得点でヤクルトにボロ勝ち!

  HE
阪  神200011320 9170
ヤクルト000030000 361


いよいよ今夜からプロ野球が開幕しました。
我がタイガースの開幕戦は神宮球場で東京ヤクルトと対戦でした。先発のメッセンジャー投手がよく投げ、私は7回に西岡選手のヒットで突き放して安心し切って入浴してしまいました。お風呂から上がると17安打9得点の圧勝でした。こんな勝ち方は昨シーズンはそうそうなく、誠に気持ちのいいものです。わずか1試合だけしか見ていませんが、今年は期待が持てそうです。

明日も、
がんばれタイガース!
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2013年03月29日 (金) 20:16:00

一気に発表された政府統計から景気の現状を占う!

今日は3月の最終営業日の閣議日であり、いくつか重要な政府統計が発表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されています。いずれも2月の統計です。まず、各統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

2月の鉱工業生産、3カ月ぶり悪化 スマホ関連不振
経済産業省が29日発表した2月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整値)は89.0となり、前月比0.1%低下した。悪化は3カ月ぶり。中国で生産されるスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けの電子部品が減産となったためで、輸送機械や一般機械は改善傾向にある。3-4月の予測調査では指数が再び上昇に転じる見込みだ。
2月の生産指数は全16業種のうち10業種が前月を上回り、1月時点の7業種から増えた。経産省は「生産は下げ止まり、一部に持ち直しの動きがみられる」と基調判断を前月から据え置いた。
2月の指数は市場予想(2.5%上昇)を下回った。電子部品・デバイスが5.0%減と3カ月連続でマイナスとなったのが響いた。半導体集積回路や液晶素子など中国などで組み立てられるスマホ向け部品が落ち込んだ。窯業・土石製品も中国の春節(旧正月)による生産減でファインセラミックスなどが減り、0.5%減だった。
一方で輸送機械は北米や国内向けの自動車が堅調で1.8%増え、3カ月連続で改善した。一般機械も米国や台湾向けの半導体製造装置を中心に1.3%のプラスだった。
同時に発表した製造工業生産予測調査は3月が1.0%増、4月が0.6%増を見込む。一般機械が北米向け輸出や復興関連の需要増を見込むほか、電子部品も輸出の増加でプラスに転じる予測となっている。
2月失業率、2カ月ぶり悪化も「職探し活発化」
総務省が29日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の4.3%となった。2カ月ぶりに悪化したが、総務省は「景気回復への期待感で、職が見つからないと諦めていた人も求職を始めたため」とみている。厚生労働省が同日発表した2月の有効求人倍率(同)は0.85倍で横ばいだった。
職探しをしていない失業者にあたる非労働力人口は前月比13万人減。一方で、就業者数は9万人増で、職探しを経て仕事に就く人は増えた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」による景況感の好転を背景に、職探しを始める人が増えている。
完全失業者の失業理由をみると、「新たに求職」をあげた人は4万人増え、80万人となった。増加幅は、1月の2万人増から倍増した。リストラなど「非自発的な離職」が7万人減って99万人になったのとは対照的だ。厚労省は「雇用情勢は緩やかに持ち直している」との基調判断を据え置いた。
職探しを始めた人が増えた結果、非労働力人口は減った。減少した人数のうち、約8割は女性だった。就業者数が前年同月と比べ増えている医療・福祉業や宿泊・飲食サービス業などが雇用の受け皿になっているとみられる。女性の失業率は求職者が増えたので、0.1ポイント上昇の3.9%となった。
2月の新規求人は前年同月比4.7%増えた。卸・小売業(10.4%増)、教育・学習支援業(11.7%)など、求人も女性が多く働くサービス業を中心に増えた。復興需要が底堅い建設業も6.5%増えた。一方、製造業は8.9%減り、9カ月連続で減少した。
消費者物価0.3%下落 2月、テレビ値下がり
総務省が29日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで99.2となり、前年同月比で0.3%下落した。マイナスは4カ月連続で、下落幅は前月よりも0.1ポイント膨らんだ。テレビなど家電製品の価格下落が響いた。
項目別に見るとテレビはマイナス28.9%と、前月のプラス6.2%から一転して低下に転じた。昨年2月にテレビの調査対象を変更したことで価格が押し上げられた影響が、はげ落ちたことが主因だ。ルームエアコンも23.9%低下し、家電製品の値下がりがデフレをけん引する構図が続いている。
一方、電気代は電力会社の値上げを反映して3.5%上昇した。ガソリン価格の上昇で自動車等関係費も上がった。
全国指数の先行指標となる東京都区部の3月のCPI(中間速報値)は、生鮮食品を除くベースで98.7となり前年同月比0.5%下がった。テレビやエアコンの値下がりが主因だ。


いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。続いて、鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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鉱工業生産は当然プラスの増産との市場の事前コンセンサスだったんですが、何とわずかながら減産に転じました。基本的には中国の春節効果によるスマホの影響であって、生産が回復基調にあることに変わりないと私は受け止めています。引用した記事にもある通り、増産業種は増えており、幅広い産業で生産を増加させる動きが広がっています。これも記事にある通り、生産予測は3月も4月もプラスを示しています。特に、、鉄鋼業、一般機械工業、電子部品・デバイス工業に関しては3月、4月ともに増産を見込んでいます。もっとも、情報通信機械工業は3月、4月とも減産を見込み、必ずしも、一本調子での増産ばかりが予想されているわけではありません。従来からの見方と同じなんですが、生産の先行きに関しては輸出の動向が気にかかるところです。今年前半くらいまでは、企業部門ではなく家計部門が景気を引っ張るような気がします。上のグラフの下のパネルでも、耐久消費財に比べて資本財の出荷が伸び悩んでいるのが見て取れます。

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上のグラフは上から失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済の系列です。雇用については、引用した記事にある通り、景気が悪かった時に労働市場から退出した人が戻りつつあるように見えます。アベノミクスによる景気の回復基調の強まりとともに、特に、女性を中心に労働市場への参入が進み、結果として、失業率や有効求人倍率などの改善テンポがさらに緩やかになる局面に入った気がします。失業率は一進一退で推移していますし、2月の有効求人倍率は前月から横ばいでした。しかし、決して悪い兆候ではないと私は受け止めています。今後は、量的な雇用の拡大が緩やかになる一方で、企業業績に応じた賃金の上昇がどのくらい実現するかの質的な雇用の動向にも目を向けたいと思います。

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消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。青い折れ線が全国の生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率となっており、積上げ棒グラフがその寄与度を表しています。赤い折れ線グラフは食料とエネルギーを除く全国の総合で定義されるコアコアCPIの、グレーの折れ線は東京都区部のコアCPIの、それぞれ前年同月比上昇率です。物価は下落率が拡大したというものの、生鮮食品を除くコアCPI上昇率は市場の事前コンセンサスでは▲0.4-0.5%でしたので、結果としては、実績はこれを上回ったことになります。1月のエアコン、2月のテレビが銘柄改正などの影響により、昨年上昇を示したため、その反動が今年になって出ています。もっとも、物価でプラスを示しているのはエネルギーくらいなんですが、今年の年央から後半にはコアCPI上昇率はゼロ近傍からプラスを望めるんではないかと私は予想しています。もちろん、日銀の金融政策に依存する部分が大きいのはいうまでもありません。

今日発表された政府統計は、アベノミクスによる景気回復が必ずしも一本調子に景気を上向かせるだけではなく、そろそろ回復や拡大が緩やかになる可能性を示唆していると私は受け止めています。しかし、我が国の景気が回復基調にあることは何ら変わりなく、期待やマインドに支えられた景気が実体的な裏付けを持つに至るかどうかに注目が移りつつあるように見受けられます。
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2013年03月28日 (木) 22:49:00

前年比マイナスの商業販売統計は消費の悪化を示しているか?

本日、経済産業省から2月の商業販売統計が発表されました。ヘッドラインとなる小売業販売額は前年同月比▲2.3%減の10兆5250億円でした。前年2012年の2月はうるう年でしたので、前年比マイマスながら、まずまずの数字と受け止めています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の小売販売額、2カ月連続マイナス 自動車販売の不振続く
経済産業省が28日発表した2月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は10兆5250億円で前年同月に比べ2.3%減った。マイナスは2カ月連続。前年にエコカー補助金効果で自動車販売が大きく伸びた反動が出たほか、天候不順で春物衣料販売の出だしが鈍かった。うるう年だった昨年に比べ、営業日数が1日少なかったことも影響した。
減少幅は2011年8月(2.4%減)以来の大きさ。ただ、うるう年でなかった11年と比較すると0.7%増で、経産省は「堅調に推移している」とみている。
自動車小売業は10.3%減で、6カ月連続の減少。機械器具小売業はテレビの販売不振や価格下落が止まらず、4.0%減と19カ月連続のマイナスだった。織物・衣服・身の回り品小売業は1.6%減だった。
一方、燃料小売業はガソリンなど石油製品価格の上昇で1.8%増。医薬品・化粧品小売業は花粉症対策商品が伸び、0.6%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は2.9%減の1兆4236億円、既存店ベースは3.7%減で、共に2カ月連続のマイナス。うち百貨店は時計や宝飾品など高額商品の販売が伸び0.7%増だったが、スーパーは5.8%減だった。春物衣料の不振に加え、野菜の相場安が影響した。
コンビニエンスストアは0.7%減の7033億円。タバコや書籍の販売が落ち込んだほか、前年にコンサートなど高額チケットの販売が多かった反動が出た。既存店ベースも4.9%減で、9カ月連続のマイナスだった。


いつもながら適確に取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売販売額の前年同月比、下は季節調整指数をそれぞれプロットしています。なお、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと仮置きして、影をつけた部分である景気後退期を示しています。

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2月の小売業販売額は季節調整していない前年同月比ではマイナスなんですが、これは前年のうるう年の影響による反動です。もちろん、月極め料金もありますから、すべてが日数分少ないというわけではありませんが、食料を中心にうるう年は消費に大きな影響を有することは確かです。ただし、カレンダー要因ということになれば、昨年2月の祝日の建国記念日2月11日が土曜日に重なったのに対して、今年は月曜日に来て連休になりましたから、うるう年要因をわずかながら緩和した可能性はあります。
他方、季節調整済みの系列は2月に大きくジャンプしましたが、これも額面通りに受け取るべきではありません。価格が高騰したガソリン販売の影響が大きいからです。季節調整済みの指数系列が発表されている産業の中で燃料小売業の前月比が前月比+3.6%と最も大きくなっています。引用した記事にある通り、燃料小売業は季節調整していない原系列の前年同月比でもプラスです。他方、自動車小売業も1月こそ前月比でマイナスでしたが、1月には前月比+1.1%のプラスに転じています。エコカー補助金終了の反動も一巡した可能性があります。いずれにせよ、ガソリン要因があるとはいえ、消費は底堅いと考えるべきです。
消費の先行きについては、根拠ない楽観論には立ちませんが、慎重な楽観論の立場といえます。一時流行った言葉でいえば、cautiously optimistic というわけです。すなわち、メディアの報道に見られるような賃金上昇は、少なくとも現時点では、ごく限られた範囲の雇用者に恩恵が及ぶだけだと私は受け止めています。例えば、1部上場大企業の正社員だけというわけです。従って、現時点での消費拡大は所得ではなくマインド向上が先行していると考えるべきです。もちろん、景気回復ないし拡大が継続するに従って所得が上昇する可能性もある一方で、消費税率引上げ前の駆込み需要が夏ごろから顕在化する可能性もあり、必ずしも所得に基づかずに消費が拡大する可能性があります。当然ながら、所得の裏付けなく消費税率引上げを見越しただけの消費拡大はサステイナブルではなく、消費税率引上げとともに大きく失速する可能性も否定できません。これを避けるためにも、景気拡大の継続と賃上げが強く望まれるところです。

消費は内需やGDPのもっとも大きな部分を占めるだけでなく、国民生活の豊かさを測るひとつの尺度でもあります。国民生活重視のエコノミストとして、雇用とともに消費も私は重視しています。
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2013年03月27日 (水) 20:01:00

小川洋子『ことり』(朝日新聞出版) を読む

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小川洋子『ことり』(朝日新聞出版) を読みました。著者の12年振りの長編小説です。まず、出版社のサイトからこの本のあらすじを引用すると以下の通りです。

ことり
12年ぶり、待望の書き下ろし長編小説。親や他人とは会話ができないけれど、小鳥のさえずりはよく理解する兄、そして彼の言葉をただ一人世の中でわかるのは弟だけだ。小鳥たちは兄弟の前で、競って歌を披露し、息継ぎを惜しむくらいに、一所懸命歌った。兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、人間の言葉を話せない。青空薬局で棒つきキャンディーを買って、その包み紙で小鳥ブローチをつくって過ごす。
やがて両親は死に、兄は幼稚園の鳥小屋を見学しながら、そのさえずりを聴く。弟は働きながら、夜はラジオに耳を傾ける。静かで、温かな二人の生活が続いた。小さな、ひたむきな幸せ……。そして時は過ぎゆき、兄は亡くなり、弟は図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて持ち歩く老人、文鳥の耳飾りの少女と出会いながら、「小鳥の小父さん」になってゆく。世の片隅で、小鳥たちの声だけに耳を澄ます兄弟のつつしみ深い一生が、やさしくせつない会心作。


