2017年07月10日 (月) 22:57:00

停滞する機械受注と強気な景気ウォッチャーと震災前の水準に戻った経常収支!

本日、内閣府から5月の機械受注が、また、6月の景気ウォッチャーが、加えて、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.6%減の8055億円だった一方で、景気ウォッチャーでは現状判断DIが前月から+1.4ポイント上昇して50.0を、先行き判断DIも+0.9ポイント上昇して50.5を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆6539億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、5月3.6%減 判断8カ月ぶり下げ、非製造業が低調
内閣府が10日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ3.6%減の8055億円だった。2カ月連続の前月割れで、QUICK算出の市場予想(1.6%増、中央値)を大幅に下回った。非製造業の低迷が続く。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」へ、8カ月ぶりに下方修正した。
非製造業が5.1%減と3カ月連続で前月を下回った。「通信業」は次世代投資が立ち上がる前の端境期にあるといい、29.5%減だった。鉄道の設備更新の一巡などにより「運輸業・郵便業」は21.7%減となった。「金融業・保険業」は59.2%増だが、4月の38.5%減という大幅な落ち込みから反動で増えた面が大きい。内閣府は「企業が投資に慎重な様子がうかがえる。目先、投資意欲を刺激する要因が見当たらず、同じ傾向が続く可能性は高い」(経済社会総合研究所)と指摘する。非製造業の受注額は4473億円と、2015年8月以来の小ささとなった。
一方、製造業は1.0%増と4カ月連続で伸びた。スマートフォン向け半導体製造装置などの堅調が続くほか、自動車の需要が北米で改善している。製造業全体の受注額は内閣府の従来の見通しを上回って推移しているもようだ。受注額は3656億円と16年12月の高さへ迫っている。
非製造の低迷が続くが、内閣府の従来想定よりは底堅い推移だという。4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値見通しは現状、前期比5.9%減となっているが、減少幅は縮小する公算という。
6月の街角景気、3カ月連続改善 基調判断は据え置き
内閣府が10日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.4ポイント上昇の50.0だった。上昇(改善)は3カ月連続。住宅関連や自動車小売業を中心に消費者の需要の高さに対する実感がみられたほか、企業動向や雇用関連の指数も伸び、景況感の分かれ目となる50を2016年12月以来、半年ぶりに上回った。
部門別では、家計動向、企業動向、雇用の全てが改善した。企業動向では製造業、非製造業ともに前月比1.1ポイント上昇した。家計動向では小売りと住宅が上昇した。飲食やサービスは悪化したものの、小幅な低下にとどまったため「おおむね横ばいと評価している」(内閣府)という。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.5となり、前の月から0.9ポイント上昇した。上昇は3カ月連続。家計動向と企業動向がともに改善した。家計動向ではボーナス商戦や訪日外国人需要への期待が聞かれたほか「新型車効果が続き、新車販売が好調に推移する」(東北・乗用車販売店)との見方もあった。半面、雇用は人材派遣業で人手不足への懸念がみられるなどし、前月調査から低下した。
内閣府は基調判断を「持ち直しが続いている」で据え置いた。判断を維持した理由として、内閣府は指数が上昇基調にあることから「下げる理由はない」とした上で「さらに一段押し上げるようなイベントがあるかというと今のところは見当たらない」としている。先行きについても「人手不足に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資などへの期待がみられる」から変更しなかった。
経常黒字1兆6539億円に縮小 5月、貿易収支が赤字に
財務省が10日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆6539億円の黒字だった。黒字は35カ月連続。黒字額は前年同月(1兆7576億円)に比べて1037億円縮小した。原油価格の持ち直しを背景に輸入が増加し、貿易収支が赤字に転化したことが響いた。
貿易収支は1151億円の赤字で、前年同月(308億円の黒字)から悪化した。原油価格の上昇で液化天然ガス(LNG)や石炭、原粗油などの輸入が増加し、輸入全体は15.8%増えた。自動車や鉄鋼の好調を映し、輸出も12.9%増加したが、輸入の影響が上回った。
サービス収支は421億円の黒字と前年同月(819億円の黒字)から黒字幅を縮小した。ソフトウエアのロイヤルティーなど知的財産権使用料の支払いが増えたことが響いた。
第1次所得収支は1兆9243億円の黒字と前年同月(1兆8936億円の黒字)に比べて黒字額を拡大した。海外から受け取る債券利子など証券投資収益の黒字額が拡大した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計3つの記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、次の景気ウォッチャーとも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではコア機械受注の季節調整済みの系列のベースで増加が見込まれており、予測レンジの下限でも▲1.6%減でしたから、かなり大きなマイナスと私は受け止めています。加えて、前月統計でも▲3.1%減を受けての5月統計でしたから、機械受注、ひいては設備投資が先行き伸び悩む可能性が取りざたされても不思議ではありません。ですから、統計作成官庁である内閣府の基調判断も「持ち直しの動きに足踏み」から「足踏み」に下方修正されています。私の直観でも、上のグラフから明らかな通り、かなり横ばいに近い印象だという気もします。大雑把な産業別では、製造業が今年2017年1月の大幅なマイナスの後、2月から5月まで4か月連続のプラスで推移している一方で、非製造業は3か月連続のマイナスとなっています。人手不足の高まりから非製造業での省力化や合理化のための設備投資が進むという見方もあっただけに、やや拍子抜けな気もします。加えて、コア機械受注の外数ながら、5月統計では外需が▲5.2%減と大きく減少していえるのも、外需はコア機械受注の先行指標だけに少し気がかりです。ただ、もともと4~6月期のコア機械受注の見通しは前期比▲5.9%減ですから、こんなもんだという気もします。例えば、4~5月平均の受注実績は1~3月期と比べて▲3.5%減にとどまっており、見通しから少し上振れていたりします。評価の難しいところながら、もちろん、前月比マイナスが続いたせいもあって悲観的な見方が広がるのも当然で、日銀短観などで示された設備投資計画が単純に実行されるわけではないことは留意すべきです。

