2014年09月30日 (火) 20:40:00

阪神打線が湿りっぱなしで甲子園今季最終戦は完封負け!

  HE
横  浜000010000 130
阪  神000000000 030


阪神打線が振るわず完封負けでした。これで自力の2位通過は消え失せました。次の広島戦がレギュラー・シーズンの最終戦ですから、有終の美を飾るべく励んでいただきたいと思います。そして、ポストシーズンではクライマックスシリーズの1勝を目標にがんばって欲しいものです。

クライマックスシリーズでは、
がんばれタイガース!
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2014年09月30日 (火) 19:31:00

いっせいに公表された政府統計をどう見るか?

今日は月末の閣議日ですから、政府統計の経済指標がいっせいに発表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数商業販売統計が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率毎月勤労統計を含めた雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。まず、とてつもなく長くなりますが、各統計のヘッドラインなどを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産、前月比1.5%低下 市場予想下回る
2カ月ぶりマイナス 天候不順も影響

経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調節済み)速報値は前月比で1.5%低下の95.5だった。低下は2カ月ぶり。生産指数は2013年6月(95.0)以来の低さで、QUICKが29日時点で集計した民間予測中央値(0.3%上昇)を大きく下回った。コンベヤーや数値制御ロボットを含む汎用・生産用・業務用機械工業の増産の反動に加え、天候不順で需要が低迷したエアコンの生産が振るわなかった。経産省は生産の基調判断を「弱含みで推移している」に据え置いた。
業種別でみると、15業種のうち10業種で生産指数が低下した。汎用・生産用・業務用機械工業が7.4%低下、自動車を含む輸送機械工業が3.8%低下した。電気機械工業は家庭用エアコンや太陽電池などの生産低迷が響き、3.2%低下した。一方、上昇は3業種で電子部品・デバイス工業は4.9%上昇した。スマートフォン向け半導体などが伸びた。
消費増税後の個人消費の回復の鈍さに加え、輸出の伸び悩みで出荷水準も低い。出荷指数は1.9%低下の94.1と12年11月(91.8)以来の低さだった。生産抑制が追いつかず在庫指数は112.7と1.0%上昇。在庫率指数は118.4と8.5%上昇した。
同時に発表した製造工業生産予測によると、先行きは9月が6.0%上昇、10月は0.2%低下する見込み。経産省は「9月は電子部品・デバイスがけん引役となる」とみている。
8月の小売販売額、1.2%増 2カ月連続プラス 衣料品など伸びる
経済産業省が30日発表した8月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆4520億円と、前年同月比1.2%増えた。2カ月連続のプラスで、伸び率は7月(0.6%増)から拡大した。前年に比べ日曜日が1日多かったことに加え、月後半の気温低下で秋物衣料の販売が伸びた。
小売業の内訳をみると、織物・衣服・身の回り品が3.1%増。飲食料品が2.8%増。一方、自動車や機械器具は4月の消費増税以降、前年割れが続いている。
大型小売店は2.8%増の1兆6265億円。既存店ベースでは1.6%増と消費増税後初めてのプラス。このうち百貨店は2.0%増、スーパーは1.4%増だった。
コンビニエンスストアは4.4%増の9444億円。ファストフード及び日配食品の販売が好調だった。既存店ベースでは0.3%減った。
同時に発表した専門量販店販売統計(速報)によると、8月の販売額は家電大型専門店は3563億円、ドラッグストアが4090億円、ホームセンターが2741億円となった。
失業率、8月は3.5% 3カ月ぶり低水準
総務省が30日発表した8月の完全失業率(季節調整値)は3.5%と前月から0.3ポイント改善した。就業者が20カ月連続で増え、3カ月ぶりの低い水準となった。有効求人倍率は1.10倍と前月から横ばいで、22年ぶりの高い水準を保った。雇用は足元まで底堅く推移している。
完全失業率は15歳以上の働きたい人のうち、仕事に就いておらず職を探している完全失業者の割合を示す。改善するのは3カ月ぶり。8月は就業者が53万人増えたほか、女性を中心に職探しをやめる動きが広がって失業者が減った。
就業者は6363万人と、建設業や医療・福祉を中心に前年同月から53万人増えた。総務省は雇用情勢について、「引き続き持ち直しの動きが続いている」との判断を維持した。
厚生労働省がまとめる有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。8月は3カ月連続で同じ水準だった。引き続き求人が求職を上回っているが、8月の新規求人数(原数値)は4年半ぶりに減少に転じ、改善の動きが一服する兆しもある。
8月に受け付けた新規求人数(原数値)は0.6%減と、2010年2月以来のマイナスとなった。業種別にみると、11業種のうち7業種で減った。学術研究、専門・技術サービス業が7.8%減ったほか、派遣などサービス業(7.1%減)、情報通信業(6.5%減)、建設業(5.1%減)の落ち込みが目立った。
8月の現金給与総額1.4%増 6カ月連続プラス 所定内は0.6%増
厚生労働省が30日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給とボーナス、残業代などを合計した現金給与総額は前年同月比1.4%増の27万4744円だった。プラスは6カ月連続。緩やかな景気回復を背景にした賃上げの広がりを映した。
基本給を示す所定内給与は0.6%増の24万1875円だった。増加は3カ月連続。2005年11月(0.6%増)に並ぶ8年9カ月ぶりの高さとなった。基本給を底上げするベースアップが広がり、正規雇用を中心とした一般労働者の所定内給与が5カ月連続で増えた。
ボーナスなどの特別給与は14.4%増の1万3756円だった。残業代などの所定外給与は1.8%増の1万9113円。所定外労働時間は1.0%増の10.4時間だった。製造業の所定外労働時間は15.0時間で2.0%増えた。
一方、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は前年同月比2.6%減と14カ月連続で減少した。


いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、これだけの統計を一度に並べると、もうおなかいっぱいというカンジです。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、シャドーを付けた部分は景気後退期です。景気後退期のシャドーについては、以下の商業販売統計と雇用統計にも共通です。

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鉱工業生産指数は季節調整済みの前月比で▲1.5%減の減産となり、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが+0.3%増と小幅ながらもプラスの増産だっただけに、かなりのサプライズ、しかも、ネガティブなサプライズでした。上の示した鉱工業生産指数のグラフの上のパネルだけを見ると、いかにも景気後退期に入ったかのような印象を受けかねません。今年2014年1月をピークにトレンドとして下がり続けているように見えます。2012年のミニ・リセッションの時よりも明瞭だったりするんではないでしょうか。同様の見方はニッセイ基礎研のリポートでも示されていますし、鉱工業生産ではなく景気動向指数の予測ですが、第一生命経済研のリポートでも景気後退局面入りの可能性を示唆していたりします。ただ、製造工業生産予測調査によれば、9月は前月比+6.0%の増産の後、10月は▲0.2%の減産ながらほぼ横ばいが見込まれており、もう少し先まで見ておきたいという気もします。さらに、別の視点ながら、この9月増産の製造工業生産予測調査に基づいても、7-9月期の生産は4-6月期から減産となることから、7-9月期のGDP成長率はプラスはであっても年率2-3%の低い成長にとどまる可能性が大きいと私は受け止めています。

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商業販売統計については上のグラフの通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。8月の台風や豪雨などの気候条件は生産よりは消費に与えた影響の方が大きかったと考えられますが、引用した記事にもある通り、日曜日が昨年よりも1日多かったカレンダー効果もあって、8月は前年同月比・前月比ともプラスを記録しています。もっとも、物価との関係で分かりやすいので前年同月比で見ると、小売業の販売額がボーナスを含む所得増の効果などから7-8月と2か月連続のプラスを記録したものの、まだ消費者物価上昇率には届かず実質消費はマイナスを続けていることは忘れるべきではありません。例えば、上のグラフは小売業の販売側の統計ですが、家計における支出側の統計である総務省統計局の家計調査では8月の実質消費支出は前年同月比で▲4.7%の減少を記録しています。

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最後に雇用統計です。上のグラフは上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数、製造業の所定外労働時間指数、5枚目は現金給与指数の前年同月比上昇率です。最後の5枚目以外はすべて季節調整済みの系列をそのままプロットしています。5枚のグラフを一挙に並べましたので、仕方ないことながら強弱まちまちとなります。しかし、大雑把に見て、雇用は底堅いながらも改善テンポが減速している印象があります。失業率は大きく低下しましたが、引用した記事にもある通り、女性などが職探しをやめて労働市場から退出する動きを受けた部分もあり、この先さらに失業率が低下するかどうかは不透明です。私自身は物価上昇率2パーセントを達成するためには、我が国のフィリップス曲線からして、さらに失業率が低下する必要があると考えていますが、「必要がある」と「実際に低下する見込み」は異なる概念です。また、有効求人倍率は高い水準ながらも、これまた、先行きさらに改善するかどうかは不透明です。新規求人は雇用の先行指標ですが、明らかにトレンドの変化が見られます。景気との連動性が高い所定外労働時間は鉱工業生産と同じで景気後退局面入りを示唆しかねない落ち方をしています。もっとも、鉱工業生産指数のピークが今年2014年1月であるのに対して、所定外労働時間のピークは3月だったりします。最後の給与指数だけがジワジワと上昇しそうなトレンドを示しています。ただし、消費者物価上昇率がコアCPIで前年比+3%超ですから、この程度の賃金上昇では実質所得はまだマイナスです。

今日の経済指標発表で注目すべきは2点あり、景気後退局面に入りつつあるのかどうか、そして7-9月期のGDP成長率の予想です。もしも、年内に景気局面に関する政府の判断が改められて、今年1-3月期を山にして景気後退局面に入った、ということになれば、来年2015年10月からの消費税率の再引上げに対する大きな逆風ということになります。7-9月期の成長率についても同じように想定よりも低ければ反対意見が勢いを増す可能性があります。もちろん、明日発表の日銀短観も注目です。
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2014年09月29日 (月) 21:58:00

10月1日発表の日銀短観の予想やいかに?

明後日10月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。4月からの消費増税後2回目の短観ですから、年内と想定されている消費税率再引上げの政府判断を前に、注目が集まっていますが、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は2014年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、次回12月調査の業況判断DIの予想に着目して拾いました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (先行き)+15
+19
<+7.4>
n.a.
日本総研+10
+17
<+7.0>
先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比▲1%ポイントを予想。増税の影響が和らぐなか大企業では改善する一方、中小企業ではコスト高や人手不足から悪化する見込み。
大和総研+10
+16
<+7.2>
先行きに関しては、総じて改善が見込まれる。足下で改善が一服している個人消費が増加基調へと復することで、「小売」の業況感が改善すると見込んでいる。また、2015年10月の増税を控えて住宅着工戸数が徐々に持ち直しに転じる見込みであること、公共投資の増加が見込まれることから、「木材・木製品」、「窯業・土石製品」、「建設」、「不動産」といった業種でも改善に向かうだろう。
みずほ総研+10
+17
<+7.2>
(製造業) 先行きは、+2ポイントの小幅な改善を見込んでいる。在庫調整の進展や設備投資・輸出の持ち直しなどが業況改善に寄与するとみられる。
(非製造業) 先行きは横ばいを見込んでいる。個人消費の持ち直しが追い風となる一方で、労働需給のひっ迫による人手不足や円安の進行によるコスト増といった下押し圧力もあり、景況感の改善は見通し難いだろう。
ニッセイ基礎研+10
+15
<+6.8>
先行きの景況感は総じて小幅の改善が予想される。不透明感は残るものの、駆け込み需要の反動減緩和が期待されるためだ。人手不足という制約はあるものの、遅れ気味であった公共工事の執行が進むこともプラス材料にはなる。ただし、先行きに対して慎重に見る傾向が強い中小企業非製造業では、マインドのさらなる悪化が示されると見ている。
第一生命経済研+10
+16
<+6.5>
先行きのDIについては、 企業は大きなリバウンドを予想するだろう。予測では、+4ポイントの改善を見込むと予想している。理由は、反動減の影響が長引いているにせよ10-12月にはさらに回復力が高まってもおかしくないと考えられるだ。さらなる円安進行、冬のボーナス増加といった要因が、夏場には出て来なくても、遅れて冬には顕在化するとみている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+8
+13
<+7.6>
4月の消費税率引上げ(5%→8%)以降の内需の停滞などを背景に、製造業は生産調整を余儀なくされている模様だ。原材料コストの高止まりも、一部の素材業種の業況悪化につながった可能性がある。もっとも、先行きは+9と、やや持ち直す見込みだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+12
+18
<+7.0>
(製造業) 先行きについては、駆け込み需要の反動の影響がさらに和らぎ、個人消費も持ち直しへ向かうとみられることから、企業の業況感は改善すると見込まれる。大企業製造業の業況判断DI(先行き)は3ポイント上昇し15になると予測する。
(非製造業) 先行きは、個人消費の持ち直しに合わせて「小売」など個人消費関連の業種を中心に改善すると見込まれることから、大企業非製造業の業況判断DI(先行き)は2ポイント上昇し20になると予測する。
三菱総研+9
+17
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、新興国経済の減速などから外需不振が続くとみられるものの、内需は増税後の反動減の影響が徐々に和らいでいくと予想され、製造業は+11%ポイント、非製造業は+18%ポイントといずれ小幅改善を予想する。
富士通総研+10
+17
<+7.0>
先行きについては、雇用・所得の改善は続いており、各種設備投資計画調査に示される、企業の設備投資意欲は高いことから、再び回復軌道に戻っていくと見込まれる。先行きについては、製造業、非製造業とも改善すると考えられる。


ということで、大きな差は認められないんですが、業況判断DIについては足元の9月は前回調査の6月よりもやや悪化するにしても、次のの12月調査にはやや改善する可能性が示唆されています。しかし、いずれにせよ、足元も先行きも業況感はほぼ横ばい圏内の動きです。機関によっては12月調査でもさらに悪化すると見ている場合もあります。ただし、方向性はほぼ横ばい圏内としても、水準としてはかなり高い点も見逃すべきではありません。大企業製造業ではほぼ+10の水準ですし、内需に依存する部分が大きい非製造業は、同時に消費増税ショックも製造業よりも大きいと想定されるんですが、レベルとしては+10を大きく上回っています。ですから、製造業・非製造業を通じて業況感は底堅いと私は受け止めています。ついでながら、設備投資計画については短観の統計としてのクセが現れており、6月調査で大きく年度計画が上方修正された後、9月調査から12月調査にかけて徐々に下方改訂される動きを示しています。

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上のグラフはニッセイ基礎研のリポートから p.3 の消費増税前後の業況判断D.I.を引用しています。前回1997年における消費増税の時と今年では景気局面が異なりますので注意が必要ですが、1997年当時は1997年5月を景気の山として景気後退に入りましたので、景況感は悪化を続けました。今年の足元については、少なくとも私は景気後退局面に入ったとは考えていませんし、多くのエコノミストも現時点では同じ意見だと思いますから、当然に、今年の場合は1997年よりも景況感は底堅く推移すると予想されています。1997年の消費増税時のように急速に悪化するとは見込まれません。

最後に、来年2015年10月からの消費税率の再引上げは、12月8日公表予定の7-9月期GDP速報2次QEがひとつの重要指標と見なされているようですが、場合によっては、12月15日公表予定の12月調査の日銀短観まで待つ可能性もあります。
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2014年09月28日 (日) 13:37:00

ゼブラによる手書きに関する意識調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、9月18日に筆記具メーカーのゼブラから「手書きに関する意識調査」の結果が公表されています。実は、私も世間一般と同じようにキーボードで文字を書く機会が圧倒的で手書きはほとんどしなくなったんですが、その昔に書道を習っていたこともあって、今でもそのころの高位のお弟子さんのブログ「筆耕房☆楷書の書き方」などを定期的に見たりしています。

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ゼブラのサイトでは、いくつか質問と回答が統計処理されていてグラフで示されています。上に引用したのは手描きの必要性や苦手意識に関するグラフを適当に切り貼っています。さすがに、調査主体がゼブラなので毛筆ではなく、ペンで手書きする必要については、かなり必要が52%、必要35%、少し必要が12%となっています。自分のためのノートや他の人へのメモなどです。他方、手書きの苦手意識もかなりあり、かなりある29%、あるも29%、すこしあるが30%で、ほぼ9割近くが苦手意識を持っているという結果です。もちろん、その最大の理由は字がうまくないからです。

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統計処理はなされていませんが、手書きに関する自由回答は上の通りです。いずれも心当たりのある回答ばかりです。なお、私はパイロットのフリクションボールという消せるボールペンを愛用しているんですが、それについてのコメントは見当たりませんでした。ゼブラでは消せるボールペンはまだ開発していないんでしょうか?
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2014年09月27日 (土) 21:50:00

阪神がヤクルトに逆転勝ちしてクライマックスシリーズ出場確定!

