2013年09月27日 (金) 21:54:00

上昇幅を拡大した消費者物価はこの先どうなるか?

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が発表されました。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は8月の全国で+0.8%、9月の東京都区部で+0.2%と、いずれもプラスながら、前月に比べて、全国では上昇幅を拡大した一方で、東京都区部では縮小しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価0.8%上昇 8月、3カ月連続プラス
総務省が27日朝発表した8月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比0.8%上昇の100.4と3カ月連続で上昇した。上昇率は原油価格や穀物価格が高騰した08年11月(1.0%上昇)以来、4年9カ月ぶりの大きさ。引き続きエネルギー価格の上昇がけん引した。
指数を押し上げたエネルギーのうちガソリン価格は13.2%上昇した。円安で仕入れ価格が上昇する傾向にある。電気代も原子力発電所の稼働停止を受けた電力会社による値上げにより8.9%上昇した。
教養娯楽用耐久財はテレビの販売価格の下落幅が縮小したほか、デスクトップパソコンやノート型パソコンの価格上昇が寄与し、1992年1月(0.4%上昇)以来、11年7カ月ぶりに上昇に転じた。
生鮮食品を含む総合はトマトが10.3%上がるなど生鮮野菜の値上がりで0.9%上昇の100.3だった。食料とエネルギーを除いたCPIは0.1%下落の98.5で、プラスには転じなかった。
同時に発表した9月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、2010年=100)は生鮮食品を除く総合が0.2%上昇の99.5だった。全国と同様にエネルギー価格が指数を下支えした。
総務省は先行きについて「都区部の9月中旬速報値の結果を踏まえると、全国の『総合』と『生鮮食品を除く総合』は9月もプラスが続くと見込まれる」とみている。


いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。続いて、下のグラフは生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの全国と東京都区部の前年同月比上昇率とエネルギーと食料を除く総合で定義されるコアコアCPI全国の上昇率を折れ線グラフでプロットし、全国コアCPIの上昇率に対する寄与度をエネルギーと食料とその他に分けて積上げ棒グラフで示してあります。

photo


生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIは上昇率をさらに高めて+0.8%に達しました。上の青い折れ線グラフの通りです。他方、食料とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPIは上の赤い折れ線グラフではゼロに達したように見えますし、実際にも発表されている小数点以下1位までの指数で計算するとゼロなんですが、公表されていない端数を持った指数で計算すると▲0.1%の下落となるようです。統計局から発表されている指数と上昇率が整合性ないわけで、このあたりは情報公開の観点から大きな問題のような気がします。次に、折れ線グラフから、コアCPI上昇率の寄与度を示す積上げ棒グラフに目を転じると、エネルギーと食料以外のその他と食料の寄与度は、小数点以下1位の指数で計算する限り、どちらもゼロとなります。すなわち、コアCPI上昇率+0.8%のすべてがエネルギーに起因しています。このブログの一昨日のエントリーで企業向けサービス価格指数(CSPI)を取り上げた際に、国際運輸を除くCSPIはかなり需給に敏感であり、これが上がるのであれば相対価格の変化ではない一般物価の上昇かもしれない、と書きましたが、現時点では、+0.8%の上昇を記録したコアCPIについては、エネルギー価格の上昇という相対価格にとどまっていると考えるべきです。もちろん、このエネルギー価格の上昇には、我が国がエネルギーの多くを輸入している以上、為替の円高修正も含めてということで私は理解しています。なお、エネルギー価格に起因するという意味では、まったく同様に、東京都区部の9月のコアCPI上昇率が+0.2%と先月の+0.4%からプラス幅を縮小させているのは、昨年9月における東電の電気料金引上げの影響が一巡したためです。ここ数か月の物価上昇が為替変動も含めたエネルギー価格に起因するものであれば、国際商品市況や為替の動きがこのまま安定的に推移すると仮定すれば、この後、財政政策や日銀の金融政策による需給ギャップの改善や賃金の引上げが伴わない限り、インフレ率の上昇幅拡大はそろそろ頭打ちになる可能性があると覚悟するべきです。

ですから、2年後に+2%というインフレ目標は、来年4月の中間点で消費税率引上げという需給ギャップの悪化を招くイベントもあって、やや難しそうな気もします。しかしながら、一昨日の記事の繰返しですが、政府の財政政策や日銀の金融政策によって景気がよくなった上で、あくまで景気がよくなると前提した上で、景気がよくなって物価が上がらないのであれば、もっと結構なことではないか、とうそぶくリフレ派のエコノミストもいたりします。
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