2014年02月28日 (金) 19:23:00

政府統計がいっせいに発表される!

今日は月末の閣議日ですので、各種の政府統計がいっせいに公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ発表されています。消費者物価指数の東京都区部を除いて、すべて今年2014年1月の経済指標です。まず、各統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産指数104.1 5年3カ月ぶり高水準
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は104.1だった。米リーマン・ショックの直後だった2008年10月(107.4)以来5年3カ月ぶりの高水準となり、前月比では4.0%上昇した。プラスは2カ月連続。景気回復に加え、4月の消費増税前の駆け込み需要が拡大しエアコンや冷蔵庫、自動車などの生産が増えた。
上昇率はQUICKがまとめた市場予想(3.0%)を上回った。一方、基調判断は「持ち直しの動きで推移している」を据え置いた。経産省は「(消費増税前の駆け込み需要がなくなるため)先行きは生産の低下が予測されており、予断を許さない」とみている。
業種別でみると15業種のうち11業種で上昇した。消費増税に伴う国内自動車販売の増加を背景に、「輸送機械工業」が8.0%増加。エアコンや冷蔵庫の駆け込み需要拡大で「電気機械工業」も大きく上昇した。
出荷指数は薄型テレビや自動車、自動車部品で駆け込み需要が増え、5.1%上昇の105.0だった。出荷の増加に伴い、在庫指数は0.9%低下の104.6、在庫率指数は5.6%低下の98.7だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは2月が1.3%上昇、3月は、3.2%低下する見込み。消費増税に向けた製品の作り込みが一段落し、3月はすべての業種で生産の低下が予想される。生産機械などの受注品で期末に向けての納入品の生産が一服することも響く。
1月完全失業率3.7% 6年ぶり低水準で横ばい 女性就業者減も
総務省が28日発表した1月の完全失業率(季節調整値)は3.7%で、2007年12月以来6年ぶりの水準に低下した前月と同じだった。景気回復を背景に労働力需給が引き締まっていることが背景。総務省は「雇用全体としては底堅く推移している」とみている。ただ宿泊業・飲食サービス業など女性の多い一部業種で就業者が減少する動きもあった。
完全失業者数(同)は242万人で2万人減少した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は3万人増え、「自発的な離職」は8万人減った。完全失業率を男女別にみると、男性が3.9%、女性は3.5%といずれも前月比横ばいだった。
就業者数(同)は6319万人で前月と比べ30万人減った。うち女性が23万人減少し、昨年12月の年末商戦で一時的に労働市場に参入した女性が市場から退出したもよう。仕事を探していない「非労働力人口」(同)は4517万人と33万人増えた。
今月から新たに発表した雇用形態別の雇用者の割合をみると、正規の雇用者(原数値)は前年同月比で94万人減った一方、非正規の雇用者(同)は133万人増えた。
1月消費者物価、8カ月連続プラス 増税前の駆け込みも一因
総務省が28日発表した1月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比1.3%上昇の100.4だった。プラスは8カ月連続で、07年10月から08年12月まで15カ月連続で上昇して以来の長さ。上昇率は前月と同じだった。
3カ月連続で上昇率が1%を超えるのは、08年5月から11月まで7カ月連続で超えて以来となる。電気料金やガソリンといったエネルギー価格の上昇が物価をけん引する構図が続いた。加えてテレビやルームエアコン、洗濯機などの家電製品の価格も消費増税前の駆け込み需要を背景に上昇した。メーカーが採算を重視して「低価格帯の商品を絞り込んでいる」(総務省)影響もみられるという。
上昇品目数は279、下落は184で、4カ月連続で上昇が下落を上回った。前月は上昇が267、下落が188で、総務省は「幅広い品目で物価の上昇が広がりつつある」とみている。
食料とエネルギーを除く総合(コアコア指数)は前年同月比0.7%上昇と4カ月連続のプラスだった。傷害保険料の引き上げや円安による海外パックの旅行料金の上昇が背景。
同時に発表した2月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.9%上昇の99.1だった。
1月小売販売額4.4%増の11.7兆円 1月で最大 自動車けん引
経済産業省が28日発表した1月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆7320億円で、前年同月に比べ4.4%増えた。プラスは6カ月連続。小売業販売額は1月としては比較可能な1980年以降で最大で、伸び率は東日本大震災による落ち込みの反動増があった2012年4月(5.0%増)以来の高い伸びとなった。4月の消費増税前の駆け込み需要などで自動車や家電製品などの売れ行きが伸びた。
これまでの1月の小売業販売額が最大だったのは、前回の消費増税前の97年(11兆6140億円)だった。
小売業の内訳は自動車が21.4%増と5カ月連続のプラス。冷蔵庫や洗濯機、パソコンなどで買い替え需要が広がり、機械器具は7.5%増だった。飲食料品は2.2%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.8%増の1兆7135億円で、6カ月連続で増加した。衣料品は減ったが飲食料品が増えた。既存店ベースは0.1%増。スーパーは1.6%減ったものの、百貨店が3.2%増えた。
コンビニエンスストアの販売額は新規出店効果などで5.4%増の7946億円。既存店の販売額は0.1%減だった。
併せて今回初めて発表した専門量販店販売統計(速報)によると、1月の販売額は家電大型専門店は4095億円、ドラッグストアは3697億円、ホームセンターが2509億円だった。