  HE
ヤクルト100000000 190
阪  神00001001x 280


阪神がヤクルトに逆転勝ちで、クライマックスシリーズ出場おめでとうございます。それにしても、消化試合に入ってからの福留外野手の帳尻合わせは、「これぞプロ」という執念を感じます。和田監督が続投なら福留選手も契約更新なんでしょうな。それはそうと、クライマックスシリーズではせめて1勝を目標にがんばって欲しいものです。

クライマックスシリーズでは、
がんばれタイガース!
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2014年09月27日 (土) 13:32:00

今週の読書は薬丸岳『神の子』上下巻ほか

今週の読書はアジア経済論ほかの経済書と専門書、また、小説は薬丸岳『神の子』上下ほか以下の通りです。

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まず、末廣昭『新興アジア経済論』(岩波書店) です。著者は東大社研の教授でタイ経済の専門家です。岩波書店から順次発行される「シリーズ 現代経済の展望」の第1冊目です。本書では最初にアジア開発銀行や国際通貨基金や世銀などの既存研究に従って、「アジア」や「低所得国・中所得国・高所得国」などを定義するところから始まり、「生産するアジア」、「消費するアジア」から、「老いてゆくアジア」、「不平等の拡大するアジア」、「疲弊するアジア」まで、幅広くアジアの経済社会の解明に当たります。アジア域内の日本だけでなく、域外経済との関係については米国のいわゆる「双子の赤字」が東アジアの輸出指向型工業化を背後から支え、従って、デカップリング論やアンカップリング論は成り立たないと主張します。まったく私も同感です。ただし、キャッチアップ型の経済成長については工学的な技術しか対象としておらず、経済経営的な生産要素の組合せやマネジメントといった幅広い広義の技術を対象に含んでいないのはやや物足りません。外国資本の導入をテコにした経済発展には工学的な技術だけでなく、マネジメントも含めた広義の技術の果たす役割が大きかったと私は考えています。また、第6章の中所得の罠まではまだいいとしても、後半の第7章以降の「老いてゆくアジア」、「不平等の拡大するアジア」、「疲弊するアジア」については単に「懸念」や「心配」のレベルの記述にとどまり、問題の所在すら明らかにされず、ましてや、解決策の方向性すら提示されないのは大いに疑問です。従って、副題が「キャッチアップを超えて」となっているんですが、意味不明としか言いようがありません。

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次に、山口二郎・中北浩爾『民主党政権とは何だったのか』(岩波書店) です。なぜか、岩波書店が続きます。著者はいずれも大学の政治学研究者ですが、特に山口教授は私でも知っている民主党のブレーンです。当然、その立場から本書は書かれていますが、本書のほとんどは民主党政権時のキーパーソンへのインタビューから成り立っています。まず、民主党政権の3年余りはほぼ「失敗」だったと多くの国民には受け止められており、本書でも同様の総括がなされているようです。その上で、民主党政権の際の当事者たちのインタビューですから、その場にいなかった人たちを「失敗」の原因とするような論調も見られなくもありません。典型的には政権成立当時の小沢一郎幹事長について、マニフェストで財源抜きのバラマキになった「戦犯」と見なすような論調がそのひとつです。しかし、国民目線としては、民主党政権の「失敗」として考えているのは、普天間基地移転に関する対米外交、漁船船長の逮捕と釈放に象徴されるような尖閣諸島に関しての対中国外交をはじめとする外交面での失政、そして何よりも震災と原発事故への対応、その後の原発再稼働や震災復興の遅れに対する不信感ではないでしょうか。非常に狭い範囲で本質的ではない可能性もありますが、社会保障や世代間不公平だけを私の目から見て取り上げれば、歳入を公共事業で国民に還元する従来の「土建国家」を否定して、様々な社会保障で国民に還元する「福祉国家」を民主党政権は指向していましたし、何よりも子ども手当の創設により高齢者のみを優遇する社会保障政策の風穴を開けようと試みたのが最大の成果のひとつだったような気がします。この2点とも自公政権に回帰して否定された気がします。

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次に、中島岳志『アジア主義』(潮出版社) です。本書は明治維新後の自由民権運動や西南の役から太平洋戦争に至る期間、人物で代表させれば、西郷隆盛から石原莞爾までの我が国における「アジア主義」の歴史をひも解いています。先月8月3日の読書感想文のブログで植村和秀『ナショナリズム入門』を取り上げた際に、「ナショナリズムの反対概念は世界市民主義、すなわち、インターナショナリズムである」と書きましたが、この「アジア主義」なる地域主義はその中間を行っています。ナショナリズムが右翼で、インターナショナリズムが左翼、と極めて大雑把に私は受け止めていますが、本書で取り上げている「アジア主義」はこの仕分けに従えば明らかに右翼です。とはいえ、「アジア主義」とは地域主義であると同時に人種主義でもあり、帝国主義の時代に西洋列強の白人に植民地化されたアジア諸国の独立を支援する、というもので、これは中南米になぞらえれば、19世紀のシモン・ボリバル、20世紀のチェ・ゲバラのようなものに見えます。すなわち、アジア諸国の独立支援でとどまっていれば左翼的な主義・運動だったかもしれません。しかし、実際に「アジア主義」の下に日本がやったのは、西欧列強から独立したアジア諸国を日本の植民地にする、というものです。実例としては、西欧列強からの独立ではありませんし、植民地化したのではなく傀儡政権を樹立したんですが、「満州国」を想像すればいいわけで、ここまで来ると右翼的な主義・運動と見なすべきです。何にせよ、21世紀の現代に100年近く前の帝国主義の時代の「アジア主義」を論ずる意味が私には理解できませんでしたが、反面教師的に歴史観を過たないためのひとつの材料といえるかもしれません。

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次に、薬丸岳『神の子』上下 (光文社) です。今週の読書ではこの小説がもっとも面白かったと受け止めています。この作者の作品は夏目信人シリーズのほか、『ハードラック』や『友罪』なども読んでいるんですが、夏目信人シリーズを除いて裏社会というか、犯罪や反社会的な団体を扱っています。この作品も壮大な反社会的組織を描き出そうとしていて、最後の残り50ページまで終わり方が想像も出来なかったんですが、何とか無事に作品をconcludeした気がします。でも、やや尻すぼみで終わった感は否めません。木崎/室井とひろしの全面対決の場面を期待していた読者も多かったような気がしますし、私もその1人なんですが、これを正面から描けばハルマゲドンになるのかもしれません。いかにも裏世界で米国流の陰謀史観が成立しているような雰囲気を醸し出している点は大いに評価できます。次々と会社を作っては乗り換えて行くのは、普通、悪役キャラの方なんですが、それを逆手に取ったラストは秀逸です。タメイドラッグ御曹司の兄から弟に信頼できる仲間の大切さを言わしめたり、人間としての愛情の強さとか、自分を大切に思ってくれる人の存在とか、いろいろと温かいものを感じる人生訓で満ちています。

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最後に、綾辻行人『霧越邸殺人事件 <完全改訂版>』上下 (角川文庫) です。最近では、我が家の下の倅なんかがそうで、『Another』の作者と見なされているっぽいんですが、実は新本格派ミステリの旗手であって、その代表作のひとつの<完全改訂版>です。ネットで調べると、オリジナルの単行本が1990年、新潮文庫版でも1995年ですから、ほぼ四半世紀も前の作品です。もちろん、私も<完全改訂版>になる前のバージョンを読んだことがあります。でも、情けない記憶力しか持っていませんので、雪で孤立した霧越邸に売れない劇団の団員一行が避難して、北原白秋の死になぞらえた連続殺人事件が起きる、というストーリーは読み始めてすぐに思い出しましたが、結局、最後まで読まなければ真犯人は思い出せませんでした。従って、とても新鮮に読むことが出来た一方で、あらすじは記憶にあったので、上下巻を2-3時間で一気に読み切ることが出来ました。なお、私はいわゆる新本格派ミステリの中の京都系では、この作品の作者である綾辻行人や我孫子武丸や麻耶雄嵩よりも、有栖川有栖とか、何といっても法月綸太郎が好きなんですが、もちろん、この作者も大いに評価しています。どうでもいいことながら、近藤史恵や森博嗣も新本格派に入るらしいんですが、この2人作品もよく読みます。さらにどうでもいいことながら、新本格派に限らず一番たくさんの作品を読んでいるミステリ作家は赤川次郎かもしれません。三毛猫ホームズや三姉妹探偵団のシリーズはだいたい読んでいるような気がします。最後の最後に、この作者の代表作である「館シリーズ」もかなりの部分の<完全改訂版>が出ているようです。私は<完全改訂版>よりも、「館シリーズ」の最終巻を早く読みたい気がします。

そろそろ、秋の夜長の読書シーズンも本格化してきています。来週の私の読書やいかに?
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2014年09月26日 (金) 21:48:00

阪神が広島に逆転勝ちしてジャイアンツの優勝をアシスト!

  HE
広  島100101000 370
阪  神00000400x 490


ジャイアンツのリーグ優勝おめでとうございます。我が阪神は9月第2週に甲子園で巨人に3タテを食らったり、今日も2位広島に逆転勝ちしたりと、9月に入ってずいぶんとアシストした気がします。ペナントレースも早々に消化試合となり、後は10月のクライマックスシリーズだけが楽しみです。せめて、1勝を目標にがんばって欲しいものです。

クライマックスシリーズでは、
がんばれタイガース!
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2014年09月26日 (金) 19:29:00

上昇幅が鈍化する消費者物価の先行きをどう見るか?

本日、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率で+3.3%、生鮮食品を除くコアCPIで+3.1%とやや上昇幅は縮小したものの、15か月連続でプラスを記録し、着実な上昇を続けているようです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月CPI、15カ月連続プラス 上昇率は前月から縮小
総務省が26日朝発表した8月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比3.1%上昇の103.5と15カ月連続で上昇した。宿泊料や外国パック旅行が上がったが、上昇幅は前月(3.3%上昇)から縮小した。最近の原油価格の上昇一服で、エネルギー価格の上昇幅が縮小したためだ。
ガソリン価格や電気代といったエネルギーに加えて、テレビやパソコンの価格、生鮮食品を除く食料では昨年大幅値上げのあったソーセージ価格の上昇幅も縮小した。総務省では前年同月比の上昇幅が前月に比べ縮んだことに関し「昨年の(エネルギー価格上昇などの)動きに引っ張られているところが大きく、物価は基調としては緩やかに上昇している」との見方を示した。
同時に発表した9月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が2.6%上昇の102.0だった。8月の全国と同様に、電気代やガス代といったエネルギー価格の上昇幅が小さくなったことが影響した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者物価上昇率の推移は以下のグラフの通りです。折れ線グラフが全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが9月中旬値です。いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とは微妙に異なっている可能性があります。

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コアCPIの前年同月比上昇率で見て、消費税率引上げ後の5月に+3.4%と上昇率のピークを付けた後、8月は+3.1%まで上昇幅が縮小しました。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが+3.2%でしたので、これも下回りました。レンジは+3.1%から+3.3%でしたので、狭い範囲とはいえレンジの下限でした。日銀の「金融経済月報」2014年3月号に掲載された「消費税率引き上げ(5%→8%)が消費者物価に与える影響」に従えば、フル転嫁で全国コアCPI上昇率には+2.0%の押上げ効果があると試算されていますので、8月のCPI統計に示されたいわゆる「物価上昇の実力」は+1%そこそこということになります。
今後の物価見通しに関しては、東京都区部の9月中旬統計で見て、8月からコアCPI上昇率は▲0.1%ポイント上昇幅を縮小させていますし、東京が先行指標となれば全国も足元で上昇幅を縮小させる可能性が高いと考えるべきです。また、日銀の公式見解については、消費税の影響を除いたベースの全国コアCPI上昇率で見て、9月半ばに開催された大阪経済4団体共催懇談会全国証券大会などにおける黒田日銀総裁挨拶において、「消費者物価の先行きについては、暫くの間、1%台前半で推移した後、本年度後半から再び上昇傾向」をたどるという旨の発言を繰り返していますので、本年度半ばの9-10月くらいが+1%そこそこの物価上昇率としてのボトムであろうと見なしているように見受けられます。しかし、エコノミストの中には消費税の影響を除くベースのコアCPI上昇率では+1%を割る可能性を指摘する意見も聞かれる一方で、先行きについては足元の円安の進展、需給ギャップの改善に加えて、エネルギー価格の上昇の可能性もあり、年度後半に物価上昇率が加速する可能性も十分あります。もっとも、このブログでも何回か指摘している通り、消費増税後の需要の戻りは鈍く、需給ギャップの改善テンポについては不透明感を払拭することが出来ません。

年度後半に物価上昇率がピックアップするという日銀のシナリオ通りであれば、追加的な金融緩和を小出しにすることは可能性が低いと私は受け止めていますが、問題はそのペースです。2014-16年度までの見通し期間の中盤ころに、「物価安定の目標」である+2%程度に達する可能性次第で、何らかの追加緩和が実施される可能性が残されていると考えるべきでしょう。
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2014年09月25日 (木) 22:57:00

企業物価と違って上昇幅が鈍化しない企業向けサービス物価をどう見るか?

本日、日銀から企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率で+3.5%、国際運輸を除くコアSPPIでも+3.5%と引き続き着実な上昇を続けているようです。また、消費税の影響を除くベースでは+0.8%を記録しました。それぞれ前月から+0.1%ポイント上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、前年比3.5%上昇 増税除く伸び率0.8%
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は102.3と、前年同月に比べて3.5%上昇した。伸び率は前月から0.1ポイント拡大した。国内観光が好調で、航空旅客輸送の単価が上がったことなどが寄与した。消費増税の影響を除く伸び率は前年同月比0.8%上昇だった。
消費税の影響を除いたベースで見ると上昇品目は82、下落は35。上昇品目と下落品目の差は47品目と、現行の2010年基準で最も大きくなった。日銀は「価格転嫁の動きが広がっており、徐々に下落品目が減っている」としている。
品目別(消費税の影響を除く)では、国内航空旅客輸送が3.9%上昇と前月の0.2%下落から上昇に転じた。航空各社が繁忙期の割引を縮小した影響が出た。外航貨物輸送も円安の影響で上昇幅が拡大した。一方、新聞広告は悪天候の影響もあり前月からマイナス幅が拡大した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。今回は定期的な数値の改定で、主に今年に入ってからの数値が軒並み下方修正された。高速道路で導入された利用頻度に応じた割引制度の影響を盛り込んだことが全体の下方修正につながった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際輸送を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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同じ日銀が公表している企業物価(PPI)の8月の国内物価上昇率はヘッドラインで+3.9%と上昇幅がピークだった6月の+4.5%から▲0.6%ポイントも上昇幅を低下させているのに対して、企業向けサービス物価は+3.5%の上昇と、ピークの5-6月統計と同じ上昇幅であり、7月からは+0.1%ポイント上昇幅が拡大するなど、上昇が鈍化する局面には至っていません。企業物価(PPI)の国内物価については、原油価格の下落や西日本を中心とする天候不順による需要停滞の影響が足元で効いてきている可能性がある一方で、サービス物価(SPPI)についてはその影響が少なく、逆に、価格引上げの転嫁が進みつつあるのかもしれません。すなわち、消費増税のショックによる需給ギャップ悪化のインパクトは、日銀の分析などからPPIよりもSPPIの方が敏感に反応する可能性が高く、その分、下押し圧力は強いわけですから、詳細な検討を経たわけではないものの、価格転嫁や浸透が進んでいる結果と解釈できそうな気がします。
消費税に影響を除くベースで前年同月比上昇率が+0.1%ポイント前月から拡大している要因は、引用した記事にもある通り、国内航空旅客輸送をはじめとする運輸・郵便、東京圏などの事務所賃貸を含む不動産などとなっている一方で、新聞広告などの広告が引下げ要因となっています。もちろん、足元で進んでいる円安の動きや消費増税ショックに伴う需給ギャップの悪化が今後の物価動向を決める部分は決して小さくないと考えられるものの、運輸・郵便はややvolatileな動きを示す一方で、不動産はやや遅行性の、広告はやや先行性の動きを示すと考えられることから、上昇率が鈍化する局面には至っていないながら、こういった視点からも今後のSPPIの動向が注目されるところです。

そろそろ月末が近くなり、明日は消費者物価(CPI)、来週は前半に鉱工業生産指数(IIP)、雇用統計、商業販売統計などの公表が控えていて、10月1日には9月調査の日銀短観も発表されます。年内と想定されている消費税率再引上げの判断までに、7-9月期のGDP成長率をはじめとして経済指標がどのような傾向を示すのか、大いに注目されるところです。
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2014年09月24日 (水) 22:25:00

今夜はゴメス選手のツーランで横浜に雪辱!

  HE
阪  神101020002 6100
横  浜010002100 4111


昨日のゲームは嫌な負け方でしたが、今夜は4番ゴメス選手の決勝ツーランが最終回に飛び出して、横浜に雪辱を果たし、クライマックスシリーズをグイと引き寄せた感じです。でも、能見投手にはもう少し投げて欲しかった気もします。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月24日 (水) 19:39:00

ハフィントン・ポストによる政策課題のアンケート調査結果をどう考えるか?

