2017年02月17日 (金) 21:32:00

東京商工リサーチによる「2016年 全国社長の年齢調査」やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、2月3日付けで東京商工リサーチから「2016年 全国社長の年齢調査」の結果が明らかにされています。300万社近い企業データベースから代表者の年齢データを抽出しているそうです。我が国全体の高齢化に従って、社長さんも高齢化しているようです。週末前の軽い話題としてグラフをとともに簡単に取り上げておきます。

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まず、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 社長の平均年齢推移 を引用しています。5年間で1歳あまりジワジワと高齢化が進んでいるのが見て取れます。我が国全体でそうなんですから、社長さんもそうなんだろうという気がします。10歳刻みの年齢分布で見ると、60代の構成比が33.99%でもっとも高く、それでも、70代以上も24.12%を占めています。また、都道府県別では、社長の平均年齢のトップは高知県の63.21歳、次いで、岩手県の63.02歳、秋田県の62.97歳の順となっており、年齢の上位の県は総務省統計局の人口推計における「都道府県別人口増減率」の減少率上位とほぼ同じ顔ぶれだそうです。まあ、判る気がします。

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続いて、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 産業別 社長の平均年齢 を引用しています。情報通信業の社長さんが際立って平均年齢が若いとの結果が示されています。これも判る気がします。なお、ほかに、社長さんの年齢と企業業績、すなわち、売り上げや利益、あるいは、黒字赤字などがデータとして示されていますが、ほとんど言いがかりに近いような気がしますので割愛します。
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2017年02月16日 (木) 21:39:00

労務行政研究所による「2017年賃上げの見通し」アンケート調査結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、2月1日付けで労務行政研究所から「2017年賃上げの見通し」アンケート調査結果が明らかにされています。興味深いのは、東証第1部および2部上場企業の労働組合委員長などの労働側、同じく東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長の経営側、そして、主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなどの労働経済分野の専門家の三者に対する調査を実施している点です。リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安とした世間相場の観点からの回答を求めているので、中小企業を含む全国平均からはかなり上振れている可能性はありますが、今年2017年の賃上げ見通しは、労働側6235円1.98%、経営側6286円1.99%、専門家6510円2.06%との結果でした。特徴的なのは労働側の弱気姿勢で、上のグラフはリポートから、ここ10年ほどの【図表2】実際の賃上げ見通しに見る労使の差の推移 を引用していますが、今年の賃上げ予想は労使で逆転しています。繰り返しになりますが、あくまで、東証第1部・2部上場クラスの主要企業における今年2017年の賃上げがどうなるかについて世間相場の観点からの回答ですから、自社の経営業績や人手不足などの状況とは関係薄いとはいうものの、どうかという気もします。

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加えて、上のグラフはリポートから、これも労使別の【図表4】ベア実施意向の推移 を引用しています。コチラのグラフではベアについては、労働側の方が経営側を上回っているんですが、それでも、2017年は昨年から労働側のベア「実施すべき」比率が急減しています。現在の労働市場を考えると、失業率がかなり低い水準にあり、有効求人倍率もまだ低下を続けていて、もちろん、地域別や産業別などで差はあり得るんでしょうが、何度も繰り返しますが、東証第1部・2部上場クラスの主要企業を念頭に置けば、賃上げはかなり高い確度で実施されるべきであり、少なくとも、各企業の内部留保を賃上げに回すことは可能であろうと私は考えるんですが、そうなっておらず、要求水準ではないものの、労働側の見通しが低いのはとても不思議です。

月曜日にGDP統計の1次QEが公表された際に、+1%成長であれば潜在成長率と照らし合わせても十分高成長であると、このブログにも書きましたが、まだまだ「景気悪い」キャンペーンが労働側の賃上げ見通し感覚に影響を及ぼしている可能性があるのかもしれません。
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2017年02月15日 (水) 19:26:00

ESPフォーキャストに見るトランプ政権の経済政策の評価やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、日本経済研究センターで実施しているESPフォーキャスター調査の2月調査結果が2月9日に明らかにされており、11月調査に続いて「トランプ大統領の経済政策と米国の成長率」と題する特別調査結果が明らかにされています。

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上のグラフは、日本経済研究センターのサイトから引用しています。見れば判ると思いますが、トランプ大統領の経済政策により米国の成長率が高まるかどうかを問うた結果とその理由です。11月の当選直後の回答では、「高まる」20に対して「低くなる」9のダブルスコアだったんですが、2月調査では15-16とほぼ同数となり、慎重派が増えている印象です。その理由についても、「高まる」とする理由ではインフラ投資と法人税引き下げのいずれも回答者が減っている一方で、「低くなる」とする理由の保護貿易と長期金利上昇がともに回答者を増加させています。低くなるのほかの理由として、クローニー・キャピタリズムが上げられています。まるで途上国のようなファミリー・ビジネスが頭に浮かぶんですが、娘であるイバンカのブランドの洋服の宣伝なんかはそうなのかもしれません。
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2017年02月13日 (月) 20:51:00

10-12月期GDP統計1次QEに見る日本経済は外需依存の物足りない成長なのか?

本日、内閣府から昨年2016年10-12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.2%を記録しました。外需中心ながら、なかなかの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月の実質GDP、年率1.0%増 外需に伸び
内閣府が13日発表した2016年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%増、年率換算では1.0%増だった。プラスは4四半期連続。輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.3%増で、年率では1.0%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.3%増、年率では1.2%増だった。名目も4四半期連続でプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が0.0%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.2%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、4四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰が家計支出を抑制した。
輸出は2.6%増、輸入は1.3%増だった。アジア向けや北米向けに需要が回復し輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。設備投資は0.9%増と、2四半期ぶりにプラスだった。輸出増などを受けて生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.2%増。公共投資は1.8%減。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.1%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のマイナスだった。
同時に発表した16年暦年のGDPは実質で前年比1.0%増、生活実感に近い名目で1.3%増となった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2015/10-122016/1-32016/4-62016/7-92016/10-12
国内総生産GDP▲0.3+0.6+0.4+0.3+0.2
民間消費▲0.6+0.4+0.2+0.3▲0.0
民間住宅▲1.0+1.4+3.3+2.4+0.2
民間設備+0.5▲0.3+1.3▲0.3+0.9
民間在庫 *(▲0.1)(▲0.2)(+0.2)(▲0.3)(▲0.1)
公的需要+0.3+0.9▲0.7+0.0▲0.0
内需寄与度 *(▲0.3)(+0.2)(+0.5)(▲0.1)(▲0.0)
外需寄与度 *(+0.0)(+0.3)(▲0.0)(+0.4)(+0.2)
輸出▲0.8+0.9▲1.2+2.1+2.6
輸入▲0.8▲1.1▲1.0▲0.2+1.3
国内総所得 (GDI)▲0.2+1.1+0.6+0.2+0.1
国民総所得 (GNI)▲0.1+0.7+0.3+0.1+0.0
名目GDP▲0.3+0.8+0.3+0.2+0.3
雇用者報酬 (実質)+0.7+1.1+0.3+0.6+0.0
GDPデフレータ+1.5+0.9+0.4▲0.1▲0.1
内需デフレータ▲0.0▲0.3▲0.7▲0.8▲0.3


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2016年10-12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、特に、黒い外需が大きくプラス寄与している一方で、灰色の民間在庫がマイナス寄与しているのが見て取れます。

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ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、前期比+0.3%、前期比年率+1.0%の成長率が見込まれていましたので、ほぼジャストミートしました。直近の市場変動要因である日米首脳会談もほぼほぼ無風で終りましたので、今日の東証の日経平均は少しだけ上昇、で終っています。GDP統計に表れた成長率については、内需が寄与度ゼロで外需のみによる成長との批判もあり得ましょうが、内需のうちの在庫の寄与度が▲0.1%ですので、在庫調整が進んでおり、むしろ、在庫調整の進展が計算上は内需の下押し要因になっている点は忘れるべきではありません。同時に、仕上がりの数字として、10-12月期の四半期で見ても、2016年暦年で見ても、年率+1.0%というのは+1%にやや満たないと目されている潜在成長率をやや上回る水準であり、少子化による人口減少や高齢化が進んだ現在の日本の成長率としては決して悪くないと受け止めています。上のグラフを見て、2016年1-3月期から10-12月期にかけて、ジワジワと前期比成長率が低下しているように見えなくもないんですが、一昨年2015年10-12月期のマイナス成長からのリバウンドを考慮すると、こんなもんという気がします。

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上のグラフは雇用者報酬とインバウンド消費の推移をプロットしています。季節調整済みの系列の実額です。今日公表されたGDP統計の需要項目別の数字を見て、設備投資がマイナスを示した7-9月期から10-12月期にはようやくプラスに転じた一方で、消費がほぼ横ばいながらマイナスに転じた点が懸念されています。昨年秋口の天候要因で野菜などの食品価格が高騰したイレギュラーな要因もありましたが、やっぱり、所得の増加が伴っていないのが大きな要因のひとつと考えられます。ただし、サイクル的な要因として、リーマン・ショック以降に政策効果を発揮してきたエコカー減税・家電エコポイント制度による耐久消費財の買い替えサイクルがそろそろ到来すると言われており、加えて、2014年4月の消費増税前の駆け込みによる需要先食いの悪影響がようやく緩和しつつあると考えられますので、現在の人手不足に伴って、春闘などである程度の賃上げが実現されることを織り込めば、自律的な消費の動きとしては緩やかな回復・拡大に向かうものと期待してよさそうです。外需についても、価格要因の大きな部分を占める為替動向は不透明な部分が残されているものの、米国はもとより欧州や中国も含めて世界経済が底を脱して回復・拡大するという所得要因から輸出がさらに期待できますから、今年2017年は内外需ともに増加する可能性が高いと考えるべきです。

最後に、繰り返しになりますが、私は今日公表されたGDP成長率は決して物足りないものではなく、そこそこの高成長と考えているんですが、海外論調をいくつか見ておきたいと思います。ウォールストリート・ジャーナルは低成長と見ているようですが、ファイナンシャル・タイムズは潜在成長率から見て十分な高成長と私と同じような評価であり、ニューヨーク・タイムズもまずまずよいんではなかろうか、という評価のようです。順不同にご参考まで。
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2017年02月10日 (金) 21:14:00

22か月ぶりにプラスを記録した企業物価指数(PPI)の動向やいかに?

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインの国内物価上昇率は前年同月比で+0.5%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業物価指数、前年比0.5%上昇 上昇は15年3月以来
日銀が10日発表した1月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は前年同月比で0.5%上昇の97.7となった。前年比で上昇となるのは15年3月以来、22カ月ぶり。市場予想は前年比0.0%と横ばいだった。原油など国際商品価格の上昇や円安進行が寄与した。
前月比では0.6%上昇となった。前月比では石油・石炭関連や化学製品のほか、鉄鋼、非鉄金属などが上昇した。米国や中国のインフラ投資への期待感から銅の国際市況が回復したことも寄与した。
公表している746品目のうち前年同月比で上昇したのは273品目、下落は401品目だった。上昇と下落の品目差は128品目で、16年12月(186品目)から縮小した。縮小は3カ月連続。
日銀調査統計局は「国内需要の状況は徐々に強まっているが、企業物価への影響はあまりみられない。上昇の主因は国際商品市況の回復や円安の進行」と説明している。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。上の2つのパネルで影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率は保ち合いと予想されていたんですが、ほぼ2年振りにヘッドラインの国内物価の前年同期比でプラス領域に達しました。基本的には、国際商品市況における石油価格の反発と円安による物価上昇であり、少なくとも前者は日銀金融政策の成果にはカウントされないんだろうと受け止めています。例えば、国内物価のうち石油・石炭製品は1月の前年同月比が+22.3%の大幅な上昇となっています。また、農林水産物も+4.7%の上昇と秋口からの天候不順による価格上昇がまだ続いていえる印象です。また、国内物価以外でも、前年同月比上昇率で見て、輸出物価上昇率も昨年2016年12月の▲1.8%から今年1月には+0.8%に、輸入物価も12月の▲2.6%から+4.5%に、それぞれ、1月からプラスに転じています。物価の先行きについては、小国になってしまった我が国の経済動向もさることながら、国際商品市況の方向性に強く影響を受けそうな気もしますが、基本的に、新興国も含めて世界経済が緩やかに回復を示すとともに、我が国景気も持ち直しを続けており、国内の需給や人手不足を背景に一般物価は緩やかな上昇を続けるものと私は考えています。

なお、ご参考まで、この1月指数から企業物価指数(PPI)は2015年基準になっています。消費者物価指数(CPI)の基準改定と異なり、世間的に注目されないものですから、データを拾っている間に先月統計までとかなり違っていて、少し面食らいました。ただ、企業向けサービス物価はまだ2010年基準のようです。指数をそのままプロットすることは余りない指標ですし、上昇率で見ると大きな違いはないのかもしれません。
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2017年02月09日 (木) 22:42:00

設備投資と機械受注はいよいよ本格的な回復に向かうか?

本日、内閣府から昨年2016年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+6.7%増の8898億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の機械受注6.7%増 1-3月は3.3%増見通し
10-12月は0.2%減、2四半期ぶりマイナス機械受注

内閣府が9日発表した12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比6.7%増の8898億円だった。増加は2カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(3.1%増)を大幅に上回った。製造業と非製造業がともに増加した。判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業の受注額は1.0%増の3670億円と2カ月連続で増加した。需要者の業種別では、化学機械や電子計算機が伸びた「化学工業」が71.8%増と急増した。原子力原動機や重電機が増えた「非鉄金属」も53.2%増えた。
非製造業の受注額は3.5%増の5002億円と2カ月ぶりに増えた。需要者の業種別では、鉄道車両で大型案件があった「運輸業・郵便業」が60.9%増と伸びが目立った。建設機械や電子計算機が増えた「建設業」は16.9%増だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は6.7%増だった。
併せて公表した2016年10-12月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は2兆6018億円と前期比0.2%減だった。電子通信機や産業機械の受注が予想以上に伸び、内閣府が昨年11月に示した16年10-12月期見通し(5.9%減)より減少幅は小さかった。
16年通年の船舶・電力を除いた民需の受注額は10兆2600億円と、前の年に比べ1.7%増えた。増加は4年連続。製造業は1.6%減の4兆3010億円と4年ぶりに減った。非製造業は4.1%増の5兆9854億円と2年連続で増えた。
1-3月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は3.3%増の見通し。内閣府は「原動機や航空機の需要が好調に推移する」とみている。製造業は前期比11.6%増え、非製造業は2.3%減にとどまるとしている。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではコア機械受注で見て前月比+3.1%増が予想されていたんですが、大幅にこれを超えた増加を示しています。しかしながら、先月11月の▲5.1%減もあり、10-12月期を通しては▲0.2%減を記録しています。このため、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いたようですが、先月の段階では10-12月期は▲5.9%減を予想していただけに、マイナス幅もかなり小幅でとどまったと私なんぞは受け止めています。しかも、今年2017年1-3月期の予想は前期比で+3.3%の増加を見込んでおり、海外経済情勢や経済外要因などの不透明さは払拭し切れないものの、基本的には設備投資や機械受注は本格的な回復に向かう可能性が高まったと考えるべきです。ただ、「本格回復」といっても、増加率や増加幅などを照らし合わせると、まあ、人によっては表現上の違いながら、緩やかな回復の範囲にとどまるのかもしれません。しかも、下振れリスクは基本的に海外要因ですが、足元の為替相場を見ると円高方向に向かう可能性は否定できませんし、米国のトランプ政権の通商政策や英国のBREXITの行方、大陸欧州のいくつかの国政選挙など、経済の自律的な動きを反映するものではない経済外要因もどのような方向に向かうか、現時点では不透明です。いくぶんなりとも雇用もそうですが、投資は中長期的な経済の見通しに基づいて実行するものだけに、こういった先行きの不透明さは下押し要因になる恐れがあると考えるべきです。もちろん、自律的な経済要因としては、企業部門の利益水準がかなり高い点や人手不足に伴う合理化や省力化のための投資が見込まれ、米国はもとより欧州や中国などの海外経済の回復に伴う外需も上向きの方向にあり、2020年東京オリンピック・パラリンピックのためのインフラ整備も視野に入って来ており、そろそろ、設備投資や機械受注が本格的に回復してもいい時期であることも確かです。最後に、12月データが利用可能になりましたので、いつもでしたら四半期ベースの達成率のグラフを書くんですが、今夜は遅くなったためグラフは割愛します。ただ、2016年いっぱいは、1-3月期103.2%、4-6月期99.1%、7-9月期98.8%、10-12月期104.4%と、景気転換点としてエコノミストの経験則である90%ラインより上に達成率が位置していたことだけ確認しています。
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2017年02月08日 (水) 19:44:00

大きく低下し基調判断が下方修正された景気ウォッチャーと黒字の続く経常収支!

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2016年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月比▲1.6ポイント低下の49.8を、また、先行き判断DIは前月比▲1.5ポイント低下の49.4を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆1122億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の街角景気、現状判断7カ月ぶり悪化 判断11カ月ぶり下げ
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整値)は前の月に比べ1.6ポイント低下の49.8だった。悪化は7カ月ぶり。内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」から「持ち直しが続いているものの、一服感がみられる」に下方修正した。判断を引き下げたのは2016年2月以来11カ月ぶり。
部門別にみると、企業動向と家計動向、雇用の3部門がそろって低下した。企業動向では、製造業と非製造業ともに低下。家計動向も小売り関連を除き悪化した。
街角では企業動向に関して「為替が円安で推移していること、国内の景気がいまひとつ伸びていないことで材料仕入れ価格が上昇する一方で、国内販売価格はそれに伴う値上げを据え置きせざるを得ない状況になっており、収益上苦しい状況が続いている」(中国・スポーツ用品製造)との声があった。家計動向では「大雪の影響があり来客数が減少している」(東海・スーパー)という。
2-3カ月後の先行きを聞いた先行き判断指数(季節調整値)は、前の月から1.5ポイント低下し49.4だった。悪化は2カ月連続。家計動向と企業動向、雇用がそれぞれ低下した。
街角では家計について「税制改正により、エコカー減税の軽減率が下がるため、該当する車種の販売量の落ち込みを懸念している」(東北・乗用車販売店)との声が聞かれた。家計では「労働契約法や改正労働者派遣法の影響で、徐々に直接雇用への切り替えが進む可能性も高い。継続的な派遣活用が見通せなくなると企業からの派遣求人依頼数が減少し、採用時から直接雇用化を望む企業が増加してくる」(九州・人材派遣会社)との見方もあった。
経常黒字9年ぶり高水準 昨年、旅行収支は最大
財務省が8日発表した2016年の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は20兆6496億円の黒字だった。原油安で貿易収支が大幅に黒字転換したことが寄与し、前年同月から4兆2370億円黒字幅を拡大した。経常収支の黒字額は07年(24兆9490億円)以来9年ぶりの高水準で、通年ベースで過去2番目の大きさだった。訪日外国人の増加を背景に旅行収支は過去最大となった。
貿易収支は5兆5793億円の黒字と前年同月(6288億円の赤字)から黒字に転換した。原粗油や液化天然ガス(LNG)など燃料価格の下落で輸入額が16.6%減少。鉄鋼や自動車の低迷で輸出も8.5%減少したが、輸入の落ち込みが上回った。
サービス収支は9748億円の赤字(前年同月は1兆6784億円の赤字)だった。赤字額は1985年以降で過去最少。旅行収支が1兆3391億円の黒字と、比較可能な1996年以降で過去最大となったことが寄与した。
第1次所得収支は18兆1360億円の黒字と前年同期(20兆6526億円)に比べて黒字幅を縮小した。円高で企業が海外事業への投資で受け取る配当金や証券投資からの収益が目減りした。
併せて発表した16年12月の経常収支は1兆1122億円の黒字だった。経常黒字は30カ月連続。12月としては2010年(1兆3529億円の黒字)以来6年ぶりの高水準だった。貿易収支が8068億円の黒字と前年同月から6125億円黒字幅を拡大。輸出が6.6%増と16カ月ぶりに増加し、輸入は原油安の影響で3.3%減少した。サービス収支は2866億円の赤字、第1次所得収支は6759億円の黒字だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。さらに、経常収支は年統計がほとんどで、12月の月次統計は最後のパラだけでした。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーは現状判断DIも、先行き判断DIも、ともに大きく低下し、統計作成官庁である内閣府では基調判断を半ノッチ引き下げて「着実に持ち直している」から「持ち直しが続いているものの、一服感がみられる」に修正しています。しかし、私の方では判断に少し迷いがあります。というのは、大きく低下した雇用動向を別にして、現状判断DIでは前月からの変化幅が全体の▲1.6ポイント低下に対して、家計動向関連で▲0.7ポイント、企業動向関連で▲2.7ポイントと、家計部門の足元の判断の方が弱く、特に、家計動向関連のうちの飲食関連が▲2.1と最大の低下を示し、企業部門では製造業の方が非製造業よりも前月差で大きな低下を示している一方で、先行き判断DIでは、この真逆になっています。すなわち、家計動向関連が前月差▲1.1ポイントの低下を示し、企業動向関連は▲0.7ポイント低下ですし、家計の中では飲食関連が逆に+2.4ポイントの上昇を示し、企業部門の中では製造業が▲0.3ポイントの低下で済んでいるにもかかわらず、非製造業では▲1.1ポイントの低下となっています。要するに、モメンタム的な足元で下がったセクターは先行きでももっと下がる、というのではなく、足元で下がったセクターは先行きは反発する、という逆方向への動きを感じているマインドが示された、と私は受け止めています。ですから、1月のマインド低下は、この先もドンドン低下して行くドロ沼ではなく一時的な調整であって、先行きは何らかの要因で反転する可能性も秘めている、との割合と堅調なマインドではなかろうかという気がします。それにしても、トランプ米国大統領の通商政策や欧州の国政選挙などが、不透明な海外要因の印象を強めているのは確かなところです。これらの経済外要因については、私も不安を感じないでもありません。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれませんが、経常収支についてもほぼ震災前の水準に戻った、と私は受け止めています。なお、12月統計をもう少し詳しく見ると、財務省のサイトから季節調整していない原系列に基づく情報によれば、為替相場はドル・円で米ドル当たり115.95円と、前年同月の121.84円の水準から4.8%の円高に振れていますが、他方で、原油価格はドルベースではバレル当たり46.67米ドルと、前年同月比+7.2%の上昇でしたが、円ベースではキロリットル当たり33,184円と、▲1.2%の下落でした。昨年2016年の地域別経常収支を見ると、やっぱり、国際商品市況における石油価格の低下が我が国の貿易を黒字にし、それがひいては経常収支の黒字幅の拡大をもたらした、と考えることが出来ようかと思います。他方、+20.6兆円の黒字のうちで国別で判明しているのが+16.4兆円に上り、うち、米国から+13.4兆円の黒字を計上しています。国別で判明していない分を含めても経常黒字の6割以上を米国から計上していることになります。近く予定されている日米首脳会談でアジェンダに上ったりするんでしょうか?
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2017年02月07日 (火) 20:44:00

本日公表の景気動向指数に見る企業部門と家計部門の景気動向やいかに?

本日、内閣府から昨年2016年12月の景気動向指数が公表されています。CI一致指数は前月比+0.1ポイント上昇の115.2を示した一方で、CI先行指数は+2.6ポイント上昇の105.2を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の景気一致指数、2年9カ月ぶり高水準
内閣府が7日発表した2016年12月の景気動向指数(CI、10年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.1ポイント上昇し115.2だった。4カ月連続で上昇し、14年3月の117.8以来2年9カ月ぶりの高水準になった。電子部品デバイスや化学などが上昇し、鉱工業用生産財出荷指数や鉱工業生産指数が伸びた。内閣府は「高水準で堅調に推移している」との見方を示した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。前月から比較可能な8指標のうち鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率、鉱工業生産指数、中小企業出荷指数(製造業)の4つがプラスに寄与した。一方、投資財出荷指数(除く輸送機械)と、冬物の衣料販売が不振で商業販売額(小売業)はマイナスだった。
数カ月先の景気を示す先行指数は2.6ポイント上昇の105.2だった。上昇は3カ月連続。消費者態度指数や新規求人数(除学卒)などが寄与した。
内閣府は3月に開示する1月の景気一致指数から、中小企業出荷指数(製造業)を除くと発表した。同統計が昨年12月分を最後に公表を休止するため。景気一致指数は1つ少ない9指標で算出する。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だいう気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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実は、このブログでは先月の景気動向指数についてはやや懐疑的で、商業販売統計が伸びている背景は、国際商品市況における石油価格の動向から名目値で伸びているだけではないか、との懸念を示しておいたんですが、懸念は懸念だったものの、今日の公表指数から見て、明らかに景気は改善を示していることが裏付けられた気がします。寄与度の絶対値で比較的大きな項目を見ると、一致指数へのプラス寄与については、鉱工業用生産財出荷指数と有効求人倍率(除学卒)が上げられ、マイナス寄与では、投資財出荷指数(除輸送機械)と商業販売額(小売業)(前年同月比)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)があります。また、先行指数へのプラス寄与では、消費者態度指数と新規求人数(除学卒)と日経商品指数(42種総合)などがあり、マイナス寄与では、最終需要財在庫率指数と新設住宅着工床面積といったところです。マインド指標の消費者態度指数だけが例外ですが、先月に続いて、ハードデータの範囲では弱い家計部門と強い企業部門がクッキリと分かれている気がします。あえてキツめの表現をすれば、内部留保を溜めまくっている企業部門と、そのあおりを受けて賃上げがかなわずに消費が伸び悩んでいる家計部門ということになろうかという気がします。家計部門も消費者態度指数や景気ウォッチャーなどのマインド指標は改善を示しているものの、賃上げに基づく所得の増加がなければ消費が回復してもサステイナビリティに疑問が生じます。米国新政権の通商政策の不透明性などはものともせずに、人手不足を背景にした賃金引上げを望みたいと思います。
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2017年02月06日 (月) 19:21:00

本日公表の毎月勤労統計の賃金動向をどのように見るか?

