2017年09月15日 (金) 21:33:00

東洋経済オンラインによる40歳平均年収「63業界」ランキングやいかに?

先週金曜日9月8日付けで東洋経済オンラインから40歳平均年収「63業界」ランキングが明らかにされています。以下のテーブルの通りです。

photo


実は、大学の3年生になる上の倅と先週に進路に関する雑談をしました。倅のいうところによれば、上のテーブルのトップを飾ったコンサルとか、外資系の投資銀行などは、確かに高給は高給だが、メチャメチャ働かされる、とのうわさを耳にする、ということのようでした。私が大学生だったころは、やっぱり、銀行とか商社とか、あるいは、生損保などが人気で、銀行や商社はハードワークだといわれていて、私にはムリだろうと考えた記憶があります。お給料やワーク・ライフ・バランスのほかに、さらに考慮すべきは勤務地で、私が入ったお役所は2000年の省庁再編前は地方支分部局がなくて、東京だけにオフィスのある役所だったんですが、そもそも、なぜか国際派になってしまった私は海外勤務を2度に渡って計6年余り経験しましたので、国内での転勤よりもある意味でハードだったかもしれません。いうまでもなく、2度目の海外勤務のジャカルタには倅も連れて行っています。商社のような国際派に適した職場もあれば、ややドメっぽいながら全国に支店網を持つ生保のような会社もあります。そのあたりも考えどころなんでしょう。
Entry No.5498  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月14日 (木) 22:10:00

終盤から延長戦で決定打なく巨人に勝てず引き分け!

 十一十二 RHE
読  売000000011000 2100
阪  神200000000000 290


この3連戦で、どうしても巨人に勝てませんでした。阪神恒例の9月の大失速の原因であるリリーフ陣の疲労蓄積は現在の阪神ベンチには認識されていないようで、先発秋山投手を早々に降板させて継投に入りましたが、やっぱり終盤で巨人に追いつかれました。9回から延長戦は塁上を賑わせたんですが、これまたおなじみの決定打に欠け、勝利にはつながりませんでした。代打に送り出された若手のバッターが、あれだけ選球眼悪くボール球を振り回していては、打てようハズもありません。

消化試合はほどほどに、
がんばれタイガース!
Entry No.5497  |  阪神タイガースの日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(1)  |  to page top ↑

2017年09月14日 (木) 19:21:00

今日は私の誕生日!

今日は私の誕生日です。着々と定年に近づいています。体力もかなり衰えを感じています。気力はもともとそれほど充実していません。我が家の恒例のくす玉のフラッシュを置いておきます。めでたいとお考えの向きはクリックして、くす玉を割って下されば幸いです。



なお、私と同じおとめ座の生まれである下の倅の誕生日を今年はすっかり失念していました。ご本人には少し遅れて祝意を伝達しておきましたが、誠に痛恨の極みです。
Entry No.5496  |  記念日の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月13日 (水) 21:45:00

先発岩田投手が序盤で試合を壊して巨人にボロ負け!

  RHE
読  売060100000 7152
阪  神000000002 2112


先発岩田投手が序盤で試合を壊して巨人にボロ負けでした。ここに来て、阪神恒例の9月の大失速が出たんですが、打線も塁上を賑わして11安打を放ちながら決定打が出ませんでした。クライマックス・シリーズはもし出られたとしても、もちろん、出られないかもしれませんが、まったく期待できないと思ってしまいました。広島と巨人には勝てるような気がしません。

消化試合はムリすることなく、
がんばれタイガース!
Entry No.5495  |  阪神タイガースの日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(1)  |  to page top ↑

2017年09月13日 (水) 19:22:00

さらに上昇幅を拡大した企業物価(PPI)と大企業景況感がプラスに戻った法人企業景気予測調査をどう見るか?