いずれもとてもよく取りまとめられた記事なんですが、さすがに、これだけ並べるともうおなかいっぱい、という気もします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これは鉱工業生産統計だけでなく、シャドーで景気後退期をお示ししたグラフすべてに共通です。

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鉱工業生産の伸びは日経・QUICK調査によれば、市場の事前コンセンサスが前月比で+3%の増産でしたから、+4%の伸びはかなり大きいと受け止めています。特に、後で取り上げるように、消費は自動車などの大型の高額耐久消費財がけん引したことから、生産でも、輸送機械やはん用・生産用・業務用機械が高い伸びを示しています。さらに、減産業種でも前月比の減少幅はかなり小さく、ほぼ横ばい圏内の動きと私は考えています。財別の統計で詳しく見ると、耐久消費財は生産が前月比+8.8%増、出荷が+13.5%増と非常に高い伸びを示しています。明らかに、消費税率引上げ前の駆け込み需要の影響が出ています。しかし、先月発表の製造工業生産予測調査では1月の前月比伸び率は+6.1%でしたから、それに比べると伸びは小さくなっています。また、1月の増産はいくぶんなりとも消費税率引上げ前の駆込み需要に起因するわけですから、今後の先行きについては、同じく製造工業生産予測調査に従えば、2月は+1.3%増とまだ増産が続くものの、4月からの消費の反動減を見込んで、3月の生産は▲3.2%減と減産に転ずるとの見込みです。ただし、昨夜のエントリーでも指摘した通り、駆込み需要は1997年の消費税率引上げに比べて小さい可能性が高いと私は考えており、逆に、4月以降の反動減も小さい可能性は十分あります。もちろん、いずれにせよ、生産も駆込み需要に応じた変動は避けられません。

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雇用統計について、引用した記事には失業率が前月と同じ3.7%と低い水準を続けている点、すなわち、総務省統計局発表の労働力調査しか取り上げておらず、なぜか、厚生労働省発表の有効求人倍率などの一般職業紹介状況が抜けているので、上のグラフでプロットしている範囲で補足しておくと、上のグラフからも概要は把握できると思いますが、有効求人倍率は前月の1.03倍から0.01ポイント上昇して1.04を記録し、新規求人数も前月比で+3.5%増と大きく伸びています。新規求人倍率も上昇しています。すなわち、相変わらず、量的に雇用は着実に拡大していると受け止めています。非正規雇用は駆込み需要に対応した部分があると思われますので、4月以降の反動も考えられなくはないでしょうが、消費ほど雇用については駆込みも反動も小さいんではないかと考えられます。一昨夜のエントリーでお示しした通り、雇用の拡大は量から質的な改善、すなわち、賃金上昇や正規雇用の拡大につながる局面に差しかかっている可能性があります。

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消費者物価も、生鮮食品を除くコアCPIの上昇幅が安定して1%を超える状態が続いています。ただ、ヘッドラインCPIでも、コアCPIでも、あるいは、コアコアCPIでも、前年比上昇率が昨年11月から今日発表の1月統計までの3か月で頭打ち気味に見える懸念があります。物価上昇の要因が、円高修正ないし円安の進展やエネルギー価格の上昇などから、徐々に、最終需要への波及やGDPギャップの縮小に主役を交代させつつ、物価上昇の圧力は落ち着きを見せ始めていると私は受け止めています。これについて2点だけコメントすると、第1点はネガティブで、現時点で物価はほぼ日銀の想定するシナリオに沿った動きを続けていると私は考えているものの、日銀のインフレ目標である2%に達するのが2年後より後ズレする可能性を指摘せねばなりません。特に、4月からの消費税増税で需給ギャップがマイナスに振れれば、その振れ幅にもよりますが、後ズレの可能性が高まります。他方、第2点はポジティブで、日銀がインフレ目標を設定する前に、さんざん表明された「インフレ目標によって、インフレに歯止めが効かなくなって、ハイパー・インフレを惹起しかねない」と見方は完全に否定されたと考えるべきです。今になって思えば、「インフレ目標でハイパー・インフレ」なんて見方が恥ずかし気もなくよくメディアに出たもんだと私は思います。

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小売販売額は前年同月比で+4.4%増、前月比で+1.4%増とともに高い伸びを示しました。引用した記事にもある通り、自動車販売が大きく伸びています。前年同月比で自動車小売業が+21.4%増と飛び抜けた増加を示しています。これに次ぐのが、電機製品などが含まれる機械器具小売業の+7.5%増となっています。これらの業種は基本的に4月からの消費税率引上げ前の駆込み需要の部分が小さくないと考えるべきです。既存店ベースの統計で、コンビニとスーパーが前年比で売上げを落とした反面、百貨店が増加しているのも、駆込み需要を示唆していると私は受け止めています。いずれにせよ、他の経済指標に比べて消費は駆込み需要とその反動減の影響がより大きく現れるのは当然です。

足元の景気は、生産も、雇用も、物価も、消費も、いずれも消費税率引上げ前の駆込み需要に応じて景気の拡大を示しています。エコノミストの目は4月の消費増税後、ただし、4月や5月はもちろんのこと、年央以降に景気が腰折れするのか、拡大経路に戻るのか、に向けられています。何となく、景気は腰折れしないという見方がエコノミストの間で優勢な気がしますが、かつて流行った言葉なら、cautious optimism ということになろうかと思います。
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