2017年05月31日 (水) 22:27:00

大きな伸びを示した鉱工業生産指数(IIP)の先行きをどう見るか?

本日、経済産業省から4月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で前月比+4.0%の増産を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、4月は4.0%上昇 自動車伸びリーマン後最高水準に
経済産業省が31日発表した4月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比4.0%上昇の103.8となった。上昇は2カ月ぶり。国内販売が好調な乗用車の増産などがけん引し、消費増税前の駆け込み需要が発生した14年1月実績(103.2)を超えてリーマン・ショック後では最高水準となった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(4.5%の上昇)は下回った。
出荷指数は前月比2.7%上昇の101.1だった。在庫指数は1.5%上昇の111.3だった。在庫率指数は2.9%上昇の114.7となった。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。
生産の増加に比べ、出荷の伸びがやや勢いを欠くことから在庫水準は高止まりしつつある。経産省では「景気拡大期の後半に出ることが多い(企業が需要増を見込む)在庫積み増し局面への転換を若干示唆する結果」とみている。ただ、在庫指数の主な押し上げ要因となっている普通車に関しては大型連休による船便の減少で輸出が滞り、一時的に在庫が積み上がっている可能性もあるとみている。
4月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、4業種が低下した。輸送機械工業が10.8%上昇したほか、汎用・生産用・業務用機械工業が9.2%、電子部品・デバイス工業が5.2%それぞれ上昇した。
5月の製造工業生産予測指数は前月比2.5%の低下を見込む。大型連休の日並びによる工場の稼働日数の減少などを背景に、輸送機械工業を中心に生産が減少したようだ。経産省による補正済みの試算値では3.5%の低下となる見通し。6月の予測指数は1.8%の上昇となる見込みだ。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期です。

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最近、今年2017年に入ってからの生産の動きはかなり荒っぽくなっており、季節調整済みの前月比で見て、1月が減産で2月が増産になったのは中国をはじめとする中華圏の春節の影響でいたし方ない気もしますが、3月減産の後で今日統計が発表された4月の大幅増産となっています。さらに、先行きを製造工業生産予測指数で見ると、5月減産の後の6月増産と見込まれており、減産と増産が交互に現れる形となっています。しかも、4月統計以降の大きな振れの主役は我が国のリーディング・インダストリーである輸送機械だったりします。もっとも、5月のゴールデンウィークの日並びがよくて生産ラインの停止が長かったのが5月減産の原因らしいので仕方ない面もあります。ということで、4月の増産について産業別に寄与が大きい順で、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業と電子部品・デバイス工業の3業種となっています。先行きについては、5月の製造工業生産計画では、輸送機械工業が大きな減産計画となっており、製造工業全体で前月比▲2.5%の低下見込みとなっている一方で、逆に、6月は輸送機械工業とはん用・生産用・業務用機械工業の上昇によって増産計画となっており、前月比+1.8%を見込んでいます。6月の増産幅が5月の減産に届きませんので、6月の生産水準は4月を下回る、ということになります。
ただ、最近の統計を見る限り、生産については拡大基調が確認できると私は受け止めています。もともと、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスも+4.5%の増産でしたし、ほぼこれに近いラインの結果といえます。しかも、生産・出荷・在庫のすべてが前月から増加しています。引用した記事にもある通り、生産の増加に比べて出荷の伸びが勢いを欠いているため在庫が結果として積み上がっている可能性が高いと私は考えていますが、業種によっては先行きの需要増に対応した意図的な在庫積み増し局面に入っている可能性もあります。ただ、グラフは示しませんが、典型的な在庫循環が観察される電子・デバイス産業では4月統計で在庫率が小幅に低下しているのも事実ですから、少なくとも在庫の積み上がりを懸念する必要はないものと受け止めています。予測指数が示されていない7月以降についても、国内の耐久消費財の買い替えサイクルや消費増税後の駆け込み需要の反動などもようやく一巡し、労働市場のひっ迫に伴う投資需要の顕在化も期待できます。加えて、世界経済の回復・拡大に牽引される形で年央以降も我が国の生産は緩やかな増産傾向を続けると私は予想しています。
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2017年05月30日 (火) 22:44:00

好調な経済を裏付ける商業販売統計と雇用統計をどう見るか?

本日、経済産業省から商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.2%増の11兆8110億円、季節調整済みの系列で前月比+1.4%増、また、失業率は2.8%と前月と同水準で、有効求人倍率は前月からさらに上昇して1.48のバブル超えを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の小売販売額、3.2%増 資源価格の強含みなど背景
経済産業省が30日発表した4月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比3.2%増の11兆8110億円だった。6カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では燃料小売業の寄与度が最も大きく、前年同月と比べ11.9%増えた。原油価格の強含みを背景に石油製品の価格が上昇した。新型車効果の続く自動車小売業も6.0%増と好調を維持している。軽自動車も4カ月ぶりにプラスに転じた。気温の上昇に伴い春物衣料の販売が伸びたことから、織物・衣服・身の回り品小売業も5カ月ぶりに増加した。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.8%増の1兆5583億円だった。既存店ベースでは1.1%増だった。百貨店は訪日外国人(インバウンド)需要を含めた化粧品などの販売が好調で、既存店ベースでは14カ月ぶりに前年同月を上回った。閉店や改装などの影響で売り場面積が減り、全店ベースでの販売額は減少した。コンビニエンスストアの販売額は3.3%増の9514億円だった。



いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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小売業販売額を業種別に少し詳しく見ると、燃料小売業が前年同月比+11.9%増、織物・衣服・身
の回り品小売業が+6.0%増、自動車小売業が+6.0%増、医薬品・化粧品小売業が+5.3%増、電機が含まれる機械器具小売業が+4.1%増、などと、各業種とも順調に売上げを伸ばしています。従って、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「持ち直しの動き」で据え置いています。ただ、売上げ増の中身は一様ではなく、引用した記事にもある通り、燃料については国際商品市況における石油価格の上昇に起因して販売単価が上がっているのも大きな要因のひとつと考えるべきです。ただ、2番目の衣料関係では、天候要因もあって春物衣料品が売れているようです。5月末の現時点でも、今夏は猛暑が予想されており、季節がメリハリあって夏暑くて冬寒いのは消費の販売増につながる可能性が高いと私は受け止めています。自動車が販売を増加させているのも、自動車産業にとっては国内市場よりも海外輸出市場のボリュームの方が大きいとはいえ、我が国のリーディング・インダストリーなだけに、それなりの波及効果が見込めるんではないかと期待されます。GDP統計の国民経済計算では国内消費の外数で輸出扱いとなるインバウンド消費についても、かつてのような爆発的な伸びは一段落しましたが、引き続き、堅調に推移している印象です。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済以降くらいの人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。私自身の直観ながら、失業率が3%を下回ると賃金上昇が始まると予想していたんですが、先週に取り上げたリクルートジョブズの派遣スタッフの時給調査結果に表れているように、派遣労働者の時給は人手不足と言われつつもここ数か月間は下げており、ようやく、下げ止まりつつあるところです。労働需要サイドで、デフレ経済下で安価な労働力に依存していた低生産性企業が退出し非正規雇用への需要が低下したのかもしれませんし、あるいは、労働供給サイドで、デスキリングが広範に生じているのかもしれません。たぶん、どちらも違うんだろうという気がしますが、素直に人手不足で賃金が上昇する世界がとても遠く感じてしまいます。
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2017年05月29日 (月) 21:22:00

東洋経済オンラインによる「給料への満足度」トップ150社ランキングやいかに?

先週5月26日付けで、東洋経済オンラインから「給料への満足度」トップ150社ランキングが明らかにされています。東洋経済オンラインのサイトから、1位から44位の50社の画像を引用すると以下の通りです。

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お給料の水準が満足度に反映されているのはほぼほぼ確実なんですが、ランキングに見られるように、平均給与が平均より低くても上位にランクインされている会社もあるように見受けられます。東洋経済オンラインのサイトではコメントを分析し、公平で明確な給与制度や、仕事の量や内容、福利厚生も含めた待遇というのも、「給与の満足度」の決定要素には含まれているといえるだろう、と指摘しています。まあ、そうなんでしょうね。
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2017年05月26日 (金) 22:43:00

プラスを続ける消費者物価(CPI)及び企業向けサービス物価(SPPI)の先行きを考える!

今日は物価統計が2本、すなわち、総務省統計局の消費者物価指数(CPI)企業向けサービス物価指数(SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.3%と、今年に入ってから4か月連続でプラスを続けている一方で、ヘッドラインSPPI上昇率は+0.7%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.7%と、徐々に上昇幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の全国消費者物価、0.3%上昇 都区部は1年5カ月ぶりプラス
総務省が26日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.1と、前年同月比0.3%上昇した。プラスは4カ月連続。ガソリンなど石油製品の価格上昇が大きく寄与したが、QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.4%上昇)は下回った。
生鮮食品を含む総合では全体の56.6%にあたる296品目が上昇し、168品目が下落した。横ばいは59品目だった。
生鮮食品を含む総合は100.3と0.4%上昇した。イカなど一部魚介類の上昇が続いた。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.7と横ばいだった。
併せて発表した東京都区部の5月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が100.0と、前年同月比0.1%上昇した。プラスは2015年12月(0.1%上昇)以来1年5カ月ぶり。石油製品の上昇に加えて、うるち米や牛肉など生鮮食品を除く食料が寄与した。生鮮食品を含む総合は100.1と0.2%上昇した。
4月の企業向けサービス価格、前年比0.7%上昇 広告が鈍化
日銀が26日に発表した4月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.7%上昇した。前年同月比での上昇は46カ月連続。ただ、上昇率は5カ月ぶりに縮小(前月は0.8%上昇)し、前月比では0.2%の下落だった。広告の上昇率縮小が主因で、土木建築や宿泊などの諸サービスの上昇率も鈍化した。
広告を種類別に見ると、テレビ広告は3月にスポーツ特番などで押し上げられた反動で伸び率が縮小した。新聞広告は飲食店の全面禁煙の検討でたばこ会社が広告の出稿に慎重になった影響もあり、3月の上昇から4月は下落に転じた。
諸サービスのうち、土木建築は引き続き人件費が上昇しているものの、上げ幅は前月より小さかった。宿泊サービスは4月の訪日外国人客数が過去最多となったものの、近畿を中心に民泊の利用が多かったことやホテルの建設ラッシュを受け、値上げの勢いが鈍化した。
一方、人手不足による人件費の上昇を背景にした情報通信、燃料費の上昇による運輸・郵便の伸び率が拡大した。
企業物価指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、消費税の影響を除くと前年比で価格が上昇したのは75品目、下落は30品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は45品目と、3月の確報値(20品目)から25品目拡大し、15年1月以来の大きさだった。
日銀の調査統計局は「企業間のサービス需給は大きな価格上昇につながるほどには逼迫していない」との見解を示した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、物価統計を2本も取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。

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現状での物価上昇は財関係ではエネルギーが、そして、サービスでは人手不足が物価上昇を牽引しているように見えます。コアCPIの前年同月比上昇率は、今年に入ってから4か月連続でプラスを記録し、小幅ながらジワジワと上昇幅を拡大しています。私の計算によれば、コアCPI上昇率に対してエネルギーの寄与は+0.34%ありますので、ほぼすべてを説明しつくしているカンジです。また、長らくマイナスを続けていた東京都区部のコアCPIが久し振りにプラスに転じています。上のグラフでは灰色の折れ線グラフです。東京都区部の物価は、最近その傾向が崩れつつあるとはいえ、全国物価の先行指標と考えられており、先行きについても、全国ベースで秋口くらいまで上昇率のプラス幅が拡大するものと私は予想しています。ただ、おそらく、あくまでおそらくの直観的な理解ですが、日銀の物価上昇目標である+2%には今年中に届こうハズもありません。そして、国際商品市況の石油価格も、この先さらに上昇するようには見受けられませんから、早ければ年内くらいタイミングでコアCPIの上昇ペースは鈍化し始める可能性が高いんではないかと考えています。まとめれば、今年2017年10月前後くらいまでコアCPIは上昇幅を拡大させるものの、日銀の物価目標である+2%には届かず、その後、年内には上昇ペースが鈍化し始める可能性が高い、と私は受け止めています。企業間取引では4月は価格改定期なのでしょうが、何分、消費者物価にはこういったタイミングは設定されていない品目も多く、企業物価と同じような価格改定は見受けられなかったように思います。

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続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPI上昇率は今年2016年2-3月の+0.8%から小幅に縮小を示し、4月は+0.7%となりました。引用した記事にもある通り、広告が3月の+2.8%上昇から4月には+0.7%と大きく上昇率が鈍化しています。人手不足の影響については、土木建築サービスが引き続きたい相上昇率ながら3月の+6.1%から4月には+4.7%と上昇幅をやや縮小させている一方で、情報通信は3月の+0.2%から4月は+0.5%に加速を示しています。なかなか一様ではないものの、全般的に底堅いサービス物価の動向が垣間見える気がします。
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2017年05月25日 (木) 20:29:00

東洋経済オンライン「日本企業の進出が加速している国トップ20」やいかに?

私は東南アジアはASEANの大国であるインドネシアの首都ジャカルタに家族とともに3年間の長きに渡って、インドネシア政府の国会開発企画庁にJICA専門家として派遣されていたことがあるんですが、先週金曜日5月19日付けで、東洋経済オンラインに「日本企業の進出が加速している国トップ20」のランキングが明らかにされています。タイトルがビミョーなんですが、おそらく、あくまでおそらくなんですが、日本企業がもっとも多く進出しているのは米国だろうという気がする一方で、それではランキングにならないようなカンジですから、日本企業の進出が加速している、という表現で日本企業の現地法人数につき、直近の2016年と5年前の2011年を比較しています。以下の通りです。

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東南アジアの中でも、ASEAN創設時の5か国、すなわち、インドネシア、マレーシア、シンガポーる、タイ、フィリピンといった国々もさることながら、これらから少し発展段階が後になるインドシナ半島のミャンマー、カンボジア、ベトナム、あるいは、中南米の大国であるメキシコやブラジルなどが目につきます。また、5年後、10年後はランキングが大きく変わっている可能性も否定できません。中国が20位までにランクインしていないのも、ある意味で、注目すべきなのかもしれません。
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2017年05月24日 (水) 19:58:00

リクルートジョブズの派遣スタッフ時給は下げ止まったか?

明週火曜日に失業率や有効求人倍率などの雇用統計が公表される予定となっていますが、先月も取り上げているリクルートジョブズの非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の4月の調査結果が明らかにされています。リンク先は以下の通りです。


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ということで、アルバイト・パート及び派遣スタッフそれぞれの募集時平均時給の推移は上のグラフの通りです。前者のアルバイト・パート順調に賃上げがなされているんですが、派遣スタッフについては3月統計ではとうとう前年同月比で▲2%を超えるマイナスを記録した後、直近の4月統計では▲0.4%減までマイナス幅を一気に縮小しています。実は、同じ業界の「エン派遣 三大都市圏の募集時平均時給レポート」でも4月の派遣スタッフ時給は昨年2016年10月から7か月連続でマイナスを記録したものの、3月の▲2.1%減から4月は▲1.7%減と、極めてわずかながらマイナス幅を縮小させており、いずれの調査でも派遣スタッフ時給は下げ止まった可能性が示唆されていると私は受け止めています。
両社でビミョーに職種の分類が異なるので何ともいえないんですが、エン・ジャパンのデータでは2015年年央くらいから2年近く医療・介護系の派遣スタッフ時給がマイナスを続けており、リクルートジョブズでも医療介護・教育系は必ずしも上昇圧力が感じられません。もっとも人手不足していそうな業界なんですが、同時に、もっとも規制の強い分野でもあり、政府の規制により賃金が上昇していない可能性も否定できません。民間企業に賃上げを促すのも重要ですが、もしも、政府の規制によって医療・介護分野で賃上げが抑制されているのであれば、民間企業に圧力をかけることとは別にやるべきことがあるような気もします。
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2017年05月23日 (火) 20:07:00

東京商工リサーチによる「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、5月17日に東京商工リサーチから「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査の結果が明らかにされています。昨今、就職戦線では売り手市場が続く中で、いわゆる「ブラック企業」に関する注目が高まっており、労働基準関係法令の違反企業がそのまま「ブラック企業」であると主張するつもりはありませんが、例の電通新入社員自殺事件も含めて、政府の働き方改革が進められているところ、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。なお、基となるデータは厚生労働省から公表されている以下の文書です。pdfファイルを開けば300社余りの企業の実名がズラリと並んでいます。ページ番号は振っていないんですが、電通はp.15の東京労働局の4番目に出現します。


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ということで、上のテーブルは東京商工リサーチのサイトから 労働基準関係法令違反 一覧公表企業 産業別 を引用しています。まず、テーブルに入る前に、公表された334件のうち、違反した労働基準関係法令の内訳は、労働安全衛生法違反が211件59.1%に上っており、建設作業現場や製造現場などでの安全管理義務を怠ったことで事故が発生したケースが中心になっています。次いで、違法な長時間労働などの労働基準法違反が63件17.6%、賃金未払いや最低賃金を遵守しない最低賃金法違反が62件17.3%と続いています。上のテーブルから明らかな通り、産業別で最多は建設業で115社34.6%、次いで、製造業の76社22.8%、サービス業他68社20.4%の3産業が突出し、この3産業で全体の約8割を占めています。もっとも、全体の企業数なり何なりでスケーリングする必要があるのかもしれませんが、そのあたりは不明です。なお、建設業と製造業の合計191社では、労働安全衛生法違反が156社81.6%と8割に達しています。

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次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 労働基準法違反63社 産業別内訳 を引用しています。先ほどのテーブルが危険に関するものでしたが、上の円グラフは社会問題化している時間外労働の割増賃金未払いや36協定無視など、長時間労働に関する労働基準法違反の63社の産業別内訳です。製造業は引き続き2番目にランクインしてしまっていますが、この労働基準法違反では最多がサービス業他26社41.2%で4割を超えています。例の電通もこの中に含まれています。そして、製造業に次いで運輸業が12社19.1%と3番目に入っています。私はそれほどフォローしていませんが、ヤマト運輸の未払残業代はどうなったんでしょうか?

