2014年12月06日 (土) 13:35:00

堅調な米国雇用統計の背景を探る!

日本時間の昨夜、米国労働省から米国雇用統計が発表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数と失業率は、それぞれ季節調整済みの統計で見て、前月から+321千人増加するとともに、失業率も前月と同じ5.8%を記録しています。まず、New York Times のサイトから記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

Big Job Gains and Rising Pay in Labor Data
Ever since the recovery from the Great Recession began more than five years ago, the most crucial missing pieces of the economic puzzle were the lack of consistently strong gains in hiring and better wages for most working Americans struggling to make ends meet. Now, at last, those pieces are starting to fall into place.
The Labor Department reported on Friday that employers added 321,000 jobs in November, a much stronger number than economists had predicted and the 10th consecutive month of net job gains above 200,000.
Even more significant was that the improving job market finally delivered a sharp jump in average hourly earnings for ordinary workers that was double the anticipated 0.2 percent increase.
The jobless rate itself stayed at 5.8 percent.
The pickup in wage growth comes as gasoline prices are plunging, providing a double boon for consumers and retailers with the holiday shopping season underway.
With one month still to go, the total increase in payrolls of 2.65 million is already the best annual figure since the late 1990s.


まずまずよく取りまとめられている印象があります。この後に、エコノミストへのインタビューなどが取り上げられていますが、長くなりますので割愛します。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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11月の非農業部門雇用者数の前月からの増加は+321千人でしたが、史上の事前コンセンサスは220-230千人くらいと見られていましたので、これをかなり上回るハイペースの雇用改善と受け止めています。さらに、さかのぼって改定される前2か月、すなわち、9月と10月もそれぞれ上方改定されていますから、米国の雇用はとても堅調と考えてよさそうです。堅調な雇用の背景には、NY株式市場で連日史上最高値を更新している株高の資産効果による家計消費の増加があります。実は、史上最高値とまではいきませんが、我が国でもハロウィーン緩和による円安と株高が続いており、年末年始の家計消費は株高などの資産効果と年末ボーナスの所得効果による増加を私は大いに期待しています。失業率もコンスタントに6%を下回るようになり、まだまだ下がり続けるとは思えませんが、米国連邦準備制度理事会が量的緩和を終了し、利上げに転じるに必要十分な水準に達したと私は考えています。ただし、この堅調な米国雇用に関して2点だけ疑問を呈すると、第1にパートタイム雇用の増加が多い点です。ヘルスケアやクリスマス商戦向けの小売などで短時間労働の雇用の比率が高まっています。雇用の質が高くないので、所得も大きく伸びるというわけにはいかないかもしれません。しつこいかもしれませんが、第2にバブルの危険があるかどうかです。量的緩和を含む金融緩和による株高などの資産効果で消費が増加しているわけですから、とても慎重なエコノミストであればバブルの危険を考慮すべき段階に達したかもしれません。しかし、少なくとも、欧州経済を見ている限りでは世界中の各国経済でブームを迎えているわけではないと実感されます。バブルかどうかは疑わしいながら、注視する必要があるかもしれません。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆に言えば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、コンスタントに2%のラインを上回るようになったと受け止めており、少なくとも、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。
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