2016年06月09日 (木) 21:57:00

4月の機械受注の大きな減少をどう考えるか?

本日、内閣府から4月の機械受注が公表されています。設備投資の先行指標となり、電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済みの系列で前月比▲11.0%減の7963億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、4月は前月比11%減 減少率1年11カ月ぶりの大きさ
内閣府が9日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べて11.0%減の7963億円だった。前年実績を2カ月ぶりに下回った。単月の減少率は2014年5月以来、1年11カ月ぶりの大きさだった。QUICKの市場予想(3.7%減)も大幅に下回った。
機械受注の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた上で「4月の実績は大きく減少した」とし、単月の落ち込みに触れた。内閣府は「3月に相次いだ大型案件の反動減が大きい」と指摘。中国の景気減速や円高進行も受注鈍化につながっているとの見方を示した。4月は民需のほか、官公需や外需、代理店を通じた受注額も減った。
製造業からの受注額は13.3%減の3329億円で、2カ月ぶりにマイナスとなった。業種別では非鉄金属からの原子力原動機や化学機械、造船業では内燃機関や火水力原動機などの受注が減った。非製造業は3.9%減の4750億円と、減少は2カ月連続。火水力原動機や航空機、電子計算機などの受注が減った。4月の熊本地震に関しては「大きな影響は見られていない」(内閣府)という。
内閣府による4-6月期の見通し(前期比3.5%減)を達成するには、5月以降に前月比8.0%以上の伸びが必要になるとしている。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、引用した記事にもある通り、コア機械受注の季節調整済みの系列で前月比▲3.7%減を中央値とし、レンジの下限でも▲10.8%でしたから、▲11.0%減の実績は予想を大きく下回りました。統計作成官庁である内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」と示しています。私もここまでブレが大きいと評価に苦しみます。4月単月の減少であって循環的な動きの中の回復過程における超一時的な突発事故なのか、それとも、新興国経済の停滞や円高の進行といった国際要因に消費低迷などの国内要因を合せて、回復過程にある循環を腰折れさせるような現象なのか、何とも現時点では判断できません。こんな時こそエコノミストの傾向的な考えが出るような気がします。すなわち、従来から楽観的な見方を示している私のようなエコノミストは、4月の機械受注の動きは単月の突発事項であり、循環的な回復過程を腰折れさせるものではないと考えるバイアスがありますでしょうし、逆に悲観的な見方を提供するタイプのエコノミストからは、回復過程を腰折れさせる可能性が高いとの分析結果が出そうな気がします。予測を行うに際しては、経済学が科学として未熟な学問体系であることから、確定的な結論を得るのが難しくなっているのは事実なんでしょう。私は判断をパスするもの一案かという気がします。
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