2016年02月06日 (土) 08:33:00

1月の米国雇用統計はやや物足りない数字か?

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+151千人の増加にとどまった一方で、失業率は前月から0.1%ポイント低下して4.9%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Wages Rise as U.S. Unemployment Rate Falls Below 5%
Is the American worker finally getting a raise?
After years of scant real gains despite steadily falling unemployment and healthy hiring, wages picked up significantly last month, a sign the job market could be tightening enough to force companies to pay more to attract and retain employees.
The half a percentage point increase in average hourly earnings in January was the brightest spot in a generally positive Labor Department report on Friday, which showed job creation slowing from the white-hot pace of late 2015 even as the unemployment rate fell to an eight-year low of 4.9 percent.
The last six months were the best extended period for employee paychecks since the recovery began six-and-a-half years ago.


この後、さらにエコノミストなどへのインタビューが続きます。タイトルに見られるように、量的な雇用拡大よりも質的な賃金上昇に重点を置いた記事ですが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国連邦準備制度理事会(FED)の金融政策の方向を占う判断材料のひとつとなる米国の雇用者増は12月の262千人から1月は151千人と急激に減速しています。日本でもお正月明け早々の株式市場が連日大きく下げましたし、中国をはじめとする新興国の景気減速や国際商品市況における石油価格下落などを受けて、我が国だけでなく米国景気も減速を示しているようです。1月の雇用統計ばかりでなく、先週1月29日に米国商務省から公表された昨年2015年10-12月期のGDP成長率も年率で+0.7%にとどまったのは広く報じられたとおりです。FEDは今年から来年にかけて、年4回25ベーシスずつの金利引き上げで、年間を通じて100ベーシス、すなわち、1%の金利引き上げを予定していると多くのエコノミストに考えられていると私は理解していますが、3月15-16日の連邦公開市場委員会で利上げするのか、それとも4月27-27日になるのか、さらにその先の6月14-15日になるのか、景気の現状からは見通し難く不透明感が残ります。ただし、景気減速一本槍と見るのが正しいかどうかも疑問が残ります。例えば、米国労働省統計では12月の雇用増+262千人から1月は+151千人へと大きく減速しているように見えますが、労働省統計の先行指標となるADP統計では12月+267千人から1月+205千人ですから、それほど大きな減速とは考えられません。また、業種別に見て、サービス部門の一時雇用者が減少していることをもって雇用調整が始まったように受け止めているエコノミストもいるようですが、小売業や飲食業などが雇用を増加させているのは個人消費の底堅さを反映しているのではないかと私は理解しています。もっとろ、このようにややビミョーな部分が残るものの、もちろん、GDP成長率も雇用統計も米国景気の減速を示していることは事実でしょう。

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また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、まずまず、コンスタントに+2%のラインを上回って安定して推移していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。
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