2017年04月28日 (金) 23:26:00

いっせいに公表された政府統計の経済指標をレビューする!

本日、経済産業省から3月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。各統計の主要な結果を並べると、鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比▲2.1%の減産、小売業販売額は前年同月比+2.1%増の12兆5430億円、失業率は2.8%と前月と同水準で、有効求人倍率は前月からさらに低下してで1.45を記録し、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.2%と3か月連続でプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、3月は2.1%低下 半導体関連の生産減で
経済産業省が28日発表した3月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.1%低下の99.6となった。2カ月ぶりの低下となり、QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.0%の低下)を下回った。半導体製造装置やメモリーなどの生産低下が指数の主な押し下げ要因となった。
経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。3月単月では低下に転じたものの、17年1~3月期では前期比0.1%上昇の99.9と4四半期連続のプラスとなった。
3月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から低下し、4業種が上昇した。汎用・生産用・業務用機械工業が6.3%低下、電子部品・デバイス工業が4.8%低下した。一方で、パルプ・紙・紙加工品工業は1.7%上昇した。
出荷指数は前月比1.1%低下の98.1だった。在庫指数は1.6%上昇の109.8だった。在庫率指数は0.5%上昇の111.9となった。
4月の製造工業生産予測指数は前月比8.9%の上昇。汎用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業などが伸びる。経産省による補正済みの試算値では5.3%程度の上昇を見込むが、実現すれば消費増税前の駆け込み需要が発生した14年1月実績(103.2)を超え、リーマン・ショック後では最高となる見通し。5月の予測指数は3.7%の低下を見込んでいる。
3月の小売販売額、2.1%増 自動車販売で新型車効果続く
経済産業省が28日発表した3月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.1%増の12兆5430億円だった。5カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では、新型車効果の続く自動車小売業の寄与度が大きく、前年同月と比べ8.9%増えた。原油価格の回復に伴う石油製品の価格上昇で燃料小売業も14.8%増加した。ドラッグストアの新規出店効果や化粧品販売が引き続き好調な医薬品・化粧品小売業は3.3%増となった。
一方で、前年に比べ気温が低く推移したことから春物衣料の動きが鈍く、織物・衣服・身の回り品小売業が4.4%減少した。百貨店などの各種商品小売業も3.1%減となった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.9%減の1兆6311億円だった。既存店ベースでは0.8%減となった。両業態で衣料品が前年同月を5.2%下回った。飲食料品の販売も減少した。コンビニエンスストアの販売額は3.2%増の9698億円だった。
求人倍率 バブル期並み 3月1.45倍、26年ぶり
人手不足が一段と強まり、雇用に関する指標が改善している。厚生労働省が28日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.45倍で、バブル期の1990年11月以来26年ぶりの水準。総務省発表の完全失業率(同)も前月と同じ2.8%と低水準だった。ただ家計の節約志向は根強く、消費はなお勢いを欠き、物価も低迷している。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。3月は3カ月ぶりに上昇した。正社員の有効求人倍率は0.94倍で2004年に統計を取り始めて以来最高だった。1倍を下回っており、今なお求人の方が求職より少ない状態。企業は長期の視点で人手を確保するため、正社員の求人を増やしている。
職業別に見ると、建設業は3.61倍、飲食などサービスは3.05倍だった。IT(情報技術)など「専門的・技術的職業」も2.04倍に達した。硬直的な労働市場で雇用のミスマッチを解消しにくく「人手不足が成長の制約になりかねない」との声もある。
3月の新規求人は前年同月比6.5%増えた。このうち、運輸・郵便業が12.2%増と大幅に伸びた。厚労省は「大手企業が求人を多く出している」と指摘。ヤマト運輸などを中心に労働環境の改善を進め、その分だけ求人を増やしているとみられる。20年の東京五輪需要が出ている建設業は11.7%、世界経済の回復で生産が持ち直す製造業も11.0%それぞれ増えた。
完全失業率は前月と横ばいだったが、3%台前半とされるミスマッチ失業率(求人があっても職種や年齢、勤務地などの条件で折り合わずに起きる失業率)を下回った。働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にあるといえる。
男女別にみると、男性が2.8%、女性が2.7%だった。男性は失業者が減り、就業者が増えたことで、1995年5月以来21年10カ月ぶりに3%を割り込んだ。総務省は「求人の増加が男性の正社員としての就労に結びついている」とみている。男女合わせた雇用者(原数値)のうち正社員は前年同月より26万人増えた。非正規社員(17万人増)よりも伸びが大きかった。
失業者は188万人と前年同月に比べて28万人減った。自営業を含めた就業者は6433万人。パート賃金の上昇などを背景に、これまで職探しをしていなかった主婦層や高齢者が働き始めたことで、69万人増えた。
3月の全国消費者物価、0.2%上昇 16年度では4年ぶり下落
総務省が28日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.8と、前年同月比0.2%上昇した。プラスは3カ月連続。ガソリン、電気代などエネルギー価格の上昇が寄与した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.3%上昇)は下回った。
生鮮食品を除く総合では全体の57.2%にあたる299品目が上昇し、165品目が下落した。横ばいは59品目だった。