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最後に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 労働基準関係法令違反 一覧公表企業 売上高別 を引用しています。公表332社のうち、売上高が判明した244社を売上高で見ると、1~5億円未満が77社31.5%ともっとも多く、次いで、1億円未満が58社23.7%、10~50億円未満が43社17.6%と続いています。売上高100億円以上も21社8.6%となっています。パナソニックの富山工場や日本郵便の新大阪郵便局も実名公表されています。ただ、売上高10億円未満の企業が約7割を占め、業績悪化や資金力の乏しさが労働基準関係法令の違反に直接、間接につながった可能性も示唆されていると、東京商工リサーチでは分析しています。
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2017年05月22日 (月) 22:48:00

輸出入ともに順調に拡大する貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から4月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+7.5%増の6兆3292億円、輸入額は+15.1%増の5兆8474億円、差引き貿易収支は+4817億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易収支、3カ月連続黒字 4817億円 半導体関連など好調
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4817億円の黒字だった。貿易黒字は3カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は5153億円の黒字だった。アジア向けの製造装置や部品など半導体関連を中心に輸出が引き続き伸びた。前年と比べた資源価格の回復などを背景に輸入も増加し、差し引きでの黒字額は縮小した。
輸出額は前年同月比7.5%増の6兆3292億円と5カ月連続で増加した。4月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110.92円と前年同月に比べ小幅な円高で、輸出への悪影響があったものの、海外景気の改善を背景にした輸出数量の伸びなどが寄与した。財務省は「前年同月は熊本地震が発生したことから、反動増が出ている可能性もある」とみている。前月(12.0%)に比べると伸び率は鈍化した。
半導体などの製造装置が韓国向けIC製造用をはじめ好調だったほか、中国向けの鉄鋼の伸びも目立った。地域別では中国向け輸出が14.8%増となった。対米国も2.6%増、対欧州連合(EU)は2.2%増となりともに前年同月を上回った。
輸入額は15.1%増の5兆8474億円だった。資源価格の回復に伴い、サウジアラビアからの原油・粗油、オーストラリアからの石炭などが増加した。原粗油の輸入は数量ベースでも10.8%増と4カ月ぶりに増えた。中東情勢が不透明性を増す中でエネルギーの調達先を多様化する動きもあるといい、米国からの液化石油ガスの輸入も大幅に増加した。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易指数の前年同月比で見て、輸出入ともに昨年2016年10月以降は、中華圏の春節効果でマイナスに振れた時期を除いて、ほぼ数量ベースで前年同月比を上回って推移しています。世界経済の順調な回復・拡大とともに、我が国経済も緩やかながら回復・拡大を継続していることが貿易統計から見て取ることができると私は受け止めています。この間、引用した記事にもある通り、やや為替が円高に振れたこともあって、輸出数量の伸びは前年同月比で見て、2月+8.3%増、3月+6.6%増から4月は+4.1%増とプラス幅が縮小している一方で、輸入数量はコンスタントに+4~6%増を記録しています。基本的には、世界経済は我が国を含む先進国も、新興国も、途上国も、ほぼ回復ないし拡大の局面にあり、季節調整していない原数値なんですが、輸出数量指数と輸入数量指数の両方が、米国向け、欧州(EU)向け、中国を含むアジア向けのすべてで4月統計では前年同月比でプラスを示しています。ただ、上のグラフのうち下のパネルの季節調整済みの系列の輸出額が3月4月と2か月連続で減少を示していますが、2月の中華圏の春節効果による輸出の激増がもたらしたイレギュラーな結果であり、3-4月とも昨年12月や今年の1月を上回っていますので、私はそれほど懸念していません。むしろ、国際商品市況における石油価格の上昇に伴って、季節調整していない原系列の輸入について、3-4月は価格指数が前年同月比でほぼ+10%ほど上昇し、金額指数でも両月とも約+15%の上昇を示しており、貿易収支の黒字がやや減少気味となっています。私はそれほど気にしていないんですが、石油価格の上昇とともに貿易収支が赤字に舞い戻る可能性が高まっているのも事実です。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出額はハッキリと回復ないし拡大を示しており、その背景はOECD先行指数に見られる海外経済の回復による我が国輸出への需要拡大です。先進国も中国もいずれも景気は回復しており、我が国からの輸出も拡大の方向にあります。たっだ、何度も繰り返していますが、不透明な要因は米国のトランプ政権の通商政策、というか、通商政策をはじめとするそもそもの政策遂行能力です。それから、次々と出て来る北朝鮮のミサイル発射が通商にどういった影響を及ぼすのかは、エコノミストにはまったく予測不能です。
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2017年05月19日 (金) 20:14:00

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「新入社員意識調査アンケート結果」やいかに?

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、例年通り、三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「新入社員意識調査アンケート結果」が5月9日に明らかにされています。一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたいという意味で、「自分ファースト」志向が高まるとともに、理想の上司は「寛容型」との結果が出ているようです。まず、リポートから【アンケート調査結果の概要】を4点だけ短く引用すると以下の通りです。

【アンケート調査結果の概要】
  • 一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたい。「自分ファースト」志向が高まる。
  • 理想の上司は「寛容型」。
  • 今の日本は「曇り」。10年後についても悲観的な見方が広がる。
  • 女性は自身が出世する姿を具体的にイメージしにくい傾向がある。


ということで、例年の定点観測で、東京、名古屋、大阪において新入社員を対象としたセミナーを開催し、受講者に対してアンケートを実施した結果を取りまとめています。リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポート p.4 から 今の会社を選んだ基準 の問いに対する回答を引用すると上のグラフの通りです。雰囲気、やりがい、安定がトップスリーです。男女の性差でビミョーに違いがあり、男性はやりがいや安定を、女性は距離感を重視している傾向が少しだけ見受けられます。なお、グラフは引用しませんが、就活でブラック企業かどうかを意識した比率は昨年よりもジワリと高まっているようです。

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次に、リポート p.7 から 会社に望むこと のうちのいくつかのポイントについて、2004年以降の時系列をプロットした折れ線グラフを一挙に3枚引用すると上の通りです。見れば明らかなんですが、能力の発揮・向上はまだまだ高い水準ながら傾向的に低下を示しており、給料アップがほぼ安定しているのに対して、労働時間や私生活への不干渉などがまだ比率は低いものの一貫して増加の傾向にあります。理由や動機はすっかり忘れましたが、私はバブル末期にメガバンクの運動会で週末を潰された記憶があり、確かに時代背景もあって豪華絢爛な運動会だったんですが、ああいった社を上げてのイベントはもう流行らないんだろうという気がします。

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次に、リポート p.12 から 就労意識 、すなわち、転職したいか、定年まで働きたいか、ついて、2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。米国のサブプライム・バブル崩壊後は安定志向が強まって定年まで働きたいとの就労意識がと読まったように見えますが、2012年末の安倍内閣の成立とアベノミクスによる現在の景気拡大局面の継続で、再び転職志向が強まっているような印象です。

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最後に、リポート p.17 から 残業に対する考え方 、すなわち、残業かお給料かの二者択一について、これも2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。コチラは米国のサブプライム・バブル崩壊とは関係なく、傾向的にお給料アップよりも残業をなくす方向が選好されて来たんですが、今年の新入社員は反転の兆しを見せています。今年の新入社員だけの特徴なのか、今後のトレンドを示唆しているのか、現時点では何ともいえませんが、定点観測として少し注目しています。また、最初に引用した【アンケート調査結果の概要】の3点目で、10年後の日本経済に関する悲観的な見方が広がっている、とありますが、私のような経験豊かなエコノミストでも10年後の経済なんて判りはしませんから、新入社員の意識で論じても仕方ないような気がします。いかがでしょうか?

最後の最後に、生産性本部でも毎年新入社員の意識調査を実施しており、今年の新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」だそうです。Pokémon GO を強く意識したネーミングとなっています。昨年はドローンだった記憶があり、世間動向を意識しているだけなのか、それとも、新入社員がホントにそのタイプなのかどうかは疑問が残り、私のこのブログでは適当に既読スルーしているのが実情です。
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2017年05月18日 (木) 22:57:00

1~3月期のGDP統計速報1次QEは潜在成長率を超えて年率+2.2%の高成長を記録!

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+2.2%を記録しました。潜在成長率をかなり超えて、なかなかの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1~3月期GDP、年率2.2%増 個人消費がけん引
内閣府が18日発表した2017年1~3月期の国内総生産(GDO)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.2%増だった。プラスは5四半期連続。個人消費が持ち直し、輸出も伸びた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.4%増で年率では1.8%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.4%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.4%増と、5四半期連続でプラスだった。生鮮野菜の価格高騰が一服し、消費者心理が改善した。
輸出は2.1%増、輸入は1.4%増だった。アジア向けを中心に需要が堅調で輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は0.2%増と、2四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.7%増。公共投資は0.1%減。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.8%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.1%のプラスだった。
同時に発表した16年度のGDPは実質で前年度比1.3%増と、2年連続のプラス成長となった。生活実感に近い名目では同1.2%増となり、5年連続のプラス成長となった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/1~32016/4~62016/7~92016/10~122017/1~3
国内総生産GDP+0.6+0.4+0.2+0.3+0.5
民間消費+0.3+0.2+0.4+0.0+0.4
民間住宅+1.1+3.1+2.7+0.4+0.7
民間設備+0.1+1.3▲0.2+1.9+0.2
民間在庫 *(▲0.3)(+0.3)(▲0.4)(▲0.2)(+0.1)
公的需要+1.1▲0.8▲0.1▲0.5+0.1
内需寄与度 *(+0.2)(+0.5)(▲0.1)(▲0.0)(+0.4)
外需寄与度 *(+0.4)(▲0.1)(+0.4)(+0.4)(+0.1)
輸出+0.5▲1.4+1.9+3.4+2.1
輸入▲2.0▲1.1▲0.2+1.3+1.4
国内総所得 (GDI)+1.3+0.6+0.1+0.0▲0.0
国民総所得 (GNI)+0.9+0.3▲0.0▲0.1+0.2
名目GDP+0.9+0.2+0.1+0.4▲0.0
雇用者報酬 (実質)+1.6+0.1+0.7▲0.3▲0.1
GDPデフレータ+0.9+0.4▲0.1▲0.0▲0.8
内需デフレータ▲0.3▲0.7▲0.8▲0.3+0.1


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に大きいものではありませんが、赤の消費と黒の外需がプラス寄与しているのが見て取れます。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比+0.4%増の年率+1.8%増でしたから、ほぼジャストミートしたことになります。しかも、5四半期連続のプラス成長ですから、2015年中が少し低空飛行したのと比べれば、順調な回復・拡大との印象を受けます。1~3月期については、消費と輸出が成長を牽引しています。消費については天候不順による『生鮮野菜の価格高騰などの生活に密着した商品の物価高をようやく脱し、マインドが改善しているのが要因と受け止めています。ただ、下のグラフに雇用者所得のグラフを掲げましたが、1~3月期はデフレを脱却してプラスの物価上昇率を記録し始めていますので、実質所得が伸び悩み始めています。ですから、4~6月期においてはベアを伴う賃上げや、さらに、恒常所得ではないと見なされる場合が多いものの、夏季ボーナスなどの所得増が実現できるかどうか、が重要になるような気がします。マインドだけで消費を支えるのはサステイナブルではありません。もうひとつの牽引役である輸出については、経済要因としては大きな懸念はありません。日銀の異次元緩和の下で為替が円高に振れることはありませんし、海外経済が先進国と中国をはじめとする新興国の足並みそろって回復ないし拡大に向かっていますので、我が国からの輸出も順調に伸びると見込まれます。ただ、エコノミストには理解できないような経済外要因は不安が残ります。ひとつは北朝鮮の動向であり、エコノミストの予想を軽く超える可能性が高いと考えられます。もうひとつはトランプ政権下での米国の通商政策の動向が不透明です。ロシアゲートをチラチラと見ている限り、まともな政策運営が期待できかねる可能性すらあり、現在の米国政権の通商政策がどちらに向かうかはまったく不透明で、直接に、あるいは、為替相場における円高を通じて間接に、我が国の輸出に何らかの影響を及ぼす可能性もなしとしません。

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最後に、上のグラフは実質の雇用者所得を年率換算でプロットしています。このブログでも何度か主張した通り、消費は所得とマインドなんですが、最近時点ではマインドを反映する貯蓄率は順調に低下している一方で、実質雇用者所得が上のグラフの通りやや伸び悩んでいます。特に、1~3月期については消費者物価(CPI)が上昇に転じましたので、この先、名目ではなく実質で所得がさらに伸び悩む可能性が懸念されます。家電エコポイントや消費増税などの政策効果で耐久消費財の買い替えサイクルが大きく歪められたんですが、ようやく今年あたりから白物家電の買い替えサイクルが到来したとの見方が出始めています。短期的にはマインドで消費が拡大することは十分あり、それが景気の起爆剤になるケースも少なくありませんが、消費がさらに拡大を継続するためには所得の裏付けが必要です。

最後の最後に、GDPデフレータが前年同期比▲0.8%とマイナス幅を拡大し、1~3月期から消費者物価(CPI)が上昇に転じたのと逆の動きを示しています。基本的には、国際商品市況における石油価格の上昇などで控除項目の輸入デフレータが上昇しているためであると私は認識しています。国内需要デフレータはCPI上昇率に歩調を合わせて1~3月期からプラスに転じており、デフレ脱却の方向はCPIとGDPデフレータで整合的と考えるべきです。
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2017年05月17日 (水) 20:08:00

力強さに欠ける機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から3月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+1.4%増の8623億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の機械受注1.4%増 4~4月見通しは5.9%減 製造業さえない
内閣府が17日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.4%増の8623億円だった。増加は2カ月連続。製造業でコンピューターなど電子機器の受注が増えた。ただ、QUICKが事前にまとめた金融機関など民間の調査機関の予測中央値である2.5%増には届かなかった。内閣府は機械受注の基調判断について「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。
1~3月期では前期比1.4%減少した。同時に発表した4~6月期の見通しは5.9%減で、2四半期連続での減少を見込む。非製造業の9.6%減が響く。小売りや金融での需要が落ち込む見通し。製造業も1.1%減の予想。市場では「米国の通商政策に不透明感が残る間は、企業は設備投資に慎重にならざるを得ない」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方があった。
3月の受注額は、製造業が0.6%増の3529億円だった。増加は2カ月連続だが、伸び率は前月の6.0%から減速した。非製造業の受注額は3.9%減の4964億円と4カ月ぶりの減少。廃棄物処理関連の原子力原動機の受注が減ったことが影響した。前年同月比での「船舶、電力を除く民需」受注額(原数値)は0.7%減だった。
2016年度の受注額は前年度比0.5%増の10兆2314億円で、2007年度以来9年ぶりの水準を回復した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフを見ても、2013年のアベノミクス以降はジワジワとコア機械受注は増加の傾向にあることは確かですが、ジグザグと増減を繰り返しており、これだけの人手不足の要素市場にあって、省力化などの必要性が考えられるにもかかわらず、設備投資が盛り上がらないのも不思議な気がします。今年に入って、月次のコア機械受注は1月に前月比で▲3.2%の減少から始まり。2月+1.5%増、今日公表の3月も+1.4%増と小幅の増加が続いたものの、1~3月期でならしてみれば▲1.4%減を記録し、4~6月期の見通しも▲5.9%減と2四半期連続での減少が見込まれています。3か月前の調査では、1~3月期は前期比で+1.5%増が見込まれていましたが、結局、下振れて終わりましたし、4~6月期についてはそもそも見通しがかなり大きな減少となっています。
機械受注やその川下の設備投資については、現在の生産・出荷や輸出などの指標を見る限り、また、労働市場の人手不足とも考え合せて、緩やかな増加が見込まれると私は考えて来ましたが、北朝鮮をはじめとする北東アジアの地政学的なリスク、さらに、TPPからの離脱をはじめとする各種の大統領令を連発する米国トランプ政権の通商政策、というか、もっといえば、現在の「ロシアゲート」と呼ばれるような大統領としての政策遂行能力への疑問、などなど、経済外的な要因により下押し圧力がかかっている可能性は否定できません。なお、米国通商政策がクローズアップされることが多いんですが、例えば、今年2017年1~3月期に限ってみれば、コア機械受注のうち、製造業▲4.2%減、非製造業+0.0%の横ばいでしたので、そう見えなくもないんですが、4~6月期の見通しに目を転ずると、製造業▲1.1%減、非製造業▲9.6%減ですから、それだけでもない気がします。人手不足で賃金が上昇しない点とともに、私の目から見てややパズルです。
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2017年05月16日 (火) 20:12:00

明後日公表予定の1-3月期GDP統計1次QEは高成長か?

4月中にほぼ必要な統計が出そろい、明後日の5月18日に1~3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定ですが、すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルの上から5機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研となっています。その下の4機関には先行きはありません。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.8%)
4~6月期を展望すると、トランプ米大統領の政策運営や北朝鮮情勢など海外の政治・経済動向は不透明感が強く、マーケットの変動などが景気を下押しするリスクはあるものの、①輸出の増加や在庫調整の進展を受けた製造業の生産活動の持ち直しや、②2016年度第2次補正予算の執行に伴う公共投資の増加、などが引き続き景気を下支えすることで、景気回復基調が続く見込み。
大和総研+0.4%
(+1.7%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、米国の通商政策や地政学的リスクの高まりなど、外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.4%
(+1.5%)
2017年度の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、設備投資の押し上げ要因になるとみられる。他方、個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くものの、年度半ばにかけて見込まれるエネルギー価格の上昇が下押し要因となるだろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.4%)
日本経済は1年以上にわたって潜在成長率を上回る成長を続けている。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年1-3月期は民間消費が高めの伸びとなったことから内需の伸びが高まり、内外需のバランスが取れた成長となった。先行きについても、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くことに加え、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しが見込めることなどから、景気は堅調な推移が続くことが予想される。ただし、名目賃金が伸び悩んでいるため、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しするリスクには注意が必要だろう。
第一生命経済研+0.4%
(+1.8%)
先行きについても、輸出の増加が続く可能性が高いことに加え、景気対策効果の顕在化によって公共投資も増加が予想される。1-3月期に足踏みとなった設備投資についても、企業収益の持ち直しや景況感の回復を受けて増加が期待できる。今後も着実な景気回復が続く可能性が高いだろう。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.6%)
10~12月期(前期比+0.3%、年率+1.2%)から成長ペースはやや加速したことになるが、国内民間需要は個人消費が横這い、設備投資は小幅増加にとどまる中で住宅投資の落ち込みにより前期比+0.1%の微増、純輸出(輸出-輸入)が成長率を+0.2%Pt押し上げており、輸出頼みの緩やかな成長という姿は変わらないことになる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.5%
(+2.1%)
1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率2.1%と予想する。昨年4-6月期(同2.2%)以来3四半期ぶりに、年率で2%台の成長率に復帰する見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.1%)
2017年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と5四半期連続でプラスとなったと見込まれる。景気が持ち直していることを確認する結果となるだろう。
三菱総研+0.4%
(+1.6%)
2017年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.4%(年率+1.6%)と5四半期連続のプラス成長を予測する。好調な輸出に加え、消費も底堅く推移しており、内外需バランスのとれた成長となろう。


ということで、季節調整済み系列の前期比年率で+1%台後半から2%くらいの成長率予想が主流となっています。潜在成長率に比較してかなり高めの成長であり、中でも、政策効果で大きな歪みを生じていた耐久消費財の買い替えサイクルが始まったと見なされている消費について、ようやく回復の兆しが見えているのが明るい材料と考えています。ただ、企業部門の設備投資は、上のテーブルの中では伊藤忠商事経済研を除いて、まだほぼすべての機関でマイナス予想となっており、6月1日公表予定の法人企業統計を見たい気もしますが、我が国企業部門の力量低下が著しく表れているような気もします。外需についてもプラス寄与は続いていますが、その幅はかなり縮小して、外需主導から消費主導の成長の姿が示されるとの予想が中心です。上のテーブルのヘッドラインで取り上げようと試みた先行きについても順調な景気の回復・拡大を予想する向きが多く、特に、企業収益の面から設備投資の拡大も見込んでいる機関が少なくありません。ただ、わけの判らない地政学的リスクの発生、北朝鮮のミサイル発射とか、あるいは、経済合理的でない米国の通商政策の方向性とか、そういったリスクがどこまで顕在化するかどうか、エコノミストには理解不能な部分もあったりします。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2017年05月15日 (月) 22:29:00

3年振りに+2%超を記録した企業物価(PPI)上昇率は日銀の物価目標と整合的か?