とても旧聞に属する話題ですが、9月15日にハフィントン・ポストにおいて「人口減少に関する住民意識」の結果が公表されています。このテーマ自体は私は特にハフィントン・ポストのお説を拝聴しようとは思わないんですが、優先すべき政策課題について年齢別のアンケート調査結果が目を引きました。ハフィントン・ポストのサイトから引用して少し画像を取りまとめると以下の通りです。

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20代から60歳以上までのすべての年齢層に共通して、1番目が「雇用や賃金の確保など現役世代のための政策」、2番めが「教育など子ども世代のための政策」、3番めが「年金や介護など高齢者世代のための政策」となっています。しかし、実際の政策運営は圧倒的に高齢者を優遇して偏っているのが実情です。この差は何に由来するんでしょうか。第1に考えられるのは、いわゆるブラッドリー効果です。要するに、回答者が真実と異なる回答をしている可能性があります。第2に考えられるのは、間接民主主義における代議士の過剰反応です。有権者の選好を反映しない歪みの可能性です。
その昔に私が読んだ田原総一朗『頭のない鯨』だったと思うんですが、選挙によって示された国民の選好を、1990年代の当時の大蔵省が天下国家の観点から国益に添って歪めていた一方で、現在では有権者の選好がそのまま政策に反映されるために逆に好ましくない結果がもたらされる場合があり得る、それが「頭のない鯨」と表現されていたように記憶しています。別途、「国益」とは何かをきちんと議論する必要はあるかもしれませんが、それはともかく、今回のアンケート調査結果の第2の解釈は、この逆のケースと言えます。すなわち、有権者はそれほどの高齢者優遇を望んでいないにもかかわらず、政策では際立った高齢者優遇の結果が示されているわけです。

どちらの解釈が正しいのかは、私は専門外でもあり、よく分かりません。しかし、いずれにせよ、世代間の不平等や不公平を拡大するばかりの現在の高齢者優遇を何とかする必要があることは事実のようです。
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2014年09月23日 (火) 13:34:00

大学生・大学院生は毎月どれくらい本を読むのか?

先の土曜日に、先週の読書感想文をアップしましたが、リクルートから出版されている『就職ジャーナル』が実施したアンケートで、大学2年生から大学院2年生までを対象に「ひと月に何冊、本を読んでる?」と題する調査結果が9月18日に公表されています。結論を先取りすれば、平均はひと月に3.1冊だそうです。

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私は大学生でも大学院生でもないんですが、おそらく、私の場合は新刊書のベースで毎月15-20冊くらいだと思います。そして、新刊書とは言いがたい文庫本なども含めたトータルの読書のベースで20-25冊くらいではないかと想像しています。でも、大学生のころはこんなもんだったかな、とも思います。
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2014年09月22日 (月) 19:28:00

Pew Research Center による国際貿易・投資の意識調査結果やいかに?

とても旧聞属する話題ですが、Pew Research Center から44か国を対象として「世界貿易・投資に関する意識調査結果」 Faith and Skepticism about Trade, Foreign Investmentが先週の9月16日に公表されています。先進国だけでなく、新興国や途上国も対象に含まれており、極めて大雑把にいって、先進国ほど国際的な財のやり取りである貿易や国境を越える投資活動にネガティブな印象を持っているといえます。時期を逸したこともあり、簡単にグラフだけ取り上げておきます。

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まず、上のグラフは Pew Research Center のサイトから Country Views of Trade & Job Growth を引用しています。ドイツや英国を例外として、日米欧の先進諸国の多くでは海外との貿易により、雇用が生み出されるよりは失われると考える比率が高くなっています。逆に、新興国・途上国では一部の例外を除いて、雇用が生み出されると考えるシェアが高くなっています。

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続いて、上のグラフは Pew Research Center のサイトから National Views of Trade & Wages を引用しています。これも極めて大雑把に見て、先進国では海外との貿易により賃金は引き下げられると考える人が多い一方で、新興国・途上国では賃金は上昇すると考える人のシェアが高くなっています。

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最後に、上のグラフは Pew Research Center のサイトから Publics Divided on Foreigners Buying Local Companies のグラフを引用しています。自国企業が海外資本に買収されるケースについては見方がわかれると評価されています。

なお、貿易自由化に関して日本のマイクロデータを分析した研究成果があります。以下のリファレンスに示した久野(2011)では、ISSPデータを用いて、女性、高齢者、農業などの比較劣位産業従事者、愛国者(都道府県または国家に強い愛着を感じている個人、および、日本の歴史または日本の国際的な影響力に誇りを感じている個人)が自由貿易に対してシステマティックに負のバイアスを有していることを実証的に明らかにしています。ご参考まで。

  • 久野新(2011)「自由貿易に対する選好の決定要因 -日本国民のマイクロ・データを用いた実証分析-」、『杏林社会科学研究』Vol.27 No.3、杏林大学総合政策学部、2011年12月
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2014年09月21日 (日) 18:35:00

Communiqué, Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, Cairns, 20-21 September 2014

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Communiqué
Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors
Cairns, 20-21 September 2014



1. We welcome the stronger economic conditions in some key economies, although growth in the global economy is uneven and remains below the pace required to adequately generate much needed jobs. Downside risks persist, including in financial markets and from geopolitical tensions. The global economy still faces persistent weaknesses in demand, and supply side constraints hamper growth. We need strong, sustainable andbalanced growth and robust financial sectors to safeguard our economies from these risks and put people intojobs. We are united and determined in our response to these challenges.

2. Chief amongst our response is our Sydney declaration to develop new measures that aim to lift our collective GDP by more than 2 per cent by 2018 above the trajectory implied by policies in place at the time of the St Petersburg Summit in 2013. Structural reforms will be important in this regard. We have developed a set of new concrete measures that will facilitate growth, increase and foster better quality investment, lift employment and participation, enhance trade and promote competition. Preliminary analysis by IMF-OECDindicates these measures will lift our collective GDP by an additional 1.8 per cent through to 2018, includingfrom important positive spillovers. These measures, along with macroeconomic policies, are designed to lift global growth and contribute to rebalancing global demand. Implementation of these measures is also essential to foster private sector growth, to give our citizens more opportunities to improve their living standards. In thelead up to the Brisbane Summit, we will continue to identify a series of additional measures to meet our collective growth ambition. We will hold each other to account in implementing these policy commitments.

3. Monetary policy in advanced economies continues to support the economic recovery, and should address,in a timely manner, deflationary pressures where needed, consistent with central banks' mandates. We arelooking to achieve broad-based and robust growth and this will facilitate the eventual normalisation of monetarypolicy in advanced economies. We will continue to clearly communicate our actions in a timely way and bemindful of impacts on the global economy as policy settings are recalibrated. We are mindful of the potential fora build-up of excessive risk in financial markets, particularly in an environment of low interest rates and lowasset price volatility. We will monitor these risks and continue to strengthen macroeconomic, structural, andfinancial policy frameworks, and other complementary measures, as the best response to managing risks, andmeet our G20 exchange rate commitments. We will also ensure the continued effectiveness of global safety nets.

4. We will continue to implement our fiscal strategies flexibly to take into account near-term economic conditions, so as to support economic growth and job creation, while putting debt as a share of GDP on a sustainable path. We agree to consider changes in the composition and quality of government expenditure and
tax to enhance the contribution of our fiscal strategies to growth.

5. Investment is critical to boosting demand and lifting growth. Today we have agreed to a Global Infrastructure Initiative to increase quality investment, particularly in infrastructure. The Initiative will seek to implement the multi-year infrastructure agenda, including through developing a knowledge sharing platform, addressing data gaps and developing a consolidated database of infrastructure projects, connected to national databases, to help match potential investors with projects. The Initiative will also include key measures in our growth strategies to improve investment climates, which are central to our efforts to attract private sector participation. In implementing our growth strategies, we will seek to support quality public and private investment, including by optimising the use of the public balance sheet while maintaining appropriate risk controls. We encourage the World Bank Group and regional and national development banks to continue to optimise balance sheet utilisation. The implementation mechanism for the Initiative will be announced by our Leaders in November and will make best use of existing capabilities and institutions. To support the Initiative, we have agreed on a set of voluntary Leading Practices to promote and prioritise quality investment, particularly in infrastructure, and will develop effective approaches for their implementation, including through model documentation. This will complement our continuing work to facilitate long-term financing from institutional investors, including through implementation of the agreed G20/OECD principles, and voluntary use of new effective approaches and the related checklist. Furthermore, work is currently underway to improve the transparency and functioning of securitisation markets which will promote financing, including for SMEs. We welcome the work of the World Bank Group to develop the Global Infrastructure Facility which provides a platform for collaboration between development banks and the private sector to lift quality infrastructure investment in emerging markets and developing economies.

6. We have delivered key aspects of the core commitments we made in the wake of the financial crisis in 2008 to build a stronger and more resilient financial system which underpins growth in the global economy. Banks are now generally better capitalised and stronger liquidity arrangements are being put in place. For the Brisbane Summit, work is underway on a plan that will increase consistency in banks' application of the strengthened Basel III rules on capital. We have identified global banks and insurers that are so large, complex and interconnected that their failure could cause significant economic and financial sector disruption, and potentially result in serious taxpayer losses. We have set stronger capital requirements for global systemically important banks. We welcome the substantial progress made to date in defining the terms and conditions of a proposal for addressing the too-big-to-fail issue through additional loss absorbing capacity that would further protect taxpayers if these banks fail. We welcome the FSB's statement that it will be in a position to deliver a proposal in time for the Brisbane Summit. The proposal will be subject to public consultation and a quantitative impact assessment and further refinement before any final measure is agreed. By the Brisbane Summit, the FSB will deliver the remaining core elements of its shadow banking framework and will update the Roadmap agreed in 2013 to support continued monitoring and actions to address potential systemic risks in this area. Our reforms to the over the counter (OTC) derivatives market will reduce systemic risks and increase transparency. We call on regulatory authorities to make further concrete progress in implementing these OTC derivatives reforms as agreed. We encourage jurisdictions to defer to each other when it is justified, in line with the St Petersburg Declaration.

7. Beyond 2014, it is important that we finalise remaining elements of the policy framework and fully implement agreed financial regulatory reforms, while remaining alert to new risks. We welcome the FSB's plans, commencing in 2015, to prepare a consolidated annual report on the implementation of the reforms and their effects. We also welcome the FSB and international standard setting bodies' plans to publish in 2015 information summarising their respective processes for policy development and implementation reviews. We look forward to the completion by the Brisbane Summit of the FSB's review of the structure of its representation that responds to the increasingly important role of emerging markets in the global economy and the financial system, and ensures the FSB's work is informed by the best expertise in national jurisdictions, while maintaining the FSB's effectiveness.

8. We are strongly committed to a global response to cross-border tax avoidance and evasion so that the tax system supports growth-enhancing fiscal strategies and economic resilience. Today, we welcome the significant progress achieved towards the completion of our two-year G20/OECD Base Erosion and Profit Shifting (BEPS) Action Plan and commit to finalising all action items in 2015. We endorse the finalised global Common Reporting Standard for automatic exchange of tax information on a reciprocal basis which will provide a step-change in our ability to tackle and deter cross-border tax evasion. We will begin exchanging information automatically between each other and with other countries by 2017 or end-2018, subject to the completion of necessary legislative procedures. We call on all financial centres to make this commitment by the time of the Global Forum meeting in Berlin, to be reported at the Brisbane Summit, and support efforts to monitor global implementation of the new global standard. We support further coordination and collaboration by our tax authorities on their compliance activities on entities and individuals involved in cross-border tax arrangements. We welcome progress so far, and encourage further steps by G20 countries to deliver the St Petersburg commitment to lead by example in meeting the Financial Action Task Force standards on beneficial ownership. We will continue to take practical steps to assist developing countries preserve and grow their revenue bases and stand ready to help those that wish to participate in automatic information exchange. We are deepening developing country engagement in tackling BEPS issues and ensuring that their concerns are addressed.

9. IMF quota and governance reform remains a key priority for the G20 and we are committed to maintaining a strong and adequately resourced IMF. We continue to urge the US to ratify the reforms agreed to in 2010 by year-end and reaffirm our Leaders' agreement in St Petersburg and our agreement in April 2014.

10. We are concerned about the human cost of the Ebola epidemic, and the potentially serious impacts on growth and stability in the affected countries and wider region and we underscore the importance of a coordinated international response.

source: G20 site
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2014年09月20日 (土) 13:32:00

今週の読書は『なぜ日本の公教育費は少ないのか』ほか

今週の読書は、タイトルの中澤渉『なぜ日本の公教育費は少ないのか』ほか、専門書を中心に話題の小説も含めて以下の通りです。

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まず、中澤渉『なぜ日本の公教育費は少ないのか』(勁草書房) です。著者は大阪大学の教育学者ですから、まさに専門分野ということになります。民主党政権下で子ども手当や高校無償化がいわゆる「バラマキ」として強く批判されたことに現れているように、我が国では教育とは個人ないし家庭の問題であり、公教育に対する費用負担が先進国の中では極めて小さいという特徴があります。しかも、特に大学入試の公平性に関する信頼度が高く、入試に不合格だった場合は文句なく自己責任として処理されます。ですから、大学入試の次の段階である就活についても、内定が取れないのは「自己責任」と見なされたりするんですが、少なくともこの点については、私がこのブログを通じて反論している通りであり、労働市場は生産からの派生需要であって、就活生の責任はとても小さいと考えるべきです。就活で脱線してしまいましたが、本書では、第3章 p.120 で国際比較により我が国が高齢者に対する社会保障支出が大きい一方で、教育や家族に対する給付はほぼ最低ラインということを確認しています。私も同感です。そのうえで、教育に関しては日本ではその成果が個人に帰属する部分が大きいと見なされており、それゆえに個人もしくは家庭による負担が大きく、逆に、政府負担が小さくなっていると結論しています。もしそうなら、年金なんてもっと典型的に個人利益に帰属しそうな気がするんですが、その点の分析はありません。さはさりながら、教育と社会保障を必ずしも同列で論じているわけではありませんが、現在では死語となった「社会政策」の一環として、教育を単に生産性を高めるための手段として捉えるのではなく、社会構成員としての一体化の醸成とか、リベラル・アーツ的な重要性にも目配りされており、それなりに優れた教育論、というか、国家と教育の関係を論じた書であるといえます。ただし、「あとがき」で著者自身が認めているように、「終章の結論(提案)はやはり物足りなさが残る」といえますし、私の考えでは社会保障と教育を同列に論じているわけではないものの、財政や税収などにまで手を広げ過ぎている気もしないでもありません。

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次に、室山義正『近代日本経済の形成』(千倉書房) です。タイトルはものすごく大きいんですが、表紙の画像にも見られる通り、副題は「松方財政と明治の国家構想」であり、松方財政のデフレ政策による不換紙幣の消却をもって「近代日本の形成」というか、基礎と見なしているようです。その点について詳細に論じられているわけではないんですが、著者の別の本ですでに取り上げられているんではないかと想像しています。本書では、松方財政の前の時期における紙幣ベースでの物価と銀貨ベースでの物価の乖離をグラフィカルに明示し、20世紀初頭に金本位制を確立する前の段階における紙幣と本位貨である銀貨のバランスを紙幣の消却により達成した松方財政を近代日本の経済的な基礎を形成したとして評価しています。というのも、バランス回復のためには銀貨を増加させる方策もあったからであり、そのひとつとして外債の発行による銀貨の増加を目論む意見を取り上げ、悪くすると植民地化の恐れのある政策として日本国内で退けられた経緯を示しています。単に歴史的に松方財政を跡付けただけでなく、一橋大学による長期推計統計も活用してデータの裏付けある議論を展開しています。ただし、最初に見た松方財政による不換紙幣の消却をもって「近代日本の形成」と見なす根拠が私には理解できませんでした。その基礎のあるヒストリアンかエコノミストが読めばもっと得るところが大きいのかもしれません。

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次に、コリン・メイヤー『ファーム・コミットメント』(NTT出版) です。私はあまり理解がはかどらなかったんですが、企業活動に倫理やより長期的な視野を組み込もうとする企業ガバナンス理論です。短期的な企業価値の最大化を否定し、株主だけでなく企業のステークホルダーを幅広く捉えて、雇用は顧客も巻き込んだ企業活動の最適化目標を設定しようと試みています。この本のタイトルにもなっているファーム・コミットメントを実現する「トラスト・ファーム」では、企業の掲げる使命を受託者評議会が守らせるようにし、株主は投資機関に応じたコミットメントに比例した株主の権利を受け取り、株主総会でこれを行使します。他方、無記名株式は株主総会での投票権が与えられません。もちろん、こういった種類株はすでに導入されていて、グーグルやリンクトインでも活用されていますので、ものすごく目新しい試みという気はしません。読んでいて私が理解できなかった、あるいは、読み飛ばしてしまっただけかもしれませんが、どうしても気にかかるのは著者は何を目指しているのかということです。これについて2点だけ指摘しておくと、第1に、おそらく、このファーム・コミットメントやトラスト・ファームでは景気循環は解消されません。近代から現在までの経済学の大きな目標のひとつは景気循環、特に苛烈な景気後退の回避ないしはネガティブな影響の低減化です。マルクスもケインズもこれを目標のひとつに据えていると私は考えています。しかし、トラスト・ファームが主流になっても厳しい景気後退は相変わらず生じ、失業者が発生して貧困も循環的に増加するんではないかと私は想像します。少なくとも、景気後退を回避するシステム的なメカニズムは見当たりません。第2に格差の拡大や悪辣なビジネス慣行の是正といったものが目標かもしれませんが、これはいわゆる「いたちごっこ」になる可能性があります。すなわち、ファーム・コミットメントやトラスト・ファームがビジネス慣行に対して倫理的な観点を導入する決定打ではないような気がします。