本日、厚生労働省から昨年2016年12月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から横ばいを示し、他方で、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.1%の伸びとなっています。ただし、ヘッドラインの消費者物価がこの秋の天候不順で野菜の高騰を受けて12月は上昇していますので、物価上昇を差し引いた実質賃金に転じています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

16年の実質賃金、5年ぶり増、16年12月は1年ぶり減少 毎勤統計
厚生労働省が6日発表した2016年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は0.7%増となり5年ぶりに上昇した。企業の賃上げ効果で名目賃金にあたる現金給与総額が前年を上回って伸び、ボーナスなどの特別給与も増えた。一方で消費者物価指数(CPI)は原油安などで4年ぶりのマイナスとなった。
基本給や残業代など現金給与総額(月平均)は前年比0.5%増の31万5372円と3年連続のプラスとなった。特別給与は夏季のボーナス増などが寄与し2.0%増の5万5637円だった。パートタイム労働者の時給は1085円と過去最高を更新し、調査を開始した1993年以降で最高の水準となった。外食などで人手不足が続き時給の上昇が続いている。
同時に発表した16年12月の実質賃金は前年同月比0.4%減となり15年12月以来1年ぶりに減少した。雇用所得環境の改善で名目賃金の上昇基調は続いたものの、12月は生鮮食品の価格上昇などで消費者物価の上昇が賃金の伸びを上回った。厚労省は前月に続き賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を据え置いた。
現金給与総額は0.1%増の54万4823円だった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は24万487円と0.5%増えた。一方、残業代など所定外給与は1.9%減の2万9円、特別給与は0.1%減の28万4327円だった。


年データが利用可能となったので、それに着目した部分が前半を占めていますが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、1番下の3番目のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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12月の生産の伸びがかなり小さかったことから、生産の派生需要である労働へのインパクトも小さく、製造業の所定ぎあい労働時間は季節調整済みの系列で見て前月から横ばいでした。また、賃金については上のグラフで示した通り、基本的に私は名目で見ているんですが、いわゆる恒常所得部分の所定内賃金については、ほぼ安定的に前年比でプラスを記録するようになったと受け止めています。ただし、引用した記事にある通り、ヘッドラインの消費者物価上昇率でデフレートした実質賃金は、天候不順に起因する野菜価格の高騰などから、最近時点で急ブレーキがかかっているのも事実です。11月統計では速報時点でマイナスを記録した後、確報で修正されてゼロとなりましたが、直近統計の12月速報ではとうとう前年から伸びがマイナスになってしまいました。このあたりは消費者マインドの低迷にもつながりかねないとと私は考えています。ただ、上のグラフのうちでも一番下のパネルに示された通り、フルタイムの一般労働者の増加率がパート労働者の伸びを上回り始めました。現在、かなり完全雇用に近いものの、決して完全雇用に到達していない労働市場の状況を考えると、賃金よりも先に正規雇用の増加という形で雇用の質の向上がもたらされるのかもしれません。完全雇用に伴う賃金上昇はさらに時間がかかるのかもしれませんが、よし悪しは別として、少なくともフルタイムの一般職員の方が給与水準が高いですから、パートタイムよりもフルタイム職員が増加するのはそれだけでマクロの所得増につながると考えるべきです。12月はボーナス月ですので差が大きくなっていますが、2016年12月ではフルタイムの一般労働者の現金給与総額が740,533円であるのに対して、パート労働者はわずかに107,963円にしか過ぎません。ボーナスの影響がより小さい例ということで、昨年2016年11月の先月統計を見てもフルタイムの一般労働者355,672円に対して、パートタイムは96,117円と4倍近い差があります。

賃金に限って先行きを考えると、目先は春闘の動向が大きな比重を占めます。春闘については、米国トランプ政権の通商政策の不透明さが何らかの悪影響を及ぼす可能性を否定できません。加えて、春闘とは別要因ながら、政府の働き方改革により残業が減少すれば、基本給で手当てできない限り、所得が減少することにもなりかねません。それでも、繰り返しになりますが、完全雇用による労働単価としての賃金上昇に先立って、雇用者増とともにフルタイム労働者の増加によるマクロの所得増加が生じる効果は無視すべきではありません。
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2017年02月05日 (日) 18:26:00

今週の読書はかなり大量に読んで計9冊!

今週もかなり大量に読みました。特に、『ナショナリズムの昭和』が中身はかなり疑問だらけで大したことないながら、何と、700ページの大作でしたので読み切るのに時間がかかりました。でも、この週末に借りた本の中には800ページを超える本もあったりしました。今週もいっぱい読みそうな予感です。

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まず、日本経済研究センター[編]『激論 マイナス金利政策』(日本経済新聞出版) です。例えは悪いんですが、2014年11月22日付けの読書感想文で取り上げた『徹底分析 アベノミクス』と同じように、マイナス金利政策について効果ありとする論者と効果を疑問視する論者を並べて編集してありますが、元々は日本経済研究センターにおける講演会の議事録を起こしたもののようです。ということで、本書では日銀の理事や政策委員をはじめ、日銀OBや日本を代表するエコノミストら15人の識者が、マイナス金利政策の効果を中心に金融政策をめぐって熱い議論を繰り広げています。その陣容は上の表紙画像に並べてあります。議論は、(1)異次元緩和政策・マイナス金利政策の成否、(2)インフレ期待の引き上げに関する政策の論理の一貫性、(3)財政危機と隣り合わせの出口問題、(4)マイナス金利政策に特有な直接的な政策コスト・副作用の問題、(5)市中銀行のストックが尽きかねない国債購入、マイナス金利の深掘りなど金融政策技術上の限界、(6)異次元金融緩和政策の代替案、そして、マイナス金利政策以上に過激とみられるヘリコプターマネー政策へと及びます。私が読んだ限りでは、いずれもマイナス金利に効果ありとする意見の持ち主ですが、伊藤教授と日銀政策委員の原田さんのチャプターが理解しやすく、私の感覚とも合致していたような気がします。もっとも、私はその昔に原田さんとの共著論文を書いているくらいですから、経済に対する見方が似通っているのは当然です。まあ、私の直観的な理解では、旧来の日銀理論に立脚してマイナス金利の効果に疑問を持っている論者は、そもそも、金利レジームであろうと、量的なレジームであろうと、イールドカーブを対象にするレジームであろうと、かつての速水総裁を思い出しますが、ともかく円高と引き締めが好きで、何がどうあっても金融緩和に反対、という意見を持ち、ひたすら企業や国民に痛みを伴うカギカッコ付きの「構造改革」がお好きなんではなかろうか、と思わせる下りがいくつかありました。

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次に、井上智洋『ヘリコプターマネー』(日本経済新聞出版) です。この著者の主張は先日1月5日付けの読書感想文で文春新書の『人工知能と経済の未来』を取り上げたところです。その際も同じことを書いたんですが、本書も非常に正統的なマクロ経済学に基づいていると私は受け止めています。ですから、生産性の伸びに応じた貨幣を供給して需要不足を金融政策で創出する必要性なども共通しています。そして、冒頭(p.21)から「金融政策や財政支出拡大に積極的であるアベノミクスは左派的な経済政策」であり、「反対に、今の自民党より財政支出削減や増税に積極的で、金融緩和に否定的な民進党は、経済的には右派的である」と指摘し、まったく私も同感です。本書の著者の考えでは、貨幣の創造により需要は創出できるということであり、そして、長期にも価格の粘着性を仮定すれば、需要の不足が生じることがあり得る、というものです。昔々の大昔に私が経済学を習い始めたころ、経済に何かショックが生じる際、短期とは価格が固定的で数量で調整する世界であり、長期とは価格がすべてを調整する世界であり、しかも、我々はみんな死んでいる世界である、ということでしたので、長期でも価格が粘着的であれば需要不足は生じる可能性はあります。でも、私の知る大昔の経済学では長期とは価格が伸縮的であって粘着的ではなかったので、少し違和感はありました。それはともかく、その上で、長期のフィリップス曲線は正常なインフレ率の下では垂直かもしれないが、極めて低いインフレ率のデフレ経済の下ではマイナスの傾きを持っているとし、長期デフレ不況の理論的基礎としています。そして、ここからが著者の本領発揮なんですが、財政政策としては、ヘリコプター・マネーにより財源を調達した上で、ベーシック・インカムを実施することとし、他方、金融政策としては、銀行には100%準備を課し、すなわち、信用乗数をゼロにして貸し出しを禁止し、企業部門の資金調達は直接金融で社債などの発行で家計から借り入れる、というものです。いくつか疑問があるのは、ヘリコプター・マネーを実施した時点で中央銀行の独立性は完全に失われると私は考えており、財政政策と金融政策は一体化するんではないかと思います。そして、議論の本筋ではありませんが、本書で著者は量的緩和とゼロ金利を混同しているように見受けられます。中央銀行がマネーストックを増加させられず、単なる当預の「ブタ積み」になっているのはゼロ金利政策だからではなく、金融政策が金利ターゲットからレジーム・チェンジして当預をターゲットにした量的緩和に移行したからです。本書の論旨には大きな影響はありませんが、ゼロ金利と量的緩和のレジームを区別することはそれなりに重要かという気がします。いずれにせよ、本書では、ヘリコプター・マネーの議論に一石を投じるとても正統的ながら、おそらく旧日銀理論を信奉するエコノミストにはとても「奇っ怪」に見える議論を展開しています。ヘリコプター・マネーの議論を実りあるものとするため、多くのエコノミストが本書を読むよう、私は願っています。

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次に、モハメド・エラリアン『世界経済危険な明日』(日本経済新聞出版) です。著者は、たぶんエジプト人だったと記憶しているんですが、国際通貨基金(IMF)に勤務した後、投資会社PIMCOのCEOなども務めています。米国のオバマ政権でも公職についていたようです。英語の原題は The Only Game in Town であり、2016年の出版です。英語の原題はその昔のカーペンダーズの「ソリテア」にあった言い回しではないかと思うんですが、まあ、決してベストとは思えないけれど他の選択肢がない、くらいの意味ではないかと受け止めています。私の英語力ではそれ以上のことは判りません。といことで、リーマン・ショックなどの金融危機に続く Great Recession 大不況の後で、米国連邦準備制度理事会(FED)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、日銀などの中央銀行が世界経済にとって「最後の頼みの綱」となったわけですが、実は、中央銀行のとてつもない金融緩和それ自体が経済や金融を歪めかねない事態に陥っていて、金融緩和頼みではもはや経済が回らず、むしろ、その金融緩和政策がリスクを高め、所得・資産の格差を広げるなど問題を生み出していると指摘し、このままでは世界は重大なT字路の分岐点に直面すると警告しています。そして、どうすればいいかについて、急にお話しのレベルが違ってくる気がしましたが、先行き不確実な経済の中で多様性を重視した判断や組織、さらに、いくつかに分岐しかねないシナリオ分析が重要になり、投資においては流動性を重視すべきである、ということを指摘しているように私は受け止めました。指摘している経済問題は私のような官庁エコノミストが解決すべき課題だと思うんですが、解決方法が民間投資銀行の運営方針ではないのか、という気もします。問題の指摘はその通りなんですが、解決策や政策対応にやや不満が残りました。手短かに、サッサと店仕舞いにしておきます。

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次に、ハーマン・サイモン『価格の掟』(中央経済) です。著者は研究者の経験もありますが、基本的には、プライシングなどを専門とする経営コンサルタントのようです。英語の原題は Confession of the Pricing Man であり、2015年の出版です。企業活動を含む経済活動を評価す場合は、例えば、一昨日の金曜日に取り上げた成長率のように実質値で評価する場合が多く、すなわち、価格の変動を除去して数量ベースで評価するわけです。しかし、実際に企業活動で追い求められるべきは利潤の最大化というのが伝統的な経済学の立場であり、利潤とは売上げからコストを差し引いたものであり、売上げとは数量に平均価格を乗じた値として求められるのは当然です。ですから、経済活動、中でも企業活動を数量ベースで評価するのは片手落ちであり、価格付けの観点からも考えるべきである、というのが本書の立場であり、至極もっともな主張です。例えば、企業価値のひとつの尺度である株価なども企業業績に正の相関を持つと考えられているわけですから、価格動向は重要です。しかも、伝統的な経済学では市場における価格決定を需要曲線と供給曲線の交点から求められるとし、実は、市場で観測できるのは交点のデータだけであって、供給曲線はまだしも需要曲線は極めて観測が難しいと私なんぞは考えています。そして、現実の経済には古典派の考えるような完全競争市場などが存在するハズもなく、何らかの価格決定力を企業サイドが持っていることは明らかです。その点から、本書の極めて実践的なアプローチはとても興味深いものでした。特に、第3章のプライシングの心理学はカーネマン-ツベルスキー流のプロスペクト理論や価格のアンカリングなど、エコノミストにもなじみ深い分野であり、私の理解もはかどった気がします。そして、改めての感想ですが、行動経済学についてはエコノミストの観点ではなく、経営コンサルタントの目から分析した方が効率的な気がします。最後に、いくつか気づいた点ですが、私のプライシングに関する最大の関心のひとつは為替の変動と輸出価格付けの対応だったんですが、本書ではそれはありませんでした。その昔は、例えば、円安になれば外貨建ての価格を引き下げて数量を稼ぐ、という企業行動だったのが、最近時点では、円安になっても外貨建ての価格を変更せず、従って数量の増加を求めるのではなく円建ての売上げを伸ばす、という方向に企業行動が変化しているのではないか、と言われています。そのあたりの評価、というか、どう見るかを知りたかった気がしますが、本書の見方を私なりに敷衍すると、最近時点での外貨建ての価格を変更して数量を求めるのではなく円建ての売上げを伸ばす、という方向を評価するような気がします。企業にとって、右下がりの需要曲線から生じる消費者余剰をセグメント化された価格付けによって、いかにして企業サイドに取り込むか、の観点が重要という事実も理解できます。

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次に、保阪正康『ナショナリズムの昭和』(幻戯書房) です。著者はよく判らないながら、日本近代史に関するノンフィクション作家ということのようで、研究者ではないと本書にも記されてあります。本書は文藝春秋の『諸君!』に連載されていた論考を取りまとめて加筆修正して単行本にしています。700ページほどありますが、それほど中身が充実しているわけでもありません。重複している部分も少なくないですし、ダラダラと文章が続いている印象もあります。本書で著者は独特の視点を披露し、ナショナリズムの上部構造として政府や軍部を措定し、国益・国権・国威を置き、その下部構造として自然との共存、家族、共同体などを置いています。この時点で、「国益」を無批判的に用いていて、たぶん、判ってないんだろうなと私は予想してしまいました。その通りでした。国権はまだ西洋的な枠組ながら国際法の観点から理解できなくもないですが、国益については国内の階層構造や利益関係の中で、どのようにでも定義できますし、外からも見て取ることができます。ここに名ションリズムの本質のひとつがあるのであり、どうとでも取れるカギカッコ付きの「国益」を自己の属する集団などに有利なように解釈して、この作者のいうところの下部構造から支持を引き出し、ナショナルな国益に関する民主主義的な国民からの合意ないままに暴走したのが戦前日本の姿だったという分析は出てきません。逆に、本書では、ファナティックな戦前日本の軍国主義をナショナリズムではないと見ているようです。昭和史についてはそれなりに史料の調べがついているように感じ取れましたが、ナショナリズムに関しては基礎的な文献も目を通していないような印象を持ちました。一部の右派的な人々にはそれなりに受け入れられる論考かもしれませんが、著者本人が研究者ではないと自ら自任する通り、国際的な学界からの評価は得られそうもありません。ボリュームの割には失望感が大きかった気がします。

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次に、西森秀稔・大関真之『量子コンピュータが人工知能を加速する』(日経BP) です。著者は東京工業大学と東北大学の研究者です。早くても今世紀後半といわれてきた量子コンピュータが、カナダのベンチャー企業であるD-Wave社で、実験機や学術用途ではなく、いきなり商用機が開発され、しかも、世間の耳目を集めるにはもってこいというか、NASAやグーグルがそれに乗っかったものですから、ものすごい注目を集めた新技術です。それは、従来から開発途上にあった量子ゲート・コンピュータではなく、量子アニーリング・コンピュータであり、組み合わせの最適解を求めるのに特化した量子コンピュータだそうです。200ページ足らずで割合とガサッとした印刷で文字数も少なく、手軽に読めそうなので借りてしまいましたが、やっぱり、というか、何というか、先週のループ宇宙論と同じでサッパリ理解できませんでした。物理学については高校レベルの古典的なニュートン物理学でも私の理解は怪しいのに、20世紀的なアインシュタインのその先の量子物理学を基にした量子コンピュータなんですから、私が理解できるはずもなかったのかもしれません。取りあえず、最新技術に触れたかもしれない、という誤解に基づく充実した感じを持って読み終えることが出来ました。まあ、それはそれなりにいいもんです。なお、著者のうちの西森教授は量子アニーリングを発案したご本人だそうです。ですから、キチンと本書を読んで理解できれば、どのようにして量子力学で計算するのか、また、どのようにして人工知能、特に機械学習やディープラーニングに量子コンピュータが応用できるのか、そして、どうすれば日本の研究が世界をリードできるか、などなど、画期的な量子コンピュータの計算原理をはじめとして、ひょとしたら理解できるようになる本かもしれません。誠に残念ながら、私にはムリでした。

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次に、柚月裕子『慈雨』(集英社) です。この著者の作品では初期の検事の本懐の佐方シリーズが私は好きで、最近では、この作品の前の1月5日の今年最初の読書感想文で取り上げた短編集『あしたの君へ』もイイセン行っていたように思います。それから比べると、主人公の年齢が行ってしまったのもあるんですが、少し私の興味は後退した気がします。ということで、この作品の主人公は定年退官したばかりの群馬県警の警察官、もちろん、刑事だった警察官です。3月末で退官して6月から四国のお遍路さんを回り始めています。小学1年生の幼女に対する暴行殺人事件、それも、定年退官した後に発生した on-going の事件と、16年前のもう裁判すら終了して犯人と目された人物が服役している事件を結びつけて、後者が冤罪ではないかという可能性が生じ、娘の恋人、というか、ほとんど婚約者直前の元部下の刑事を通じて、夫婦で四国のお遍路さんを続けながらも、現在進行形の方の事件を解決に導く、というストーリーです。警察官として、だけでなく、家庭の夫として、娘の父親として、そして、何よりも善良で正直で正義感強いひとりの人間として、何が正しくて、でも、警察という組織の犠牲にすべきかどうか、を考え抜いた上での決断の過程を描き出しています。でも、ややストーリーのつながりや謎解きなんかも平板で、佐方シリーズや直近の『あしたの君へ』のような深みには欠ける気がします。でも、真っ正直で清々しい人生であることは確かです。そのような、というか、やや青臭いところもあるような正直で真面目な人生をよしとする人向けかもしれません。逆に、腹黒い人には向きません。

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次に、岡本隆司『中国の論理』(中公新書) です。著者は京都大学出身の東洋史学の研究者です。世間的には嫌中一色で、本書あとがきで著者も「中国・中国人が好きか、嫌いか、と聞かれれば、嫌いだ、と答えるだろう。」と書いています。日本とは尖閣諸島で、フィリピンやベトナムとも領土問題をかかえ、日本でも「爆買い」で潤っているごく一部の人を除けば、本書の著者のように「嫌い」と答える人が少なくないかもしれません。他方、地理的条件からどうしようもなくも隣国なわけであり、それなりのおつきあいが求められることも事実です。その嫌われかねない中国の論理を歴史的に明らかにしようと試みたのが本書であり、あらゆる場面に顔を出す二分法=ディコトミにその原因を求めているように見受けられます。すなわち、国内においては士と庶、あるいは、官と民であり、国外においては華と夷なわけで、いわゆる中華思想に基づき、日本のような夷は中国の風下にあるべき、との近代以降の世界ではとても通用しそうもない「中国の論理」を振りかざしているわけです。しかも、著者によれば、その昔の君主独裁制から立憲共和制へ、三民主義からマルクス主義へ、計画経済から市場経済へと変化しても、底流では脈々と続いているということで、歴史的に中国人に深く刻み込まれた思考回路なのかもしれません。それでも、少し前までは成金国家として、かつての日本と同じように勝手な振る舞いが部分的には許容されていましたし、現在でも我が国では「爆買い」を有り難がる人は少なくないような気がしますが、今や、中進国の罠にとらわれて成長率も大きく鈍化し、我が国でも「爆買い」の伸びがストップするのも間近かと見なされています。民主主義体制が整っていない現状では先進国とも見なし難く、かといって、核戦力をはじめとする軍事力では周辺諸国から見て無視しがたい実力があるともいえます。いずれにせよ、引っ越しのできないお隣さんですから、日本としては被害を最小限にくい止めつつ、それなりのおつきあいを願う、ということになるんだろうと思います。

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最後に、ピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』(文春文庫) です。パリ警視庁のカミーユ・ヴェルーヴェン警部を主人公とするシリーズ3部作の最終編です。私も『その女アレックス』、『悲しみのイレーヌ』と読み継いで来てこの作者の3冊目です。ただし、原書と邦訳では出版順が違っており、原書では『悲しみのイレーヌ』が先で、『その女アレックス』が後の出版なんですが、邦訳は当然ながら意図的に1-2冊めの順を入れ替えています。でも、この『傷だらけのカミーユ』が3部作の締めくくりであることは違いがありません。ということで、とても出来のいいミステリです。『悲しみのイレーヌ』で妻を失ってから5年後という設定で、当然パリのど真ん中を舞台にします。ヴェルーヴェン警部の恋人が強盗事件に巻き込まれ瀕死の重傷を負い、しかも強盗犯人の顔を見たためなのか、命を付け狙われてしまいます。彼女を守るためヴェルーヴェン警部は警察の上司や判事にもハッタリをかませつつ、かなり独断で犯人を追います。その過程で、次々と新たな事実が浮かび上がっていく、というストーリでーで、とても大仕掛けなどんでん返しが待っています。
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2017年02月04日 (土) 08:11:00

米国雇用統計の雇用者増はアッとびっくりの+227千人増で利上げをサポートか?

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+227千人増と、前月の+157千人増や市場の事前コンセンサスの+175千人増を大きく上回りました。ただ、失業率はさすがに前月から0.1%ポイント上がって4.8%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の7パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. economy creates robust 227,000 jobs in January; unemployment rate remains low at 4.8%
The labor market started the year strong, adding a robust 227,000 net new jobs last month while more people began looking for work, the Labor Department said Friday.
Although the January job growth figure exceeded expectations - and was the best since September - that was somewhat offset by a downward revision of job growth the previous two months by 39,000.
Those changes meant job growth averaged 187,000 for 2016 and that President Trump is inheriting a solid labor market.
The unemployment rate last month inched up a tenth of a percentage point to 4.8%, but that wasn’t bad news.
The uptick was caused by 76,000 more people looking for work. The percentage of working-age Americans in the force increased to 62.9%. That was the best level since September, though still near a 40-year low.
But wage growth remained a concern. Average hourly earnings were up 3 cents to $26 last month, down from December’s strong 6-cent increase. For the 12 months ended Jan. 31, wages increased 2.5%.
The slowdown in wage growth came even though worker pay got a boost last month because minimum wage increases kicked in on Jan. 1 in 19 states, either through automatic cost-of-living bumps or scheduled changes passed by voters or lawmakers.


この後、さらにカリフォルニア州の雇用情勢や産業別の分析などなどが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、雇用者増が前月差で+200千人を超えたのは4か月ぶりで、改定後の昨年2016年12月が+157千人増、そして、市場の事前コンセンサスも+200千人増には届かない、というふうに私は聞いていましたので、ちょっとびっくりの大幅増でした。トランプ大統領の重視するメインストリームの製造業も、12月の+11千人増に続いて、わずかながら1月も+5千人増を記録しています。小売り業も+45.9千人増と堅調な個人消費を反映しているようですし、引き続き、ヘルスケアも+32.1千人増を示しています。米国連邦準備制度理事会(FED)の公開市場委員会(FOMC)は今週半ばの1月31日から2月1日にかけて開催されていて、年初の利上げは見送られていますが、ちょうど1か月後の3月3日に公表される米国雇用統計を見た上で、3月14-15日に開催される次回FOMCで利上げが議論される可能性も出てきたと私は受け止めています。ただ、引用した記事の最後のパラで触れられている通り、FEDのイエレン議長は下のグラフの賃金の伸びも重視していると報じられており、今後の動向が気にかかるところです。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象ですが、それでも、12月の前年比上昇率は+2.9%を記録し、2009年6月以来7年半振りの高い伸びを示しています。1月の+2.5%も底堅い気がしますし、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ政権の経済政策次第では上昇率が加速する可能性もなしとしません。
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2017年02月03日 (金) 19:38:00

2月13日に公表予定の10-12月期1次QE予想やいかに?