本日、日銀から4月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の企業物価指数、前年比2.1%上昇 3年3カ月ぶりの上昇率
日銀が15日に発表した4月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。前年比での上昇は4カ月連続で、上昇率は前月(1.4%)から拡大した。上昇率は消費増税の影響を除くと2014年1月(2.5%)以来3年3カ月ぶりの大きさだ。市況上昇を背景に鉄鋼価格に値上がりが目立ったほか、原油先物相場の上昇を受けガソリンや軽油も値上がりした。ただ最近はガソリン価格などが伸び悩んでおり、前月比では0.2%の上昇にとどまった。
円ベースの輸出物価は前年比で3.0%上昇したが、前月比では1.9%下げた。輸入物価も前年比で10.9%上昇する一方、前月比では2.2%下げた。原油価格の下落や前月比での円高・ドル安進行が響いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している746品目のうち前年比で上昇したのは315品目、下落は331品目だった。上昇と下落の品目差は16品目で、2月の確報値(106品目)から大幅に縮小した。
日銀の調査統計局は「中国の需要動向や地政学リスクの為替相場や国際市況への影響をより慎重にみていく必要がある」との見方を示した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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少し前から4月の価格改定期を着目していたんですが、予想通り、というか、何というか、割と素直に価格改定が進んだ印象があります。ヤマト運輸の価格改定にも注目ですが、運輸サービスは今日発表の企業物価(PPI)の外数です。今年に入ってPPIの前年同月比上昇率がヘッドラインの国内物価だけでなく、円建てで見た輸出物価・輸入物価ともにプラスに転じ、特に、国内物価上昇率は1月+0.5%、2月+1.1%、3月+1.4%から4月+2.1%とかなり急激な勢いで上昇率が加速して来ており、しかも、4月のPPIの前年同月比上昇率で大きな上昇を示した品目は石油・石炭製品+23.8%と鉄鋼+10.3%と非鉄金属+8.9%などなんですが、エネルギーはもちろんのこと、鉄鋼や非鉄金属などの基礎的な素材製品の値上がりが大きいわけで、これから先、いわゆる川下製品への波及が見込まれます。従って、5-6月くらいまでは少なくとも+2%超の物価上昇率水準が続くんではないかと私は考えています。ただ、一本調子で上昇率が加速するわけでもないでしょうし、少し前までの円高に振れた為替の影響も出ることも考えられ、人手不足の影響を受けやすいサービス物価(SPPI)はともかく、エネルギー価格の影響を受けやすいPPI上昇率については、年央くらいまでには上昇率の加速も止まる可能性が高い、と私は受け止めています。でも、+2%前後の上昇率はキープしそうな勢いです。消費者物価(CPI)に波及し、日銀のインフレ目標と整合的な動きに向かう可能性が十分あることを指摘しておきたいと思います。
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2017年05月12日 (金) 21:54:00

マクロミル・ホノテによる今夏のボーナス調査の結果やいかに?

今週月曜日5月9日にマクロミル・ホノテから「2017年夏のボーナス調査」の結果が明らかにされています。
とても少ないサンプルながら、ボーナス受給予定者の平均見込み額は507,265円などと、かなり有効数字の桁数に疑問のある結果も出ていたりします。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを3点だけ引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 2017年夏のボーナス、"受給予定"は83%、2割弱は"受給なし"
  • ボーナスの見込み額は、平均507,265円、"金融・保険業"が最高の693,939円
  • "受給なし"の理由は、「支給制度がない」54%が最多


繰り返しになるものの、どこまでの信頼性が確保されているかは疑問なしとしませんが、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、調査対象は民間企業に勤務する正社員となっています。この調査対象者に、この夏のボーナスの支給についてたずねると、支給される予定は83%、支給されない予定は17%という実態が示されています。ただし、非正規も含めると支給割合は下がるんではなかろうかと私は想像しています。さらに、マクロミル・ホノテのサイトからグラフを引用すると、上のグラフは 2017年夏のボーナス 会社員の受給予想 <従業員規模別> となっていて、大雑把に、会社の従業員規模が大きくなるにつれ、受給予想が高まる傾向が読み取れます。また、下のグラフは 会社員のボーナス受給額予想 平均見込み額 であり、回答者はボーナスを受給予定の人だけです。支給見込みの平均額は507,265円であり、業種別に見てもっとも高いのは金融・保険業で693,939円、一方もっとも低いのはサービス業で351,258円となっています。こういったボーナス支給で消費がもう少し喚起されるといいんですが、果たしてどうなりますことやら。

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2017年05月11日 (木) 20:57:00

上向いた景気ウォッチャーとリーマン・ショック以前の水準に回帰した経常収支!

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャーが、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月比+0.7ポイント上昇の48.1を、また、先行き判断DIも前月比+0.7ポイント上昇の48.8を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆9077億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、現状判断指数は5カ月ぶり改善 家計悪化に歯止め
内閣府が11日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前の月に比べ0.7ポイント上昇の48.1だった。改善は5カ月ぶり。雇用動向の改善や、客足が復調した飲食関連が寄与し、家計動向の悪化に歯止めがかかった。ただ、人手不足で機会損失などへの懸念は続き、サービス関連はほぼ横ばい。企業動向も伸び悩んだ。
部門別にみると、雇用動向は1.4ポイント上昇の54.8と、4カ月ぶりに改善した。家計動向のうち飲食関連では人手不足を受けて賃金などコスト増が続いたが、客足の回復で懸念が和らいだ。ただ、家計動向は0.7ポイント、企業動向は0.3ポイントといずれも小幅な改善にとどまった。
街角では雇用動向について「製造業を中心に、求人数は増加傾向にある」(北関東の職業安定所)との声がある。家計動向のうち飲食関連では「4月の来店客数が前年比103%を超えている」(近畿のレストラン)、一方で「今年は極端に歓送迎会が少なく非常に危惧する事態となっている」(中国のスナック)と強弱が入り交じった。企業動向でも「積極的な設備投資、新製品開発、既存品のバージョンアップが顕著」(東北の電気機械機具製造業)との見方と「受注が落ち着いてきている。年度初めで顧客も動きにくそうだ」(近畿の建設業)との慎重な見方が混在した。
2~ 3カ月後を占う先行き判断指数は、前の月から0.7ポイント上昇し48.8となった。上昇は2カ月ぶり。雇用関連が2.2ポイント改善した。「人手不足で前年度に新卒者を採用できなかった企業が多く、採用意欲がさらに上向く」(北海道の大学)という。半面、家計動向の改善幅は0.3ポイント増にとどまった。一部百貨店で客数回復や夏場の観光需要に対する期待が聞かれたが「乗務員不足による稼働率低下の影響がますます大きくなっている」(北海道のタクシー運転手)との声も根強い。
内閣府は現状の基調判断は「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」との表現を維持した。先行きは前月に続いて「人手不足やコストの上昇に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資等への期待がみられる」とした。
2016年度の経常収支、20兆1990億円の黒字 旅行収支は過去最大
財務省が11日発表した2016年度の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は20兆1990億円の黒字だった。経常収支の黒字額はリーマン・ショック前の07年度(24兆3376億円)以来9年ぶりの高水準となった。原油安で貿易収支の黒字幅が大幅拡大したことが寄与した。旅行収支は比較可能な1996年度以降で過去最大の黒字額となった。
貿易収支は5兆7654億円の黒字と前年度(3296億円の黒字)から大幅に拡大した。黒字額は10年度(8兆332億円)以来の高水準だった。液化天然ガス(LNG)や原粗油などの減少で輸入が10.9%減少。自動車や鉄鋼などの低迷で輸出も3.4%減少したが、輸入の落ち込みが上回った。
サービス収支は1兆5058億円の赤字と前年度から1531億円赤字幅を拡大した。知的財産権などの使用料の受け取りが減り、「その他サービス収支」の赤字額が増えた。一方、旅行収支は訪日客の増加を背景に1兆2789億円の黒字と過去最高を記録した。
第1次所得収支は18兆356億円の黒字(前年度は20兆8964億円の黒字)だった。円高などを背景に、証券投資で受け取る配当金などが減少した。
同時に発表した3月の経常収支は2兆9077億円の黒字だった。黒字は33カ月連続となったが、黒字幅は前年同月から645億円縮小した。貿易収支は8655億円の黒字(前年同月は8711億円の黒字)だった。輸出入ともに増えたが、輸入の増加が上回った。サービス収支は1804億円の黒字(前年同月は2630億円の黒字)、第1次所得収支は2兆1951億円の黒字(前年同月は2兆1591億円の黒字)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIも先行き判断DIも、すべてのコンポーネント、すなわち、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の3項目とも上昇を示しています。引用した記事にあるように、いよいよ季節もよくなって家計のマインドも底入れしつつある、との楽観論がある一方で、まだまだ小動きの範囲内であって、悪化に舞い戻る可能性も小さくない、という悲観論も残っていて、私も判断がつきかねています。先日発表のあった消費者態度指数は需要サイドのマインドで少し悪化したのに対して、今日の景気ウォッチャーは供給サイドのマインドであり改善を示しています。この不整合の要因として、供給サイドと需要サイドとで、ビミョーに価格上昇の受け止め方が違う可能性があると私は考えています。すなわち、4月の消費者態度指数は価格上昇に対する消費者サイドの嫌気が現れているのに対して、景気ウォッチャーは価格上昇に対する販売者サイドの好感を表している可能性があります。いずれにせよ、現状判断DIも先行き判断DIも、いずれも、3つのコンポーネントのうち雇用関連の上昇幅が最も大きくなっており、人手不足の現状が反映されていると受け止めています。現状判断の理由集を見ていると、数量も単価もまずまずよくなっている印象なんですが、逆に、悪くなっている理由には北朝鮮情勢が上げられている例が散見されます。ホントなんでしょうか。単に、成績の悪い理由を北朝鮮に押し付けているだけという気もしなくもありませんが、北朝鮮のミサイル発射で人出が悪影響を受けるようなことになれば、そうなのかもしれないと思ったりもします。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、経常収支は2011年3月の震災や2009年のリーマン・ショック前の水準に戻ったと受け止めています。今年1-3月期のGDP統計が来週18日に内閣府から公表されますが、経常収支のGDP比も4%くらいに拡大しているんではないかという気がします。経常黒字をもおたらしたのが国際商品市況における石油価格の下落ですから、トランプ米国政権の通商政策に何らかの影響を及ぼす可能性は低いと考えるべきですが、黒字の水準としてはかなり高いと見る向きもありそうです。トランプ政権の政策動向と我が国の経常収支の関係についてはやや複雑で、通商政策により米国内への投資の回帰がホントに進むのであれば、我が国の経常黒字の縮小要因となりますが、インフラ整備などの財政政策は黒字拡大要因となります。もちろん、為替への影響も見逃せません。
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2017年05月10日 (水) 20:28:00

景気動向指数に見る景気は長期の拡大を続ける!

本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI一致指数は前月比▲0.6ポイント下降の114.6を、CI先行指数は+0.8ポイント上昇の105.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の景気一致指数、2カ月ぶり低下
内閣府が10日発表した3月の景気動向指数(2010年=100、CI)によると、景気の現状を示す一致指数は前月より0.6ポイント低下し、114.6となった。2カ月ぶりに前月を下回った。スマートフォン(スマホ)用の電子部品や半導体製造装置の生産・出荷が減ったためだ。
内閣府は一致指数からみた基調判断を「改善を示している」とし、6カ月連続で据え置いた。
一致指数を構成する指標で、前月と比べられる7つの指標のうち、4つが押し下げ要因となった。電子部品などの生産・出荷が落ち込んだほか、自動車やバイクなど耐久消費財の出荷も減少した。新型車発売の効果が一巡したとみられる。
小売・卸売の販売額、有効求人倍率の3つの指標は前月を上回ったが、全体を押し上げるほどではなかった。
数カ月先の景気を示す先行指数は前月比0.8ポイント上昇の105.5となった。2カ月連続で上昇し、15年6月以来1年9カ月ぶりの高水準となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数のうちのCI一致指数は2か月振りの下降とはいえ、昨年2016年10月に「足踏み」から「改善」に基調判断が上方改定されてから半年間据え置かれており、2012年12月の現在の内閣発足から今年2017年3月まで4年余りの長期に渡る景気拡大局面ということになります。ということで、少し詳しくCI一致指数を見ると、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)がこの順でプラスに寄与しており、逆に、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数がマイナスに寄与しています。商業販売統計と耐久消費財出荷が相反する結果となっていて、やや混乱を来たしかねない内容ながら、まだら模様というべき状態です。また、CI先行指数が上昇した要因は、消費者態度指数と新設住宅着工床面積と日経商品指数(42種総合)のプラス寄与が大きくなっています。
繰り返しになりますが、内閣府による景気基準日付に従えば、現在の景気循環の拡大局面は2012年11月を谷として、もしも2017年3月まで景気拡大が継続していると仮定すれば、景気拡大が52か月となり、いわゆるバブル景気、すなわち、1986年11月を谷として1991年2月を山とする第11循環の景気拡大期の51か月を上回ることとなります。戦後における長期に渡る景気拡大は、米国のサブプライム・バブルと同時期の2002年1月を谷とし2008年2月を山とする第14循環の73か月、次いで、いわゆるいざなぎ景気と呼ばれる1965年10月を谷とし1970年7月を山とする第6循環の57か月があり、現在の景気拡大はこれらに続いて戦後3番目の長さということになります。基本的に、エコノミストとして景気拡大が長期に及ぶのはめでたいことだと受け止めていますが、もう少し消費に力強さが加わればより望ましい姿に近づくような気がします。
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2017年05月09日 (火) 19:41:00

賃金の伸びが大きく鈍化した毎月勤労統計をどう見るか?

本日、厚生労働省から3月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.4%増を、また、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で▲0.1%の減少を、それぞれ記録しています。これに加えて、消費者物価が上昇を示していますので、消費者物価でデフレートした実質賃金はさらに大きなマイナスとなります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

名目賃金、10カ月ぶりマイナス 3月の毎月勤労統計
厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて0.8%減少した。減少は2カ月ぶり。名目賃金にあたる現金給与総額は27万7512円で前年同月比で0.4%減少した。正社員の基本給が減っている。大企業は賃金のベースアップを進めているが、産業界全体で見ると賃上げの動きが滞っている可能性がある。
名目賃金が前年同月を下回ったのは10カ月ぶり。内訳をみると、基本給を示す所定内給与は前年同月比0.1%減。残業代を示す所定外給与は1.7%減、通勤手当や賞与を示す特別に支払われた給与は3.6%減った。
基本給を雇用形態別にみると、ほぼ正社員に相当する「フルタイム労働者」が0.1%減と、14年4月以来およそ3年ぶりにマイナスに転じた。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「フルタイムの基本給が弱いのは大企業のベア以外に賃金を押し上げる動きが乏しいため」と分析する。
足元の労働市場では人手不足が進む。完全失業率は3月で2.8%と完全雇用に近い状態だ。企業はパートタイム労働者については賃上げに動いており、パートの時間あたり賃金は2.1%増だった。
厚労省は実質賃金の落ち込みについて、昨年3月の実績が高いため、前年同月比はその反動でマイナスになった可能性もあると説明している。今年3月に政府がまとめた働き方改革の実行計画の会議で安倍晋三首相が労使に賃上げを要請するなど、賃金上昇への期待は高い。
先行きは春季労使交渉で大手企業が表明したベアがどこまで広がっているかが焦点になる。大和総研の長内智シニアエコノミストは「企業には稼ぐ力があり、4年連続の賃上げ2%達成は可能だ」と見る。
実質賃金は名目賃金から物価上昇分を除いた指標で、消費動向を左右する。3月は消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が前年同月比0.3%上昇し、実質賃金を名目より押し下げた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目の1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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景気に敏感に対応する製造業の所定外労働時間が鉱工業生産指数(IIP)と歩調を合わせて低下したことは当然としても、本日公表の3月の毎月勤労統計の最大の謎は賃金であろうと私は考えていますが、この賃金の落ち込みはかなりの程度に労働時間で説明できるのではないかと私は理解しています。すなわち、働き方改革の推進などにより、所定内労働時間を中心に労働時間が短縮されて来ている可能性があります。所定内労働時間は2014年通年で▲0.6%減、2015年▲0.3%減、2016年▲0.5%減と緩やかに低下を示してきましたが、2017年に入って、季節調整していない原系列の労働時間指数の前年同月比で見て、1月▲1.2%減、2月▲0.7%減、3月▲2.0%減と急激に減少を始めています。総実労働時間でも、2017年1月▲1.1%減、2月▲0.5%減、3月▲1.9%減と大きな減少が続いており、2月は昨年がうるう年であった点を考慮すると、実質的にはもっと大きなマイナスと考えるべきですから、労働時間の減少が大きくなっており、賃金の低下幅はこれより小さく、時間当たり賃金は上昇していると受け止めています。ひとつの傍証として、パートタイム労働者の時間当たり賃金も昨年10月ころからほぼコンスタントに前年比で+2%前後を記録しています。
労働時間の長短と所得の多寡はトレードオフの関係にあり、当然ながら、短い労働時間と高額の所得は両立しません。もちろん、働きづめに働いて所得を稼いでも、支出するヒマがないようではマクロの消費は増加しません。逆に、支出する余暇が十分でも、労働時間が短すぎて所得が十分でなければ同じことです。現時点では、政府の働き方改革の中で労働時間の短縮が先行しているようで、典型的には2月から実施されているプレミアム・フライデーなのかもしれませんが、それだけ所得が減少しがちになる可能性があるのかもしれません。
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2017年05月08日 (月) 20:42:00

消費者態度指数の低下は何を意味するのか?

本日、内閣府から4月の消費者態度指数が公表されています。前月から▲0.7ポイント低下し43.2を記録しています。先月から、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正していますが、今月は「持ち直し」のまま据え置かれました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の消費者態度指数、前月比0.7ポイント低下の43.2 基調判断据え置き
内閣府が8日発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.7ポイント低下の43.2だった。足元の食料品の値上げなどを受けて物価上昇への警戒感が強まったことに加え、株価下落による資産価値の減少などで生活環境が悪化すると見込む消費者が増加した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。消費者態度指数は5カ月ぶりに低下したものの、3カ月移動平均では前月を上回ったことを考慮した。
指数を構成する4つの意識指標のうち「暮らし向き」が1.2ポイント、「収入の増え方」が0.8ポイントそれぞれ低下した。「耐久消費財の買い時判断」も前月を1.6ポイント下回った。一方で「雇用環境」は0.8ポイント上昇と堅調に推移した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より7.4ポイント高い78.9%だった。上昇幅は比較可能な13年4月以降では最大となった。公共料金や食用油などの価格上昇に加え、今後控える宅配便の値上げも意識されたようだ。「低下する」との見通しは2カ月連続で減少したほか「変わらない」との見方も3カ月ぶりに減った。
調査基準日は4月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5654世帯(回答率67.3%)だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、雇用環境だけは+0.8ポイント上昇し47.7となったものの、他の3つのコンポーネント、すなわち、耐久消費財の買い時判断が▲1.6ポイント低下の42.2、暮らし向きが▲1.2ポイント低下の41.5、収入の増え方が▲0.8ポイント低下の41.4と、それぞれ、算出されています。上のグラフを1変数だけのユニバリエイトに見ても、何となく「持ち直し」の動きに乗っているように見えますし、基調判断の変更は不要ではなかろうかと私も思っています。4つのコンポーネントのうちでも、もっとも基礎的な雇用環境が人手不足の中で改善を続けていますので、収入や暮らし向きといった他の項目も雇用が改善する限り、少しラグがあるかもしれないものの、決して悲観する必要はないものと私は受け止めています。
また、今日の今日で、この統計には反映されようもなかったわけですが、フランス大統領選挙の決選投票でEU加盟を堅持するマクロン候補が大差で勝利し、日本円は対ドルでも対ユーロでも円安に振れて、東証株価指数はこの結果を好感して450円の上昇を記録しています。米国の経済通商政策動向がまだまだ不透明ながら、昨年の英国国民投票でのBREXITや米国大統領選挙の結果と違って、安心できる結果に受け止められたような気がします。
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2017年05月05日 (金) 23:23:00

米国雇用統計は6月公開市場委員会(FOMC)での利上げをサポートするか?

本日先ほど、米国労働省から4月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は3月の8万人足らずから、一気に回復して+211千人増となり、失業率もさらに前月から0.1%ポイント下がって4.4%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の8パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. labor market rebounds as employers add 211,000 jobs; unemployment rate falls to 4.4%
Solid job growth returned last month as the labor market rebounded from what appears to have been a steep weather-related March slowdown, the Labor Department said Friday.
The U.S. economy added 211,000 net new jobs in April, up sharply from a downwardly revised 79,000 the previous month that was the weakest showing since last spring.
The report signals that the overall economy is poised for stronger growth after an anemic first quarter.
The unemployment rate dropped to 4.4% in April, its lowest level in nearly a decade.
Wages also improved. Average hourly earnings were up 7 cents to $26.19 after a downwardly revised 2-cent increase in March. For the year ended April 30, wages were up 2.5%.
Job growth last month was fueled by the service sector.
Leisure and hospitality employers added 55,000 net new jobs, up from 9,000 in March. Healthcare and social assistance payrolls swelled by 36,800 in April after a 16,400 increase the previous month.
And retailers reversed a recent trend of job losses, adding 6,300 net new positions after cutting payrolls by 27,400 in March.


