2015年04月15日 (水) 19:30:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) 見通し編を読む!

今週末からのIMF世銀総会を控えて、日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) 見通し編である第1章と第2章が公表されています。もちろん、全文リポートのpdfファイルもアップされています。このブログの特徴のひとつは国際機関の経済リポートを取り上げることですし、第2章は地域経済見通しですので、第1章に絞って図表を引用しつつ簡単に紹介しておきたいと思います。まず、IMF Survey Magazine のサイトからリポートのポイントを3点引用すると以下の通りです。

World Economic Outlook: Uneven Global Recovery, Complex Underlying Currents
  • Global growth forecast unchanged at 3.5 percent this year and 3.8 percent in 2016
  • Growth diverges: stronger in advanced economies, lower in emerging economies
  • Macro risks decreased, but financial and geopolitical risks increased


続いて、同じくIMF Survey Magazine のサイトから経済見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、下の画像をクリックすると、別タブか別ウィンドウにてリポートの p.2 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抽出したpdfファイルが開くようになっています。主要国の成長率のほか、貿易、商品価格、消費者物価、金利などが一覧できます。

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前回の今年2015年1月の「改定見通し」からの変更点について成長率だけを見ると、ほぼ変更なしということになり、先進国と新興国・途上国に分けても同様なんですが、時系列的に昨年から今年への傾向を見ると、先進国でやや成長が加速し、新興国・途上国で減速、というように受け止めています。その要因は国際商品市況における原油価格の下落の影響が先進国と新興国・途上国で異なるからです。すなわち、先進国の成長率が昨年の+1.8%から今年は+2.4%に上昇するなど、先進国が今年2015年の世界経済の成長の牽引役となることが指摘されています。今年1月の「改定見通し」からは下方修正されたものの、米国の成長率は今年から来年にかけて+3%を超える水準に達すると予測されています。ユーロ圏でも原油価格の下落、低金利、ユーロの減価に支えられ、今年から来年にかけて+1%台半ばの成長が見込まれるなど、回復の兆しを見せています。日本では消費増税ショックが大きく2014年はマイナス成長を記録したものの、円安と原油価格の下落に後押しされて、2015-16年には+1%程度まで成長が好転すると予想されています。
逆に、多くの新興国・途上国の成長見通しは今年から来年にかけてやや減速すると見込まれています。成長率は2014年の+4.6%から2015年は+4.3%まで鈍化すると予想されており、原油価格低下を含めてさまざまな要因が指摘されています。すなわち、まず、原油価格の下落により、原油輸出国の成長は急減速し、中でも地政学的緊張にあるロシアなどがこれに当てはまる可能性が高いとされており、ロシアでは今年2015年は▲3.8%のマイナス成長が予想されています。また、注目を集める中国では政策当局が与信と投資の最近の急激な伸びに起因する脆弱性の軽減を重視した政策を採用しており、このため、投資、中でも不動産投資がいっそう鈍化すると見込まれていることから、昨年2014年の成長率+7.4%から、今年2015年は+6.8%、来年+6.3%と、引き続き成長率は高いものの、徐々に減速するシナリオが示されています。

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続いて、先行きリスクについて考えるため、リポートの p.19 Figure 1.12. Risks to the Global Outlook を引用すると上の通りです。一番上のファンチャートを見れば、昨年4月の見通しから1年を経て、成長率見通しの90%の信頼区間が狭まっているのが見て取れると思います。特に、下方リスクが上方リスクに比べて小さくなっています。他の条件が変わらないとの条件の下で、成長率は高いほど望ましいと仮定すれば、成長率の下方リスクが減じているのは望ましい、ということになります。ただ、依然として大きな下振れリスクが残っていることも事実です。また、欧州の景気後退やデフレなどのマクロ経済リスクは減少している一方で、為替変動に起因する金融リスクや原油価格にも関連する地政学的リスクは上昇しているとも指摘しています。

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最後に、上のグラフはリポートの p.20 Figure 1.13. Recession and Deflation Risks を引用しています。昨年10月の見通し時に比べて、大雑把に、景気後退確率は先進国で低下する一方で、新興アジアは別にして、中南米などの新興国・途上国では上昇しています。ただし、先進国の中で景気後退確率が高いのは欧州・日本・米国となっており、下のパネルのデフレの確率と同じ順です。日本と欧州でデフレの確率がやや高まっているのは原油価格下落の影響だと受け止めています。

最後に、日本の景気回復を支える要因として、リポートでは p.14 で以下の通り、円安・株高とともに実質賃金の上昇が上げられています。私と同じ見方かもしれませんが、何らご参考まで。

The gradual pickup reflects support from the weaker yen, higher real wages, and higher equity prices due to the Bank of Japan's additional quantitative and qualitative easing, as well as lower oil and commodity prices.
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