2015年06月01日 (月) 19:26:00

法人企業統計は引き続き堅調な企業部門を反映!

本日、財務省から1-3月期の法人企業統計が発表されています。季節調整していない原系列のベースで統計のヘッドラインを見ると、売上高は前年同期比▲0.5%減の343兆5978億円ながら、経常利益は+0.4%増の17兆5321億円、設備投資は+7.3%増の13兆1294億円をそれぞれ記録しており、収益をはじめとする堅調な企業活動がうかがい知れます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです

設備投資、1-3月前年比7.3%増 8四半期連続で増加
法人企業統計

財務省が1日発表した2015年1-3月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比7.3%増の13兆1294億円と、8四半期連続で増加した。金額ベースではリーマン・ショック前の2008年1-3月期以来、7年ぶりの高水準。伸び率は14年1-3月期(7.4%増)以来1年ぶりの大きさだった。円安に伴う企業業績の改善などを背景に、資金を設備投資に充てる動きが続いた。
産業別の設備投資の動向は、製造業が6.4%増と3四半期連続で増加。新型車向けに生産能力を増強した輸送用機械や、工場の生産自動化システム向けの投資を増やした電気機器などで増えた。非製造業は7.8%増と、プラスは8四半期連続。卸売業による物流センター建設や、宿泊業でのホテル改修などが投資額を押し上げた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるため注目が高い「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で5.8%増えた。伸び率は10-12月期(0.9%)から拡大した。内訳は製造業が前期比2.3%増、非製造業は7.6%増だった。
全産業の売上高は前年同期比0.5%減の343兆5978億円と、7四半期ぶりに減収となった。製造業が3.9%減る一方、非製造業は0.9%伸びた。前年同期に消費増税前の駆け込み需要が膨らんだ反動が出て、食料品や家電などの分野で売り上げが減った。
経常利益は0.4%増の17兆5321億円と、比較可能な1954年4-6月期以降で過去2番目の高水準だった。プラスは13四半期連続。うち非製造業は1.2%増えた。運輸業で堅調なトラック輸送が寄与したほか、電力では電気料金引き上げによる収支改善もあった。一方、駆け込みの反動などで製造業は1.3%減った。
財務省は今回の結果について「景気の緩やかな回復基調が続いている経済全体の動向を反映した」とみている。同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が8日に発表する15年1-3月期のGDP改定値に反映される。


いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、今年の1-3月期の企業活動は、季節調整済みの系列で見て、売上げや経常利益が前期比マイナスを記録しているものの、基本的には外需に起因すると私は考えています。すなわち、中華圏の春節や米国における冬季の異常気象や西海岸港湾における労使紛争などの影響です。ですから、先週金曜日に公表された鉱工業生産指数と同じように企業活動はやや踊り場的な局面に入りつつある可能性があるものの、本格的な景気後退局面ではない可能性が高いと受け止めています。米国経済はすでに最悪期を脱したと考えられますし、外需ではギリシアの債務返済に起因する欧州経済の動向と中国経済に懸念が残る形となっています。夏場以降はボーナスをはじめとして所得の増加が実感できるようになれば、消費の回復とともに内需主導の景気回復の経路が開けると期待してよさそうです。さらに、この法人企業統計でも人手不足もあって設備投資がいよいよ増加する局面に近づいた印象があります。いうまでもありませんが、円安が輸出を通じて主として製造業に恩恵をもたらした一方で、消費や設備投資などに牽引された内需の回復は非製造業へのサポートになると考えるべきです。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はバブル経済の末期の匹敵する水準まで低下しました。また、最初にお示ししたグラフでは季節調整済みの設備投資はこの1-3月期にかなり増加したような形になっているものの、キャッシュフローとの比率で見れば50%台後半で大きく増加したわけではありません。逆から見て、賃金も設備投資もまだまだ増加余地が残されていると考えられます。

最後に、これらの法人企業統計を大雑把に見て、来週公表予定の1-3月期2次QEでは設備投資が素直に上方修正されるものと予想しています。そのうち、2次QE予想がシンクタンクなどから出そろったら、日を改めて取り上げたいと思います。
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