2016年04月05日 (火) 19:26:00

毎月勤労統計に見る雇用の質的改善は賃金よりも正規雇用の増加に現れるか?

本日、厚生労働省から2月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない系列の前年同月比で見て+0.9%上昇して消費者物価上昇率を上回り、景気に敏感な製造業所定外労働時間は季節調整済みの前月比で▲2.8%の低下を示しています。また、同時に昨年年末賞与の統計も明らかにされており、2015年年末賞与の平均は370,367円となり、前年比▲0.3%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質賃金、4カ月ぶりプラス 2月0.4%増
厚生労働省が5日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月より0.4%増えた。プラスとなるのは4カ月ぶり。基本給や残業代が増えたが、伸び幅は小さく、賃金増加が今後も続くかは見通せない。
名目賃金にあたる2月の現金給与総額は前年同月比0.9%増の26万2558円となった。プラスとなるのは4カ月ぶり。内訳を見ると、基本給にあたる所定内給与は同0.6%増の23万9123円、残業代などの所定外給与も同0.4%増の1万9541円だった。
2015年末のボーナスの集計も発表した。1人当たりの平均で37万367円と、14年末と比べて0.3%減った。


いつもよりやや短いように感じるんですが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。順に、上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、まん中のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与の季節調整していない原系列の前年同月比を、下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用指数の推移を、それぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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グラフのポイントについて、順に上から見ていくと、まず、景気に敏感な製造業の所定外労働時間は季節調整済みの指数で昨年2015年11月と12月に連続して低下した後、何と鉱工業生産指数に連動して今年2016年1月は上昇しましたが、今日発表の2月統計では低下を示しています。鉱工業生産などの企業活動に沿った整合的な動きと私は考えています。その一方で、ちょうど1週間前の3月29日に公表された雇用統計では、引き続き雇用が堅調であり、人手不足が続いていることが明らかにされ、雇用の質的な改善が進む方向にあることは明らかです。季節調整していない系列の前年同月比で見た現金給与総額の上昇、特に消費者物価上昇率を上回っての実質賃金の改善は人手不足を背景にしていることはいうまでもありません。ただし、今春闘でのベースアップは、先週金曜日の4月1日付けで連合から春闘の現段階での回答状況「2016 春季生活闘争 第3回回答集計結果について」が明らかにされていて、定昇込みの賃上げで6,239円、+2.09%と集計されており、昨年同時期の6,944円、+2.33%をやや下回っているようです。足元での企業活動の停滞を考慮すれば、止むを得ない結果かもしれませんが、政府が「同一労働同一賃金」を目標に掲げていることもあって、非正規雇用の賃金などの待遇の底上げが図られる可能性は十分あるんではないかと私は期待しています。3段目の一番下のパネルについては、季節調整していない原系列の統計ながら、最近時点でパートタイムの雇用が減少に転じている可能性が示唆されていると私は受け止めています。他方、フルタイムの雇用は堅調に増加を示しており、雇用の質の改善に関しては、賃上げよりも正規雇用の増加の方が早く始まる可能性があるのかもしれません。

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最後に、今月の統計発表では月次統計とともに昨年2015年年末ボーナスの結果が特別集計されています。上のグラフの通りであり、調査産業の平均で2015年年末賞与の平均は370,367円となり、前年比▲0.3%減を記録しています。夏季ボーナスの際の大きなマイナスにも多くのエコノミストから疑問が表明されたんですが、年末ボーナスもトピックを見る範囲では増加だったんではないか、と私は直観的に感じており、小幅ながらマイナスの統計にはやや疑問を禁じ得ません。なお、上のグラフの3枚目の一番下のパネルの産業別の前年比なんですが、実は、「鉱業,採石業等」ではグラフを突き抜けて▲25.4%を記録していますので付け加えておきます。
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