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続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。現状判断DIに着目すると、3つのコンポーネント、すなわち、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが上昇を示しています。ついでながら、先行き判断DIについては、雇用関連のDIがマイナスとなっていますが、6月統計で雇用関連は現状判断DIが前月差+3.0とジャンプした後、先行き判断DIがその反動で▲1.8の低下を示しているんだろうと思います。話を現状判断DIに戻すと、企業関連でも製造業・非製造業ともに前月から上昇しています。現状判断DIで特に前月からの上昇幅が大きいのは、雇用関連+3.0上昇とともに、家計関連+1.2上昇のうちの小売関連の+2.2上昇と住宅関連+2.7上昇です。ただ、飲食関連やサービス関連は前月からマイナスを記録しており、家計が全般的に上向きとはいえ、それほど単純な評価は下せないような気もします。いくつか理由を見ると、南関東で「3か月前と比較して、商品単価、購入単価共に落ち込みが少なくなってきている。特に、服飾雑貨や衣料品の商品単価が前年を上回るようになっており、好調であった消耗品以外の衣料品などにもやや消費意欲が出てきたようである(百貨店)。」との声があり、また、東海では「今月は、問い合わせ、成約件数共に多く、とにかく良く売れている(乗用車販売店)。」などの意見も目につきました。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。経常収支については、引用した記事の雰囲気がやや悲観的で、5月統計については季節調整していない原系列で見ると、貿易収支が赤字に転じて経常収支がその影響で黒字幅を縮小させた、ということになっており、確かに統計上はその通りですが、先月の統計発表後にお示しした6月9日付けのブログのグラフにある通り、経常黒字の対GDP比はすでに4%近くに上昇して来ており、対外不均衡は日本の黒字方向に拡大しているトレンドとなっていることから、このまま経常黒字が拡大するのがいいのか悪いのかについては議論が分かれるところかもしれません。経常収支の水準は、極めて大雑把に、四半期ベースで5兆円、年ベースで20兆円に回帰しており、震災後の赤字基調はすでに克服しているものと多くのエコノミストは考えています。この先、直近統計のように国際商品市況において石油価格などの資源価格が上昇して経常収支が黒字幅を縮小させたり、あるいは、赤字に転じる可能性もあり得ますが、我が国製造業の国際競争力が為替相場も込みで落ちていないのであれば、それほど問題と考える必要はないんではないかと私は考えています。また、季節調整済みの系列では5月の経常収支は黒字であり、先月4月よりもむしろ黒字幅は拡大しています。あくまで参考意見なんですが、5月についてはゴールデン・ウィークの日並びによって季節調整がゆがむ可能性がありますので、どこまで信頼できるかは別問題です。

最後に、日銀では四半期に1度の支店長会議が開催されており、本日午後に「さくらリポート」が公表されています。日を改めて取り上げたいと思います。
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