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最後に、有川浩『明日の子供たち』(幻冬舎) です。作者はご存じの通りの売れっ子小説家で、幻冬舎創立20周年記念特別書下ろし作品だそうです。よく分かりません。それはともかく、児童養護施設を舞台に、施設に転職したばかりのIT企業の元営業マンを主人公にした物語です。3年ほど先輩の女性職員や見た目と違って理論派で熱血漢の年輩男性職員とともに、事なかれ主義の副施設長と時には対立したり、高校2年生の男女の「問題のない子供」の大学進学や「サロン・ド・日だまり」という施設の存続を訴えたりと、今年に入ってからの例の日テレの「明日、ママがいない」の放送があり、こういった方面への関心が高まっていたとはいえ、内容はもちろんタイトルもここまでして、どっぷりと対抗するのもどうかという気がします。私はよく読みはするんですが、この作者の有川浩と百田尚樹はどうしても好きになれません。やっぱり、バックグラウンドが右翼がかっていて、それが時折作品に現れるからなんだろうと思います。小説が一貫していわゆる「上から目線」で書かれているのもさることながら、特に個別の点を上げれば、その昔の軍隊や現在の自衛隊を美化する傾向に私は馴染めないと受け止めています。この作品のなかでも、小説の舞台となっている施設の出身で大学進学しながら学費が続かず中退し、水商売系あるいは風俗系に流れたんではないかと示唆されていた女性が自衛隊の下士官として登場し、それがいかにも「望ましい」的な扱いをされています (p.221)。何となくの雰囲気で理解できなくもありませんが、視点を替えれば職業差別に他なりませんし、自衛隊勤務を逆の目で見る読者もいるかもしれません。もちろん、小説ですから一定の見方を作者から提供するのが作品であり、不偏不党の立場を要求するものではありませんが、私にとって好ましい「見方」や「立場」ではないと言わざるを得ません。小説家として多くの読者を魅了する力量はあるわけですし、私もこの2人の作品はよく読むんですが、チラチラと垣間見える作者の思想信条の中に私が評価しない要素が含まれている、ということなんだろうと諦めています。この作者も東京在住であれば、現在の内閣から何らかの公職を提供されて、NHKなんぞに何らかの影響力を行使したりしていたのかもしれない、と考えると怖い気がするのは私だけなんでしょうか?

さて、この週末も飛び石連休になっていますが、来週の読書やいかに?
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2014年09月19日 (金) 21:55:00

2年連続2ケタ勝利を達成した藤浪投手の力投で中日に完勝!

  HE
中  日210000000 390
阪  神31112100x 9141


7回自責点1の藤浪投手の力投で中日に完勝でした。打つ方も打線がつながり、小刻みに加点して9得点でした。広島が負けたので0.5ゲーム差に迫りましたが、私はさほどの興味もなく、消化試合に変わりありません。でも、松田投手のピッチングが見られたのは収穫でした。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月19日 (金) 19:27:00

経済協力開発機構 (OECD) の経済見通し中間評価やいかに?

とても旧聞に属する話題で、発表が先週末の3連休中だったものですから、まったく見逃していたんですが、9月15日に経済協力開発機構 (OECD) から「経済見通し中間評価」 Interim Economic Assessment が公表されています。5月に発表された前回見通しに比べて、日本の成長率は2014年が+1.2%から+0.9%に、2015年が+1.3%から+1.1%に、それぞれ下方修正されています。リポートから前回見通しからの改定のテーブル Revisions in growth projections vis-à-vis the May 2014 Economic Outlook を引用すると以下の通りです。縮小をかけて少し見づらくなっています。悪しからず。

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ということで、上のテーブルをよく見れば分かるんですが、日本の成長率が消費増税のショックで下方修正された、という面も否定できない一方で、実は、英国を例外として、日本以外の米国や欧州の方が下方改定幅の方がずっと大きい、という事実は見逃すべきではありません。すなわち、先進国・新興国ともに成長の減速が見られると考えるべきで、世界経済が順調に成長している中で、日本だけが消費税ショックで景気を停滞させている、と考えるべきではありません。逆に、消費税ショックがありながら、他の先進諸国と比較しても成長率の落ち込みが小さいわけで、ひょっとしたら適切に金融政策や経済政策が運営されている可能性がある、とすら言えます。まあ、言い過ぎのような気もしますが。
リポートの副題は Moderate global growth is set to continue, but weak demand in the euro area remains a concern とされており、特に成長が弱いのは欧州と認識されており、"Continued slow growth in the euro area is the most worrying feature of the projections" と、今回の見通しの中間評価でも、もっとも懸念される点であり、欧州の成長は "disappointing" であると表現されています。特に、日本の経験を踏まえたのかどうか、低インフレというかデフレについて "The possibility that euro area inflation will stay low and exacerbate weak demand is a key risk" と、需要低迷とともにカギとなるリスクと受け止めているようです。
最後に、日本経済の現状と見通しに関する評価をリポートから引用しておきます。

In Japan, the sales tax increase in April resulted in volatile demand in the first half of 2014, but beginning in the second half of the year the underlying recovery is expected to reassert itself, reflecting improved confidence, growing employment and a reversal of the decline in real wages.
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2014年09月18日 (木) 19:34:00

貿易統計に見る輸出は引き続き低調!

本日、財務省から8月の貿易統計が発表されています。ヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない原系列の前年同月比で▲1.3%減の5兆7060億円、同じく輸入額は▲1.5%減の6兆6545億円、差引き貿易収支は▲9485億円の赤字となりました。貿易赤字は2年を超えて26か月連続だそうです。消費税ショックの反動減で輸入も減少しているんですが、依然として、輸出がやや伸び悩んでいる印象です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易赤字9485億円 26カ月連続の赤字 輸出入とも減少
財務省が18日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9485億円の赤字だった。貿易赤字は26カ月連続。前年同月は9714億円の赤字で、2カ月連続で赤字幅が縮小した。輸出が2カ月ぶりに減少に転じたものの、原粗油など燃料を中心に輸入の減少率が上回った。
QUICKが17日時点で集計した貿易収支の民間予測中央値は1兆285億円の赤字だった。輸出額は前年同月比1.3%減の5兆7060億円。部品製造用など金属加工機械が中国向けなどに伸びたが、ウエートの大きいペットボトル原料などの有機化合物や自動車などの品目で減少が目立った。輸出数量指数も2.9%減と2カ月ぶりに減った。
一方、輸入額は1.5%減の6兆6545億円で、3カ月ぶりに減少した。インドネシアからの原粗油やオーストラリアからの石炭、中国からのスマートフォン(スマホ)をはじめとした通信機などが減少した。輸入数量指数も4.6%減と2カ月連続の減少となった。
財務省は燃料輸入が減ったことについて「8月は全国的な豪雨で気温が上がらず、電力需要が平年に比べて小さかった」ことなどを要因として挙げた。
地域別にみると、対米国の貿易黒字は22%減の3855億円だった。自動車の輸出が減った一方で、医薬品、航空機などの輸入が膨らみ、黒字額は7カ月連続で減少した。対欧州連合(EU)は345億円の貿易赤字。自動車を中心に輸出が15カ月連続増と堅調で、赤字幅は縮小した。対アジアは3662億円の貿易黒字だったが、対中国は2339億円の赤字だった。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=102円15銭で、前年同月比3.8%の円安だった。


いつもの通り、とてもよく取りまとめられている記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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輸出額は前年同月比で▲1.3%減と、▲2%台半ばの減少を予想していた市場コンセンサスほどの落ち込みは見せませんでしたが、引き続き、伸び悩んでいる印象があります。それでも、前年同月の▲9714億円に比べて貿易赤字が小幅ながら縮小したのは、引用した記事のタイトル通り、輸出入額がともに減少して、特に輸入額が▲1.5%減と、より大きなマイナスを示したからです。為替は足元で少し円安に振れていますが、短期で見て輸出入の落ち込みは、輸出については海外経済の、輸入については国内経済の、それぞれ需要が弱いことを反映していると私は受け止めています。ですから、貿易赤字が縮小したといっても、輸入額の減少が輸出よりもやや大きめに寄与したためであり、やや縮小均衡的な要素がうかがえ、少なくとも手放しで望ましい貿易赤字縮小の姿であるとはいえないと考えるべきです。

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他方、輸出の推移は上のグラフの通りです。いずれも季節調整していない貿易指数を基に、上のパネルは輸出額の前年同月比を数量と価格で要因分解しており、下のパネルは輸出数量とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比をプロットしています。ただし、OECD先行指数は1か月だけリードを取っています。先月も主張した通りですが、足元で輸出数量の前年同月比はほぼゼロ近傍で伸び悩みが続いており、下のパネルから、需要サイドではOECD諸国の景気が足踏みしているため、我が国からの輸出への需要が伸び悩む原因となっているのが見て取れます。なお、OECD先行指数の伸びよりも輸出が下振れているのはアジア向けの輸出に起因しているんではないかと私は考えています。そして、アジア経済は米国への輸出によって支えられており、米国経済がこの先拡大を続けるのであれば、日本から米国への直接の輸出とともにアジア経済の拡大に伴う我が国からアジア諸国への輸出も今後さらに増加する可能性が十分あると私は受け止めています。
輸出については為替の価格効果と景気の所得効果を考える必要があります。すなわち、米国連邦準備制度理事会 (FED) の量的緩和の終了や利上げに向けた動きが始まりつつあり、9月16-17日の連邦公開市場委員会 (FOMC) では成長率と失業率の予想を引き下げる一方、インフレ予想は概ね据え置き、政策金利予想は大幅に引き上げています。従って、足元で再び円安が進行するとともに、先行きでもさらなる円安の傾向が見込まれています。またまたJカーブ効果の初期の輸出減少効果が継続して生じる可能性がありますが、基本的には、為替の価格効果よりも需要の所得効果の方が大きく、年度後半にかけて米国経済の回復・拡大とともに我が国からの輸出は増加する方向にあると私は予想しています。
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2014年09月17日 (水) 22:19:00

この秋の行楽事情に関するアンケート調査結果やいかに?

先週末は土曜日の休みをいれて3連休、次の週末の飛び石連休も月曜日を休んで4連休、という人もかなりいそうな気がして、秋の行楽シーズンインといえそうです。ということで、ミキハウスの子育て総研から秋の行楽事情に関するアンケート調査結果が公表されています。ネット調査ですし、サンプルに大きなバイアスがあると思うんですが、それなりに共感の持てる結果が示されています。このところ、春や秋が短く感じられ、夏から一気に冬になるような気候になりつつあると私は受け止めているんですが、それでも秋は行楽のシーズンです。加えて、9月から11月にかけては毎月のように3連休や飛び石連休があり、子育て世代の秋の行楽や休日の過ごし方にも興味あるところです。ミキハウス子育て総研のサイトからグラフを引用しつつ、簡単に紹介します。

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まず、秋の連休の過ごし方について複数回答で問うた結果が上のグラフの通りです。「日帰りでお出かけ」が半数以上で54.2%を占めます。3連休や飛び石連休くらいのスケールでは、子供を連れての泊まりがけのお出かけは少なく、「1泊以上の旅行に行く」はやや少数の14.2%でした。お出かけはせず「家で過ごす」も38.8%と、それなりの支持を集めている気がします。「実家に帰省」も11.6%ですが、距離感や宿泊の有り無しがいささか不明です。

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次に、これも複数回答で具体的な過ごし方について問うた結果が上のグラフの通りです。「ショッピング」38.3%、「公園に行く」25.8%、「動物園・植物園などに行く」17.1%がトップスリーとなっています。最初の「ショッピング」というのは、単なる買い物だけでなく、子供を遊ばせる何らかの施設があったり、食事が出来たりも含めたイメージではないかと思います。我が家は国内では自動車を持ちつけませんでしたので、こういったイメージのショッピングはそれほど頻度が高くなかった気がします。また、2番目の「公園」も普段から行きつけている近場の遊び場というよりも、我が家の実際の経験からすれば、井の頭公園のようにボートや動物園やジブリ美術館やといろんな施設が併設されていたり、あるいは、船橋アンデルセン公園や野田の清水公園のように大規模なアスレチックがあったり、といった少し離れていて大規模というか複合的な公園ではないかと想像しています。

なお、グラフは引用しませんが、出かけずに家で過ごす理由として、「家でのんびりしたい」が63.4%、「お金がかかるので」が51.5%、「混雑や渋滞を避けて」が37.3%、の3つの選択肢がトップスリーとなっています。ただ、回答のシェアは低いんですが、「感染症の予防のため」が2.2%を占めており、個別解答例で「デング熱になりたくない」が紹介されています。何ら、ご参考まで。
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2014年09月16日 (火) 21:40:00

ホームラン攻勢でヤクルトに競り負ける!

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阪  神000120000 370
ヤクルト10100201x 560


ペナントの行方が決した後の消化試合ながら、ホームラン攻勢でヤクルトに競り負けました。とても気前よく、ホームラン王争いの渦中のバレンティン選手にも大盤振る舞いでした。これでは勝てません。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月16日 (火) 19:33:00

食欲の秋を迎え「秋の味覚」に関するアンケート調査結果やいかに?

9月も半ばとなり、すっかり秋の気配が深まって来ました。秋といえば、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋などが思い浮かびます。ということで、やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週9月10日にドゥ・ハウスから「秋の味覚」に関する調査結果が公表されています。特に、目新しい結果はないんですが、いつもの秋の味覚がズラリと並んでいて食欲をそそります。図表を引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。まず、ドゥ・ハウスのサイトから調査サマリを引用すると以下の通りです。

調査サマリ
  • 秋に食欲が増す人は約7割
  • 秋の味覚といえば「さんま」
  • 「自宅」と「外(外食)」で食べる秋の味覚料理ランキング、トップは共に「さんま料理」
  • 秋に食べたくなる季節のスイーツ
    男性: 焼き芋 女性: スイートポテト 共通は「さつまいも」


グラフは引用しませんが、最初の問いは「秋になると食欲が増しますか」となっており、「はい」が69.4%、「いいえ」が残りの30・4%となっています。続いて、「秋の味覚」で思い浮かべる食材の回答結果が下の表の通りです。さんま、栗、松茸など、いかにもという秋の味覚の食材ランキングが並んでいます。それにしても、松茸は今どれくらいのお値段か知らないんですが、我が家の食卓に並んだ記憶がありません。

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続いて、男女別の秋に食べたくなるスイーツランキングは以下の通りです。男性は焼き芋、女性はスイートポテトがそれぞれトップになっており、さつまいもが人気のようです。続いて、男女とも栗を使ったスイーツがランクインしています。男女で意見が分かれるのがかぼちゃであり、女性の支持を集めています。

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最近の食品事情を考えると、どんな季節にも何でも手に入る傾向が強まっていますが、食欲の秋にはいかにもこの季節らしい旬の食材が人気を博しているようです。
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2014年09月15日 (月) 21:28:00

岩崎投手のナイスピッチングでヤクルトに先勝!