大昔はともかく最近では、私はこの著者の作品は『博士の愛した数式』と『猫を抱いて象と泳ぐ』しか読んだことがありません。すなわち、記憶の続かない数学の博士や自ら成長することを止めて椅子に入ったチェス・プレイヤーといった通常ではない人生を送る主人公の小説といえます。今夜取り上げる作品『ことり』は主人公ではなく、主人公の兄がそのカテゴリーに入るんではないかと思います。その意味で、書下ろしでもありますし、小川ワールド全開といえます。
主人公である弟にしか理解できない「ポーポー語」でしかしゃべれない兄と暮らし、普通の会社のゲストハウスの管理人として勤めを続ける主人公の死から物語は始まります。主人公の兄が「ポーポー語」をしゃべり始めたあたりに一度物語が戻り、当然ながら、両親の死や兄の死を迎えます。全部で250ページほどのこの作品で、兄の死までが90ページほどですから、大部分は「小鳥の小父さん」と呼ばれる主人公がひとり暮らしになってからの物語です。極めて現状維持バイアスの強い生活の中にも、それなりの変化が起こり、図書館司書とのほのかな恋心めいた感情、虫箱をもった老人との会話、「ことり」が「小鳥」だけでなく「子取り」にも通ずることを改めて感じさせられた事件、そして、最後の文鳥の鳴き合わせ会でのとっさの小父さんの行動、そして主人公の死で終わります。

現実離れしているかもしれませんが、甘くて切ない人生を描き切ったレベルの高い作品です。多くの図書館に所蔵されていることと思います。小川ワールドの好きな読者は必読です。
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2013年03月26日 (火) 23:17:00

来週月曜日に公表される日銀短観の業況判断は改善を示すか?

来週月曜日4月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIを取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は2013年度、すなわち、来週から始まる来年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。いつもの通り、先行きに関する見通しを可能な範囲で取りました。もともと先行き判断を含む調査ですから、各機関とも何らかの先行きに関する言及がありました。ただし、長くなりそうな場合はこの統計のヘッドラインとなる大企業製造業だけにした場合もあります。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査▲12
+4
<n.a.>
n.a.
日本総研▲5
+9
<+1.4>
先行き(2013年6月)は、大企業・製造業、大企業・非製造業で、各々3月対比+5%ポイント、+6%ポイントの改善と予想。米中景気の回復により輸出が持ち直しに転じるほか、緊急経済対策の効果が、顕在化してくることが背景。加えて、消費者マインドの改善が続くこともプラスに作用する見込み。
大和総研▲7
+7
<+2.4>
(大企業製造業) 先行きに関しても、海外経済の回復期待と、円安による輸出数量増加見込みを背景に、製造業の業況判断は改善が続くだろう。
(大企業非製造業) 先行きに関しても、足下の流れを引き継いで改善が続くと見込んでいる。収益の改善を受けて、賞与の引き上げを決定する企業が増加しており、所得環境の改善が期待されることから、「小売」の改善に加えて「対個人サービス」でも強い先行き改善期待が示されるだろう。
みずほ総研▲5
+9
<▲0.8>
先行き判断については、円安や海外経済の持ち直しを背景とする輸出増の恩恵が幅広い業種に広がっていくとの期待から、加工業種・素材業種とも改善が見込まれる。
(大企業非製造業) 先行きについては、緊急経済対策による公共投資の押し上げや個人消費の回復などを背景に改善が続く見込みである。
ニッセイ基礎研▲7
+8
<▲0.5>
先行きについては、海外経済の回復期待は従来よりも高まっているうえ、金融緩和強化に伴う円安や12年度補正予算執行に伴う公共事業拡大というアベノミクスへの期待が強く現れるため、さらに大幅な景況感改善が示されそうだ。
伊藤忠商事経済研▲3
+7
<+1.4>
最も注目される大企業製造業の現状判断DIが、12月調査の▲12から3月調査で▲3へ改善すると見込んでいる。円安による輸出数量押し上げが進むことで、先行きは3へ更に改善し、2011年9月調査以来のプラス転換を臨むと考えられる。
第一生命経済研▲8
+7
<▲2.4>
目立ちそうなのは、先行きDIの改善である。企業決算を控えて、3か月後により企業収益が改善するという予想は、先行きDIに反映するだろう。筆者の見通しでは、大企業・製造業は現状▲8の予想は、先行きでは+12ポイント改善へとDI4へと大きく上昇すると予想する。
三菱総研▲7
+7
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、国内経済の回復への期待などから大幅な改善となろう。製造業が+6%ポイント、非製造業が+4%ポイントの改善を予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲8
+6
<+0.7>
(大企業製造業) 先行きの業況判断DIは6ポイント上昇の-2と、加工業種を中心に堅調な改善が続くと予測する。円安による収益の拡大効果が本格化する上、世界経済の回復ペースの高まりを背景に輸出の増加が見込まれる。幅広い業種で業況が改善するだろう。
(大企業非製造業) 先行きについても、景気の持ち直しを受けて内需の拡大が続くとみられる中、景況感は改善が見込まれる。円安に合わせて株高が進んでいることや、雇用環境が緩やかながらも持ち直していることを受けて、消費者マインドは改善しており、業況判断DIの上昇幅は拡大する見通しだ。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング▲7
+8
<+0.5>
先行きについても、円安の進行や海外経済の持ち直し、緊急経済対策の効果が期待されることなどから、大企業の「先行き」については改善を示すと想定した。なお、中小企業については先行き慎重な判断が示されやすいという傾向を考慮している。


見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、大企業全産業の2013年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。さらに、日銀短観予想の一例として、日本総研のリポートから大企業と中小企業の業種別の業況判断DIの推移のグラフを引用すると以下の通りです。なお、日銀短観には大企業と中小企業の間に中堅企業というカテゴリーがあるんですが、ほぼ大企業と中小企業の間にあると考えて差し支えありません。

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シンクタンクなどの予想結果は、押しなべて業況判断DIなどで示される企業マインドが改善するという結果になっています。昨年11月の衆議院解散以降の経済の流れを見ればその通りという気もしますが、他方で、法人企業景気予測調査で調査しているBSIなどでは、「国内の景況判断BSI」と「貴社の景況判断BSI」に分けて調査した場合、後者が前者を下回る例が多く見られることから、世間一般で考えられているほどには大きな改善が出ない可能性もあります。例えば、3月12日付けのエントリーで取り上げた1-3月期調査の法人企業景気予想調査では、大企業の「国内の景況判断BSI」が1-3月期+17.9、4-6月期+15.8となっている一方で、同じく大企業の「貴社の景況判断BSI」は1-3月期+1.0、4-6月期+3.8でしかありません。ですから、多くの人が考える景気の現況よりは控えめな結果が出る可能性があります。もっとも、低めに出るとはいえ、足元よりも先行きの景況感はさらに改善を示すことは明白です。ただし、設備投資計画については、モロに「貴社の景況判断」に依存するわけですから、3月調査ではマイナスから始まる場合が少なくありません。2012年度の設備投資計画が12月調査から下方修正されるとともに、3月調査の2013年度計画はわずかにマイナスでスタートすると私は考えています。

という意味で、数字だけを見れば、みずほ総研やニッセイ基礎研の予想が私の見方に近いといえます。逆に、2013年度の設備投資計画がプラスに出れば、企業マインドは私が考えているよりもかなり強い、という解釈も成り立ちます。
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2013年03月25日 (月) 19:38:00

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』上下 (早川書房) を読みオフィスの井戸端会議に参加する!

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ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』上下(早川書房) を読みました。著者は言わずと知れた著名な心理学者であり、トヴェルスキー教授などと行った経済学との学際分野における研究でノーベル経済学賞を授与されています。まず、出版社のサイトからごく短く書籍紹介を引用すると以下の通りです。

書籍紹介
私たちの「意思」はどのように決まるのか?
そして「直感」はどれほど正しいのか?
経済学が前提としてきた合理的人間観を覆し、心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン。その彼が、経済学、政治学、法学、哲学、教育学だけでなく、ビジネスの実践にまで多大な影響を与えたみずからの研究を誠実かつシンプルな言葉で解説。
私たちは日々、無数の意思決定をなかば自動的に行なっている。カーネマンは、直感的、感情的な「速い(ファストな)思考(システム1)」と意識的、論理的な「遅い(スローな)思考(システム2)」の比喩をたくみに使いながら、意思決定の仕組みを解き明かし、私たちの判断がいかに錯覚の影響を受けているかを浮き彫りにしていく。人間はこれまで考えられていた以上に不合理なのだ――。
プライベートやビジネス、政治における、よりよい決断への道筋を示し、あなたの人間観、世界観を一変させる、21世紀に生きるすべての人、必読のノンフィクション。


ものすごく面白かったです。上下巻で邦訳700ページくらいの大作なんですが、一気読みとは行かないものの、とても早くに読み終わってしまった気がします。章別構成は40章近くあるので省略し、部の構成は以下の通りです。当然ながら、エコノミストとして面白かったのは第4部です。

第1部
2つのシステム
第2部
ヒューリスティックスとバイアス
第3部
自信過剰
第4部
選択
第5部
2つの自己


繰返しになりますが、とても面白かったです。最近読んだノンフィクションの本でこれに匹敵するのはサンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』くらいではないかと思います。引用した書籍紹介と目次の構成で、ある程度は内容が想像できると思いますので、下巻の第4部と第5部を中心に私が感銘を受けた部分を取り上げると以下の通りとなります。
まず、知っている人は知っていると思いますが、カーネマン・トヴェルスキーによるプロスペクト理論のキーとなるゲインとロスのグラフが下巻 p.77 の図10に示されています。同じく、有名な4分割パターン図も下巻 p126 の図13にあります。単純化していえば、利得(ゲイン)については確実に取りに行き、損失(ロス)についてはギャンブルをしてでも避けようとするのが一般的な傾向です。確率が極端に低い場合と高い場合の例として、下巻 p.124 では原子炉のメルトダウンの例が引かれています。そして、利得を取りに行くよりも損失を回避するのが自然な行動として描かれています。加点法ではなく、減点法で人事などを評価するのも一定の合理性があるわけです。また、幸福論との関係では、幸福感に対する所得の閾値が年収7万5千ドルと推定されています。そして、最終的に、セイラー教授の行動経済学などの成果も加味して、合理的なエコンではなくヒューマンな世界ではリバタリアン・パターナリズム的な政策対応が推奨されています。

最初に著者のカーネマン教授は本書の活用法をオフィスでの井戸端会議であると紹介しています。各章の最後には、実際の活用法を会話調で例示したりしています。ですから、とても読みやすくて、それでいて内容はかなり最新の経済学や心理学の成果まで盛り込まれています。上下各巻が2100円+税というやや高価な本ですが、ほとんどすべての公立図書館に所蔵されていることと思います。私も薄給の身ですので区立図書館で借りて読みました。オフィスの井戸端会議に参加するビジネスマンをはじめ、多くの方が手にとって読むよう強く強くオススメします。
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2013年03月24日 (日) 11:39:00

Coffee Break Jazz Piano を聞く

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図書館で予約してあった順番が回って来ましたので、Coffee Break Jazz Piano を聞きました。取りあえず、収録曲とアーティストは以下の通りです。

  • disc 1
    1. Take the 'A' Train/Phineas Newborn Jr.
    2. Los Ojos Alegres (The Happy Eyes)/Duke Pearson
    3. Paulistana/Eliane Elias
    4. Gigabyte/Jeff Lorber
    5. Pisces/Bobby Lyle
    6. Whiplash/Earl Klugh & Bob James
    7. Love Is Losing Game/平戸祐介
    8. Maiden Voyage/Everything in Its Right Place/Robert Glasper
    9. Ruby My Dear/Thelonious Monk
    10. Moon River/Beegie Adair
  • disc 2
    1. Besame Mucho/The Three Sounds
    2. Caravan/Duke Ellington
    3. What Is This Thing Called Love?/George Shearing
    4. Congalegre/Horace Parlan
    5. Pannonica/Chick Corea
    6. Whisper Not/Ray Bryant
    7. Stella by Starlight/Kenny Drew
    8. Violets for Your Furs/Jutta Hipp & Zoot Sims
    9. Autumn in New York/Bill Charlap
    10. As Time Goes By/Bill Evans


