2014年12月22日 (月) 21:58:00

長期停滞論はいかに経済モデル化されるか?

先週木曜日に経済学の最新の研究成果のひとつである国際通貨基金(IMF)のワーキングペーパーを紹介して、それなりに反響があった気がしますので、今夜もエコノミストの間で話題になっている最新の研究成果を取り上げたいと思います。長期停滞論に関する "A Model of Secular Stagnation" です。参照先は以下の通りです。


長期停滞論はサマーズ教授が2013年に自然利子率がマイナスなのではないかと主張し始めたことに端を発する論点であり、この論文は長期停滞論を理論モデル化しています。基本モデルは、各世代が若年・中年・老年の3期を生きる世代重複(OL)モデルであり、賃金が下方硬直的なために失業が発生しますので、いわゆるニュー・ケインジアン型のモデルとなっています。世代については普通に想定されるように、若年期に借入れをし、中年期で貯蓄した後、老年期にそれを取り崩します。当然ながら、マイナスの自然利子率を許容するモデルとなっています。しかし、誠に恥ずかしながら、私はこのペーパーをホントに完全に理解したかどうかは自信がありません。かなり難しい内容のペーパーです。ですから、著者の両教授の所属しているブラウン大学のサイトにアップされているペーパーそのものを読むか、あるいは、経済産業研究所(RIETI)のサイトの以下の小林教授の解説を読んでいただきたいと思います。参照先はそれぞれ以下の通りです。


なお、経済政策的にこの論文で重要と考えられるポイントをひとつだけ上げておくと、インフレーション・ターゲットの設定による金融政策では、完全雇用の下で名目金利がゼロになる完全雇用の定常状態均衡が生じるんですが、不完全雇用の定常状態均衡=デフレ均衡が残存し、すなわち、複数の定常状態均衡が存在する可能性が残され、必ずしも完全雇用均衡が達成されるとは限らないのに対して、課税もしくは国債発行による所得の世代間再分配を行う財政政策では不完全雇用の定常状態均衡=デフレ均衡は消滅し、完全雇用の定常状態均衡が必ず達成される点です。考えようによっては、金融政策よりも財政政策の方が完全雇用の定常状態均衡の達成に関しては、カギカッコ付きで「優れた政策」である可能性が示唆されているわけです。参考まで、下のグラフは財政政策による定常状態均衡のシフトについて概念的な整理をしています。ブラウン大学のサイトの論文の p.24 Figure 7: Effect of expansionary fiscal policy を引用しています。

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