  HE
阪  神000010040 581
ヤクルト100000020 380


ペナントの行方が決した後の消化試合とはいえ、5勝目を上げた岩崎投手のナイスピッチングでヤクルトに先勝でした。打つ方は8回の一挙4点で逆転勝ちでした。鳥谷選手が久し振りに打ちました。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月15日 (月) 11:51:00

先週の読書は『良い資本主義 悪い資本主義』ほか

今週の読書は『良い資本主義 悪い資本主義』ほか経済書や専門書などのノンフィクションを中心に、話題の小説も含めて以下の通りです。

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まず、ウィリアム J. ボーモルほか『良い資本主義 悪い資本主義』(書籍工房早山) です。知らない出版社なんですが、以下の日経新聞の書評を見て借りました。本書の結論ははっきりしていて、資本主義を4つのタイプ、すなわち、起業家的資本主義、大企業的資本主義、国家主導的資本主義、オリガルヒ資本主義に分類した上で、すべての経済のすべての段階に当てはまるわけではないとしつつも、これらのうち起業家資本主義と大企業資本主義のブレンドが「良い資本主義」であると結論しています。他方、明示的ではありませんが、逆から見て、他の2つの型の資本主義は「悪い資本主義」ということになるんではないかと思います。なお、何が「良い資本主義」なのかというと、本書の最初から経済を成長させるのが「良い資本主義」であると定義しています。そして、最初の2章では延々と成長の必要性を説いています。私はこのあたりは当然のように受け止めているんですが、成長するのが「良い資本主義」というのに、そもそも反発ないし違和感を覚える読者も、専門の経済学的な見識がなければ、一定の割合でいそうな気がしないでもありません。なお、マックス・ウェーバー的な文化の要素は完全に否定されています。プロテスタンティズムの倫理は資本主義の精神ではない、という見方です。それから、先進国経済だけでなく、途上国における開発の問題も視野に入れており、それなりに幅広い論調を展開しているんですが、ひとつだけ、読者の期待を裏切りかねない点を指摘しておきたいと思います。すなわち、本書の原書は2007年に出版されており、リーマン・ショックの前ですので、バブルの発生と崩壊をもたらすのが「悪い資本主義」で、そうではなく着実な成長をもたらすのが「良い資本主義」というわけではない点です。この点は認識した上で、本書を評価すべきと私は考えています。


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次に、ジョン E. ケリー3世/スティーブ・ハム『スマートマシンがやってくる』(日経BP社) です。著者は2人ともIBMの研究者です。ですから、チェスの世界チャンピオン経験者のカスパロフに勝ったディープ・ブルーや米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」に挑戦したワトソンなどの紹介もなされています。なお、ここでいうタイトルの「スマートマシン」をは、cognitive conputing に基づいて、みずから感じ、学び、洞察し、人と自然に対話できるマシンのことであり、当然ながら、スマートフォンに限定されているわけではありません。この本で特に実例が紹介されているのは医療と教育の分野が多かった印象がありますが、患者や生徒・学生と対話して問題解決などに当たる医師や教師の役割をコンピュータ、というか、スマートマシンが果たす日も遠くないのかもしれません。私はエコノミストですのでコンピュータの技術面には当然に詳しくないんですが、スマートマシンの進歩や普及に伴って雇用がどのような影響を受けるかには大いに興味があります。もちろん、この本では取り上げられていません。ひとつには、トップマネジメントと単純労働に二極分化するという見方です。以下にリファレンスを置いた一橋大学の池永准教授の論文がひとつの典型です。もうひとつは、Gartnerの調査に示されたように、スマートマシンの普及によって15年後には数百万人の中間層の仕事が奪われる、という説は未来学者の幻想だと、企業のCEOたちの60%は考えているというのに共通する見方です。これもリンクをお示ししておきます。ご参考まで。


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次に、ジョン・スタイルズ/ジョン・ブルーア/イヴ・ローゼンハフト/アヴナー・オファ『欲望と消費の系譜』(NTT出版) です。経済学や経営学というよりも、社会学や歴史の分野と考えられますが、消費における欲望、というか、流行について歴史的に考察を加えています。私は詳しくないんですが、何かのシリーズもの第1巻として「消費文化史」を取り上げています。著者が4人いますが、その4人が各章を執筆し、4章構成で服飾、観光旅行、投資、幸福の4点を論じています。第3章の投資については経済学的に考えると消費されなかった所得が貯蓄に回って投資されるんですから、消費と投資は相容れない概念と長らく私は考えていたんですが、ファッションとしての投資を南海バブルやミシシッピ・バブルから説き起こしています。また、上に掲げたこの本の表紙は第2章の観光旅行の対象であるナポリのベスビオス火山ではないかと思います。投資は言うまでもなく、服飾や観光旅行も含めて、豊かな消費活動は欧州などでは貴族階級などの限られた富裕層から始まって流行となり、時代が進むに連れて庶民階層の所得が増加し、流行にも乗る形で幅広い国民各層によって消費活動が担われるようになったわけですが、この本では所得の部分は取り上げることなく消費の部分だけに着目しており、その意味で少し物足りないと私は感じています。

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次に、若杉冽『原発ホワイトアウト』(講談社) です。著者は覆面作家で、東京大学法学部卒業、国家公務員I種試験合格、現在、霞が関の省庁に勤務の現役官僚だそうです。私は東大でも法学部でもなく、さらに、「I種試験」と呼ばれるようになる前の「上級職試験」の合格者なんですが、現役官僚という点だけは同じだったりします。タイトルから容易に想像される通り、政・官・財の三者が密接に結びつく原子力ムラの実態を明らかにしようと試みた野心作です。どこまでホントなのかは私には分かりません。でも、十分な説得力、というか、事実に近いと感じさせる何かのリアルさを持っているような気がします。いわゆるアメとムチでメディアや政治家や官僚を電力業界が丸め込み、フクシマ後に原発再稼働を画策するというストーリーで、特に、反原発姿勢を示す原発立地県の知事を陥れんがごとき謀略のような工作など、純真な官僚である私には少し怖い気すらしました。どこまでが真実で、どこからが虚構なのか、繰返しになりますが、私にはサッパリ分からないものの、ひとつだけ物足りない点を指摘すると、原子力関係の学界関係者の影が薄い気がします。落選代議士を大学の教員に送り込む場面がありますが、なぜか、原子力に関係する学者や研究者に研究費をタップリと弾む場面が出てきません。ホントは政・官・学・財の四者が結託している原子力ムラでしょうから、少し物足りない気もしました。少しのぞき見趣味かもしれませんが、とても面白かったです。特に、最終章は秀逸と感じました。

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次に、真梨幸子『人生相談。』(講談社) です。湊かなえや沼田まほかるとともに、いわゆる「イヤミス」の女王の作品です。私はこの手のミステリは決して嫌いではなく、この作者の作品も古くはデビュー作の『孤虫症』をはじめ、代表作のひとつである『深く深く、砂に埋めて』や『殺人鬼フジコの衝動』、あるいは、この作品の前作で昨年出版された『鸚鵡楼の惨劇』などは読んでいたりします。この作品は戦前から続く人生相談のコーナーを持つ大洋新聞なる新聞社の人生相談のコラムを舞台にした物語で、いわゆ連絡短編集です。相談内容は、「居候に悩んでいます」、「しつこいお客に困っています」、「隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです」、「セクハラに時効はありますか?」、「大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか」、「西城秀樹が好きでたまりません」、「口座からお金を勝手に引き出されました」、「占いは当たりますか?」といったもので、最終章は「助けてください」となっています。場所はこの作者が得意とするエリアで、新宿から小田急沿線で新宿から40分ほどの急行も止まらない駅の周辺あたりまでを舞台に、時代はかなり30-40年くらい前から、バブル期をはさんで、ごく最近まで変化に富んでいます。ミステリですから詳しくは書きませんが、各章のタイトルにあるように、いかにも日常生活にありがちな人生相談の裏側に潜むとんでもない犯罪や悲喜劇を実に嫌みに取り上げています。事実よりも奇なるミステリなんですが、私は決して嫌いではありません。

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最後に、森博嗣『ムカシ×ムカシ』(講談社ノベルス) です。この作者はデビュー作の『すべてがFになる』から始まって、真賀田四季に関連するいろんなシリーズ作品があるんですが、おそらく、私はそのすべてを読んでいると思います。真賀田四季に関連に関係しない百年シリーズも3部作をすべ読んでいると思います。真賀田四季に関連するシリーズは、たぶん刊行の順番に、犀川創平と西之園萌絵のS&Mシリーズ、保呂草潤平と瀬在丸紅子のVシリーズ、ズバリ真賀田四季の春夏秋冬の四季シリーズ、赤柳初朗と海月及介と加部谷恵美のGシリーズ、そして、鷹知裕一郎と小川令子と真鍋瞬市のXシリーズです。ongoingで続いているのはGシリーズとこのXシリーズで、Gシリーズは全12冊と告知されていますから残り3冊です。Xシリーズはこの作品で4冊目です。これら以外のシリーズはすでに完結しています。取りあえず、この作品は現時点でXシリーズの最新刊なんですが、今年中に5冊目の『サイタ×サイタ』が発刊される予定で、その次は『ダマシ×ダマシ』と聞いています。この『ムカシ×ムカシ』では、このシリーズに多いパターンで、東京近郊の広大な敷地に建つ住宅で資産家の老夫婦が刺殺された殺人事件から始まり、所長の椙山以下のSYアート&リサーチの椙山ほか小川と真鍋が美術品などの鑑定を行うとともに、事件に巻き込まれて行きます。探偵の鷹知の出番はあまりありません。最後のエピローグで、椙山がひと働きしたゴッホの作品に関して、何らかのコミッションみたいな資金が真賀田四季に流れたことが示唆されます。河童、というか、河童の日記がキーワードのひとつになっています。

今週末の3連休から、来週末も飛び石連休ですし、プロ野球のペナントレースにはすっかり興味が失せてしまいましたので、読書の秋の夜長の時間を有効に活用したいと思います。
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2014年09月14日 (日) 08:27:00

今日は私の誕生日!

今日は私の誕生日です。いつの間にやら、定年まで指折り数えてあと何年、という年齢に達してしまいました。その昔の国家公務員のシステムであれば、キャリアであっても私くらいのボンクラはとっくに第一線を退いて、いわゆる天下りをしている年齢に達したと思うんですが、いろいろと世の中が変わって、それすら出来なくなりました。
特に家族で祝うほどめでたくもなく、1人でひっそりとお祝いします。このブログには我が家の恒例となっているジャンボくす玉を置いておきます。

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2014年09月13日 (土) 18:14:00

上の倅の高校の文化祭に行く!

長らく続いた不純な天候も、東京ではようやく昨日からまずまずいいお天気となり、今日は上の倅の高校の文化祭に出かけました。我が家の上の子は模型部に所属していて、毎年の文化祭ではガンプラなどの作品が展示されていたんですが、今年はさすがに高校3年生の最上級生となり、大学受験を控えて作品はありませんでした。秋晴れまで行かないものの、まずまずいいお天気の日の外出して、模型部や文化祭の雰囲気の分かる写真を何枚か置いておきます。一番下の写真は、物理部の3Dプリンタの実演です。初めて見ました。

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2014年09月12日 (金) 21:11:00

藤浪投手の甲子園初完投勝利でようやく連敗ストップ!

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広  島001000010 280
阪  神00060200x 880


消化試合とはいえ、藤浪投手の甲子園初完投勝利でようやく連敗ストップでした。打つ方でも、久し振りに打線がつながり、4回のビッグイニング一挙6点で広島に逆転勝ちでした。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月12日 (金) 19:27:00

消費税率の再引上げに関するメディアの世論調査結果の取りまとめ

とても旧聞に属する話題なんですが、第2次安倍改造内閣に対する内閣支持率を主たる目的にした先週末の世論調査において、多くのメディアで来年10月からの10%への消費税率の再引上げに対する世論調査が実施されており、当面の記録にとどめるために取りまとめておきたいと思います。特に思い入れはなく順不同です。リンク先のサイトを見るためには何らかの登録を要求されるかもしれません。悪しからず。



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ちなみに、上の画像は朝日新聞のサイトから引用しています。なお、各社の結果を通じて、消費再増税への賛成と反対はほとんどダブルスコアを超えて反対が多数となっています。当然かもしれません。
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2014年09月11日 (木) 23:14:00

法人企業景気予測調査をどう見るか?

本日、財務省から7-9月期の法人企業景気予測調査の結果が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は4-6月期の▲14.6から7-9月期には+11.1に改善しました。また、先行き10-12月期の見通しは+9.9、来年2015年1-3月期は+7.3となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況、7-9月プラス11.1 10-12月はプラス9.9
内閣府と財務省が11日発表した7-9月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況感を示す景況判断指数はプラス11.1だった。プラスは2期ぶり。公共事業の増加や企業の設備投資の活発化を受け、企業の景況感が回復している。
指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と回答した企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出。4-6月期の大企業全産業の景況感はマイナス14.6から大きく改善したものの、前回調査時点の見通し(プラス13.4)に届かなかった。
大企業のうち製造業はプラス12.7と2期ぶりのプラス。生産用機械器具、自動車・同付属品などで改善が目立った。非製造業もプラス10.2と2期ぶりのプラス。サービス業、卸売業で改善した。
中小企業の景況判断指数は全産業でマイナス10.0。製造業がマイナス9.5、非製造業がマイナス10.1だった。
10-12月期の見通しでは大企業全産業がプラス9.9。2015年1-3月期はプラス7.3となり、景気先行きへの慎重姿勢を表す結果となっている。
14年度の設備投資計画(ソフトウエア含む)は全産業で前年度比5.7%増加。前回6月は4.5%増を見込んでいた。製造業は13.3%増、非製造業は2.0%増だった。
調査は資本金1000万以上の1万5804社を対象に実施し、回答率は81.8%。調査基準日は8月15日だった。
同調査は日銀が10月1日に発表する企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する手掛かりとして注目される。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。色が濃いのが実績で、薄いのが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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軽く想像される通り、今年4-6月期に消費増税ショックで大きく落ち込んだ企業マインドは7足元の-9月期にリバウンドした後、年末から来年年初にかけてゆっくりと安定を示すと見込まれています。ただし、前回4-6月期調査の時点では、現在の足元の7-9月期は+13.4と予想されていましたが、実績では+11.1と下振れしています。もっとも、この先の10-12月期は前回調査の+10.3と今回調査の+9.9ですから、大企業においては大きな差はありません。しかし、中堅ないし中小企業では消費増税のダメージが大きくなっているように見えます。すなわち、7-9月期の景況判断BSIを見ると、中堅企業では前回調査の+9.2から今回調査の+5.1へ、中小企業では同じく▲3.7から▲10.0へ、ともに大企業よりも大きく下振れしており、企業規模が小さいほど景況感の下振れの程度が大きくなっています。やや想像を働かせ過ぎかもしれませんが、相対的に、消費税率引上げ分の価格転嫁が企業規模が小さいほど困難になっている可能性が示唆されていると私は受け止めています。
景況判断BSIは以上の通りで、消費増税ショックの大きさを改めて示している一方で、図表は示しませんが、雇用と設備に対する要素需要については引き続き堅調です。すなわち、雇用判断BSIについては、9月末の現状判断も12月末の見通しもともに前回調査よりも今回調査の方が雇用の不足超が拡大しています。しかも、大企業よりも中堅企業や中小企業で雇用の不足超過が大きくなっています。また、全規模全産業で見たソフトウェアを含み土地購入を除く設備投資計画は前回調査の前年度比+4.5%増が、+5.7%増に積み増されています。これを見る限り、昨日発表された機械受注は今後設備投資計画に従って増加に向かう可能性が強いようにも見えます。

法人企業景気予測調査に示された企業マインドに従って雇用が順調に拡大すれば、雇用チャンネルを通じて家計マインドにも影響を及ぼし、家計部門と企業部門の好循環が形成される可能性も十分あります。10月1日に発表される日銀短観に注目が集まります。
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2014年09月10日 (水) 21:35:00

巨人にまたまた負けてシーズン終盤に泥沼の5連敗!

  HE
読  売000000111 390
阪  神100000000 170


シーズン終盤で泥沼の5連敗を喫してしまいました。打線を大幅に組み替えましたが、意図は不明です。私は従来から6番福留外野手以下の下位打線が弱いと主張し続けてきたんですが、和田監督は逆の判断だったようで、マートン外野手を1番に持ってきて上位打線をさらに強化する方向を選んだようです。それが当たったのは初回のスミ1だけで、6回のゴメス選手のスリーベースの後のノーアウト3塁の同点機は逆の目が出て、5-6番が外野フライすら打てませんでした。
ハッキリと分かったのは、和田監督では優勝できないということです。前の真弓監督もひどいと思いましたが、和田監督は歴代でも別格にひどいと思います。私はスカイAでテレビ観戦していたんですが、掛布さんの解説に同意する部分が多かったような気がします。

来シーズンは新しい監督を迎えて、
がんばれタイガース!
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2014年09月10日 (水) 19:31:00

力強さに欠けるも増加を示す機械受注と上昇幅が鈍化した企業物価の注目点やいかに?