さすがに、平戸祐介が quasimode のピアニストだということぐらいは知っていますが、disc 1 に収録された曲を弾いているピアニストの中には不勉強にして存じ上げないジャズメンも何人かいます。また、誠に失礼ながら、我が国を代表するジャズ・ピアニストであれば小曽根真であるべきです。せめて、上原ひろみか山中千尋、はたまた秋吉敏子あたりかもしれません。松永貴志でもいいような気もします。このあたりは何ともいえません。昨夜見た映画「横道世之介」では峰厚介のテナー・サックスが流れていました。ナベサダのアルトの方が有名なんでしょうが、映画ですから有名なジャズの演奏を主眼にしているわけでないことは理解しています。
バド・パウエルが入っていないのも理解できません。後、私の好み以外の何物でもないんですが、キース・ジャレットとハービー・ハンコックは落として欲しくなかった気がします。「処女航海」を収録するんであれば、ハンコックのピアノが聞きたかったジャズ・ファンは少なくないでしょう。ハンコックのオリジナルの演奏ではホーンが入っているのがよくなかったのかもしれません。さらに、欧州系のピアニストも捨てがたいものがあります。ヨーロピアン・ジャズ・トリオとか、エンリコ・ピエラヌンツィやヤン・ラングレンなどです。もしかしたら、ケニー・ドリューで代用しているのかもしれません。

3月3日付けのエントリーで取り上げた Coffee Break Jazz のシリーズを聞いていて、どれか忘れたんですが、アントニオ・カルロス・ジョビンの「3月の水」 Águas de marçoを米国人がフランス語で歌っているトラックがありました。それを日本人に聞かせているわけです。厳しいブラジルの夏を乗り切った後の「3月の水」、名詞を羅列した歌詞です。日本人では菊地成孔が演奏しているのを聞いた記憶がありますが、このフランス語を聞いて、このシリーズはジャズというものに対して大いなるカン違いをしている気がしたことを思い出しました。
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2013年03月23日 (土) 19:53:00

ブランコ・ミラノヴィッチ『不平等について』(みすず書房) を読む

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明日も含めて、この週末は熱心に読書に取り組む予定だったりするんですが、まず、ブランコ・ミラノヴィッチ『不平等について』(みすず書房) を読みました。上の表紙に見られる通り、原題は The Haves and the Have-Nots ですから、「持てる物と持たざる者」といったところでしょうか。著者は世銀の研究部門のリードエコノミストであり、メリーランド大学教授でもあります。まず、出版社のサイトからこの本の紹介文を引用すると以下の通りです。

不平等について: みすず書房
史上最高のお金持ちはだれか? グローバリゼーションで世界は不平等になったのか? 現代のアメリカと古代ローマ帝国の所得格差はどれほど違うのか? などなど、数多くの思い込みを数字で覆し、精確に理解するための必修知識を与えてくれる一冊。


章別構成は3章から成り、国内の個人間の不平等、世界の国家間の不平等、そして、グローバルな世界市民の不平等となっています。副題は「経済学と統計が語る26の話」となっており、第1章に10、第2章に7、第3章に9の合計26のコラムが収録されています。なお、第1章の冒頭には当然ながら、p.20 でいくつかの不平等指標について解説が加えられており、たとえな、厚生あるいは効用アプローチ、セン的な潜在能力アプローチ、ロールズ的なアプローチが簡単に紹介されています。
特に興味深かったのは、p.84 で貧困研究と不平等研究について概観されていて、貧困研究が大きな重点を持って進められている一方で、公平の問題がつねについて回ることから、不平等については貧困に関する研究ほどの熱意を持って取り組まれていない現状が明らかにされています。私自身は国際開発学会にも属しており、開発経済学に関する見識もそれなりにあるんですが、実は私の研究もその通りでして、地方大学に単身赴任して出向していた際に、貧困指標を紀要論文に取りまとめて、ごくついでに不平等指標にも触れたものの、ボリュームは圧倒的に不平等ではなく貧困に偏っていたりしました。痛いところを突かれた気がします。

26も収録されたコラムについては、いずれも不平等について深い洞察を加えたものばかりなんですが、特に、最後の2編、すなわち、3-8 「なぜ、ロールズはグローバルな不平等に無関心だったのか」と3-9 「グローバル経済と地政学」はオススメです。後者では南欧や東アジアの成功は援助に依存する部分が小さくないことが明らかにされています。
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2013年03月22日 (金) 23:29:00

映画「横道世之介」を見に行く

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先日、近くのシネコンに行ってこの週末に映画「横道世之介」を見るべく座席予約をしようとしたら、何と、今日までで上映終了と知り、大慌てで役所は年休を取って今日の夜の最終回に滑り込んで見に行きました。
当然ながら、吉田修一の原作は読んでいるんですが、映画はハッキリいって評価しません。原作に忠実なのはいいんですが、逆に、原作を読めば十分という気がします。キャスティングの年齢層がやや高いのも気になります。20代半ばの俳優さんと女優さんがハタチ前の大学生を演じていたりします。唯一、映画として評価するのは、ホワイト・クリスマスの夜を上から見た映像で捉えた部分ではなかったかと思います。音楽も平凡です。

最後に、繰返しになりますが、映画を見るよりも原作を読むべきです。吉田修一の代表作のひとつであるとともに、伊坂幸太郎の『砂漠』などとともに、今世紀における青春小説の最高傑作のひとつといえます。
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2013年03月21日 (木) 19:28:00

2月の貿易赤字から何を読み取るか?

本日、財務省から2月の貿易統計が発表されました。ヘッドラインとなる輸出入と貿易収支については、季節調整していない原系列の統計で、輸出額が前年同月比▲2.9%減の5兆2841億円、輸入額は▲11.9%増の6兆615億円、差引き貿易収支は▲7775億円の赤字となりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

2月の貿易赤字、7775億円 8カ月連続の赤字
財務省が21日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7775億円の赤字だった。赤字は8カ月連続で、2月としての赤字額は比較可能な1979年以降で最大だった。円安と原油高で原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が高止まりしたほか、2月に春節(旧正月)の大型連休があった中国への輸出が低水準だったことが影響した。
全体の輸出額は前年同月比2.9%減の5兆2841億円で、2カ月ぶりのマイナス。主に中国や英国向けの自動車や中国向けの金属加工機械、アジア向けの半導体など電子部品が落ち込んだ。ただ、季節調整済では前月比1.3%増と4カ月連続のプラスだった。
輸入額は前年同月比11.9%増の6兆615億円。4カ月連続の増加で、2月としては最大だった。原粗油やLNGに加え、中国やベトナムからの衣類、アジアからのスマートフォン(スマホ)など通信機が伸びた。
財務省関税局は「2月の輸出額は前月比で減少したが、1-2月をならすと前年同期比1.3%増で、今後の動向がどうなるか見ていかなければいけない」としている。


いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事ですが、次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易収支については、引用した記事には8か月連続の赤字となっていますが、これは季節調整していない原系列の統計に基づいており、傾向を追うのに適した季節調整済みの統計では震災のあった2011年3月からちょうど2年間24か月連続で赤字が続いています。震災以降の電力制約などの供給サイドの構造変化に対応した比較優位の構造に実際の産業構造の転換が追いついていない可能性があると私は受け止めています。特に、季節調整済みの系列の貿易赤字は1兆円を超えて巨大な額に達しました。もちろん、主たる要因は輸入にあり、輸出の不振、少なくとも輸出額が原因ではないことは上のグラフの下のパネルから読み取れますが、数量ベースでは輸出も停滞していることは確かです。後述しますが、下のグラフの通りです。ただし、このあたりで少し長期的な比較優位の構造を考えることも必要そうな気がします。というのは、自動車のエコカー補助金や家電エコポイントなどの補助金政策が比較優位構造に即した産業構造の転換を阻害した可能性があるからです。もっとも、TPPへの参加はうまくすればショック療法的に構造転換を促進する可能性はありますが、それなりに痛みは伴いますし、今夜のところは、誠に申し訳ないながら、問題提起のここまでとします。

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季節調整済みの輸出額は最初のグラフに見られる通り、停滞を脱して上向きに転じた可能性があると私は受け止めていますが、季節調整していない原系列の輸出額を数量と価格で要因分解した上のグラフに示す通り、輸出額の増加は価格に起因し、数量では減少しています。要するに、最近の円高修正に伴って、典型的なJカーブ効果を示しているわけです。もちろん、2月の統計に関しては、中国の春節が昨年は1月で今年は2月にあった、というカレンダー要因も考える必要があります。中国要因というか、春節要因は2月限りですが、Jカーブ要因は昨年11月から始まって2-3四半期くらい継続し、円高修正の期間が長ければさらに長びく可能性も排除できません。

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最後に、上のグラフは輸入価格指数の推移をプロットしています。特に季節調整はしていませんが、最近時点で大きく上昇しているのが見て取れます。当然ながら、円高修正と原油価格などの商品市況の影響を受けています。さらに、価格が上昇している上に、原発停止の影響などにより、燃料輸入数量も増加しており、輸入額は数量と価格の両面から増加を示しています。季節調整済みの系列で見ても、輸出額が増加に転じているものの、輸入額はより以上に増勢を強めており、結果的に貿易収支は大きな赤字を記録しています。Jカーブ効果が続く今年年央から、ひょっとしたら、年内くらいまで、貿易収支はこの傾向が続く可能性が十分あると考えるべきです。

もしも、比較優位構造の変化に産業構造の転換が追いついていないのであれば、貿易赤字は円高修正のJカーブ効果もあり長期に継続する可能性があります。TPPに参加するとしても短期的な効果は望めませんし、いつまでも過去の栄光の産業の復活を夢見るのではなく、新しい比較優位構造にマッチするように資本ストックと労働のモビリティを高めることを目指すべきであると私は考えています。
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2013年03月20日 (水) 19:48:00

ゆったり過ごす休日にコールドプレイの「マイロ・ザイロト」を聞く

今日は雲が多いながらも、夕方まではまずまずいいお天気で、気温もそれなりに上がりました。私は週末にはプールに泳ぎに行くことが多いんですが、今日は午前中は読書してゆったり過ごします。朝から読んでいたのは世銀のエコノミストであるミラノヴィッチ教授の『不平等について』という本で、午後からはカーネマン教授の『ファスト & スロー』上下が用意できたとの連絡を受けて、かなり遠くの図書館に自転車を飛ばして引き取りに行きました。

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読書感想文ばかりを最近並べましたので、今日は上のジャケットのCDを聞いた感想です。コールドプレイの「マイロ・ザイロト」です。我が家にあるコールドプレイのCDは「マイロ・ザイロト」のほかは「美しき生命」だけで、実は、私はアルバムとしての出来は「美しき生命」の方を評価しているんですが、主たる理由は「マイロ・ザイロト」の日本版にライブ音源でボーナストラックとして3曲加えられているのがカップリングとして評価を下げているだけで、それぞれの曲を音楽として評価すれば、「マイロ・ザイロト」も特に1曲めのタイトル曲などは大好きです。でも、やっぱり「美しき生命」のタイトル曲の方が評価は高いかもしれません。いずれにせよ、世界的にメチャメチャ売れているバンドですから、当然ながらとても高い水準の音楽が楽しめます。

帰り道でスニーカーの靴ひもを買い求めました。長時間、自転車に乗っていると右の靴ひもがチェーンに巻き込まれることがありボロボロになってしまいました。
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2013年03月19日 (火) 23:29:00

川村元気『世界から猫が消えたなら』(マガジンハウス) を読む

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川村元気『世界から猫が消えたなら』(マガジンハウス) を読みました。話題の本です。今年の本屋大賞にもノミネートされています。この本屋大賞はかなり評価が定まっており、2012年度大賞の『舟を編む』以下10位に入った10冊、すなわち、ノミネートされた10冊のうち、私は何と7冊まで読みました。現段階では、今年のノミネートのうち、読んだのは『光圀伝』と『ソロモンの偽証』に続いてまだ3冊目なんですが、たぶん、もう少し読むような気もします。ということで、ものすごく長くなりますが、出版社のサイトからストーリーと目次を引用すると以下の通りです。

ストーリー
地方都市で郵便配達員として働く30歳の僕。猫と2人暮らし。そんな僕がある日突然、余命わずかであることを宣告される。僕が絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。
「はじめまして! アタシ悪魔っす!」
その(ずいぶんと陽気な)男は自分が悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけてくる。

「この世界から何か1つを消すごとに、あなたの命を1日延ばしてあげましょう」

何かを得るためには、何かを失わなくてはならない。半信半疑ながらも、僕はこの取引を受ける。
僕と猫と陽気な悪魔の摩訶不思議な7日間がはじまった。

悪魔は世界からモノを消し、僕の命を1日ずつ延ばしていく。電話、映画、時計……僕の命と引き換えに、世界から本当にモノが消える。世界から何かが消える度に、僕の中の常識や価値観が大きく変化していく。
電話が消えた世界。映画が消えた世界。時計が消えた世界。失われてみて、はじめて感じるそのモノの意味や価値。そして僕は何かが失われていく世界の中で、愛猫と触れ合い、初恋の人と再会し、無二の親友と出会い、亡き母のこと、そして長い間断絶状態にある父のことを想う。そして自分が死に、消えた後の世界を想像する。僕の葬式に集まるのはどんな人たちだろうか。そのなかで僕の死を心から悲しんでくれる人は何人いるのだろうか。僕について、彼らはどう評し、どんな思い出を語るのだろうか。