この後、カリフォルニア州のローカルな雇用の話題などが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ゴールデンウィーク中ですので、簡単に済ませたいと思います。非農業部門雇用者数の前月差伸びについて、市場の事前コンセンサスは+185千人くらいといわれていたんですが、それを上回って211千人増でした。加えて、失業率がさらに下がって4.4%を記録しています。サブプライム・バブル崩壊直前の水準まで低下したことになります。次の米国連邦公開市場委員会(FOMC)は6月13-14日に開催予定ですが、もう一回米国雇用統計の公表がありますので、5月の雇用統計を見極めつつ利上げの判断がなされるものと多くのエコノミストは理解しています。直感的には、利上げの可能性の方がやや高いんではないかと私は受け止めています。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象ながら、もう一段の加速が見られません。ただ、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ政権の経済政策次第では上昇率が加速する可能性もなしとしません。
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2017年05月02日 (火) 21:07:00

東洋経済オンラインによる都道府県別「未婚率上昇率」ランキングやいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、4月28日付けで東洋経済オンラインから都道府県別「未婚率上昇率」ランキングが明らかにされています。絶対的な未婚率も去ることながら、未婚率の上昇、すなわち、1980年から2015年までの期間で、どの程度未婚率が上がったか、にも着目しています。ということで、下の日本地図の画像は生涯未婚率上昇率マップを東洋経済オンラインのサイトから引用しています。

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続いて、東洋経済オンラインのサイトから都道府県別生涯未婚率上昇率ランキングを引用すると以下の通りです。北国、というか、東北地方やいわゆる過疎地域の多そうな印象のある県が未婚率の上昇が大きく、東京都・神奈川県や近畿圏の京阪神はそれほど未婚率が上昇していないように見えます。ただ、もともと1980年時点での未婚率に差があったのかもしれません。私の専門外ですので、よく要因はわかりませんが、確かに、東洋経済オンラインが主張するように、「青森で16倍! 北日本で密かに進む未婚化の怪」が正しいのかもしれません。

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2017年05月01日 (月) 21:26:00

帝国データバンクによる「人材確保に関する企業の意識調査」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先月4月20日付けで帝国データバンクから「人材確保に関する企業の意識調査」と題する調査結果が明らかにされています。pfdの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の要旨を引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人材採用のための新たな取り組みを行っている企業は、全体の72.2%(10,082社中7,281社)と高水準。このうち、最も多くの企業が行っている取り組みは「賃金体系の見直し」(46.6%)となり、規模別では、規模が小さいほど高い割合となった。
  2. 企業が求める人材像のトップは「意欲的である」(49.0%)となり、約半数の企業から支持された。第2位は「コミュニケーション能力が高い」(38.6%)、第3位は「素直である」(32.2%)が続いた。人物像類型(「能動型人材」「協働型人材」「変革型人材」「地力型人材」の4つ)別で見ると、第2位の「コミュニケーション能力が高い」、第3位「素直である」を含む「協働型人材」に類型される人物像を選択する企業が多かった。


要旨の第2点は私の興味の範囲外ですので無視するとして、第1点でやはり「賃金体系の見直し」という表現で賃上げをアジェンダのセットしなければ人材確保が難しい段階まで、ようやく労働市場が完全雇用に近づいたと実感しています。取り急ぎ、人材確保のための取り組みについて、リポートのテーブルのデータを基にしたグラフは以下の通りです。

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実に、雇用の質的な改善について、賃金引き上げだけでなく、長時間労働の抑制をはじめとして、政府が取り組んでいる働き方改革のメニューがずらりと並んでいます。少子化による人口減少のために労働市場の逼迫度が増しており、賃上げとともに働き方改革が大いに進む条件が整備されています。政府の後押しも十分、なのかもしれません。
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2017年04月28日 (金) 23:26:00

いっせいに公表された政府統計の経済指標をレビューする!

本日、経済産業省から3月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。各統計の主要な結果を並べると、鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比▲2.1%の減産、小売業販売額は前年同月比+2.1%増の12兆5430億円、失業率は2.8%と前月と同水準で、有効求人倍率は前月からさらに低下してで1.45を記録し、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.2%と3か月連続でプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、3月は2.1%低下 半導体関連の生産減で
経済産業省が28日発表した3月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.1%低下の99.6となった。2カ月ぶりの低下となり、QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.0%の低下)を下回った。半導体製造装置やメモリーなどの生産低下が指数の主な押し下げ要因となった。
経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いた。3月単月では低下に転じたものの、17年1~3月期では前期比0.1%上昇の99.9と4四半期連続のプラスとなった。
3月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から低下し、4業種が上昇した。汎用・生産用・業務用機械工業が6.3%低下、電子部品・デバイス工業が4.8%低下した。一方で、パルプ・紙・紙加工品工業は1.7%上昇した。
出荷指数は前月比1.1%低下の98.1だった。在庫指数は1.6%上昇の109.8だった。在庫率指数は0.5%上昇の111.9となった。
4月の製造工業生産予測指数は前月比8.9%の上昇。汎用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業などが伸びる。経産省による補正済みの試算値では5.3%程度の上昇を見込むが、実現すれば消費増税前の駆け込み需要が発生した14年1月実績(103.2)を超え、リーマン・ショック後では最高となる見通し。5月の予測指数は3.7%の低下を見込んでいる。
3月の小売販売額、2.1%増 自動車販売で新型車効果続く
経済産業省が28日発表した3月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.1%増の12兆5430億円だった。5カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では、新型車効果の続く自動車小売業の寄与度が大きく、前年同月と比べ8.9%増えた。原油価格の回復に伴う石油製品の価格上昇で燃料小売業も14.8%増加した。ドラッグストアの新規出店効果や化粧品販売が引き続き好調な医薬品・化粧品小売業は3.3%増となった。
一方で、前年に比べ気温が低く推移したことから春物衣料の動きが鈍く、織物・衣服・身の回り品小売業が4.4%減少した。百貨店などの各種商品小売業も3.1%減となった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.9%減の1兆6311億円だった。既存店ベースでは0.8%減となった。両業態で衣料品が前年同月を5.2%下回った。飲食料品の販売も減少した。コンビニエンスストアの販売額は3.2%増の9698億円だった。
求人倍率 バブル期並み 3月1.45倍、26年ぶり
人手不足が一段と強まり、雇用に関する指標が改善している。厚生労働省が28日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.45倍で、バブル期の1990年11月以来26年ぶりの水準。総務省発表の完全失業率(同)も前月と同じ2.8%と低水準だった。ただ家計の節約志向は根強く、消費はなお勢いを欠き、物価も低迷している。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。3月は3カ月ぶりに上昇した。正社員の有効求人倍率は0.94倍で2004年に統計を取り始めて以来最高だった。1倍を下回っており、今なお求人の方が求職より少ない状態。企業は長期の視点で人手を確保するため、正社員の求人を増やしている。
職業別に見ると、建設業は3.61倍、飲食などサービスは3.05倍だった。IT(情報技術)など「専門的・技術的職業」も2.04倍に達した。硬直的な労働市場で雇用のミスマッチを解消しにくく「人手不足が成長の制約になりかねない」との声もある。
3月の新規求人は前年同月比6.5%増えた。このうち、運輸・郵便業が12.2%増と大幅に伸びた。厚労省は「大手企業が求人を多く出している」と指摘。ヤマト運輸などを中心に労働環境の改善を進め、その分だけ求人を増やしているとみられる。20年の東京五輪需要が出ている建設業は11.7%、世界経済の回復で生産が持ち直す製造業も11.0%それぞれ増えた。
完全失業率は前月と横ばいだったが、3%台前半とされるミスマッチ失業率(求人があっても職種や年齢、勤務地などの条件で折り合わずに起きる失業率)を下回った。働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にあるといえる。
男女別にみると、男性が2.8%、女性が2.7%だった。男性は失業者が減り、就業者が増えたことで、1995年5月以来21年10カ月ぶりに3%を割り込んだ。総務省は「求人の増加が男性の正社員としての就労に結びついている」とみている。男女合わせた雇用者(原数値)のうち正社員は前年同月より26万人増えた。非正規社員(17万人増)よりも伸びが大きかった。
失業者は188万人と前年同月に比べて28万人減った。自営業を含めた就業者は6433万人。パート賃金の上昇などを背景に、これまで職探しをしていなかった主婦層や高齢者が働き始めたことで、69万人増えた。
3月の全国消費者物価、0.2%上昇 16年度では4年ぶり下落
総務省が28日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.8と、前年同月比0.2%上昇した。プラスは3カ月連続。ガソリン、電気代などエネルギー価格の上昇が寄与した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.3%上昇)は下回った。
生鮮食品を除く総合では全体の57.2%にあたる299品目が上昇し、165品目が下落した。横ばいは59品目だった。
生鮮食品を含む総合は99.9と0.2%上昇した。イカなど生鮮魚介の価格高騰が続き、指数を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.4と、0.1%下落した。2013年7月以来、44カ月ぶりの下落。携帯端末の価格下落が響いた。
2016年度のCPIは、生鮮食品を除く総合が99.7となり、15年度に比べ0.2%下落した。下落は4年ぶりとなる。
併せて発表した東京都区部の4月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.8と、前年同月比0.1%下落した。下落は14カ月連続。通信費や家賃、ガス代の下落が響いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は、次の商業販売統計や雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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繰り返しになりますが、3月の生産は季節調整済みの系列で前月から▲2.1%の減産となり、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲1.0%でしたので、かなり大きなマイナスと受け止めています。ただし、レンジは▲2.1%~+0.5%でしたので、レンジを突き抜けたというわけではありません。また、これも引用した記事にある通り、四半期でならして見ると、ほぼ横ばいながら、1~3月期では前期比+0.1%の増産となっています。さらにさらにで、製造工業生産予測指数では4月の生産計画について前月比+8.9%増と大幅な上昇を見込んでいます。アッパーバイアスを除いても、4月の増産は+5%を超える可能性もありますので、ジグザグした動きながらも、3月のマイナスは軽くクリアしてお釣りが来る勘定なのかもしれません。ただ、製造工業生産予測調査では5月は再び▲3.7%の大きな減産と見込まれており、そのあたりも総合的に勘案して、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いています。財別の出荷は3月に関しては冴えない結果に終わりました。ただ、先行きについては、生産・出荷は底堅く推移すると見込んでいます。即ち、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ需要に加え、耐久消費財については家電エコポイント導入時に購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えていますし、消費増税前の駆け込み需要の悪影響も剥落しつつあります。外需についても、米国向け輸出は増勢が一段落しているものの、欧州向けや中国をはじめとするアジア向けの輸出は好調を維持しています。他方、下振れリスクとしては、エコノミストにはわけが判らない北朝鮮に関する地政学的なリスクがあります。私のようなシロートの目から見ても、いよいよ末期症状に見えるんですが、何がどうなるかは私の予想を超えそうな気がします。知り合いの友人の表現ながら、北朝鮮は昔から瀬戸際外交を繰り広げているんですが、最近ではトランプ米国政権も瀬戸際外交に近いんではないか、と言っていたりしました。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。GDPベースの消費の代理変数となる小売業販売は季節調整していない原系列の前年同月比で+2.1%増、季節調整済みの系列の前月比でも+0.2%増と、昨年半ばあたりから堅調に推移しています。引用した記事にもある通り、新型車の投入による自動車売上げの増加の効果が大きく、逆に、天候条件から気温が上がらず、春もの衣料品の売り上げは伸びなかったようです。ドラッグストアの販売が伸びているのは、下火になったとはいえ、インバウンド消費の貢献も少なくないと私は受け止めています。小売売上の先行きについては、雇用がとても堅調な一方で、量的な完全雇用に質的な賃上げが伴っておらず、先行き不透明ながら、基本的には雇用の不安が低下し消費は増加する方向にあると考えています。繰り返しになりますが、家電エコポイント導入時に購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えていますし、消費増税前の駆け込み需要の悪影響も剥落しつつあり、緩やか小売り売上げは増加するものと見込んでいます。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済以降くらいの人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。私自身の直観ながら、失業率が3%を下回ると賃金上昇が始まると予想していたんですが、一昨日の取り上げたリクルートジョブズの派遣スタッフの時給調査結果に表れているように、派遣労働者の時給は人手不足と言われつつもむしろ下がり始めています。労働需要サイドで、デフレ経済下で安価な労働力に依存していた低生産性企業が退出し非正規雇用への需要が低下したのかもしれませんし、あるいは、労働供給サイドで、デスキリングが広範に生じているのかもしれません。たぶん、どちらも違うんだろうという気がしますが、素直に人手不足で賃金が上昇する世界がとても遠く感じてしまいます。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、ようやく、国際商品市況の石油価格の底入れから上昇に従って我が国の物価も上昇に転ずる、との結果となっています。上のグラフでは積上げ棒グラフの黄色がエネルギー価格の寄与なんですが、2月CPIからプラス寄与に転じています。ただ、石油価格下落の影響はこの先もまだ物価に波及を続ける可能性があり、上のグラフでも食料とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率が低下してマイナスに転じているのが見て取れます。従って、先行きのコアCPI上昇率がこのまま一直線でプラス幅を拡大するかどうかは楽観できないと受け止めています。特に、現在の物価上昇はエネルギー価格の上昇に支えられており、コアCPIの前年同月比上昇率+0.2%のうち、エネルギーの寄与度が+0.3%近くに達します。すなわち、エネルギーを除けば物価はまだ水面下にあるとさえいえます。しかも、東京都区部ではヘッドライン、コアともにいまだにマイナスを続けています。人手不足にもかかわらず賃金が上がりませんので、サービス物価の上昇は鈍いままであり、昨日「展望リポート」を公表した日銀の物価見通しも、公表されるたびごとに物価上昇率は下方修正し、2%のインフレ目標達成は先送りされています。私はリフレ派のエコノミストとして、まずはデフレ脱却と考えていて、ほぼデフレは終了しつつあると認識していますが、2%のインフレ目標はかなり遠そうな気もします。
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2017年04月27日 (木) 20:11:00

久々に景気拡大と表現した日銀「展望リポート」の経済見通しやいかに?

昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合ですが、景気判断は9年振りに「拡大」の表現を用いたものの、金融政策は現状維持、というか、追加緩和なしで終了し、「展望リポート」が明らかにされています。下のテーブルは、「展望リポート」の基本的見解から2016-2018年度の政策委員の大勢見通しを引用しています。1月時点からはかなり上方修正されたんですが、インフレ目標である+2%の達成は、引き続き、「見通し期間の中盤(2018年度頃)になる可能性が高い」とされています。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2016年度+1.4~+1.4
<+1.4>
▲0.3
 1月時点の見通し+1.2~+1.5
<+1.4>
▲0.2~▲0.1
<▲0.2>
 2017年度+1.4~+1.6
<+1.6>
+0.6~+1.6
<+1.4>
 1月時点の見通し+1.3~+1.6
<+1.5>
+0.8~+1.6
<+1.5>
 2018年度+1.1~+1.3
<+1.3>
+0.8~+1.9
<+1.7>
 1月時点の見通し+1.0~+1.2
<+1.1>
+0.9~+1.9
<+1.7>
 2019年度+0.6~+0.7
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.4>
+0.9~+2.0
<+1.9>


ざっと見て、GDP成長率が小幅に上方修正されている一方で、物価見通しは小幅に下方修正されています。最後に、日銀政策委員人事については、広く報じられている通り、政府から片岡剛士氏と鈴木人司氏を充てる人事案を国会に示しています。片岡氏はシンクタンク出身でリフレ派エコノミストとして金融緩和に積極的な一方で、鈴木氏は銀行出身ということもあり場合によっては金融緩和にどこまで積極的かには疑問が残ります。ただ、今日までの金融政策決定会合においても、後退する現在の木内委員と佐藤委員は議案に一貫して反対票を投じており、2人の委員が入れ替わったとしても、現在の黒田総裁以下の執行部による金融政策運営の方向性に大きな変更はないものと私は考えています。
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2017年04月26日 (水) 21:22:00

リクルートジョブズの派遣スタッフの募集時平均時給はまだ下がるのか?

明後日の今週金曜日に失業率や有効求人倍率などの雇用統計が、鉱工業生産指数(IIP)と消費者物価指数(CPI)などとともに公表される予定となっていますが、しばしば取り上げているリクルートジョブズの非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の3月の調査結果が明らかにされています。リンク先は以下の通りです。


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ということで、アルバイト・パート及び派遣スタッフそれぞれの募集時平均時給の推移は上のグラフの通りです。前者のアルバイト・パート順調に賃上げがなされているんですが、派遣スタッフについては3月統計ではとうとう前年同月比で▲2%を超えるマイナスを記録しました。金額としての絶対水準が高いとはいえ、首都圏では派遣スタッフ時給は3月に1,663円と前年同月から▲50円の低下となっています。三大都市圏のほか東海圏は前年比プラス、関西圏は首都圏と同じで前値比マイナスです。なお、リクルートジョブズ以外では、エン・ジャパンも同じように、「2017年3月度の派遣平均時給は1,535円、6ヶ月連続で前期比マイナス」と題して、前年同月比▲2.1%とリポートしています。ただ、エン・ジャパンはリクルートジョブズと違って、三大都市圏すべてで前年比マイナスとなっています。また、エン・ジャパンではリクルートジョブズと同じ三大都市圏以外での派遣スタッフの時給を明らかにしており、3月の派遣時給を全国的に見ても、北信越が前年比でプラスを記録しているだけで、ほかの北海道、東北、中国・四国、九州・沖縄はすべてマイナスとなっています。ですから、派遣時給の低下はほぼ全国的な広がりを持っていると見てよさそうです。
派遣の時給が下がり始めた昨年9-10月ころには、日経新聞の記事などに見られる通り、時給の高い職種の下落が影響しているんではないか、との見方が一般的でしたが、人手不足の中で派遣事業が拡大し過当競争に陥って派遣スタッフの時給にしわ寄せがきている可能性もなくはないんではないかと私は考えています。それとも、企業サイドで派遣募集を控えて正規職員募集に切り替える方向にあるほどは、労働者サイドで正規職員募集に対応しきれず、その分、派遣スタッフの需給が企業サイドの買い手市場に傾いているんでしょうか。私なんぞも貧弱なメディアながら、あれほど正規職員の増加を訴えて来たんですから、そんなことはないとは思うものの、いずれにしても、かなり不思議な現象です。
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2017年04月25日 (火) 19:29:00

高い伸びを維持する企業向けサービス物価(SPPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、日銀から3月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.8%と、徐々に上昇幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 人手不足受け
日銀が25日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.9で、前年同月比0.8%上昇し、45カ月連続で前年を上回った。前月比も0.6%上昇した。消費増税の影響を除いたベースでは前年同月比で0.9%上昇と、比較可能な01年度以降で最も大きい伸びとなった。
土木建築サービスが首都圏での再開発の進展に伴い上昇した。交通誘導警備が人手不足を受けた人件費上昇を背景に伸びたほか、道路貨物輸送もドライバーの確保が難しく需給が引き締まるなかで値上げが進んだ。インターネット広告は化粧品や日用品メーカーを中心に出稿意欲が旺盛で、価格の上昇につながった。日銀の調査統計局は「人手不足に伴うサービス価格の上昇がやや目立ち底堅いが、力強さに欠ける分野もある」と説明した。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは65、下落した品目は42で、上昇品目数は下落品目数より23品目多かった。
同時に発表した16年度の価格指数は103.2と、前年度比0.4%上昇した。上昇は4年連続。土木建築サービスや事務所賃貸が伸びた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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2月統計から3月統計にかけてSPPIの動きが小さく、前年同月比上昇率も+0.8%で上昇幅も大きな変化ありませんでした。統計の大分類の7項目、すなわち、金融・保険、不動産、運輸・郵便、情報通信、リース・レンタル、広告、諸サービスのいずれも、2月から3月にかけての上昇率はそれほど大きな変化は見られず、広告が2月+3.0%上昇に続いて、3月も+2.5%上昇、さらに、諸サービスが2月+1.0%に続いて3月+1.1%上昇といったあたりが高い伸びを示しています。
SPPIの今後の見通しについては、人手不足に伴ってさらに上昇率が加速する可能性があると私は考えています。例えば、2月10日に公表された国土交通省のプレスリリース「平成29年3月から適用する公共工事設計労務単価について」によれば、今年の3月1日から適用される公共工事設計労務単価は全国全職種単純平均で対前年度比+3.4%の引き上げとなるとしていますし、私が見た本日付けの日経新聞朝刊の1面トップは「ヤマト、値上げ 5~20% 消費者向け27年ぶり」と題した記事で、働き方改革や人材の確保に充てるため宅配便で5割のシェアを握るヤマトが消費者向けの宅配便の基本運賃を5~20%引き上げる方針を固め、インターネット通販会社など割引を適用する大口顧客にはさらに大きい値上げ率を求める、と報じられています。さらに、一般的なうわさ話の域を出ないものの、景気回復・拡大が長期化する中で、特に東京のオフィス需給がひっ迫して賃貸料が上昇しているといいます。ヤマトの価格改定はまだ先かもしれませんが、4月は価格改定のシーズンでもあり、企業向けサービス物価(SPPI)の動向が、その川下の消費者物価(CPI)などとともに気にかかるところです。
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2017年04月21日 (金) 20:58:00

発足から3か月近くを経た米国トランプ政権に対する米国民の評価やいかに?

