2016年01月28日 (木) 19:23:00

2か月連続で前年割れした商業販売統計に見る消費は大きな不振に陥ったのか?

本日、経済産業省から12月の商業販売統計が公表されています。商業販売統計のうちヘッドラインとなる小売業販売は季節調整していない原系列の前年同月比で▲1.1%減の13兆3640億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の小売業販売額、前年比1.1%減 15年は4年ぶり前年割れ
経済産業省が28日発表した2015年12月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.1%減の13兆3640億円だった。マイナスは2カ月連続。減少率は同年11月と同じだった。季節調整済みの前月比では0.2%減。経産省は小売業の基調判断を「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」に据え置いた。
業種別では、原油安による石油製品の価格低下の影響で、燃料小売業の販売額が前年同月から16.3%減った。自動車や機械器具もマイナスだった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店の販売額は0.9%増の2兆924億円で2カ月ぶりに増えた。既存店ベースでは0.0%増だった。既存店のうち百貨店は0.3%増、スーパーは0.2%減。コンビニエンスストアの販売額は5.1%増の9718億円だった。
併せて発表した15年通年の小売業販売額は前年比0.4%減の140兆6740億円だった。4年ぶりに前年割れした。


いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。なお、影を付けた部分は景気後退期です。

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市場の事前コンセンサスでは、小売業販売は前年比で小幅のプラスという見方もあったんですが、結局、2か月連続の前年割れですから、かなり不振な内容と見る向きもあるかもしれませんが、基本は統計作成官庁である経済産業省の基調判断である「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」ということではないかと私は受け止めています。というのは、ここでも国際商品市況における石油価格の低下が影を落としているように見えるからです。2014年と2015年のそれぞれ12月の小売業販売額の差は▲1460億円なんですが、うち燃料小売業の減少幅が▲2150億円あって、寄与率が100%を超えています。数量の寄与か、価格の寄与かは統計だけからは判然としませんが、石油価格の低下が小売販売の減少にも寄与しているのは間違いありません。加えて、暖冬という気象条件に起因して、機械器具小売業におけるエアコンや暖房器具の伸び悩みも見られますし、あるいは、自動車小売業の軽自動車や輸入車の販売不調などは、一部にガソリン安と円安が影響していそうな気がしています。1月には東京でも積雪があり、交通マヒは困りものですが、今週あたりは全国的に気温がかなり下がりましたので、暖冬要因による小売販売不振が緩和された可能性が十分あり、私なんぞは冬物衣料や暖房器具などの売れ行きに注目していますし、ボリュームは小さいものの、スキー・スケート用品も売れ始めているのかもしれません。ということで、12月統計をもって小売業が大きな不振を極めているとは私は見ていません。ただし、2か月連続の前年割れは石油価格の低下の影響もありますが、他方で、好調だったとウワサされている年末ボーナスはどこに行ったのか、が気にかからないでもありません。まだ2017年4月からの2段階目の10%への消費税率引き上げに備えるには時期的に早いでしょうし、ひょっとしたら、給与統計については実感からかなり大きな下振れを示している毎月勤労統計が正しいのかもしれないと思わないでもありません。

最後に、外国人観光客によるインバウンド消費については、中国の人民元が対ドルや対円でかなり減価を示しており、どこまで我が国における小売業のマイナス要因となるかが潜在的に不透明要因と私は受け止めています。ただし、中国富裕層の日本におけるインバウンド消費は為替レートにどこまで影響を受けるかは私には不明です。人民元の減価はインバウンド消費に長期的にはマイナスであることは明らかですが、短期的には貿易収支におけるJカーブ効果のような影響もあり得ますし、中国における富裕層の所得の増加率や富裕層人口の広がりなどを考え合わせれば、為替の減価によるインバウンド消費に対する負のインパクトは相殺される可能性もあり、今のところ私の理解がはかどりません。
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