今週に入ってほぼ必要な統計が出そろい、さ来週月曜日の2月13日に昨年2016年10-12月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定です。シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の今年1-3月期以降を重視して拾おうとしています。しかしながら、明示的に取り上げているシンクタンクは、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研であり、この5機関については、やや長めに先行き予想をリポートから引用しています。ほかはアッサリとヘッドラインの成長率だけの引用です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.6%)
2017年1-3月期を展望すると、①在庫調整の進展を受けた製造業の生産活動の持ち直しや、②株価の上昇などを背景とした消費者マインドの改善が、景気下支えに作用。昨年11月に成立した2016年度第2次補正予算の執行に伴い、公共投資も増加に転じるとみられることから、景気回復基調が持続する見込み。もっとも、トランプ米新大統領が打ち出す政策や、英国のEU離脱、欧州大陸諸国の選挙など、海外の政治動向は不透明感が強く、マーケットの変動などが景気を下押しするリスクには注意が必要。
大和総研+0.1%
(+0.6%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。ただし、先行きも内需が力強さを欠くことが見込まれる中、長期的には外需の動向にこれまで以上に警戒しておく必要があるだろう。
米国では、Fedが2016年12月に利上げを実施し、2017年に入ってからも引き続き利上げが実施される可能性がある。加えて、米トランプ大統領がTPPからの撤退、NAFTAの再交渉・脱退を宣言するなど、米国が保護貿易主義に転換しつつある点は周知のとおりだ。後述するように、世界経済は緩やかな成長を続けると見ているが、米国の通商政策の転換を機に、世界経済の先行き不透明感が強まることとなれば、外需主導で成長する日本経済を下押しするリスク要因となるだろう。
みずほ総研+0.2%
(+1.0%)
2017年の日本経済について展望すると、輸出・設備投資を中心に、景気回復が続くと見込まれる。
上述した海外経済の回復(ITサイクルの改善や中国・鉱工業セクターの持ち直し、資源国経済の底入れ)が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、設備投資の押し上げ要因になるとみられる。他方、個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くものの、年半ばにかけて見込まれるエネルギー価格の上昇が下押し要因となるだろう。
日本の景気回復に水を差しかねない要因として、海外の政治・経済情勢を巡る不透明性が上げられる。最大のリスクは、トランプ政権の保護主義姿勢の行方であろう。特に、為替の円安批判を強める可能性や、「国境税」が導入された場合のグローバル・サプライチェーンを通じた日本の生産への波及が懸念される。また、欧州の政治情勢や中国の共産党大会後の経済運営を巡っても、不確実性は高い。2017年は、メインシナリオとしては景気回復が見込まれるものの、こうした下振れリスクが顕在化した場合の影響は大きいため、世界の政治情勢に注意が必要だ。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.6%)
2016年10-12月期は7-9月期に続き外需主導のプラス成長となったが、国内需要は横ばい圏の動きが続いている。2017年1-3月期は円安、海外経済回復の追い風を受けて輸出は増加を続けるものの、輸入の伸びも高まることから外需による成長率の押し上げ幅は縮小するだろう。
一方、国内需要は2016年度第2次補正予算の顕在化から公的固定資本形成が増加に転じるが、住宅投資が減少に転じることに加え、エネルギーを中心とした物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しすることなどから、国内需要は低い伸びにとどまること見込まれる。現時点では、17年1-3月期の実質GDPはプラス成長と確保するものの、10-12月期に比べれば伸びは鈍化すると予想している。
第一生命経済研+0.4%
(+1.5%)
先行きについても、輸出の増加が続く可能性が高いことに加え、企業収益の持ち直しを受けた設備投資の回復、景気対策効果の顕在化といった押し上げが期待されるところだ。10-12月期の個人消費を下押しした生鮮食品の値上がりについても、足元では落ち着きをみせている。トランプ大統領の政策への不透明感は強いものの、メインシナリオとしては日本経済の着実な景気回復を見込んでおいて良いだろう。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.4%)
国内民間需要は個人消費が緩やかな拡大、設備投資は概ね横ばいにとどまる中で住宅投資の落ち込みにより前期比でマイナスが続き、専ら輸出の拡大が成長を支える姿は変わらず、日本経済は持ち直しつつあるも回復力は未だ弱いという評価になる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.7%
(+2.9%)
10-12月期の実質GDP成長率を前期比年率2.9%と予想する。16年1-3月期以降、4四半期連続のプラス成長となり、かつ成長ペースは7-9月期の年率1.3%から大幅に加速する見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.1%)
2月13日に内閣府から公表される2016年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%(年率換算+1.1%)と4四半期連続でプラスとなったと見込まれる。景気が持ち直していることを確認する結果となろう。
三菱総研+0.1%
(+0.4%)
実質GDP成長率は、4四半期連続のプラス成長となるが、10-12月期は内需の減少が足を引っ張り、前期に比べ成長率は鈍化する見込み。


ほぼ、どのシンクタンクでもプラス成長を予想しており、2016年は4四半期連続でプラス成長の可能性が示唆されています。また、足元の1-3月期についても、緩やかな回復が継続しているとの認識がほぼほぼ全機関のリポートで示されており、景気の回復は緩やかながら続いている可能性が高いと受け止めています。ただし、いくつかのヘッドラインで引用しておきましたが、トランプ米国大統領の閉鎖的な通帳政策や為替政策、あるいは、英国のEU離脱=BREXITや大陸欧州の国政選挙における政治情勢など、経済の自律的な動向ではなく海外発の経済外要因でのリスクの懸念が何とも不気味です。昨年2016年10-12月期については、特に、外需の寄与が大きいと見込まれているだけに、国内需要のさらなる回復を前に海外需要が先に腰折れするようなことになる可能性が心配です。エコノミストには何やら見通しがたい要因だけに、逆に、不透明感が高まりかねないところです。なお、先日のブログで商業販売統計を取り上げた際に、消費はゼロ近傍と結論しましたが、上の表で取り上げた範囲では、日本総研と大和総研と三菱総研がマイナス、みずほ総研とニッセイ基礎研と伊藤忠経済研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングがプラス、第一生命経済研と三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所がゼロ、と見方が分かれてしまいました。何とも言い難い結果です。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2017年02月02日 (木) 20:11:00

基調判断が半ノッチ引き上げられた消費者態度指数やいかに?

本日、内閣府から1月の消費者態度指数が公表されています。前月比+2.2ポイント上昇の43.1を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の消費者態度指数、4カ月ぶり判断上げ 「持ち直しの動きがみられる」
内閣府が2日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の43.2だった。大幅上昇した昨年12月に続き、東京五輪開催が決まった2013年9月(45.4)以来3年4カ月ぶりの高水準。雇用環境の改善が続いていることが寄与した。前月を上回ったのは2カ月連続で、内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「持ち直しの動きがみられる」に引き上げた。上方修正は4カ月ぶり。
指数を構成する4つの指標のうち、「雇用環境」が改善した。高い有効求人倍率や低い失業率の好影響が出た。「耐久消費財の買い時判断」と「暮らし向き」は横ばいだったが高水準を保った。「収入の増え方」は悪化した。1年後の物価見通しは「上昇する」と答えた比率(原数値)は前月より0.7ポイント高い74.9%だった。
調査基準日はトランプ米大統領が就任する前にあたる1月15日、内閣府は「あまり影響が出てこない時期の調査だった」とみている。全国8400世帯が対象で、有効回答数は5633世帯、回答率は67.1%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフからも明らかな通り、昨年2016年11月に秋口の天候不順で野菜価格が高騰したり、米国大統領選挙でトランプ大統領が当選したりと、いろいろなショックがあって落ち込んだ一時期を除けば、ここ2年余りはトレンドとしては消費者マインドは改善を示して来たように感じます。すなわち、2014年4月の消費増税からその年の12月の39.2と翌2015年1月の39.3あたりを底にして、直近統計の2017年1月の43.2まで、緩やかに消費者態度指数が改善を続けて来たのが上のグラフから読み取れるかと思います。特に、1月統計については、引用した記事にもある通り、雇用環境の改善が寄与しています。消費者態度指数の4つのコンポーネントのうち、暮らし向きと耐久消費財の買い時判断については前月から横ばいを示し、収入の増え方については前月差でマイナスだったんですが、雇用環境のプラスが大きく、消費者態度指数全体として前月から上昇という結果になっています。これも引用した記事にある通り、これらを総合して、統計作成官庁である内閣府では基調判断を半ノッチ引き上げて、「持ち直しのテンポが緩やか」から「持ち直し」に修正しています。先月のこの統計公表時には、トランプ効果であればサステイナブルではなく一過性の可能性を指摘しましたが、私の杞憂だったかもしれません。

今日発表の消費者態度指数が需要サイドのマインドの代表とすれば、来週は供給サイドのマインドの代表である景気ウォッチャーの結果が明らかにされます。景気ウォッチャーも昨年2016年7月以降の年後半でかなり改善を示しており、足元の景気の回復とともに、需給どちらのマインドも持ち直しています。今日の夕刊を見ると、経団連の榊原会長と連合の神津会長が都内で会談し今年の春季労使交渉が本格的に始まった旨の報道がありました。マインドの回復とともに、賃金の上昇により消費の活性化が待たれる段階に達したようです。
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2017年01月31日 (火) 19:32:00

増産が続く鉱工業生産指数と完全雇用に近い雇用統計と日銀の「展望リポート」を考える!

本日、経済産業省から12月の鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比+0.5%の増産、失業率は3.1%と前月と変わらず、有効求人倍率は前月からさらに0.02ポイント上昇して1.43を記録しています。生産は増産を続け、雇用はかなり完全雇用に近い状態にあります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、12月は0.5%上昇 10-12月は2.0%上昇
経済産業省が31日発表した12月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比0.5%上昇の100.4となり2カ月連続で上昇した。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(0.3%)より伸び率は大きかった。軽自動車や小型車など乗用車が新型車の投入もあり好調だった。化粧品なども春向けの新商品の生産が伸びた。経産省は生産の基調判断を2カ月連続で「持ち直しの動き」に据え置いた。10-12月は前期比2.0%上昇の99.6だった。
12月の生産指数は15業種のうち12業種が前月から上昇し、2業種が低下した。横ばいは1業種だった。輸送機械工業が2.0%上昇。化学工業も1.8%上昇した。一方で情報通信機械工業が10.7%の低下、はん用・生産用・業務用機械工業も0.4%低下した。
出荷指数は前月比0.3%低下の99.0だった。在庫指数は0.2%上昇の107.1、在庫率指数は0.9%上昇の108.8だった。
1月の製造工業生産予測指数は前月比3.0%の上昇となった。中国などアジアでスマートフォン向け部品や大型液晶などが好調で電子部品・デバイス工業が堅調に推移する。はん用・生産用・業務用機械工業なども伸びる見通しだ。予測指数は計画値での集計であるため実際より上振れしやすいため、経産省では実際の上昇率は0.5%程度になると予想している。
16年の求人倍率1.36倍、25年ぶり高水準
失業率は3.1%に改善

厚生労働省が31日発表した2016年の有効求人倍率は1.36倍と前年比0.16ポイント上昇し、1991年(1.40倍)以来25年ぶりの高水準となった。総務省が発表した16年の完全失業率は3.1%と0.3ポイント改善し、94年(2.9%)以来22年ぶりの低さ。バブル末期並みの雇用情勢だが、景気の緩やかな回復に加え、少子高齢化で人手不足感が強まっている面がある。
有効求人倍率の改善は7年連続。雇用の先行指標とされる新規求人倍率も2.04倍と91年以来の高水準となった。業種別の新規求人数をみると、教育・学習支援業(8.9%増)や医療・福祉業(7.1%増)などが目立った。
完全失業者数は208万人と14万人減少した。就業者数は6440万人と、前年に比べ64万人増加した。15-64歳の人口に占める就業者の割合は16年平均で74.3%で、比較可能な68年以降過去最高の水準だ。
内訳をみると男性が17万人増だったのに対し、女性は47万人増加した。年齢別にみると15-64歳の27万人増に対し、65歳以上は37万人増えた。15-64歳の生産年齢人口は16年は7633万人で、10年前と比べると771万人減った。今まで働いていなかった高齢者や女性が働き始めたことが雇用情勢の改善につながっている。
同時に発表した16年12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.43倍だった。91年7月以来25年5カ月ぶりの高水準だった。正社員の有効求人倍率は0.92倍と過去最高で、就業地別の有効求人倍率は9カ月連続で全都道府県で1倍を上回った。12月の失業率(同)は3.1%と前月と同じだった。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「年内にも2%台に突入する可能性が高い」と指摘する。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、かなり長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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生産については、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で+0.3%増でしたから、やや上振れたとはいうものの、ほぼジャストミートした気がします。ただし、季節調整済みの系列の前月比で見て、出荷が減少し在庫が増加する結果となっていますが、ならしてみれば、生産と出荷が増加基調、在庫水準も低下基調と私は受け止めています。加えて、製造工業生産予測調査でも1-2月の増産が見込まれていますから、先行きも緩やかな増産を私は予想しています。12月統計については、自動車本体や部品の生産が好調だったほか、アジアで組み立てるスマートフォン向けなどの電子部品の生産も伸びており、我が国が比較優位ある製品の生産が増加しており、イレギュラーな受注が入ったのではなく、本来のいい形の増産と考えるべきです。また、先行きについても、米国のトランプ政権の見通しがたい通商政策を別にすれば、ようやく、というか、何というか、2014年4月の消費増税直前の駆け込み需要の反動が3年を経過してそろそろ剥落する部分が出始める時期を迎えるとともに、2011年3月まで続いた家電エコポイント制度により購入された白物家電などが買い替えサイクルを迎えつつあるとの見方もあり、耐久消費財の先行きに期待を持って注目しています。

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四半期データが利用可能になりましたので、上のように在庫循環図を書いてみました。ピンク矢印の2013年1-3月期から始まって、黄緑矢印の直近の2016年10-12月期までです。2002年12月の月例経済報告の参考資料である「鉱工業の在庫循環図と概念図」に従えば、45度線を下から上に切りましたので、機械的に見ると、景気は谷を過ぎて上昇局面に入ったことになります。出荷が増加して在庫調整が進んでいる段階です。

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引用した記事では、ついついメディアの報道のクセとして、雇用統計については年統計を重視していたりしますが、月次の景気動向として上のグラフを見て、遅行指標の失業率は横ばいながら、景気一致指標の有効求人倍率はさらに上昇し、先行指標の新規求人も増加を続けています。かなり完全雇用に近い印象を受けるんですが、それでも賃金が上がりません。それどころか、リクルートジョブズの調査による「2016年12月度派遣スタッフ募集時平均時給調査」では、派遣職員の時給が下がり始めていたりします。ということは、かなり完全雇用に近いながら完全雇用ではないんだろうと、私は考えを改めるに至りました。最近読んだ日経センターの『激論 マイナス金利政策』の影響もあります。そして、賃金が上がらないのは、引用した記事にもある通り、最近時点で労働市場に参入したのが中年女性と高齢男性であり、ともに非正規職員として賃金が低い職種への参入が多いんではないかと想像しています。その意味で、雇用の改善のすそ野が広がって、正規職員というか、安定した高収入の職、ILO のいうところの decent job が増加しているのかどうかは、まだ疑わしいのかもしれません。私の知り合いのエコノミストの中には、今年中に失業率は3%を割り込んで2%台に入るとの主張を持つ人もいますし、現状の労働需給はかなりタイトであるとはいえ、決して完全雇用に達したという意味ではないことを確認しておきたいと思います。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 2016年度+1.2~+1.5
<+1.4>
▲0.2~▲0.1
<▲0.2>
 10月時点の見通し+0.8~+1.0
<+1.0>
▲0.3~▲0.1
<▲0.1>
 2017年度+1.3~+1.6
<+1.5>
+0.8~+1.6
<+1.5>
 10月時点の見通し+1.0~+1.5
<+1.3>
+0.6~+1.6
<+1.5>
 2018年度+1.0~+1.2
<+1.1>
+0.9~+1.9
<+1.7>
 10月時点の見通し+0.8~+1.0
<+0.9>
+0.9~+1.9
<+1.7>


最後に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合ですが、金融政策は現状維持、というか、追加緩和なしで終了しました。上のテーブルは「展望リポート」の基本的見解から2016-2018年度の政策委員の大勢見通しを引用しています。昨年10月時点からはかなり上方修正されたんですが、インフレ目標である+2%の達成は、引き続き、「見通し期間の終盤(2018年度頃)」とされています。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。
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2017年01月30日 (月) 19:39:00

天候要因で季節商品に売れ行き不振あるものの商業販売統計に見る消費は回復のモメンタム!

本日、経済産業省から12月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.6%増の13兆4330億円と、引き続き、景気回復の兆しがうかがえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

16年の小売販売額、0.6%減 2年連続で減少 12月は0.6%増
経済産業省が30日発表した2016年の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は0.6%減の139兆8550億円だった。前年割れは2年連続。原油安による石油製品の価格下落で、燃料小売業の販売額が減少した。百貨店の衣料品販売の低迷も響いた。百貨店は3.3%減、スーパーは1.1%増、コンビニエンスストアは4.1%増だった。
16年12月の小売業販売額は前年同月比0.6%増の13兆4330億円と2カ月連続で前年実績を上回った。季節調整済みの前月比では1.7%減だった。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では新車販売が好調な自動車小売業が5.9%増加した。原油価格の持ち直しで燃料小売業は1.0%増となり、14年9月以来27カ月ぶりにプラスに転じた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.2%減の2兆675億円だった。気温上昇で冬物衣料品の販売が振るわず百貨店は2.6%減、スーパーは0.4%減だった。コンビニエンスストアの販売額は3.7%増の1兆75億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期です。

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季節調整済みの統計の前月比で見て、自動車小売業は11月の▲2.2%減から12月は+0.6%増に転じたものの、天候がかなり高温を記録したため、一部の業種で季節商品の売れ行き不振が見られました。すなわち、織物・衣服・身の回り品小売業が11月+1.3%増から、気温が高かったため冬物衣料の販売不振で12月は▲5.2%減となったほか、機械器具小売業も暖房機器の販売不振などにより11月の+5.4%増から、12月は▲4.3%減を記録しています。これらの業種別の前月比や上のグラフの下のパネルを見ても理解できる通り、12月の小売業販売額は季節調整済みの系列の前月比で、▲1.7%の減少を示しましたが、経済産業省による小売業販売額の基調判断の資料によれば、後方3か月移動平均で前月比は+0.3%の増加を記録しており、まだモメンタムは増加の方向にあるとして、基調判断は「持ち直し」で据え置かれています。天候要因も含めて、四半期ベースで小売業販売額をならして見ると、季節調整済みの系列の前期比では、7-9月期の+1.0%増に続いて、10-12月期も+1.9%増と着実な回復を見せています。

経済産業省による商業販売統計は物価の上昇を考慮しない名目統計なんですが、実質の家計支出も統計として公表される総務省統計局の家計調査が12月統計は明日の公表となっています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは季節調整していない原系列の実質支出の前年同月比で▲0.6%減となっていますし、10-11月の家計調査の実績を見る限り、かなりのマイナスを記録しており、なかなか消費の傾向を見るのが難しくなっているんですが、2月13日に内閣府から公表予定の10-12月期GDP統計では、実質消費は前期比でゼロ近傍ではないかと私は見込んでいます。明日の鉱工業生産指数や雇用統計、家計調査などが公表されると、10-12月期のGDP統計1次QEの予想がいっせいに明らかになると考えられますので、日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年01月27日 (金) 21:31:00

消費者物価指数(CPI)はそろそろゼロからプラス領域に達するか?

本日、総務省統計局から昨年2016年12月の消費者物価指数(CPI)が公表されています。生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は▲0.2%と10か月連続でマイナスに落ち込んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

16年消費者物価、4年ぶりマイナス 原油安響く
総務省が27日発表した2016年の全国消費者物価指数(CPI、15年=100)は値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.7と前の年と比べ0.3%下落した。下落は4年ぶり。原油安による電気代やガソリン価格の低下が響いた。同時に公表した16年12月は99.8と前年同月比0.2%の下落だった。
食料・エネルギーを除く「コアコア」の指数は100.3と前の年に比べ0.3%上昇した。宿泊料が2.3%、外国パック旅行費も4.9%それぞれ上がり、教養娯楽の指数が上昇した。衣料1.6%上がったことなども寄与した。生鮮食品を含む総合は99.9と0.1%下落した。生鮮食品を除く総合では全体の64.8%にあたる339品目が上昇、138品目が下落した。横ばいは46品目だった。
16年12月の生鮮食品を除く総合は10カ月連続で下落した。電気代が6.5%低下したことや携帯電話機の下落から通信が2.9%のマイナスになったことが下押しした。生鮮食品を含む総合は3カ月連続でプラスになった。トマトが61.9%上昇するなど生鮮野菜の高騰が続いていることが影響した。ガソリン指数が2年1カ月ぶりに前年同月を上回るなど価格上昇も後押しした。
東京都区部の1月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.1と、前年同月比で0.3%下落した。下落は11カ月連続。都市ガス代の低下などが響いた。生鮮食品を含む総合は99.5と前月に比べ0.1%上昇した。前年同月に価格が低下していたたまごやパン、めんつゆなど生鮮食品を除く食料が寄与した。
総務省は併せて17年1月分から新指数「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を公表することを明らかにした。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。なお、最近になって発見したんですが、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではコアCPIで見て前年同月比▲0.3%の下落でしたが、統計の実績では▲0.2%でしたし、春ころにはゼロないしプラスに転ずると見込むエコノミストが多そうな気がします。しかし、私はそう単純ではなかろうと受け止めています。というのも、石油価格下落の直接の影響はかなりの程度に剥落したんですが、他方で、その波及が間接的に現れている可能性がアチコチに見受けられるからです。例えば、直接の影響を見るとして、全国のコアCPI前年同月比上昇率に対する寄与度ベースで、エネルギーはもっともマイナスが大きかったという意味で直近のボトムは2016年3月の▲1.13%から、最新統計の12月には▲0.34%まで、ほぼ+0.8%ポイントの押し上げ要因となっていますが、逆に、コア財寄与度は2016年2月の+0.29%から12月には▲0.08%まで、▲0.4%ポイント近くの押し下げ要因となっており、エネルギー価格の下落率縮小の半分くらいを相殺してしまっています。同時に、食料は2016年2-3月の+0.42%から12月には+0.12%まで寄与度が縮小しており、これも▲0.3%ポイント押し下げ要因となっています。エネルギーの物価押上げ寄与度をコア財と食料でかなりの程度に相殺してしまっているわけですから、上のグラフに見られる通り、青い折れ線グラフのコアCPI上昇率のマイナス幅が縮小している一方で、食料とエネルギーを除くコアコアCPIの上昇率のプラス幅も大きく縮小し、上昇率がゼロに近づいているのが見て取れます。基本的には、年央までにコアCPI上昇率はゼロないしプラス領域に達する可能性が高いと私も考えていますが、国際商品市況における石油価格下落の影響の剥落が、エネルギー価格の下落をストップさせる一方で、ラグを伴ったエネルギー価格低下の波及効果がコア財に現れ始めており、石油価格にシンクロした物価上昇につながるという単純な構図ではないことは留意しておくべきでしょう。

最後に、3月3日公表の2017年1月の全国CPIから、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」指数の公表を開始すると、総務省統計局のサイトで明らかにされています。世間一般では、生鮮食品を除く総合をコアCPIと称して、広く参照されているところですが、新たな指標の公表に伴い、世間一般がどのように対応するかを見極めつつ、私のこのブログでも考えたいと思います。要するに、まあ、世間一般に従おうかと考えているわけです。
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2017年01月26日 (木) 21:22:00

3年連続でプラスの上昇を続ける企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか!

本日、日銀から昨年2016年12月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.4%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.4%と、小幅ながら前月統計から上昇率が拡大しています。でも、誤差範囲かもしれません。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格指数の上昇率、12月は0.4% 16年は0.3%に縮小
日銀が26日発表した2016年12月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)速報値は103.4で、前年同月比0.4%上昇した。42カ月連続で前年を上回り、上昇率は11月確報値の0.3%から拡大した。前月比でも0.1%上昇した。燃料価格の上昇や為替の円安を受けて運輸関連の料金が上がったことなどが寄与した。
運輸関連では燃料費の上昇分が転嫁された。外貨建てで料金契約する外航貨物では、円安で円ベースの価格が上昇した。道路貨物・旅客ではバス運転手不足による人件費の上昇も料金を押し上げている。企業活動の活発化で東京など大都市圏のオフィス賃料も上昇しているという。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは52、下落した品目は55だった。上昇と下落の品目数の差は下落が13品目多かった11月から縮小した。日銀の調査統計局によると「人手や設備が不足する中でサービス価格も緩やかな上昇基調が続いている」としている。
同時に発表した16年通年の指数(2010年=100、速報値)は103.0で15年から0.3%上昇した。上昇は3年連続だが、伸び率は15年(1.1%上昇)から縮小した。世界的な荷動きの停滞や燃料価格の低迷による運輸関連の料金低迷で全体の上昇率が抑えられた。
一方、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」などの関連ソフトの受託開発や訪日外国人の増加に伴う宿泊サービスなどが全体を下支えした。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、前年同月比の上昇プラスが続いていますが、極めて小幅なレンジでの変動であり、もともと物価は粘着性が強いわけで、どこまで統計的に有意な差で変動しているのかどうかは不明です。言い換えれば、測定誤差の可能性も否定できませんし、統計的な有意性のレンジを広げれば、ひょっとすれば実はマイナス、という可能性も、いちユーザである私のレベルでは否定できかねます。
かなり強い膠着状態にあった企業向けサービス物価ながら、前年同月比の11月から12月への前月差を見ると、ひとつには、国際商品市況における石油価格の上昇や円安を受けた運輸関係価格の上昇、というか、下落幅の縮小が寄与しています。もうひとつは、リースと不動産です。こちらは企業活動が活発な方向に向かう中での価格上昇と考えられます。ただ、広告については、新聞や雑誌などの媒体の広告が前年同月比マイナスを続けているのに対して、テレビとインターネットはプラスとなっており、媒体で少し差が出ています。もう少し長い目で見れば、サービス価格の構成比で人件費は無視できませんので、人手不足に伴う価格上昇が下支えする構図は変わらないと考えています。
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2017年01月25日 (水) 19:29:00

堅調に伸びる輸出を背景に黒字を続ける我が国貿易の先行きリスクやいかに?