そして金曜日、悪魔は告げる。「世界から猫を消してください」と。
苦悩の絶望の中、僕は猫を探して走り回る。走っても、走っても、猫は見つからない。
だがそのとき僕はまだ、のちに訪れる奇跡的な結末を想像だにしていなかった―――。
目次
月曜日
悪魔がやってきた
火曜日
世界から電話が消えたなら
水曜日
世界から映画が消えたなら
木曜日
世界から時計が消えたなら
金曜日
世界から猫が消えたなら
土曜日
世界から僕が消えたなら
日曜日
さようならこの世界


まず、万人受けはしないかもしれません。人によって評価が分かれる可能性があります。死を前にして、ここまで恬淡と、明るく軽く薄く過ごせるものかどうか。そこに、両親との関係、特にエディプス・コンプレックスと総称される父親と男の子との関係という極めて深くて重いテーマを忍び込ませる手法が受け入れられるかどうか、いろんな読み方が出来ます。逆に、軽く読んでしまえば、中学生どころか小学校の高学年の夏休みの宿題の読書感想文にも使えそうですし、もちろん、ヒマつぶしの軽い読み物にもなります。私自身はかなり高く評価できると受け止めています。すなわち、避けられない死を前にした猫と暮らす草食系男子の思考と行動をよく描写していると思います。ただし、作者のホームグラウンドであるビジュアル系の要素はそれほど強く押し出されていません。ある意味で、バランスが取れている印象を持ちました

少し前まで文学少女だった私の知り合いによれば、本屋大賞の有力候補は『楽園のカンヴァス』なんだそうです。別の中年男性の知り合いは『64』を強く推しています。でも、私自身は読んだ3冊の中では『ソロモンの偽証』に魅力を感じています。果たして、4月9日に発表される結果やいかに?
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2013年03月18日 (月) 20:32:00

残念無念、侍ジャパンはWBC3連覇を逃す!

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  HE
Puerto Rico100000200 390
Japan000000010 161


侍ジャパンはプエルトリコに敗れてWBC3連覇はなりませんでした。誠に残念です。
でも、準決勝に進出し、米国でのゲームを戦い抜き、堂々の試合でした。立派な成績です。胸を張って帰国して欲しいと思います。

特に、我が阪神の能見投手と鳥谷選手を労って、
がんばれタイガース!
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2013年03月18日 (月) 19:50:00

TPPの経済効果の試算を考える

先週の金曜日3月15日、安倍総理大臣のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加を表明する記者会見でも取り上げられましたが、TPP参加の経済効果の影響試算、すなわち、「関税撤廃した場合の経済効果についての政府統一試算」が公表されています。広く報じられているので、多くのメディアで目にすることができると思います。今夜のブログでは、報じられた内容に少し私自身の経験も加えて、簡単にこの試算結果を振り返っておきたいと思います。
まず、試算の前提は、主要に、関税撤廃の効果のみを対象としており、逆から見れば、非関税障壁の削減やサービス・投資の自由化は含まないこととなっていて、国内的には、追加的な対策を計算に入れない、とされています。輸出+0.55%(+2.6兆円)、輸入▲0.60%(▲2.9兆円)、消費+0.61%(+3.0兆円)、投資+0.09%(+0.5兆円)、となり、差引きネットでGDPが+0.66%、+3.2兆円の増加と試算されています。もちろん、比較優位のない農産物には大きな打撃があり、農林水産物生産額は▲3.0兆円減少すると見込まれます。要するに、GDPへの影響はリポートから引用した以下のグラフの通りです。

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また、同時に公表された「農林水産物への影響試算の計算方法について」から、▲3.0兆円と見込まれる農林水産物の生産減少額を品目別に明示したグラフを引用すると以下の通りです。

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大雑把な経済効果としてはこんなもんだろうと私も思います。すなわち、2年半前の2010年10月の民主党政権下での試算「EPAに関する各種試算」でも、TPPに参加して100%自由化するマクロ経済効果は、実質GDPで見て+0.48-0.65%、+2.4-3.2兆円増と見込まれていましたので、マグニチュードの大きさはほぼ同じです。そして、農産物の生産減少についても、コメがもっともダメージ大きいというのも軽く予想されるところです。逆から見て、それだけ保護されているということです。
他方、PECC(太平洋経済協力会議)からはブランダイス大学のペトリ教授とジョンズ・ホプキンズ大学のプラマー教授による試算結果が昨年2012年10月に The Trans-Pacific Partnership and Asia-Pacific Integration: A Quantitative Assessment という本に取りまとめられて公表されています。この試算では関税撤廃に加えて、非関税障壁の削減、サービス・投資の自由化の効果も推計に加えており、日本のマクロ的な所得効果は、+1,050億ドル程度で、GDPの+2.0%程度に達すると結論されています。しかも、このリポートでは日本のTPP参加が世界経済の拡大効果を持ち、世界のGDPが+2200億ドル、+0.2%程度増加すると見込んでいます。
なお、これらの試算は政府統一試算にせよ、ペトリ教授とプラマー教授の試算にせよ、いずれもGTAPデータベースを基に、応用一般均衡モデルを用いて実施されています。政府統一試算ではモデルもGTAPを使っていると明記されています。GTAP とは Global Trade Analysis Project の頭文字を取った略称であり、データベースとモデルのいずれも米国のパーデュー大学でメインテナンスされています。公式サイトはコチラです。もともとが農遺産物貿易の分析のために開発されていますので、こういった自由貿易協定とか関税率の引下げや撤廃などの分析に適したジェネリックなシステムといえます。世界的な標準と受け止めてよさそうです。私も『APEC貿易自由化の経済効果』を取りまとめるプロジェクトチームに加わった際にGTAPデータを基に関税率のデータ作成を行った記憶があります。
なお、当然ながら、安倍総理のTPPへの参加表明は世間一般の評価も高くなっています。私がネットで見た限りですが、朝日新聞と読売新聞と毎日新聞が世論調査を実施しており、以下のサイトに結果を公表しています。



私なんぞから見れば、これらの経済効果の影響試算は、取り立てて何も新しく付加された情報はなく、当然ながら、学術的な価値はほとんどありません。でも、国民のコンセンサスを得るという作業はここから始まるのでしょう。私はGATTウルグアイ・ラウンドの当時をまだ記憶していたりします。農水産品のダメージに関する日本政府の試算結果の3兆円を超えるTPP対策費が用意されているんでしょうか?
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2013年03月17日 (日) 11:38:00

今年のサクラの開花は早い!

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東京では早くもサクラが開花し始めたようです。上の画像はウェザー・ニュースのサイトから桜開花予想を引用しています。例年は花粉の飛散が峠を超えたころにサクラが開花するんですが、今年の開花はまさに花粉のまっ最中です。私は花粉症ですので外に出るのがやや億劫で、室内プールでゴーグルをつけて泳いでいる方が快適なんですが、そのうちに、花見にも行きたいと思います。
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2013年03月16日 (土) 22:32:00

京都大学経済学部同窓会東京支部総会に行く

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今日は友人と示し合わせて、母校である京都大学経済学部の同窓会に出席しました。東京支部の総会です。第23回の支部総会だそうです。1時間余り学部長の植田教授の「日本のエネルギー政策」と題する講演を聞いた後、なぜか、上の写真にあるような学歌を斉唱し支部総会に進みます。最後は懇親会で飲み食いして、同じゼミの同窓生とおしゃべりして楽しく過ごします。それにしても、ものすごい高年齢の集まりでした。平均年齢は軽く70歳に達しているような気がします。おそらく、あくまでも「おそらく」なんですが、何といっても京都大学の卒業生ですから割合と人生のいいコースをたどって、わがまま放題の老人になっているような気もしないでもありません。私もラクに50歳を超えましたが、友人と最後に、「もう来年はいいだろう。我々も70まで長生きしたらまた来よう。」とお話して別れました。
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2013年03月15日 (金) 21:44:00

最近読んだ小説の読書感想文

昨夜の経済書に続いて、小説もサッパリ買わなくなって借りてばかりですので、この1週間で読んだ3冊ほどの読書感想文をブログに記録として残しておきたいと思います。

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まず、山田悠介『奥の奥の森の奥に、いる。』(幻冬舎) です。悪魔をめぐるホラー小説です。私は地方大学に出向して大学生諸君と接している時に、この著者の絶大なる人気を目の当たりにして、デビュー作の『リアル鬼ごっこ』をはじめ、『@ベイビーメール』や『スイッチを押すとき』などを読んだんですが、当然ながら感性が中年ですので、いまいち理解が及ばないところがあります。この著者は圧倒的に中高生に人気ですから、我が家のホラー小説愛好家の下の子に読ませてみたい小説です。

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次に、葉室麟『おもかげ橋』(幻冬舎) はよかったです。私はこの著者の作品は初めて読みました。「おもかげ橋」はまさに都電の停留所のある高田馬場や早稲田に近いあの場所を指していて、そこを舞台にしています。時代小説です。時代小説にはかなり高い確率でお家騒動や派閥争いがからむんですが、この小説も同じ趣向です。九州肥前の架空の藩出身の弥市と喜平次が主人公となり、ともに派閥争いから藩を離れ江戸に住まいしているんですが、2人とも元の藩の上司の娘である萩乃が江戸に来た折に彼女を守りつつ、旧藩をお家騒動をから救います。男女の夫婦仲というものにも思いが至ったいい作品です。

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最後に、朝井リョウ『何者』(新潮社) です、直木賞を受賞した話題作です。私はこの著者の作品は映画化された『桐島、部活やめるってよ』しか読んだことがないんですが、若い世代の思考や行動パターンを必ずしも完全に理解できなくても、かなりいい作品だということは読み取れます。大学3年生が秋の大学祭を終えて、4年生にかけてのいわゆる就活にまつわる小説です。ツイッターやフェイスブックの活用に始まり、わずか140字で人物を判断するのがいいのかどうか、人間としての本質と就職面接などのプレゼンの際に見せる表の顔との乖離、さまざまな読み方のできる小説です。ただし、何で読んだか忘れたものの、「ミステリの要素がある」といった書評だか紹介文を見ましたが、最後のツイッターの裏アカウントの暴露による言い争いの場面はもう少し上手な処理が出来なかったものかと思わないでもありません。確かに最後を締めくくる大事なパートではありますが、やや読後感が悪くなった気がします。

朝井リョウ『何者』は新潮文庫のアンソロジー『最後の恋』に収録されている「水曜日の南階段はきれい」とあわせて読むともっと楽しめると聞き及んでいます。未読なんですが、近くの図書館に予約中です。
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2013年03月14日 (木) 22:19:00

カトリックの新法王は初めてラテンアメリカからアルゼンティン人のフランシスコ1世がコンクラーベで選出される

広く報じられているところですが、カトリック聖職者の最高位である法王ベネディクト16世が前月限りで退位し、新たな法王を選出するコンクラーベがバティカンで開催されていたところ、昨日、白い煙が上がり新しい法王が決まりました。長い歴史で初めてラテンアメリカから、ブエノスアイレス大司教のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が第266代法王に選出され、フランシスコ1世と名乗ることが発表されました。まず、NHKオンラインのサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

新法王はフランシスコ1世
新しいローマ法王を選ぶ選挙、コンクラーベでは、日本時間14日午前3時過ぎに法王が選出されたことを示す白い煙が上がり、アルゼンチン出身のホルヘ・ベルゴリオ枢機卿が第266代のローマ法王に選ばれ、フランシスコ1世と名乗ることになりました。
新しい法王に選ばれたフランシスコ1世は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス出身の76歳。中南米出身の法王が誕生するのは、バチカン史上初めてです。
フランシスコ1世は、1997年にブエノスアイレスの大司教に就任したあと、2001年に2代前のヨハネ・パウロ2世から枢機卿に任命されました。
フランシスコ1世は、日本時間午前4時半ごろ、バチカンのサンピエトロ大聖堂のバルコニーに姿を見せ、集まった数万人の人々を前に手を振ったあと、「世界全体の友情と愛と信頼のために祈りをささげ、実りある旅を続けることができることを期待したいと思います」と述べました。
日本時間13日未明に始まった今回のコンクラーベは、開始から2日目に新しい法王が選出される結果となりました。


私は南米の大使館に経済アタッシェとして3年間勤務した経験があります。その間、宗教的な儀式の一例として、葬式にも結婚式にも出席した記憶があります。すべてカトリック様式でした。ちなみに、ジャカルタに駐在していた際にはイスラム教の結婚式に招待されたことがあります。それはさて置き、中南米のカトリック事情を明らかにする画像を Pew Research Center から2枚ほど引用しておきたいと思います。まず、Geography of the Conclave: Where Do the Cardinals Come From? と題する記事の画像は以下の通りです。欧州に比べてラテンアメリカは信者数と枢機卿のバランスが偏っていることが読み取れます。