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI)が、また、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+2.9%を示した一方で、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は4~6月期の▲2.0の後、7~9月期にはを+5.1記録し、先行きについては、10~12月期は+7.5に、また、来年2018年1~3月期は+5.6と、それぞれプラスを維持すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業物価指数、前年比2.9%上昇 8年10カ月ぶり伸び率
日銀が13日に発表した8月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.8で、前年同月比で2.9%上昇した。伸び率は7月(2.6%)から拡大し、消費税の影響を除くと2008年10月(4.5%)以来8年10カ月ぶりの大きさとなった。8カ月連続の上昇となる。前年比での原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品の価格が上げ幅を広げた。
前月比では横ばいだった。中国の需要増加を背景に8月に銅の国際価格や古紙の価格が上昇した。世界的に自動車の需要が好調で中国やトルコが粗鋼の生産を増やし、鉄鉱石が上昇したため、競合する鉄くずの価格も上がった。一方で、原料の値下がりで化学製品が下落したほか、今夏の天候不順でバーベキューなどの行楽需要が不振となり、牛肉の価格も下落した。
円ベースの輸出物価は前年比で8.6%上昇し、13年12月(12.7%)以来の伸び率となった。前月比では0.5%下落した。輸入物価は前年比で12.5%上昇し、14年1月(12.7%)以来の伸び率となった。前月比では1.3%下落した。為替相場が前年比で円安、前月比では円高となったことが影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは390品目、下落したのは256品目だった。上昇と下落の品目差は134品目と、7月の確報値(79品目)から55品目拡大した。
日銀の調査統計局は「中国の景気や国内の天候不順、地政学リスクが物価に与える影響を今後も注視していく」との見解を示した。
7~9月の大企業景況感、2期ぶりプラス 法人企業景気予測調査
財務省と内閣府が13日発表した法人企業景気予測調査によると、7~9月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス5.1だった。情報通信機械器具や生産用機械器具を中心とした製造業がけん引し、2期ぶりにプラスとなった。前回調査の4~6月期はマイナス2.0だった。
7~9月期は大企業のうち、製造業がプラス9.4となった。情報通信機械器具製造業で自動車やスマートフォン(スマホ)向けの電子部品が好調なことや、生産用機械器具製造業で半導体関連の製造装置の需要が増加したことなどが全体の景況感を押し上げた。4~6月期のマイナス2.9から大幅に改善した。
非製造業はプラス2.9となり、前回調査のマイナス1.6から改善した。建設業で建築需要が堅調に推移しているのに加え、サービス業のうち宿泊業や娯楽業での来客数増加などが寄与した。
先行き10~12月期の見通しはプラス7.5で、製造業がプラス11.2、非製造業がプラス5.7だった。2018年1~3月期は全産業でプラス5.6となった。財務省と内閣府の総括コメントは「緩やかな回復基調が続いている」となり、前回調査時の「企業の景況感は慎重さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と比べてやや明るさがみられた。
17年度の設備投資は前年度比で3.9%増加する見込みとなった。情報通信機械器具製造業のでスマホ向け電子部品の生産能力増強などが見込まれている。前回調査の3.8%増も小幅に上回った。経常利益の17年度見込みは0.6%増となり前回調査の0.4%減から改善がみられた。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は8月15日時点。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計2本の記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、最初のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、真ん中の2番目は需要段階別の上昇率、そして、最後の3番目は原油価格の指数そのものを、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2枚のパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


ということで、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で見て、8月は+3.0%の上昇と、前月7月の+2.6%からさらに上昇幅を拡大しています。ただ、上昇幅拡大の主因は電気やガスなどのエネルギー関連の価格上昇であり、国際商品市況における石油価格の上昇がラグを伴って波及しているだけという気もします。上のグラフの中の一番下のパネルでは原油価格の指数をそのままプロットしていますが、前年同月比上昇率のベースでは、今年2017年1~3月期の各月に+90%超の大幅な上昇を記録した後、すでに上昇率ではピークアウトし、直近8月統計では+20.0%まで上昇幅が縮小して来ていますが、昨年の指数のボトムは8月ですし、9~10月も指数のレベルは低くて、今年9~10月の指数が8月と同じであれば、まだ2ケタ上昇が続くことになります。いずれにせよ、国際商品市況で決まる価格ですので先行きは見通しがたいんですが、大幅な価格上昇の時期は過ぎた気もします。ですから、金融政策というよりも国際商品市況におけるエネルギー価格からの影響の強いPPI上昇率の先行きについては、このまま上昇幅がさらに拡大することは考えにくいと私は受け止めています。

photo


続いて、上のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフロデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。ただ、跛行性が見られるのも確かで、規模の大きな企業ほどマインドは改善し、非製造業よりも製造業の方が海外経済の恩恵を受けやすく、マインドはより大きく改善を示しています。足元の10~12月期では大企業の景況判断BSIが+7.5、中堅企業は+4.6、中小企業は+0.7となっています。また、個別項目では、人手不足感が広がっており、特に、中堅・中小企業では大企業よりも人材確保が困難なようで、今年12月末時点の見通しで、従業員数判断BSIの不足超が大企業で14.8に上る一方で、中堅企業では26.6、中小企業でも25.2を示しています。また、注目の設備投資については、ソフトウェア投資額を含む、土地購入額を除くベースで、全規模全産業で見て今年度2017年度は前年度比+3.9%増、うち、製造業+8.2%増、非製造業+1.5%増となっています。人手不足に伴う賃金の上昇や設備投資の増加が景気拡大の好循環につながることが期待されます。

どうでもいいことながら、米国のアップル社からiPhoneの新製品が明らかにされています。iPhone発売から10年ということのようです。我が国の携帯3社はiPhone 8については9月22日発売を明らかにしていますが、iPhone X については未定だそうです。価格が10万円を軽く上回るようです。
Entry No.5494  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月12日 (火) 19:43:00

中国SNS上の「聖地巡礼」スポット分析結果やいかに?