本日、内閣府から7月の機械受注が、また、日銀から8月の企業物価が、それぞれ公表されています。機械受注は船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの前月比が+3.5%増を記録し、小幅のプラスながら2か月連続の増加となりました。企業物価は国内物価の前年同月比上昇率が+3.9%と、消費増税に伴って大きなプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注3.5%増 2カ月連続でプラス
内閣府が10日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は7717億円と前月から3.5%増えた。増加は2カ月連続となる。化学工場で使う機械や工作機械など製造業からの発注が多く全体を押し上げた。当面の景気を設備投資が下支えするとの見方に沿った動きといえそうだ。
機械受注は5月に19.5%減と大きく落ち込んだが、6月の8.8%増に続くプラスでやや持ち直している。内閣府は7月の受注には100億円以上の大型案件が1件含まれていると説明し「一進一退で推移している」との基調判断は前月から据え置いた。
日本総合研究所の下田裕介・副主任研究員は「5月に大幅に減った後の回復としては弱さも感じるが、緩やかに景気が持ち直していくことで設備投資も増加が期待できる」と分析している。
7月の受注を業種別に見ると製造業からが20.3%増と大きく伸びた。化学工業からボイラーやタービンといった動力用の機械の大型受注があったほか、ほかの製造業からも航空機や工作機械などの受注が増えた。製造業からの受注の伸び率は同じ条件で比べられる2005年度以降で4番目の大きさだった。
非製造業は4.3%減った。建設業やリース業からの建設機械の受注が減ったほか、不動産業からのコンピューターの受注も少なかった。
内閣府は7-9月の機械受注について、前期比で2.9%の増加を見込んでいる。8月と9月にそれぞれ前月比1.5%以上増えると見通しを達成できることになる。
8月の企業物価指数、3.9%上昇 原油下落で伸び鈍化
日銀が10日発表した8月の国内企業物価指数(速報値)は前年同月比3.9%上昇した。上昇幅は7月より0.4ポイント縮まった。前月比では0.2%下がり、2月以来6カ月ぶりの下落となった。原油価格の下落が指数全体を押し下げた。
消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比1.1%上昇と、2013年5月以来の低い伸びにとどまった。
日銀は「コスト高を製品価格に転嫁する動きが続く一方、住宅関連を中心に消費税率引き上げ後の反動の懸念が残っている」(調査統計局)と指摘し、月々の動きを注視していく考えだ。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を表す。項目別ではガソリンや軽油など石油・石炭製品が前月から1.1%下落した。原油価格の下落や、西日本の天候不順による需要の停滞が響いた。
消費増税の影響を除いたベースでみると、全816品目のうち、前年同月と比べ上昇したのは420品目、下落したのは311品目だった。上昇が下落を上回るのは12カ月連続となった。


2つの統計を取り上げましたので長くなりましたが、いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、次の企業物価のグラフも同じで、景気後退期を示しています。

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引用した記事にエコノミストのコメントがありますが、コア機械受注は2か月連続のプラスとはいえ、前月比で見て4月に▲9.1%減、5月▲19.5%減でしたから、6月+8.8%増、7月+3.5%増も、やや力強さに欠けると受け止めています。QUICK・日経による市場の事前コンセンサスも+4.0%増でしたから、これも下回りました。もちろん、景気が緩やかに回復・拡大を示す中で、設備投資の増加も期待できるんでしょうし、7-9月期については前期比でプラスを記録する可能性が高いとは予想していますが、上のグラフに見る通り、6か月後方移動平均でプロットしたトレンドはまだ下向きのままだったりします。先月に機械受注を取り上げたエントリーで、足元の機械受注が日銀短観や政策投資銀行の設備投資計画調査などに示された設備投資計画と整合的ではないと指摘しましたが、今月の機械受注統計を見て、足元では力強さに欠けるとはいえ、景気動向とともに設備投資が上向いて計画に近づく方向にある可能性が出てきたような気がしないでもありません。

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8月の企業物価は上昇幅が鈍化しています。当然のように、4月に消費税率引上げがあり企業物価上昇率もポンと上がりましたが、消費税を含む前年同月比上昇率で見て7月+4.3%の上昇から8月は+3.9%に鈍化しています。消費税を含まないベースでも7月+1.4%から8月は+1.1%となりました。引用した記事にもある通り、原油価格の下落や西日本を中心とする天候不順による需要停滞の影響が直接的なんでしょうが、消費増税に伴う需給ギャップの悪化も間接的ながら一定のインパクトを持っている可能性は否定できません。繰返しになりますが、直接には原油価格の低下による上昇率の鈍化であり、前月比▲0.2%の下落に対する寄与度で見て、ガソリン、軽油、灯油などの石油・石炭製品が▲0.09%、産業用電力などの電力・都市ガス・水道が▲0.02%の寄与をそれぞれ示しています。なお、米国の量的緩和のテイパリングに向けた連邦準備制度理事会の金融政策動向を反映して、ジワジワと円安が進んでいますが、先行き、輸出入を通じて国内の物価に対する影響が出る可能性があります。
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2014年09月09日 (火) 20:43:00

ジャイアンツにボロ負けしてタイガースは完全に終戦を迎える!

  HE
読  売200600000 880
阪  神000200000 250


ジャイアンツとの残り4試合を全勝しないと活路が拓けないタイガースなんですが、先発のメッセンジャー投手が早々に打ち込まれて、今シーズンは完全に終戦を迎えてしまいました。後は何とか、クライマックスシリーズ出場のためにがんばっていただきたいと思います。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月09日 (火) 19:25:00

消費者態度指数も8月に悪化し消費税ショックからのリバウンドが鈍い!

本日、内閣府から8月の消費者態度指数が発表されています。先月よりも▲0.3ポイント低下して41.2となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数、8月は0.3ポイント低下の41.2 判断を下方修正
内閣府が9日発表した8月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は41.2と、前月比0.3ポイント低下した。悪化は4カ月ぶり。内閣府は基調判断を「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。基調判断の下方修正は6カ月ぶり。
指数を構成する意識指標のうち、「暮らし向き」の項目は4カ月連続で前月比で上昇したが、「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の項目はいずれも低下した。
改善が続く所定内給与や、高水準で推移する有効求人倍率など足元の経済指標には持ち直しの動きがみられる。このため雇用環境についても内閣府は「水準は決して低くない」とみている。
1年後の物価見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.6ポイント増の86.1%だった。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は8月15日で、有効回答数は5514世帯(回答率65.6%)だった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、新旧の系列の消費者態度指数のグラフは以下の通りです。いつもの通り、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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昨日発表された景気ウォッチャーと同じで、消費増税ショックの4月を底にして5-7月の3か月連続でマインドは向上してきたんですが、8月は天候要因もあって、わずかながら4か月振りに下降に転じました。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は消費者態度指数に現れた消費者心理の基調判断を「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正しています。少し詳しく見ると、消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントうち、「暮らし向き」は上昇したものの、「収入の増え方」と「雇用環境」が特に低下しています。先々週の8月29日付けのエントリーで取り上げた通り、7月の雇用統計は改善が足踏みしていると私は受け止めていますが、現在の景気回復ないし拡大局面はマクロでは企業部門ではなく家計部門がけん引しているだけに、雇用に陰りが見えて家計の所得が伸び悩むようなことになれば景気への影響は小さくないと考えるべきです。特に、足元で進みつつある円安の動きも輸出の伸びをもたらすためには時間がかかるでしょうし、欧州や新興国経済の停滞を背景に輸出の回復が思わしくないだけに、輸出が景気のけん引役になるとは想定しがたいところがあります。当然ながら、消費増税に伴う物価上昇のために実質所得は大きなマイナスのままなんですが、それに加えて家計部門が雇用や収入の面からマインドを悪化させれば、公共投資の積増しがどの程度可能かは不明ですが、景気のけん引役が不在となりかねません。

先月の統計発表の段階では、「消費増税のショックは徐々に薄らぎつつある」と考えていたんですが、やっぱり、消費増税からのリバウンドが鈍いと考えを変えつつあります。今後、ホントに日本経済全体として景気が足踏みを始めれば、追加の金融緩和がアジェンダに上る可能性があります。
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2014年09月08日 (月) 19:53:00

4-6月期GDP統計2次QEは下方修正され消費増税ショックの大きさを確認!

本日、内閣府から4-6月期のGDP速報2次QEが、また、同じく内閣府から8月の景気ウォッチャー調査の結果が、さらに、財務省から7月の経常収支が、それぞれ発表されています。4-6月期の成長率は1次QEの年率▲6.8%から▲7.1%に小幅に下方改訂されています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4-6月期の実質GDP、年率7.1%減に下方修正
内閣府が8日発表した2014年4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は、消費増税が響き、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.8%減(速報値は1.7%減)だった。年率換算では7.1%減(同6.8%減)。8月13日発表の速報値から下方修正したが、内閣府は「速報段階で示された経済全体の姿については、だいたい同様の状況が確認された」とみている。
年率換算の減少幅は、東日本大震災のあった11年1-3月期(6.9%減)を超え、リーマン・ショックで景気低迷が続いていた09年1-3月期(15.0%減)以来21四半期ぶりの大きさだった。速報値の発表後に明らかになった4-6月期の法人企業統計などを反映した。
法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資は5.1%減(速報値は2.5%減)へ大幅に下方修正した。「運輸・郵便業や金融・保険業の減少が響いた」(内閣府)という。個人消費も5.1%減と、速報値の5.0%減からわずかに下振れした。商業販売統計などの確報を受け衣服や自動車が下がったためだ。
一方で石油製品の原材料在庫などの動向を加味した結果、民間の在庫寄与度はプラス1.4ポイント(速報値はプラス1.0ポイント)に上振れした。6月分の実績を加味した公共投資は0.5%減(同0.5%減)で速報値と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは0.2%減(速報値は0.1%減)、年率で0.7%減(同0.4%減)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比プラス2.0%(同プラス2.0%)で、09年7-9月期以来19四半期ぶりにプラス転換した。
8月の街角景気、現状判断は4カ月ぶり悪化 大雨や台風が影響
内閣府が8日発表した8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比3.9ポイント低下の47.4と4カ月ぶりに悪化した。消費増税による駆け込み需要の反動減は和らぎつつあるものの、大雨による広島市北部での大規模土砂災害や大型の台風など、天候不順が続いたことが影響した。
「雨が続き夏とは呼べないような天気で、通常は夏の売上高が一番高いが、前年比1割減で販売量が推移している」(九州のコンビニ)、「台風の影響を受けて直前でのキャンセルが発生し、客室稼働率は前年実績を下回る見込みだ」(沖縄の観光型ホテル)などの指摘があった。
ただ、駆け込み需要の反動減については「消費増税の影響が大きかった時計の売れ行きが回復傾向にあるなど、全体の販売量はほぼ前年並みに戻っている」(近畿の百貨店)といった前向きな声も聞かれた。
内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響も薄れつつある」に据え置いた。そのうえで「天候要因の影響がみられる」との表現を加え、先行きは「燃料価格の上昇への懸念などがみられる」と指摘した。
一方、2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は前月比1.1ポイント低下の50.4と、3カ月連続で悪化した。駆け込み需要の反動が薄らぐことに期待が集まる半面、燃料価格の上昇が懸念されるためだ。「燃料価格の高値状態が続き、経営は非常に苦しい。燃料価格の上昇は先行きの不安材料だ」(南関東の輸送業)などと、先行きを懸念するコメントが並んだ。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.7%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
7月の経常黒字4167億円、前年同月比30%減 市場予測も下回る
財務省が8日発表した7月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は4167億円の黒字だった。黒字は2カ月ぶり。海外での直接投資で受け取る配当金の増加などで第1次所得収支は改善したが、燃料輸入の増加を背景に貿易赤字が膨らみ、経常黒字は前年同月の6004億円から30.6%縮小した。QUICKが5日時点で集計した民間予測の中央値は4456億円の黒字で、市場予測をやや下回った。
7月の貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで8281億円の赤字。貿易赤字は13カ月連続。輸出額は自動車や金属加工機械などの輸出が伸び、全体では8.0%増の6兆2474億円。一方、輸入額は7.6%増の7兆755億円。原粗油や液化天然ガス(LNG)など燃料輸入を中心に輸入額が膨らんだ。貿易赤字は前年同月(7902億円の赤字)に比べ拡大した。
一方、旅行や輸送動向を示すサービス収支は4590億円の赤字で、前年(3356億円の赤字)から収支が悪化した。海外からの訪日旅行者数の増加で旅行収支が黒字化したものの、「知的財産権等使用料」の項目をはじめその他サービス収支の赤字が増え、赤字幅が拡大した。
第1次所得収支は1兆8531億円の黒字だった。海外での直接投資により現地企業などから受け取る配当金などが増え、黒字額は前年同月比で2.8%増加した。7月としては過去最大となったが、貿易・サービス収支で膨らんだ赤字が響き、経常黒字額は前年同月を下回った。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、さすがに3つの統計の記事を並べるとかなり長くなってしまいます。次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2013/4-62013/7-92013/10-122014/1-32014/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.8+0.4▲0.1+1.5▲1.7▲1.8
民間消費+0.7+0.2+0.4+2.0▲5.0▲5.1
民間住宅+2.1+4.7+2.4+2.0▲10.3▲10.4
民間設備+1.8+0.5+1.0+7.8▲2.5▲5.1
民間在庫 *(▲0.4)(+0.2)(▲0.1)(▲0.5)(+1.0)(+1.4)
公的需要+1.7+1.4+0.5▲0.7+0.2▲0.0
内需寄与度 *(+0.8)(+0.8)(+0.5)(+1.7)(▲2.8)(▲2.9)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.4)(▲0.6)(▲0.2)(+1.1)(+1.1)
輸出+3.1▲0.7+0.3+6.5▲0.4▲0.5
輸入+2.3+1.8+3.7+6.4▲5.6▲5.6
国内総所得 (GDI)+0.8+0.1▲0.1+1.1▲1.5▲1.6
国民総所得 (GNI)+1.4▲0.1▲0.1+0.8▲1.3▲1.4
名目GDP+0.3+0.4+0.2+1.6▲0.1▲0.2
雇用者報酬+1.7▲0.1+0.6▲0.6▲1.8▲1.9
GDPデフレータ▲0.6▲0.4▲0.4▲0.1+2.0+2.0
内需デフレータ▲0.3+0.4+0.5+0.6+2.4+2.4


テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4-6月期の最新データでは、前期比成長率が大きなマイナスであり、特に消費増税に伴う赤の民間消費のマイナス寄与が大きく、逆に、グレーの在庫と黒の外需がプラス寄与を示しているのが見て取れます。

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2次QEはわずかに1次QEよりも下方に修正されました。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比▲1.8%減、前期比年率で▲7.0%のマイナス成長でしたから、ほぼジャストミートといえサプライズはありませんでした。また、先週木曜日の2次QE予想のエントリーでも取り上げたように、設備投資が下方修正され、在庫投資が上方修正される、やや体裁のよくない後ろ向きの修正です。すなわち、需要項目の設備投資が下方修正され、在庫が積み上がっているという姿の修正となっています。従って、1次QEからそうなんですが、4月の消費税率引き上げのショックの大きさを改めて統計的に確認した、といえそうです。季節調整済みの前期比成長率で見て、1997年の消費税率引上げ時は1997年1-3月期の+0.7%から4-6月期の▲0.9%に落ちただけでしたが、今年については1-3月期の+1.5%成長から4-6月期の▲1.8%成長へ大きく落ち込んでいます。想定内であったか、想定外かは、各個人や企業や政府の想定がどのようなものであったかに依存しますが、少なくとも駆込み需要とその後の反動減1997年時の消費税率引上げよりも今年の方が大きかったと結論せざるを得ません。

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その駆込み需要と反動減の主役になったのが耐久財消費です。上のグラフは気絶調整済みの前期比で見た財別消費の伸び率の推移です。一目瞭然で、消費税率引上げ前には耐久消費財が大きく伸びて、その後は反動減で大きく減少を示しています。ちなみに、これも先ほどと同様に1997年時と比較すると、1997年1-3月期の耐久財消費は前期比で+4.5%伸びた後、4-6月期には▲11.4%の落ち込みとなりました。今年については、1-3月期で+13.0%増と大きな駆込み需要を示した後、4-6月期には▲19.3%減の反動減を記録しました。従って、この耐久消費財の伸び率を見ても1997年時よりも今年の方が消費増税ショックが大きかったと考えるべきです。

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ただ、この大きなマイナス成長はすでに過去の数字ですから、先行きを考える際に重要な指標のひとつが供給サイドのマインドを示す景気ウォッチャーです。上のグラフは景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。8月は現状判断DIと先行き判断DIがともに低下しています。足元の7-9月期の成長率は4-6月期の大きなマイナス成長に対応して、プラス成長に回帰することはほぼ確実で、2四半期連続のマイナス成長で定義される米国流のテクニカル・リセッションに陥る可能性は極めて小さいというのが大方のエコノミストのコンセンサスであろうと思いますし、私も同様なんですが、「谷深ければ山隆志」で大きくリバウンドしてV字回復するか、それともリバウンドが緩やかでL字回復になるか、見方は分かれる可能性があります。最近の指標、特に先週金曜日に発表されたCI先行指数やこの景気ウォッチャーなどを見ると、もちろん、天候条件などのイレギュラー要因も考慮する必要はありますが、今年年央から年末くらいまで、かなり緩やかな成長率にとどまる可能性が否定できないと覚悟すべきです。来年10月からの消費税率の再引上げについて、果たして、どのような判断が下されるか注目です。短期的な景気判断からすれば延期ないし見送りも視野に入る可能性はありますが、市場の反応や中長期的な国家財政を考慮すると予定通りの実施も十分にあり得ます。私はどちらかといえば、この程度の指標の悪化であれば、後者の予定通りに実施に近い考えです。

