2015年06月30日 (火) 19:22:00

毎月勤労統計から雇用の質の改善は読み取れるか?

本日、厚生労働省から5月の毎月勤労統計が公表されています。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列で見て前年同月比+0.6%の増加を示し、景気と相関の高い所定外労働時間は季節調整済みの系列で前月から▲1.7%の減少を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

給与総額、5月は0.6%増 実質賃金、0.1%減 毎月勤労統計
厚生労働省が30日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額(名目賃金)は前年同月比0.6%増の26万8389円だった。増加は2カ月連続。基本給やボーナスの堅調な伸びが寄与した。今春の労使交渉では自動車や電機など好業績の企業を中心に昨年を上回る賃上げが広がった。一方、物価変動の影響を除いた実質賃金指数は0.1%減と25カ月連続で減少した。
基本給や家族手当にあたる所定内給与は0.3%増の23万9897円で、3カ月連続で増加した。昨年を上回るベースアップ(ベア)となった今春の労使交渉の結果が徐々に反映され始めている。
ボーナスにあたる特別給与は19.3%増の9664円。業績が持ち直した一部企業で夏季賞与が前倒しで支給されたようだ。ただ、足元では生産が弱含んでおり、残業代など所定外給与は1.6%減の1万8828円となった。
所定外労働時間は1.7%減の10.6時間。製造業の所定外労働時間は1.3%減の14.7時間だった。
一方、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は0.1%減と25カ月連続で減少。消費増税による物価押し上げの影響が一巡し、減少率は縮小したものの、賃金の伸びが物価上昇に追いついていないことを改めて示す結果となった。厚労省は実質賃金について「改善傾向で推移しているが、今後の動向を注視したい」としている。


いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下のパネルは製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、所定外労働時間については、昨日発表の鉱工業生産指数の動きと整合的であり、5月統計では前月比で▲1.7%減となりました。労働は生産の派生需要ですから、昨日発表された鉱工業生産と整合的な動きと考えています。また、賃金については、引用した記事にもある通り、ベースアップの結果が少しずつ反映され始めているように受け止めていますが、まだまだ動きが緩やかで、特に、5月はパートタイム労働者の給与が減少したことから、名目では4月に続いて前年同月比でプラスを記録したものの、実質ではマイナスが続いています。ただ、上のグラフの太くて色の濃い所定内給与の前年同月比で見る限り、賃金もジワジワと上向きになっているのが読み取れようかと思います。足元で労働市場はほぼ完全雇用に近い状態になっていると私は考えていますので、先行き賃金がさらに上昇する局面が近づいていると考えるべきです。4月ころから日本経済が踊り場入りしているのは賃金動向にとって気にかかるところですが、景気の回復ないし拡大の継続により賃金上昇から消費拡大への経路が開け、我が国経済の好循環が実現する可能性も十分ありそうな気がします。その第一歩は夏季ボーナスなのかもしれません。ボーナスの増加が実感され、消費に回る可能性は十分あります。ただ、消費者が企業のように債務返済に資金を回すようであれば、好循環のサイクルが実現しない可能性もあり得ます。

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先週の雇用統計の発表から、私自身も動労市場は完全雇用に近づいている可能性を感じていますが、その一つの指標として、毎月勤労統計からいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の前年同月比伸び率をプロットした就業形態別の雇用の推移が上のグラフです。5月統計でもパートタイムの伸び率の方が高いんですが、徐々に伸び率が低下しているように見える一方で、フルタイムの伸び率が少しずつ上昇幅を拡大しており、両者がかなり接近しているのが見て取れようかと思います。賃金の伸びはまだ物足りませんが、パートタイムが増加しているというものの、フルタイムも伸びを高めているという意味で、少しずつ雇用の質が改善しつつあるのは確かです。
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