やや旧聞に属するトピックですが、8月29日付けでトレンドExpressから、中国の代表的なSNSである新浪微博上の聖地巡礼に関するクチコミ分析の結果が明らかにされています。下のテーブルの通りです。

photo


ということで、ダントツ1位は「君の名は。」の飛騨高山となっています。なお、中国では昨年末から封切られているそうです。2位には「ジブリ各作品」の三鷹市がランクインしています。もともと、三鷹の森ジブリ美術館や9位にランクインしている清水市のちびまる子ちゃんランドは人気のスポットではなかろうかと思います。我が家の子供達が小さかったころは、熊本にウルトラマン・ランドなるスポットがあったんですが、ジャカルタで暮らしているうちに行きそびれて、結局、2013年に閉鎖されてしまいました。本題に戻って、3位「夏目友人帳」の八代市、4位「スラムダンク」の鎌倉市は昨年の1位と2位の作品です。10位「新世紀エヴァンゲリオン」箱根町は、この時期にどうして、という気になったんですが、昨年2016年夏に上海のゲームショーで高さ25メートルのエヴァ初号機が公開され話題になったので注目を集めたようです。
中国では、最近になって、アニメ・マンガなどの舞台となった「聖地巡礼」が日本旅行の目的のひとつとして扱われ始め、メディアへの露出が増えてきているようです。2015年8月からのクチコミ件数推移を見てみると、夏に盛り上がりを見せていて、夏休みや卒業のシーズンで多くの若者が旅行に出かけており、「聖地」ブランドのターゲットは若者ということになりそうです。
Entry No.5493  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月11日 (月) 21:52:00

7月統計で大きくリバウンドした機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+8.0%増の8533億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注8.0%増、鉄道車両けん引 自動車は堅調維持
内閣府が11日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ8.0%増の8533億円だった。4カ月ぶりに増加し、伸び率は2016年1月以来の大きさとなった。鉄道車両でまとまった受注が重なったことが大きく寄与した。自動車関連の堅調も続いた。QUICK算出の市場予想(5.1%増)を大きく上回った。内閣府は7月の大幅増は単月として目立つものの「増勢が定着するか見極める必要がある」と指摘し、基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業が2.9%増と2カ月ぶりに増えた。自動車関連は0.8%増と伸び率は小さいが、2桁の伸び率となった前月(12.7%)の実績を上回った。その他製造業に含む合成樹脂加工機械にも関連した受注があったとみられ「自動車関連で好調が続いている」(内閣府経済社会総合研究所)。
非製造業は4.8%増と2カ月連続のプラスだった。運輸業・郵便業が64.9%増となり鉄道車両の寄与が全体を支えた面が大きく、内閣府は「想定された需要がようやく顕在化してきた」と指摘した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


機械受注統計は単月でのブレが大きいとはいえ、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比・前期比で見て、1~3月期▲1.4%減、4~6月期▲4.7%減と、2四半期連続で前期比マイナスを記録し、月次ベースでも、4月▲3.1%減、5月▲3.6%減、6月▲1.9%減と3か月連続のマイナスの後の7月+8.0%増ですから、反動増の要因もあります。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府では基調判断は「足踏み」で変更していません。上のグラフを見ても理解できるように、コア機械受注はほぼ横ばい圏内にあり、引用した記事の最後のパラにあるような需要の顕在化かどうかは、やや疑わしいと私は考えていますが、足元ではなくもう少し先を見通せば、設備投資は緩やかながら増加の方向にあると考えられます。ひとつには稼働率の上昇です。鉱工業生産指数のグループの一環に稼働率データがあり、季節調整済みの四半期データで見て、製造工業の稼働率指数が2016年1~3月期の96.1を底に、2017年4~6月期の101.9まで緩やかに上昇の方向にあります。私が役所に入ったころは、稼働率指数が90を超えると設備投資が増加し始めるという経験則があったんですが、指数の水準はともかく、稼働率の上昇が設備投資を増加させる方向性は変わらないと考えるべきです。それから、言い古された気がするものの、人手不足と2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備に伴う需要の盛り上がりも見逃せません。加えて、企業の供給サイドでも、業績の改善・高水準とともに、維持更新投資の必要も高まっていることから、かつてのように爆発的に設備投資が増加するという局面は考えにくいものの、緩やかに設備投資は増加の方向を示し、設備投資の先行指標であるコア機械受注はその動きに先立って増加に転じるものと私は予想しています。
Entry No.5492  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月10日 (日) 14:39:00

日本気象協会による紅葉の見ごろ予想やいかに?

photo


やや旧聞に属する話題ですが、先週9月6日に日本気象協会から第1回の紅葉の見ごろ予想が明らかにされています。日本気象協会のサイトから引用した上の画像の通りであり、東京周辺は平年並みの11月下旬といったところでしょうか。
ここ数年、残暑が厳しくて、夏からすぐに冬になってしまい、秋がとても短い気がしていたんですが、今年に限っては、8月がまるで梅雨のように雨が多くて日照時間が少なかった一方で、9月に入るとともに残暑もなく秋らしい気候になった気がします。予報でも暑さがぶり返すことはないように聞き及んでいます。今年もクールビズのノーネクタイは9月いっぱいですし、秋の夜長を楽しんで読書する季節になりつつあるようです。
Entry No.5491  |  普通の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月09日 (土) 13:27:00

今週の読書は直木賞受賞の佐藤正午『月の満ち欠け』ほか計7冊!

