2014年09月08日 (月) 19:53:00

4-6月期GDP統計2次QEは下方修正され消費増税ショックの大きさを確認!

本日、内閣府から4-6月期のGDP速報2次QEが、また、同じく内閣府から8月の景気ウォッチャー調査の結果が、さらに、財務省から7月の経常収支が、それぞれ発表されています。4-6月期の成長率は1次QEの年率▲6.8%から▲7.1%に小幅に下方改訂されています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4-6月期の実質GDP、年率7.1%減に下方修正
内閣府が8日発表した2014年4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は、消費増税が響き、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.8%減(速報値は1.7%減)だった。年率換算では7.1%減(同6.8%減)。8月13日発表の速報値から下方修正したが、内閣府は「速報段階で示された経済全体の姿については、だいたい同様の状況が確認された」とみている。
年率換算の減少幅は、東日本大震災のあった11年1-3月期(6.9%減)を超え、リーマン・ショックで景気低迷が続いていた09年1-3月期(15.0%減)以来21四半期ぶりの大きさだった。速報値の発表後に明らかになった4-6月期の法人企業統計などを反映した。
法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資は5.1%減(速報値は2.5%減)へ大幅に下方修正した。「運輸・郵便業や金融・保険業の減少が響いた」(内閣府)という。個人消費も5.1%減と、速報値の5.0%減からわずかに下振れした。商業販売統計などの確報を受け衣服や自動車が下がったためだ。
一方で石油製品の原材料在庫などの動向を加味した結果、民間の在庫寄与度はプラス1.4ポイント(速報値はプラス1.0ポイント)に上振れした。6月分の実績を加味した公共投資は0.5%減(同0.5%減)で速報値と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは0.2%減(速報値は0.1%減)、年率で0.7%減(同0.4%減)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比プラス2.0%(同プラス2.0%)で、09年7-9月期以来19四半期ぶりにプラス転換した。
8月の街角景気、現状判断は4カ月ぶり悪化 大雨や台風が影響
内閣府が8日発表した8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比3.9ポイント低下の47.4と4カ月ぶりに悪化した。消費増税による駆け込み需要の反動減は和らぎつつあるものの、大雨による広島市北部での大規模土砂災害や大型の台風など、天候不順が続いたことが影響した。
「雨が続き夏とは呼べないような天気で、通常は夏の売上高が一番高いが、前年比1割減で販売量が推移している」(九州のコンビニ)、「台風の影響を受けて直前でのキャンセルが発生し、客室稼働率は前年実績を下回る見込みだ」(沖縄の観光型ホテル)などの指摘があった。
ただ、駆け込み需要の反動減については「消費増税の影響が大きかった時計の売れ行きが回復傾向にあるなど、全体の販売量はほぼ前年並みに戻っている」(近畿の百貨店)といった前向きな声も聞かれた。
内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響も薄れつつある」に据え置いた。そのうえで「天候要因の影響がみられる」との表現を加え、先行きは「燃料価格の上昇への懸念などがみられる」と指摘した。
一方、2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は前月比1.1ポイント低下の50.4と、3カ月連続で悪化した。駆け込み需要の反動が薄らぐことに期待が集まる半面、燃料価格の上昇が懸念されるためだ。「燃料価格の高値状態が続き、経営は非常に苦しい。燃料価格の上昇は先行きの不安材料だ」(南関東の輸送業)などと、先行きを懸念するコメントが並んだ。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.7%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
7月の経常黒字4167億円、前年同月比30%減 市場予測も下回る
財務省が8日発表した7月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は4167億円の黒字だった。黒字は2カ月ぶり。海外での直接投資で受け取る配当金の増加などで第1次所得収支は改善したが、燃料輸入の増加を背景に貿易赤字が膨らみ、経常黒字は前年同月の6004億円から30.6%縮小した。QUICKが5日時点で集計した民間予測の中央値は4456億円の黒字で、市場予測をやや下回った。
7月の貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで8281億円の赤字。貿易赤字は13カ月連続。輸出額は自動車や金属加工機械などの輸出が伸び、全体では8.0%増の6兆2474億円。一方、輸入額は7.6%増の7兆755億円。原粗油や液化天然ガス(LNG)など燃料輸入を中心に輸入額が膨らんだ。貿易赤字は前年同月(7902億円の赤字)に比べ拡大した。
一方、旅行や輸送動向を示すサービス収支は4590億円の赤字で、前年(3356億円の赤字)から収支が悪化した。海外からの訪日旅行者数の増加で旅行収支が黒字化したものの、「知的財産権等使用料」の項目をはじめその他サービス収支の赤字が増え、赤字幅が拡大した。
第1次所得収支は1兆8531億円の黒字だった。海外での直接投資により現地企業などから受け取る配当金などが増え、黒字額は前年同月比で2.8%増加した。7月としては過去最大となったが、貿易・サービス収支で膨らんだ赤字が響き、経常黒字額は前年同月を下回った。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、さすがに3つの統計の記事を並べるとかなり長くなってしまいます。次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2013/4-62013/7-92013/10-122014/1-32014/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.8+0.4▲0.1+1.5▲1.7▲1.8
民間消費+0.7+0.2+0.4+2.0▲5.0▲5.1
民間住宅+2.1+4.7+2.4+2.0▲10.3▲10.4
民間設備+1.8+0.5+1.0+7.8▲2.5▲5.1
民間在庫 *(▲0.4)(+0.2)(▲0.1)(▲0.5)(+1.0)(+1.4)
公的需要+1.7+1.4+0.5▲0.7+0.2▲0.0
内需寄与度 *(+0.8)(+0.8)(+0.5)(+1.7)(▲2.8)(▲2.9)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.4)(▲0.6)(▲0.2)(+1.1)(+1.1)
輸出+3.1▲0.7+0.3+6.5▲0.4▲0.5
輸入+2.3+1.8+3.7+6.4▲5.6▲5.6
国内総所得 (GDI)+0.8+0.1▲0.1+1.1▲1.5▲1.6
国民総所得 (GNI)+1.4▲0.1▲0.1+0.8▲1.3▲1.4
名目GDP+0.3+0.4+0.2+1.6▲0.1▲0.2
雇用者報酬+1.7▲0.1+0.6▲0.6▲1.8▲1.9
GDPデフレータ▲0.6▲0.4▲0.4▲0.1+2.0+2.0
内需デフレータ▲0.3+0.4+0.5+0.6+2.4+2.4


テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4-6月期の最新データでは、前期比成長率が大きなマイナスであり、特に消費増税に伴う赤の民間消費のマイナス寄与が大きく、逆に、グレーの在庫と黒の外需がプラス寄与を示しているのが見て取れます。

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2次QEはわずかに1次QEよりも下方に修正されました。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比▲1.8%減、前期比年率で▲7.0%のマイナス成長でしたから、ほぼジャストミートといえサプライズはありませんでした。また、先週木曜日の2次QE予想のエントリーでも取り上げたように、設備投資が下方修正され、在庫投資が上方修正される、やや体裁のよくない後ろ向きの修正です。すなわち、需要項目の設備投資が下方修正され、在庫が積み上がっているという姿の修正となっています。従って、1次QEからそうなんですが、4月の消費税率引き上げのショックの大きさを改めて統計的に確認した、といえそうです。季節調整済みの前期比成長率で見て、1997年の消費税率引上げ時は1997年1-3月期の+0.7%から4-6月期の▲0.9%に落ちただけでしたが、今年については1-3月期の+1.5%成長から4-6月期の▲1.8%成長へ大きく落ち込んでいます。想定内であったか、想定外かは、各個人や企業や政府の想定がどのようなものであったかに依存しますが、少なくとも駆込み需要とその後の反動減1997年時の消費税率引上げよりも今年の方が大きかったと結論せざるを得ません。

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その駆込み需要と反動減の主役になったのが耐久財消費です。上のグラフは気絶調整済みの前期比で見た財別消費の伸び率の推移です。一目瞭然で、消費税率引上げ前には耐久消費財が大きく伸びて、その後は反動減で大きく減少を示しています。ちなみに、これも先ほどと同様に1997年時と比較すると、1997年1-3月期の耐久財消費は前期比で+4.5%伸びた後、4-6月期には▲11.4%の落ち込みとなりました。今年については、1-3月期で+13.0%増と大きな駆込み需要を示した後、4-6月期には▲19.3%減の反動減を記録しました。従って、この耐久消費財の伸び率を見ても1997年時よりも今年の方が消費増税ショックが大きかったと考えるべきです。

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ただ、この大きなマイナス成長はすでに過去の数字ですから、先行きを考える際に重要な指標のひとつが供給サイドのマインドを示す景気ウォッチャーです。上のグラフは景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。8月は現状判断DIと先行き判断DIがともに低下しています。足元の7-9月期の成長率は4-6月期の大きなマイナス成長に対応して、プラス成長に回帰することはほぼ確実で、2四半期連続のマイナス成長で定義される米国流のテクニカル・リセッションに陥る可能性は極めて小さいというのが大方のエコノミストのコンセンサスであろうと思いますし、私も同様なんですが、「谷深ければ山隆志」で大きくリバウンドしてV字回復するか、それともリバウンドが緩やかでL字回復になるか、見方は分かれる可能性があります。最近の指標、特に先週金曜日に発表されたCI先行指数やこの景気ウォッチャーなどを見ると、もちろん、天候条件などのイレギュラー要因も考慮する必要はありますが、今年年央から年末くらいまで、かなり緩やかな成長率にとどまる可能性が否定できないと覚悟すべきです。来年10月からの消費税率の再引上げについて、果たして、どのような判断が下されるか注目です。短期的な景気判断からすれば延期ないし見送りも視野に入る可能性はありますが、市場の反応や中長期的な国家財政を考慮すると予定通りの実施も十分にあり得ます。私はどちらかといえば、この程度の指標の悪化であれば、後者の予定通りに実施に近い考えです。

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最後に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが季節調整済みの経常収支を示しており、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。引用した記事が季節調整していない系列に基づいて記述しているのに対して、グラフは季節調整済みの系列をプロットしていますので、やや印象が異なる可能性があります。今年に入って、1-3月の消費税率引上げ前の駆込み需要に従って輸入が増加して経常収支は赤字化していたんですが、4月以降は7月まで4か月連続の黒字を記録しています。しかし、その黒字幅な縮小の方向にあるのがグラフから見て取れると思います。ただし、足元の7月は6月から横ばい圏内の動きで、我が国の景気よりむしろ欧州経済や新興国が停滞しているために輸出が伸び悩みを見せており、貿易収支の赤字幅がなかなか縮小されずに、ややもたついている感じがあります。
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