2014年08月25日 (月) 19:54:00

4-6月期の1次QEを受けた今年度と来年度の経済見通しやいかに?

先々週水曜日の8月13日に4-6月期の1次QEが発表され、その直後の先々週から先週にかけてシンクタンクや金融機関などから今年度と来年度の経済見通しがいっせいに発表されています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。なお、年度が始まったばかりの段階での経済見通しですので、ほとんどの機関で来年度までの見通ししか示されていませんが、いつもお世話になっているニッセイ基礎研だけ2016年度までの見通しを公表しています。それから、これもいつもの通り、ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。ほとんどの場合、今年2014年4月と来年2015年10月の2度にわたる消費税率引上げ後の今年度成長率と来年度成長率に関する見通しを採用しています。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名201420152016ヘッドライン
日本総研+0.4+1.2n.a.2014年度は、①駆け込み需要の反動減一巡、②公共投資をはじめ、企業向け減税、家計支援など経済対策を通じた内需の下支え、③雇用や夏季賞与の増加といった所得雇用環境の改善、などを受けて、景気は秋ごろにも回復軌道に復帰する見込み。もっとも、物価上昇に伴う実質所得の減少が個人消費の力強い回復への重石となる面も。
2015年度は、公共投資がピークアウトを迎え減少に転じるものの、投資・法人減税などが企業部門に対して引き続きプラスに作用するほか、家計部門も所得雇用環境の緩やかな改善を受けて底堅く推移し、景気の自律回復メカニズムは徐々に強まっていく見込み。
ニッセイ基礎研+0.4+1.1+1.3実質GDP成長率は2014年度が0.4%、2015年度が1.1%、2016年度が1.3%と予想する。2014年度は消費税率引き上げによる物価上昇に伴う実質所得の低下と駆け込み需要の反動減が重なるため2013年度から成長率は大きく低下することは避けられないだろう。今回の見通しでは、消費税率が2015年10月に8%から10%へ引上げられることを前提としている。2014年度は3%の引き上げ分がフルに影響することになるが、次回の引き上げは2015年度下期からとなるため、年度ベースでは2015年度、2016年度ともに1%分の引き上げの影響を受けることになる。また、次回の増税前後にも今回と同様に駆け込み需要とその反動減が発生することが見込まれるが、駆け込み需要と反動減の影響が2015年度内でほぼ相殺されるため、2014年度に比べると消費税率引き上げの影響は小さくなる。このため、2015年度、2016年度の成長率は潜在成長率を上回る伸びを確保できるだろう。
大和総研+0.7+1.5n.a.日本経済は2012年11月を底に回復局面に入ったが、今後も緩やかな景気拡大が続くとみられる。安倍政権の経済政策(いわゆる「アベノミクス」)は日本経済再生の起爆剤となり得る適切な経済政策であり、とりわけ金融政策は着実に成果を上げている。日本経済は、2014年4-6月期に消費税増税の影響で一時的に低迷したものの、7-9月期以降、緩やかな回復軌道をたどる見通しである。①足下で消費税増税に伴う悪影響がおおむね一巡したとみられること、②米国向けを中心に輸出が徐々に持ち直すことなどが、日本経済の好材料となろう。
みずほ総研+0.5+1.5n.a.駆け込み需要の反動が一巡する7-9月期以降、景気は緩やかな回復軌道に戻る見込み。賃上げやボーナス増を背景に、個人消費が持ち直し。公共投資も景気を下支え。海外景気の回復と円安を背景に、輸出も年後半にかけて緩やかに増加すると予想。ただし、4-6月期のマイナス成長が響き、2014年度成長率は+0.5%にとどまる見通し。
2015年度上半期に消費増税(10月に10%に引き上げ)前の駆け込み需要が発生する一方、下期は反動などで一時的に落ち込む見通し。それでも、輸出の増加や景気対策(1.5兆円程度の公共投資追加を想定)が支えとなり、景気後退は回避。2015年度の成長率は+1.5%と予想。
第一生命経済研+0.4+1.1n.a.4-6月期の個人消費の反動減の大きさは予想以上だったものの、月次で見れば、4月を底として緩やかながらも改善に向かっている。7-9月期には反動減の影響も和らぎ、持ち直しが見込めるだろう。また、①雇用・賃金の改善が見込まれること、②設備投資が増加すること、③輸出の増加が見込めること、④経済対策効果で公共投資が高水準を維持すること、といった下支え要因も存在する。先行きも景気失速は避けられるだろう。
15年度についても、10月に予定されている再度の消費税率引き上げが下押し要因になるものの、均してみれば景気の改善が続くと予想する。
伊藤忠経済研+0.3+1.3n.a.日本経済は2014年7-9月期に前期比、前年同期比ともプラス成長に転じ、デフレ脱却に向けた動きを再開するとみられる。消費者物価上昇率は4月以降も低下しておらず、インフレ期待は後退していない。景気の持続的な回復を確実にするためは追加の対策が必要となるが、年内に消費税率再引き上げの環境は整う可能性が高い。実質GDP成長率は2014年度前年比0.3%、2015年度1.3%を予想する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+1.2+2.2n.a.日本経済は現在、設備投資比率(名目設備投資/名目GDP比率)でみて94年周期、景気拡張期間比率でみれば9.5年周期の中期循環(設備投資循環、ジュグラー・サイクル)の上昇局面にあるとみられる。バンドパス・フィルターを用いた周期解析の結果から判断すると、設備投資比率は2017年頃まで上昇傾向を辿る可能性が高い。当研究所は、2015年10月に消費税率の再引上げ(8%→10%)が実施されると想定しているが、2度目の消費増税後も旺盛な設備投資需要が景気の下支えとなり、かつ4兆円規模の経済対策が打ち出されることによって、景気後退局面入りは回避される見込みだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2+1.3n.a.2014年度の実質GDP成長率は前年比+0.2%と小幅のプラスにとどまる見込みである。輸出が増加することや、公共投資や設備投資の下支えにより景気が後退局面に入ることは回避されるものの、実質所得の減少を背景に個人消費の回復が緩やかにとどまることから、ゲタ(+1.1%)を除いた年度中の成長率では-0.9%となる見込みである。内外需の寄与度は、内需が前年比-0.2%とマイナスとなるのに対し、外需は+0.4%とプラスに転じるが、力強さには欠ける。個人消費の回復が遅れる場合や、海外経済の悪化により輸出が低迷する場合には、景気が下振れるリスクが高まってくる。
2015年度は、10月に消費税率が10%に引き上げられると想定しており、駆け込み需要と反動減が発生する。ただし、年度中の動きであるため、均してみると2014年度と比べるとマイナスの影響が小さい。2015年度の実質GDP成長率は前年比+1.3%を予想する。前半は駆け込み需要も加わって景気が持ち直していこうが、後半は反動減によって悪化すると見込まれ、消費税率引き上げの影響で家計の状況が一段と厳しくなる中で、景気が後退局面入りする懸念が出てくる。ゲタ(+0.7%)を除いた年度中の成長率では+0.6%にとどまる見込みである。
三菱総研+0.7+1.3n.a.消費増税前の駆け込み需要と反動減は相応に発生したが、その影響は徐々に和らぎつつある。今後は、所得環境の改善と設備投資の緩やかな回復を背景に、14年度後半には再び成長軌道に戻り、15年度にかけ緩やかな回復基調が続くであろう。
農林中金総研+0.4+1.0n.a.14年度の実質成長率は0.4%、名目成長率は2.1%(前回6月時点の予測はそれぞれ1.1%、2.3%で、ともに下方修正)と予測する。この下方修正は4-6月期の成長率が想定より大幅に下振れたことによるものであり、年度内の景気シナリオに大きな修正はない。なお、名実逆転の解消は17年ぶりであるが、消費税率の引上げによる面が大きく、需給改善によって国内付加価値生産セクターでの価格転嫁能力が高まったことを意味するわけではない。ちなみに、13年度からのゲタは1.1ポイントであるが、年度の成長率(0.4%)がそれを大幅に割り込むことを考慮すれば、実態的にはマイナス成長で、景況感は悪化するとみられる。過去20年間で、経済成長率が前年度からのゲタを下回った年は景気後退局面であったことは留意すべきである。ちなみに、GDPデフレーターは前年度比1.7%(前回予測は同1.1%)の上昇を見込んだ。
