2014年08月13日 (水) 19:42:00

消費増税のショックにより4-6月期のGDP統計1次QEは大きなマイナス成長!

本日、内閣府から今年2014年4-6月期のGDP統計1次速報、いわゆる1次QEが公表されています。4月に消費税率引上げのショックがありましたので、季節調整済みの系列による成長率は前期比で▲1.7%、前期比年率で▲6.8%のマイナス成長を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期GDP年率6.8%減 駆け込みの反動大きく 7-9月期は回復か
内閣府が13日発表した2014年4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.7%減、年率換算で6.8%減と2四半期ぶりのマイナスとなった。QUICKが12日時点で集計した民間予測の中央値の年率7.2%減よりは落ち込みは小さかった。とはいえ消費増税後の駆け込み需要の反動で、東日本大震災のあった11年1-3月期(6.9%減)以来の下げ幅。生活実感に近い名目成長率は0.1%減、年率で0.4%減で7四半期ぶりのマイナスとなった。
実質成長率への寄与度で見ると、輸出から輸入を差し引いた外需が1.1ポイント押し上げた半面、国内需要が2.8ポイントの押し下げ要因となった。
内需のうち個人消費は5.0%減と7四半期ぶりのマイナス。自動車や家電製品をはじめとした耐久消費財に加え、衣服や日用品でも3月までの駆け込み需要の反動が出た。住宅投資も駆け込みの反動から10.3%減となった。
設備投資は2.5%減と5四半期ぶりのマイナス。「ウィンドウズXP」のサポート終了に伴い、前期に企業のパソコン更新投資が活発になった反動が出た影響が大きい。公共投資は0.5%減。政府が13年度補正予算や14年度予算で公共投資を前倒しで進めており、減少幅は前期の2.5%から縮小した。
外需は輸出が半導体素子などを含む電子通信機器が減って0.4%減。輸入は消費増税後の内需の低迷もあり、原油・天然ガス・石油製品や電子通信機器の減少で5.6%減と大きく減った。輸出のマイナスより輸入の減少が大きかった結果、成長率に対する外需寄与度は4四半期ぶりのプラスとなった。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比プラス2.0%だった。
市場の事前予想とそう大きく変わらない結果となった今回のGDP。市場の関心はすでに7-9月期に移っている。焦点は駆け込み需要の反動減が一巡する兆しも見える中で、個人消費が回復していくかどうかだ。このところの物価上昇は購買意欲に影を落とすとの見方も少なくない。日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「今秋をめどにGDPは回復傾向に向かうとの見方は変えていないが、物価上昇による実質所得の減少が消費者心理にマイナスに働く可能性はある」と指摘する。
下田氏は7-9月期のGDPについて実質年率3%台半ばのプラスになると予測するが、実質所得の減少が響けば「想定よりも回復テンポが緩やかになることも考えられる」とみる。
一方で設備投資の先行きは、実質金利の低下や収益改善を背景に、更新投資を中心に堅調に推移する見通し。個人消費の回復の足取りが鈍ったときに、設備投資がどれだけ景気を下支えできるかがポイントになりそうだ。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2012/4-62013/7-92013/10-122014/1-32014/4-6
国内総生産GDP+0.9+0.4▲0.0+1.5▲1.7
民間消費+0.7+0.2+0.4+2.0▲5.0
民間住宅+2.1+4.7+2.4+2.0▲10.3
民間設備+1.4+0.6+1.4+7.7▲2.5
民間在庫 *(▲0.3)(+0.0)(▲0.1)(▲0.5)(+1.0)
公的需要+1.6+1.5+0.5▲0.6+0.2
内需寄与度 *(+0.8)(+0.8)(+0.5)(+1.7)(▲2.8)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.4)(▲0.6)(▲0.2)(+1.1)
輸出+3.0▲0.7+0.3+6.5▲0.4
輸入+2.3+1.8+3.7+6.4▲5.6
国内総所得 (GDI)+0.8+0.0▲0.1+1.1▲1.5
国民総所得 (GNI)+1.4▲0.2▲0.1+0.8▲1.3
名目GDP+0.3+0.3+0.3+1.6▲0.1
雇用者報酬▲0.0▲0.4▲0.0▲0.1▲1.8
GDPデフレータ▲0.6▲0.4▲0.4▲0.1+2.0
内需デフレータ▲0.3+0.4+0.5+0.6+2.4


テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4-6月期の最新データでは、前期比成長率が大きなマイナスであり、特に消費増税に伴う赤の民間消費のマイナス寄与が大きく、逆に、グレーの在庫と黒の外需がプラス寄与を示しているのが見て取れます。

photo


引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比成長率で▲1.9%、前期比年率で▲7.2%のマイナス成長でしたので、ほぼジャストミートしサプライズはありませんでした。1-3月期が消費増税前の駆込み需要により年率+6.1%成長でしたので、4-6月期の年率▲6.8%はほぼこれを吐き出した形になります。前期比成長率に対する消費の寄与度が▲3.1%で、内需寄与度が▲2.8%、ただし、後ろ向きを含めた在庫増の寄与が+1.0%あります。逆に、外需の寄与度が+1.1%なんですが、駆込み需要への反動に起因する輸入減によるものですから、輸出増による外需のプラス寄与とは違って、必ずしも評価できない外需の動きと受け止めています。公的需要はプラスながらも、政府消費のプラスと公共投資のマイナスを合算してプラスになった形です。いずれにせよ、4-6月期のGDP統計はほぼ事前のコンセンサス通りの姿となっており、すでに、多くのエコノミストの目は足元の7-9月期に向いています。大雑把な私の直感で、7-9月期は前期比で+1%近く、前期比年率で+3-4%のまずまずの成長を率を予想しています。特に、駆込み需要と反動の主役であった消費については、月次で見て4月に大きく落ち込んだ後の5-6月はすでに前月比では回復局面に入っている可能性が高く、月次での6月のゲタを持って7-9月期に入っているように私には見えますので、消費はそれなりの増加を示すんではないかと期待しています。ただし、消費に関して懸念されるのは所得であり、上のテーブルでも実質雇用者所得が一貫してマイナスを続けているようですし、物価上昇に見合う所得増が実現されなければ、マインドだけで消費を支えるのは決してサステイナブルではないと考えるべきです。夏季賞与は増加したようですが、恒常所得部分が着実に増加するような形で賃上げが実現されることが重要です。

今回の消費増税の駆込み需要と反動を過去と比較すると、前期比年率成長率で見て1997年の消費増税時は1-3月期が+2.8%に対して4-6月期の反動減が同▲3.5%でしたので、想定内かどうかはともかく、駆込み需要と反動減は今回2014年の方が1997年より大きかったことは確かだと言えます。
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