生鮮食品を含む総合は99.9と0.2%上昇した。イカなど生鮮魚介の価格高騰が続き、指数を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.4と、0.1%下落した。2013年7月以来、44カ月ぶりの下落。携帯端末の価格下落が響いた。
2016年度のCPIは、生鮮食品を除く総合が99.7となり、15年度に比べ0.2%下落した。下落は4年ぶりとなる。
併せて発表した東京都区部の4月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.8と、前年同月比0.1%下落した。下落は14カ月連続。通信費や家賃、ガス代の下落が響いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は、次の商業販売統計や雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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繰り返しになりますが、3月の生産は季節調整済みの系列で前月から▲2.1%の減産となり、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲1.0%でしたので、かなり大きなマイナスと受け止めています。ただし、レンジは▲2.1%~+0.5%でしたので、レンジを突き抜けたというわけではありません。また、これも引用した記事にある通り、四半期でならして見ると、ほぼ横ばいながら、1~3月期では前期比+0.1%の増産となっています。さらにさらにで、製造工業生産予測指数では4月の生産計画について前月比+8.9%増と大幅な上昇を見込んでいます。アッパーバイアスを除いても、4月の増産は+5%を超える可能性もありますので、ジグザグした動きながらも、3月のマイナスは軽くクリアしてお釣りが来る勘定なのかもしれません。ただ、製造工業生産予測調査では5月は再び▲3.7%の大きな減産と見込まれており、そのあたりも総合的に勘案して、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いています。財別の出荷は3月に関しては冴えない結果に終わりました。ただ、先行きについては、生産・出荷は底堅く推移すると見込んでいます。即ち、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ需要に加え、耐久消費財については家電エコポイント導入時に購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えていますし、消費増税前の駆け込み需要の悪影響も剥落しつつあります。外需についても、米国向け輸出は増勢が一段落しているものの、欧州向けや中国をはじめとするアジア向けの輸出は好調を維持しています。他方、下振れリスクとしては、エコノミストにはわけが判らない北朝鮮に関する地政学的なリスクがあります。私のようなシロートの目から見ても、いよいよ末期症状に見えるんですが、何がどうなるかは私の予想を超えそうな気がします。知り合いの友人の表現ながら、北朝鮮は昔から瀬戸際外交を繰り広げているんですが、最近ではトランプ米国政権も瀬戸際外交に近いんではないか、と言っていたりしました。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。GDPベースの消費の代理変数となる小売業販売は季節調整していない原系列の前年同月比で+2.1%増、季節調整済みの系列の前月比でも+0.2%増と、昨年半ばあたりから堅調に推移しています。引用した記事にもある通り、新型車の投入による自動車売上げの増加の効果が大きく、逆に、天候条件から気温が上がらず、春もの衣料品の売り上げは伸びなかったようです。ドラッグストアの販売が伸びているのは、下火になったとはいえ、インバウンド消費の貢献も少なくないと私は受け止めています。小売売上の先行きについては、雇用がとても堅調な一方で、量的な完全雇用に質的な賃上げが伴っておらず、先行き不透明ながら、基本的には雇用の不安が低下し消費は増加する方向にあると考えています。繰り返しになりますが、家電エコポイント導入時に購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えていますし、消費増税前の駆け込み需要の悪影響も剥落しつつあり、緩やか小売り売上げは増加するものと見込んでいます。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済以降くらいの人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。私自身の直観ながら、失業率が3%を下回ると賃金上昇が始まると予想していたんですが、一昨日の取り上げたリクルートジョブズの派遣スタッフの時給調査結果に表れているように、派遣労働者の時給は人手不足と言われつつもむしろ下がり始めています。労働需要サイドで、デフレ経済下で安価な労働力に依存していた低生産性企業が退出し非正規雇用への需要が低下したのかもしれませんし、あるいは、労働供給サイドで、デスキリングが広範に生じているのかもしれません。たぶん、どちらも違うんだろうという気がしますが、素直に人手不足で賃金が上昇する世界がとても遠く感じてしまいます。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、ようやく、国際商品市況の石油価格の底入れから上昇に従って我が国の物価も上昇に転ずる、との結果となっています。上のグラフでは積上げ棒グラフの黄色がエネルギー価格の寄与なんですが、2月CPIからプラス寄与に転じています。ただ、石油価格下落の影響はこの先もまだ物価に波及を続ける可能性があり、上のグラフでも食料とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率が低下してマイナスに転じているのが見て取れます。従って、先行きのコアCPI上昇率がこのまま一直線でプラス幅を拡大するかどうかは楽観できないと受け止めています。特に、現在の物価上昇はエネルギー価格の上昇に支えられており、コアCPIの前年同月比上昇率+0.2%のうち、エネルギーの寄与度が+0.3%近くに達します。すなわち、エネルギーを除けば物価はまだ水面下にあるとさえいえます。しかも、東京都区部ではヘッドライン、コアともにいまだにマイナスを続けています。人手不足にもかかわらず賃金が上がりませんので、サービス物価の上昇は鈍いままであり、昨日「展望リポート」を公表した日銀の物価見通しも、公表されるたびごとに物価上昇率は下方修正し、2%のインフレ目標達成は先送りされています。私はリフレ派のエコノミストとして、まずはデフレ脱却と考えていて、ほぼデフレは終了しつつあると認識していますが、2%のインフレ目標はかなり遠そうな気もします。
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