2017年11月07日 (火) 23:12:00

毎月勤労統計に見る実質賃金は上昇に至らず4か月連続で前年比マイナス!

本日、厚生労働省から9月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+0.6%増を示し、また、現金給与指数は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.9%増となった一方で、現金給与総額を消費者物価(CPI)でデフレートした実質賃金は前年同月比で▲0.1%のマイナスとなっています。さらに、今年2017年の夏季賞与についても統計が明らかにされており、5人以上事業所で+0.4%と低い伸びにとどまっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の実質賃金0.1%減、4カ月連続マイナス
厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.1%減少した。4カ月連続でマイナスだった。賃金の増加が物価上昇になお追いつかない現状を映す。厚労省が同日公表した2017年夏のボーナスは36万6502円となり、前年比0.4%増加した。
9月の名目賃金にあたる従業員1人当たりの現金給与総額は26万7427円と、前年同月に比べ0.9%増えた。16年7月(1.2%増)以来、1年2カ月ぶりの増加幅となった。他方、9月の消費者物価指数が0.9%上昇となったため、結果として実質賃金を押し下げた。
名目賃金の内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が前年同月比0.7%増の24万2143円だった。残業代を示す所定外給与は0.9%増。その他特別に支払われた給与は前年同月比で11.6%増加した。
夏のボーナスは人手不足が深刻な中小企業を中心に増えた。事業所の規模別にみると、従業員が5~29人の事業所では前年比2.0%増、30~99人の事業所では3.6%増となった。規模が500人以上の事業所は2.8%減った。業種別では医療・福祉(前年比2.8%増)や教育・学習支援業(1.5%増)などで増加が目立った。


やや賃金に関して集中的に報じている印象がありますが、まずまずよく取りまとめられている気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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ということで、上のグラフに沿って見ていくと、まず、景気と連動性の高い製造業の残業時間については、鉱工業生産指数(IIP)とほぼ連動して9月は増加に転じています。次に、報道でも注目を集めた賃金については、名目賃金は前年同月比で上昇しています。ただ、本格的なデフレ脱却はまだながら消費者物価(CPI)が上昇していることから、実質賃金はわずかながら前年から減少しており、引用した記事に盛る通り、4か月連続のマイナスです。ただ、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。マインドは株価の上昇とともに、かなり上向いてきており、冬のボーナスをはじめとして、所得のサポートあれば消費はさらに伸びを高めるんではないかと予想しています。

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11月公表の毎月勤労統計では、恒例により夏季賞与の統計が明らかにされています。上から順に、ボーナスの増減、産業別の伸び率、産業別の支給額です。2017年夏の賞与は+0.4%増と、昨年2016年の+2.3%には遠く及びませんでした。2番目のパネルを見て判る通り、もっとも伸びが大きかったのが生活関連サービス等、逆に、もっとも下げ幅が大きかったのが飲食サービス等なんですが、ともに支給額では大きくありません。そろそろ、冬のボーナスの予想がいくつかのシンクタンクから明らかにされる季節になって来ました。例年のペースなら今週中には出そろうんではないかと思います。また、日を改めて取り上げたいと思います。
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