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次に、Conclave Elects Pope Francis と題する記事の画像は以下の通りです。特に、フランシスコ1世の出身地であるアルゼンティンに焦点を当てています。

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ラテンアメリカからの法王選出となれば、何といっても、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』が思い出されます。我々は歴史的な瞬間に立ち会ったのかもしれません。やや無理やりに、「海外生活の思い出の日記」に分類しておきます。
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2013年03月14日 (木) 19:35:00

最近読んだ4冊の経済書に関する覚え書

ここ10日くらいで何冊か話題の経済書を読みました。キワモノっぽい本を含めれば以下で取り上げる4冊です。以前は経済書を読むのは官庁エコノミストの業務の一環であって、このブログで取り上げることはしなかったんですが、今では経済書も小説も、ほとんどを図書館で借りて読んでいますので我が家の本棚には残りません。せめて読んだことを忘れないように、このブログに簡単に論評して記録を残しておきたいと考えています。論評の順は読んだ順、すなわち、図書館で借りた順ですので念のため。

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まず、翁邦雄『金融政策のフロンティア』(日本評論社) です。『経済セミナー』に連載されていたものを改稿の上取りまとめています。著者は日銀を代表する論客であり、日銀擁護のためには「カラスは白い」と言いかねないのではないかと私は考えたことすらありました。でも、この本は中央銀行の実務を含めて、標準的・伝統的な金融政策論のテキストでは扱われていなかった量的緩和政策などを含めて、興味深い最新のトピックを取り上げています。もちろん、著者の志向する方向は遺憾なく発揮されており、例えば、第1章ではすでに日銀が採用したインフレ目標に対して否定的な論評を加えています。すなわち、「ターゲット」よりも「ゴール」の方が好ましいといった方向に誘導しようとするかのごとき議論を p.17 で展開しており、ターゲットは「迎撃ミサイルで撃ち落とすべき敵機」なんだそうです。この当時、著者は物価目標政策をターゲットに撃ち落とそうとしていたのかもしれません。日銀が新しい総裁の下で大きく方向転換すると仮定すれば、著者はどのように対応されるのか、日銀という組織に忠実なのか、旧来の日銀理論に忠実なのか、後者だと思うんですが、とても興味深いものがあります。

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続いて、櫻川昌哉・福田慎一編『なぜ金融危機は起こるのか』(東洋経済) です。日本金融学会の「金融経済研究」の特別号という位置づけとなっており、全9章をチャプターごとに一流のエコノミストが書いています。第1章の櫻川教授のバブルに関するモデル分析は多くのエコノミストが同意するところでしょうし、私も大学の紀要に何本か書いたペーパーでもティロル論文などを下敷きにしていましたので、部分的ながら共通する部分もあります。第2章のモデル分析もかなり標準的なものと受け止めています。金融危機の歴史や中小企業との関係など、私の専門外とする論文も多く含まれていますが、一読して、かなり水準の高い学術論文を集めた論文集ということが分かると思います。大学で経済学や金融論を履修した経験のないごく一般のビジネスマンにはやや敷居が高いかもしれませんが、各論文の最初の問題意識と最後の結論部分だけでも読んでおくといろいろと参考になるんではないかと思います。

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さらに、星岳夫・カシャップ『何が日本の経済成長を止めたのか』(日本経済新聞) です。総合研究開発機構 (NIRA) により実施された研究活動の成果を基に本を取りまとめています。星・カシャップですから、ゾンビ企業がひとつのメイン・テーマになりますが、著者ご本人方も自覚して書いているように、あるいは、吉川教授も著書の『デフレーション』で認めていた通り、世界的にも標準的なモデル設定の上で、これまた標準的な経済学の分析手法により日本経済の停滞ないし著しい成長の低下という怪奇現象を解明しようと試みています。特に、第3部の日本経済再生のための処方箋の中でも、p.181 からのデフレ脱却のための金融政策に関しては、現在のアベノミクスを予言したような内容になっています。

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最後に、小幡績『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書) です。私はこの著者とは浅からぬ関係があり、もう15年ほども前にそれぞれの所属する役所から派遣され毎週定期的に顔を合わせて共同作業を行った記憶があります。それはともかく、この著者の考えているモデルが私には理解できません。新書版ということもありますが、吉川教授の『デフレーション』とは大きく異なる点です。さすがにリフレ政策でハイパーインフレが起こるといったトンデモな主張こそ見られませんが、全体として整合的なモデルの中での理論分析になっているかどうかはやや怪しいと受け止めています。というのは、かなり初期の段階からじっくりと真面目に読むべき本ではなく、キワモノの雰囲気を大いに漂わせているからです。特に、p.208 からのリフレ派エコノミストとの会話なんか、どのように受け取るべきか戸惑う人もいるかもしれません。いずれにせよ、リフレ政策については理論モデルの解釈や、エコノミストの信念のぶつけ合いから、実行した上での成果の評価、あるいは、実証の段階に移行しているような気がしてなりません。アベノミクスがどのような成果を上げるのかを見極めることにより、自ずとリフレ政策の評価が定まるのではないかと思います。そして、吉川教授やこの本の著者のように、リフレ政策に反対していたエコノミストがどのような反応を見せるかは大いに楽しみです。

ということで、今夜のブログで取り上げた4冊の中では、圧倒的に星岳夫・カシャップ『何が日本の経済成長を止めたのか』(日本経済新聞) がオススメです。でも、きちんと批判的な読み方ができるのであれば、話題になった本が多いですから、ひと通り読んでおくのも一案かもしれません。
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2013年03月13日 (水) 20:38:00

ホワイトデーに関する調査結果から本命チョコと義理チョコを見分けられるか?

明日のホワイトデーを前に、先週3月7日にネオマーケティングから「ホワイトデーに関する調査」結果が公表されています。女性雑誌などでは「バレンタインデーのお返しは3倍が常識」といった記事を見かけたりしますが、実際にどのようなホワイトデーのプレゼントが期待されているのでしょうか。気にかかるところかもしれません。まず、リポートから調査結果概要を3点引用すると以下の通りです。

【調査結果概要】
【1】ホワイトデーのお返し「期待している」【本命】58.9%【義理】39.5%
【2】【本命】【義理】ともに欲しいプレゼント「ケーキやクッキーなどのお菓子」
【3】貰って嬉しいプレゼントのポイント【本命】「気持ちが伝わるもの」【義理】「なんでも嬉しい」


ということで、この調査の大きな特徴のひとつは【本命】と【義理】に分けて、バレンタインデーのお返しであるホワイトデーのプレゼントについて質問しているところです。統計的な有意水準の検定こそありませんが、【本命】と【義理】の両者でお返しについても微妙に異なっているところに興味深いものがあります。

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上のグラフは、ホワイトデーに欲しいプレゼントに対する回答です。【義理】が【本命】を上回っている回答はお菓子とハンカチ・タオルとなっています。逆に、貴金属・宝石やお花については【本命】が【義理】を大きく上回るという結果になっています。私なんぞの中年のオッサンは【義理】でしかあり得ませんから、お菓子でお返しということになるんだろうと思います。間違ってもアクセサリ類はお返ししないでしょうし、お花も遠慮すべきなのかもしれません。

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上のグラフは、ホワイトデーのお返しのポイントを聞いた回答です。【義理】が【本命】を上回っている回答は、なんでも嬉しいとなっています。分かる気がします。
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2013年03月12日 (火) 19:48:00

消費者のマインド指標である消費者態度指数と企業の法人企業景気予測調査

本日、消費者と企業のそれぞれのマインドを調査したソフトデータが内閣府と財務省から発表されています。すなわち、1月の消費者態度指数が内閣府から、1-3月期の法人企業景気予測調査が財務省から、それぞれ発表されています。消費者態度指数は44.3に前月からさらに上昇し、リーマン・ショック前の高い水準に達し、法人企業景気予測調査もヘッドラインとなる大企業前産業のBSIが先行きについては上昇を示しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の消費者心理、5年8カ月ぶり高水準
内閣府が12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は44.3と前月から1.0ポイント上昇した。改善は2カ月連続で、2007年6月(44.4)以来、5年8カ月ぶりの高水準だった。円安・株高の継続で消費者の景気回復への期待感が広がった。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。2月は指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」がそろって改善した。「収入の増え方」は0.9%上昇の41.6。円安による企業収益の改善期待に加え「2月12日に安倍晋三首相が経済団体などに賃上げ要請したことによる期待感も含まれる」(内閣府)という。
足元の株価上昇などを受け、「資産価値の増え方」の意識指標は2.7ポイント上昇の47.5と3カ月連続のプラスだった。
1年後の物価見通しを巡っては「上昇する」と答えた割合が2カ月連続で増加した。前月より4.2ポイント増加の69.5%と、11年10月(69.6%)以来、1年4カ月ぶりの高水準。一方「低下する」の割合は2カ月連続で減少した。内閣府は「ガソリン価格の高騰に加え、日銀の2%の物価安定目標の導入が回答者の判断に加味されている可能性がある」とみている。
調査は全国6720世帯が対象。調査基準日は2月15日で、有効回答数は5032世帯(回答率74.9%)だった。
大企業景況感2期ぶりプラス 1-3月法人予測調査
内閣府と財務省が12日発表した1-3月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を示す景況判断指数は1.0となり、2四半期ぶりに上昇した。昨年10-12月期のマイナス5.5からプラス圏に浮上した。先行きの見通しも、7-9月期まで改善が続く。円安・株高を追い風にした企業の業績改善への期待が高まっている。
指数は自社をめぐる景況が前の期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を差し引いた値。昨年10-12月期は中国経済の減速を背景に2四半期ぶりに悪化していた。今回は4-6月期がプラス3.8、7-9月期が同9.0と、今後も改善傾向が強まる予測となった。
1-3月期の製造業の景況感はマイナス4.6とマイナス幅が昨年10-12月期の10.3から縮小した。円安による輸出環境の好転で業務用機械器具がプラス1.2から24.1に改善したほか、自動車もマイナス51.8からプラス2.4になった。食料品や化学は穀物や燃料などの輸入価格が国際市況の高騰や円安の影響で上昇したため、景況感が悪化した。
非製造業は4.0と2四半期ぶりのプラスだった。株取引の増加を受けて金融・保険業の景況感が改善したほか、建設業も復興事業を追い風にプラス幅が拡大した。運輸・郵便業や飲食などのサービス業は燃料や食料品の上昇が響いてマイナスだった。
中堅・中小を含む全規模・全産業の2012年度の業績見込みは経常利益が前年度比1.8%増となり、前回調査の1.3%増から伸びが拡大した。製造業が2.3%減から0.9%増に好転した。13年度も全産業で1.6%の増益を見通している。売上高は12年度見込みが0.9%増で、前回調査の1.2%増から伸びが縮んだ。
12年度の設備投資は3.3%増える見込みで、前回調査の4.1%増から増加幅が小さくなった。13年度も6.5%減と弱い見通しになっており、景気の先行きになお慎重な企業の姿勢を反映している。


いつもながら、実によくまとまった記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。毎度のお断りながら、影をつけた部分は景気後退期ですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気の山が2012年3月、谷が2012年11月であったと仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、消費者態度指数は2007年6月以来、5年8カ月振りの高い水準に達しました。消費者態度指数を構成する暮らし、収入、雇用、耐久消費財の買い時の4つのコンポーネントのうち、雇用の改善が特に大きいといえます。昨年12月に37.3だったのが、1月44.9、2月47.0と、わずか2か月で10ポイント近く上昇しました。従来から、このブログで消費の動向を占うには所得とマインドが重要と私は主張していますが、特に雇用に関するマインドが上昇すれば、消費に対する弾みになります。現時点では、アベノミクスはソフトデータのマインド指標に対して大きな影響を及ぼしていますが、円高修正はハードデータですし、企業収益の増加や賃金の上昇などのハードデータのエビデンスが統計的に確かめられるようになれば、我が国の景気回復から拡大への軌道も本格化するんではないかと私は大いに期待しています。

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続いて、上のグラフは法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業のBSIをプロットしています。青の折れ線は先行き見通しです。月次データと同じで、昨年1-3月期が景気の山、10-12月期が谷だったと仮置きしています。まず、一見して先行きの青い折れ線グラフが上昇を示しているのは読み取れますが、実は、この統計のヘッドラインとなる大企業全産業で見て足元の1-3月期は前回調査の+1.7から+1.0に下方修正されています。その後、グラフに見える通り、4-6月期+3.8、7-9月期が+9.0に上昇すると見込まれています。特に、自動車・同附属品製造業(大企業)が大幅にジャンプし、10-12月期の▲51.8から1-3月期は+2.4に一気に上昇し、4-6月期は▲8.4と調整した後、7-9月期は+8.4となると見込まれています。私は日本経済が自動車産業のモノカルチャーであるとは決して考えていないんですが、我が国の景気も似たようなパスをたどるのかもしれません。

消費者の需要サイドのマインド指標である消費者態度指数と、日銀短観ほどではありませんが、重要な企業のマインド指標のひとつである法人企業景気予測調査は、ともに年明け以降大きな改善を示しています。取りあえず、アベノミクスは期待に大きな影響を及ぼしています。ハードデータに日本経済の回復や拡大が現れるのももうすぐだと期待を膨らませています。
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2013年03月11日 (月) 19:28:00

1月機械受注は大幅減だが一部に明るい材料も!