今週もまたまたオーバーペースで、やや読み過ぎた気がします。話題の経済書もありますが、今週の読書の目玉は何といっても直木賞の佐藤正午『月の満ち欠け』です。私は村上春樹の好きなハルキストですが、最近の小説ではダントツだった気がします。以下の7冊です。

photo


まず、ルトガー・ブレグマン『隷属なき道』(文藝春秋) です。著者はオランダ人のジャーナリストであり、広告収入にまったく頼らない「デ・コレスポンデント」の創立メンバーの1人だそうです。2014年に出されたオランダ語の原書は自費出版に近かったらしいんですが、アマゾンの自費出版サービスで英語に訳されると、今年2017年には世界20か国での出版が決まったといいます。英語のタイトルは Utopia for Realist となっています。ということで、本書の邦訳の副題は『AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働』となっていますが、決してAIやロボットとの競争だけを視野にしているわけではなく、特に格差についてその解消を目指していると考えるべきです。英国の有名なスピーナムランド制をはじめとして、カナダやインドなどで実施され、社会実験レベルのものまで含めたベーシック・インカムの効果に関する文献をひも解き、ベーシック・インカムが決して勤労を阻害したり、怠惰を招いたり、といった事実は観察されず、むしろ、貧困や格差の是正に役立っている点を強調しつつ、その上で、産業革命期から1980年代まで一貫して減少を示した労働時間が上昇に転じ、しかし、そういった中でも労働生産性は上昇を続けている、という事実を説得力ある方法で示しています。また、ありきたりな国民総幸福量、ブータンの例を引きつつ、こういった幸福度指標については明確に否定しています。ケインズの週15時間労働の予言にも触れつつ、正統派の経済学に基づいた方法でベーシック・インカムの利点を展開し、同時に、本書の終盤では国境を開放して自由な個人の行き来を推奨しています。決して、グローバル化を格差の原因として排除する議論には与していません。これも、正統派の経済学に立脚した議論といえます。ラッダイト運動の歴史に言及しつつ、AIとの競争には勝てないことを明言し、その意味では「敗北主義」っぽく見えなくもないんですが、私から見ればリアリストなんだろうと思えます。マルクス・エンゲルスのような左派経済学者に加えて、ケインズなどの正統派エコノミスト、さらに、ハイエクやフリードマンなどの右派まで幅広く引用して、左右両派のどちらからも支持されているベーシック・インカムの利点を浮き彫りにしています。AIによる職の代替可能性からベーシック・インカムが議論されることが多いんですが、あくまで私の信頼厚い左派からする議論かもしれませんが、格差是正まで含めて幅広い議論に資する良書だと思います。

photo


次に、大湾秀雄『日本の人事を科学する』(日本経済新聞出版社) です。著者は東大社研教授であり、専門分野は労働経済学や人事制度などであると私は認識しています。私は景気循環や開発経済などの中でも、マクロ経済を専門分野とするエコノミストであり、労働経済学とか、人的資源管理論とかのマイクロな分野は専門外なんですが、本書でも紹介される初歩的なミンサー型の賃金関数は推計して研究成果として取りまとめたことがあります。ということで、タイトルから勝手に想像して、マイクロな人事制度、すなわち、人事評価やそれに基づく人事異動による個々の労働者・雇用者の配置、さらに、評価に基づく職階とそれに連動する賃金水準の決定に関する議論を期待していたんですが、私の期待は裏切られました。わずかに関連するテーマは第4章の人事採用、それに、中間管理職の貢献の計測に関する議論だけでした。まあ、そうなんでしょうね。今話題の女性活躍推進、働き方改革、高齢化対応などのほか、定着率の向上などの人的資源管理に関するトピックが中心で、その前提として統計的・計量的な分析手法に関する簡単な解説などがあります。本書冒頭では、人事についてはいわゆるPDCAが回っていないと断言されており、人事に集まるデータを統計的・計量的に分析することにより、人事の過大に対応しようと試みています。ただ、先月8月26日付けの読書感想文で取り上げた山口一男『働き方の男女不平等』についても同じことを書きましたが、個々人の能力や生産性、あるいは、家庭環境などもひっくるめて人事で評価し最適な人事配置を行うことは、現在のシステムでは不可能と私は考えています。だからこそ、役所ほど典型的ではないとしても、大手企業などでは入社年次で管理されて来たわけであり、別の言葉でいえば、横並びで人事管理され、特に、大卒総合職の場合はゼネラリストとして、会社や役所などの組織にメンバーシップ参加し、無限定に指定された役割をこなす、という人事制度がまかり通って来たわけです。しかし、他方で、本書の p.237 で指摘されている通り、ゾクセイ、ニーズキャリアなどが大きく多様化し、単純な相対比較が難しくなった現時点で、どのような人事評価制度の下で評価を下し、各個人の適性や能力や生産性やその他の属性に従って、職階を上らせたり、あるいは、下らせたり、また、どういった役割でどの職場に配置するか、の労働力の最適配置論を考え直すべき時期に来ている気がします。もちろん、マイクロな人的資源管理論から派生して、マクロの経済社会全体の生産性やその生産性に基づくマクロ経済の成長や、さらにさらに、で、人口問題の緩和・解消などまで視野に収めた議論は華々しくていいんですが、人的資源管理論の本来の役割である個々人の処遇のあり方をすっ飛ばして、いきなりマクロの議論をしても合成の誤謬を生じるだけのような気がします。従って、もう20年近くも前の邦訳出版ですが、ラジアー教授の『人事と組織の経済学』などと比べるとかなり見劣りします。もっとも、比較対象の相手のレベルが違い過ぎるかもしれません。ただ、人事部局に集まるデータをもっと活用した方がいい、という点については一般論としては大賛成なのですが、実際のデータ管理の運用は困難がつきまとうような気もします。すなわち、役所の人事部門などは「身内に甘い」との指摘を受けることがあったりするんですが、人事に関するデータや各種情報が人事部局には集まるわけで、それをどう使うかは考えどころです。「身内に甘い」といわれても従業員を守る姿勢を貫くのか、それとも、次は誰をリストラ対象としようか、という視点で活用するのか、人事としての情報活用の方向性も考えどころかもしれません。