本日、財務省から昨年2016年12月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+5.4%増の6兆6790億円、輸入額は▲2.6%減の6兆375億円、差引き貿易収支は+6414億円の黒字を計上しています。なお、2016年通年の貿易収支は4兆741億円の黒字で、貿易黒字は6年振りです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

16年の貿易黒字、4兆741億円 原油安で6年ぶり黒字
財務省が25日発表した2016年の貿易収支は4兆741億円の黒字(前年は2兆7916億円の赤字)だった。6年ぶりに黒字に転じた。原油や液化天然ガス(LNG)の価格下落で輸入額が前年を大幅に下回った。
16年通年の輸出額は前年比7.4%減の70兆392億円だった。輸出為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=108円95銭と前の年と比べ10.0%の円高となり、円建ての輸出額を押し下げた。品目別では韓国や台湾向けの鉄鋼などが減少した。輸入額は15.9%減の65兆9651億円だった。原粗油は32.4%減、LNGは40.4%減だった。
併せて発表した16年12月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6414億円の黒字(前年同月は1389億円の黒字)だった。貿易黒字は4カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2900億円の黒字だった。
16年12月の輸出額は前年同月比5.4%増の6兆6790億円だった。米国向けの自動車部品などが伸びた。自動車部品やスマートフォン(スマホ)用に電気回路などの機器が増加し中国への輸出額は単月として過去最大の1兆3013億円となった。輸入額は2.6%減の6兆375億円だった。


いつもの通り、年統計に重点が置かれているものの、まずまず包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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グラフから明らかに読み取れる通り、輸出入とも2016年年央に反転上昇局面に入っており、その中で2016年を通じて貿易は輸出が輸入を上回って黒字を計上しています。もちろん、報道で指摘されている通り、基本的には国際商品市況における石油価格の低迷に伴う輸入の減少が大きな要因であり、同時に輸出も停滞しているわけですから、パッと見では縮小均衡のように見えるのも確かです。ただし、我が国の輸出について、少なくとも最近時点では、後に詳しく見る通り、数量ベースで拡大を示しているのも事実です。季節調整済みの系列で見て、輸出額の直近のボトムは昨年2016年7月の5.66兆円であり、今日公表の12月統計では6.17兆円まで回復を示している一方で、輸入額のボトムは昨年2016年8月の5.33兆円と輸出額とは1か月ズレるものの、ほぼ昨年年央をボトムに、12月統計では5.81兆円まで増加しています。また、貿易収支も季節調整済みの系列では一昨年2015年11月から14か月連続で黒字を計上しており、最近数か月ではほぼ+3000-4000億円レベルの黒字を記録しています。かつて、サブプライム・バブル崩壊前のように月次で1兆円を超えるような貿易黒字を記録する勢いで輸出が増加する局面ではないと考えていますが、米国をはじめとして世界経済の緩やかな回復とともに、所得要因から我が国の輸出が伸びて貿易黒字を記録している、というのが私の印象です。ところが、先週就任したばかりのトランプ米国大統領は私とは異なる印象を持っているようで、我が国の貿易が黒字を計上している点をもって、何らかの貿易摩擦の火種を見つけ出そうとする可能性も否定できません。私は1990年代半ばのクリントン政権期に日米包括協議の交渉に引っ張り出されて、ある意味では、とても貴重な体験をしましたが、報道などを見る限り、またまた、貿易や通商に関して日米交渉が再開される可能性も報じられているところ、昨日の東証では自動車会社が軒並み株価を下げましたし、我が国貿易の先行きはやや不透明感が漂っている気がします。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。我が国の輸出額についてはここ数か月で数量が主導して急速な回復を示しているのが見て取れます。下の2枚のパネルから、OECD加盟の先進国向けの輸出数量は回復が緩やかなものの、中国向けについて季節調整していない原系列の輸出指数の前年同月比で見て、2016年11月+16.0%増の後、12月には+20.6%と急速な増加を示しています。この大きな伸びがどこまで持続可能なものかは不透明ながら、どうも、世界経済の回復・拡大に伴って我が国の輸出も伸びを高める局面に潮目が変わりつつあるのが見て取れるんではないかと思います。ただし、中期的には米国の通商政策の制約を受ける可能性は否定できません。

貿易をはじめとして、我が国経済の先行きのリスク要因としてもっとも大きいのは為替である、とこのブログなどを通じて私は指摘し続けて来ましたが、米国の通商政策という新たな制約条件が加わる中で、世界経済の回復・拡大とともに我が国の輸出も短期的には増加の方向にあると考えられるものの、逆に、好調に貿易黒字を計上すれば米国の通商政策による制約条件も強まる可能性も残されており、目先はともかく、中期的な先行き不透明感はまだ払拭されていないのかもしれません。例えば、引用した記事にもある通り、2016年の対世界全体の我が国の貿易黒字は+4.07兆である一方で、実は、対米黒字は+6.83兆に上っており、米国以外では▲3兆円近い赤字、例えば、対中国では▲4.65兆円の赤字を計上しながら、それを上回る対米黒字で補っている勘定ですから、この対米貿易黒字はトランプ新政権から見れば米国内の雇用を奪っているように見えかねない危険はあります。
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2017年01月24日 (火) 21:22:00

トランプ政権下で米国における影響力を増す人々はどういったグループと見られているのか?

トランプ米国大統領が先週金曜日に就任式を終えたばかりですが、その就任式前の調査ながら、ピュー・リサーチ・センターから1月18日付けで、トランプ政権下でどういったグループが影響力を増すか、などにつき、Public Sees Wealthy People, Corporations Gaining Influence in Trump Era と題する世論調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ピュー・リサーチのサイトからリポートのサマリーの役目を果たしているように見える最初の3パラを引用すると以下の通りです。

As President-elect Donald Trump prepares to take office, the public has starkly different expectations about which groups in society will gain influence - and those that will lose influence - under his administration.
Nearly two-thirds of Americans (64%) say wealthy people will gain influence in Washington when Trump takes office. Just 8% say they will lose influence, while 27% expect the wealthy will not be affected.
In addition, about half of the public thinks whites (51%), men (51%) and conservative Christians (52%) will gain influence. Relatively small shares (no more than 15%) think any of these groups will lose clout in a Trump administration.


経済的な話題ではないかもしれませんが、新しい米国大統領の就任はエコノミストとしても注目されるところであり、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Majorities expect the wealthy to gain influence - and the poor to lose influence - with Trump as president を引用しています。影響力を増しそうに考えられているのは、富裕層(64%)、保守的なキリスト教徒(52%)、白人と男性(ともに51%)、などであり、逆に、ヒスパニック(56%)や貧困層(55%)、あるいは、同性愛者(54%)は影響力を減じると見られています。面白いのは、あなたのような国民(People like yourself)は影響力を増す(27%)よりも減じる(40%)可能性の方が高いと考えられている点です。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Most Americans think corporations and the military will increase influence with Trump in the White House を引用しています。主として、組織や団体を見ているわけです。企業(74%)や軍(64%)が影響力を増す一方で、環境保護団体(60%)や労働組合(54%)が影響力を減じると見られています。まあ、これも妥当な気がします。前のグラフと結合させてしまった方がよかったかもしれません。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Views about which groups will increase influence are similar for Trump as for Bush, but fewer expect children, older people, blacks to gain under Trump を引用しています。クリントン政権以降の歴代の大統領の傾向を見ているわけです。民主党の大統領と共和党の大統領が交互に並んでいるので一目瞭然なんですが、特に直近で前のオバマ前大統領と現在のトランプ大統領を比較すると、企業や軍が影響力を増す一方で、若年層と貧困層と黒人、あるいは、環境保護団体などがトランプ政権下では影響力を低下させると見られているのが明らかです。もちろん、こういった傾向は同じ共和党のブッシュ元大統領との比較でも同様なんですが、国民の目から見て、トランプ大統領の政権下ではさらにこういった共和党的な影響力のスウィングの度合いが大きい、と見られていることも確かです。
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2017年01月23日 (月) 21:26:00

今週末から始まる春節における訪日中国人消費動向予測やいかに?

今週末の1月28日から中華圏の春節が始まり、通例であれば、1月27日から2月2日までの7日間がお休みらしいんですが、個の春節を前に1月18日付けで、トレンドExpressから訪日予定の中国人によるSNS上のクチコミをもとに、春節の時期における訪日中国人の消費動向予測が明らかにされています。一時の「爆買い」はかなり下火になったものの、春節の季節の中国人観光客の消費動向はまだまだ興味あるところ、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、トレンドExpressのサイトから 2017年春節「行きたい」書き込み集計ランキング を引用しています。上位5位までは定番の都道府県がランクインする一方で、昨年の国慶節に比べ6位に広島県が、9位に福井県が食い込み、行き先の多様化が見られています。引き続き、関西圏の人気が高い一方で、東京都が順位を伸ばしているのは、初訪日の中国人観光客が増加している可能性があると分析しています。なお、広島県についての具体的な投稿を見ると、海・山などの自然、厳島神社の世界遺産などの観光資源やカキやお好み焼きなどのグルメに加え、アイドルコンサートや歴史に関する言及など多岐に渡り関心を集めていますし、福井県については寿司や越前蟹などについての書き込みが多く、グルメに注目が集まっていると指摘しています。

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次に、上のグラフは、トレンドExpressのサイトから 2017年春節に日本でしたいことランキング を引用しています。何といっても、買い物がトップでしたが、2位の雪や5位のスキーなどの季節要因も無視できません。なお、アクティビティのスキーよりも鑑賞の雪を見るが上位だったことから、SNSに写真を投稿することが好きな中国人の嗜好が指摘されています。買い物については図表はありませんが、1位化粧品、2位ベビー用品、3位健康食品・サプリメント、4位医薬品、5位生活用品など、引き続きドラッグストアが繁盛しそうなランキングです。ただし、9位の餅つきが初ランクインしていますが、中国では餅は蒸して成型し作るため、杵と臼を用いた餅つきは日本独自の文化と見なされているようですし、さらに最近の傾向として、いわゆるモノ消費ではないコト消費として、日本文化の体験が人気を集めており、10位以下にも民宿とかカプセルホテルに泊まりたい、あるいは、利き酒をしたい、日本料理を作りたいなどが上げられている、と指摘しています。

いわゆるビッグデータの分析の一種と見えなくもないんですが、この週末から始まる春節における訪日中国人観光客の動向をどこまで捉えられているのか、とても興味深いものがありました。
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2017年01月20日 (金) 22:06:00

トランプ効果でエコノミスト誌のビッグマック指数はどう動いたか?

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最新号のエコノミスト誌で為替の購買力平価の一種であるビッグマック指数が明らかにされています。エコノミスト誌のサイトから引用した画像は上の通り、昨年来のトランプ次期米国大統領への政策期待から生じているドル高を反映しているようです。下のフラッシュもエコノミスト誌のサイトに直リンしていたりします。



諸般の事情により、これだけです。週末前の軽い経済の話題でした。
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2017年01月19日 (木) 21:37:00

Oxfamによる格差に関する2017年版報告書「99%のための経済」やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、今週月曜日の1月16日に、世界経済フォーラムのダボス会議に先がけて、Oxfamから格差問題に関する最新の報告書「99%のための経済」An Economy for the 99% が明らかにされています。もちろん、pdfのリポートもアップされています。いくつかのメディアでは、Oxfamのプレスリリース「たった8人のトップ富裕者が世界の下位半分36億人と同じ資産を保有している」Just 8 men own same wealth as half the world をキャリーしているのを私も見かけました。まず、リポートの表紙から概要を引用すると以下の通りです。

An Economy for the 99%
New estimates show that just eight men own the same wealth as the poorest half of the world. As growth benefits the richest, the rest of society - especially the poorest - suffers. The very design of our economies and the principles of our economics have taken us to this extreme, unsustainable and unjust point. Our economy must stop excessively rewarding those at the top and start working for all people. Accountable and visionary governments, businesses that work in the interests of workers and producers, a valued environment, women's rights and a strong system of fair taxation, are central to this more human economy.


このパラグラフを見て、格差是正のために雇用の確保、環境の保護、女性の権利の尊重、公平な税制などのいくつかの主張も理解できるんですが、私の興味の範囲ながら、リポートからいくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のテーブルは、リポート p.11 にある Box 1: Oxfam's wealth inequality calculations から Table 1: Share of wealth across the poorest 50% of the global population を引用しています。このブログの昨年2016年11月28日付けのエントリーで取り上げたところですが、クレディ・スイス証券から明らかにされている世界の富裕層の資産保有に関するリポート The Global Wealth Report 2016 などから試算を行っており、2014年1月時点ではトップ富裕者85人が世界の下位半分と同じ額の資産を保有しているとしていたところ、2015年10月時点では世界の富裕層1%とそうでない99%の資産額がほぼ等しいとの試算結果を得て、その時点では下位半分の資産が占める割合は0.7%だったものが、2016年データではさらに格差が広がり、世界の下位半分の資産はわずかに0.2%にしかならず、世界の富裕者上位8人とほぼ同額となったとの試算結果を明らかにしています。

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次に、上のグラフは、リポート p.16 から Figure 2: Apple minimizes material and labour costs to maximize its profits (Apple iPhone 2010) を引用しています。最新ではないんですが、2010年の iPhone 4 のコスト構造について、"Capturing Value in Global Networks: Apple's iPad and iPhone" と題する米国の研究者の学術論文から引用・再構成しています。労働者に支払われるのはわずがに5%余りに過ぎない一方で、Appleの利益は60%近くに達しています。賃金が上がらない反面、企業が内部留保を溜め込んで、配当や株価に反映して株主の利益となったり、ストック・オプションで経営者の懐を潤わしたりしているのが読み取れるデータです。日本企業も少なからず、同じような企業行動を取っていると私は考えています。

ここ数年で日本のみならず世界経済における格差や不平等は急速に拡大を見せています。Oxfamに指摘されるまでもなく、政府が取り組むべき優先順位の高い経済課題といえます。
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2017年01月18日 (水) 19:34:00

ダボス会議が始まり、世界経済フォーラム Grobal Risks Report 2017 やいかに?

遅ればせながら、なんですが、世界経済フォーラムの主宰するダボス会議が昨日1月17日から始まっており、その前段階で1月11日に Grobal Risks Report 2017 が明らかにされています。景気回復のペースが歴史的に鈍化していることを指摘しつつ、いくつかのリスクについて分析います。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、Grobal Risks Report 2017 からヘッドラインともいうべき The Global Risks Landscape 2017 のグラフを引用すると上の通りです。例年と同じように、横軸が発生の蓋然性、縦軸がダメージですから、右上に位置するほぼ一般的に「危ない」ということになり、左下はそれほどでもない、というように解釈できようかと思います。ですから、異常気象や自然災害が発生の蓋然性が高く、しかもインパクト大きいリスクとして認識されています。マーカが緑色なのは環境問題のカテゴリです。ほかに、社会問題のカテゴリを表す赤いマーカの難民問題、地政学のカテゴリのオレンジ色のマーカのテロリストの攻撃、技術問題のカテゴリを示す紫色のマーカのサイバー攻撃などが目立っています。他方、経済問題のカテゴリである青いマーカでは雇用問題や金融危機などが見受けられますが、先ほどのいくつかのリスクに比べてやや後景に退いているような印象です。

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次に、というか、最後に、同じく Grobal Risks Report 2017 p.44 から Figure 3.1.1: Perceived Benefits and Negative Consequences of 12 Emerging Technologies を引用すると上の通りです。技術進歩の光と影、と言いましょうか、横軸が利益、縦軸が否定的な結果をもたらす確率となっており、このグラフで言えば、右下に位置するほど利益が大きく否定的な影響が少ない、ということになり、逆は左上に位置すれば利益が少ない割にはリスクが大きく、また、右上に位置すれば「諸刃の剣」的に利益も大きいがリスクも大きく、まあ、少し言葉は違うかもしれませんが、ハイリスク・ハイリターン型の技術と考えてよさそうです。そして、最初のカテゴリ、すなわち、利益が大きくリスクが小さい典型はエネルギの採掘・保存・輸送となっています。シェール革命などが念頭にあるのかもしれません。そして、左上の利益が少ない割には危ない技術の典型がジオエンジニアリング、地球工学と称されることもありますが、私は専門外ながら、降雨をもたらしたりする技術ではないかと思います。よく知りません。そして、「諸刃の剣」型の危ないが利益も大きそうな技術の典型が人工知能(AI)とロボットであろうと示唆されています。まあ、そうなんでしょうね。うまく使えれば大きな利益が見込める一方で、雇用が奪われるだけでなく、もっと、何と言うか、現時点では予想もつかないタイプの不都合が生ずる可能性もあります。

ダボス会議は1月20日までの予定だそうです。
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2017年01月17日 (火) 19:26:00

国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update やいかに?

昨日1月16日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update が公表されています。ヘッドラインとなる世界の経済成長率見通しは、前回の昨年2016年10月時点から変更なく今年2017年+3.4%、来年2018年+3.6%と見込まれています。そのうちの日本経済の成長率は、2017年は前回から+0.2%ポイント上方改定され+0.8%と、来年2018年は+0.5%と見通されています。まず、IMFのリポートから最初のページのポイントを4点引用すると以下の通りです。

A Shifting Global Economic Landscape
  • After a lackluster outturn in 2016, economic activity is projected to pick up pace in 2017 and 2018, especially in emerging market and developing economies. However, there is a wide dispersion of possible outcomes around the projections, given uncertainty surrounding the policy stance of the incoming U.S. administration and its global ramifications. The assumptions underpinning the forecast should be more specific by the time of the April 2017 World Economic Outlook, as more clarity emerges on U.S. policies and their implications for the global economy.
  • With these caveats, aggregate growth estimates and projections for 2016-18 remain unchanged relative to the October 2016 World Economic Outlook. The outlook for advanced economies has improved for 2017-18, reflecting somewhat stronger activity in the second half of 2016 as well as a projected fiscal stimulus in the United States. Growth prospects have marginally worsened for emerging market and developing economies, where financial conditions have generally tightened. Near-term growth prospects were revised up for China, due to expected policy stimulus, but were revised down for a number of other large economies-most notably India, Brazil, and Mexico.
  • This forecast is based on the assumption of a changing policy mix under a new administration in the United States and its global spillovers. Staff now project some near-term fiscal stimulus and a less gradual normalization of monetary policy. This projection is consistent with the steepening U.S. yield curve, the rise in equity prices, and the sizable appreciation of the U.S. dollar since the November 8 election. This WEO forecast also incorporates a firming of oil prices following the agreement among OPEC members and several other major producers to limit supply.
  • While the balance of risks is viewed as being to the downside, there are also upside risks to near-term growth. Specifically, global activity could accelerate more strongly if policy stimulus turns out to be larger than currently projected in the United States or China. Notable negative risks to activity include a possible shift toward inward-looking policy platforms and protectionism, a sharper than expected tightening in global financial conditions that could interact with balance sheet weaknesses in parts of the euro area and in some emerging market economies, increased geopolitical tensions, and a more severe slowdown in China.


1ページ丸ごと引用しましたので、とても長くなりましたが、次に、IMFのブログから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。やや愛想なしですので、いつもの通り、画像をクリックするとpdfのリポートのうちの最後の7ページ目の Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出したpdfファイルが別タブで開くようになっています。

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ということで、新興国や途上国を含めて、世界経済は2016年の成長率3.1%に比較して2017年は3.4%、さらに2018年には3.6%と成長率が年を追って緩やかに加速すると見込まれています。特に、米国では景気刺激策の採用により成長率が加速し、米国からの波及効果も見込めるんですが、現時点ではトランプ次期米国政権の政策動向がまだ不確定なので、詳細は4月の次回見通しで示す予定と表明されています。ただ、米国新政権の政策動向を勘案して、ラテンアメリカのメキシコとブラジルでは成長率は昨年10月時点の見通しから下方修正されており、特に、自動車産業の工場移転の取り止めなどからメキシコ経済への下押し圧力が強まっていることを織り込んでいます。我が国については、2008SNAの導入と国民経済計算の基準改定によって過去の成長率が上振れしたことや足元の経済の動向が好調であることなどから、今年2017年の成長率をわずかながら上方改定しています。
先行きリスクとしては、全体として下方リスクの方が大きいものの、米中の景気刺激策に伴う上方リスクも考えられるとしつつ、その下方リスクは、何といっても、米国新政権の内向き政策や保護主義の高まりなどが上げられており、米国の金利上昇が世界経済、特に、ユーロ圏と新興国の金融市場にバランスシートの脆弱性をもたらす可能性があると懸念を明らかにしており、中国の景気減速の深まりもリスクとして上げられています。従って、経済政策としては、引き続き、緩和的な金融政策とともに、財政余力ある場合は財政政策による弱者保護と中長期的な成長期待引上げのための支援が上げられると指摘しています。もちろん、貿易の保護仕儀に対する懸念もにじませています。

次に、目を国内経済に転じると、同じ1月16日に日銀から「地域経済報告」、いわゆる「さくらリポート」が明らかにされています。地域ごとの景気判断を見ると、全国9ブロックのうち、東北、関東甲信越、東海の3ブロックで引き上げられ、残る6ブロックは据え置かれています。以下のテーブルの通りです。

 2016年10月判断前回との比較2017年1月判断
北海道緩やかに回復している緩やかに回復している
東北生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
北陸一部に鈍さがみられるものの、回復を続けている回復を続けている
関東甲信越輸出・生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
東海幾分ペースを鈍化させつつも緩やかに拡大している緩やかに拡大している
近畿緩やかに回復している緩やかに回復している
中国緩やかに回復している緩やかに回復している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄熊本地震の影響が和らぐもとで、緩やかに回復している緩やかに回復している


地域ごとに景気判断が全体としてやや上向きに修正されていますから、景気拡大が地方にも広がっていることが実感されます。なお、前回の2016年10月リポートではトピックとしてインバウンド観光が取り上げられていましたが、今回のリポートでは住宅投資の動向と関連企業等の対応状況に焦点が当てられています。それから、どうでもいいことながら、政府で毎月出している「月例経済報告」というのがあり、いわゆる「月例文学」と称されるビミョーな言い回しが見られるんですが、日銀が出すリポートもご同様な気がします。景気回復に付される「緩やか」という形容詞ないし副詞は判らないでもないんですが、私も「緩やかに回復している」と「緩やかな回復を続けている」の違いは理解不能です。
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2017年01月16日 (月) 21:21:00

大きく減少した機械受注とマイナス幅が着実に縮小する企業物価(PPI)!

本日、内閣府から11月の機械受注が、また、日銀から12月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。機械受注は変動の激しい船舶と電力を除くコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比▲5.1%減の8337億円を記録し、企業物価はヘッドラインの国内物価上昇率は前年同月比で▲1.2%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、11月5.1%減 非製造業が落ち込む
内閣府が16日発表した11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月比5.1%減の8337億円だった。2カ月ぶりに減った。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(2.0%減)を下回った。先月に大きく伸びた非製造業が落ち込んだ。製造業は増加したものの補えなかった。
機械受注の基調判断は、過去3カ月の動向を踏まえ「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業からの受注額は9.8%増の3635億円と4カ月ぶりに増加した。半導体製造装置や電子計算機が伸びた電気機械が68.0%増えた。原子力原動機などが好調だった非鉄金属は4.4倍になった。
非製造業からの受注額は9.4%減の4834億円と2カ月ぶりに減った。その他非製造業は前月の反動減が出て16.1%減少。鉄道車両や通信機が落ち込んだ運輸業・郵便業も12.5%減と振るわなかった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は前年同月比10.4%増だった。内閣府は10-12月期見通しを前期比5.9%減としている。10-11月の実績を踏まえると、12月実績が前月比11.0%減で達成できる。内閣府は「四半期見通しを上回りそう」との見方を示した。
12月の企業物価指数 前年比1.2%下落 下落幅は7カ月連続縮小
日銀が16日に発表した2016年12月の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は99.7で、前年同月比で1.2%下落した。前年同月比の下落は21カ月連続だが、下げ幅は7カ月連続で縮小した。円安進行や原油など国際商品価格の上昇で、企業物価には下げ止まり感が強まっている。
前月比では0.6%上昇した。石油輸出国機構(OPEC)の減産合意による原油需給の引き締まり観測や米国と中国の財政拡大期待を背景に、原油や銅地金などの非鉄金属の国際相場が上昇したことが影響した。
円ベースの輸出物価は前年同月比で1.8%下落、前月比で5.3%上昇した。輸入物価は前年同月比で2.8%下落、前月比で4.9%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち前年同月比で下落したのは478品目、上昇は250品目だった。下落と上昇の品目差は228品目で、11月の確報値(264品目)から縮小した。
日銀調査統計局は「トランプ次期政権の財政政策や中国の環境規制の行方に不透明感が強く、国際商品市況や為替相場の先行きが商品価格に与える影響を慎重に見極めないといけない」としている。
同時に発表した16年平均の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は99.2で前年比は3.4%下落した。中国などの新興国の経済減速を背景にした国際商品価格の低迷が響いた。市場予想よりも米国の利上げペースが鈍化し、為替相場が円高・ドル安基調だったことも輸入品の価格下落を通じた企業物価の押し下げ要因となった。16年の平均円相場は1ドル=108.84円と15年比で12円21銭の円高・ドル安だった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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機械受注については、引用した記事にもある通り、コア機械受注が日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの前月比▲2%減よりさらに減少幅が大きく出ています。もともと、10月統計で+4.1%とジャンプした反動が表れることは容易に想像されていたんですが、円安や株高が現れる前のトランプ次期米国大統領当選の初期ショック、すなわち、貿易制限的な政策に対する反応なのかもしれない、と考えてみたところ、どうも違う気がします。というのは、製造業で伸びて非製造業で減少を示しているからです。ですから、11月統計の機械受注は外的ショックとは大きな関係なく、自律的な動向を示している可能性も十分ありますし、私はそう見ています。結果として、10月に増加し11月に減少したわけで、もともと変動の激しい統計ですから、上のグラフのように移動平均で見るようにすべきであり、そのグラフではまだ太線の移動平均ラインは増勢を保っているように見えます。ただし、コア機械受注の外数ながら、外需と官公需は大きな増加を示しています。為替動向と経済政策動向に基づく増加であり、外需はコア機械受注の先行指標と見なされていることからも、機械受注の先行きを占う上で、決して悲観視する必要はないものと受け止めています。すなわち、11月統計については、減少幅を見れば悲観的な見方も出る可能性はありますが、それ相応に底堅い動きであると私は見ています。ですから、基本的なラインとしては、横ばいに近いながらも機械受注は増勢を保持する可能性が高いと考えています。

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次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。上の2つのパネルで影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、企業物価(PPI)上昇率はここ数か月でかなりマイナス幅を縮小させています。すなわち、ヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率で見て、2016年5月が直近のボトムで▲4.4%の下落を示した後、7月までは▲4%台だったんですが、8-9月は▲3%台に下落幅を縮小させ、10-11月は▲2%台、そして、12月はとうとう▲1.2%を記録して、11月統計から一気に1%ポイントも下落幅を縮小させました。国際商品市況の石油価格と為替動向が大きな要因であり、ここ数か月で画期的に需給バランスが改善したと考えるエコノミストは少ない気がしますが、デフレ脱却に向けた動きは着実に進んでいると私は受け止めています。従って、企業物価(PPI)でも、消費者物価(CPI)でも、今年中にはマイナスを脱却する可能性が高いと私は予想しているんですが、日銀のインフレ目標である2%に達するためには、単に国際商品市況とか為替だけでなく、需給ギャップの改善も併せて、景気回復の動きを強める必要がありそうな気がします。
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2017年01月12日 (木) 20:41:00

やや停滞を示す景気ウォッチャーと順調に黒字を続ける経常収支!

