2016年10月31日 (月) 21:52:00

どうにも冴えない鉱工業生産指数と商業販売統計から何を読み取るべきか?

本日、経済産業省から9月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比横ばい、小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で見た前年同月比で▲1.9%減と、引き続き冴えない結果に終わりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の遠下りです。

鉱工業生産、9月は横ばい 民間予測下回る
経済産業省が31日発表した9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比横ばいだった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.0%)を下回った。半導体製造装置やクレーンなどはん用機械や自動車など輸送機械の生産は増えたものの、8月に法人需要が集中したパソコンや電子部品が反動で減少した。経産省は生産の基調判断を2カ月連続で「緩やかな持ち直しの動き」に据え置いた。
10月の製造工業生産予測指数は前月比1.1%の上昇となった。工場設備の生産計画が堅調に推移しており、設備投資用のはん用機械や半導体など電子部品工業が伸びる見込み。7-9月期は前期比1.1%の上昇となり、2期連続の増加となった。
9月の生産指数は15業種のうち7業種が前月から上昇し、8業種が低下した。はん用・生産用・業務用機械工業が3.7%上昇。自動車など輸送機械工業も2.6%上昇した。一方でパソコンやカーナビなど情報通信機械工業が11.8%、電子部品・デバイス工業も2.7%低下した。
出荷指数は前月比1.1%上昇の95.7だった。在庫指数は0.4%低下の111.0、在庫率指数は1.5%上昇の115.3だった。
9月の小売業販売、前年比1.9%減 天候不順で衣料品低迷
経済産業省が31日発表した9月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.9%減の11兆230億円だった。7カ月連続で前年実績を下回った。台風の上陸など天候不順がが響き、衣料品などの販売が落ち込んだ。原油価格の低迷を背景に燃料小売業も振るわなかった。経産省は基調判断を「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」で据え置いた。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で前年同月比2.7%減の1兆4705億円だった。百貨店は5.2%減少し、スーパーは1.5%減だった。衣料品の販売減少が目立った。
一方、コンビニエンスストアの販売額は9552億円と4.0%増加した。悪天候が続き、身近なコンビニ店舗で買い物を済ませる客が増えたようだ。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。それにしても、2つの統計を引用すると長くなります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の商業販売統計とも共通して、景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは生産は前月比で+1.0%の増産を見込んでいたんですが、本日公表の統計では横ばいに終わりました。もっとも、出荷は前月比+1.1%の上昇ですし、高めに出るバイアスがあるとはいえ、製造工業生産予測調査では先行き10月+1.1%、11月+2.1%と2か月連続の増産を予想していますので、それほど悪い結果には見えません。加えて、今月はグラフは割愛しましたが、在庫調整が進んでいる印象を私は持っています。すなわち、電子部品・デバイス産業では生産も出荷も前月から落ちましたが、逆に在庫率は、6月の150.1や7月の159.2あたりをピークとして、8月126.8、さらに9月116.0と急速に低下を示しています。下のパネルの資本財や耐久消費財の出荷についても、そろそろ底入れして上向きに転じる可能性が示されているように見えなくもありません。ただし、もっとも大きなリスクのひとつは為替相場であろうと私は予想しています。円高修正がストップして、逆に円高に進むようなことがあれば、生産の増勢は大きく鈍化するような気もします。

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四半期データが利用可能になりましたので、上のように在庫循環図を書いてみました。2013年1-3月期から始まって、直近の2016年7-9月期までです。2002年12月の月例経済報告の参考資料である「鉱工業の在庫循環図と概念図」に従えば、45度線を下から上に切りましたので、機械的に見ると、景気は谷を過ぎて上昇局面に入ったことになります。引用した記事にもある通り、生産は4-6月期に続いて7-9月期も前期比+1.1%の上昇となり、2期連続で上向いています。11月14日に7-9月期のGDP統計1次QEの公表が予定されていますが、外需主導ながらプラス成長はほぼ確実で、前期比年率で+1%前後の成長率に達している可能性もあると私は受け止めています。

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小売業販売額は引き続き前年割れとなっています。7か月連続です。ただし、本日公表の9月統計の場合、天候不順による影響が大きい可能性があります。例えば、業種別に見て、織物・衣服・身の回り品小売業が▲8.0%の減少ともっとも減少幅が大きく、次いで、燃料小売業が▲6.1%を示しています。燃料については数量もさることながら、価格水準が国際商品市況に従って大きく低下していますので、衣類の減少が特に大きく感じられます。9月は全国的に気温が高かった一方で、西日本を中心に台風が例年より多く発生していたため客足が遠のいた可能性が示唆されています。もっとも、自動車小売業が+2.3%増のほか、電機を含む機械器具小売業もわずかながら+0.1%の増加を示しており、耐久消費財の消費増が始まったのかもしれません。そうでないのかもしれません。あまり自信はありません。
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