米国での政権交代から3か月近くが経過し、私がよく参照しているピュー・リサーチ・センターから Public Dissatisfaction With Washington Weighs on the GOP と題して、米国の政権、政党、議会に対する世論調査結果が今週月曜日の4月17日に明らかにされています。取りあえず、トランプ政権に対する評価について、歴代の政権と比較しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Early job approval ratings for recent presidents と題するグラフを引用しています。1981年に就任したレーガン元米国大統領から最近6人の米国大統領の就任直後の2月時点での支持率(Approve)と、その2-3か月後の4月ないし5月時点での評価を並べたグラフです。見れば明らかなんですが、現在のトランプ米国大統領は最近の歴代米国大統領に比較して就任直後の2月時点でもともとの評価が低かった上に、4月時点でもわずかに不支持(Disapprove)が減少しただけで、それほどの支持の拡大が見られません。しかも、不支持が支持を上回っており極めて異例な状態となっています。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Demographic differences in views of Trump's job performance と題するグラフを引用しています。性別、人種別、年齢別、学歴別などのトランプ米国政権の支持と不支持をプロットしています。これも見れば明らかで、従来からの傾向と変わらず、女性より男性の支持が高く、白人の支持が高く、大雑把に、年齢が高いほど、また、学歴が低いほど支持が高い、という結果が示されています。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisan gap in Trump approval ratings much wider than for recent presidents と題するグラフを引用しています。現在のトランプ政権の特徴は2点あり、ひとつは支持率が39%と歴代米国政権よりかなり低いことです。もうひとつは与党共和党と野党民主党の間の支持の差が極めて大きく、米国が党派別に分断されかねない状況にある点です。他方、強力なリーダーシップが発揮しにくい状況ともいえますが、逆に、強力なリーダーシップを発揮して欲しくないと考える米国民も少なくなさそうだったりします。何ともビミョーなところです。

いうまでもなく、米国は我が日本の同盟国であるだけでなく、世界の政治経済に大きな影響を及ぼすわけですから、引き続き、現在のトランプ政権の動向が注目されます。
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2017年04月20日 (木) 22:13:00

貿易統計に見る輸出はいよいよ拡大局面に入ったか?

本日、財務省から3月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+12.0%増の7兆2290億円、輸入額は+15.8%増の6兆6143億円、差引き貿易収支は+6147億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易黒字、6年ぶり 16年度4兆円、震災後で初 3月輸出は12%増
財務省が20日発表した3月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出は前年同月比12.0%増の7兆2291億円で、リーマン・ショックのあった2008年9月以来の水準となった。中国向けの液晶デバイスなどがけん引し、アジア向けの輸出額が過去最高を記録した。2016年度の貿易収支は4兆69億円の黒字で、東日本大震災の前年にあたる2010年度以来、6年ぶりに黒字を確保した。
足元の輸出は好調だ。中国向けは、前年同月比16.4%増の1兆2995億円で、5カ月連続の増加。2月に春節(旧正月)休暇後の反動増があった分、減るだろうとの事前予想を覆し、過去2番目の水準になった。自動車部品や電気回路の機器などは4割増えた。中国向けに加えて、タイ向けの鉄鋼なども好調で、アジア全体では日本からの輸出額が過去最大となった。
輸出は米国・EU向けでも好調が続く。米国向けの輸出額は1兆3531億円と3.5%伸び、2カ月連続で増加した。日系企業の現地生産向け自動車部品や、原動機で2桁伸びた。EU向けはイタリアへの自動車輸出の伸びが寄与した。世界経済の追い風を受けて輸出に勢いがある。
一方、3月の輸入額は前年同月比15.8%増の6兆6144億円だった。原油市況が底入れし、サウジアラビアからの原油輸入額が増えた。オーストラリアからの石炭の輸入額が増えたことも影響した。輸出額から輸入額を引いた貿易収支は17.5%減の6147億円だった。2カ月連続の貿易黒字だが、好調な輸出を上回る輸入の伸びで、黒字額は縮小した。
財務省が同日発表した2016年度の貿易収支は4兆69億円の黒字で、東日本大震災以来、6年ぶりに黒字を確保した。東日本大震災以降は原子力発電所の停止で火力発電所向けの燃料輸入が増えていたが、原油相場の低迷と、16年度は対ドルで前年度比10%の円高になった影響で輸入額が減った。
16年度の輸出は3.5%減の71兆5247億円。米国やサウジアラビア向けの自動車、欧州向けの鉄鋼が減少した。輸入は10.2%減の67兆5179億円だった。マレーシアやカタールからの液化天然ガス(LNG)輸入額が減ったほか、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)からの原油輸入が減った。
16年度の対米の貿易黒字は6兆6294億円で、5年ぶりに減少した。大型車や鉄鋼などの輸出が減少した。トランプ政権は日本を多額の貿易赤字相手国の一つとみなす。日本から米国向けは、16年度通期で見ると自動車輸出が減り、足元ではトランプ大統領の意に沿う形で、現地生産向けの部品が伸びる構図だ。


3月のデータが利用可能になったため、どうしても年度計数に目が行きがちで長めの記事となっているものの、3月の貿易統計に関しても最近の足元での輸出の堅調ぶりを報じた内容となっており、いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、メディアで注目の年度計数ですが、震災前の2010年度から数えて6年振りに年度で貿易収支が黒字を記録しています。震災後のここ数年は原子力発電所の停止で火力発電所向けの燃料輸入が増えていたわけですが、すでに底を打ったとはいえ原油相場が低迷を続けるとともに、2016年度は対ドルで前年度比10%の円高になった影響で輸入額が減った影響が大きいと私は受け止めています。他方、輸出は足元で中国や先進国も含めて世界経済の回復ないし拡大から回復基調を続けています。ただし、引用した記事にもある通り、なぜか、対米国の貿易黒字は6兆円余りと水準は高いものの、2016年度は黒字幅が縮小しているようです。自動車輸出の減少に伴う黒字縮小であり、シェールガスやオイルの影響ではないと考えられています。3月については、引用した記事の見方とは異なり、中華圏の春節の影響で大幅な黒字となった2月の反動は、少なくとも季節調整済みの系列には着実に出ており、上のグラフの下のパネルに見られるように、季節調整済みの系列では3月の輸出額は2月から減少しています。このため、季節調整済みの系列では、2月の貿易黒字+6090億円に比較して、3月は+1722億円と急減を示しています。春節効果で大きな変動の見られる原系列ではなく、季節調整済みの系列では輸出の減少と貿易黒字の縮小が3月に観察されることは忘れるべきではありません。ですから、2016年度の貿易黒字は、ある意味では、世界経済の回復ないし拡大と我が国経済の足踏みを需要面のバックグラウンドにしていたわけですが、季節調整済み系列で見た3月統計ではそうなっていない、という点はエコノミストとしては確認しておいていいと私は考えています。我が国経済も回復ないし拡大の方向にある可能性が高いと考えるべきです。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出額はハッキリと回復ないし拡大を示しており、その背景はOECD先行指数に見られる海外経済の回復による我が国輸出への需要拡大です。

なお、まだ1月ほど先のお話ですが、5月18日には1-3月期のGDP統計1次QEが内閣府から公表される予定となっており、貿易統計の結果から考え合わせると外需寄与度は輸出拡大により1次QEにはプラス寄与になることが見込まれるんではないかと私は考えています。
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2017年04月19日 (水) 19:27:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」World Economic Outlook 第1章見通し編やいかに?

IMF世銀の4月総会を前に、日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の第1章見通し編が公表されています。

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まず、IMFのサイトから世界経済の成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。クリックすると、リポート第1章の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページ2ページだけを抽出したpdfファイルが別タブで開くようになっています。
世界経済の成長率見通しは、2017年+3.5%、2018年+3.6%と、2016年の実績である+3.1%からやや船長が加速し、また、昨年10月の「世界経済見通し」からもわずかに上方修正されています。日本の成長率見通しは、今年2017年が+1.2%と、昨年10月時点の+0.6%成長から大きく上方修正されていますが、これは過去にさかのぼった統計の見直し (a comprehensive revision of the national accounts) によるものであると明記されています。その後、2018年は+0.6%(昨年10月時点での見通しは+0.5%)成長と鈍化しますが、力強さを増すと予想される外需や東京オリンピック関連の民間投資の効果が考えられる一方で、財政面での下支えの剥落や輸入の回復により相殺されるためであると指摘しています。中長期的には労働の縮小が成長の重しとなるものの、1人当たり所得の伸び率は過去数年と同程度と見込んでいます。物価については、エネルギー価格の上昇、最近の円安、緩やかに高まる賃金圧力などによりインフレ率は高まると予想されるものの、インフレ期待が緩やかにしか高まらない中、2022年までの予測期間中の物価上昇率は日銀のインフレ目標を相当に下回って推移すると見込んでいます。

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最後に、リポートから Figure 1.20. Recession and Deflation Risks を引用すると上の通りです。先進国の中では、米国や欧州ユーロ圏よりも日本の景気後退確率とデフレ確率がグンと高い、との結果が示されています。アジア新興国がいずれもやたらと低い確率を叩き出しているのが印象的です。
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2017年04月18日 (火) 21:14:00

東洋経済オンラインによる「就職人気ランキング」やいかに?

昨日4月17日付けで、東洋経済オンラインにおいて、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が行った「企業ブランド調査」を基に「就職人気ランキング」が明らかにされています。2018年3月卒業の大学生が対象ですから、我が家の上の倅より学年でひとつ上ということになりますので、私もそれなりに注目してしまいました。東洋経済オンラインのサイトから就職人気ランキングの1-50位を引用すると下の画像の通りです。働き方改革にあわせて、あれほどバッシングされた電通もランクインしています。

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従来から人気の銀行・証券・保険などの金融機関に加えて、1位となった全日空などの旅行・輸送会社、食品会社などが目立つ気がします。私が学生のころに憧れた商社もいくつか入っています。なお、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の「企業ブランド調査」では、さらに詳細な情報が公開されています。ご参考まで。
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2017年04月17日 (月) 21:22:00

今夏のボーナスは増えるのか減るのか?

先週までに、例年のシンクタンク4社から夏季ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想ですので、ベースがかなり違っています。注意が必要です。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研36.6万円
(+0.4%)
64.7万円
(+2.6%)
今夏の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+0.4%と、夏季賞与としては2年連続のプラスとなる見込み。
背景には、2016年度下期の企業収益の底堅さ。製造業では、2016年11月以降の円安の進展、輸出の持ち直しにより、2016年度下期の収益が上振れ。非製造業でも、情報通信業などの増益を中心に、企業収益は高水準を維持する見込み。
第一生命経済研36.7万円
(+0.5%)
n.a.増加が予想されるとはいえ、伸び率自体は小幅なものにとどまる見込みである。加えて、春闘でのベースアップが昨年をやや下回る上昇率にとどまったとみられることからみて、所定内給与も伸びが鈍化する可能性がある。このように17年度も賃金の伸びが緩やかなものにとどまるなか、物価上昇率が今後高まっていくことで、実質賃金は減少する可能性があるだろう。個人消費は先行きも力強さに欠ける展開が予想される。17年度の景気は好調に推移する可能性が高いが、それはあくまで輸出の増加を背景とした企業部門主導の回復になるだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング36.8万円
(+0.9%)
64.2万円
(+1.9%)
2017年夏の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは2年連続で増加すると予測する。労働需給が引き締まる中、ボーナスを算定する上で基準とされることの多い基本給(所定内給与)が前年比で増加を続けていることに加え、足元で企業業績が改善していることもあり、一人あたり平均支給額は36万8,272円(前年比+0.9%)と増加しよう。特に製造業では、円安や内外需要の回復を背景に業績が改善しており、堅調に増加するだろう。
みずほ総研36.9万円
(+1.1%)
71.1万円
(+2.5%)
今夏の民間企業一人当たりボーナス支給額は前年比+1.1%と、前年から鈍化する見込みだ。他方で、人手不足対策としての正社員化や非正社員の待遇改善を背景に、ボーナスの支給対象者数は増加するだろう。正社員化の動きについては、2017年入り後にパートタイム比率が低下するなどの進展が見られる。非正社員についても、今春闘で処遇改善に取り組む企業が大幅に増加している。その結果、新たにボーナスが支給される対象者が増加し、民間の支給総額は前年比+4.5%と高めの伸びになると予想する。


ということで、今夏のボーナスは昨夏の伸び率は下回るものの緩やかに増加し、さらに、政府の働き方改革の後押しもあって、待遇改善が進んでボーナス支給体対象が拡大することなどから、1人当りの伸び以上にマクロの支給増額が増加すると見込まれています。国民生活の向上と安定のため、企業が内部留保をもっと上手に使うよう、私は願って止みません。
下のグラフは日本総研のリポートから、ボーナスの支給総額の推移を引用しています。

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2017年04月14日 (金) 21:19:00

2016年度上場企業の倒産はバブル期以来のゼロに!

いうまでもないことですが、3月末で2016年度が終了しており、この2016年度は上場企業の倒産が発生しなかったらしいです。東京商工リサーチと帝国データバンクの両社が以下のリポートで明らかにしています。



次に、年度別の上場企業の倒産件数と負債額のグラフを東京商工リサーチのサイトから引用すると以下の通りです。

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見れば明らかですが、バブル経済末期の1990年度以来26年振りに上場企業の倒産が発生していません。直近で最後の上場企業の倒産を振り返ると、商船三井の持分法適用関連会社であった第一中央汽船が、2015年9月29日に東京地方裁判所に民事再生法適用を申請しています。2008年のリーマン・ショックの年には45社の上場企業が倒産しているわけですし、景気後退期における何らかの意味での不採算企業の整理は次なる景気拡大期の健全性を保証するといった清算主義的な考え方も過去にはないでもなかったんですが、まずは企業倒産は避けることが出来れば避けた方がいいというのは、多くの見方と一致するわけであり、エコノミストとしてもご同慶の至りといえます。
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2017年04月13日 (木) 23:11:00

東洋経済オンラインによる研究開発費の大きい企業ランキングやいかに?

今週は少しイノベーションに関する読書をしたりしているんですが、イノベーションとの関係で注目される研究開発(R&D)費について、4月7日に東洋経済オンラインにて研究開発費の大きい「トップ300社」のランキングが明らかにされています。

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東洋経済オンラインのサイトから研究開発費が大きい会社 (1-50位) を引用すると上の通りです。桁違いの1兆円を超える研究開発費を支出するトヨタ自動車をトップに、我が国製造業を代表する名だたる企業がランクインしています。ただし、50位までを見る限り、12位の日本電信電話(NTT)を別にすれば、自動車、電機・重機、化学・薬品がほとんどで、JR東海が45位、新日鐵住金が48位に入っているだけです。ただ、画像の引用はしませんが、51位以下を見ると、51位に食品のキリンホールディングスが、56位におもちゃやゲームソフトなどのバンダイナムコホールディングスが、入っていたりします。また、私の知らない企業もあるので判然とはしませんが、非製造業の代表、というわけでもないものの、楽天が215位に入っています。
もちろん、研究開発費が多ければいいというものでもなく、中には資金負担にあえいでいる企業も含まれているのかもしれませんが、なかなか興味深いランキングです。
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2017年04月12日 (水) 22:51:00

やや足踏み続く機械受注と順調に上昇率が加速する企業物価!

本日、内閣府から2月の機械受注が、また、日銀から3月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+1.5%増の8505億円を、企業物価(PPI)のうちのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.4%を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の機械受注1.5%増 製造業で大型案件、2カ月ぶり増加
内閣府が12日発表した2月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.5%増の8505億円だった。増加は2カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予想の中央値(3.7%増)は下回った。製造業で大型案件が増えた。非製造業でもその他非製造業などで大型案件が寄与した。ただ基調には大きな変化がないとして、判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。現状の判断は2016年9月から続いている。
製造業の受注額は6.0%増の3508億円と2カ月ぶりに伸びた。需要者の業種別では、パルプ・紙・紙加工品が前月比6.3倍だった。紙パルプ事業者の自家発電向けに、大型の火水力原動機を受注した。食品製造業も生産などの設備需要で76.6%伸びた。
非製造業の受注額は1.8%増の5166億円と3カ月連続で増えた。需要者の業種別では、原子力原動機の大型受注があったその他非製造業が69.0%増と大きく伸びた。卸売業・小売業が25.7%増となったほか、運輸業・郵便業は船舶受注の寄与で22.9%増えた。金融業・保険業の回復基調は続いたが、伸び率は11.8%と前月(57.3%)から鈍化した。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」受注額(原数値)は5.6%増だった。
3月の企業物価指数、前年比1.4%上昇 前月比0.2%上昇
日銀が12日に発表した3月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.2で、前年同月比で1.4%上昇した。前年比での上昇は3カ月連続で、上昇率は前月(1.1%)から拡大した。消費増税の影響を除くと14年7月(1.5%)以来2年8カ月ぶりの大きさだ。前月比では0.2%の上昇だった。プラントの定期修理で供給が減った石油製品の上昇が目立ったほか、燃料費の増加で電力価格も上がった。
円ベースの輸出物価は前年比で3.7%上昇し、前月比では0.3%上げた。中国の需要増加を受けてパラキシレンなどの化学製品の価格が上がった。半導体需要の増加を背景にシリコンウエハも値上がりした。
輸入物価は前年比で12.5%上昇し、14年1月(12.7%)以来3年2カ月ぶりの大きさだった。前月比は1.0%上昇。国際市況の回復で原油やナフサの価格が上昇した。中国で電気自動車(EV)の生産が旺盛でリチウムイオン電池に使われるコバルト地金なども値上がりした。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している746品目のうち前年比で上昇したのは286品目、下落は386品目だった。上昇と下落の品目差は100品目で、2月の確報値(132品目)から縮小した。
日銀の調査統計局は「人材不足が人件費の上昇につながるなかで、価格の転嫁が進むか注目している」との見方を示した。


とても長くなったものの、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した記事にも見られる通り、統計からだけでは読み取れないんですが、記者発表などの場でイレギュラーな大型受注が見られた旨の事実が明らかにされているようです。もしそうであれば、機械受注の2月統計での前月比プラスはサステイナブルではない可能性があり、統計作成官庁の内閣府で基調判断を「、持ち直しの動きに足踏み」で据え置いたのも理解できるところです。パルプ・紙・紙加工品の前月比+533.9%増、食品製造業の+76.6%増などが目立っています。コア機械受注の1-3月期見通しは前期比で+1.5%増だったんですが、3月統計で+10%が必要らしく、エコノミストの間では、この見通し達成は必ずしも可能性が高いとは考えられていません。ただ、先日取り上げた3月調査の日銀短観では、設備の不足感が強まっているとともに、設備投資計画が従来の日銀短観に比べて強気に出ていた点を考慮すれば、機械受注は設備投資の先行指標として先行き緩やかなに伸びるんではないかと期待しています。加えて、世界経済の回復とともに輸出が拡大する可能性が高い点も設備投資の増加をサポートするものと私は考えています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、1月の国内物価前年同月比上昇率が久し振りにプラスに転じて+0.5%を記録したと思ったら、2月は早くも+1.1%、さらに、3月は+1.4%に達しています。何とも、エネルギー価格の大きな影響力の前に、旧来派の日銀理論家とは違う観点から、金融政策の無力さを感じてしまうのは私だけでしょうか。国内物価の品目別に見ると、石油・石炭製品をはじめ、非鉄金属、鉄鋼などの素材も大きな上昇率を示しています。しかし、電気機器や情報通信機器や輸送用機器といった我が国の主要輸出産業の製品群はまだ前年比で下落を続けており、国際商品市況における石油価格の上昇の波及はこの先も続くんだろうと私は考えています。ただし、上のグラフのうちの上のパネルでも、スロープは輸入物価、輸出物価、国内物価の順でスティープになっていますが、この傾きでこのまま長らくに渡って物価上昇が加速するわけもなく、国際商品市況における石油価格動向次第とはいえ、今年半ばくらいまでには傾きがフラットになる可能性が高いと理解しています。
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2017年04月11日 (火) 19:58:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」分析編やいかに?

かねて予告されていた通り、国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編が公表されています。まず、その章別タイトルは以下の通りです。

Chapter 2
Roads Less Traveled: Growth in Emerging Market and Developing Economies in a Complicated External Environment
Chapter 3
Understanding the Downward Trend in Labor Income Shares


ということで、第2章で新興国・途上国の経済発展の開発や経済発展について、第3章で労働分配率の低下と不平等の拡大について、それぞれ議論を展開しています。このブログのひとつの特徴はこういった国際機関のリポートを取り上げることですので、グラフを引用しつつ簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、上のグラフはIMFのブログ・サイトから Outside forces と題するグラフを引用しています。グローバル化に伴う貿易の拡大や資本の流入は新興国・途上国の成長に大きくプラスの寄与を示してきましたが、それが反転する可能性を示しています。左から、輸出を牽引する需要、資本流入、商品の交易条件が示されており、それぞれ、成長の持続的加速を指示していた要因だったのが反転する可能性が示されています。左右の対称性は明示されていませんが、次のグラフと同じと仮定すれば、左側のセットが2003-16年の期間で、右側のセットが2017-22年だろうと思います。

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次に、上のグラフはIMFのブログ・サイトから Under pressure と題するグラフを引用しています。このグラフの左右のセットの期間は明示されており、左側のセットが2003-16年の期間で、右側のセットが2017-22年となっています。貿易相手国の成長率と資本フローと輸出国と非輸出国の商品の交易条件がプロットされており、外部からの需要、潤沢な資本流入、資源商品価格の上昇といった良好な外部環境がより複雑化する可能性が示されています。
以上、これら2つのグラフは第2章の関連であり、次のグラフからは第3章の議論に基づいています。

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続いて、上のグラフはIMFのブログ・サイトから Labor is losing out 題するグラフを引用しています。先進国と新興国・途上国に分けて労働分配率がプロットされています。賃金上昇率が生産性の伸びを下回る中で、労働分配率が低下を続けているのが見て取れます。そして、この労働分配率の低下が不平等をもたらしているとIMFでは分析しています。

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次に、上のグラフはIMFのブログ・サイトから Inequality rising と題するグラフを引用しています。縦軸にジニ係数、横軸に労働分配率を取った散布図で相関関係を見たところ、決定係数は極めて低いものの、負の相関がみられます。経済学では、通常、関数形が y=f(x) であることから、横軸の変数が原因となってが縦軸の変数の結果を決める、ということが暗黙の裡に前提されており、我が国でも観察される事実ですが、低調な賃上げが労働分配率を低下させ、さらに不平等の拡大につながった、という議論を展開しています。


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最後に、上のグラフはIMFのブログ・サイトから Driving forces を引用しています。ここでは、根源的な原因とされた労働分配率の低下の要因を探っています。すなわち、積上げ棒グラフで示されている通り、先進国ではブルーの技術動向が労働分配率低下の半分を説明する最大の要因となっており、他方、新興国・途上国では臙脂色の金融統合が大きな割合を占めています。ただし、新興国と途上国では黄色のグローバル・バリュー・チェーン(GVC)への組込みは逆方向に作用しているのが見て取れます。これらの結果、先進国ではルーティーンに基づく (routine-biased) 中程度の熟練労働 (middle-skilled labor) が新興国・途上国に流出し空洞化 (hollowing out) する可能性を強調しています。

また、IMFと世銀とWTOの3機関共同で、Making Trade an Engine of Growth for All と題するリポートが明らかにされています。私はまだ Executive Summary しか読んでいませんが、"The role of trade in the global economy is at a critical juncture." で書き始められ、昨年2016年9月の米国大統領選挙前に開催された杭州でのG20会合において、広く通商や交易の利益に関する支持が表明されたことをリマインドし、米国トランプ政権などの内向きで貿易制限的な通商政策を強く牽制する内容となっています。このリポートも注目かもしれません。加えて、4月17日からの週は米国の首都ワシントンにてIMF世銀の各種の会議が開催され、おそらく、来週には「世界経済見通し」の第1章見通し編が明らかにされることと私は予想しています。また、公表次第、日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年04月10日 (月) 23:17:00

下げ続ける景気ウォッチャーと大きな黒字となった経常収支と日銀「さくらリポート」

本日、内閣府から3月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月比▲1.2ポイント低下の47.4を、また、先行き判断DIは前月比▲2.5ポイント低下の48.1を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆8136億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の街角景気、現状判断指数は3カ月連続悪化 人手不足で懸念
内閣府が10日発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前の月に比べ1.2ポイント低下の47.4だった。悪化は3カ月連続。飲食関連を中心に、家計動向が悪化した。人手不足で人材確保の困難さや機会損失への懸念が強まったという。
部門別にみると、家計動向、企業動向、雇用がいずれも低下した。このうち、家計動向は1.1ポイント悪化し、飲食関連の3.2ポイント低下や、住宅関連の4.8ポイント低下が目立った。企業動向は非製造業の悪化が響き、1.7ポイント低下した。雇用は0.5ポイント低下の53.4と小幅な悪化にとどまり、好不況の節目となる50を上回って底堅く推移した。
街角では家計動向のうち、飲食関連で「給与を高めに提示しても全く面接に来ない」(沖縄の居酒屋)との声があり、人手不足が機会損失を招いているとの見方が強まった。住宅関連では「購入に要する時間が長くなっている」(北海道の住宅販売会社)という。企業動向では、燃料価格の上昇に加え「大手運送会社も値上げしており、今後物流経費は増える」(九州の運送業)との指摘があった。
2-3カ月後を占う先行き判断指数は、前の月から2.5ポイント低下の48.1だった。低下は2カ月ぶり。企業動向など3部門すべてが低下した。家計動向では飲食を中心に、労働需給の逼迫を理由とする懸念が続く見通し。雇用は「求職者が集まらない状況が続いており、企業へのマッチングに苦労している」(沖縄の人材派遣会社)との声が聞かれた。
内閣府は現状の基調判断は「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」との慎重な表現を維持した。先行きについては「受注等への期待」が続いているとした一方で「人手不足やコストの上昇に対する懸念もある」との判断を付け加えた。海外情勢への懸念は特に目立たなかったという。
2月の経常収支、過去最大の黒字 対アジア輸出増加
財務省が10日発表した2月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は2兆8136億円の黒字となり、前年同月から18.2%増えた。黒字額は2月として過去最大となった。中国の春節(旧正月)後の中国・アジア向けの輸出が増加し、貿易収支の黒字幅が拡大したことが影響した。
経常黒字は32カ月連続。これまで2月として最大だった2007年(2兆5003億円)を上回った。
貿易収支は1兆768億円の黒字で、前年同月の2.7倍。旧正月期間はアジア向けの輸出が落ち込む傾向がある。17年は1月に旧正月の影響が出たため2月は反動増となり、輸出額が12.2%増の6兆3339億円となった。輸入額は0.3%増の5兆2570億円だった。
サービス収支は639億円の赤字(前年同月は1630億円の黒字)となった。企業の研究開発やマーケティングなどで支払いが増えたほか、旅行収支の黒字幅が縮小した。アジアや欧州方面への出国者が増えた一方、訪日外国人観光客数の伸びが限定的だった。
企業の海外子会社から受け取った配当金などを含む第1次所得収支の黒字額は1.9%減の1兆9751億円となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーは大きく分けて家計関連、企業関連、雇用関連の3つのコンポーネントがあり、さらに、家計と企業にはもっと細かいコンポーネントもあリます。その内訳の中で、3月の現状判断DIに関しては家計の方が企業よりも落ち込みの幅が大きく、逆に、先行き判断DIは家計の方が大きくなっています。現状判断DIに着目すると、家計関連の中では住宅関連が前月差でもっとも大きな低下を見せ、続いて飲食関連でした。企業関連では製造業よりも非製造業の低下の方が大きい結果を示しています。また、先行き判断DIに着目すると、家計関連のうちで飲食関連がもっとも大きく落ちています。家計部門からの需要とともに、供給サイドではエネルギーや食品価格の上昇と人手不足のダブルパンチが効いている可能性があると私は受け止めています。ただ、判断の理由集では客足や販売数量の伸び悩みが多く見られた印象です。なお、上のグラフを単体で見ると、かなり下げて来ているように見えますが、この統計としてはまだまだ水準がかなり高く、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断はただし書き付きながら、「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」に据え置いています。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。2月の経常収支が大きな黒字となったのは、1にも2にも中華圏の春節の影響です。通常、春節期間中は我が国からの輸出にマイナスの影響が出て、春節が終わるとその反動が見られるんですが、今年の場合は春節が1月で経常黒字が落ち込み、その反動増が2月に見られた、ということのようです。ですから、1-2月をならして見れば、それほど大きな経常黒字という感じでもありません。同時に、中国経済がかなりの程度に回復を示しつつあるのも、我が国の経常収支、中でも輸出の伸びからインプリシットに観察される事実だと考えています。

 2017年1月判断前回との比較2017年4月判断
北海道緩やかに回復している緩やかに回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復基調を続けている
北陸回復を続けている緩やかに拡大している
関東甲信越緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復基調を続けている
東海緩やかに拡大している緩やかに拡大している
近畿緩やかに回復している緩やかに回復している
中国緩やかに回復している緩やかに回復している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄緩やかに回復している緩やかに回復している


次に、本日、日銀から「さくらリポート」が公表されています。上のテーブルの通りですが、前回と比較すると北陸で総括判断を引き上げています。背景として、生産が海外向けの電子部品・デバイスや半導体製造装置を中心に増加していることや、個人消費が着実に持ち直していることなどが上げられています。残りの8地域では総括判断に変更はありません。

最後の最後に、本日の厚生労働省の社会保障審議会人口部会において、国立社会保障・人口問題研究所から「将来推計人口」が公表されています。推計の前提となる合計特殊出生率は最近の出生率実績上昇等を踏まえて、前回推計の1.35(2060年)から1.44(2065年)に上昇修正したことから、人口減少のペースが緩やかになる見通しとなっています。もっとも、総人口は2015年国勢調査の1億2709万人から2065年には8,808万人へ減少すると推計され、従って、老年人口割合=高齢化率も2015年の26.6%から2065年には38.4%へと上昇し、ペースが鈍化するとはいえ、少子高齢化の傾向は変わりありません。
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2017年04月08日 (土) 08:14:00

雇用者の伸びが大きく縮小した米国雇用統計をどう見るか?

日本時間の昨夜、米国労働省から3月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅はわずかに+98千人増と、2月までのペースから増加幅が大きく縮小しました。ただ、失業率はさらに前月から0.2%ポイント下がって4.5%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の8パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

Job growth slows, but unemployment falls to 4.5% as wages climb
After boosting the labor market the first two months of 2017, Mother Nature exacted some payback in helping push March job growth to the lowest level in nearly a year.
A snowstorm in the Northeast probably chilled hiring, particularly among construction companies that had been able to get an earlier start on projects because of unseasonably warm weather in much of the country in January and February, economists said.
That contributed to the surprisingly lackluster addition of just 98,000 net new jobs last month, including another significant decline in retailers' payrolls, the Labor Department said Friday.
But there also was some good news in what analysts called a mixed jobs report.
The unemployment rate fell to 4.5% from 4.7% in February, its lowest level in nearly a decade. And wages continued to show solid growth. Employers are finding that they need to boost pay to attract workers in a tightening jobs market.
"We're approaching full employment, where most people who want a job have a job, and that's a sign of the progress we've made in the labor market," said Gus Faucher, chief economist for PNC Financial Services Group.
Still, overall job growth in March was a little more than half of what economists had expected and well off the 219,000 figure from the previous month.
On top of that, the totals from January and February were revised down by a combined 38,000 jobs.


この後、カリフォルニア州のローカルな雇用の話題などが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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さて、非農業雇用者数の伸びが前月から僅かに98千人にとどまったのは、私にはまったく理由が判りません。ひとつには小売業における雇用が前月から▲29.7千人減少し、実は、2月も▲30.9千人減少していたことから、個人消費に陰りが見られ、景気拡大に急ブレーキがかかっている可能性があります。これは米国雇用統計が正しく計測されているという前提でのひとつの仮説です。もうひとつは、まったく逆に、統計の誤計測という仮説です。すなわち、民間の給与計算会社であるADPの雇用者統計では、今年の1月+268千人、2月+245千人に続いて、3月も+263千人と順調に雇用増が続いているとの結果が示されているわけで、米国労働省の統計と大きく異なっています。加えて、米国労働省統計でも失業率は着実に低下を示しています。しかも、米国労働省の失業率統計は家計を対象とする調査であるのに対して、米国労働省とADPの雇用者統計はいずれも事業所を対象とする調査ですから、事業所対象の統計と家計対象の統計の間での乖離というわけでもなさそうです。私が考え得る最後の仮説は、とうとう米国労働市場が完全雇用に達した、というものです。従って、失業者のスラックはもはや存在せず、供給サイドの制約から雇用が増加しなくなった、という見方です。ただ、そんなことが急に生じるわけもなさそうな気がします。労働供給のサイドでスラックが尽きて、完全雇用の壁にぶち当たったのであれば利上げを急ぐ必要がありますが、労働需要のサイドで景気拡大にブレーキがかかったのであれば利上げを一度停止する可能性すら考慮されるべきです。3月末には米国連邦準備制度理事会(FED)のフィッシャー副議長が「年内はあと2回の利上げが適当」と発言した旨の報道を私は見かけましたが、金融政策の舵取りが難しげな指標に出くわしたもんだという気がします。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象で、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ政権の経済政策次第では上昇率が加速する可能性もなしとしません。
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2017年04月07日 (金) 22:56:00

戦後3番目の景気拡大を示す景気動向指数と実質賃金横ばいの毎月勤労統計をどう見るか?

本日、内閣府から2月の景気動向指数が、また、厚生労働省から1月の毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。景気動向指数のうち、CI一致指数は前月比+0.4ポイント上昇の115.5を、CI先行指数は▲0.5ポイント下降の104.4を、それぞれ示し、他方、毎月勤労統計では、景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+1.3%増を、また、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.2%の伸びを、それぞれ記録しています。ただし、消費者物価が上昇局面に入っていますので、消費者物価でデフレートした実質賃金は横ばいとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の景気一致指数0.4ポイント上昇 3カ月ぶりプラス
内閣府が7日発表した2月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.4ポイント上昇の115.5と3カ月ぶりにプラスに転じた。生産指数(鉱工業)や耐久消費財出荷指数などが改善した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」で据え置いた。
前月から比較可能な7指標のうち、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数の3つがプラスに寄与した。生産指数(鉱工業)では北米向けの乗用車や国内電力向けの蒸気タービンなどが好調だった。投資財出荷指数(輸送機械を除く)や有効求人倍率(学卒を除く)など4つはマイナスに働いた。
数カ月先の景気を示す先行指数は0.5ポイント低下の104.4だった。下降は5カ月ぶり。新設住宅着工床面積などが悪化した。
景気循環について、内閣府は景気の拡大や後退を判断する景気動向指数研究会の開催は決めておらず「今のところ景気の山を判断するような状況ではない」との認識を示している。第2次安倍晋三政権発足の12年12月以降から17年3月まで景気回復局面が続いているとの判断になれば、バブル経済期を抜き戦後3番目の長さとなる見通しだ。
実質賃金、2月は前年同月比横ばい 毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月に比べて横ばいだった。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇したことで実質的な賃金は変わらなかった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示している。
基本給や残業代など名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増の26万2869円だった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は0.2%増の23万9313円、残業代など所定外給与は0.6%増の1万9620円だった。ボーナスなど特別に支払われた給与は5.5%増と伸びた。
パートタイム労働者の時間当たり給与は2.1%増の1101円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、次の毎月勤労統計のグラフと同様、景気後退期を示しています。

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景気動向指数のうちのCI一致指数は3か月振りの上昇とはいえ、昨年2016年10月に「足踏み」から「改善」に基調判断が1ノッチ上方改定されてから、2月指数まで据え置かれており、引用した記事にもある通り、現時点では景気の山を判定する必要はないことから、逆から見て、現在の安倍内閣発足から4年余り景気拡大が継続していることになり、戦後3番目の長期に渡る景気拡大局面ということになります。まあ、官庁エコノミストとしてはめでたいことではないかと受け止めています。少し詳しくCI一致指数を見ると、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数がこの順でプラスに寄与しており、逆に、投資財出荷指数(除輸送機械)、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(小売業)(前年同月比)がマイナスに寄与しています。企業部門が堅調な一方で、家計部門では、耐久消費財出荷がプラス寄与で、商業販売統計のうちの高地販売がマイナス寄与ですから、まだら模様というべき状態です。後で少し詳しく見る毎月勤労統計でも、必ずしも賃金が増加しておらず、家計部門は一時の弱さは脱したものの、企業部門ほどの好調さではないと考えるべきです。また、CI先行指数が下降した点は、これも引用した記事にある通り、新設住宅着工床面積のマイナス寄与が大きく、1月統計で+0.54のプラス寄与があった反動で、2月統計では▲0.50のマイナス寄与となった影響が強く出ている気がします。それほど大きな懸念材料ではないと私は受け止めています。

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次に、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、1番下の3番目のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、製造業の所定外労働時間は生産の堅調な増産に伴って、緩やかに伸びているのがグラフから見て取れます。賃金は名目上昇率をプロットしていますが、実質賃金は昨年2016年10月からほぼ横ばい状態となっており、消費者物価上昇率が今年2017年に入ってプラスに転じていますので、さらに大きな名目賃金の伸びがなければ消費を活性化させるには力不足の可能性があります。ただ、上のグラフのうちでも一番下のパネルに示された通り、フルタイムの一般労働者の増加率がパート労働者の伸びを上回り始めました。現在、かなり完全雇用に近いものの、決して完全雇用に到達していない労働市場の状況を考えると、賃金よりも先に正規雇用の増加という形で雇用の質の向上がもたらされるのかもしれません。完全雇用に伴う賃金上昇はさらに時間がかかるのかもしれませんが、少なくともフルタイムの一般職員の方が給与水準が高いですから、パートタイム雇用よりもフルタイム職員が増加するのはそれだけでマクロの所得増につながると期待できます。

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最後に、今月の統計発表では月次統計とともに昨年2016年冬季賞与の結果が特別集計されています。上のグラフの通りであり、調査産業の平均で2016年冬季賞与の平均は370,163円となり、前年比▲0.1%減を記録しています。昨年から毎月勤労統計の賞与の統計結果については、多くのエコノミストから疑問が表明されたんですが、トピックを見る範囲では増加だったんではないか、と私は直観的に感じており、小幅ながらマイナスの統計にはやや疑問です。なお、上のグラフの3枚目の一番下のパネルの産業別の前年比なんですが、実は、「鉱業,採石業等」では見ての通り、グラフを突き抜けて+57.9%増を記録していますので付け加えておきます。
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2017年04月06日 (木) 23:24:00

アジア開発銀行による「アジア開発見通し」Asian Development Outlook やいかに?

本日、アジア開発銀行(ADB)から「アジア開発見通し 2017」Asian Development Outlook 2017 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。日本、韓国、豪州、ニュージーランドといった域内先進国を除くアジア太平洋地域の新興国・途上国の成長率は、2016年実績の+5.8%に続いて、2017年+5.7%、さらに2018年も+5.7%と見通しています。以下のADBのサイトから引用したINFOGRAPHICの通りです。

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ヘッドラインの成長率はここ2-3年で大きく変化するわけではないんですが、国別の成長率を見ると少し変化が見えてきます。すなわち、中国が2016年+6.0%成長の後、2017年+6.5%、2018年+6.2%と、引き続き高い成長率ながらゆるやかにに成長が鈍化していく一方で、インドは2016年+7.1%から、2018年+7.4%、2018年+7.6%と中国を上回る高成長で、しかも、成長率も加速すると見込まれています。インドの存在感がアジアで一段と高まる可能性が大きくなっています。また、東南アジア地域も2016年+4.7%の後、2017年+4.8%、2018年+5.0%と中国やインドよりは低成長ながら、徐々に成長率が加速します。ただし、堅調な成長に伴ってインフレもやや加速し、アジア新興国・途上国全体で2016年+2.5%のインフレから、2017年+3.0%、2018年+3.2%とややインフレ率が高まると見込まれています。大雑把に、アジア新興国・途上国の先行きは堅調と考えられているようです。この要因として、外需や国際的な1次産品価格の回復、さらに、各国の国内改革を上げており、アジア地域が世界の経済成長の60%を占め、最大の牽引力となっていると主張しています。
他方、アジア経済へのリスクとして、リポートでは追加的な米国の金利引上げ "sharper US interest rate hikes" に加え、資本流出と金融上のリスク "capital flows and financial risks" を上げ、特に後者の金融的なリスクの中でも家計債務 household debt が上昇している点に着目しています。ただし、アジア地域では流動性がまだまだ潤沢にあり、資本流出のリスクはある程度軽減されるとともに、米国の金融引き締めの影響が顕在化するには恐らく時間がかかることから、各国の政府や中央銀行が対策を整える時間は十分あると指摘しています。また、家計債務のリスクについても、慎重なマクロ・プルーデンス政策により回避が可能としています。その上で、サブタイトルが Transcending the middle-income challenge となっているように、中所得を確実に達成しつつ、中所得の罠に陥ることなく、さらに人的資本の向上やインフラ整備などにより所得の上昇を目指すべき、と結論しています。なお、キチンと隅から隅まで精査したわけでもないんですが、米国トランプ政権の通商政策に関するリスクについては取り上げていなかったような気がします。もっとも、私が見逃しているのかもしれません。

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目を国内に転じると、本日、内閣府から3月の消費者態度指数が公表されています。前月比+0.7ポイント上昇の43.9を記録し、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正しています。消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。なお、耐久消費財の普及に関する興味深いデータも公表されているんですが、省略します。

最後に、同じく国際機関の経済見通しということで、国際通貨基金(IMF)から4月の「世界経済見通し」分析編第2章と第3章が4月10日に公表される旨のアナウンスがなされています。各章のタイトルは以下の通りです。
Chapter 2
Roads Less Traveled: Growth in Emerging Market and Developing Economies in a Complicated External Environment
Chapter 3
Understanding the Downward Trend in Labor Income Shares

ご参考まで。
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2017年04月05日 (水) 20:41:00

2月の総務省統計局「家計調査」の外食費からプレミアム・フライデーの効果が見えるか?

先週金曜日は2回目のプレミアム・フライデーでした。誠に残念ながら、2月に続いて、私は早帰りは出来ませんでしたが、同じ3月31日に総務省統計局から公表された2月の家計調査からデータを取って、果たして、2月24日の最初のプレミアム・フライデーの効果がどこまであったかどうかについて、極めて簡単なグラフを書いてみました。

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ということで、上のグラフは1月と2月の家計調査から、日付別の外食費支出をプロットしています。2月は赤い棒グラフで、2月24日のプレミアム・フライデーの外食費支出額は黄緑の矢印の部分です。土日の週末には及ばないものの、同じ2月の金曜日である10日や17日よりはやや外食費の支出額が多いような気もします。もちろん、フォーマルな定量分析とはほど遠く、少なくともまだデータの蓄積も進んでいませんが、まあ、天候やお給料日との関係など複雑な要因があるものの、現時点での直観的な評価では、少しだけプレミアム・フライデーの効果が見られた、といってもいいような気もします。
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2017年04月04日 (火) 21:33:00

みずほ総研リポートに見る働き方改革の経済効果やいかに?

昨日、4月3日付けでみずほ総研から「働き方改革は日本の成長率を0.5~1.1%Pt押し上げ」と題するリポートが明らかにされています。タイトルから明らかな通り、働き方改革で大きく成長率が押し上げられるという内容となっています。まず、リポートから効果試算のテーブルを引用すると以下の通りです。

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上のテーブルを見ても明らかな通り、成長率押し上げの経済効果は労働投入量と生産性に分かれて試算されています。労働投入量については、もちろん、労働投入を増加させるというよりは減少を抑制するということなんですが、働き手の多様化や柔軟化による担い手の確保が進み、特に、(1) 女性の労働参加の促進、(2) 高齢者の就業促進、(3) 不本意非正規雇用の正規化に伴う労働時間の増加、の3点を見込んでいます。これによる成長率押し上げ効果が+0.4~+0.8%ポイントとなっています。他方、生産性改善効果としては、(1) 過度な長時間労働の解消による効率化、(2) 非正規雇用の正規化に伴うスキルアップ、などにより、+0.1~+0.3%ポイントの成長率押し上げ効果が見込める、としています。この両者を合わせて、+0.5~+1.1%ポイントになるわけです。
おそらく、労働者側、というか、実体としては労働組合ということになるんですが、こういった働き方改革を進めるの政府の姿勢に対してかなりの賛意を持っていて、受け入れに問題は少なかろうと、私は想像しています。ただ、労働サイドについて、疑問はデスキリングがどこまで進んでいるか、です。デスキリングとは、deskilling であり、skill の接頭辞として否定の意味を持つ de をつけ、さらに、ing を接尾辞として付加しています。日本語では「熟練崩壊」と訳されます。個々人というよりはマクロで見て、非正規雇用とか低賃金の未熟練労働としてスキルアップの機会なく過ごしてきた労働力集団が、熟練を積み重ねる可能性や能力を喪失していくプロセスを論じています。我が国でこのデスキリングのプロセスがまだ進んでいないことを願っています。しかし、より大きな問題は使用者の企業サイドです。果たして、デフレ期に染み付いてしまった安価な非正規雇用による企業活動の拡大や業績アップの方法を見直して、デスキリングに至る前に、多様な雇用者を受け入れ、また、非正規雇用を正規職員化してスキルアップなどを進めるなどの企業経営が出来るかどうか、がポイントになりそうな気がします。
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2017年04月03日 (月) 22:56:00

2四半期連続の改善を示した3月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から3月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から+4ポイント改善して+10を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比▲4.0%減と集計されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業、2期連続改善 輸出けん引、雇用不足強まる 3月の日銀短観
日銀が3日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス12だった。前回の2016年12月調査(プラス10)から2ポイント改善した。改善は2四半期連続。米国など海外経済の回復を背景に、自動車やはん用機械、電気機械など輸出企業の景況感が改善した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。3月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス14を下回った。回答期間は2月27日~3月31日で、回収基準日は3月13日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス11だった。トランプ米政権の通商政策に対する不安や欧州の政治情勢の不透明感などから、先行きはやや低下した。17年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=108円43銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業非製造業の現状の業況判断DIはプラス20と前回を2ポイント上回った。国内消費の持ち直しが支えとなった。情報サービスや対個人サービスなどの改善が目立った。3カ月先のDIは4ポイント悪化しプラス16を見込む。
中小企業は製造業が4ポイント改善のプラス5、非製造業は2ポイント改善のプラス4だった。先行きはいずれも悪化した。
大企業全産業の雇用人員判断DIはマイナス15となり、前回(マイナス13)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年2月以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比0.6%増だった。昨年の同時期(0.9%減)を上回った。大企業のうち製造業は5.3%増、非製造業は2.0%減を計画している。17年度の全規模全産業の設備投資計画は前年度比1.3%減で、市場予想の中央値(4.1%減)を上回った。大企業製造業の17年度の輸出売上高の計画は前年度比0.6%増だった。
大企業製造業の販売価格判断DIはマイナス3と、前回(マイナス7)から4ポイント改善した。DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。金融機関の貸出態度判断DIは全規模・全産業でプラス24と、前回の調査と同じだった。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、おおむね規模と産業を押しなべて、昨四半期に続いて2期連続で今期も景況感が改善しつつ、しかし、先行きの来期はやや落ちる、という典型的な短観の統計としての「クセ」が出ています。グラフは引用しませんが、価格動向なんぞでも、「当社製品の値上げは出来ないが、当社に納入する他社製品は値上がりする」という、クセもあります。日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の景況感は3月調査が+12と前期から+2ポイント上昇して、来期は+11に少し悪化すると見込まれていますが、我が国製造業の中でも比較優位があると考えられている自動車とはん用機械こそ3月調査の足元で改善を示した後、来期は悪化すると見込まれているものの、生産用機械と電気機械は今期の改善に続いて来期もさらに改善すると見込んでいます。また、前回の12月調査でも、全規模の製造業・非製造業で先行きは景況感が落ちると見込まれていましたので、4月以降の景気動向では上方下方のどちらの修正もあり得ることはいうまでもありません。従って、企業部門の景況感はかなり堅調と考えてよさそうです。特に見逃がせないのは、非製造業のうちでも小売がジワジワと業況判断を改善している点で、大企業小売業では12月調査+3に続いて、3月調査では+5、先行きは+11となっています。基本的に国内消費の伸びを表していると私は考えていますが、個人消費もそろそろ底を打って改善に向かうのかもしれません。また、事業計画の前提としている米ドル当たりの想定為替レートが、12月調査時点で2016年度104.90円だったのが、3月調査では2017年度108.43円と円安水準に振れていますので、製造業、特に規模の大きな製造業に景況感の改善をもたらしている可能性が高いと考えるべきです。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。設備については、来期見通しでは中堅企業と中小企業でとうとう不足超のマイナスを記録し、大企業に比べて採用がやや難しい規模の小さな企業で、人員の省力化を進めるための設備投資が進む可能性を示唆していると私は受け止めています。同時に、雇用人員の不足超のマイナス幅も規模の小さい企業ほど大きくなっています。ただ、先週の雇用統計を取り上げた際にも書いた通り、この人員不足は「低賃金非正規労働者の不足」を意味しており、正規雇用を増加する方向に進みつつはあるものの、本格的に賃金が上昇する局面に入ったかどうかは私はまだ確信が持てません。ただ、巷間で「人手不足」がクローズアップされる中で、雇用や設備といった要素需要が増加する方向にあるのは当然です。特に、グラフは示しませんが、経常利益の計画が大企業全産業で2016-17年度は連続でマイナスの減益となっていますので、業績からではなく人員省力化の必要から設備投資が進む可能性があります。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は、先週の日銀短観予想では例年通りの前年度比▲4%減くらいで始まる、との予想を取り上げたんですが、異例の高さで▲1.3%減で始まりました。ピンク色のラインの2012年度と似た気がしないでもないんですが、黄緑色のライン2016年度計画が大きく下方修正されたのも、見た目で、2017年度計画をかさ上げした可能性があります。もちろん、方向性としては雇用人員と設備は人手不足の中で要素需要は拡大すると見込まれますので、このペースで設備投資が増加する可能性も十分あります。規模別では、大企業よりもむしろ中堅企業の設備投資意欲が高いような結果となっています。

円安と海外経済の回復に支えられた輸出が我が国経済を牽引し、景況感もゆっくりと改善する可能性が十分ある一方で、リスクもやっぱり海外要因にあり、トランプ米国大統領の通商政策に加え、すでに終わったオランダも含めて、大陸欧州各国で今年は大きな選挙があります。
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2017年03月31日 (金) 23:11:00

鉱工業生産指数(IIP)と雇用統計と消費者物価指数(CPI)の今後の動向やいかに?

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比+2.0%の増産、失業率は2.8%と前月から▲0.2%ポイント低下し、有効求人倍率は前月から横ばいで1.43を記録し、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は+0.2%と先月統計からプラスに転じいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

失業率2月2.8%、22年ぶり低水準 鉱工業生産2%上昇
雇用が一段と改善している。総務省が31日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は2.8%と前月に比べ0.2ポイント低下した。1994年6月の2.8%以来22年8カ月ぶりの低水準。同日発表の有効求人倍率は1.43倍(季節調整値)と前月と同じだが、四半世紀ぶりの高さだ。運輸、製造業など幅広い業種で人手不足が続いている。
失業者が減り、就業者が増えたことが指標の改善につながった。失業者(原数値)は188万人と前年同月に比べ25万人減った。自営業を含めた就業者は6427万人。働き始める女性や高齢者が増え、51万人増えた。
雇用者のうち正社員は51万人増加した。非正規社員は15カ月ぶりに減少に転じ、10万人減った。企業は人材確保のため、待遇の良い正社員の採用を増やしている。
人手不足は深刻だ。厚生労働省発表の有効求人倍率は1.43倍だった。新規求人数(原数値)をみると、製造業(前年同月比10.7%増)や運輸・郵便業(5.6%増)などで増加が目立った。
生産活動も世界経済の回復を受けて活発になっている。経済産業省が同日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.0%上昇の102.2だった。上昇は2カ月ぶり。自動車産業が春先に投入する新車を増産したほか、機械や化粧品関連も全体を押し上げた。同省は基調判断は前月と同じ「持ち直しの動き」とした。
全15業種のうち9業種で前月水準を上回った。普通乗用車やエンジンなど輸送機械が全体をけん引、4.7%上昇した。はん用・生産用・業務用機械は前月水準を4.9%上回った。一方、メモリーや液晶部品など電子部品・デバイスは1.6%低下し、5カ月ぶりに前月を下回った。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、3月は2.0%低下するものの、4月は8.3%の大幅上昇を見込んでいる。
2月の全国消費者物価、0.2%上昇 エネルギー価格上昇で
総務省が31日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.6と、前年同月比0.2%上昇した。プラスは2カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.2%上昇)に一致した。原油などエネルギー価格が上昇したことが寄与した。
生鮮食品を含む総合では全体の56.4%にあたる295品目が上昇し、173品目が下落した。横ばいは55品目だった。
生鮮食品を含む総合は99.8と0.3%上昇した。イカなど生鮮魚介の価格高騰が続き、指数押し上げに寄与した。生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.3と、0.1%上昇した。プラスは41カ月連続。
併せて発表した東京都区部の3月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.4と、前年同月比0.4%下落した。下落は13カ月連続。エネルギーが前年同月比で下落したことが響いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げると、かなり長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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鉱工業生産は季節調整済みの前月比で+2.0%の増産となりました。特に、業種別では、輸送機械工業が前月比+4.7%増、はん用・生産用・業務用機械工業が+4.9%増、化学工業(除. 医薬品)が+7.2%増など、の業種の伸びが大きくなっています。通常、我が国が世界経済の中で比較優位を持っていると考えられている業種の伸びが高くなっており、その意味では、何となく安心感があります。バックグラウンドとしては、世界経済が回復基調に復したことから我が国工業品に対する需要が復活した点が上げられます。一方で、出荷は前月から減少しています。この点が3-4月の生産計画に出ており、製造工業生産予測調査に従えば、3月が▲2.0%の減産となり、逆に4月は+8.3%の増産と見込まれています。4月の増産予測はにわかには信じがたく、仕上がりでは増産幅は縮小される可能性が高いと考えるべきですが、2月の生産がプラスで出荷がマイナスの分、3月が減産で調整するというのは、いかにもありそうなパターンではなかろうかと受け止めています。ただ、財別の出荷では上のグラフの下のパネルに見る通り、資本財(除. 輸送機械)こそ前月比▲3.1%減ですが、耐久消費財は+3.5%増を記録していますし、グラフには取り上げていないものの、建設財は+0.6%増、非耐久消費財も+1.3%を示しています。生産は世界経済の拡大に伴って回復基調にあると考えられます。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれも人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、完全雇用には達していない、と私は考えています。引用した記事もそうですが、世間一般で人口に膾炙した「人手不足」は、あくまで、我が国の失われた20年のデフレ期に容易に雇用できた低賃金の非正規労働が不足しているだけであり、より本格的に企業活動の拡大に貢献したり、高賃金でなければ雇用できない正規職員などの人手が不足しているわけではないのだろうと理解しています。しかし、失業率が3%を割り込んで2%台後半に入りましたので、いよいよ本格的に賃金が上昇する水準に達しつつあるような気もします。2%台の失業率が今後も続くかどうか、現時点ではなんともいえませんが、私は大いに期待しています。

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次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、ようやく、国際商品市況の石油価格の底入れから上昇に従って我が国の物価も上昇に転ずる、との結果となっています。上のグラフでは積上げ棒グラフの黄色がエネルギー価格の寄与なんですが、2月CPIからプラス寄与に転じています。ただ、石油価格下落の影響はこの先もまだ物価に波及を続ける可能性があり、上のグラフでも食料とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率が低下してマイナスに転じているのが見て取れます。従って、先行きのコアCPI上昇率がこのまま一直線でプラス幅を拡大するかどうかは楽観できないと受け止めています。

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最後に、CPI上昇率がプラスに転じた現時点で、物価上昇の「質」というか、大雑把ながら品目別に少しだけ詳しく見ておきたいと思います。上のグラフは、上のパネルが頻度別消費者物価上昇率を、下のパネルが基礎的・選択的別消費者物価上昇率の推移を、それぞれプロットしています。プラスに転ずる少し前から、頻度別では頻度高く購入する財・サービスの物価上昇が高くなり、同時に、選択的消費よりも必需的消費の物価上昇の方が高くなっています。直観的には所得の低い階層の世帯にダメージの大きい物価上昇のように見えますが、グラフはお示ししないものの、5分位別の消費者物価上昇率では、2月統計でも所得の最も低い第Ⅰ分位の消費バスケットに合わせた物価上昇率が+0.2%であるのに対して、所得の最も高い第Ⅴ分野では+0.3%となっています。それ以前は、この差がより大きく、例えば、1月統計では第Ⅰ分位+0.3%に対して第Ⅴ分位+0.5%でした。所得と物価上昇の影響との関連が今のところは謎となっており、今後の推移を見たいと思います。
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2017年03月30日 (木) 21:42:00

来週公表予定の3月調査の日銀短観の予想やいかに?

