2014年02月21日 (金) 19:29:00

賃金構造基本調査に見る低賃金はいつまで続くか?

昨日、厚生労働省から賃金構造基本調査の2013年の結果が公表されています。一般労働者、すなわち、フルタイムの労働者の月額平均賃金は前年比▲0.7%減の295.7千円でした。あれほど政権を挙げて賃上げの大合唱をしたにもかかわらず、賃金は上がりませんでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

首相要請も…月額賃金4年ぶり低下 13年0.7%減
厚労省調査

厚生労働省が20日発表した賃金構造基本統計調査(全国)によると、2013年のフルタイムで働く人の平均月額賃金は、前年比0.7%減の29万5700円だった。前年を下回るのは4年ぶり。安倍晋三政権はデフレ脱却に向け経済界に賃上げを求めているが、企業は月例賃金よりも一時金を手厚くしがちな面もうかがえる。
男性の平均賃金は32万6千円と前年比で0.9%減った。女性は0.2%減の23万2600円だったが、賃金水準そのものは男性の71.4%と前年比0.5ポイント上昇。男女間の賃金差は9万3400円と前年から2500円縮小した。
役職別でみると、部長級で女性(66万7200円、2.8%増)が男性(65万2600円、3.4%減)を初めて逆転した。役職別は常用100人以上の企業の正社員のデータで「ぶれる可能性がある」(厚労省)が、女性の一定の処遇改善を示す結果といえそうだ。
賃金が男女ともに前年を上回ったのは、企業規模別では99人以下の小企業だけ。産業別では建設や学術研究、専門・技術サービス、生活関連サービス、娯楽に限られた。
調査は、残業代や休日出勤などの手当を除いた月給の定額部分が対象で、一時金は含まない。13年6月の給与を、同年7月に民間の6万5007事業所を対象に調べ、4万9453事業所から回答を得た。


いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、一般労働者の賃金の推移のグラフは以下の通りです。いかにも「霞が関文学」っぽいんですが、引用した記事にも簡単な解説がある通り、「一般労働者」とはフルタイム労働者を指し、ここでの「賃金」とは所定内給与のような毎月の定額部分だけであって、一時金は含みません。また、フルタイム労働者だけでパートタイムは含みませんから、非正規比率の上昇による平均賃金の低下といった影響は少ないと考えられます。もちろん、「非正規労働者」はフルタイム・パートタイムの別だけでなく、無期・有期による区別や直接雇用・派遣の違いなどからも定義されることがあり、決して単純ではありませんが、取りあえず、パートタイム労働者が含まれていない統計を基にしたグラフです。

photo


上のパネルは月額千円単位の賃金の推移を、下はその前年比上昇率を、それぞれプロットしています。1990年代半ばから、ほとんど賃金が上がっていないのが見て取れます。このグラフの賃金は名目値ですので、物価の変動を考慮した実質値とはなっておらす、デフレが進行した期間では実質賃金は上昇していた可能性は排除できませんが、景気後退期の2001年や2009年をはじめとして、賃金が下がることも決してめずらしくもなかったといえます。昨年も、内閣を挙げての賃上げの大合唱にもかかわらず賃金は減少したとの統計結果です。

photo


参考ながら、同じくフルタイム労働者の月別の定額部分の賃金に関して、都道府県別の賃金格差のグラフが上の通りです。全国平均が引用した記事にもある通り、295.7千円となっており、もっとも賃金が高い東京はその123.3%、逆に最も低い宮崎県は77.0%です。この格差を大きいと見るか、この程度と見るかは意見が分かれるところだと私は受け止めています。衆議院議員の定数格差は2倍を基準としているようですが、東京と宮崎では格差は2倍に達していません。でも、賃金水準の背景に同じ日本人で2倍近い生産性格差があるといわれれば疑問も感じます。

最後に、昨日の経済財政諮問会議において、有識者委員から「法人税率引下げと税収について」と題する資料が提出されていて、かつての米国のレーガン政権下で引合いに出されたラッファー・カーブのように、税率を下げれば税収が上がるという奇っ怪な議論がなされたようです。労働者に対する賃上げにここまで渋い企業に対する優遇策には私は従来から明確に反対しています。それにしても、ラッファー・カーブのような奇っ怪な理論を持ち出してまで法人税を下げて、賃上げもせずにさらに企業にキャッシュを溜め込んで、日本経済に何の利益があるんでしょうか。国債でも買ってもらうんでしょうか。とても疑問です。逆に、現在は企業が溜め込んだキャッシュを国民に還元する政策が必要だと私は考えています。
Entry No.3807  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

コメント

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示
 

トラックバック

この記事のトラックバックURL



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |