2014年09月02日 (火) 19:30:00

毎月勤労統計に見る給与の伸びから何を読み取るべきか?

本日、厚生労働省から7月の毎月勤労統計が発表されています。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の統計で36万9846円と前年同月比+2.6%増を記録し、また、景気に敏感な所定外労働時間指数は季節調整済みの製造業の系列で前月から▲0.4%減と、消費増税が実施された今年4月から4か月連続で減少しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月所定内給与、0.7%増 2カ月連続増 給与総額は17年半ぶり伸び率
厚生労働省が2日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.7%増の24万2840円と2カ月連続で増加した。今年の春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップ(ベア)が広がり、支給額を押し上げた。
所定内給与は6月に、速報値に比べパートタイムの比率が高まる確報値でも0.2%増の24万2830円と、東日本大震災の反動で伸びた2012年3月(0.4%増)以来2年3カ月ぶりにプラスに転じていた。
ボーナスなどの特別給与は7月は7.1%増の10万7517円だった。残業代などの所定外給与は3.3%増の1万9489円。特別給与の伸びなどを受け、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比2.6%増の36万9846円だった。プラスは5カ月連続で、伸び率は1997年1月(6.6%)以来およそ17年6カ月ぶりの高さだった。
所定外労働時間は1.9%増の10.8時間。製造業の所定外労働時間は5.4%増の15.8時間だった。
一方、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は前年同月比1.4%減と13カ月連続で減少した。給与総額が増えたことで、減少率は6月(3.2%)から縮小した。


次に、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上のパネルは現金給与総額とその内の所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、下のパネルは季節調整した製造業の所定外労働時間を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、給与について、17年半振りに高い伸びとなったのは、主としてボーナスなどの特別給与が前年同月比+7.1%増と寄与が大きく、経済学的に消費に影響を及ぼす恒常所得に近い概念と考えられる所定内給与は+0.7%増と、相対的には小さい伸びとなっています。でも、上のグラフに見られる通り、所定内給与の前年同月比も6-7月で伸び率が急速に高まっている一方で、4月からの消費増税に伴う物価上昇に比較して実質賃金はむしろ低下しているのが読み取れます。所定内給与が+0.7%増、現金給与総額が+2.6%増ですから、帰属家賃を除くヘッドラインの消費者物価上昇率+4.1%には届きません。でも、わずかながらとはいえ、また、物価上昇には届かないとはいえ、ベースアップや非正規職員の正規化などにより、所定内賃金が着実に増加するようになれば、消費には一定の効果を持つものと期待してよさそうです。所定外労働時間については、7月の鉱工業生産が+0.2%とわずかながら増産に転じ、製造工業生産予測調査に従えば、先行きは8月が+1.3%、9月は+3.5%とそれぞれ増産の見込みとなっていますので、生産の伸びに伴って所定外労働時間も下げ止まりから上昇に向かうものと考えるべきです。残業手当の面から所得をサポートすると私は期待しています。

最後に、先週金曜日に鉱工業生産などとともに雇用統計を取り上げた際、「人件費アップに耐えられないために求人が減少している、という可能性」について言及しましたが、今日発表の毎月勤労統計を見て、個別企業のマイクロなレベルでは皆無とはいえなさそうな気がしますが、マクロではさすがにその可能性はほとんどないだろうとの結論に達しました。
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