photo


次に、ロバート H. フランク『成功する人は偶然を味方にする』(日本経済新聞出版社) です。著者は米国コーネル大学ジョンソンスクール経済学教授であり、長らくニューヨーク・タイムズ紙で経済コラムを執筆しています。本書の英語の原題は Success and Luck であり、2016年の出版です。私もそうですが、うまく行けば自分の努力や能力を要因として上げ、逆に失敗すれば運が悪かったとか、他人の責任にする、というとても立派な人格的な傾向がある人は少なくありません。現在および少し前の阪神の監督について私の評価が芳しくないのはそういったところで、試合後の感想で、打たれた投手について「あそこは抑えて欲しかった」とか、打てなかった打者に対して「あそこは打って欲しかった」とかいう監督は私は決して評価しません。逆に、選手起用に関する監督自身の責任をアッサリと認めると潔さなんぞを感じます。同様に、本書では成功したケースでもご本人の能力や努力だけではなく、運の要素がかなりあることを認めつつ、失敗したケースでも成功のケースとの差は紙一重であり、運の要素で失敗に終わるケースが少なくない、という点を明らかにしています。同時に、政府などの公的部門が個人の効用や企業の生産活動に対して補完的なインフラを提供している点も強調しており、例えば、スピードの出る高級車を買っても道路が凸凹ではスピードを出してのドライブができないわけで、これらの点を総合して、成功した高所得者から累進的にガッポリと税金を取るべきである、と主張しています。そして、エコノミストの目から見てとても特徴的なのは、累進消費税を提唱している点です。私は不勉強にして知りませんでしたが、第2次大戦中にフリードマン教授も戦費調達の観点からその導入を提唱していたらしく、現在の我が国の消費税のように財サービスの購入時に税抜き価格に上乗せして消費者が業者に支払って、そのために、益税が出来たりする制度ではなく、収入と支出と貯蓄のバランスから支出額を算定して、それに対して累進的に課税するというシステムのようです。いずれにせよ、成功と不成功の間の差は大きくなく、しかも、現在のような勝者総取り方式で、小さな努力の差に対して大きな格差が生じかねない経済社会では、何らかの格差是正策が求められるのは当然です。最後に、成功と不成功を分ける要因として能力や努力ではなく、本書のように運を強調し過ぎると、努力しようとする意欲を阻害する可能性がありますが、現在の日本のように努力し過ぎて過労死したりするような社会では、もっとゆったり構えるというか、私は少しくらい努力を推奨しない意見があってもいいような気もします。ダメですかね?