来週月曜日4月3日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2016年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2017年度の設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (最近)+10
+18
<n.a.>
n.a.
日本総研+13
+18
<▲5.3%>
2017年度の設備投資計画は、全規模・全産業で前年度比▲5.3%と、2016年度の同期調査(同▲4.8%)に比べやや慎重な出だしとなる見通し。米国トランプ政権の政策運営や、欧州の政治情勢に不透明感が残り、国内経済に対する成長期待も高まらないなか、企業の設備投資マインドの力強い改善は期待し難い状況。もっとも、2016年度の設備投資が高水準で着地すると見込まれることを勘案すれば、期初計画としては底堅い水準となる見込み。良好な企業収益を背景とした潤沢なキャッシュフローに加え、低金利、維持・更新や省力化・合理化などに向けた投資需要が引き続き堅調なことから、先行き、設備投資は着実に上方修正されていく見通し。
大和総研+14
+21
<▲4.9%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年度比▲4.9%とマイナス成長を予想する。ただし、これは、3月調査において企業が翌年度の設備投資計画を控えめに回答するという「統計上のクセ」があることを反映したものにすぎず、マイナス幅自体は概ね例年並みになると想定した。また、日本では3月決算の企業が多く、年度決算発表前に公表される3月日銀短観において、来年度見通しの数字を回答することが難しいという実情がある。現在、海外経済の回復や2016年11月以降の円安を受けて、製造業の企業収益に上振れ余地が生じているものの、そうした収益環境の変化は、今回の設備投資計画にはほとんど反映されないとみている。
みずほ総研+12
+19
<▲4.0%>
2017年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比▲4.0%と予想する。例年通り、3月調査時点で設備投資計画が定まっていない中小企業がマイナスの伸びとなるが、近年の3月時点の計画と比べればやや高い伸びを予想している。大企業については、製造業は円安や世界経済の回復に伴い、生産や収益の増加基調が続くと考えられ、前年比プラスを予想している。一方で、非製造業は、円安やエネルギー価格上昇による消費の下振れリスクが意識され、慎重な設備投資計画になると予想する。
ニッセイ基礎研+15
+23
<▲4.0%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、2016年度計画比で▲4.0%を予想している。例年3月調査の段階ではまだ計画が固まっていないことから前年割れでスタートする傾向が極めて強いため、マイナス自体にあまり意味はなく、近年の3月調査との比較が重要になる。今回は、企業収益の底入れを受けて、近年の3月調査での伸び率をやや上回る計画が示されると見ている。ただし、海外経済をめぐる先行きの不透明感が強いことから、様子見姿勢を強める企業も多いとみられ、例年の伸び率を大きく上回ってくる可能性は低いだろう。
第一生命経済研+16
+20
<大企業製造業+3.2%>
<大企業非製造業▲2.7%>
短観の設備投資計画は、3月の実績見込みは堅調になりそうだ。大企業は、2015年度の実績に近いプラス幅になると見込まれる。中小企業も、非製造業ではプラスの伸び率に転じる。短観で見たときの設備投資は割に強めの数字となるだろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+16
+23
<大企業全産業▲0.5%>
17年度の設備投資計画も、過去の3月調査に比べ、高めの数値が示される見通しである。企業業績の回復に加えて、極めて緩和的な金融環境が、引き続き設備投資の回復を後押ししている模様である。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+13
+18
<大企業全産業+0.1%>
2017年度の計画については、大企業では例年通りゼロ近傍からのスタートとなるだろう。設備投資に対する慎重な姿勢に変化はないと思われるが、企業の手元資金が潤沢であること、人手不足感が強まる中で機械への投資の重要度が増すことなどが追い風になる。中小企業については、今回の調査時点では多くの企業で来年度の設備投資計画が定まっていないと考えられ、例年通り大幅なマイナスからのスタートとなるだろう。
三菱総研+14
+19
<n.a.>
業況判断DI(大企業・全産業)は、+17%ポイント(12月調査から3%p上昇)と、2期連続での業況改善を予想する。海外需要の持ち直しを背景に、製造業を中心に業況改善を見込む。
富士通総研+16
+19
<▲4.0%>
2017年度の設備投資計画は、年度入り前でまだ慎重であるが、2016年度の同じ時期よりは高い伸びになると見込まれる。


ということで、見れば分かると思いますが、大企業の製造業と非製造業のそれぞれの業況判断DI、さらに、全規模全産業の2017年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。業況判断DIは昨年2016年12月調査からやや改善を示すと予想されており、特に、円安や世界経済の回復に伴う輸出の恩恵を受ける製造業は非製造業よりも業況感の改善がより力強い、と考えられています。非製造業は石油価格高による消費の伸び悩みもひとつの不安材料と見なされています。また、特に私が注目した2017年度の設備投資計画については、大企業についてはほぼ前年並みながら、「統計のクセ」として規模の小さい企業の計画がまだ決まらないため例年通りのマイナス・スタートということになりそうです。
下のグラフは全規模・全産業の設備投資計画をニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2017年03月29日 (水) 20:44:00

前月から増加幅が大きく縮小した商業販売統計に見る消費の現状やいかに?

本日、経済産業省から2月の商業販売統計が公表されています。小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.1%増の10兆7800億円、季節調整済みの系列で前月比+0.2%増と、1月統計ほどではないとしても、まずまずの結果を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の小売業販売額、0.1%増 燃料・自動車の増加目立つ
経済産業省が29日発表した2月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.1%増の10兆7800億円だった。小幅ながら4カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では、原油高に伴う石油製品の価格上昇を背景に燃料小売業が10.0%増えた。新車効果の続く自動車小売業も4.8%増加した。化粧品が好調な医薬品・化粧品小売業も1.5%増えた。
一方で、飲食料品小売業など他の業種は軒並み前年を下回った。うるう年だった前年に比べ営業日数が減少したことが響いた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で2.6%減の1兆4493億円だった。既存店ベースでは2.7%減少した。うるう年の反動減が出た。コンビニエンスストアの販売額は0.8%増の8542億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。

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ということで、商業販売統計のうち名目消費の代理変数となる小売業販売額については、繰り返しになりますが、季節調整していない原系列の統計で2月が前年同月比+0.1%増と、1月の+1.0%増からは増加幅が大きく縮小しましたが、引き続き堅調な動きを見せています。この結果について考えておくべきポイントは2点あり、名目で+0.1%増ですから消費者物価(CPI)の最近の動きを考慮すると、名目ではプラスでも、実質ではマイナスの可能性が大きいと考えるべきです。例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは2月のCPI上昇率は+0.2%が見込まれています。他方、昨年2016年2月がうるう年であった点を考慮すれば、いわゆる「実力」ベースの消費は統計上の+0.1%増よりも高い伸びとなっていた可能性もあります。季節調整済みの系列で1月から+0.2%増を示していますので、これも考え合わせると、それなりの伸びと私は受け止めています。
さらに、少し詳しく業種別に小売業販売額を見ると、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、国際商品市況における石油価格の上昇を受けて、燃料小売業が+10.0%増を示した点を別にすれば、自動車小売業の+4.8%増が目を引きます。しかも、昨年年央くらいから一貫して前値比でプラスとなっています。自動車と並んでもうひとつの代表的な耐久消費財である電機が含まれる機械器具小売業はまだ前年比マイナスを続けていますが、そろそろ、消費増税前の駆込み需要の反動を脱しつつある局面ではないかと想像しています。家電については白物家電は上向きという情報もあり、例えば、日本電機工業会(JEMA)の2月の出荷統計を見ると、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの民生用電気機器の出荷はこのところ前年比プラスで推移していますから、テレビなどの一部の品目でエコポイントによる需要の先食いの反動がまだ続いている可能性があります。

いずれにせよ、消費はゆるやかに上向きと私は考えており、統計の作成官庁である経済産業省でも、小売業販売の基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いています。ただし、先行きのリスクがないわけではなく、すなわち、賃金動向は所得を通じて大きな影響があり、今年の春闘の動向などにつき、懸念がないわけではありません。労働分配率が低下する一方で、大きく積み上がった企業の内部留保の賢明なる活用が求められています。
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2017年03月28日 (火) 20:55:00

リクルートジョブズ調査による派遣スタッフとアルバイト・パートの募集時平均時給やいかに?

今週金曜日に雇用統計が公表される予定となっています。すなわち、総務省統計局の失業率、また、厚生労働省の有効求人倍率などです。世間一般では労働市場はほぼ完全雇用に近いんではないか、との見方が支配的になっている一方で、私なんぞは賃金が上がらないからまだ完全雇用ではない、と主張しているところ、政府統計で賃金の推移を見る毎月勤労統計の評判が必ずしも芳しくなく、今夜はリクルートジョブズの調査から、それぞれ今年2月の「派遣スタッフ募集時平均時給調査」と「アルバイト・パート募集時平均時給調査」のデータをグラフにして簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはリクルートジョブズ調査による三大都市圏における派遣スタッフ及びアルバイト・パートのそれぞれの募集時平均時給の推移を実額と前年同月比伸び率でプロットしています。それぞれ凡例の通りです。下のパネルのアルバイト・パートについては、まだ前年同月比で+2%程度の伸びを示していますが、上のパネルの派遣スタッフの時給については前年比で低下に転じており、昨年2016年9月に▲0.7%減を示してから10月こそ+0.1%増となったものの、11月▲0.1%減、12月▲0.4%減と続き、今年2017年1月▲0.9%減の後、2月も▲0.8%減を記録しました。
2月の派遣スタッフの平均時給の伸びを三大都市圏の地域別に見ると、東海ではまだプラス圏内で推移しているものの、関西と関東ではマイナスを記録しています。職種別ではデザイナーやweb関連などのクリエイティブ系が特に大きなマイナスを記録しています。リクルートジョブズの調査では、職種はオフィスワーク系、営業・販売・サービス系、IT・技術系、クリエイティブ系、医療介護・教育系の5系統に分割されているんですが、地域別・職種別に3x5の15のマトリックスのうち、直近の2017年2月調査で前年同月比伸び率がマイナスを記録しているのは、関東のIT・技術系、クリエイティブ系、医療介護・教育系と東海の医療介護・教育系、さらに、関西のIT・技術系、医療介護・教育系と幅広く下落を示しており、これらが全体を大きく下押しして派遣スタッフの時給の平均を押し下げています。特に医療介護・教育系では医療と思われる看護師・准看護師、それに、教育と思われるインストラクター・講師の時給の下落が大きくなっています。私も何が起こっているのか、正確な情報は持ち合わせませんが、人手不足で非正規雇用のアルバイト・パートや派遣スタッフでも時給が上昇を続ける、という意味での完全雇用に達しているわけではない、という認識が成り立とうかと考えています。春闘をはじめとする賃金の先行き動向も不透明ですし、「人手不足で完全雇用」という状況にはまだ達していないという見方が正確なんだろうと私は受け止めています。
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2017年03月27日 (月) 21:13:00

上昇率を高めた企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?

本日、日銀から2月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.8%と、徐々に上昇幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の企業向けサービス価格指数、前年比0.8%上昇 広告が寄与
日銀が27日発表した2月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.3で、前年同月比0.8%上昇し、44カ月連続で前年を上回った。上げ幅は前月から0.3ポイント拡大し、消費税を除いたベースでは15年8月以来、1年半ぶりの高い伸び率となった。前月比も0.3%上昇した。好調な収益や年度末に向けた予算消化などを背景に、企業のテレビ広告への出稿意欲が高まったことが指数を押し上げた。
広告のほか運輸・郵便では原油価格の上昇による貨物運賃の改善や、中国の鉄鉱石の需要増加で外航貨物輸送の荷動きが好調だったことも寄与した。外航タンカーは15年9月以来、1年5カ月ぶりにプラスに転じた。諸サービスのうち宿泊サービスでは、大都市のホテルが出張などビジネス需要や外国人観光客の減少に対応して単価を引き上げたほか、地方ではコンサートのための宿泊や外国人観光客の増加により、前月からプラス幅が拡大した。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは62、下落した品目は47で、上昇品目数は下落品目数より15品目多かった。
日銀の調査統計局はヤマトホールディングス(9064)傘下のヤマト運輸の値上げ検討について「今後どうなるかは分からないが、道路貨物輸送に影響が出ても不思議はない」との見方を示した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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SPPI上昇率はこのところ+0.2%~+0.5%のレンジ圏内で推移して来たんですが、とうとう+0.5%wpかなり上回る上昇率に達しました。素直に考えれば、国際商品市況の石油価格の波及効果ではないか、と考えないでもなかったんですが、石油価格に敏感な国際運輸を除くコアSPPIでもヘッドラインと同じ上昇率ですので、石油価格上昇の寄与は決して大きくないと考えるべきです。すなわち、前年比寄与度の前月差を詳しく見ると、外航貨物輸送は+0.03%と、それなりのプラスの寄与度を示していますが、それ以上に、テレビ広告の+0.13%を含む広告が+0.21%と大きな寄与を示しており、宿泊サービスの+0.04%なども外航貨物運輸の寄与度を上回っています。引用した記事にも、年度末の予算消化もあるんでしょうが、好調な企業業績に支えられたテレビ広告、大都市のホテルの客室単価引き上げなどが上昇要因として明記されています。
私には判断がつきかねているんですが、2月のこのSPPI上昇率の加速が一時的要因なのか、トレンドの変化なのか、やや不明です。国際商品市況の石油価格に連動した上昇加速の部分は大きくなさそうです。そして、このまま3月の年度末を迎えた後、4月の価格改定期の動向については、私の希望的観測も含めて、日銀のインフレ目標に近づくような価格改定が数多く見られるよう願っています。特に、ヤマト運輸 vs アマゾンほかのネット通販の価格交渉がどのように決着するかは大きな関心と興味を持ってウォッチしたいと思います。
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2017年03月24日 (金) 21:41:00

米国への移民は米国の労働力人口にどれほど貢献しているのか?

とても旧聞に属する話題ですが、私が時折チェックしている米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから3月8日付けで Fact Tank として、Immigration projected to drive growth in U.S. working-age population through at least 2035 と題するリポートが明らかにされています。通常の世論調査 = Opinion Pollではなく、Fact Tank と題されていて、違いについては私もそれほど理解ははかどらないんですが、2035年までの米国の労働力人口における移民などの構成を分析しています。グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Immigrants and their U.S.-born children expected to drive growth in U.S. working-age population を引用しています。日本では労働力人口は15-64歳なんですが、米国では25-64歳と少し違いはあるものの、上のグラフのいずれのパネルでも、グレーが米国生まれの両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口、濃い黄土色が移民の労働力人口、薄い黄土色が移民の両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口となっています。移民と米国生まれの両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口がどこに属するのかは明らかではありません。なお、我が国では団塊の世代と呼ばれるベビーブーマーは極めて狭い範囲で1946-48年生まれ位を指す場合が多いんですが、米国のベビーブーマーは戦後生まれで1965年くらいまでに誕生した世代を指します。ということで、ピュー・リサーチの推計によれば、2015年時点で173.2百万人の米国労働力人口は2035年には183.2百万人に達すると見込まれています。しかし、この米国労働力人口の増加は移民や移民の両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口を含めた数字であり、米国のベビーブーマーの加齢に従って、グレーの米国生まれの下に生まれた米国生まれの労働力人口は2015年くらいを境に減少に転ずると予想されています。また、グラフは引用しませんが、この後には、2035年時点で米国労働力人口は移民を含めるかどうかで17.6百万人の差が出ると試算した結果をプロットしたグラフを置いています。ということで、リポートの最後のパラの最初のセンテンスで、"Immigrants also play a large role in future U.S. population growth." と結論しています。
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2017年03月23日 (木) 21:26:00

東洋経済オンラインによる「非正社員の多い」トップ500社やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、東洋経済オンラインにて先週木曜日の3月16日付けで、「非正社員の多い」トップ500社が明らかにされています。トップはダントツぶっちぎりでイオンとなっています。以下、50位までのランキングのテーブルを東洋経済オンラインのサイトから引用すると以下の通りです。

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大手の自動車や電機メーカーのように、比率は高くないものの従業員数が多いので、非正社員も多いというパターンが散見されますが、やっぱり、大雑把な印象では世間一般でいわれているように、メーカーよりは小売り・外食・介護などが多いような印象です。なお、どうでもいいことながら、17番目のファーストリテイリングはユニクロなどの持ち株会社だと思うんですが、意外と非正社員比率が高くないように私は受け止めています。雇用に関する本を読み進んでいるので、少し関心が高まって取り上げてみました。
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2017年03月22日 (水) 20:43:00

貿易統計は世界経済の回復とともに我が国輸出の増拡大基調を確認!

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+11.3%増の6兆3465億円、輸入額は+1.2%増の5兆5331億円、差引き貿易収支は8134億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、2カ月ぶり黒字 10年3月以来の水準
財務省が22日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8133億8900万円の黒字だった。貿易黒字は2カ月ぶりで、2010年3月以来の水準。QUICKがまとめた市場予想の中央値は8591億円の黒字だった。中国の旧正月(春節)休暇が前年より早く1月中に始まった影響で輸入需要の一部が前倒しになった半面、輸出には反動増が発生し対中国貿易が60カ月ぶりの黒字となった。
輸出額は前年同月比11.3%増の6兆3465億円と3カ月連続で増加。2月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は113.40円と前年同月に比べ3.4%の円高だったが、輸出数量全体の伸びや対中国輸出の好調が寄与し、増加幅は15年1月(16.9%)以来の大きさとなった。
中国向けギアボックスなどの自動車部品や香港向けICといった半導体など電子部品の伸びが目立った。地域別では中国向けが28.2%増、米国向けが0.4%増となった。欧州連合(EU)向けも3.3%増と5カ月ぶりに増加した。
輸入額は1.2%増の5兆5331億1100万円となった。資源価格の回復に伴いアラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油、オーストラリアからの石炭などが伸びた。ただ、中国からの衣類やアイルランドからの医薬品の輸入が減り、増加幅は限られた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易黒字の幅については、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば+8591億円の黒字でしたので、ほぼジャストミートした感じです。ただし、これも引用した記事にある通り、中華圏の春節が昨年から1か月ズレて1月に始まった影響によるものであり、要するに、輸出拡大が貿易黒字に寄与しているわけです。昨年2月はうるう年でしたので、その1日多いうるう年効果を上回る春節効果は偉大であると改めて感じました。どうでもいいことかもしれませんが、季節調整済みの系列でも主節効果で歪みが生じている気がします。なお、今後も貿易収支の黒字基調は大きな変化ないと多くのエコノミストは予想しているものの、その黒字幅は縮小する可能性が強いと私は考えています。

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>輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。2月の輸出については、中華圏の春節効果である点は前のパラに記した通りですが、上のグラフの真ん中のパネルや一番下のパネルに見られる通り、先進国はもとより、中国をはじめとする新興国でも景気は底入れして回復に向かっており、世界経済の拡大とともに我が国の輸出への需要が高まりを見せ始めています。ただし、米国の通商政策及び為替政策のリスクは依然として私には不明です。
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2017年03月21日 (火) 21:26:00

マンションサプリ調査による東京メトロで最も資産性が高い沿線やいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、3月7日付けでマンションサプリから「東京メトロで最も資産性が高い沿線」に関する調査結果が明らかにされています。関連データは相場情報サイト「マンションマーケット」のデータを用いているようです。

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結果は上のテーブルの通りです。間隔10年間ということで、2007年と直近の2017年を比較しています。東京メトロ9路線のすべてにおいて、この10年間で平均m²あたりのマンション価格は下落しているんですが、最も下落率が小さかったのが千代田線沿線で、逆に大きく下落したのが銀座線、ということになっています。大雑把に見て、格差がhす苦笑yし収束が進んでいるように見えなくもありません。それにしても、東京メトロ沿線ではマンション1m²あたりで100万円近くするんですね。改めて驚いてしまいました。
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