2016年01月19日 (火) 19:29:00

政府観光局統計に見る訪日観光客の動向やいかに?

本日、政府観光局(JNTO)から12月の訪日外客数統計が公表されています。12月統計とともに2015年通年の推計値も同時に公表されています。2015年12月の訪日外客数は前年同月比+43.4%増の1773千人、2015年通年では前年比47.1%増の19,737千人と1970年大阪万博の年から45年振りに訪日外客数が出国日本人数を上回って逆転しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

訪日外国人、12月は前年比43.4%増の177万3100人 中国客の伸び拡大
日本政府観光局(JNTO)が19日発表した2015年12月の訪日外国人客数(推計値)は、前の年と比べ43.4%増の177万3100人だった。12月としての最高を更新した。訪日中国人客数は前の年と比べ82.7%増の34万7100人。15年11月の75.0%増から伸び率が拡大した。外国為替市場で円相場が安値圏で推移し、日本での買い物に割安感があるほか、査証(ビザ)の発給要件の緩和、航空路線の拡大などの条件が重なった。
全ての国・地域の15年累計では前の年から47.1%増え1973万7400人だった。過去最多だった14年累計の1341万人を上回った。出国する日本人は4.1%減の1621万人で、45年ぶりに訪日客数が出国日本人を上回った。政府は従来、20年に2000万人を目標にしていたが、上積みを検討している。
特に訪日中国客は約2.1倍の499万3800人。500万人目前まで増え、訪日客全体の25%を占めた。韓国、台湾、香港と続き、これら4つの国・地域で72%を占めた。欧米各国も含む主要20地域では、ロシアを除く19地域で最高を更新した。
同日観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査(速報値)によると、15年累計の訪日客の旅行消費総額は前の年から71.5%増の3兆4771億円だった。過去最高だった14年の2兆278億円を上回った。1人当たりの旅行支出は17万6168円だった。


いつもながら、簡潔のによく取りまとめられているという気がします。次に、主要な国別の訪日外客数の伸び率の推移のグラフは以下の通りです。赤い折れ線グラフが合計の訪日外客数増減率の推移を示しており、他は凡例の通り色分けされた国別です。

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繰り返しになりますが、12月の訪日外客数は前年同月比で+43.4%増の1773千人と大きく増加を示しています。昨年2015年についても最後にグラフを出国日本人とともにプロットしてありますが、前年比+47.1%増となり、1-6月の上半期+46.0%増、7-12月の下半期+48.1%増でしたから、月々の細かな変動をならせば、ほぼ1年を通じて50%近い伸びを続けたことになります。引用した記事にもある通り、アジア各国でのビザ発給要件の緩和などの要因もありますが、その背景となっているのはアジア各国での所得の増加であることはいうまでもありません。その中でも所得の増加が大きい中国からの訪日外客数の伸びが高くなっているのは当然です。この所得要因に加えて、価格要因もあります。円の減価、すなわち、円安です。ただ、最近時点でメディアで盛んに報じられている通り、中国の人民元が減価を続けており、原油価格の低下とともに世界の金融市場の不安定化をもたらしていますが、私の直感ながら、アジアからの訪日外客については為替の価格要因よりも所得要因の方が大きそうな気がします。その意味で、中国の成長鈍化は人民元の減価よりも影響が大きそうな気がしています。

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続いて、上のグラフは年データで訪日外客数と出国日本人数の推移をプロットしています。データの利用可能な最初の1964年から直近の直近の2015年までです。最初に書いた通り、大阪万博が開催された1970年以来45年振りに訪日外客数が出国日本人を上回りました。なお、訪日外客の国別シェアは、中国からが499万人とほぼ4人に1人に上り、韓国・台湾・香港を加えた4国・地域の東アジアで72%を占め、さらに、タイなどの東南アジア+インドが11%、103万人に達する米国をはじめとする欧米豪で13%などとなっています。なお、このブログでは短期の景気循環を見るために月次データやせいぜい四半期データに着目していて、各種メディアほど年データには焦点を当てないので、ご参考まで。

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最後に、政府観光局ではなく、国土交通省観光庁の統計で、訪日外国人消費動向調査の結果も同時に公表されています。昨年2015年10-12月期の四半期統計と2015年通年の年次統計です。統計のヘッドラインは最初に引用した記事の通りですが、記者発表資料から【図表1】旅行消費額と訪日外国人旅行者数の推移 を引用すると上の通りです。2015年の訪日外国人全体の旅行消費額は3兆4,771億円と推計されており、前年比+71.5%増を記録しています。単純に計算してもGDP比で+0.2%から+0.3%に上る経済効果を持っています。訪日外国人旅行者数は1,974万人と前年比+47.1%増と大きく伸びた一方で、1人当たり旅行支出も17万6,168円と前年に比べ+16.5%増加したため、掛け算で決まる訪日外国人全体の旅行消費額が大幅に増加しています。メディアの報道などで「爆買い」と称され、昨年の新語・流行語大賞を授賞されたことはよく知られている通りです。

つい先ほど、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update が公表され、世界経済の成長率が10月時点の見通しからやや下方改定されています。日を改めて取り上げたいと思います。
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