2015年01月26日 (月) 19:23:00

2014年に最大の赤字幅を記録した貿易収支は早期に黒字転換するか?

本日、財務省から昨年2014年12月の貿易統計が発表されています。ヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない系列の前年同月比で+12.9%増の6兆8965億円、輸入額は+1.9%増の7兆5572億円に上り、差引き貿易収支は▲6607億円の赤字でした。また、2014年を通じた年間の貿易赤字は▲12兆7813億円を記録し、4年連続の貿易赤字、統計を取り始めて以来最大の赤字額を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字最大、14年12兆7813億円 下期は22.2%減
財務省が26日発表した2014年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は12兆7813億円の赤字だった。貿易赤字は4年連続。赤字額は13年(11兆4683億円)を上回り、現行基準で統計を遡ることができる1979年以降で最大となった。昨年4月の消費増税前の駆け込み需要などで上半期に輸入額が膨らんだことが影響した。
貿易赤字が過去最大を更新するのは12年以降3年連続。ただ14年下期(7-12月)は輸出に持ち直しの動きが出てきたほか、原油価格の下落で輸入額の伸びが抑えられ、貿易赤字額は前年同期比で22.2%減少した。半期ベースで赤字幅が縮小したのは10年下期以来となった。
14年の輸入額は前年比5.7%増の85兆8865億円だった。5年連続で増加し、これまで最大だった13年(81兆2425億円)を上回り、2年連続で過去最大を更新した。昨秋以降の原油価格下落の影響で原粗油は2.6%減ったが、液化天然ガス(LNG)が11.2%増、半導体等電子部品が17.4%増、パソコンなど電算機類が10.1%増と伸びが目立った。
地域別では米国からの輸入額が5年連続で増加したほか、欧州連合(EU)、アジアからの輸入額は過去最大となった。為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=105円30銭で、前年比8.7%の円安。輸入全体の数量指数は0.6%の微増にとどまったが、円安進行が輸入額を押し上げた。
輸出額は4.8%増の73兆1052億円で、2年連続で増えた。自動車が4.9%増、液晶デバイスを含む科学光学機器が9.6%増、金属加工機械の17.7%増などが目立った。地域別では対アジア、米国、EUのいずれも前年比で増加した。輸出全体の数量指数は0.6%増だった。
地域別の貿易収支は対米国が前年比0.1%減の6兆1077億円の黒字。対EUは3年連続赤字の5721億円となったが、赤字幅は縮小した。対アジアは貿易黒字を維持したものの、黒字額は51.3%減の9234億円と4年連続で黒字が縮小した。とくに、対中国の貿易赤字が前年比14.9%増の5兆7862億円と、過去最大となったことが影響した。中国とは輸出入額とも過去最大を更新した。
同時に発表した14年12月の貿易収支は6607億円の赤字だった。赤字は30カ月連続となったが、前年同月と比較した赤字幅は3カ月連続で縮小した。
輸入額は前年同月比1.9%増の7兆5572億円で、12月としては過去最大。輸出額は12.9%増の6兆8965億円だった。原油価格が低下した影響で、原粗油の輸入額は前年同月比22.0%減少。輸入額の伸びが抑えられ、貿易収支の改善につながった。


やや通年の統計に重きを置き過ぎているきらいもありますが、いつもの通り、とてもよく取りまとめられている記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、2014年通年では過去最高の貿易赤字だったかもしれませんが、上のグラフの下のパネルの季節調整済みの系列のグラフを見れば明らかな通り、昨年2014年の後半から足元にかけての最近時点の月次の統計では、輸出が伸びて輸入が減少するという形での貿易収支の赤字幅の減少が生じていることが読み取れます。輸出の増加は、特に12月統計では、価格面と数量面の両方で生じています。輸入額の減少は国際商品市況における原油価格の大幅な下落に起因する部分が大きいと受け止めています。ですから、昨年2014年通年で見た統計史上最大の貿易赤字からの静学的な期待をもって先行きを見ると大きく見誤ることになりかねません。例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは12月の貿易赤字が予測の中央値で▲7351億円、レンジで▲9414億から▲6016億円でしたから、実績の貿易収支は市場の事前コンセンサスからはかなり上振れしています。逆に、気の早いエコノミストは、現状の原油価格と為替が続けば2月にも貿易収支は黒字転換する、との見通しを明らかにしている人もいたりします。現時点で利用可能な情報から、原油安の日本への波及が私はやや遅いと感じており、そこまで急速に貿易収支が黒字化するとは考えていませんが、月次の統計で見て2015年中に貿易赤字を脱却する可能性はあると予想しています。

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次に、輸出の動向は上のグラフの通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額指数の前年同月比を数量指数と価格指数で寄与度分解したものであり、下のパネルは輸出数量とOECD先行指数(OECD/CLI)のそれぞれの前年同月比をプロットしています。ただし、OECD先行指数は1か月だけリードを取っています。下のパネルに見る輸出数量はOECD/CLIの伸びが低下してゼロ近傍になりながら、我が国からの輸出のウェイトの高い米国経済の好調な動向を受けて、最近時点では前年同月比でプラスを記録することが多く、価格面では円安が輸出額の押上げに寄与しています。米国経済がこのまま好調を持続させ、欧州経済が欧州中央銀行(ECB)の量的緩和政策により上向くと仮定すれば、我が国からの輸出に所得面からプラスに寄与することは明らかです。価格面では円安の効果がありますが、昨年のハロウィン緩和に伴うJカーブ効果はまだ少し残るかもしれません。

まだ3週間先ですが、2月16日には昨年2014年10-12月期のGDP速報1次QEが公表される予定となっています。GDPコンポーネントの外需は貿易統計だけで決まるものではありませんが、輸出入の動向だけ見ると、これだけで+2%近い外需寄与がありそうに見えます。
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