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最後に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが季節調整済みの経常収支を示しており、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。引用した記事が季節調整していない系列に基づいて記述しているのに対して、グラフは季節調整済みの系列をプロットしていますので、やや印象が異なる可能性があります。今年に入って、1-3月の消費税率引上げ前の駆込み需要に従って輸入が増加して経常収支は赤字化していたんですが、4月以降は7月まで4か月連続の黒字を記録しています。しかし、その黒字幅な縮小の方向にあるのがグラフから見て取れると思います。ただし、足元の7月は6月から横ばい圏内の動きで、我が国の景気よりむしろ欧州経済や新興国が停滞しているために輸出が伸び悩みを見せており、貿易収支の赤字幅がなかなか縮小されずに、ややもたついている感じがあります。
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2014年09月07日 (日) 11:39:00

先週の読書は10年前の『ピーターの法則』ほか

基本的に、このブログの読書感想文は発売後1-2年くらいまでの新刊書に限定すると考えていたんですが、今日のエントリーでは例外を設けたく、能力と昇進に関するピーターの法則の本を取り上げたいと思います。ほかは小説で、以下の通りです。

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まず、ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル『ピーターの法則』(ダイヤモンド社) です。原書は1969年に出版され、少し遅れて日本語訳も出ています。その後、新訳で2003年に出版されており、私が読んだのは2003年の新訳版です。作者のひとりであるピーター教授は南カリフォルニア大学の社会学の教授であり、階層社会学者と称しています。1990年に亡くなっています。ピーターの法則とは、簡単にいえば、十分な時間と階層があれば、人は必ず無能になる、というものです。でも、「無能」という言葉は少し抵抗があるとすれば、以下に書き進むように「凡庸」といってもいいような気がします。会社組織になぞらえれば、ある人材はその組織内で昇進できる限界点に達する、人は昇進を続けてやがて無能または凡庸になる、あるいは、組織において人はおのおのその無能レベルまで昇進する、ということです。ですから、社会は無能ないし凡庸な人で埋め尽くされます。それをユーモアを交えて記述している本です。会社の昇進で具体的に言うと、有能な平社員は係長になり、無能な、というか、凡庸な係長はそこで昇進がストップする一方で、有能な係長は課長に昇進し、同じく課長として無能もしくは凡庸な課長はそこで昇進がストップする一方で、有能な課長は部長に昇進し、これまた、部長として無能もしくは凡庸な部長はそこで昇進がストップする一方で、有能な部長は取締役に昇進し、またまた、無能もしくは凡庸な取締役はそこで昇進がストップする一方で、有能な取締役は社長になり…、ということです。通常、フラットな組織もありますし、定年制があったりして、十分な時間も階層もない場合があり得るんですが、私のように無能レベルが低いとすぐに無能レベルに達して、早々と昇進がストップする場合もあります。役所では7-8月が人事異動の季節なんですが、この時期に何かの折にこの本を見かけて読んでみました。ユーモアにあふれてコミカルに書いてありますが、かなりの真実を含んでいそうな気がします。ただし、1970年ころの本ですから、今のように「創造的無能」を発揮しなくても、何の疑問も抵抗もなく昇進がストップする21世紀日本のシステムまでは予見できなかったのかもしれません。

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次に、宮部みゆき『荒神』(朝日新聞出版) です。我が家で購読している朝日新聞に連載されていました。連載時はカラーの挿し絵もありましたが、出版された書籍には見当たりません。誠に残念。それはそれとして、この本は宮部みゆきの時代小説です。時は1700年ころの江戸時代で北関東ないし南東北の相接する小藩を舞台に展開します。この作者の作品は、時代小説はもちろん現代小説でも『クロスファイア』や『魔術はささやく』、あるいは、短編の「チヨコ」など、超常現象を取り扱った作品がいくつかあるんですが、これはとてつもないスケールで江戸時代の呪術というか、超常現象を真正面からテーマにしています。<ツチミカド>さまと呼ばれる怪物というか、化け物を退治する物語です。名前から察せられる通り、土から作られたゴーレムの和様使用のような怪物です。この作者らしく、あるいは、スティーヴン・キングの作品なんかもそうなんですが、ストーリーを淡々と進めるわけではなく、周辺事情や歴史的な経緯、かかわりのある人物像などを非常にていねいに描写して、壮麗な物語に仕上げています。でも、私はこの作者の最高傑作は現代を舞台に超常現象の出て来ない『模倣犯』だと考えています。念のため。

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次に、小林泰三『アリス殺し』(東京創元社) です。主人公の大学院生をはじめとして、周囲の人が同じ夢を見て不思議の国に迷い込み、その不思議の国の事故死や殺人が実際に周囲で起こる、というストーリーです。不思議の国と地球がどうしてリンクするのかの謎はそれなりに解き明かされますが、もちろん、科学的でも論理的でもありませんから、それなりのファンタジーということになるんだろうと思います。でも、事故死に見えるものも含めた殺人事件の謎解きはミステリらしく論理的です。不思議の国と地球のリンク、また、実体とアバターの関係などでいろんなトラップが作者によって仕込まれています。しかも、最後の最後に名探偵がすべてを解き明かすわけではなく、読み進むうちにタマネギの皮をむくようにひとつひとつ読者に対して真実が明かされます。特定の名探偵はいません。それなりの読解力とともに、相反するように見えかねない論理性と遊び心のような非論理性の両方が要求されます。この作者の作品はほかを読んだことがないので何とも言えないものの、いわゆる本格ミステリのような正確性を要求される論理性が高いミステリではありませんが、とてもおもしろい試みを含む作品だと受け止めています。

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次に、角田光代『紙の月』(角川春樹事務所) です。これも2年ほど前に出版された小説です。私はこの作者の作品は割合と好きでちょくちょく読んでいるんですが、この作品は映画化もされた『八日目の蝉』と同じで、女性の犯罪をテーマにしています。映画化されるのも『八日目の蝉』と同じで、11月に封切られ主演は宮沢りえさんだったりします。テーマは犯罪の中でもお金にまつわるもので、銀行員である主人公が顧客の金を使い込む、というだけではなく、お嬢様校である出身高校の同級生や一時恋人だった男性の妻など、ストレス解消や見栄のために買い物に走って、あるいは、ぜいたくな消費を行うことにより資金がショートして、消費者金融で借金を重ねたりして、犯罪まで至らないものの家庭が崩壊する、といったエピソードを盛り込んでいます。単純に、「ストレス解消や見栄」と書いてしまいましたが、もちろん、それだけでなく、私のような凡人が淡々と送る安定した日常生活とは、実は、かなり危ういものであって、犯罪に至らないまでも家庭の崩壊につながりかねないような状況に追い込まれることは決してまれでなく、むしろ、そういった犯罪や家庭崩壊に陥らずに人生を送ることがまれな僥倖であるような感覚を持つくらい、とても描写が濃密で感覚に訴えるものが強く、圧倒的な筆致で犯罪を犯した、あるいは家庭を崩壊させた女性の生きざまがあぶり出されています。この作者の短編集である『平凡』を取り上げた8月3日のエントリーでも書きましたが、この作者の作品はとても重いと感じてしまいます。最後の終わり方は秀逸です。

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次に、木皿泉『昨夜のカレー、明日のパン』(河出書房新社) です。作者はご夫婦のシナリオ作家であり、その昔の漫画家の藤子不二雄さんのように2人でひとつのペンネームを共有しています。この作品はNHKプレミアムBSでドラマ化され、来月から放送される予定と聞いています。主人公テツコは夫を早くに亡くした若い未亡人で、亡父の父親、すなわち、舅のギフ=義父と2人で暮らしています。姑はすでに亡くなっています。実はこの本は数週間前に図書館借りて読み終えていて、すっかり忘れていたんですが、図書館から返却を督促されて思い出した次第です。ですから、ホントは先週の読書ではないんですが、それなりに話題になってドラマ化もされるということで取り上げました。ほのぼのとしたストーリーが進み、昨夜のカレーの匂いのする女の子と明日のパンをもった男の子の出会いがあり、表面的には何ら変化のない平凡に見える世の中でも、結構波乱に満ちている、それぞれの人生があるのだということがよく分かります。非常に個人的な感想ですが、ドラマの主演女優さんを知らずに、もしくは、意識せずに読むことをオススメします。

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最後に、『ベスト本格ミステリ 2014』(講談社) と『ザ・ベストミステリーズ 2014』(講談社) です。名は体を表すで、その名の通り、ミステリ短編を集めたアンソロジーです。ここ3-4年くらい、この両アンソロジーは読んでいると記憶しているんですが、なぜか、同じ出版社から出ているにもかかわらず、昨年版は重複が多かったような気がします。中田永一「宗像くんと万年筆事件」、乾緑郎「機巧のイヴ」、岸田るり子「青い絹の人形」の3作品がかぶっていました。私のような不満を持っ読者が多かったのか、今年の2014年版では重複は見られません。ただし、どうしようもないことですが、短編集などで私がすでに読んだことのある作品が収録されていたりします。それでも、さすがに、本格ミステリ作家クラブと日本推理作家協会が選んだ短編ですから、とても出来のいい小説ばかりが収録されています。どちらの出版物も2段組みで、ミッシリと文字が並んでいて読み応えがあります。

今週はまだフルで営業日が5日あるんですが、来週とさ来週は祝日が週の初めの方に挟まります。8月終わりころから気温が下がって、もう9月上旬でめっきり秋っぽい気候になりました。読書の秋ももうすぐ本番だという気がします。
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2014年09月06日 (土) 18:25:00

中日に連敗して秋風が吹くタイガース!

  HE
阪  神000002000 271
中  日10001104x 7120


ジャイアンツのマジックは早々と消滅しましたが、消化試合で秋風吹く阪神には関係ないのかもしれません。このまま負け続けると、クライマックスシリーズ出場に不安を感じかねない今日このごろです。でも、どうせクライマックスシリーズではコロコロと連敗しそうな気もします。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月06日 (土) 08:02:00

8月の米国雇用統計は雇用者増がやや足踏みを示す!

日本時間の昨夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が発表されています。いずれも季節調整済みの系列で見て、ヘッドラインとなる失業率は前月から0.1%ポイント低下して6.1%となり、非農業部門雇用者数も前月からを+142千人増を記録しました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

U.S. Job Growth Slips in August After Months of Bigger Gains
Once again, the American economy has managed to frustrate the optimists.
After a series of positive economic reports in recent weeks, the Labor Department said Friday that hiring in August sank to its slowest pace since December, with employers adding 142,000 jobs last month.
The vast majority of economists had been looking for a gain of at least 200,000 in payrolls, coming off healthy indicators for durable goods orders, construction activity and manufacturing in July and August.
The unemployment rate did fall by 0.1 percentage point to 6.1 percent last month, but that was because more people dropped out of the work force rather than found jobs.


まずまずよく取りまとめられている印象があります。この後に、エコノミストへのインタビューなどが取り上げられていますが、長くなりますので割愛します。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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まず、+142千人増をこの数字としてみると、明らかに物足りない気がします。すなわち、引用した記事にもある通り、失業率を着実に低下させ、堅調な雇用と見なされるためには、ひとつの目安として雇用者が毎月200千人増加する必要があるというのが、多くのエコノミストの経験上の実感です。この経験則に照らし合わせて、142千人はやや少ない気がします。しかも、市場の事前コンセンサスが225千人くらいだったので、さらに強く感じる気もします。雇用者の増加が200千人を下回ったのは1月以来の7か月ぶりです。8月については小売業で▲8千人減少したのが目につきます。他方、失業率は低下しましたが、労働市場への参入と退出がどの程度あるかにも左右されます。市場筋では失業率もさることながら、雇用者増が重視されるのにも理由があるわけです。しかし、米国では労働省統計だけでなく、ADPという給与計算などの人事関連業務の代行企業があり、ここからも民間企業に限って雇用者数の統計が明らかにされています。この統計を見ると、6月+297千人増の後、7月+212千人増、8月+204千人増と、確かに増加幅は縮小しているものの、労働省統計ほどではありません。私は労働省統計とADPのデータは同じ方向を示していて、米国の雇用は少し足踏みを示し始めている可能性を否定し切れないと考えていますが、その程度は労働省統計並みなのか、ADP統計並みなのか、少し判断に迷うところがあります。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆に言えば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、同時に、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。
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2014年09月05日 (金) 21:48:00

消化試合に入って中日に大敗!

  HE
阪  神000000000 070
中  日00020220x 6112


ジャイアンツにマジックが点灯した直後の試合らしく、エース能見投手が打ち込まれ、打線はボール球を大振りし、まったくチグハグな試合展開で中日山本投手に勝利投手や何やの最年長記録を進呈した負け試合でした。要するに、消化試合に入ったのかもしれません。でも、クライマックスシリーズが残っているんですし、無気力プレーと見なされかねない試合運びは避けて欲しいものです。

クライマックスシリーズ目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月05日 (金) 19:26:00

景気動向指数もやっぱり消費税ショックからのリバウンドが鈍い!

本日、内閣府から7月の景気動向指数が発表されています。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+0.2ポイント上昇して109.9となり、CI先行指数も+0.6ポイント上昇の106.5を記録しました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、0.2ポイント上昇
基調判断は据え置き

内閣府が5日発表した7月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.2ポイント上昇の109.9だった。プラスは2カ月ぶり。半導体製造装置やコンベヤー、建設機械といった資本財を含む投資財出荷指数が前月比3.6%上昇と大幅に改善したことが寄与した。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を4カ月連続で「足踏みを示している」に据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は0.6ポイント上昇の106.5と、2カ月連続のプラスだった。化学や生産・業務用機械など生産財の出荷が伸びて在庫水準が3カ月ぶりに改善した。消費者心理も3カ月連続で前月比プラスとなった。景気に数カ月遅れる遅行指数は0.8ポイント下落の117.5だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDI(最高は100)は一致指数が40.0、先行指数が55.6だった。


いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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グラフを見ても分かる通り、CI一致指数が2か月振りのプラス、CI先行指数は2か月連続のプラスを示し、一致指数では輸送機械を除く投資財出荷指数や鉱工業生産財出荷指数がプラスの寄与が大きく、所定外労働時間指数や有効求人倍率といった雇用指標がマイナスの寄与となっています。完全に付加価値額のレベルで決まる鉱工業生産指数ほどではないものの、方向性を見るDIと違って、CIではある程度のボリューム感も見るべきなんですが、やっぱり、4月の消費税ショックからのリバウンドが鈍いと考えるべきです。低下局面は想定通りとはいえ、2012年のミニ・リセッションとほぼ同様の下がり方を見せた後、リバウンドが冴えない動きを示しています。おそらく、期間が短いので景気後退とは同定されないでしょうし、それどころか、内閣府から示されている「CIによる景気の基調判断」の基準では、ここ4か月連続の基調判断である「足踏み」から「局面変化」やましてや「悪化」に景気判断が進むとはとても思えませんが、来年10月からの10%への消費税率引上げに何らかの影響を及ぼす可能性は否定できません。

私の直感では輸出動向が我が国の景気の足を引っ張っているっぽいんですが、この秋の日銀の追加緩和の必要性とも合わせて議論されると予想しています。
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2014年09月04日 (木) 21:48:00

4-6月期GDP統計2次QEの予想やいかに?