本日、内閣府から1月の機械受注統計が発表されました。ヘッドラインとなる船舶と電力を除く民需の季節調整済みの前月比は▲13.1%減の6544億円の大幅減となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の機械受注13.1%減 4カ月ぶりマイナス
内閣府が11日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は前月比13.1%減の6544億円となった。マイナスとなるのは4カ月ぶりで、減少率は8カ月ぶりの大きさ。株高や円高修正による景況感の改善が設備投資の持ち直しにつながるには時間がかかりそうだ。
1月実績はエコノミストの予想(1.5%減)を大きく下回った。内閣府が先月発表した1-3月期の見通し(前四半期比0.8%増)の実現には2月と3月で平均12.0%の高い伸びが必要になり、内閣府は「容易ではない」とみている。基調判断は前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」を据え置いた。
1月の数字を需要者別に見ると製造業が13.2%減の2568億円と3カ月ぶりのマイナスとなった。一方、非製造業(船舶・電力除く)も6.3%減の4099億円と2カ月連続のマイナスだった。100億円を超える大型案件は前月に続いてゼロ件だった。
製造業の数字を最も大きく押し下げたのは「その他製造業」で、タービンなど火水力原動機や大型コンピューターなど電子計算機が前月伸びた反動で落ち込んだ。そのほか、化学工業からは化学機械や火水力原動機が減ったほか、電気機械からも電子計算機などの注文が減った。非製造業の数字を最も大きく押し下げたのは運輸・郵便業で、通信業、金融業・保険業が続いた。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は1月実績について「企業と消費者の心理は大きく改善しているが、まだ期待先行の面が強い。4月以降、大型補正予算の効果や輸出増加の流れが出てくれば、設備投資も本格回復の動きが明確になってくるだろう」と指摘している。


次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。

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ということで、市場の事前コンセンサスはわずかなマイナスでしたし、製造業・非製造業、そして、内需・外需とも軒並み減少ですので、かなり大きなネガティブ・サプライズのような気もしますが、私はそれほど悲観はしていません。第1に、産業別に詳しく見ると、非製造業の運輸業・郵便業や卸売業・小売業とともに、製造業の中では裾野の広い自動車・同部品や精密機械が増加しており、今後に期待をもたせます。第2に、先行きは補正予算による景気対策や円高修正に伴う輸出の増加などの動きに伴って、設備投資も拡大が予想されます。第3に、もしも景気局面に関する私の見立てが正しくて、現在が景気回復の初期にあるとすれば、設備投資や雇用などの要素需要は遅行指標ですので、この先の増加が見込めます。第4に、機械受注はもともとが毎月の振れの激しい統計ですので、1月統計だけで一喜一憂してもどうしようもありません。引用した記事の最後のパラにもある通り、現時点ではまだまだマインドが先行した形になっており、円高修正などにより輸出を起点に実体経済が回復ないし拡大の基調を示し、さらに要素需要に動きが出る、という波及経路が予想されます。機械受注、ひいては設備投資の動きについてはもう少し様子を見る必要があるのかもしれません。

それにしても、リーマン・ショック後の景気の落ち込みやエコカー補助金による自動車産業のテコ入れ以来、日本経済とは自動車産業のモノカルチャーなのか、と感じられる動きがいくつか見受けられます。国際的な比較優位の構造は震災から2年を経て、いまだ大きな変化はないのかもしれません。
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2013年03月10日 (日) 22:14:00

鳥谷選手の先頭打者ホームランから打線爆発で侍ジャパンがWBC決勝ラウンドへ進出!

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Japan1513114 16170
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打線爆発で侍ジャパンがオランダを下してWBC決勝ラウンドへ進出です。先発の前田投手がヒーローインタビューを受けていましたが、阪神ファンにとっては、何といっても鳥谷選手の先頭打者ホームランを一番の勝因に上げたいと思います。台湾戦に勝った勢いそのままに、一気に侍ジャパンの打線が活発になり、東京ドームとはいえ、一発攻勢のコールドゲームでオランダを沈めました。鳥谷選手の1番起用も台湾戦の9回の盗塁を評価してのことなんだろうと思います。タイガースに戻っても今シーズン大いに活躍を期待しています。
私はおにいちゃんといっしょにテレビ観戦していたんですが、あまりにも一方的な試合展開におにいちゃんは途中で観戦を放棄しました。

WBC3連覇目指して決勝ラウンドも、
がんばれ侍ジャパン!
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2013年03月10日 (日) 14:28:00

女房の誕生日を祝って食べ放題ランチに出かける

女房の誕生日は3月1日だったんですが、子供達の期末試験があり、すぐには出かけられず、少し待っていたところ、一昨日に上のおにいちゃんの期末試験が終わり、昨日に下の子も終わりましたので、ようやく今日になって、品川プリンスのハプナに恒例の食べ放題ランチに出かけました。

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見れば分かると思いますが、一家そろって記念写真です。みんな、真面目な顔をしています。今日は3月にしても暖かいお天気で、おにいちゃんこそウィンドブレーカを羽織っていますが、下の子は半袖、私も七分袖です。どうやら、我が家では中学生の下の子が一番背が高く、私は高校生のおにいちゃんにも抜かれてしまったようです。
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2013年03月09日 (土) 19:41:00

米国雇用統計のグラフィックス - 米国経済は堅調な回復軌道に戻ったか?

昨日、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなる日農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で前月から+236千人増加し、失業率は0.2ポイント低下して7.7%になりました。まず、New York Times のサイトから記事の最初の6パラを引用すると以下の通りです。

Unemployment at 4-Year Low as U.S. Hiring Gains Steam
The economy picked up speed in February, creating jobs at a pace that would substantially lower the unemployment rate. But Washington could put a stop to that.
Even as analysts hailed a better-than-expected jobs report on Friday that pointed to an acceleration in growth, they warned that stronger employment gains are being put at risk by sequestration, the automatic spending cuts being imposed by the federal government.
"They're doing their best to get in the way," Nigel Gault, chief United States economist at IHS Global Insight, said of lawmakers and other officials. "But the good news is that the economy is carrying plenty of momentum going into sequestration."
The Labor Department reported that the economy added 236,000 jobs in February as the unemployment rate sank to 7.7 percent, down from 7.9 percent in January and the lowest level since December 2008.
Wall Street expected no more than 165,000 additional jobs in February, and the surprise helped lift the Dow Jones industrial average to another new nominal record, its fourth for the week. It closed at 14,397.07.
But many experts said if it were not for political gridlock in Washington, which led to the automatic spending reductions on March 1, the performance of the job market and the broader economy would be even more robust in the months ahead.


続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際に乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国雇用者数のプラス幅は昨年年央から月100千人をかなり上回って推移しており、特に、昨年12月から今年2月までの3か月は月平均200千人近くの増加を続けており、米国の雇用は堅調に推移しているといえます。2月統計では建設業や小売業、情報通信業などの民間部門の雇用が拡大を示しています。失業率も目に見えて低下しました。

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ただし、非農業部門雇用者数が十分に増加し失業率も低下している一方で、それでもなおかつ雇用の本格的な回復には至っていないと広く受け止められています。上のグラフはマンキュー教授やクルーグマン教授も着目している雇用・人口比率をかなり長期にプロットしていますが、現在の景気回復局面でほとんど上昇していないのが見て取れます。

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最後に、デフレとの関係で私が気にしている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつける可能性は小さそうに見えます。
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2013年03月08日 (金) 19:42:00

2012年10-12月期GDP統計2次QEはほぼゼロ成長に上方修正、ほかに景気ウォッチャーと経常収支も

本日、内閣府から昨年2012年10-12月期のGDP速報2次QEが発表されました。季節調整済の前期比で+0.0%、前期比年率で+0.2%と1次QEから上方修正され、日本経済は3四半期ぶりにプラス成長に転じています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP、3期ぶりプラス成長 10-12月0.2%増
内閣府が8日発表した2012年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.04%増、年率換算で0.2%増となった。2月に公表した速報値(0.1%減、年率0.4%減)を上方修正した。プラス成長は3四半期ぶり。設備投資や公共投資が速報値を上回ったためで、内需主導の景気底入れを裏付けた格好だ。
改定値は、速報値の公表後に明らかになった法人企業統計などのデータを使って推計し直したもので、民間調査機関の予測値(年率換算0.2%増)と同じだった。マイナスの速報値が改定値でプラスに転じるのは04年10-12月期以来、8年ぶり。
生活実感に近い名目GDPは前期比で0.3%減、年率換算で1.3%減となり、速報値の0.4%減、1.8%減から上方修正した。
実質GDPを項目別にみると、設備投資は前期比1.5%減と速報値(2.6%減)と比べて減少率が縮小した。運輸業など非製造業で投資が伸びた。個人消費も0.5%増と速報値(0.4%増)から上方修正した。自動車の販売持ち直しが主因だ。公共投資も1.8%増と0.3ポイント上方修正した。
一方、輸出は速報値と同じ3.7%減。外需の弱さが残るなか、堅調な内需がけん引して景気が底入れした構図が鮮明になっている。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.7%と、速報値(マイナス0.6%)から拡大した。民間在庫品のデフレーターが改定されたため。
同時に発表した12年暦年のGDPは実質で2.0%増。速報値の1.9%増から上方修正した。生活実感に近い名目は475兆8679億円と1.1%増えた。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2011/
10-12
2012/
1-3
2012/
4-6
2012/
7-9
2012/10-12
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)+0.1+1.5▲0.2▲0.9▲0.1+0.0
民間消費+0.5+1.2▲0.0▲0.5+0.4+0.5
民間住宅▲0.9▲1.7+2.2+1.7+3.5+3.5
民間設備+8.0▲2.5▲0.1▲3.3▲2.6▲1.5
民間在庫 *▲0.4+0.3▲0.4+0.2▲0.2▲0.2
公的需要▲0.4+2.7+1.5+0.8+0.7+0.8
内需寄与度 *+0.8+1.3+0.0▲0.2+0.1+0.2
外需寄与度 *▲0.7+0.2▲0.3▲0.7▲0.2▲0.2
輸出▲3.1+3.4+0.0▲5.1▲3.7▲3.7
輸入+1.7+2.1+1.7▲0.5▲2.3▲2.3
国内総所得(GDI)+0.1+1.3▲0.1▲0.7▲0.3▲0.1
名目GDP▲0.1+1.4▲0.5▲1.0▲0.4▲0.3
雇用者報酬+0.5+0.1▲0.2+0.6▲0.5▲0.5
GDPデフレータ▲1.5▲1.0▲1.0▲0.8▲0.6▲0.7
内需デフレータ▲0.3▲0.2▲0.7▲0.9▲0.7▲0.7


さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済み系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年2012年10-12月期の最新データでは、前期比成長率がほぼゼロであるとともに、マイナスに寄与しているのが黒の外需と水色の設備投資などであり、逆にプラスで経済を下支えしているのが赤の消費と黄色の公的需要であるのが見て取れます。

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事実関係であるデータさえ示せば話が終わるような気がして、特段の追加情報もないんですが、ほぼ予想通りのゼロ近傍の成長率でした。相変わらず、昨年の段階では企業部門に弱さが見られますが、すでに過去の数字だろうと思います。昨年2012年10-12月期に景気は底を打ち、今年に入って回復局面の様相を示していることは明らかです。明らかでないのは、景気局面の変更、すなわち、山谷をつけるかどうかだけです。この先、希望的観測も含めて、円高修正と海外経済の持直しが輸出の回復につながり、復興需要などの公共投資とともに企業業績を改善させて、業績を改善した企業から家計に所得が回り、現在でもすでにかなり底堅い消費の本格的な増加がさらに景気回復を力強いものに導く、といったカンジでしょうか。

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現状ではアベノミクスの効果によるハードデータのエビデンスは多くないんですが、マインドの改善によるソフトデータは大いに改善を示しています。その典型が来週発表の消費者態度指数と上のグラフで示した景気ウォッチャーです。本日、2月の統計が内閣府から発表されています。グラフを見れば明らかですが、大きくジャンプしています。足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比3.7ポイント上昇の53.2、2-3か月後の景気を見通す先行き判断指数は1.2ポイント上昇の57.7となりました。現状・先行きとも4か月連続で上昇を示し、アベノミクスによる円高修正や株高により、消費者が支出意欲を向上させるとともに、企業業績の改善に対する期待感が一段と高まっています。現状判断指数は2006年4月以来、6年10か月ぶりの高水準でした。

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最後に、今日は財務省から1月の経常収支も公表されています。上のグラフは季節調整済の経常収支を青い折れ線でプロットし、その内訳を積上げ棒グラフで示しています。色分けは凡例の通りです。メディアでは季節調整していない原系列の統計で経常収支が3か月連続の赤字を記録した点が強調されているように受け止めていますが、円高修正の進展に伴う貿易収支のJカーブ効果が一巡した段階で、もう少し詳しく考えたいと思います。
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2013年03月07日 (木) 19:44:00

景気動向指数に見る景気の先行きやいかに?