本日、内閣府から12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から11月の経常収支が、それぞれ公表されています。季節調整済みの系列で見て、景気ウォッチャーの現状判断DIは前月比横ばいの51.4を、また、先行き判断DIは前月比▲0.4ポイント低下の50.9を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆4155億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の街角景気、現状判断指数横ばい 先行きは6カ月ぶり悪化
内閣府が12日発表した2016年12月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整値)は51.4と前月比横ばいだった。内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」で据え置いた。
部門別にみると、企業動向と雇用が上昇した半面、家計動向が低下した。企業動向では、製造業と非製造業ともに上昇した。街角では「自動車メーカーの生産が堅調で、取引先の部品メーカーの受注も安定してきている」(東海・金融)との声があった。一方、家計動向では小売りと住宅が低下。「相変わらず低調な状態は続いている」(九州・一般小売店)という。
2-3カ月後の先行きを聞いた先行き判断指数(季節調整値)は、前月から0.4ポイント低下の50.9だった。悪化は6カ月ぶり。家計動向と企業動向が低下した。企業では「鋼材の値上がりが予想され、価格転嫁が遅れる分だけ収益が落ち込む」(近畿・金属製品製造業)との声が聞かれた。家計では「1月に就任する米国の次期大統領の言動が気にかかる」(東北・スーパー)との見方もあった。
11月の経常収支、1兆4155億円の黒字 07年以来9年ぶり高水準
財務省が12日発表した2016年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆4155億円の黒字だった。前年同月に比べて3095億円黒字幅を拡大した。黒字は29カ月連続。11月としては2007年(1兆6678億円の黒字)以来9年ぶりの黒字額となった。原油安と円高を背景に貿易収支が黒字転換したことなどが寄与した。
貿易収支は3134億円の黒字(前年同期は3041億円の赤字)だった。原油や液化天然ガス(LNG)など燃料価格の下落で輸入額が5兆5770億円と10.7%減少。円高で外貨建ての円換算の輸入額も目減りした。自動車や鉄鋼の低迷で輸出額も5兆8904億円と0.8%減少したが、輸入の落ち込みが上回った。
サービス収支は738億円の黒字(前年同期は603億円の黒字)だった。「その他業務サービス」で大口の受け取りがあった。旅行収支は訪日外国人の1人あたりの消費額減少で黒字幅を縮小した。
第1次所得収支は1兆2032億円の黒字だった。円高で企業が海外事業への投資で受け取る配当金や証券投資からの収益が目減りし、前年同月(1兆5338億円の黒字)から黒字幅を縮小した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは家計動向関連で下がった一方で、企業動向関連では製造業・非製造業ともに上昇を示しています。ただ、家計動向関連でも、小売関連が低下した一方で、飲食関連とサービス関連は上昇しています。また、企業動向関連の中でも、ともに上昇ながら、製造業よりも非製造業の方が上昇幅が大きくなっています。なかなかに複雑な動きを示しており、年末12月ですから仕方ないところではありますが、極めて大雑把に考えると、家計についても企業についても、モノの物販よりもサービスの方に重点があったのかもしれません。ただ、前月比マイナスの家計動向関連ながら、雇用関連は引き続きプラスですし、全体のDIの水準もこの統計にしてはめずらしく50を2か月連続で超えるという高い水準にあります。ですから、私としては大きな懸念は持っていません。先行き動向DIは家計動向関連だけでなく、企業動向関連も前月比マイナスとなったため、全体でも前月から低下を示しましたが、先行きでも雇用関連はかなり強含みで推移しています。現状判断DIが停滞を示し、先行き判断DIが低下したのは、国際商品市況における石油価格などの上昇に連動して、国内でも燃油価格などコストの上昇が目に見える形で発生し始めた影響ではないかと私は想像しています。石油価格は上がっても下がっても、日本経済にいろんな影響を及ぼすようです。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれませんが、経常収支についてもほぼ震災前の水準に戻った、と私は受け止めています。なお、為替相場はトランプ効果でかなり円安が進んだように感じられますが、財務省のサイトによれば、インターバンクのドル・円相場は1ドル当たり108.18円と、前年同月の122.54円から11.7%の円高となっています。また、原油価格もドルベースでは1バレル当たり49.08ドルで前年同月比で見て+3.3%の上昇なんですが、円高で相殺されて円ベースではキロリットル当たり32,412円と▲10.5%の下落だったりします。ただ、上のグラフの黒い棒に見られるように、こういった為替相場や原油価格の動向ながら、貿易収支は急速に黒字化の方向に向かっているように見受けられます。
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2017年01月11日 (水) 23:29:00

President Obama's Farewell Address



Hello Chicago!

It's good to be home. My fellow Americans, Michelle and I have been so touched by all the well-wishes we've received over the past few weeks. But tonight it's my turn to say thanks. Whether we've seen eye-to-eye or rarely agreed at all, my conversations with you, the American people - in living rooms and schools; at farms and on factory floors; at diners and on distant outposts - are what have kept me honest, kept me inspired, and kept me going. Every day, I learned from you. You made me a better President, and you made me a better man.

I first came to Chicago when I was in my early twenties, still trying to figure out who I was; still searching for a purpose to my life. It was in neighborhoods not far from here where I began working with church groups in the shadows of closed steel mills. It was on these streets where I witnessed the power of faith, and the quiet dignity of working people in the face of struggle and loss. This is where I learned that change only happens when ordinary people get involved, get engaged, and come together to demand it.

After eight years as your President, I still believe that. And it's not just my belief. It's the beating heart of our American idea - our bold experiment in self-government.

It's the conviction that we are all created equal, endowed by our Creator with certain unalienable rights, among them life, liberty, and the pursuit of happiness.

It's the insistence that these rights, while self-evident, have never been self-executing; that We, the People, through the instrument of our democracy, can form a more perfect union.

This is the great gift our Founders gave us. The freedom to chase our individual dreams through our sweat, toil, and imagination - and the imperative to strive together as well, to achieve a greater good.

For 240 years, our nation's call to citizenship has given work and purpose to each new generation. It's what led patriots to choose republic over tyranny, pioneers to trek west, slaves to brave that makeshift railroad to freedom. It's what pulled immigrants and refugees across oceans and the Rio Grande, pushed women to reach for the ballot, powered workers to organize. It's why GIs gave their lives at Omaha Beach and Iwo Jima; Iraq and Afghanistan - and why men and women from Selma to Stonewall were prepared to give theirs as well.

So that's what we mean when we say America is exceptional. Not that our nation has been flawless from the start, but that we have shown the capacity to change, and make life better for those who follow.

Yes, our progress has been uneven. The work of democracy has always been hard, contentious and sometimes bloody. For every two steps forward, it often feels we take one step back. But the long sweep of America has been defined by forward motion, a constant widening of our founding creed to embrace all, and not just some.

If I had told you eight years ago that America would reverse a great recession, reboot our auto industry, and unleash the longest stretch of job creation in our history . if I had told you that we would open up a new chapter with the Cuban people, shut down Iran's nuclear weapons program without firing a shot, and take out the mastermind of 9/11 . if I had told you that we would win marriage equality, and secure the right to health insurance for another 20 million of our fellow citizens - you might have said our sights were set a little too high.

But that's what we did. That's what you did. You were the change. You answered people's hopes, and because of you, by almost every measure, America is a better, stronger place than it was when we started.

In ten days, the world will witness a hallmark of our democracy: the peaceful transfer of power from one freely-elected president to the next. I committed to President-Elect Trump that my administration would ensure the smoothest possible transition, just as President Bush did for me. Because it's up to all of us to make sure our government can help us meet the many challenges we still face.

We have what we need to do so. After all, we remain the wealthiest, most powerful, and most respected nation on Earth. Our youth and drive, our diversity and openness, our boundless capacity for risk and reinvention mean that the future should be ours.

But that potential will be realized only if our democracy works. Only if our politics reflects the decency of the people. Only if all of us, regardless of our party affiliation or particular interest, help restore the sense of common purpose that we so badly need right now.

That's what I want to focus on tonight - the state of our democracy.

Understand, democracy does not require uniformity. Our founders quarreled and compromised, and expected us to do the same. But they knew that democracy does require a basic sense of solidarity - the idea that for all our outward differences, we are all in this together; that we rise or fall as one.

There have been moments throughout our history that threatened to rupture that solidarity. The beginning of this century has been one of those times. A shrinking world, growing inequality; demographic change and the specter of terrorism - these forces haven't just tested our security and prosperity, but our democracy as well. And how we meet these challenges to our democracy will determine our ability to educate our kids, and create good jobs, and protect our homeland.

In other words, it will determine our future.

Our democracy won't work without a sense that everyone has economic opportunity. Today, the economy is growing again; wages, incomes, home values, and retirement accounts are rising again; poverty is falling again. The wealthy are paying a fairer share of taxes even as the stock market shatters records. The unemployment rate is near a ten-year low. The uninsured rate has never, ever been lower. Health care costs are rising at the slowest rate in fifty years. And if anyone can put together a plan that is demonstrably better than the improvements we've made to our health care system - that covers as many people at less cost - I will publicly support it.

That, after all, is why we serve - to make people's lives better, not worse.

But for all the real progress we've made, we know it's not enough. Our economy doesn't work as well or grow as fast when a few prosper at the expense of a growing middle class. But stark inequality is also corrosive to our democratic principles. While the top one percent has amassed a bigger share of wealth and income, too many families, in inner cities and rural counties, have been left behind - the laid-off factory worker; the waitress and health care worker who struggle to pay the bills - convinced that the game is fixed against them, that their government only serves the interests of the powerful - a recipe for more cynicism and polarization in our politics.

There are no quick fixes to this long-term trend. I agree that our trade should be fair and not just free. But the next wave of economic dislocation won't come from overseas. It will come from the relentless pace of automation that makes many good, middle-class jobs obsolete.

And so we must forge a new social compact - to guarantee all our kids the education they need; to give workers the power to unionize for better wages; to update the social safety net to reflect the way we live now and make more reforms to the tax code so corporations and individuals who reap the most from the new economy don't avoid their obligations to the country that's made their success possible. We can argue about how to best achieve these goals. But we can't be complacent about the goals themselves. For if we don't create opportunity for all people, the disaffection and division that has stalled our progress will only sharpen in years to come.

There's a second threat to our democracy - one as old as our nation itself. After my election, there was talk of a post-racial America. Such a vision, however well-intended, was never realistic. For race remains a potent and often divisive force in our society. I've lived long enough to know that race relations are better than they were ten, or twenty, or thirty years ago - you can see it not just in statistics, but in the attitudes of young Americans across the political spectrum.

But we're not where we need to be. All of us have more work to do. After all, if every economic issue is framed as a struggle between a hardworking white middle class and undeserving minorities, then workers of all shades will be left fighting for scraps while the wealthy withdraw further into their private enclaves. If we decline to invest in the children of immigrants, just because they don't look like us, we diminish the prospects of our own children - because those brown kids will represent a larger share of America's workforce. And our economy doesn't have to be a zero-sum game. Last year, incomes rose for all races, all age groups, for men and for women.

Going forward, we must uphold laws against discrimination - in hiring, in housing, in education and the criminal justice system. That's what our Constitution and highest ideals require. But laws alone won't be enough. Hearts must change. If our democracy is to work in this increasingly diverse nation, each one of us must try to heed the advice of one of the great characters in American fiction, Atticus Finch, who said "You never really understand a person until you consider things from his point of view.until you climb into his skin and walk around in it."

For blacks and other minorities, it means tying our own struggles for justice to the challenges that a lot of people in this country face - the refugee, the immigrant, the rural poor, the transgender American, and also the middle-aged white man who from the outside may seem like he's got all the advantages, but who's seen his world upended by economic, cultural, and technological change.

For white Americans, it means acknowledging that the effects of slavery and Jim Crow didn't suddenly vanish in the '60s; that when minority groups voice discontent, they're not just engaging in reverse racism or practicing political correctness; that when they wage peaceful protest, they're not demanding special treatment, but the equal treatment our Founders promised.

For native-born Americans, it means reminding ourselves that the stereotypes about immigrants today were said, almost word for word, about the Irish, Italians, and Poles. America wasn't weakened by the presence of these newcomers; they embraced this nation's creed, and it was strengthened.

So regardless of the station we occupy; we have to try harder; to start with the premise that each of our fellow citizens loves this country just as much as we do; that they value hard work and family like we do; that their children are just as curious and hopeful and worthy of love as our own.

None of this is easy. For too many of us, it's become safer to retreat into our own bubbles, whether in our neighborhoods or college campuses or places of worship or our social media feeds, surrounded by people who look like us and share the same political outlook and never challenge our assumptions. The rise of naked partisanship, increasing economic and regional stratification, the splintering of our media into a channel for every taste - all this makes this great sorting seem natural, even inevitable. And increasingly, we become so secure in our bubbles that we accept only information, whether true or not, that fits our opinions, instead of basing our opinions on the evidence that's out there.

This trend represents a third threat to our democracy. Politics is a battle of ideas; in the course of a healthy debate, we'll prioritize different goals, and the different means of reaching them. But without some common baseline of facts; without a willingness to admit new information, and concede that your opponent is making a fair point, and that science and reason matter, we'll keep talking past each other, making common ground and compromise impossible.

Isn't that part of what makes politics so dispiriting? How can elected officials rage about deficits when we propose to spend money on preschool for kids, but not when we're cutting taxes for corporations? How do we excuse ethical lapses in our own party, but pounce when the other party does the same thing? It's not just dishonest, this selective sorting of the facts; it's self-defeating. Because as my mother used to tell me, reality has a way of catching up with you.

Take the challenge of climate change. In just eight years, we've halved our dependence on foreign oil, doubled our renewable energy, and led the world to an agreement that has the promise to save this planet. But without bolder action, our children won't have time to debate the existence of climate change; they'll be busy dealing with its effects: environmental disasters, economic disruptions, and waves of climate refugees seeking sanctuary.

Now, we can and should argue about the best approach to the problem. But to simply deny the problem not only betrays future generations; it betrays the essential spirit of innovation and practical problem-solving that guided our Founders.

It's that spirit, born of the Enlightenment, that made us an economic powerhouse - the spirit that took flight at Kitty Hawk and Cape Canaveral; the spirit that that cures disease and put a computer in every pocket.

It's that spirit - a faith in reason, and enterprise, and the primacy of right over might, that allowed us to resist the lure of fascism and tyranny during the Great Depression, and build a post-World War II order with other democracies, an order based not just on military power or national affiliations but on principles - the rule of law, human rights, freedoms of religion, speech, assembly, and an independent press.

That order is now being challenged - first by violent fanatics who claim to speak for Islam; more recently by autocrats in foreign capitals who see free markets, open democracies, and civil society itself as a threat to their power. The peril each poses to our democracy is more far-reaching than a car bomb or a missile. It represents the fear of change; the fear of people who look or speak or pray differently; a contempt for the rule of law that holds leaders accountable; an intolerance of dissent and free thought; a belief that the sword or the gun or the bomb or propaganda machine is the ultimate arbiter of what's true and what's right.

Because of the extraordinary courage of our men and women in uniform, and the intelligence officers, law enforcement, and diplomats who support them, no foreign terrorist organization has successfully planned and executed an attack on our homeland these past eight years; and although Boston and Orlando remind us of how dangerous radicalization can be, our law enforcement agencies are more effective and vigilant than ever. We've taken out tens of thousands of terrorists - including Osama bin Laden. The global coalition we're leading against ISIL has taken out their leaders, and taken away about half their territory. ISIL will be destroyed, and no one who threatens America will ever be safe. To all who serve, it has been the honor of my lifetime to be your Commander-in-Chief.

But protecting our way of life requires more than our military. Democracy can buckle when we give in to fear. So just as we, as citizens, must remain vigilant against external aggression, we must guard against a weakening of the values that make us who we are. That's why, for the past eight years, I've worked to put the fight against terrorism on a firm legal footing. That's why we've ended torture, worked to close Gitmo, and reform our laws governing surveillance to protect privacy and civil liberties. That's why I reject discrimination against Muslim Americans. That's why we cannot withdraw from global fights - to expand democracy, and human rights, women's rights, and LGBT rights - no matter how imperfect our efforts, no matter how expedient ignoring such values may seem. For the fight against extremism and intolerance and sectarianism are of a piece with the fight against authoritarianism and nationalist aggression. If the scope of freedom and respect for the rule of law shrinks around the world, the likelihood of war within and between nations increases, and our own freedoms will eventually be threatened.

So let's be vigilant, but not afraid. ISIL will try to kill innocent people. But they cannot defeat America unless we betray our Constitution and our principles in the fight. Rivals like Russia or China cannot match our influence around the world - unless we give up what we stand for, and turn ourselves into just another big country that bullies smaller neighbors.

Which brings me to my final point - our democracy is threatened whenever we take it for granted. All of us, regardless of party, should throw ourselves into the task of rebuilding our democratic institutions. When voting rates are some of the lowest among advanced democracies, we should make it easier, not harder, to vote. When trust in our institutions is low, we should reduce the corrosive influence of money in our politics, and insist on the principles of transparency and ethics in public service. When Congress is dysfunctional, we should draw our districts to encourage politicians to cater to common sense and not rigid extremes.

And all of this depends on our participation; on each of us accepting the responsibility of citizenship, regardless of which way the pendulum of power swings.

Our Constitution is a remarkable, beautiful gift. But it's really just a piece of parchment. It has no power on its own. We, the people, give it power - with our participation, and the choices we make. Whether or not we stand up for our freedoms. Whether or not we respect and enforce the rule of law. America is no fragile thing. But the gains of our long journey to freedom are not assured.

In his own farewell address, George Washington wrote that self-government is the underpinning of our safety, prosperity, and liberty, but "from different causes and from different quarters much pains will be taken.to weaken in your minds the conviction of this truth;" that we should preserve it with "jealous anxiety;" that we should reject "the first dawning of every attempt to alienate any portion of our country from the rest or to enfeeble the sacred ties" that make us one.

We weaken those ties when we allow our political dialogue to become so corrosive that people of good character are turned off from public service; so coarse with rancor that Americans with whom we disagree are not just misguided, but somehow malevolent. We weaken those ties when we define some of us as more American than others; when we write off the whole system as inevitably corrupt, and blame the leaders we elect without examining our own role in electing them.

It falls to each of us to be those anxious, jealous guardians of our democracy; to embrace the joyous task we've been given to continually try to improve this great nation of ours. Because for all our outward differences, we all share the same proud title: Citizen.

Ultimately, that's what our democracy demands. It needs you. Not just when there's an election, not just when your own narrow interest is at stake, but over the full span of a lifetime. If you're tired of arguing with strangers on the internet, try to talk with one in real life. If something needs fixing, lace up your shoes and do some organizing. If you're disappointed by your elected officials, grab a clipboard, get some signatures, and run for office yourself. Show up. Dive in. Persevere. Sometimes you'll win. Sometimes you'll lose. Presuming a reservoir of goodness in others can be a risk, and there will be times when the process disappoints you. But for those of us fortunate enough to have been a part of this work, to see it up close, let me tell you, it can energize and inspire. And more often than not, your faith in America - and in Americans - will be confirmed.

Mine sure has been. Over the course of these eight years, I've seen the hopeful faces of young graduates and our newest military officers. I've mourned with grieving families searching for answers, and found grace in Charleston church. I've seen our scientists help a paralyzed man regain his sense of touch, and our wounded warriors walk again. I've seen our doctors and volunteers rebuild after earthquakes and stop pandemics in their tracks. I've seen the youngest of children remind us of our obligations to care for refugees, to work in peace, and above all to look out for each other.

That faith I placed all those years ago, not far from here, in the power of ordinary Americans to bring about change - that faith has been rewarded in ways I couldn't possibly have imagined. I hope yours has, too. Some of you here tonight or watching at home were there with us in 2004, in 2008, in 2012 - and maybe you still can't believe we pulled this whole thing off.

You're not the only ones. Michelle - for the past twenty-five years, you've been not only my wife and mother of my children, but my best friend. You took on a role you didn't ask for and made it your own with grace and grit and style and good humor. You made the White House a place that belongs to everybody. And a new generation sets its sights higher because it has you as a role model. You've made me proud. You've made the country proud.

Malia and Sasha, under the strangest of circumstances, you have become two amazing young women, smart and beautiful, but more importantly, kind and thoughtful and full of passion. You wore the burden of years in the spotlight so easily. Of all that I've done in my life, I'm most proud to be your dad.

To Joe Biden, the scrappy kid from Scranton who became Delaware's favorite son: you were the first choice I made as a nominee, and the best. Not just because you have been a great Vice President, but because in the bargain, I gained a brother. We love you and Jill like family, and your friendship has been one of the great joys of our life.

To my remarkable staff: For eight years - and for some of you, a whole lot more - I've drawn from your energy, and tried to reflect back what you displayed every day: heart, and character, and idealism. I've watched you grow up, get married, have kids, and start incredible new journeys of your own. Even when times got tough and frustrating, you never let Washington get the better of you. The only thing that makes me prouder than all the good we've done is the thought of all the remarkable things you'll achieve from here.

And to all of you out there - every organizer who moved to an unfamiliar town and kind family who welcomed them in, every volunteer who knocked on doors, every young person who cast a ballot for the first time, every American who lived and breathed the hard work of change - you are the best supporters and organizers anyone could hope for, and I will forever be grateful. Because yes, you changed the world.

That's why I leave this stage tonight even more optimistic about this country than I was when we started. Because I know our work has not only helped so many Americans; it has inspired so many Americans - especially so many young people out there - to believe you can make a difference; to hitch your wagon to something bigger than yourselves. This generation coming up - unselfish, altruistic, creative, patriotic - I've seen you in every corner of the country. You believe in a fair, just, inclusive America; you know that constant change has been America's hallmark, something not to fear but to embrace, and you are willing to carry this hard work of democracy forward. You'll soon outnumber any of us, and I believe as a result that the future is in good hands.

My fellow Americans, it has been the honor of my life to serve you. I won't stop; in fact, I will be right there with you, as a citizen, for all my days that remain. For now, whether you're young or young at heart, I do have one final ask of you as your President - the same thing I asked when you took a chance on me eight years ago.

I am asking you to believe. Not in my ability to bring about change - but in yours.

I am asking you to hold fast to that faith written into our founding documents; that idea whispered by slaves and abolitionists; that spirit sung by immigrants and homesteaders and those who marched for justice; that creed reaffirmed by those who planted flags from foreign battlefields to the surface of the moon; a creed at the core of every American whose story is not yet written:

Yes, We Can.

Yes, We Did.

Yes, We Can.

Thank you. God bless you. And may God continue to bless the United States of America.
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2017年01月11日 (水) 22:42:00

景気動向指数の改善はどこまでホンモノか?

本日、内閣府から昨年2016年11月の景気動向指数が公表されています。CI一致指数は前月比+1.6ポイント上昇の115.1を示した一方で、CI先行指数は+1.9ポイント上昇の102.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の景気一致指数、1.6ポイント上昇 2年8カ月ぶり高水準
内閣府が11日発表した2016年11月の景気動向指数(CI、10年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.6ポイント上昇し115.1だった。3カ月連続で上昇し、14年3月の117.8以来2年8カ月ぶりの水準に達した。原油価格の上昇に伴い商業販売額(卸売業)が大きく伸びた。鉱工業用生産財出荷指数や商業販売額(小売業)も上昇した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。前月から比較可能な8指標のうち6つがプラスに寄与した。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.9ポイント上昇の102.7になった。上昇は2カ月連続。鉱工業用生産財在庫率指数や日経商品指数、最終需要財在庫率指数などが寄与した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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先月の統計公表時はOECDのPISAと重なって、グラフを示しただけだったんですが、先月2016年10月統計から統計作成官庁である内閣府では景気の基調判断について9月統計の「足踏み」を10月統計から「改善」に1ノッチ引き上げており、今月11月統計でも据え置かれています。ほぼ基調判断は定義で決まるんですが、「改善」の定義は原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇しており、かつ、当月の前月差の符号がプラス、ということですので、これを先月公表時から満たすこととなったわけです。11月統計を詳しく見ると、一致指数でプラスの寄与が大きいのは、寄与度が大きい順に、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)となっており、逆にもっともマイナス寄与度が大きいのは耐久消費財出荷指数となっています。ただし、卸売業の商業販売統計は、引用した記事にもある通り、国際商品市況の石油価格の上昇に伴う名目値の伸びですので、ホントに景気動向と考えるのかどうかは疑問が残らないでもありません。同様に、先行指数の寄与度を見ると、プラス寄与は大きい順に、鉱工業用生産財在庫率指数、日経商品指数(42種総合)、最終需要財在庫率指数、となっており、逆にマイナス寄与は、消費者態度指数がもっとも大きくなっています。内部留保を溜めまくっている企業部門と、そのあおりを受けて賃上げがかなわずに消費が伸び悩んでいる家計部門がクッキリと分かれた形に見えなくもありません。ただ、一致指数に採用されている商業販売額(小売業)(前年同月比)は3か月連続でプラス寄与を示していますので、最近時点での消費者態度指数の改善と明日公表の景気ウォッチャーなどを総合して、消費もそろそろ底入れに向かっている可能性はあると私は考えています。
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2017年01月10日 (火) 22:29:00

大きく上昇した12月の消費者態度指数はトランプ効果か?