photo


次に、アナスタシア・マークス・デ・サルセド『戦争がつくった現代の食卓』(白揚社) です。作者は編集者であり、本書のために2年半を調査に費やしたフードライターでもあります。ご亭主がキューバ人、ということはラテン人であり、お姑さんも本書に登場し、私の大使館勤務時の南米生活に照らしても食生活は豊かではないか、という気がします。本書では、特に、ネイティック研究所なる米軍ご用達の軍人向けの糧食などの開発研究所をはじめ、米軍と通常の我々一般人の食卓の関係をひも解くんだろうと期待して借りてみたんですが、もっと食品学、化学や生物学などの食品に関する学問、日本でいえば女子大にあるような食物学科のような学術的な内容が中心となっています。少し脱線すると、我が国の明治期に軍と食料ということでいえば、彼の文豪森鴎外も軍医として横槍片手に参加した脚気論争があります。白米だけで十分なカロリーが摂取できる一方で、脚気は何らかの病原菌に起因すると主張する森鴎外などの陸軍一派に対して、海軍は麦飯や白米まで精製しない玄米などにより、実証的に脚気を回避した論争です。もちろん、米軍でもその昔には同じような事件があったのかもしれませんが、少なくとも本書では関係ありません。軍人に供する食品に関しては、シュンペーター的なイノベーションの観点からして、食材、調理、包装を含めた輸送、などなどのイノベーションが考えられ、一般人食卓に供される食品と共通する部分も少なくありません。例えば、食材については米国人大好きなステーキについては、Tボーン・ステーキのような骨付き肉ではなく、成形肉の利用が始まったり、調理は保存食として従来からの塩漬け、燻製、干物などに加えて、宇宙食にも応用されたフリーズ・ドライの製法が発達したり、包装についてはナポレオン戦争期に開発された缶詰に加えて、レトルト・パウチのような空気を通しにくい包装が開発されたり、輸送については、もちろん、冷蔵・冷凍での輸送が可能になったり、と軍民共通のイノベーションがさまざまに紹介されています。ただ、第12章のスーパーマーケットのツアーで紹介されているように、軍民で共通している食品は30~70%にも上る一方で、具体的にそれほど一般読者向けの楽しく理解できる例が多くありません。私は女子大に設置されている食物学科が理系だということを大学に入ってから知って、少なからぬショックを受けたんですが、そういった理系の人向けの本だという気もします。私は国際派の公務員ですから、売国出張はついつい首都のワシントンDCが多くなるんですが、倅たちへの土産にはスミソニアン博物館の宇宙食のアイスクリームを買う場合が多いです。軍ではありませんが、こういった新しい食品のイノベーションが一般家庭の食卓に並んだりするんでしょうから、そういった楽しい実例がもっと欲しかった気がして残念です。

photo


次に、ロブ・ダン『世界からバナナがなくなるまえに』(青土社) です。訳者あとがきのよれば、著者は米国ノースカロライナ州立大学の研究者であり、専門分野は進化生物学だそうです。英語の原題は Never out of Season であり、2017年今年の出版です。邦訳タイトル通り、プランテーション栽培されるバナナの話から始まって、ジャガイモ、キャッサバ、カカオ、というか、チョコレート、コムギ、天然ゴムなどなど、企業収益性の観点から植物や生物としての多様性を損なう形でのモノカルチャー化が進み、結果として、緑の革命などのように多くの人口のための食料生産には資することとなった一方で、病原菌やネズミなども含めた病害虫の侵食には弱くなり、極めて短期間のうちに緑の農場が茶褐色になってしまう被害をもたらす可能性が高まったリスクを指摘しています。繰り返しになりますが、緑の革命により、スーパーマーケットで消費者の食料の入手は容易になった一方で、殺虫剤や除草剤などの化合物に対する依存が強まったり、灌漑の必要が高まったりしたため、農村は収穫が増加して収益が増大した一方で、種子や農業機械や肥料などの化学品を購入する必要が高まり、同時に、支出も増加するという経済モデルに組み込まれる結果となった、と著者は指摘します。まあ、私のようなエコノミストからすれば、経済学が農学を支配するようになってめでたい、と考えられなくもありませんが、他方で、完全に人為的な世界である経済と自然との共存の思想が不可欠な農学との乖離に目をつぶらねばならない必要も生じたわけです。どちらが好ましいかは基本的な世界観、人生観、哲学によります。先の『戦争がつくった現代の食卓』にもありましたが、食品工業が生み出した加工食品にもそれなりの合理性はありますし、すべての食料生産を近代資本主義的に短期的な効率性だけを優先させて行うことは問題があるとしても、農業を自然のままにして餓死する貧困層を放置するのには忍びません。ということで、人類のそのコンポーネントのひとつであるところの多様な生態系の維持と、人類そのものの生存や種の維持と、両者が矛盾なき場合は問題ないものの、両者が両立しない場合には悩ましい問題が生じる可能性があります。そういった意味で、世界観や人生観などの哲学的な見方も含めて、考えさせられる本でした。

photo


次に、佐藤正午『月の満ち欠け』(岩波書店) です。ご存じ、第157回直木賞受賞の話題作です。タイトル通り、生まれ変わり、あるいは、輪廻転生の物語ですが、そのバックボーンは明らかに熱烈なる恋愛小説です。ということで、私はこの60歳超のキャリアの長い人気作家の作品については、『鳩の撃退法』くらいしか読んでいないんですが、おそらく、この『月の満ち欠け』クラスの小説は日本文壇ではそうそう出ないような気もします。それほどの大傑作といえます。私の場合、読書の中でも小説の比重はそれほど大きくなく、経済書をはじめとする教養書や専門書の方が大きな比率を占め、さらに、小説の中でも好みで時代小説やミステリが多いものですから、純文学やこういった現代ものの大衆小説はそれほど読みませんが、完全にノックアウトされました。論評の前に、まず、私は自然の摂理のひとつとして、輪廻転生や生まれ変わりはあり得る可能性を否定しません。すべての生き物が生まれ変わって輪廻転生する、なんてことを主張するつもりは毛頭ありませんが、この小説にあるような動機も含めて、何らかの強烈な思いがあれば、生まれ変わりになって生命をつなぐこともあり得ますし、生命をつなげなければ幽霊になることもあり得る、とその可能性を全否定することはしません。まあ、レアケースなんだろうとは思います。他方で、私自身はそれほど強烈な思いを持っているわけではないので、生まれ変わりや輪廻転生をしないとは思いますが、さらに積極的にこれらを否定するために、浄土真宗の信者となって念仏を唱えるわけです。なお、一般的な用語ながら、輪廻転生から抜け出すことを解脱と定義しているのは広く知られた通りです。宗教から小説に戻ると、この作品と似た小説に東野圭吾の出世作である『秘密』があります。広末涼子主演で映画化もされました。これも、特定の人物の記憶をはじめとする人格が親しい他の人物に転移する、というストーリーです。しかし、『秘密』の場合は転移された方がその思いを振り払って自立して行くのに対して、この『月の満ち欠け』は何と4代に渡って思いを遂げるために生まれ変わりを繰り返します。というか、初代を別にすれば、生まれ変わりとしてこの世に現れるのは3代と数えることも出来ます。そして、原則として、同じ名前を引き継ぎ、とうとう東京ステーションホテルに現れなかった三角くんを思い続け、ラストにはその思いを成就するわけです。加えて、生まれ変わりはこの流れだけではなく、もう1人いることが強く示唆されます。ハッキリいって、これが衝撃のラストです。また、人間でない生まれ変わりの可能性も示唆されています。映画化されたら、私はぜひとも見たいと思います。

photo


最後に、NHKスペシャル取材班『縮小ニッポンの衝撃』(講談社現代新書) です。昨年2016年9月25日に放送された同名のNHKスペシャルの取材結果です。タイトルからして、いかにも人口減少の問題点に着目しているように思ったんですが、どうも、原因が人口減少とは言い切れず、ハッキリしない現状の問題点もひっくるめて、地方の衰退全般を取り上げているように感じられ、やや焦点がボケているように受け止めました。日本創成会議が取りまとめて中公新書で出版された消滅可能性都市の中に東京23区で唯一登場した豊島区への取材から始まって、財政再生団体に指定された北海道の夕張市、夕張市がやや極端な例であるとして、一部の地方公共団体にて行政サービスの提供が放棄された例として、島根県雲南市、浜田市、京都府京丹後市などの取材の結果が明らかにされ、こういった行政サービスの提供停止は、決して一部の例外的な地方だけの問題ではなく、タイムスパンの長さは別にして、日本全体の問題に拡大しかねない、とのトーンで取りまとめています。注目の本であり、図書館の予約からかなり待たされましたが、どうも私には気になる点があります。繰り返しになりますが、人口減少だけでなく、あらゆる社会的な日本の問題点を、かなり恣意的な取材により極端な例を持ち出して誇張しているような気がしてなりません。京都出身で、長らく東京で公務員をしてきた私ですので、かなりバイアスのかかった見方しかできませんが、それでも、人口問題も含めて社会的に、あるいは、経済的には市場にて、政策の必要なく解決できる問題も少なくありません。おそらく、人口減少問題も政策の手当なしで反転する可能性が十分あると私は考えますが、問題は時間的な余裕です。人口減少が反転するにはとてつもなく長期を要し、その期間をもっと短縮するために有効な政策がある、という点については私も合意します。本書のタイトルの問題意識では人口を増加させれば解決できるような、誤った印象を持たされかねませんが、人口だけでなく、もっと根源的な問題があることを明らかにすべきではなかろうかという気がします。
Entry No.5490  |  読書感想文の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2017年09月08日 (金) 23:26:00

下方修正された4-6月期2次QEをどう見るか?