本日、内閣府から1月の景気動向指数が発表されました。CI一致指数は前月から▲0.3ポイント下降した一方で、CI先行指数は+3.1ポイント上昇しました。まず、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月の景気先行指数、3.1ポイント上昇 過去2番目の改善幅
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(CI、2005年=100)速報値は、数カ月後の先行きを示す先行指数が3.1ポイント上昇の96.3と、2カ月連続で改善した。上昇幅は09年6月(3.3ポイント)に次ぐ、過去2番目の大きさだった。
先行指数を構成する指標のうち、自動車などの最終需要財、化学、一般機械など鉱工業生産財の在庫率指数が低下した。東証株価指数(TOPIX)が上昇したほか、円安・株高などを背景とした消費者態度指数の改善もプラスに寄与した。
一方、景気の現状を示す一致指数は0.3ポイント低下の92.0と、2カ月ぶりの悪化。12年12月に資本財や建設財の投資財出荷指数が大幅に伸びた反動が出た。半面、有効求人倍率の改善や自動車の生産と出荷の増加が指数を下支えした。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「悪化」で据え置いた。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.7ポイント上昇の87.5だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が77.8、先行指数が72.2だった。


いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月と仮置きしています。

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ということで、CI一致指数は12月の大幅上昇の反動でやや下降しましたが、上に引用した記事に見られる通り、世間一般では、先行きを示すCI先行指数が上昇したことが注目されています。CI一致指数では有効求人倍率や耐久消費財出荷がプラスに寄与した一方で、12月の大幅上昇の反動で投資財出荷や中小企業出荷がマイナスに寄与しました。また、CI先行指数では中小企業売上げ見通しD.I.がマイナス寄与したものの、消費者態度指数、最終需要財在庫率(逆サイクル)、東証株価指数(TOPIX)などがプラスに寄与しています。DI一致指数は順調に上向いています。今のところ、アベノミクスによるマインド指標の改善が先行しており、実体経済が上向くエビデンスはこれから出て来るものと受け止めています。

明日は10-12月期の2次QEが発表されます。ゼロ近傍の成長率を予想するエコノミストが多い中で、私はややマイナス成長と見込んでいるんですが、もしマイナス成長だとしても、もちろん、ゼロ近傍のプラス成長であっても、完全に過去の数字と受け止められるんだとうと考えています。
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2013年03月06日 (水) 23:16:00

10-12月期GDP統計2次QEは1次QEから上方修正されプラス成長を記録するか?

明後日の3月8日に2012年10-12月期GDP速報2次QEが内閣府より発表されます。必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で景気の谷の時期や先行きについて言及した部分を中心に取っているつもりですが、何せ2次QEですので、アッサリしたリポートが多かったです。先行きを明記しているのは、みずほ総研と伊藤忠経済研だけでした。それ以外のアッサリしたヘッドラインは1行で収まるようにしてあります。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.1%
(▲0.4%)
n.a.
日本総研+0.1%
(+0.5%)
設備投資、公共投資がともに上方修正となる見込み。
大和総研+0.0%
(+0.2%)
1次速報から上方修正される見通しである。
みずほ総研▲0.1%
(▲0.3%)
2013年1-3月期は中国など海外経済の持ち直しを背景に輸出が増加に転じると予想される。復興需要の執行による公共投資の増加が続くほか、エコカー補助金の反動による落ち込みから脱しつつある自動車販売が前期比プラスに転じる中で、個人消費も拡大を維持するとみられる。1-3月期は1年ぶりにプラス成長に転じると予想している。
ニッセイ基礎研+0.0%
(+0.1%)
小幅ながらもプラス成長に転じると予測する。
第一生命経済研▲0.0%
(▲0.0%)
小幅上方修正されると予想する。
伊藤忠経済研+0.0%
(+0.2%)
昨年12月に短期の景気後退局面から脱した日本経済は、足元で回復の動きを強めつつある。当社では、輸出の回復を受けて2013年1-3月期にプラス成長へ転じた後、4-6月期以降の日本経済が①輸出の増勢継続と②2012年度補正予算による公共投資増加、③消費税率引き上げ前の駆け込み需要を主因に、成長ペースを高めていくと予想している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.1%
(▲0.3%)
ほとんど変化がないと見込まれる。
三菱総研+0.0%
(+0.1%)
小幅の上方修正を予想する。


2次QE予想の一例として、私の実感にかなり近いみずほ総研のリポートからグラフを引用すると以下の通りです。プラス成長かマイナス成長かは意見の分かれるところですが、ほぼゼロ近傍の成長率であることは確度が高いと考えるべきです。そして、グラフに示されたように、「消費+住宅」という意味で家計部門は堅調で、公的需要もプラスの寄与を示すが、外需と企業部門がまだ弱いといえます。もちろん、昨年10-12月期までのお話しです。

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GDP成長率がゼロ近傍であることに加え、景気動向は山谷をつけるかどうかは別にして昨年2012年11-12月ころを底に拡大局面にあり、来年4月の消費税率引上げの直前の駆込み需要まで徐々に成長率を高める可能性が高い、というのが大方のエコノミストのコンセンサスとなっています。このまま順調なパスをたどることを私は期待しています。問題は消費税率引上げ後なのかもしれません。

今日の午前中、3つある私の所属学会のひとつがアベノミクスに関する定例研究会を開催しましたので拝聴して来ました。私は原則遅刻する人間ですので、少し遅れ気味で会場に着いて最前列の席しか残っておらず、私のような態度の悪い年配者が発表者正面の真ん前の席にふんぞり返って座ってしまい、迷惑だったと思います。いつも反省して、次からは時間に余裕を持って行動しようと思うんですが、今まで出来たためしがありません。
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2013年03月05日 (火) 19:56:00

円高修正と株高はいまだ雇用の質には波及せず

本日、厚生労働省から1月の毎月勤労統計が発表されました。統計のヘッドラインとなる賃金は季節調整していない原系列の前年同月比+0.7%増でした。また、景気に敏感な所定外労働時間は季節調整済みの系列で前月比▲0.6%と減少しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

給与総額9カ月ぶり増 1月、特別給与が急増
厚生労働省が5日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)によると、残業代やボーナスを含む給料の総額は27万1450円となり、前年同月比で0.7%増えた。増加は9カ月ぶり。冬のボーナスを遅れて支払った企業があった影響で、特別給与が23.3%増えたためだ。賃金の本格回復を実感させる基本給の「所定内給与」は前年同月水準を下回っている。
調査は従業員5人以上の企業が対象。所定内給与は24万233円で、0.1%減った。残業代など「所定外給与」も1.5%減り、1万8419円となった。
きまって支給する給与(所定内と所定外の合計)は0.2%減の25万8652円だった。減少は8カ月連続。厚労省は「正社員より賃金が安いとされるパート労働者の割合が増えていることが原因」とみている。
就業形態別にみると、フルタイムで働く一般労働者の給与総額は前年同月比1.3%増えた。増加は3カ月ぶり。パートタイム労働者の給与総額は0.6%減で、2カ月連続で減った。常用労働者のうちパートで働く人の割合は2012年1月の28.69%から29.05%に上昇した。
足元の景気動向を示すといわれる製造業の所定外労働時間は前年同月から6.6%減り、6カ月連続で減少した。前月と比べると0.4%増とわずかに増えたが、12年末からの円安・株高による好転はまだ見られない。
安倍晋三首相はデフレ脱却のため、13年の春季労使交渉で産業界に賃上げを要求している。産業界はボーナスの上積みには前向きだが、月例賃金の引き上げには慎重姿勢を崩していない。


いつもながら、とてもよくまとまった記事でした。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は現金給与総額と所定内給与です。

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アベノミクスによる円高修正と株高はまだ雇用の質には波及していません。すなわち、現金給与総額は季節調整していない原系列の前年同月比で見て+0.7%増となったものの、引用した記事にもある通り、昨年12月支給のボーナスが後ズレしただけであって、所定内給与は▲0.1%の減少を示しました。恒常所得仮説の示す通り、消費は所定内賃金との相関が高く、しかも、賃金増が暮れのボーナスの後ズレとあっては、決して評価できません。賃金水準は非正規雇用の割合の増加によりジワジワと減少する傾向から脱していないと考えるべきです。
雇用の量に関しては、常用雇用が前年同月比で+0.5%増となったものの、この増加はすべてパートタイム労働者が増加したためであり、パートタイム以外の一般労働者は前年と同水準でした。また、景気に敏感な所定外労働時間を季節調整済の前月比で見ると、さすがに円高修正の恩恵が大きい製造業は+0.4%増を示したものの、非製造業も含めた調査産業計でみると▲0.6%の減少を記録しました。繰返しになりますが、アベノミクスによる円高修正と株高は雇用の量にまず好影響を及ぼしているのは確かな一方で、ヘーゲルの弁証法にいうところの量的変化が質的変化に転化する段階には達しておらず、雇用の質の改善にはまだ波及していないように見えます。

先週金曜日の3月1日に発表された失業率や有効求人倍率などの雇用統計は今までとはかなり違った印象を与えてくれましたが、毎月勤労統計に示された賃金や労働移動などの雇用の質的な指標はまだ改善に達せず、今後の課題として積み残されているように見えます。賃金は上がるんでしょうか?
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2013年03月04日 (月) 19:33:00

ロバート C. アレン『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』(NTT出版) を読む

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ロバート C. アレン『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』(NTT出版) を読みました。著者は英国のオックスフォード大学経済学部で経済史担当教授を務めています。現在の世界的な経済格差につながる産業革命期くらいからの経済史をひも解いています。まず、出版社のサイトから本の内容紹介を引用すると以下の通りです。

本の内容紹介
グローバル経済の格差の原因を、世界史のなかに探る。

なぜ世界には、豊かな国と貧しい国が存在するのか? 世界各国間の貧富を決める要素は何だったのかを、歴史、地理的側面、技術変化、経済政策、制度などを通して検討する。成長に寄与する要因を、歴史資料を駆使して分析し、今日の格差の原因を概観する。


次に、章別構成は以下の通りです。

第1章
大いなる分岐
第2章
西洋の勃興 - 最初のグローバル化
第3章
産業革命
第4章
工業化の標準モデル - ドイツとアメリカ
第5章
偉大なる帝国 - インド
第6章
南北アメリカ
第7章
アフリカ
第8章
後発工業国と標準モデル - 帝政ロシアと日本
第9章
ビックプッシュ型工業化 - ソ連・戦後日本と東アジア


ということで、産業革命前夜の大航海時代から産業革命にかけての時代を始点とし、その後の構成は時代を下るのではなく地域別に記述を進めているのは一目瞭然だと思います。なお、英語の原題は Global Economic History なんですが、著者の問題意識を汲み取って邦訳のタイトルとしたらしいです。しかし、イングランドで始まった産業革命については、どうしてイングランドで始まったかというと、高賃金のために労働節約的な技術革新へのインセンティブが高かったとしか解明されていない気がします。すなわち、イングランドはもともと豊かだったので産業革命によりさらに豊かになった、ということなのかもしれません。最後の方の章では開発経済学の視点からビッグプッシュ型の工業化により一気に先進国の仲間入りして高所得国になるモデルが提示されます。開発経済学の唯一でもなければ典型的なモデルでもないんですが、サックス教授などを含めて、十分に適用可能なモデルと考えられています。現に、日本や中国を含めてアジアはこのビッグプッシュ型の工業化により、いわゆるテイクオフを果たし国が少なくなく、ラテン・アメリカや特にアフリカとの大きな違いとなっていることは確かです。

トインビーから始まった産業革命研究は、マントゥの悲観論やアシュトンの楽観論など、経済史家からいろんな見方が提示されています。途上国の経済開発についても、ルイス型の2元モデルをはじめ、ビッグプッシュ型のほか、これまた、いろんな議論が展開されています。この本はおそらく大学1-2年生の学部に上がる前の教養部くらいから、レベルの高い高校生を対象にしている気がしますが、社会人でも十分に楽しめます。西洋経済史の教養を身につけたい方には特にオススメです。
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2013年03月03日 (日) 11:52:00

Coffee Break Jazz はどこまでジャズか?