来週月曜日の9月8日に今年2014年4-6月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。1次QEでは前期比年率▲6.8%のマイナス成長と出て消費増税ショックの大きさが実感されましたが、2次QEではどうなるんでしょうか。今週月曜日に法人企業統計が公表され、必要な経済指標がほぼ発表され尽くして、シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、7-9月期以降の先行き経済の動向に関する記述を取りたかったんですが、先行きに言及しているのは下のテーブルではみずほ総研だけでした。ほかは、2次QEということもあってアッサリしたものでした。従って、みずほ総研のヘッドラインだけがとても長くなっています。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲1.7%
(▲6.8%)
n.a.
日本総研▲2.0%
(▲7.7%)
今般の法人企業統計等を織り込んで改定される2014年4-6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資の下方修正を主因に下振れる見込み。
大和総研▲1.6%
(▲6.4%)
今回の法人企業統計の結果を受けて、2014年4-6月期GDP 統計二次速報は、一次速報からわずかに上方修正される見通しである。
みずほ総研▲2.2%
(▲8.6%)
7-9月期の成長率は、年率+4%-+5%台のプラス成長に復すると予想している。輸出の回復が力強さを欠く中で、駆け込みの反動による輸入の減少がほぼ一巡するため、外需寄与度のプラス幅は4-6月期から大幅に縮小する見込みである。一方、駆け込み需要の反動が徐々に薄れる中で、夏季ボーナスの増加が支えとなり、個人消費は増加に転じるだろう。設備投資も大幅に落ち込んだ4-6月期の反動で増加するほか、2013年度補正予算・2014年度予算に計上された公共投資の執行が進むことで、公共投資も小幅の増加に転じると予想される。7-9月期は、個人消費が消費増税後の落ち込みから持ち直す中で、設備投資や公的需要の増加が下支えとなり、高めの成長になると予想している。
ニッセイ基礎研▲1.9%
(▲7.2%)
法人企業統計の結果等を受けて、9/8公表予定の14年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲1.9%(前期比年率▲7.2%)となり、1次速報の前期比▲1.7%(年率▲6.8%)から下方修正されると予測する。
第一生命経済研▲2.1%
(▲8.3%)
2次速報ではさらに下方修正される可能性が高く、消費税率引き上げ後の景気状況の厳しさを改めて確認させる結果になると思われる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券▲1.5%
(▲6.1%)
実質GDP成長率が、1次速報の前期比年率▲6.8%から同▲6.1%に小幅上方修正されると予想する。民間在庫増の上方修正幅が、設備投資の下方修正幅をやや上回った模様だ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲1.7%
(▲6.6%)
消費税率引き上げによって、家計部門を中心として景気が大きく落ち込んでいることを再確認する結果にとどまるであろう。
三菱総研▲2.2%
(▲8.4%)
2014年4-6月期の実質GDP成長率は、民間企業設備投資の大幅下方修正などから、季調済前期比▲2.2%(年率▲8.4%)と、1次速報値(同▲1.7%(年率▲6.8%))から減少幅拡大を予測する。


ということで、2次QEですから1次QEから大きな変更はないのが通常で、上のテーブルを見ても、上方修正と下方修正の両方が見受けられます。私が法人企業統計を見た実感では、設備投資が下方修正され、在庫投資が上方修正される、やや体裁のよくない後ろ向きの修正というか、需要項目たる設備投資が下方に修正され、在庫が積み上がっているという姿の修正で、わずかながら全体として成長率は下方修正を予想しています。

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上のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ただし、みずほ総研の成長率予想はやや低いんではないかと、私は直感的に感じています。需要項目ごとの動向を無視して成長率の数字だけを考えれば、私の実感は上のテーブルでは、年率▲7%台という意味で、日本総研かニッセイ基礎研の予想に近いと受け止めています。
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2014年09月03日 (水) 22:42:00

読書の秋を間近に楽天リサーチ「読書に関するインターネット調査」結果を見る

まもなく読書の秋のシーズンに入りますが、楽天リサーチから先週8月29日に「読書に関するインターネット調査」結果が公表されています。ハッキリいって、大した結果ではないんですが、一応、簡単に図表を含めて取り上げておきたいと思います。まず、楽天リサーチのサイトから調査結果概要を3点引用すると以下の通りです。

調査結果概要
  • スキマ時間に読む書籍ジャンルは「小説」がトップ
  • 通勤・通学時、男性は「新聞」、女性は「小説」を読む傾向
  • 20代の6割以上は「スマートフォン」、60代の5割以上は「パソコン」で電子書籍を利用


まず、「読書に関するインターネット調査」と銘打ちながら、実は、スキマ時間の読書にほぼ限定されており、スキマ時間の読書ではない本格的な読書については対象外とされているような印象を私は受けています。「スキマ時間」は4点例示されており、第1に通勤・通学、第2に待ち合わせ、第3に病院などのサービスの待ち時間、第4に就寝前となっています。たとえば、私がエコノミストの仕事をしている時、典型的には大学の教員をしていた時などに講義や研究などの必要に応じて、業務の必要上、調べもので本や雑誌を読むのは対象外なのだという気がします。念のため。

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まず、先にあげた4つのカテゴリーのスキマ時間それぞれにどういった書籍ジャンルを読むかの結果が上の表の通りとなっています。実は右端の「何も読まない」が圧倒的なマジョリティなんですが、それでは元も子もないので、10%超のセルを色づけしてあるようです。表の引用はしませんが、通勤・通学、サービスの待ち時間、就寝前の3カテゴリーについてはさらに詳細な結果が示されており、通勤・通学時には男女を通じて小説が10%超なんですが、男性では小説に加えて新聞も11.6%を占めています。また、サービスの待ち時間では、特に、雑誌(ファッション誌)を読むと回答した女性が26.0%に達しています。美容院などに置いてあるのかもしれません。最後に、就寝前のスキマ読書では20代と30代にマンガ(コミック)が高い支持を集めています。

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上の表は性別年齢別に電子書籍を読む端末装置についての結果です。これもスキマ時間の読書に限りますが、まさに、スキマ読書に電子書籍は向いているのかもしれません。ということで、電子書籍を読む端末装置はスマートフォンが支持されています。男女間では大きな差はないんですが、大雑把に年齢層が低くなるほどスマートフォンのシェアが高くなっています。もっとも、これは電子書籍に限らず、若い世代の方がガラケーよりもスマートフォンの所有割合が高いからなんではないかと私は受け止めています。回答者数も少ないですし、それほど統計的に有意な差は大きくないと思います。続いて、パソコンとタブレットがほぼ肩を並べていますが、私は少なくとも電子書籍に関してはタブレットが多いんではないかと想像していただけに少し意外でした。専用端末のシェアが低い点に関しては想像通りだったんですが、このアンケートの調査主体である楽天リサーチの親会社には意外、というか、残念だったかもしれません。

最後に、表は引用しませんが、電子書籍サービスに関する質問と回答もあり、「利用したことがある/利用している」では楽天Koboが10.8%でトップ、続いてアマゾンKindleが6.6%なんですが、「今後利用したい」では逆転して、アマゾンKindleが12.4%、楽天Koboが11.8%となります。この結果はこの調査の親会社にどのように受け止められているんでしょうか?
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2014年09月02日 (火) 21:44:00

今成選手のタイムリーで横浜に逆転サヨナラ勝ち!

  HE
横  浜300000000 370
阪  神000002002x 480


打線がイマイチな状態の中で、初回に押出しフォアボールも含めて横浜に3点を先制されましたが、終わってみれば、横浜クローザーの三上投手から今成選手のタイムリーでサヨナラ勝ちでした。初回の失点の後も、メッセンジャー投手の粘り強いピッチングが光りました。6回に2点目を取った鳥谷選手のタイムリーも効いた気がします。3カード続けて負け越しているだけに、巨人と広島が星の潰しあいをしている今こそ、横浜相手なら勝ち越したい、出来れば3タテも視野に入れたいところです。

明日も岩田投手の先発で連勝目指して、
がんばれタイガース!
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2014年09月02日 (火) 19:30:00

毎月勤労統計に見る給与の伸びから何を読み取るべきか?

本日、厚生労働省から7月の毎月勤労統計が発表されています。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の統計で36万9846円と前年同月比+2.6%増を記録し、また、景気に敏感な所定外労働時間指数は季節調整済みの製造業の系列で前月から▲0.4%減と、消費増税が実施された今年4月から4か月連続で減少しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月所定内給与、0.7%増 2カ月連続増 給与総額は17年半ぶり伸び率
厚生労働省が2日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.7%増の24万2840円と2カ月連続で増加した。今年の春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップ(ベア)が広がり、支給額を押し上げた。
所定内給与は6月に、速報値に比べパートタイムの比率が高まる確報値でも0.2%増の24万2830円と、東日本大震災の反動で伸びた2012年3月(0.4%増)以来2年3カ月ぶりにプラスに転じていた。
ボーナスなどの特別給与は7月は7.1%増の10万7517円だった。残業代などの所定外給与は3.3%増の1万9489円。特別給与の伸びなどを受け、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比2.6%増の36万9846円だった。プラスは5カ月連続で、伸び率は1997年1月(6.6%)以来およそ17年6カ月ぶりの高さだった。
所定外労働時間は1.9%増の10.8時間。製造業の所定外労働時間は5.4%増の15.8時間だった。
一方、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は前年同月比1.4%減と13カ月連続で減少した。給与総額が増えたことで、減少率は6月(3.2%)から縮小した。


次に、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上のパネルは現金給与総額とその内の所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、下のパネルは季節調整した製造業の所定外労働時間を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、給与について、17年半振りに高い伸びとなったのは、主としてボーナスなどの特別給与が前年同月比+7.1%増と寄与が大きく、経済学的に消費に影響を及ぼす恒常所得に近い概念と考えられる所定内給与は+0.7%増と、相対的には小さい伸びとなっています。でも、上のグラフに見られる通り、所定内給与の前年同月比も6-7月で伸び率が急速に高まっている一方で、4月からの消費増税に伴う物価上昇に比較して実質賃金はむしろ低下しているのが読み取れます。所定内給与が+0.7%増、現金給与総額が+2.6%増ですから、帰属家賃を除くヘッドラインの消費者物価上昇率+4.1%には届きません。でも、わずかながらとはいえ、また、物価上昇には届かないとはいえ、ベースアップや非正規職員の正規化などにより、所定内賃金が着実に増加するようになれば、消費には一定の効果を持つものと期待してよさそうです。所定外労働時間については、7月の鉱工業生産が+0.2%とわずかながら増産に転じ、製造工業生産予測調査に従えば、先行きは8月が+1.3%、9月は+3.5%とそれぞれ増産の見込みとなっていますので、生産の伸びに伴って所定外労働時間も下げ止まりから上昇に向かうものと考えるべきです。残業手当の面から所得をサポートすると私は期待しています。

最後に、先週金曜日に鉱工業生産などとともに雇用統計を取り上げた際、「人件費アップに耐えられないために求人が減少している、という可能性」について言及しましたが、今日発表の毎月勤労統計を見て、個別企業のマイクロなレベルでは皆無とはいえなさそうな気がしますが、マクロではさすがにその可能性はほとんどないだろうとの結論に達しました。
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2014年09月01日 (月) 22:37:00

アジア各国の親日度調査から - 韓国と中国の親日度は改善しているのか?

夏休みシーズンも一服し、今日から9月が始まりましたが、この夏休みにアジアを旅行した人も少なくないんではないでしょうか。ということで、とても強引かつ無理やりなんですが、先週8月26日にアウンコンサルティングから「アジア10カ国の親日度調査」の結果が発表されています。韓国、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピンの10か国を対象にし、各国100人とサンプルは小さいんですが、4つのカテゴリー、すなわち、「日本という国が好きか」、「日本人が好きか」、「日本へ旅行に行きたいと思うか」、「日本に行きたい理由」について調査し、それなりに興味深い結果が示されています。今夜の記事では、特に、近隣の韓国と中国の親日度に着目して調査結果を簡単に紹介したいと思います。

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上のグラフはアウンコンサルティングのサイトから「日本という国が好きですか?」という問いに対する回答結果のグラフを引用しています。まず、一見して韓国の親日度が注目されます。メディアなどでは韓国の朴槿恵大統領の言動などから反日の度合いが高まっているような印象を私は持っていたんですが、同じアウンコンサルティングの2012年の同様調査の結果に比較して、今年2014年調査では親日度が高まっているように見えます。すなわち、2012年調査では韓国においては日本に対して「大好き」と「好き」の回答が合わせて36%、「嫌い」と「大嫌い」の回答が合わせて64%だった一方で、2014年調査では、「大好き」と「好き」の回答が合わせて56%、「嫌い」と「大嫌い」の回答が合わせて44%と、この2年間で約20%ポイントのスウィングが観察され、日本に対する親日度がアップしているように見えます。メディアの報道とこの調査結果で何らかの不整合があるのか、それとも、韓国大統領と国民レベルで何らかの不整合があるのか、私にはどちらか分かりかねますが、どちらかの可能性が高いと受け止めています。

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上のグラフはアウンコンサルティングのサイトから「日本人が好きですか?」という問いに対する回答結果のグラフを引用しています。ここでも、韓国の親日度のアップが観察されます。2012年の同様調査の結果に比較して、韓国における2012年調査では「大好き」と「好き」の回答が合わせて40%だった一方、2014年調査では、「大好き」と「好き」と回答した人が合わせて71%となり、何と31%ポイントもアップしています。同様に、中国における2012年調査では、「大好き」と「好き」の回答が合わせて50%でしが、2014年調査では「大好き」と「好き」の回答が合わせて59%となり、韓国ほどではありませんが2年で9%ポイント上昇しています。なお、中国でも日本人に対する親日度は上昇している一方で、日本という国に対する親日度は2年前と比較して大きな変化は見られません。

2012年調査の結果は、この後、日本の商品・サービスに対する好き嫌いの問いが中心になり、今年2014年調査の結果では日本への旅行に関する問いが中心になります。従って、2年間の変化に関する比較はできませんが、少なくとも、日本という国に対する親日度についても、日本人に対する親日度についても、韓国と中国におけるこの2年間の変化はとても興味深いと受け止めています。
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2014年09月01日 (月) 19:29:00

企業活動の停滞を示す4-6月期法人企業統計は消費税ショックに由来するのか!

本日、財務省から4-6月期の法人企業統計が発表されています。ヘッドラインとなる指標を季節調整していない原系列の統計の前年同期比で見ると、売上高については製造業・非製造業ともに増収、経常利益については製造業では減益、非製造業では増益となった一方で、設備投資については製造業では減少、非製造業では増加となりました。まず、日経新聞のサイトから設備投資に着目した記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期の設備投資3.0%増 前期比は3四半期ぶりマイナス
財務省が1日発表した4-6月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比3.0%増の8兆5617億円で、5四半期連続でプラスだった。プラス幅は1-3月期(7.4%)から縮小し、2013年7-9月期(1.5%)以来の小ささとなった。石油・石炭業や電気業などで前年に設備投資を増やした反動が出た。
設備投資の産業別の投資動向をみると、製造業は0.8%減。前年の給油所改修などの反動減で石油・石炭業が、新型車対応による反動減で輸送用機械が設備投資を減らした。非製造業は5.0%増えた。不動産業や卸売業、小売業で伸びた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となり注目度が高いソフトウエアを除く全産業の設備投資は、季節調整して前期と比べると1.8%減と、13年7-9月期以来3四半期ぶりにマイナスとなった。
全産業の売上高は前年同期比1.1%増の315兆886億円。4四半期連続の増収となったものの、増加率は13年7-9月期(0.8%)以来の小ささ。製造業は0.2%増、非製造業は1.5%増だった。
経常利益は4.5%増の16兆3860億円。10四半期連続の増益だが、伸び率は2011年10-12月期(10.3%減)以来の小ささまで縮んだ。製造業が7.6%減る一方、非製造業は12.1%増えた。
財務省は今回の調査結果について、「駆け込み需要の反動の影響がみられるものの、景気は緩やかな回復基調が続いているという経済全体の傾向を反映している」とみている。
同統計は資本金1000万円以上の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が8日に発表する4-6月期のGDP改定値に反映される。


いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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原系列の統計に基づく前年同月比では、全産業ベースで売上げも営業利益も経常利益も増収・増益の結果を示しているんですが、上のグラフに示した通り、季節調整済みの系列を見ると、売上げも経常利益も設備投資も前期比で減少しています。当然ながら、4月の消費税率引上げ前の駆込み需要とその後の反動減を反映しているわけです。ただし、グラフには示していませんが、季節調整済みのベースで見て、売上げ・経常利益・設備投資のすべてで、製造業の伸び率が非製造業を下回っています。為替相場の円高修正の局面が一巡したという要因や、Windows XPのサポート切れに対する駆込みの反動もなくはないんでしょうが、消費税ショックは消費をはじめとする内需に依存した非製造業に対してより大きなマイナス効果を発揮すると予想されただけに、私は大きな意外感を持って受け止めています。やはり、4-6月期の日本経済の大きなマイナス成長は消費増税ショックだけでなく、企業活動に関しては輸出の不振も影響が大きかったといえそうです。4-6月期の輸出入を合わせた外需全体については、消費増税ショックで輸入が大きく減少しましたので、外需の成長率への寄与度はかなり大きなプラスを記録したんですが、輸出についてはマイナス寄与でしたし、国内需要の不足を補い、設備や人員などの潜在能力に見合った生産を行うに足るだけの輸出ができていない可能性が高いと評価せざるを得ません。どうしても、身近な消費増税ショックに企業活動停滞の原因を求めがちですが、輸出動向についても注意が必要かもしれません。

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続いて、上のグラフは擬似的に私の方で試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、昨年10-12月期までは労働分配率も投資比率もともに低下を続けていましたが、設備投資比率は1-3月期に入って上昇した後、4-6月期には再び低下しました。労働分配率は現在の景気拡大局面に入ってから一貫して低下しています。従って、企業部門の資金余剰が急速に縮小するとは考えられませんし、この資金余剰を企業部門から設備投資や賃上げの形で広く日本経済に均霑させることが重要、との私の見方にも変化ありません。

タイトルにしたように、企業活動の停滞は基本的には消費増税ショックに起因すると私は考えていますが、それだけではなく、輸出にも原因がある可能性を考慮すべきです。また、今日発表の法人企業統計を受けて、来週9月8日には4-6月期のGDP統計2次QEが発表される予定となっており、設備投資は下方修正されると私は予想していますが、全体の成長率など詳細な2次QE予想は日を改めて取り上げたいと思います。
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