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.6%、年率では+2.5%を記録しました。1次QEから設備投資を中心に下方修正されたものの、潜在成長率をかなり超えて、消費などの内需が牽引する高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP年率2.5%増に下方修正 4~6月改定値、設備投資下振れ
内閣府が8日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値の伸び率は物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増と、速報値(前期比1.0%増、年率4.0%増)から下方修正した。設備投資が大幅に下振れた。内閣府の詳細な計算によると、年率でみると速報値から1.4ポイントの下方修正で、現行の統計算出方法になった2010年4~6月期以降では最大の下げ幅となった。QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.7%増、年率2.9%増)を下回った。
設備投資が前期比0.5%増と、速報値の2.4%増から大幅に下方修正されたのが響いた。改定の参照統計となる1日発表の法人企業統計で、自動車を中心とする輸送機械や電機など製造業で投資が一巡していた影響が出た。内閣府は4~6月期の設備投資の下振れを「一時的」(経済社会総合研究所)とみている。企業の設備投資計画が高水準なためで「計画通り進めば7~9月期以降は堅調な投資が続く」と説明している。
民間在庫の寄与度はマイナス0.0%と、速報値のプラス0.0から下方修正した。設備投資と民間在庫の低下で、実質成長率への内需寄与度はプラス0.9ポイントと、速報値の1.3ポイントから鈍化した。
このほかの内需項目では個人消費が前期比0.8%増(速報値は0.9%増)、住宅投資は1.3%増(同1.5%増)などが下方修正された。一方で公共投資が6.0%増(同5.1%増)となるなど、公的需要は速報値を上回った。
輸出は前期比0.5%減と速報値と同じで、輸出から輸入を差し引いた外需の実質GDP改定値への寄与度はマイナス0.3ポイントと速報値と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%増(速報値は1.1%増)、年率で3.0%増(4.6%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.4%だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/4-62016/7-92016/10-122017/1-32017/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.2+0.4+0.3+1.0+0.6
民間消費+0.1+0.4+0.1+0.4+0.9+0.8
民間住宅+3.2+2.8+0.2+1.0+1.5+1.3
民間設備+1.4▲0.3+2.0+0.5+2.4+0.5
民間在庫 *(+0.4)(▲0.5)(▲0.2)(▲0.1)(+0.0)(▲0.0)
公的需要▲1.2▲0.0▲0.4+0.0+1.3+1.5
内需寄与度 *(+0.4)(▲0.2)(+0.1)(+0.2)(+1.3)(+0.9)
外需寄与度 *(+0.1)(+0.4)(+0.3)(+0.1)(▲0.3)(▲0.3)
輸出▲0.9+2.1+3.1+1.9▲0.5▲0.5
輸入▲1.2▲0.2+1.4+1.3+1.4+1.4
国内総所得 (GDI)+0.5+0.0+0.2▲0.1+1.1+0.7
国民総所得 (GNI)+0.2▲0.1+0.1+0.1+1.1+0.8
名目GDP+0.2▲0.0+0.5▲0.1+1.1+0.7
雇用者報酬▲0.1+0.8▲0.3+0.4+0.7+0.8
GDPデフレータ+0.4▲0.1▲0.1▲0.8▲0.4▲0.4
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.0+0.4+0.3


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率が6四半期連続でプラスを示し、黒い外需(純輸出)がマイナスであるものの、黄色い公的需要と主要な内需項目である赤い消費がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

photo


まず、報道のトーンは1次QEから2次QEにかけて下方修正された点を強調しているように見受けられますが、ホントは潜在成長率を超えてかなりの高成長であり、しかも、消費を中心とする内需が牽引する景気回復である上に、6四半期連続と安定したプラス成長を続け、先行きも世界経済の回復・拡大の順風を受けて、我が国経済を取り巻く環境はかなり明るい、と考えるべきです。ほとんど、以上で論評は終わりなんですが、先行きについて少し考えると、まず、消費については4~6月期ほどのプラスは望めないかもしれませんが、耐久消費財の買い替えサイクルがエコカー減税や家電エコポイント、さらに、消費増税前の駆込み需要などの攪乱から正常化して来ており、先行きも伸び率が鈍化するものの、着実な回復が見込まれます。設備投資は1次QEから大幅に下方修正されましたが、それでも前期比でプラスを記録しており、現在の人手不足や企業収益を考え合わせると、今後とも、緩やかながら増加を期待できると私は考えています。そして、在庫は1次QEの+0.0%の寄与度から、2次QEでは▲0.0%の寄与度に下方修正されて成長率の足を引っ張りましたが、逆に、在庫調整が進展して先行きの息の長い成長をもたらす可能性が高まったと見られます。外需についても、世界敬愛が回復・拡大を示す中で、4~6月期には前期比でマイナスとなった輸出も7~9月期には増加に転じると予想しています。3日前の9月5日に2次QE予想として示したテーブル第一生命経済研の見方にかなり近いと考えています。
ただし、私が考える先行きのリスクは2点あり、ひとつは賃金動向です。耐久消費財の買い替えサイクルが到来しても、基礎となる所得が伸びなければ消費の増加は実現しません。現状では、人手不足といわれつつも、賃金が上昇するに至っていません。雇用者数が増加して、しかも、正規職員へのシフトも見られますので、1人当たり賃金に雇用者数を乗じたマクロの所得は増加しつつありますが、この先、家計ベースのマイクロな賃金上昇が伴わなければ、消費は一層の拡大につながらないおそれもなしとはしません。もうひとつの先行きリスクは海外政策動向です。フランス大統領選挙の結果やドイツ総選挙の予想などから、クローズな政策を志向するポピュリスト政党のさらなる進出は後景に退いた気がしますが、米国のトランプ大統領は健在であり、特に通商政策動向は不透明です。加えて、米国では金融政策で金利引上げが志向されており、先行き、新興国や途上国を含めて金融上の何らかの問題を生ずる国が出る可能性もあります。そのあたりは、現時点では何ともいえません。

photo


4~6月期GDP統計2次QEから目を別の指標に転じると、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが、また、財務省から7月の経常収支が、それぞれ公表されています。いつものグラフは上の通りです。グラフだけで簡単に済ませておきます。悪しからず。
Entry No.5489  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