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EMI ジャパンから Coffee Break Series として、ジャズ以外にもボサノバやハワイアンなどをシリーズ化したCDが発売されています。もともとは主婦層の間で話題を呼び、デジタル配信ジャズコンピで異例の大ヒットを記録した選曲をCD化したらしいんですが、2011年ころからかなり多くのCDが発売されています。CDとしても2枚組2000円足らずというお値段もあってヒットを続けているようです。ということで、遅ればせながら流行は押さえておくのが私の主義ですので、近くの図書館で借りてCD6枚一気に聞きました。収録曲についてはあまりに多くなりますので割愛しますが、Coffee Break Jazz と称しながら、中身はジャズではないと受け止めました。ほとんどが歌詞付きの曲で、それはそれでいいんですが、ライナーノートにも歌っている人は「どこそこの国のポップ・シンガー」と紹介されていたりして、どうもジャズかどうか怪しい気がします。あえて、誤解を恐れずに具体的に示すと、日本でいえば平原綾香さんのような歌手なんではないかと想像しています。彼女のおじいさんはジャズ・シンガーといえますが、彼女自身はジャズ・シンガーではないと私は考えています。

基本的に、「ジャズとはカッコいいものである」というコンセプトがにじみ見えて、決して悪い印象ではないんですが、緊張感を求める私のようなジャズ・ファンには少し物足りなく感じられます。でも、基本は BGM でしょうから、軽く流して別の作業をするにはいい選曲なのかもしれません。
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2013年03月02日 (土) 18:37:00

トマス・レヴェンソン『ニュートンと贋金づくり』(白揚社) を読む

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トマス・レヴェンソン『ニュートンと贋金づくり』(白揚社) を読みました。著者はマサチューセッツ工科大学 (MIT) でサイエンス・ライティングの教授をしています。同じ出版社から出た前著の『錬金術とストラディヴァリ』はそれなりに話題になりました。まず、出版社のサイトから本のあらすじを引用すると以下の通りです。

ニュートンと贋金づくり
欧州最高の知性 vs. 英国最悪の知能犯

17世紀のロンドンを舞台に繰り広げられた国家を揺るがす贋金事件。
天才科学者はいかにして犯人を追い詰めたのか?
膨大な資料と綿密な調査をもとに、事件解決にいたる攻防をスリリングに描いた科学ノンフィクション!


「SF小説」、すなわち、サイエンス・フィクションというジャンルがあります。この本はサイエンス・ノンフィクションといえます。引用にある通り、この本は17世紀末にイングランドの造幣局監事に就任したニュートンと贋金づくりの対決を取り上げています。もちろん、ニュートンの生い立ちから始まって、『プリンキピア』などの成果や、何といっても有名な万有引力の発見なども詳しく解説されています。科学的な業績だけでなく、錬金術に励んだり、晩年はかの南海泡沫事件で大損をしたりしたニュートンの人物像にも迫ります。そのニュートンに追求される贋金づくりのウィリアム・チャロナーもさまざまな角度から取り上げています。
本書はニュートンとチャロナーの対決を歴史的な評価に耐える正確に資料をふまえたノンフィクションとして再現するとともに、産業革命前夜のイングランドにおける犯罪者たちの社会史、拷問や処刑の歴史、賄賂や袖の下の作用などを包括的に明らかにしています。もっとも、警察制度が確立する100年近くも前のお話しで、造幣局監事たるニュートンが操作から裁判から、すべてに活躍する意外な歴史をひも解いています。なお、あえて「イングランド」と表記して「英国」としないのは、スコットランドは明らかに別の国としてストーリーが進むからです。

江戸時代の日本でも、ニュートンの時代のイングランドでも、贋金づくりは極刑に処せられます。歴史に名高い天才科学者と贋金づくりの息もつかせぬ対決が面白く展開されます。とてもオススメの5ツ星です。
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2013年03月01日 (金) 22:54:00

今日は女房の誕生日!

今日は我が女房の誕生日です。来週は子供達が期末試験ですので、その次の週末にでも誕生祝いに出かけて、いつもの食べ放題ランチにでも行こうと考えています。
めでたいとお考えの向きは下のジャンボくす玉を割ってやって下さい。



昨夜の今ごろの時刻には覚えていたんですが、一晩寝て今朝になってすっかり忘れていました。危ないところでした。
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2013年03月01日 (金) 20:48:00

雇用統計と消費者物価と法人企業統計を見る

今日は、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、それぞれ公表されています。いずれも1月の統計です。さらに、四半期の統計で財務省から昨年2012年10-12月期の法人企業統計も発表されています。まず、とても長くなりますが、統計のヘッドラインを報じる記事を3本まとめて日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月求人倍率0.85倍 リーマン前08年8月以来の水準
失業率は4.2%、3カ月ぶり改善

雇用情勢に改善の動きが出てきた。厚生労働省が1日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は0.85倍となり、前月比0.02ポイント上昇した。改善は3カ月連続で米リーマン・ショック前の2008年8月(0.86倍)以来の水準。総務省が同日発表した1月の完全失業率(季節調整値)も前月比0.1ポイント低い4.2%となり、3カ月ぶりに改善した。
総務省が今回初めて集計した非農林業の有期雇用者数は1410万人で、全体の4分の1を占めた。
円安・株高で景況感が持ち直し、求人が増えた。厚労省は雇用情勢の基調判断を「緩やかに持ち直している」とし、8カ月ぶりに引き上げた。前月は「持ち直しの動きが弱まっている」だった。
1月の新規求人は前年同月比9.4%増えた。宿泊・飲食サービス業(14.2%増)、教育・学習支援業(13.7%増)など女性が多く働く業種で増えた。東日本大震災からの復興需要などで建設業も14.3%増加した。製造業は7.0%減だった。
完全失業率(季節調整値)は女性が3.8%となり、前月比0.2ポイント改善した。特に45-54歳の女性の改善が目立つ。女性の就業者の増加数は30万人と男性(5万人)を上回った。男性の失業率は4.6%と前月比0.1ポイント悪化した。
就業者数は宿泊・飲食サービス業と教育・学習支援業がそれぞれ13万人増、医療・福祉業は5万人増だった。製造業は1万人減と減少が続いた。
消費者物価0.2%下落 1月、3カ月連続マイナス
総務省が1日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで99.1となり、前年同月比で0.2%下落した。下落幅は前月から横ばいで、マイナスは3カ月連続となる。家電など耐久消費財を中心に物価の下落基調が続いている。
家庭用耐久財は全体で16.5%下落し、マイナス幅はエアコン(30.2%)や冷蔵庫(23.4%)などが大きかった。航空運賃も年末年始の割引が大きく、12.7%のマイナスになった。エネルギー価格は、原油高や円安による輸入価格の上昇が響いて3.9%とプラス幅は前月(3.4%)から拡大した。
物価の基調を示す食料とエネルギーを除いたCPIは、前年同月比0.7%下落しており、マイナス幅は2カ月連続で拡大した。エアコンの下落幅が調査対象の入れ替えの影響で前月まで実際より小さくなっていたためだ。2月のCPIは同じ理由でテレビの下落幅が大幅に拡大すると見込まれている。
設備投資は8.7%減 10-12月、前年の反動で落ち込む
財務省が1日発表した2012年10-12月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比8.7%減の9兆767億円となった。マイナスは5四半期ぶり。前年同期に東日本大震災からの復旧投資で大幅に伸びた反動もあり、製造業と非製造業がともに落ち込んだ。企業業績は固定費の削減と為替差益の押し上げで、減収増益だった。
設備投資は季節要因を除いたベースで7-9月期比で0.9%増と、4四半期ぶりにプラスに転じた。1月以降について財務省は「足元の景気は下げ止まっており、(円高是正による)輸出環境の改善や経済対策、景況感の持ち直しで回復に向かうことが期待される」と分析している。
設備投資の前年同期比の減少率は5四半期ぶりの大きさだった。製造業が9.6%減と大きく落ち込んだ。情報通信機械が受注減少で投資を抑制したほか、前年の反動減も響いた。鉄鋼や電気機械も需要低迷で投資を抑えた。
非製造業は8.2%減少。最大の押し下げ要因になったのはサービス業で、弁当や総菜などとの競争激化で、外食産業が新規出店を減らしたことが主因だ。情報通信業は前年同期にスマートフォンへの対応で基地局を大幅に増やした反動で落ち込んだ。建設業も大型案件の反動が響いた。
全産業の売上高は6.8%減の320兆9208億円。資源価格の下落で商社など卸売業・小売業が落ち込んだほか、自動車など輸送用機械がエコカー補助金終了や中国での日本製品の買い控えで減少した。欧州や中国向けの輸出落ち込みで、電気機械や運輸・郵便業が落ち込んだ。
一方、全産業の経常利益は12兆7901億円と7.9%増えた。マンション分譲や商業施設の好調で不動産業が好調だったほか、復興事業の押し上げで建設業も伸びた。情報通信機械は人件費を削減したほか、輸送用機械は原価圧縮と為替差益による押し上げで、ともに減収ながら増益を確保した。
法人企業統計は国内総生産(GDP)を算出するための基礎統計の1つ。内閣府は今回の結果を踏まえて8日に10-12月期のGDP改定値を発表する。


いつもながらとてもよくまとまった記事です。次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフとなっています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。何度も繰り返していますが、直近の景気の山は2012年3月、谷は2012年11月と仮置きしています。以下、四半期データをプロットしたものを含め、すべてのグラフで同様です。

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引用した最初の記事の冒頭にある通り、雇用情勢に改善の動きが出て来たと私も考えています。上のグラフにも見られる通り、遅行指標の失業率こそ一進一退を繰り返していますが、一致指標の有効求人倍率と先行指標の新規求人数は明らかに昨年末くらいから改善を示していますし、もともと、この2指標は景気後退期と認定されるかどうかは別にして2012年中の停滞期間にもダメージは少なかったようにグラフからは読み取れます。量的には雇用は改善の方向に向かい始めた可能性が十分あります。問題は雇用の質です。

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やや単純化が過ぎるかもしれませんが、雇用の質のひとつの指標として正規と非正規の比率を見たのが上のグラフです。メディアによっては、総務省統計局が新たに統計として取り始めた有期雇用の方に注目していたところもあったんですが、私はこの正規・非正規の月別データの方が気にかかります。すなわち、2002年から四半期で調査されて来たデータが2013年1月から月次の調査が始まりました。上のグラフは四半期データと月次データを無理やりに結合しています。四半期調査の始まった2002年ころには70パーセントを超えていた正規比率は2013年1月には65パーセントを割り込むくらいまで一直線に低下しました。この正規・非正規の雇用形態と賃金の上昇が、今後の景気の回復・拡大局面でどのように動くかにも注目すべきです。

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さらに雇用の質を見る一環として、産業別の雇用者数の推移を見たのが上のグラフです。季節調整していない原系列の雇用者数を前年同月と比較して、前年との差を青い折れ線で示した上で、産業別の内訳を積上げ棒グラフでプロットしています。緑色の医療・福祉がほぼ一貫して雇用者数を増加させており、逆に、水色の製造業がマイナスを続けています。情報通信業も最近はマイナスを示しています。雇用として質の高い高賃金の正規雇用者の産業が減少して、低賃金の非正規雇用者の比率の高い産業が雇用者を増やしているようにも解釈できます。

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アベノミクスで注目度をアップさせたインフレ率に目を転じると、消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。青い折れ線が全国の生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率となっており、積上げ棒グラフがその寄与度を表しています。赤い折れ線グラフは食料とエネルギーを除く全国の総合で定義されるコアコアCPIの、グレーの折れ線は東京都区部のコアCPIの、それぞれ前年同月比上昇率です。国際商品市況と円高修正に起因するエネルギー価格の高騰に伴って、相対価格の変化は生じているようですが、いまだ一般物価水準の変化には至っていないように見受けられます。特に、1月はエアコン、2月はテレビ、といった耐久消費財の価格動向が重しになって物価が下方に引っ張られると多くのエコノミストに予想されており、今月に日銀総裁・副総裁が新たに任命され、金融政策が大きく緩和された上で、さらに、その波及ラグを経るまで物価はそれほど急には動かない可能性があります。

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最後に、法人企業統計をみると、ヘッドラインとなる売上、経常利益、設備投資のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列をプロットしており、季節調整していない原系列の前年同期比で論じている引用記事と少し印象が異なるかもしれません。足元の2012年10-12月期では、売り上げが前期比で落ちたにもかかわらず経常利益は増加し、設備投資も増えています。より細かく見ると、賃金などの固定費負担が減少して、売上減にもかかわらず利益を出すようになったともいえます。しかし、設備投資の増加も極めて小幅であり、2月14日に発表された10-12月期のGDP1次QEと同じで、10-12月期の企業活動はまだ低水準にあったと私は受け止めています。11月半ばからの円高修正と株高により、足元では10-12月期よりも企業活動は上向いていると想像していますが、統計で確認で来るのはもう少し先になりそうです。ただし、来週発表の2012年10-12月期のGDP2次QEは上方修正される可能性が高いと私は受け止めています。

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最後の最後に、法人企業統計から擬似的に計算できる労働分配率と損益分岐点のグラフは上の通りです。2012年中に労働分配率はやや低下しましたが、この先の動向が気にかかります。
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