本日、内閣府から昨年2016年12月の消費者態度指数が公表されています。前月比+2.2ポイント上昇の43.1を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の消費者態度指数、3年3カ月ぶり高水準 円安・株高効果
内閣府が10日発表した2016年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.2ポイント上昇の43.1だった。東京五輪開催が決まった2013年9月(45.4)以来3年3カ月ぶりの高水準だった。円安・株高による資産効果で消費者心理が上向いた。前月を上回ったのは3カ月ぶり。
指数を構成する4つの指標全てが改善した。生鮮野菜の高騰に一服感が出つつあることもあって「暮らし向き」は42.0と前月に比べて1.9ポイント上昇した。円安による企業収益の改善期待から「収入の増え方」や「雇用環境」も上昇した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」で据え置いた。1年後の物価見通しは「上昇する」と答えた比率(原数値)は前月と同じ74.2%だった。
調査基準日は12月15日。全国8400世帯が対象で、有効回答数は5535世帯、回答率は65.9%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数は昨年2016年10-11月と2か月連続で低下し、9月以降の天候不順に伴う野菜などの価格高騰が主因ではないかと言われていましたが、私の見るところ、野菜価格はさほど低下していないにもかかわらず、12月指数がこの2か月分の低下幅を取り戻すくらいに上昇したのは、基本的に、トランプ効果による円安と株価の上昇による影響ではないかと考えています。消費者態度指数を構成する各コンポーネントについて前月差で見ると、雇用環境が+3.2ポイント上昇し45.7、耐久消費財の買い時判断が+2.3ポイント上昇し42.8、暮らし向きが+1.9ポイント上昇し+42.0、収入の増え方が+1.5ポイント上昇し41.9となっています。また、資産価値に関する意識指標は、前月差+3.0ポイント上昇し43.1となっていることから、暮らし向きや収入の増え方以上に資産価値の上昇幅が大きく、資産価値の指標は消費者態度指数に入っていないものの、直接的に消費者態度指数を引き上げた雇用とともに、統計外で何らかのバックグラウンドとして影響力を持ったんではないかと、私は想像しています。ただ、トランプ効果であるとすれば、決してサステイナブルではなく一過性の可能性もあるわけで、だからというわけでもないんでしょうが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「持ち直しのテンポが緩やかになっている」で据え置かれています。消費者マインドについては、基本的に上向く方向にあると私は考えているものの、明後日に同じ内閣府から公表される景気ウォッチャーも併せてチェックしておきたいと思います。
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2017年01月07日 (土) 08:13:00

米国雇用統計の雇用増加はほぼ巡航速度に戻り金融政策動向には中立的か?

日本時間の昨夜、米国労働省から昨年2016年12月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+156千人増とひとつの目安となる+200千人増の水準には達せず、ほぼ巡航速度に近い増加に戻ったように見受けられます。他方、失業率はさすがに前月から0.1%ポイント上がって4.7%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから最初の5パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

Hiring Is Tepid, but Jobs Report Shows Sustained Wage Growth
It has been a long time coming - eight years, in fact - but the economic recovery is finally showing up in the average American worker’s paycheck in a big way.
There have been plenty of winners in the recovery, which began in mid-2009: companies, homeowners, investors and, especially, households at the apex of the economic pyramid. But the paucity of gains in take-home pay has stoked anxiety and frustration for many others, a factor in the wave of discontent that President-elect Donald J. Trump rode to victory in November.
But even as Mr. Trump prepares to succeed President Obama in two weeks, the Labor Department reported on Friday that average hourly earnings rose by 2.9 percent last year, the best annual performance since the recovery began.
And many economists expect the trend to gain momentum this year, as a tighter labor market forces employers to pay more to hire and retain workers. "This is a turning point for the overall economy," said Diane Swonk, a veteran independent economist in Chicago.
While wage growth was robust last year, government data for December showed a more tepid increase in employment, with 156,000 jobs added during the month, and a slight uptick in the unemployment rate to 4.7 percent.


この後、さらにエコノミストなどへのインタビューや米国大統領選へのインプリケーションの分析が続きます。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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雇用増加幅は市場の事前コンセンサスでは180千人程度と私は聞いていましたので、やや下回った気がしないでもないものの、他方、先月11月の統計が当初発表の+178千人増から+204千人増に大幅に上方改定されていますので、その分を加味すればトントンというところかもしれません。失業率は11月に一気に0.3%ポイント下げた反動の意味合いもあり、5%をゆうに下回る水準で非常に低くなっています。ですから、総じて見れば米国雇用は堅調そのものと考えるべきです。米国の労働市場はほぼ完全雇用に近づいたと考えるべきであり、下の時間当たり賃金のグラフを見ても、やや上昇テンポを上げているように見えます。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象ですが、それでも、12月の前年比上昇率は+2.9%を記録し、2009年6月以来7年半振りの高い伸びを示しています。一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ次期米国大統領の5500億ドルのインフラ投資や、まだ内容はそれほど明らかではないものの、近く打ち出されるであろう製造業振興政策などを考え合わせると、それなりのインフレ圧力になる可能性が否定できません。米国連邦準備制度理事会(FED)は2017年中に3回の利上げペースを示唆していますが、あるいは、この年3回の利上げのペースがスピードアップする可能性もあり得るものと考えるべきです。
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2017年01月06日 (金) 21:59:00

毎月勤労統計に見る賃金は上昇の気配もなく派遣スタッフも賃金上昇は停滞か?

本日、厚生労働省から昨年2016年11月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.2%減と、生産が回付器季調に戻ったにもかかわらず、派生需要としての労働の残業が増えていないのは少し違和感があります。一方で、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.4%の伸びとなっています。ただし、ヘッドラインの消費者物価がこの秋の天候不順で野菜の高騰を受けて11月は上昇していますので、物価上昇を差し引いた実質賃金は減少に転じています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質賃金、11カ月ぶりマイナス 11月0.2%減
厚生労働省が6日に発表した11月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて0.2%減った。マイナスとなるのは11カ月ぶり。名目でみた賃金は人手不足などを背景に緩やかに増加しているが、伸びは小幅で勢いを欠く状況が続いている。
名目にあたる現金給与総額は27万4778円で、前年同月比0.2%増と伸びは限定的だった。増加は2カ月連続。名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は24万377円で、0.4%増えた。増加は5カ月連続。一般労働者は0.3%増、パートタイム労働者は0.2%増えた。
物価が動いた影響を除いた実質賃金は家計の購買力を測る指標。消費者物価指数が前年同月と比べて0.4%上昇したことが実質で見た賃金の減少につながった。
安倍政権は経済界に4年連続となる賃上げを求めている。賃上げを起点として個人消費を上向かせ、経済の底上げにつなげる考えだ。しかし今年は原油高や円安などの市場環境の変化に伴い、物価に上げ圧力がかかるとみられている。
物価上昇分を加味すれば賃金は増えづらい状況が続く可能性があり「実質賃金のマイナスは一時的とみられるが、上昇の勢いは落ちる」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)という指摘がある。
残業代などにあたる所定外給与は1.3%減った。所定外労働時間の減少が影響した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、1番下の3番目のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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11月の鉱工業生産指数(IIP)の統計で伸びを示した生産と所定外労働時間が逆方向に動いているのが気にかからないわけでもありませんが、取りあえず、単月の動きですのでもう少しならして傾向を見るべきではないかという気がします。また、賃金については基本的に名目で私は見ているんですが、いわゆる恒常所得部分の所定内賃金については、ほぼ安定的に前年比でプラスを記録するようになったと受け止めています。ただし、引用した記事にある通り、ヘッドラインの消費者物価上昇率でデフレートした実質賃金は、天候不順に起因する野菜価格の高騰などから、最近時点で急ブレーキがかかっているのも事実です。直近統計の11月速報ではとうとう前年から伸びがマイナスになってしまいました。このあたりは消費者マインドの低迷にもつながりかねないとと私は考えています。ただ、上のグラフのうちでも一番下のパネルに示された通り、フルタイムの一般労働者の増加率がパート労働者の伸びを上回り始めました。現在のほぼ完全雇用に近い労働市場の帰結は賃金ではなく、正規雇用の増加という形で雇用の質の向上がもたらされるのかもしれません。

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最後に、上のグラフはリクルートジョブズが毎月明らかにしている派遣スタッフ募集時平均時給調査を時系列でプロットしています。見れば明らかな通り、昨年2016年7月までは名目の前年同月比で順調な時給アップが観察されていたんですが、昨年後半にこれまた急ブレーキがかかってしまい、直近の11月は前年比でマイナスを示しています。職種ではSEやプログラマなどのIT・技術系とデザイナーなどのクリエイティブ系が、また、地域では関東圏と関西圏が、それぞれマイナスを記録し始めているようです。逆に、職種ではオフィスワーク系と営業・販売・サービス系が、また、地域では東海圏がまだマイナスにはなっていません。ただし、グラフは省略しますが、同じリクルートジョブズによるアルバイト・パート募集時平均時給調査では、ここ1年以上に渡ってコンスタントに前年比2%程度の時給アップを記録し続けています。何が起こっているのか、現時点で私は情報を持ち合わせませんが、パート・アルバイト以外、正規雇用でも非正規雇用のうちの派遣スタッフでも賃上げが進まなくなっている現状をどう考えるのかのひとつの材料ではないかと受け止めています。
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2016年12月28日 (水) 19:44:00

増産に転じた鉱工業生産指数と回復の兆しがうかがえる商業販売統計!

本日、経済産業省から11月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比+1.5%の増産、小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.7%増の11兆7110億円と、ともに景気回復の兆しがうかがえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の遠下りです。

11月の鉱工業生産1.5%上昇 基調判断「持ち直しの動き」に上げ
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比1.5%上昇の99.9だった。横ばいをはさんで2カ月ぶりに上昇した。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.7%)をやや下回った。数値制御ロボットなど、はん用・生産用・業務用機械工業が伸びた。自動車部品などが好調だった輸送機械工業も増えた。生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」から「持ち直しの動き」へと4カ月ぶりに上方修正した。
直近、4カ月連続で生産がマイナスにならなかったことから判断を引き上げた。11月の表現は消費増税前の駆け込み需要が目立った2014年3月以来2年8カ月ぶり。「消費税率引き上げによる影響を払拭した」(経産省)という。
11月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、4業種が低下した。はん用・生産用・業務用機械工業が3.3%上昇。輸送機械工業が2.0%、電気機械工業が5.5%上昇した。窯業・土石製品工業が0.9%、プラスチック製品工業が0.3%低下した。
出荷指数は前月比0.9%上昇の99.2だった。在庫指数は1.5%低下の107.0、在庫率指数は5.5%低下の107.9だった。
12月の製造工業生産予測指数は前月比2.0%の上昇となった。電子部品・デバイス工業や鉄鋼業、金属製品工業の伸びがけん引する見込みだ。予測指数は企業の計画を基に作成するため、高めの数字が出やすい。経産省は実際の上昇率は0.0%程度になると予想している。
11月の小売業販売額、前年比1.7%増 基調判断を引き上げ
経済産業省が28日発表した11月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.7%増の11兆7110億円だった。新車販売などが好調で9カ月ぶりに前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」とし、10月の「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」から引き上げた。
衣料品の販売増も目立った。11月は全国的に気温の低い日が多く、冬物の衣料品がよく売れた。生鮮野菜の高騰を背景に食料品の販売も増えた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.1%減の1兆6477億円だった。百貨店は高額品が低迷し、3.3%減った。スーパーは食料品の好調を映し、1.7%増となった。
コンビニエンスストアの販売額は3.8%増の9332億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。それにしても、2つの統計を引用すると長くなります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の商業販売統計とも共通して、景気後退期です。

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鉱工業生産指数(IIP)に関して、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前月比で+1.6%の増産でしたから、ほぼジャストミートし、しかも、製造工業生産予測調査では12月+2.0%増、来年1月も+2.2%増との結果でしたので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省による生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」から「持ち直しの動き」へと3か月振りに上方改定されています。上のグラフにもある通り、生産は増産局面に入りつつあるのが確認できます。また、グラフは示しませんが、在庫調整が大きく進展し、例えば、典型的に大きな在庫変動が観察される電子部品・デバイス工業では、在庫率指数で見て、7月の159.2を直近のピークに、8月126.8、9月116.0、10月113.0に続いて、11月統計では93.4と、一直線に低下を示しています。製造工業全体の平均でも7月の117.3から11月の107.9まで低下して来ています。この製造工業平均の在庫水準は消費増税前後の2014年3月105.3、4月105.6以来の低水準となっています。背景は出荷の伸びですが、上のグラフのうち下のパネルで見て、資本財はそこそこ伸びを示していますが、問題は耐久消費財などの消費です。逆から見て、消費が伸び始めれば本格的な景気回復局面への復帰と考えられると私は受け止めています。そのためには、完全雇用に近い雇用水準にもかかわらず賃金が上がらないパズルを解決することが必要です。賃金が上がれば、消費の拡大とともに物価の上昇が見込めますから、賃金上昇に向けた何らかの所得政策の導入が求められると私は考えています。同一労働同一賃金なのか、プレミアムフライデーなのか、現時点では考えはまとまりませんが、賃金を上げ消費を喚起する所得政策、さらに出来れば、格差を縮小させるような経済政策がアジェンダに上る段階にあるんではないでしょうか。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。消費にリンクする小売販売額は季節調整していない原系列では前年同月比+1.7%増、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.2%と増加しています。上のグラフでもほぼ最悪期を脱しつつあるのが読み取れると思います。ということで、引用した記事にもある通り、商業販売統計のうちの小売販売に関しても、統計作成官庁である経済産業省の基調判断が「横ばい圏」から「持ち直しの動き」に上方修正されています。業種別では、引用した記事にもある通り、自動車小売業が前年同月比+6.6%増と新車販売の増加を受けて売上げを伸ばしたほか、天候要因ながら気温が低かったという通常の季節要因で織物・衣服・身の回り品小売業が+4.4%増となっています。ただし、飲食料品小売業の+1.6%増は野菜などの価格上昇に伴う増加の要素が大きく、実質ではそれほどの増加を示したとは実感できません。12月をはじめとする先行きのの消費動向については、恒常所得ではないものの、ボーナスがそれなりに増加したとの実感がありますので、消費もボーナスなどの収入の増加に応じた伸びがあったんではないかと期待しています。

私の勤務する役所では、本日12月28日がいわゆるご用納めです。明日から私は年末年始休暇に入ります。
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2016年12月27日 (火) 23:14:00

完全雇用に近い雇用統計とマイナス続く消費者物価指数(CPI)の動向やいかに?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局の消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。いずれも11月の統計です。季節調整済みの系列で見て、失業率は3.1%と前月から+0.1%ポイント上昇し、有効求人倍率も前月からさらに0.01ポイント上昇して1.41を記録した一方で、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は▲0.4%と9か月連続でマイナスに落ち込んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

求人倍率、11月は1.41倍 3カ月連続上昇
失業率は0.1ポイント悪化

雇用は引き続き改善が進んでいる。厚生労働省が27日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は1.41倍で、3カ月連続で上昇した。1991年7月以来の高水準となり、企業の人手不足感が一段と強まっている。新たに仕事を探す人が増え、総務省が同日発表した完全失業率(同)は3.1%と前月に比べて0.1ポイント上昇した。
来年に向けて企業が人材確保に乗り出し求人数が増えている。11月の有効求人数は前年同月比で5.9%増加した。同月の新たな求人数を業種別にみると電子部品製造業が41.2%、ゴム製品製造業が30.0%それぞれ増えた。仕事を探す人以上に求人数が伸びている。
職探しをする人の増加は失業率にも表れている。完全失業率は3カ月ぶりに悪化したが、専業主婦などが新たに仕事を探し始めたことが要因だ。新たに求職を始めた人は前月比で9万人増え、2013年8月以来、3年3カ月ぶりの高水準になった。
完全失業者は197万人で、前年同月より12万人減少した。勤め先や事業の都合による離職が6万人減ったほか、自己都合の離職も5万人少なくなった。
求人数の増加で雇用の「質」も改善している。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は0.90倍で、04年に統計を取り始めて以来初めて0.9倍台に乗った。
全国消費者物価、原油安で0.4%下落 11月
生鮮野菜は高騰続く

総務省が27日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合が99.8となり、前年同月比0.4%下落した。QUICKが事前にまとめた市場予想の中央値と同じだった。電気代が6.9%下落するなど引き続き原油安が響き、9カ月連続で前年実績を下回った。
生鮮食品を除く総合では全体の56.4%にあたる295品目が上昇し、172品目が下落した。横ばいは56品目だった。
生鮮食品を含む総合は100.4と0.5%上昇した。天候不順の影響から、トマトが44.4%上昇するなど生鮮野菜の高騰が続いており、指数を押し上げた。食料・エネルギーを除く「コアコア」の指数は100.5と0.1%上昇した。
東京都区部の12月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.5と、前年同月比0.6%下落した。下落は10カ月連続で、下落幅は2013年2月以来の水準となった。電気代や都市ガス代を中心に原油安の影響が出ている。ただ、ガソリンは2.6%上昇しており、プラスに転じた。生鮮食品を含む総合は99.8と横ばいだった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。それにしても、会員限定の記事だということもあってとても長くなりました。続いて、雇用統計については、上のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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雇用統計については、上に掲げた3枚のグラフのうち、前月から改善を示しているのは有効求人倍率だけであり、失業率はわずかとはいえ久し振りに上昇しました。ただ、引用した記事にもある通り、失業率の上昇は専業主婦などの以前は非労働力人口だった人々が景気の回復を実感したために、新たに職探しを始めて労働市場に参入したことが要因のようですから、悲観する必要はないのかもしれません。なお、上のパネルから順に、景気との関係は一般に、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人は先行指標と考えられています。ですから、引き続き、ほぼ完全雇用状態に近い人手不足が続いています。これも引用した記事にある通り、正社員の有効求人倍率も0.90倍を記録して高い水準にあります。前々からこのブログで表明している通り、まったく理論的な根拠はないものの、人手不足や労働需給のひっ迫は賃金よりも正社員増の方に現れる可能性も否定できません。もっとも、フィリップス曲線的にいって、日銀の物価目標である2%の物価上昇率と整合的な失業率は3%を下回るというのが私のかねてからの見解であり、それをサポートする本も最近読みましたので、近くより詳しく取り上げたいと思います。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エベルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。ということで、日銀の物価目標である+2%にはほど遠く、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は9か月連続でマイナスを記録しています。他方、ヘッドラインCPI上昇率は天候不順による野菜の価格高騰などから+0.5%の上昇を示しています。ヘッドラインCPIはコアCPIに回帰すると私は考えていますが、少なくとも現時点では野菜などの価格動向は国民生活を圧迫する方向であると見なさざるを得ませんし、耐久消費財が年末商戦に向けて新製品が出回る時期とはいえ、相変わらず価格低下を示しているのは、消費が盛り上がらない帰結なんだろうと受け止めています。
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2016年12月26日 (月) 21:21:00

企業向けサービス価格指数(SPPI)はこのまま膠着状態が続くか?

本日、日銀から11月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.3%、国際運輸を除くコアSPPIは+0.5%と、小幅ながら前月統計から上昇率が縮小しています。でも、まだプラス領域にはあります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の企業向けサービス価格指数、前年比0.3%上昇 伸び率縮小
日銀が26日発表した11月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)速報値は103.3で、前年同月比0.3%上昇した。伸び率は10月確報値の0.5%を下回った。広告や宿泊サービスの伸びが鈍った。前月比では0.1%上昇した。
品目別に見ると、広告価格が上昇幅を縮めたことが指数の重荷になった。10月にはスポーツ特番向けや金融機関の再編に伴う広告出稿がテレビ・新聞広告の価格上昇につながったが、11月は反動が出たという。
宿泊サービス価格の伸びも鈍った。日銀は「10月の大幅上昇をけん引した広告や宿泊費が元の水準に戻った」(調査統計局)として、基調に変化はないとの見方を示している。
一方、外航貨物輸送はマイナス幅を縮小した。石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産への思惑から原油価格の先高観が広がったほか、前年に比べて円高の進行幅が縮小したことも影響した。土木建築サービス、労働者派遣サービスは人手不足を背景に、人件費の上昇が続いた。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは49、下落した品目は62で下落した品目の方が13多かった。上昇と下落の品目数の差は、下落が8品目多かった10月から拡大した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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このところ、企業向けサービス物価(SPPI)の前年同月比上昇率は、ほぼ0%台前半から半ばで膠着状態にあり、大きな変化は示していません。先月統計では+0.5%まで上昇幅を加速しましたが、今月は+0.3%に逆戻りしてしまいました。ただ、この程度の違いであれば、どこまで統計的に有意かは疑問であり、ひょっとしたら計測誤差と見なすべきなのかもしれません。ただ、引用した記事にもある通り、先月も今月も広告が物価変動の無視しえない部分を占めており、今月については寄与度で見て、インターネット広告が+0.02%の物価押上げ方向での寄与を示した一方で、テレビ広告▲0.07%と新聞広告▲0.07%が逆方向の寄与を示しています。ほかに、外航貨物輸送が+0.03%のプラス寄与をしているのは、国際商品市況における石油価格の反転に伴う動きを反映している可能性があります。また、12月以降については、決して、ダイレクトな影響ではありませんが、円安が間接的に一般物価水準を引き上げる可能性があります。国際商品市況の動向と併せて、こういった対外要因が物価を引き上げる可能性があるものの、国内の需給要因はサッパリだったりします。例えば、本日公表された10月31日から11月1日にかけて「展望リポート」を審議した際の日銀政策委員会の議事要旨が公表されているんですが、「基調的な物価について、最近の消費の弱めの動きを映じて企業の価格設定行動が慎重化する中、弱含んでいる」と、また、「中長期的な予想物価上昇率の弱含みの局面が続いている」との指摘が複数の政策委員から出た旨が明記されています。物価が本格的に上昇し、消費者物価(CPI)上昇率で日銀の物価目標である2%に達するのはまだまだ時間がかかりそうです。
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2016年12月22日 (木) 21:36:00

退任するオバマ米国大統領の米国市民の評価やいかに?

ちょうど1週間前の先週12月15日に、トランプ次期米国大統領の評価を取り上げましたが、来年早々に退任する現任のオバマ米国大統領の評価も気にかかるところで、12月14日に同じピュー・リサーチ・センターから Obama Leaves Office on High Note, But Public Has Mixed Views of Accomplishments と題した世論調査結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。まず、ピュー・リサーチのサイトから最初の2パラを引用すると以下の通りです。

With just a few weeks left in Barack Obama's presidency, Americans' early judgments of his place in history are more positive than negative. Obama is poised to leave office on a high note: Current assessments of both the president and the first lady are among the most favorable since they arrived in the White House.
At the same time, many express skepticism about whether Obama has been able to make progress on the major problems facing the nation, and whether his accomplishments will outweigh his failures. Democrats and Republicans have distinctly different views on Obama's legacy, and these partisan divides are greater today than they have been for other recent presidents.


ということで、今夜のエントリーではピュー・リサーチのサイトから図表を引用しつつ、簡単にリポートを取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから How will history judge Obama? と題するグラフを引用しています。これを見る限り、オバマ大統領は1980年代のレーガン大統領には及ばないものの、最近の歴代大統領としてはクリントン大統領と並ぶ高評価を受けていることが明らかです。もっとも、直前のブッシュ大統領の評価がひどかっただけに、その反動で比較されれば高評価につながった可能性は否定できません。さらに、図表は引用しませんが、歴史に残る業績としては1番にヘルスケアが上げられています。当然でしょう。しかし、2番目からは目立ったものはなく、2番目が初めての黒人大統領とか、3番目でも一般的な高評価というに過ぎず、プラハ宣言の非核政策などの外交はノーベル平和賞を受けたにもかかわらず4番目だったりします。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Blacks, postgrads say Obama made progress on solving major problems と題するグラフを引用しています。すなわち、どのようなグループにおいてオバマ大統領の評価が高いかといえば、黒人はある意味で当然としても、若い世代と高学歴層で目立った支持を得ています。特に、引用はしませんが、別のグラフではミレニアル世代で77%の支持を受けているとの結果も示されています。

最後に、グラフは引用しませんが、オバマ大統領に関して印象的なのはファーストレディのミシェル夫人の存在感です。ある意味では、クリントン政権でのヒラリー夫人以上かもしれません。米国大統領2期8年間で、好ましい(favorable)のスコアはバラク・オバマ大統領をほぼ常に上回る結果を出していたりします。
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2016年12月21日 (水) 21:29:00

ブラックフライデーの買い物は日本で定着するか?