15年度については、基本的に世界経済の緩やかな成長が進む中、輸出の増加傾向が継続するほか、成長戦略の実行などによる環境整備が徐々に進み、企業設備投資も引き続き増加傾向をたどるだろう。一方、消費税率が15年10月に10%に引き上げられることを前提とすれば、年度上期には13年度末ほどではないにしても民間消費や住宅投資には駆け込み需要が発生する。逆に、年度下期にはその反動減が出ることになる。その結果、15年度の実質成長率は1.0%、名目成長率は1.7%、GDPデフレーターは前年度比0.7%(前回はそれぞれ1.4%、2.0%、同0.6%)と予測した。
富士通総研+0.5+1.5n.a.駆け込み需要の反動減に伴うマイナス成長から脱却した後は、消費が増加基調に戻り、設備投資が勢いを増し、輸出も持ち直していくと考えられることから、2014年度、2015年度とも景気拡大は継続していくと見込まれる。2014年度の実質GDP成長率は0.5%、2015年度は1.5%になると予想される。
SMBC日興証券+0.5+1.6n.a.日本経済は緩やかに回復軌道に回帰していくと予想している。主な理由は3つある。1つ目は外部環境の改善、2つ目は自律回復を誘起する供給制約の高まり、3つ目は追加の経済政策である。
明治安田生命+0.4+1.1n.a.2015年度までの日本の景気回復ペースは、政府・日銀の予想を下回る鈍いものにとどまるとみている。大幅に落ち込んだ4-6月期の反動で、7-9月期の成長率は高めの伸びを予想するが、個人消費や輸出の伸び悩みを背景に、2014年度後半は再度伸びの鈍化を見込む。2015年度は、2度目の消費増税前後を均せば、潜在成長率をやや上回るレベルの推移を予想する。
富国生命+0.7+1.5n.a.前回の想定より実質購買力が著しく低下し、4-6月期の成長率が下振れたことなどを受けて、2014年度の実質GDP成長率は+0.7%と前回予測を0.4ポイント下方修正している。
東レ経営研究所+0.5+1.3n.a.2014年度の実質GDP成長率見通しを0.5%に下方修正した(前回より0.5ポイント引き下げ)。2015年度の成長率見通しは1.3%と、前回より0.2ポイント上方に修正した。「消費増税を乗り越え、先行き景気は緩やかに持ち直していく」という従来シナリオに変更はない。


8月13日発表の4-6月期1次QEの年率成長率▲6.8%を受けて、かなり大きく発射台が低くなりました。従って、特に今年度2014年度の成長率が従来の見通しに比べて下方修正されています。ただし、2015年度以降の成長率見通しに大きな変更はなく、+1%を少し上回る潜在成長率見合いの成長を実現できるとする見方が大勢を占めているような気がします。2015年10月からの第2段階目の消費税率引上げは、各機関とも問題なしとの判定が下されているようで、私は少し疑問が残らないでもありません。もう少し景気動向を見て先送りする選択肢も欲しい気がします。
成長率見通しを離れて、昨年から始まった日銀の異次元緩和による物価上昇率見通しについては、2年後に2パーセントをという日銀の物価目標を達成できると明示した機関は三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研だけでした。ただし、その他の機関についても、消費税率引上げの影響を除いて、少なくとも消費者物価上昇率はプラスに転じ、マイナスの物価上昇率という意味でのデフレ脱却は達成する、とする機関がほとんどでした。私が聞いている範囲の根拠のないウワサ話にも、リフレ派にも「物価が上がらずに景気がいいなら、なお結構」とうそぶくエコノミストがいるらしいです。専門知ならざる世間知としてはそうかもしれません。
最後に、対外収支については、見通し対象期間がせいぜい2-3年と短く、この期間では貿易収支は赤字を続ける一方で、貿易赤字を対1次所得収支の黒字が相殺して余りあることから、経常収支は安定した黒字に戻る、とする見通しが多かったように見受けました。経常収支については中長期見通しを参照する必要がありそうです。
下のグラフはニッセイ基礎研のサイトから引用した実質GDP成長率の推移です。ご参考まで。

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