さて、昨夜のプレミアムフライデーに続いて、ブラックフライデーについて考えます。元はといえば、米国の感謝祭 (Thanks Giving Day) の翌日の金曜日が、今年でいえば11月25日がクリスマス商戦の始まりとなり、翌週の月曜日、サイバーマンデーまで続く一連の商戦の中でも、各小売店が大幅割引セールを行い、1年でもっとも物が売れる日、そして、黒字になるという意味で Black Friday といわれたのがはじまりです。いくつかの有名百貨店には夜明け前から買い物客が行列をなしたりします。まあ、一種のイベントと化している面はあります。ただ、ここ2-3年で日本でも急速にハロウィンのイベントが普及したように、ブラックフライデーも大化けして日本でも一大イベント化する可能性がないわけではない、と私は考えています。ということで、今夜はマクロミル・ホノテのサイトからいくつかグラフを引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。

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上の円グラフは、ブラックフライデーの認知とブラックフライデーにちなんだ買い物をしたかどうかを問うた結果を上下に連結しています。ブラックフライデーの認知については、内容まで知っているが30%を少し上回る割合で、半分超は聞いたことがある程度でした。まあ、一応、私はその昔に海外経済を対象とするナントカ白書を米国経済担当の係長として執筆していたりしますので、エコノミストの中でもそれなりに詳しいと自負しています。本筋に戻って、さらに、知っている割合がこんなもんですから期待すべくもないんですが、ブラックフライデーにちなんだ買い物をした割合は10%に満たない少数派となっています。プレミアムフライデーに続いて、ブラックフライデーも官民上げて広報したりするんでしょうか?
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2016年12月20日 (火) 19:49:00

プレミアムフライデーは定着するか、そもそも、実施できるか?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週12月12日に官民でプレミアムフライデー推進協議会が設立され、プレミアムフライデーの実施方針やロゴマークなどが明らかにされています。なお、ご賢察の通り、ロゴマークは上の通りです。経済産業省のサイトから拝借しています。まず、朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

今度は「プレミアムフライデー」 来年2月から実施へ
経済産業省や経団連、小売り、旅行などの業界団体でつくるプレミアムフライデー推進協議会は12日、初会合を開き、毎月末の金曜に消費活動を促す「プレミアムフライデー」を来年2月24日から実施すると決めた。買い物しやすいように従業員の終業時刻を早める取り組みも進めるという。
プレミアムフライデーは、各地のショッピングセンターや商店街などにイベントやキャンペーンを企画してもらい、買い物や外食、旅行など幅広い分野の消費を喚起するのがねらい。主導する経産省は広告費などとして、2016年度の補正予算に2億円を計上。協議会では今後、月末の金曜日は従業員が午後3時をめどに退社できるよう企業に働きかける方針だ。
イベントの導入で消費を盛り上げる動きはほかにも出ている。今年11月には、米国で慣例の商戦「ブラックフライデー」を日本の流通大手などが採り入れている。


ということで、その昔に、というか、今もあるのかもしれませんが、政府が旗を振って働き方改革実現会議を設置して、働き方改革、すなわち、ワーク・ライフ・バランスの改善などを進めて来ており、その途上で例の電通の新入女子社員の長時間労働による過労自殺が大きくクローズアップされたりしたのは周知の通りです。でも、電通に立ち入り調査したりして、こういったブラック企業まがいの労働実態をバッシングするだけでは何の前進も見られないわけで、ここは何らかの積極策が必要と私は考えていましたが、こういった形で労働時間の短縮が図られようとしているとは知りませんでした。もちろん、疑問もあって、しょうもない点を先にすると、月末最後の金曜日に早帰りをして、例えば、ショッピングに行くとすれば、そのお店の店員さんはプレミアムフライデーの早帰りを出来ないわけで、そのあたりは矛盾するような気もします。そういったケースでは何かプレミアムフライデーに対する補償的な措置が取られたりするんでしょうか。もうひとつ、というか、最大の疑問は認知度です。下のグラフは、12月13日付けの博報堂行動デザイン研究所の調査レポートから引用していますが、プレミアムフライデーの認知状況は寂しい限りです。もっとも、この調査は10月実施ということですので、これから広報に相務めるんでしょうが、どこまで広がりますやら。100%確実に取り入れるのは電通くらい?

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なお、引用した記事の最後に現れる「ブラックフライデー」については、これも同じフライデーつながりというわけでもないんですが、日本での普及に関して私自身も興味があがり、日を改めて取り上げたいと思います。
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2016年12月19日 (月) 21:36:00

3か月連続で貿易黒字を記録した貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から11月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲0.4%減の5兆9565億円、輸入額も▲8.8%減の5兆8040億円、差引き貿易収支は+1525億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の貿易収支、3カ月連続黒字 輸入減大きく
財務省が19日発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1525億円の黒字だった。貿易黒字は3カ月連続。QUICKがまとめた市場予想は2274億円の黒字だった。輸出入ともに減ったが、輸入額の減少がより大きかった。
輸出額は前年同月比0.4%減の5兆9565億円と14カ月連続で減った。11月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=104.94円と、円が対ドルで前年同月に比べて13.5%高かったことが響いた。11月は実勢レートに比べ円高だが「税関長公示レートの平均値は2週間前の数値を当てはめているため」(関税局)という。12月の貿易統計では足元の円安を反映した内容になる見通しだ。
サウジアラビア向けの自動車、イタリア向け鋼管など鉄鋼の輸出が減った。輸出の地域別では米国が1.8%減、欧州連合(EU)は2.2%減だった。中国を含むアジアは3.4%増えた。
輸入額は8.8%減の5兆8040億円と23カ月連続で減った。アイルランドからの医薬品、アラブ首長国連邦からの原粗油や液化天然ガスなどが減った。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、貿易修正ですが、季節調整していない原系列のベースで見て、3か月連続の貿易黒字を記録し、今年2016年11月までで貿易黒字が8か月、赤字が3か月と、震災直後の赤字続きの時期に比べて、国際商品市況における石油価格の下落が大きな要因とはいえ、貿易赤字が連続することはなくなったような感触を私は得ています。特に、季節調整済みの系列では、昨年2015年11月から1年余りにわたって貿易黒字を計上し、最近時点ではジワジワと黒字幅が拡大していたりします。加えて、つい最近時点までは輸出入の双方が減少を続ける中で、石油価格の影響などから輸入の減少幅の方が大きくて、結果として黒字になっていた面がありますが、上のグラフ、特に季節調整済みの系列をプロットした下のパネルを見れば明らかな通り、このトレンドに変化が見られつつあり、輸出入ともに反転・増加して拡大均衡の中の貿易黒字が実現されているようになりつつあります。しかも、引用した記事にもある通り、11月統計では1ドル=104.94円と前年同月に比べて13.5%もの円高水準だったわけですから、我が国産業の国際競争力が突然飛躍的に上昇したわけでもないでしょうから、世界経済の拡大の本格化が背景となっている、と私は考えています。

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ということで、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。OECD先行指数からみて、海外需要は最悪期をすでに脱して回復局面に入りつつあるのが見て取れると思います。特に、中国については急速に回復する可能性が示唆されています。従って、マクロの世界経済動向から見て、そろそろ我が国の輸出数量も増加する局面に達しつつあり、現に11月統計では輸出数量指数が季節調整していない系列の前年同月比で見て、対世界で+7.4%増、対中国が+16.0%増と大きく伸びており、これにトランプ効果の円安が加われば、さらに輸出増加に弾みがつく可能性も十分ある、と私は考えています。
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2016年12月15日 (木) 21:27:00

米国におけるトランプ次期大統領の評価やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週12月8日にピュー・リサーチ・センターからトランプ次期米国大統領に関する米国市民の受け止めに関して、Low Approval of Trump's Transition but Outlook for His Presidency Improves と題する世論調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。大統領選挙の結果を受けて、トランプ次期米国大統領への支持は上がらず、党派間、あるいは、民族間の軋轢が増す懸念すら広がっています。まず、ピュー・リサーチのサイトからリポートの最初の3パラを引用すると以下の通りです。

Nearly a month after Donald Trump's election as president, the public views his transition to the White House less positively than those of past presidents-elect. And while expectations for Trump's presidency have improved since before his victory, about as many Americans say Trump will be a poor or terrible president as a good or great one.
The latest national survey by Pew Research Center, conducted Nov. 30-Dec. 5 among 1,502 adults, finds that 40% approve of Trump's cabinet choices and high-level appointments, while 41% approve of the job he has done so far in explaining his policies and plans for the future.
In December 2008, 71% of Americans approved of Barack Obama's cabinet choices, and 58% expressed positive views of George W. Bush's high-level appointments in January 2001, prior to his inauguration. Similarly, higher shares approved of the way that both Obama (72%) and Bush (50%) explained their policies and plans for the future than say that about Trump today.


ということで、8年前のオバマ政権発足時、あるいは、16年前のブッシュ政権発足時と比べて、米国世論の目はトランプ次期大統領にやや冷たいようです。今夜のブログでは、ピュー・リサーチのサイトの Overview から図表を引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、上のグラフは Low approval ratings for Trump's transition を引用しています。政権移行期の政策や計画に対する評価が上のパネルで、下は組閣で指名された閣僚に対する評価です。上の政策や計画に対する評価が特に低く、「蜜月」と称される選挙直後の熱気は感じられません。なお、2000年の米国大統領選挙で選出された当時のブッシュ大統領の場合は、ゴア候補との票のカウントでかなりもめましたので、その後遺症のようなものを感じ取ることが出来ますが、今回はそういったアクシデントもありませんでしたので、素直に当選大統領ご本人の政策の不人気なんだろうという気がします。下の閣僚候補者への評価も似たようなものかもしれません。

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次に、上のグラフは Public sees strong conflicts between many groups, especially partisans を引用しています。各種の選挙終了後は、さまざまなグループ間で融和策が図られるものですが、政党間、経済的な貧富間、白人と黒人間、などなどの各種グループの間で軋轢が増すかどうかを問うたところ、特に、党派間での対立が増すという回答が過半の56%に上っています。これに次ぐのが経済的な富者と貧者の間の軋轢です。こういった国民の間の融和をどのように図るのか、新米国大統領とそのスタッフの腕の見せどころかもしれません。
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2016年12月14日 (水) 22:42:00

1年半振りに景況感が改善した日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から12月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から+4ポイント改善して+10を記録し、本年度2016年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+1.8%増と、わずかに9月調査から上方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

日銀短観、大企業製造業が1年半ぶり改善 米経済回復で
12月景況感指数プラス10

日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス10だった。前回の9月調査(プラス6)から4ポイント改善した。改善は6四半期ぶり。米国など海外経済の回復で電気機械や自動車など輸出企業の景況感が改善した。米大統領選後の世界的な株高や原油市況の回復も追い風となった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値のプラス10に一致した。回答期間は11月14日-12月13日で、回答基準日は11月28日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス8だった。2016年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=104円90銭と前回の107円92銭よりも円高・ドル安方向に修正された影響があった。トランプ次期米大統領に政策を見極めようとする雰囲気が経営者の間で根強かった面もあったようだ。
大企業非製造業の現状の業況判断DIはプラス18と前回と同じだった。円高進行による訪日外国人(インバウンド)消費の鈍化で小売りの景況感が悪化した。一方、都心の再開発が進み、建設関連が高水準を維持したほか、対事業所サービス、電気・ガスなどの改善が目立った。3カ月先のDIは2ポイント悪化し、プラス16を見込む。
中小企業は製造業が4ポイント改善のプラス1、非製造業は1ポイント改善のプラス2だった。先行きは悪化した。
2016年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比5.5%増だった。9月調査の6.3%増から下方修正された。昨年の同時期(10.8%増)を下回った。大企業のうち製造業は11.2%増、非製造業は2.5%増を計画している。
16年度の全規模全産業の設備投資計画は前年度比1.8%増で、市場予想の中央値(2.9%増)を下回った。大企業製造業の16年度の輸出売上高の計画は前年度比6.3%減で9月調査の3.7%減から下方修正された。
大企業製造業の販売価格判断DIはマイナス7と、9月調査(マイナス10)から3ポイント上昇した。DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。個人消費の伸び悩みや物価の低迷で販売価格には下落圧力が強い。金融機関の貸出態度判断DIは全規模・全産業でプラス24と、9月調査のプラス25から悪化した。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、上のグラフは規模別産業別の業況判断DIをプロットしています。なかなかに複雑な動きをしているんですが、この12月調査については大企業非製造業で前回の9月調査と同じ横ばいの結果だった以外は、ほぼ全規模全産業で景況感は前回調査から足元で上向いています。しかし、先行きについては、逆に、すべての規模と産業で悪化を見込んでいます。大企業について細かい産業別に見ると、足元の12月調査では、大企業製造業のうち加工業種では円安を好材料に改善を示し、改善幅は加工業種に及ばなかったものの、素材業種も前回調査からは改善しています。前者については、電気機械、はん用機械、生産用機械などの改善幅が大きく、後者については、国際商品市況の底入れにより石油・石炭製品が大幅改善したのが寄与しています。大企業非製造業については、製造業からの波及が大きい対事業所サービスや電気・ガスなどの改善幅が大きい一方で、卸売、小売、対個人サービス、宿泊・飲食サービスなどの個人消費に関連する業種ではむしろ悪化を示しています。基本的な企業マインドは堅調であると私は受け止めていますが、企業が大きく内部留保を溜め込む一方で、天候不順などの要因も見逃せませんが、家計の消費が停滞している景気の現状が垣間見える気がします。ただし、ここまで広範な業種で先行き景況感が悪化すると見込まれているのは、まだまだ不透明感が高いと考えるべきです。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。特に、採用に苦労しているように聞き及んでいる中堅・中小企業では大企業よりも不足感が強まっています。ただし、失業率や有効求人倍率などの雇用統計を見れば、量的にはほぼ完全雇用状態に達している可能性があり、今後は質的な雇用の改善、すなわち、正社員の増加や賃金上昇が実現される段階に進むんではないかと期待しています。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。もっとも、今年10月1日に公表された9月調査の短観までは大企業全産業の設備投資計画をヘッドラインと見なしてグラフにプロットしていたんですが、どうも、世間的に全規模全産業が設備投資計画のヘッドラインになっているような気がして、本邦初公開で私のこのブログでも全規模全産業の設備投資計画をグラフにするよう方針変更しました。ということで、今年2016年度の計画は黄緑色のやや太いラインと同色の大きなマーカで示されていますが、見ての通りで、9月調査からわずかに上方修正され前年度比+1.9%増と見込まれています。ただし、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.9%増でしたので、かなり下回りました。旧来のヘッドラインである大企業全産業でも前回調査を下回っており、設備投資についてはトランプ次期米国大統領の経済政策が未知数だけに、まだまだ先行きの不透明感から強く影響されているように見受けられます。

景気に関する企業マインドは、前回調査から大きな変化は見られない一方で、実体経済は踊り場的な景気状態からア少し回復の動きが出始めています。企業マインドについては米国の経済政策動向の不透明さを反映している可能性もありますが、徐々に実体経済の回復基調が明らかになるに従って、企業マインド・消費者マインドともに上向いていくことを私は予想しています。
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2016年12月13日 (火) 19:31:00

明日発表の日銀短観予想やいかに?

明日12月14日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2016年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2016年度の設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+6
+18
<+6.3%>
n.a.
日本総研+8
+19
<+5.8%>
先行き、設備投資の腰折れは回避される見通し。米国・欧州の政治情勢を巡る不確実性などは設備投資意欲の重石となるものの、維持・更新需要に加え、人手不足が続くなか省力化・合理化などに向けた投資が期待可能。米大統領選後の円安基調が続けば、企業収益の押し上げが期待されるとともに、金利は低水準での推移が続くとみられ、今後の設備投資計画は、力強さには欠けるものの、底堅い推移となる見通し。
大和総研+10
+20
<+5.8%>
2016年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年度比+2.6%と、前回(同+1.7%)から上方修正されると予想する。12月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、2015年末以降の円高進行に伴う業績悪化が輸出関連製造業にマイナスの影響を及ぼす一方、非製造業については堅調な企業収益がプラスに作用するとみられる。この結果、全体としてみると、例年の修正パターン並みの上方修正になると想定した。
みずほ総研+9
+18
<+6.4%>
製造業については、「トランプ円安」により収益見通りが改善すると見込まれる。しかし、交易条件要因による収益の改善について、企業は一時的なものとして慎重に捉える傾向があり、設備投資の増加には結びつきにくいと考えられる。加えて、トランプ政権の保護主義策がサプライチェーンに与える影響などを見通すことは現段階では困難であり、設備投資計画を大幅に変更できる状況ではないとみられる。
ニッセイ基礎研+11
+20
<+5.8%>
16年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年度比2.5%増と前回調査時点の1.7%増から上方修正されると予想。例年、9月調査から12月調査にかけては、中小企業で計画が固まってくることに伴って上方修正されるクセが強く、今回も上方修正されるだろう。ただし、年初から半ばにかけての円高によって企業収益が圧迫されたほか、海外経済が不透明感を増していることから、一部で様子見や先送り姿勢が広がりつつあると考えられ、例年と比べて上方修正の度合いが抑制的になると見ている。
第一生命経済研+10
+19
<製造業+10.3%>
<非製造業+3.6%>
金融市況の変化だけでなく、実体経済にはじわじわと景気改善の実感が感じられる。それを短観で実数の変化として把握することは大きな意義がある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+16
+19
<+6.6%>
16年度の設備投資計画は、大企業・中小企業ともに上方修正が予想される。収益環境の改善に加えて、極めて緩和的な金融環境が、設備投資の回復を後押ししている模様である。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+11
+20
<+6.3%>
2016年度の設備投資計画は、大企業製造業は前年比+10.4%、非製造業は同+4.2%と、ともに前年から増加の計画が維持される見込みである。国内需要の急速な拡大は見込めないものの、引き続き設備の維持・更新への投資が行われるほか、生産(販売)能力の拡大や効率化を進めるための前向きな投資も行われると予想する。もっとも、今回調査で前年比2ケタの増加と予測される製造業については、例年、12月以降の調査で下方修正される傾向があり、最終的にはさらに下方修正される可能性がある。
三菱総研+9
+18
<n.a.>
業況判断DI(大企業・全産業)は、+14%ポイント(9月調査から2%p上昇)と、6期ぶりの業況改善を予想する。海外需要の持ち直しを背景に、製造業を中心に業況改善を見込む。
富士通総研+10
+20
<+5.6%>
2016年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比1.9%と、9月調査からわずかに上方修正されると見込まれる。世界経済の先行き不透明感はなお強いが、米中の景気が持ち直しつつあるという環境の下、維持更新や省力化投資に対する企業の意欲は衰えていない。最近の労働需給の逼迫は、省力化投資にさらに拍車をかけている。先行きは、円高の影響一巡による企業収益持ち直しが、設備投資のプラス要因になると考えられる。大企業は製造業、非製造業とも、昨年度の伸びは下回るものの、9月調査に続き、過去の平均を上回る伸びを保つと予想される。中小企業も上方修正されるが、製造業では先行き不透明感の強さが勝り、9月調査に続き、過去の平均の伸びを下回ると見込まれる。


見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、大企業全産業の2016年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。景況感はマクロ経済の緩やかな回復に伴って、わずかながら改善の方向に向かうとのコンセンサスのようです。製造業と非製造業のどちらが改善幅が大きいかについては見方が分かれていますが、5500億ドルのインフラ投資などの次期米国大統領のトランプ効果で円安がこのまま続けば製造業での景況感回復が大きくなりそうな気もしますが、他方でトランプ次期米国大統領はTPP脱退などの貿易制限的な内向き政策も標榜しており、どちらの面が強く出るかは現時点では何ともいえません。ただ、今回私は着目した設備投資に限れば、大きな修正はないものの、従来通りの短観の統計としてのクセが出るとの考えでほぼ一致しているようです。すなわち、大企業は12月時点ではやや下方修正されるものの、中堅ないし中小企業では具体化が進んで上方修正される、というクセです。ですから、それほど大きな前年度比プラスにはならないものの、それなりに底堅い動きであろうと予想されています。
最後に、下のグラフは三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所のリポートから大企業全産業の設備投資計画の予想を引用しています。ご参考まで。

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2016年12月12日 (月) 19:26:00

増加に転じた機械受注とマイナス幅が着実に縮小する企業物価指数(PPI)をどう見るか?

本日、内閣府から10月の機械受注が、また、日銀から11月の企業物価 (PPI)が、それぞれ公表されています。機械受注は変動の激しい船舶と電力を除くコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+4.1%増の8783億円を記録し、企業物価はヘッドラインの国内物価上昇率は前年同月比で▲2.2%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、10月4.1%増 非製造業が3年5カ月ぶり高水準
内閣府が12日発表した10月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月比4.1%増の8783億円だった。増加は3カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.1%増)を大幅に上回った。非製造業からの受注額が2013年5月以来3年5カ月ぶりの高い水準となり、全体をけん引した。
機械受注の基調判断は、過去3カ月の動向を踏まえ「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業からの受注額は1.4%減の3310億円と3カ月連続で減った。電子計算機で反動減が出た電気機械は26.2%減、非鉄金属も前月に原子力原動機などで大型受注があった反動で69.6%減と落ち込んだ。
非製造業からの受注額は4.6%増の5336億円と3カ月ぶりに増えた。発電機など内燃機関が増え、その他非製造業が56.0%増えた。農林漁業では農林機械や建設機械が伸び26.7%増になった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.6%減だった。内閣府は10-12月期見通しを5.9%減と開示していた。10月の実績を踏まえ、内閣府は「思ったほどのマイナスではないのかもしれない」との見方を示した。
11月の企業物価、前年比2.2%下落 米政策期待で前月比は上昇
日銀が12日に発表した11月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は99.1で、前年同月比で2.2%下落した。前年比で下落するのは20カ月連続。ただ、下げ幅は6カ月連続で縮小し、15年5月以来の小ささとなった。足元の商品価格の上昇や円安進行が物価下落を抑えている。
前月比では0.4%の上昇だった。米国の次期政権の政策期待や中国の公共事業拡大に急激な円安が重なり、銅や地金など非鉄金属の価格が上昇した。
円ベースの輸出物価は前月比で3.1%上昇、前年比で7.8%下落した。輸入物価は前月比で5.4%上昇し、前年比では10.2%下げた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち前年同月比で下落したのは504品目、上昇は226品目だった。下落と上昇の品目差は278品目で、10月の確報値(312品目)から縮小した。
日銀は企業物価の前月比での上昇について「石油輸出国機構(OPEC)の減産合意や中国の(鉱山に対する)環境規制といった供給要因に加え、米国や中国の財政政策への期待が要因」と指摘。その上で「実需といえるものはそれほど大きくない。供給要因や政策期待がいつまで続くのか注視していく」とした。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、その次の企業物価とも共通して、景気後退期を示しています。

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機械受注については、引用した記事にもある通り、コア機械受注が日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを上回って増加しましたが、注意すべきは、11月の米国大統領選挙の結果が出る前の調査結果であり、トランプ次期米国大統領の選出による円安などの前の状況を基にした統計であるという点です。ですから、季節調整済みの系列で見て、製造業は3か月連続の前月比マイナスですが、船舶と電力を除く非製造業+4.6%と増加し全体を押し上げています。円安前ですので、基本的には、マクロ経済の環境改善に伴う受注増と考えていますが、それほどすぐには発注が来るわけでもないでしょうし、もう少し長い目で設備投資環境を考える必要がありそうです。特に、次期米国大統領のトランプ効果としては円安と株高が短期的に生じており、企業収益の改善などを通じて設備投資にプラスの影響を及ぼすと考えられますが、TPP脱退などの通商政策をはじめとして、経済大国である米国の内向き政策が世界経済の先行き不透明感を増幅させる可能性も十分あり、引き続き、上のグラフの上のパネルに見られる通り、横ばい圏内の動きを示す可能性が高いと私は考えています。もっとも、明確な上向き基調に戻るのも時間の問題であり、さらに、日本経済の現在の実力からすれば、横ばい基調でもそれなりに堅調な動きを考えるべきです。ただ、消費をはじめとして内需に力強さは感じられません。逆に、人口減少下で人手不足は労働から設備資本への代替を促進します。またまた逆を考えれば、せっせと内部留保を溜め込む企業行動がどこまで合理的かも、私には理解できません。設備投資の先行きについては、いろいろと考える要素が多過ぎるような気がします。

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次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率、最後に、輸入物価のうちの円建て原油価格指数を、それぞれプロットしています。上の2つのペネルで影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、企業物価(PPI)上昇率はここ数か月でかなりマイナス幅を縮小させています。すなわち、今年5月には前年同月比で▲4.4%の下落だったのが、3か月後の8月には▲3.6%に縮小し、さらに3か月後の11月の統計では▲2.2%までマイナス幅が半減しました。特に、11月統計については国際商品市況の上昇が石油価格のみならず銅価格にも及び、川上の銅地金と川下の電力ケーブルなどの非鉄金属が大きなプラス寄与を示しています。ただ、11月統計ながらトランプ効果による円安の物価への影響はまだ大きくはないものと私は想像しています。もちろん、消費者物価(CPI)よりも川上のPPIに円安は早めに現れると考えるべきですので、年明け早々にも何らかの効果が見られると期待しています。ただ、国際商品市況や円安のCPIへの効果についてはさらに遅れることが確実で、来年半ばから後半ではないかと予想しています。なお、上のグラフの一番下のパネルにプロットした原油価格の前年同月比は11月で▲5.2%まで縮小しています。物価はかなり粘着的な指標ですが、来年にはPPIで前年同月比プラスに転じ、うまく行けば年後半にもCPIがプラス転換する可能性があると受け止めています。ただ、日銀の物価目標であるCPI+2%はまだ先が長い可能性があります。

最後にどうでもいいことながら、日本漢字能力検定協会による今年の漢字は「金」だったそうです。さらにどうでもいいことながら、2位は「選」、3位は「変」だったそうです。ご参考まで。
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2016年12月11日 (日) 17:33:00

東洋経済オンラインによる生涯給料の高い会社やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、11月29日付けの東洋経済オンラインの生涯給料「全国トップ500社」ランキングのうち、50位までのランキングは以下の通りです。

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2016年12月09日 (金) 20:11:00

法人企業景気予測調査に見られる企業マインドは改善を示す!

本日、財務省から10-12月期の法人企業景気予測調査が公表されています。統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は7-9月期の+1.9から上昇して+3.0を記録しています。さらに、来年2017年1-3月期は+3.2と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月の大企業景況感、2期連続プラス 法人企業景気予測調査
財務省と内閣府が9日発表した法人企業景気予測調査によると、10-12月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス3.0だった。化学工業や卸売業がけん引し2期連続のプラスとなった。前回調査の7-9月期はプラス1.9だった。
10-12月期は大企業のうち製造業はプラス7.5となり、7-9月期のプラス2.9から大幅に改善した。医薬品や住宅関連部材が好調な化学工業や印刷業関連が押し上げた。
非製造業はプラス0.7だった。原油価格が安定して卸売業や広告収入が増えた情報通信業が寄与した。7-9月期のプラス1.4からは悪化した。
先行き2017年1-3月期の見通しはプラス3.2で、製造業がプラス4.6、非製造業がプラス2.4だった。4-6月期はマイナス0.4となった。電気機械器具や生産用機械器具製造業が海外の需要減や円高で悪化に転じた。財務省と内閣府は総括判断を「企業の景況感は慎重さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として前回の判断を据え置いた。
16年度の設備投資見通しは前年度比2.5%増だった。加工食品向けに食料品製造業やスマホや自動車関連部材の投資が増えている化学工業が伸びた。前回調査の4.9%増からは減少した。経常利益は前年より円高が進んだことにより自動車や情報通信機械器具製造業の利益が減少し6.9%減の見通しとなっている。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は11月15日時点。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、今週は消費者マインドの指標である消費者態度指数と景気ウォッチャーも公表され、企業マインドのこの法人企業景気予測調査とともに、各種マインド指標が明らかにされ、来週12月14日には日銀短観も公表されます。この法人企業景気予測調査の結果を見る限り、大企業と中堅企業の景況感は来年2017年1-3月期がピークで、上の大企業のグラフに見られる通り、来年4-6月期には景況感は悪化を示しマイナスに突っ込むと予想されています。この統計のクセともいえますが、足元のプラス幅が大きくないので、少しのスイングでマイナスになることもあり得るのかもしれません。ただ、消費者マインド、企業マインドともに最悪期を脱しつつあるんではないかと考えられ、日を改めて取り上げる予定の日銀短観予想でも景況感は上向くとの予想を見かけます。個別項目では、雇用に引き続き不足感が広がっています。特に人材確保が難しい集権・中小企業が大企業に比較して人手不足感が大きいとの結果で、産業別では機械で代替できない部分の大きな非製造業の不足感が高くなっています。引用した記事にもある通り、今年度2016年度の設備投資計画は全産業全規模で+2.5%に上っています。上期は▲0.7%減に沈むものの、下半期に+5.2%と大きく伸びる計画となっており、やや疑問に感じなくもありませんが、製造業で設備投資の伸びが高いのは理解できるところです。

繰り返しになりますが、企業マインドの典型的な指標である日銀短観が来週12月14日に明らかにされます。いくつかパラパラと見ていると、景況感の上昇を予想する向きが多いんですが、来週になってから日を改めて取り上げたいと思います。
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2016年12月08日 (木) 19:48:00

下方修正されたGDP統計2次QEは日本経済の停滞を示唆するのか?

本日、内閣府から7-9月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は1次QEの+0.5%から+0.3%にやや下方修正されています。外需中心ながら、まずまずの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月GDP改定値、設備投資下振れで年1.3%増に下方修正
内閣府が8日発表した2016年7-9月期の国内総生産(GDP)改定値の伸び率は物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算では1.3%増だった。設備投資が下振れし速報値(前期比0.5%増、年率2.2%増)から下方修正された。今回の改定値から推計方法と基準年が見直され、数値が改定されている。
QUICKが7日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.6%増、年率2.3%増)を下回った。
実質GDPの伸び率を需要項目別にみると、設備投資は前期比0.0%増から0.4%減に下方修正した。法人企業統計で不動産や鉄鋼などの設備投資が減少に影響した。民間在庫の寄与度も速報値のマイナス0.1ポイントからマイナス0.3ポイントに下振れした。原材料や仕掛かり品在庫に加え、製品在庫も下方改定された。
公共投資は9月の建設総合統計が堅調だったことから、0.7%減から0.1%増となった。個人消費も飲料やテレビ、宿泊施設サービスなどの消費が好調で0.3%増と速報段階の0.1%増から上方修正された。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.0ポイント(速報値はプラス0.1ポイント)となった。輸出から輸入を差し引いた外需はプラス0.3ポイントとなり、プラス0.5ポイントから減少した。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.1%増(0.2%増)、年率では0.5%増(0.8%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期と比べてマイナス0.2%となった。
16年7-9月期の名目GDPは年換算で537兆円となり、これまで最大だった1997年10-12月期の524兆円を上回った。今回の改定値で05年から11年への基準年の改定と国連の新たな国際基準が適用され、企業の研究開発費や防衛装備品などが投資としてGDPに算入されるようになったため。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2015/7-92015/10-122016/1-32016/4-62016/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.2▲0.4+0.7+0.5+0.5+0.3
民間消費+0.5▲0.7+0.4+0.2+0.1+0.3
民間住宅+1.8▲1.2+1.3+3.5+2.3+2.6
民間設備+0.6+0.4▲0.3+1.4+0.0▲0.4
民間在庫 *(▲0.2)(▲0.1)(▲0.1)(+0.2)(▲0.1)(▲0.3)
公的需要+0.2+0.0+1.0▲0.6+0.2+0.3
内需寄与度 *(+0.3)(▲0.5)(+0.3)(+0.5)(+0.1)(▲0.0)
外需寄与度 *(▲0.1)(+0.1)(+0.4)(▲0.1)(+0.5)(+0.3)
輸出+2.1▲0.6+0.8▲1.3+2.0+1.6
輸入+2.5▲0.9▲1.2▲0.9▲0.6▲0.4
国内総所得 (GDI)+0.6▲0.3+1.2+0.6+0.4+0.3
国民総所得 (GNI)+0.5▲0.2+0.8+0.4+0.3+0.1
名目GDP+0.6▲0.3+0.8+0.2+0.2+0.1
雇用者報酬+0.8+0.4+1.2+0.4+0.7+0.8
GDPデフレータ+1.8+1.5+0.9+0.4▲0.1▲0.2
内需デフレータ+0.0▲0.0▲0.3▲0.7▲1.0▲0.8


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2016年7-9月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、特に、黒い外需が大きくプラス寄与している一方で、灰色の民間在庫がマイナス寄与して在庫調整が進んでいるのが見て取れます。

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まず、成長率の下方修正については、基本的に、前々期の1-3月期と前期の4-6月期のそれぞれの成長率が上方改定されていて、発射台が高くなっていますので、やや7-6月期の成長率が低まったように見える点も考慮すべきでしょう。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比+0.6%、前期比年率2.3%でしたから、ずいぶんと下振れした印象がありますが、発射台の違いとともに、需要項目別で見ても、在庫調整に伴うマイナス寄与の拡大もあり、それほど悲観的に受け止める必要はないものと私は考えています。もちろん、下のグラフに関連して後に見る通り、今回の2次QEの公表に関しては基準改定に加えて、1993SNAから2008SNAへの国連マニュアルのアップデートに従った大幅な見直しの結果ですから、この程度の修正はあり得ると多くのエコノミストは考えていたんではないでしょうか。すなわち、1次QEから1か月を経過したことに伴う新たな経済指標が、景気動向によって下振れしているわけではないと考えるべきです。ですから、7-9月期は外需主導ながら、消費も底入れを示して来ており、3四半期連続のプラス成長でもありますので、日本経済がいわゆる踊り場を脱却して、持ち直しの動きに復帰する方向にあるとの見方を示すエコノミストも私だけでなく少なくないものと予想しています。ただし、BREXITに始まったEUの動揺、TPPからの離脱をはじめとするトランプ次期米国大統領の経済政策動向などなど、先行きリスクはまだまだたくさん残されています。

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今回2次QEについては、第1回目の年次推計、いわゆる確報の作業とともに、実質と名目の基準を2005年から2011年に新しくする基準改定、そして、何よりも準拠する国連マニュアルを1993SNAから2008SNAにアップデートするという、極めて大規模な改定でした。国連マニュアルのアップデートにより、従来から明らかにされていた通り、企業活動のうちの研究開発(R&D)が資本化されて設備投資に算入されることなどにより設備投資額のかさ上げがなされています。他の項目と含めて、2005年から2011年への基準改定の影響を除く意味で、名目GDPの実額の水準をプロットしたのが上のグラフです。水色の棒グラフが従来の統計で、赤い上乗せ部分が今回の大規模改定に伴って生じたかさ上げ部分です。2015年度で32兆円近くになります。安倍内閣の名目GDP600兆円の目標が近づいたのかもしれません。

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最後に、GDP統計を離れて、本日、内閣府から11月の景気ウォッチャーが、また、財務省から10月の経常収支が、それぞれ公表されています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、下のパネルは青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。いずれも季節調整済みの系列です。景気ウォッチャーの力強い回復が印象的です。
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2016年12月07日 (水) 19:18:00

OECDによる学習到達度調査(PISA)2015の結果やいかに?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から昨年2015年に実施された学習到達度調査 (Programme for International Student Assessment, PISA) の結果が発表されています。72か国・地域の15歳約54万人を対象に実施されており、平均得点でみた日本のランクは科学的リテラシーが2位、数学的リテラシーが5位であり、ともにOECD加盟国の中ではトップであるとともに、前回2012年調査のランクを上回り、トップレベルの水準を維持した一方で、読解力は8位(OECD加盟国の中では6位)で順位が下がるなど、いくつかの課題も見受けられたようです。このブログでは国際機関のリポートを紹介するのをひとつの特徴にしているんですが、OECDのサイトから報告書を入手したものの、今日の時点では、第1巻だけで500ページ近いボリュームですので、読み切れているハズもなく、国立教育政策研究所のサイトにアップされている資料から図表も引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイント」から、平均得点及び順位の推移のグラフを引用しています。繰り返しになりますが、我が日本の15歳は科学的リテラシーで72か国中2位、数学的リテラシーでも5位と、世界のトップクラスに君臨しています。読解力でも8位と、前回よりは少し順位を落としたものの、イイセン行っているのは明らかです。なお、示しているPISAは3年に1回実施され、前回の結果は当然3年前で、このブログでも2013年12月4日付けで取り上げています。上のグラフを見ても判る通り、2003年に我が国の順位が急落しており、PISAショックといわれて、「ゆとり教育」に起因する学力低下への批判が集まり、文部科学省は学習指導要領を改訂し、小中学校の授業時間や学習内容を増やすなどの対応が取られています。

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続いて、上のグラフは同じ「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイント」から、全参加国・地域(72か国・地域)における比較のテーブルを引用しています。見て明らかな通り、科学的リテラシーで日本の上に立ったトップ国はシンガポールです。15位までに我が国を含めてアジアから7か国・地域がランクインしています。また、数学的リテラシーで日本を上回ったのはトップから順に、やっぱりシンガポール、香港、マカオ、台湾とアジアの各国・地域がズラリと並びました。また、5位の日本の後には北京・上海・江蘇・広東、韓国と続き、8位になってようやく欧米の国としてスイスが入っています。読解力でもトップはシンガポールとなっていて、他の科目ほどはアジアからランクインしていないのがひとつの特徴かもしれません。なお、今回のPISAは初めて手書きではなくパソコンを使って解答する方式で行われたそうで、日本の平均点が3分野とも前回を下回ったり、特に、読解力で大きく下がった点について、紙の試験に手書きで回答する方式がほとんどの日本の生徒が混乱した可能性を文部科学省は指摘しているようです。

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3年前も同じグラフを引用したんですが、PISA 2015 Results VOLUME I p.62 Figure I.2.7 Science performance and per capita GDP を引用したのが上のグラフです。もっとも、少しデフォルメしており、大きな赤いマーカが日本です。当然ながら、縦軸の科学リテラシーのスコアと横軸の1人当たりGDPで代理されている経済的な豊かさは緩やかな正の相関を有しており、我が国はその1次の近似ラインの上方に位置しているわけですから、科学的リテラシーがムダに高い、というか、逆から見て、15歳時点での科学的リテラシーを1人当たりGDPに反映し切れていない、ということになろうかと思います。

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次に、上のグラフは、同じく PISA 2015 Results VOLUME I p.188 から Figure I.5.6 Relationship between change in mathematics performance and students' exposure to computers in 2012 のうちの右側の Use of computers in mathematics lessons を引用しています。これまた同じように、少しデフォルメしており、大きな赤いマーカが日本です。横軸が数学の授業でコンピュータを使う割合であり、日本はわずかに24%と低くなっていて、それでも、縦軸のPISA2012から2015への数学的リテラシーのスコアの落ち方は近似ラインの上を行っています。すなわち、数学授業でのコンピュータ利用が少ないにもかかわらず、スコアの落ち方は小さく、15歳の少年少女は政府の貧困な教育政策にもかかわらず、世界平均に比較してがんばっているわけです。ですから、教育政策がもっと充実すれば、まさに、デンマークやノルウェイのような成果を出せる可能性を持っていると考えるべきです。悪いのは教育政策であって、15歳の少年少女の能力ではありません。PISAに関して最後に、メディアでは読解力の低下が大問題のように取り上げている雰囲気を私は感じますが、我が国の生徒はほぼ世界のトップクラスにあり、スコアに現れている能力の向上には彼らの努力だけではなく、教育政策のさらなる充実が求められると考えるべきです。

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最後に、本日、内閣府から10月の景気動向指数が公表されています。CI一致指数は前月から+1.4ポイント上昇の113.9を示した一方で、CI先行指数は+1.0ポイント上昇して101.0を記録しました。この結果に基づいて、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「足踏み」から「改善」に引き上げています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルがCI一致指数とCI先行指数、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。
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2016年12月06日 (火) 19:22:00

毎月勤労統計に見る賃金動向は上昇の気配なし!

本日、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から+0.1%増と、生産に歩調を合わせてほぼ横ばいだった一方で、現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.3%の伸びとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質賃金、10月は横ばい 天候不順で物価上昇
伸び率8カ月ぶり低水準

厚生労働省が6日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて横ばいだった。増加が止まったのは9カ月ぶり。天候不順で物価がやや上昇したことで、名目での小幅な増加がかき消された形だ。
名目にあたる従業員1人当たりの現金給与総額は26万6802円と、前年同月比0.1%増加した。増加は3カ月ぶり。名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は0.3%増の24万655円で、名目賃金の増加をけん引した。基本給の増加は4カ月連続だ。
内訳をみると一般労働者の所定内給与は0.2%増だった。一般労働者の所定内給与は2年6カ月連続で前年同月を上回っている。パートタイム労働者は0.3%増だった。業種別では人手不足が深刻といわれる建設業で現金給与総額の増加が目立った。
実質賃金は名目賃金から物価上昇分を差し引いて計算する。10月は天候不順で野菜などの生鮮食品の価格が高騰し、物価全体を押し上げた。10月の消費者物価指数(CPI)は、持ち家の帰属家賃を除く総合で前年同月比0.1%上昇していた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、1番下の3番目のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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所定外労働時間の動向については、最近ほぼ横ばいを続けている鉱工業生産指数と整合的に動いていると私は認識しています。雇用や労働については生産の派生需要ですから、当然といえます。また、賃金については基本的に名目で私は見ているんですが、いわゆる恒常所得部分の所定内賃金については、ほぼ安定的に前年比でプラスを記録するようになったと受け止めています。ただし、引用した記事にある通り、消費者物価上昇率でデフレートした実質賃金は、天候不順に起因する野菜価格の高騰などから、最近時点で急ブレーキがかかっているのも事実です。すなわち、所定内給与だけでなく現金給与総額で見た実質賃金の前年同月比は、今夏のボーナスが好調だったこともあって、6月+2.0%増、7月+1.8%増の後、8月+0.6%増、9月+0.8%増と伸びを縮小させて、直近統計の10月速報ではとうとう前年から伸びゼロの保合いになってしまいました。このあたりが昨日公表された消費者態度指数に現れたマインドの低迷にもつながっているのであろうと私は考えています。
ただし、上のグラフの一番下3番目のパネルを見て、フルタイムの一般労働者の伸びが、速報段階ながら、とうとうパートタイム労働者を超えました。かねてよりこのブログでも主張している通り、ほぼほぼ完全雇用に近い人手不足の現在の労働市場では、賃上げではなく正規雇用の増加という雇用の質の改善の方向に進むのかもしれません。でも、正規雇用の増加とともに、賃金も上がるのが何といってもベストであろうと考えるエコノミストは私だけではなかろうと思います。
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2016年12月05日 (月) 20:48:00

基調判断が下方修正された消費者態度指数の悪化の主因は野菜価格か?

本日、内閣府から11月の消費者態度指数が公表されています。前月から▲前月比1.4ポイント低下して40.9を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の消費者態度指数が低下 基調判断9カ月ぶり下方修正
内閣府が5日発表した11月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比1.4ポイント低下の40.9だった。前月を下回るのは2カ月連続。夏場の天候不順による生鮮野菜の価格高騰が重荷となった。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」とし、前月の「持ち直しの動きがみられる」から引き下げた。下方修正は9カ月ぶり。
指数を構成する4指標は全て低下した。「暮らし向き」は1.3ポイント低下の40.1、「雇用環境」は2.3ポイント低下の42.5だった。昨年に比べてボーナスの伸びが鈍化するとの観測が出ていることが響き「収入の増え方」は40.4と0.6ポイント低下した。
1年後の物価見通しについて「上昇する」と答えた比率(原数値)は74.2%と、前月から0.4ポイント上昇した。
調査基準日は11月15日。全国8400世帯が対象で、有効回答数は5576世帯、回答率は66.4%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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11月統計では、引用した記事で指摘されている通り、消費者態度指数を構成する消費者意識指標4項目がすべて前月から下降を示しています。すなわち、マイナス幅の大きい順に、雇用環境が▲2.3ポイント低下し42.5、耐久消費財の買い時判断が▲1.4ポイント低下し40.5、暮らし向きが▲1.3ポイント低下し40.1、収入の増え方が▲0.6ポイント低下し40.4を、それぞれ記録しています。消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントすべてが2か月連続で前月から低下しており、統計作成官庁である内閣府では前月までの「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」と、持ち直しの動きについては肯定しつつも、その動きが緩やかになっているとし、基調判断を半ノッチ下方修正しています。
短期的に、この1年ほどの消費者マインドの動きを大雑把に振り返ると、2015年年末から2016年年始にかけての水準から、今年2016年に入っての円高や金融市場の動揺に伴い、2016年2月に40.1と直近の底を打った後、9月の43.0まで緩やかに上昇を続けたんですが、その9月から10月にかけての天候不順に伴う野菜の価格高騰などから、再び消費者マインドは低下しています。確かに、私がスーパーマーケットなどで見かける限り、ここ2-3年季節果物のミカンが高く、大好きな私でもなかなか手が出せないのは別の話としても、最近では野菜価格が高騰しているのは明らかです。かつては100円くらいだったブロッコリーも、最近では250円の値がついていることもめずらしくありません。引用した記事でも、こういった野菜価格が消費者マインドに及ぼす影響をクローズアップしていたりします。それだけに、トランプ次期米国大統領の政策動向によって、TPPが不成立に終わるのは残念であるという気がします。
もっとも、ここ2か月、すなわち、10-11月の2か月で消費者態度指数が合わせて▲2.1ポイント低下していて、4つのコンポーネントの中でもっとも低下幅が大きいのが雇用環境です。10-11月の2か月で合わせて▲3.7ポイントの低下を示しています。8-9月の2か月で合わせて+3.2ポイント上昇した反動かもしれませんし、まだ、4つの構成項目の中ではもっとも水準が高いことから、現時点では何ともいえませんが、これだけ失業率が低くて有効求人倍率も上昇している中で、この10-11月に雇用環境に関するマインドが大きく低下したのはパズルです。私なんぞは、やっぱり、お給料がよかったり、正社員だったりする、という意味で、いい条件の職が見つかりにくいのだろうかと思わないでもないですし、ほかに、求人と求職のマッチングの問題など、いろいろと想像しています。明日、厚生労働省から公表予定の毎月勤労統計も参考にしたいと思います。
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2016年12月03日 (土) 08:21:00

米国雇用統計は連邦準備制度理事会(FED)の年内利上げに追い風か?

日本時間の昨夜、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+178千人増とひとつの目安となる+200千人増の水準には達しないものの前月の+142千人増から伸びを加速させており、さらに、失業率は前月から0.3%ポイント下がって4.6%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから最初の4パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

President Obama Is Handing a Strong Economy to His Successor
Departing occupants of the White House rarely hand off an improving economy to a successor from the opposing party.
When Barack Obama was waiting in the wings after the 2008 presidential election, for example, the economy was in a severe downward spiral: Employers reported cutting 533,000 jobs that November, the biggest monthly loss in a generation.
But according to the government's report on Friday, Donald J. Trump can expect to inherit an economy that has added private sector jobs for 80 months, put another 178,000 people on payrolls last month and pushed the unemployment rate down to 4.6 percent today from 4.9 percent the previous month. Wage growth, though slower, is still running ahead of inflation, and consumers are expressing the highest levels of confidence in nearly a decade.
The Federal Reserve is confident enough about the economy's underlying strength that it is now set to raise the benchmark interest rate when it meets later this month.


この後、さらにエコノミストなどへのインタビューや米国大統領選へのインプリケーションの分析が続きます。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、非農業部門雇用者の増加は9月に+208千人増、10月に142千人増の後、11月に178千人増を記録し、市場の事前コンセンサスが180千人増くらいでしたから、ほぼジャストミートしたカンジです。他方で、失業率が4.6%まで低下し、ほぼ完全雇用に近い水準と考えるべきです。全体としての米国雇用は堅調であると見受けられますが、相変わらず、専門サービス、ヘルスケアなどのサービス業の雇用が順調に伸びている一方で、トランプ次期米国大統領が選挙戦で訴えてきたメインストリートの製造業はわずかながら4か月連続で減少しています。これも貿易制限的な政策への志向が強まる懸念のひとつかもしれません。同時に、トランプ次期米国大統領は海外進出を図る企業への課税措置にも言及していると報じられており、こういった内向きの政策が米国経済に何らかの影響を生ずる可能性は否定できません。
この雇用統計に加えて、先日の7-9月期GDP成長率+3.2%とか、その前の10月の小売売上とか、米国経済の堅調な指標が目白押しとなっており、12月13-14日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げにかなり強いフォローの風が吹いている、と考えるべきです。イエレン議長らのFED高官も次回FOMCでの利上げを示唆しています。ただ、FEDが米国政府から独立しているとはいえ、大統領選挙が終わったばかりの段階で、しかも、かなり異色な経済政策スタンスを明らかにしているトランプ次期米国大統領に対して、5500億ドルのインフラ整備などの経済政策と金融政策の整合性をどのように確保するのかは大きな課題です。すくなくとも、インフレ圧力が大きいとはいえない物価情勢もあり、私自身は利上げの確率がかなり高いと考えるものの、決して確実ではあり得ません。経済指標以外にいろいろと考慮すべき点が多いような気がします。

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また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、まずまず、コンスタントに+2%のラインを上回って安定して推移していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性はほぼなさそうに見えます。
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2016年12月02日 (金) 21:33:00

来週発表のGDP統計2次QEの予想やいかに?

昨日の法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が明らかにされ、来週木曜日の12月8日に7-9月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定です。シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の今年10-12月期以降を重視して拾おうとしています。しかしながら、明示的に取り上げているシンクタンクは、みずほ総研だけであり、いくぶんなりとも言及があるのも第一生命経済研くらいでした。この2機関については、やや長めに先行き予想をリポートから引用しています。ほかは短くヘッドラインの成長率だけの引用です。何せ、2次QEですので、アッサリと終っているリポートも少なくありませんでした。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.5%
(+2.2%)
n.a.
日本総研+0.4%
(+1.7%)
7-9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資、公共投資が上方修正、在庫変動が下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.7%(前期比+0.4%)と1次QE(前期比年率+2.2%、前期比+0.5%)から下方修正される見込み。
みずほ総研+0.6%
(+2.5%)
2016年10-12月期以降を展望すると、7-9月期の押し上げに寄与した一時的要因(新型スマートフォン向けの部品出荷など)が徐々に剥落する一方、経済対策に伴う公共投資の執行などが下支えとなり、景気は緩やかに持ち直していくと予想される。今週発表された10月の鉱工業生産(前月比+0.1%、11/30)や小売業販売額(同+2.5%、11/29)が堅調な結果だったことは、10-12月期に景気が持ち直すとの見方を裏付ける材料といえる。
ニッセイ基礎研+0.6%
(+2.4%)
12/8公表予定の16年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.4%)になると予測する。1次速報の前期比0.5%(前期比年率2.2%)とほぼ変わらないだろう。
第一生命経済研+0.6%
(+2.3%)
1次速報から景気認識に変更を迫るようなものにはならないだろう。16年1-3月期以降、3四半期連続のプラス成長であり、7-9月期は伸び率も高い。内需に弱さが残る点に物足りなさはあるものの、景気が長らく続いた踊り場を脱し、緩やかに持ち直しつつあると評価して良いのではないか。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.7%)
2016年7-9月期の実質GDP成長率は現行統計ベースで前期比+0.4%(年率+1.7%)へ下方修正されると予想。公共投資が上方修正される一方、設備投資や在庫投資が下方修正される見込み。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.4%
(+1.7%)
実質GDP成長率が、1次速報の前期比年率+2.2%から同1.7%に下方修正されると予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.0%)
12月8日に発表される予定の2016年7-9 月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、設備投資、公共投資が若干下方修正される可能性があるが、1次速報値の前期比+0.5%から変化はないであろう(ただし、年率換算値では+2.2%から+2.0%に下方修正される見込み)。
三菱総研+0.6%
(+2.5%)
2016年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.6%(年率+2.5%)と、1次速報値から同+0.1%p(年率+0.3%p)の上方修正を予測する。


ということで、昨夜のブログでは私の直観として設備投資の上方修正で成長率も1次QEから上方改定、と書いたんですが、シンクタンクなどでは半々ないしやや下方修正の方が多いくらいかもしれません。いずれにせよ、緩やかながらのコンセンサスとして、大きな修正はない、加えて、景気は緩やかに回復している、の2点は共通しているような気がします。ただし、ほぼすべての機関で指摘されている点として、今回のGDP統計の推計から2008SNAに準拠することとなり何らかの不連続な統計になる可能性が否定しきれず、ハッキリいって、何が起こるか判りません。少なくとも、GDPの実額はかなり上振れするものと思いますが、伸び率=成長率に何が起こっているかは私には判りかねます。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。

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